JPH09507284A - 遊星歯車列のための潤滑システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 遊星歯車列（６）の潤滑システムは、対となった複数の遊星歯車（１０）の中間に複数のオイルスプレーバー（３２）を有している。オイルは、上記太陽歯車（８）と、上記遊星歯車（１０）との間の歯合部、及び、上記遊星歯車（１０）と、上記リング歯車（１８）との間の歯合部から、実質的に接線方向の速度をもって排出される。この様にして排出されたオイルは、上記リング歯車（１８）の軸方向外側に隣接したオイル収集用チャネル（５６）のオイル吐出通路に導入される。好適な実施例では、複数のやまば歯車が使用され、これらが回動して、上記歯車の歯合部内のオイルを複数の上記チャネルの軸方向外側へと押し出すようになっている。遊星歯車の間には、複数のバッフル（８０）と、収集用溝（８２）とが用いられており、これらは、特にやまば歯車が、上記歯車歯合部内のオイルを軸方向内側に押し出すようになっている別の実施例において特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 遊星歯車列のための潤滑システム 技術分野 本発明は、遊星歯車列に関するものであり、より詳細には、消費した潤滑剤を 迅速、かつ、効果的に補給することを特徴とする改善された潤滑システムに関す るものである。本発明は、高い出力変換効率が重要な、航空機用エンジンに特に 有効に利用できる。 背景技術 遊星歯車列には、オイルといった好適な潤滑剤が供給されていて、摩擦を低減 させ、かつ、歯車の歯や、ベアリング表面や、互いに相対的に接触する他の面を 摩耗しないようにしている。上記潤滑剤は、また、上記歯車列から熱を取り去る 伝導媒体となっている。 典型的な従来の歯車列では、上記オイルが消費されると、すなわち、潤滑され 、上記歯車列が冷却されると、上記オイルは、重力によって上記歯車列の底にあ る溜めに排出されていた。上記溜めに集められたオイルは、再使用するべく上記 潤滑システムの冷却器と、フィルタと、脱気装置とを通して循環される。 使用済みオイルを、この様に受動的に集めるのは、上記歯車列からオイルを迅 速に除去するには都合が良くない。上記ギアシステムに残留している使用済みオ イルは、上記それぞれの面に対して流体的に抵抗を与え、かつ、ウインデージを 増加させてしまうことにな るとともに、上記歯合部に再度侵入して、ギアの歯によってかき回されることに なる。これによって、余分で、かつ、大きな出力損失が生じるとともに、上記消 費オイルを迅速に取り除く場合に比較して、オイル温度が高くなる。さらに、使 用済みオイルは、上記歯車列から取り除かれるまでは、冷却されず、かつ、上記 潤滑システムにおいて熱交換媒体として使用されつづけることになるため、上記 ギアシステムに消費したオイルが滞留すると、上記オイルの熱交換効率を低下さ せることになる。 上記歯車列がオイルを蓄積するため、上記潤滑システムは、上記システムから 上記オイルが迅速に取り除き、かつ、再循環する場合に比べて大量のオイルを含 有しなければならない。このことは、重量とコンパクトさが重要視される航空機 への応用では、不都合を生じていた。 従って、上記従来の受動型の使用オイル除去方法、すなわち溜めにドレインす る方法では、余計な出力損失を生じさせてしまい、熱交換を非効率とし、かつ、 上記潤滑システムを好ましくない重量と、大きさと、にしてしまっていた。これ まで概説したように、上記使用済みオイルを迅速に取り除いて、余計な出力損失 を低減し、かつ、熱交換を向上させることのできるオイル補給システムが望まれ ていた。 発明の開示 本発明によれば、やまば歯車(ヘリンボーン歯車；herringbone gear teeth)の 歯を有する遊星歯車列に新たなオイルを供給するため、 オイル供給は、導管を通じて行われるようになっている。上記歯車列を冷却し、 かつ、上記ギア歯を潤滑した使用済みオイルは、上記歯車列から上記やまば歯車 の軸方向へのポンプ作用を利用して、上記歯車列からの使用済みオイル排出通路 を有しているオイル収集チャネルへと軸方向強制的に上記使用済みオイルを、排 出させるようになっている。 本発明の上記オイル供給用導管は、上記対となった複数の遊星歯車を取り囲む ように、それらの中間部に配設されている。各導管は、新たなオイルを、太陽歯 車と、遊星歯車のうちの一つと、に向かってスプレーしている。上記オイルのう ちの一部は、上記ギアから跳ね返されてしまうが、上記オイルは、そのほとんど が上記遊星歯車と、リング歯車との間の歯合部の他、上記太陽歯車と、それを取 り囲んでいる遊星歯車の歯合部とに供給されることになる。上記オイルがそれぞ れのギア歯を潤滑、かつ、冷却した後、上記オイルは、上記歯合部から、実質的 に接線方向の速度をもって排出される。 本発明は、やまば歯車を使用しているが、これらのやまば歯車は、その動作が スムーズなことでも良く知られている。やまば歯車は、また、上記ギアの端面に 向かって軸方向へと、又は、上記歯車の中心面に向かって内側へと、すべての歯 合部内にあるオイルを、歯車の回転方向に応じて押し出すことができる。好適な 実施例では、オイルをギアの回転方向に応じた、軸方向に向けて押し出すという 、この独特の押し出し特性の利点を使用している。従って、上記歯車の歯合部か ら排出されたオイルは、接線方向の速度成分を有するとともに、軸方向外側への 速度成分をも有する。上記軸方向外向きの 速度成分は、上記オイルを、周方向に延びたオイル収集チャネルへと向かわせる ようになっている。また、このチャネルは、上記リング歯車の上記端面の軸方向 外側に配設されている。少なくとも上記使用済みオイルはその一部が、上記オイ ル収集チャネルへと流れて行く。このオイル収集チャネルは、少なくとも一つの 排出通路を有しており、この排出通路は、上記オイルを上記潤滑システムのフィ ルタと熱交換器と、脱気装置と、に導くようになっている。 複数のバッフルは、それぞれが対となった複数の遊星歯車の中間部に配設され ており、それぞれの遊星歯車／太陽歯車の歯合部から排出されたオイルが余分な 出力損失を生じさせないよう、互いに跳ね返されて、隣接する遊星歯車に影響を 与えないようにしている。それぞれのバッフルは、軸方向に延びた収集部を有し ていて、これらの収集部は、オイル収集チャネルへと流れてきた上記回収された オイルを、軸方向外側へと向かわせるようになっている。上記オイル補給用導管 は、コンパクト化のため、上記複数のバッフルの径方向内側端に一体化されてい る。 本発明の別実施例では、上記複数の歯車は、２重はすば歯車(バイヘリカルギ ア；bihelical gear)になっていて、上記歯合部から排出される前に、上記歯合 部間のオイルが、左ネジが切られたギア歯と、右ネジが切られたギア歯との間の ギャップ内で軸方向内側に向けて押し出すようにされている。上記オイルは、複 数の上記オイル収集チャネルから軸方向に離れる向きに押しやられるため、上記 配置では、上記した遊星歯車間の複数のバッフルと、複数の溝とによる効果が上 記軸方向外側に向かって押し出すような実施例よりも さらに重要となっている。上記した好適な実施例では、上記複数の溝は、上記オ イルを軸方向外側に向け直すようになっているとともに、上記複数のバッフルは 、隣接した遊星歯車から排出されたオイルからそれぞれの遊星歯車をシールドす るようになっている。 上述した構成と、本発明の実施及びその効果は、図面と、詳細な説明と、によ ってより詳細に後述する。 図面の簡単な説明 図１は、本発明の上記潤滑システムを有する遊星歯車列の前面から見た断面立 面図である。 図２は、２−２に沿って上記遊星歯車列を断面として、図１の通常では見えな い領域を示した立面図であり、上記太陽歯車と、上記遊星歯車との一部が示され ているとともに、上記断面の面外に出た上記ギア歯については断面とせずにその まま示している。 図３は、本発明による上記太陽歯車と、遊星歯車列のうちの選択した複数の歯 車と、を示した簡略化した断面図であり、一つの太陽歯車／遊星歯車歯合部から 排出されるオイルのフローパターンを示している。 発明の最良の実施態様 図１〜図３に示すように、遊星歯車列６は、典型的な遊星歯車列であり、これ らの上記歯車は、単に機械的出力を伝達するようにされている。この遊星歯車列 ６は、長軸１２を中心として回転する太陽歯車８を有している。上記太陽歯車は 、複数の遊星歯車、例えば １０ａと歯合していて、上記遊星歯車１０ａはそれぞれが、遊星遊星腕１４にジ ャーナルピン１６によって回動可能に取り付けられている。リング歯車１８は、 また、複数の上記遊星歯車と歯合している。上記リング歯車は、機械的に、例え ば複数のスプライン２０によって、回動しないリング歯車ハウジング２２に静止 している。また、上記リング歯車は、中心軸に対して静止している。典型的には 、一つ以上のリング歯車と、太陽歯車と、遊星歯車とは、上記軸に垂直な面に沿 って２つの部分に分けられており、歯車列が脱着自在とされている。 入力シャフト２３は、上記太陽歯車に、複数のスプライン２４や、その他の連 結手段によって連結されている。上記シャフトは、ガスタービンエンジン等の回 転運動源（図示せず）によって駆動されていて、上記太陽歯車を回動させている 。上記太陽歯車の回転は、複数の上記遊星歯車をそれぞれのジャーナルピンを中 心として回動させる。上記リング歯車が、静止していることから、複数の上記遊 星歯車は、上記太陽歯車を公転して、上記遊星腕をそれぞれの中心軸を中心とし て回動させる（符号２５で示す）。上記遊星腕の運動は、上記歯車列の出力運動 となっており、これが、上記歯車列からシャフトやその他の好適な機械的な組み 合わせによって伝達されるようになっているが、これらについては、本発明には 関連しないので、図示してはいない。 本発明によれば、複数のオイル供給導管は、供給源（図示せず）から、上記ギ アシステム部品へとオイルを供給するようになっている。複数の通路３０は、オ イルを複数のスプレーバー３２といった 軸方向に延びたオイル供給用導管（その一部を途中で切り取って示している）へ と供給するようになっている。これらのオイル供給用導管は、それぞれ対となっ た複数の遊星歯車の中間部にあって周方向に配置されているとともに、上記太陽 歯車と上記遊星歯車のそれぞれの歯に向けてオイル３４、３６をスプレーするよ うになっている。上記複数のスプレーバーは、上記遊星腕に対して静止している 。別の複数の通路３８は、上記複数のジャーナルピンの内側にオイルを供給して いる。通路４０、４２は、それぞれのピンの内側に設けられており、これらは、 上記オイルを上記ピンの外側周辺へと導いて、上記ピンの外面４４と、それに対 応した遊星歯車のボア４６を潤滑するようになっている。 周方向に延びたオイル収集チャネル５６は、それぞれのリング歯車端面に近接 し、かつ、軸方向外側に位置決めされている。上記チャネルは、上記中心軸に対 して静止しており、各チャネルは、径方向内側に向いたオイル収集面５８と、内 側側壁５９と、外側側壁６０とを有している。少なくとも一つの吐出通路６２は 、各チャネルから延びており、上記収集されたオイルを、複数の上記オイルシス テムクーラーと、複数の上記フィルタと、複数の上記脱気装置と、に通すように なっている。それぞれの吐出通路の端部のインレット６４は、オイルを受け取る ようになっている。このオイルは、上記吐出通路内に、実質的な接線方向の速度 成分をもって上記歯車歯合部から排出されたものである。上記複数の側壁６０を 図２の鎖線により示されている延長部６１のように延長して、上記複数の側壁５ ９と、６０と、上記収集面５８と、上記遊星遊星腕１４と、が略環状 のチャンバを形成して上記オイルをいっそう良好に保持するようにすることも効 果的である。これとは別に、オイルの封じ込めは、図２の別の鎖線で示されるよ うに、それぞれの側壁６０から軸方向に向かって延びたカバー６６を設けること によっても改善することができる。 本発明は、また、それぞれ対となった遊星歯車の中間部に位置決めされた複数 のバッフル８０を有しており、これらのバッフルは、それぞれの遊星歯車を、そ れらに隣接する太陽歯車／遊星歯車の歯合部から飛び出すオイルや、上記太陽歯 車から跳ね返るオイルからシールドして、これらのオイルを径方向外側にガイド するようになっている。上記複数のバッフルは、上記遊星腕に対して静止してお り、複数の上記遊星腕の内側面６８の間において軸方向に向かって延びている。 オイル収集用の溝８２は、それぞれのバッフルの径方向外側にあり、上記使用済 みオイルを集めるようになっている。上記溝は、複数の上記遊星腕壁内部に入り 込んでおり、各溝の双方の端部において、それらの排出部８４が、上記収集チャ ネルにオイルを吐出するようになっている。図２に最も良く示されているが、上 記溝の面９４は、その軸方向に沿って傾いている部分のある面を有していること が好ましく、これらの面は上記中心軸１２から、上記溝への径方向の距離が、上 記中心面９０からの軸方向の距離が増加するとともに、増加するようになってい る。このような配置とすることで、上記溝内のオイルは上記複数の吐出口８４に 向かって流れ易くされているとともに、遊星腕の回転に応じて大きな接線方向速 度をもって上記収集チャネルへと排出されることになる。 各バッフルの上記径方向内側端は、隣接するスプレーバーから遊星腕の回転す る方向に、周方向に離間していて、上記太陽歯車から跳ね返ったオイルが、径方 向外側に十分な時間が得られるようにして移動し、上記バッフルで捕らえられる ようになっており、上記バッフルの径方向内側に通過してしまって、上記太陽歯 車とそれに隣接する遊星歯車に達しないようになっていることが好ましい。 本発明のギア８と、１０と、１８とは、連続やまば歯車、又は不連続やまば歯 車でも良い。やまば歯車は、共通の軸状に横並びに位置決めされた互いに反対向 きに切られているはすば歯車の対である。連続やまば歯車では、互いに反対回り に切られた歯は、上記歯車の軸に対して斜めにされており、上記歯車の中心面で 頂点を形成するようになっている。不連続やまば歯車は、より普通には２重はす ば歯車として知られており、これは、互いに反対向きに切られた歯が中央部にお いて、それぞれ対応する右ネジの切られた歯と、左ネジが切られた歯との間に、 ギャップ８６のように僅かなギャップを形成するようになったものである。従っ て、２重はすば歯車は、真の頂点を形成するのではなく、図１に示すような仮想 的な頂点、例えば８８を形成する。 ２つの歯合するやまば歯車の歯の間に形成される接触ラインは、上記歯の側面 に沿って進行し、上記歯合部内の上記オイルの多くは、上記接触ラインの進行方 向に向かって押し向けられる、すなわち搬送されることになる。やまば歯車が回 動して、それぞれの歯の頂点が歯車の回動する方向前部にある残りの歯の方向へ と進行すると、上記ギア歯合部内のオイルは、軸方向に外側に押し出される。逆 に、 歯車の回転が上記歯の残りの部分の反対側に向かってそれぞれの歯の頂点が戻っ てゆく場合には、上記歯車の歯合部内のオイルは、軸方向内側へと押し戻される ことになる。本発明は、やまば歯車を使用しているので、このポンプ特性を、迅 速なオイル補給を確実に行わせるために活用できる。本発明の好適な実施例では 、上記それぞれの歯車は、連続やまば歯車又は、不連続やまば歯車のいずれを使 用する場合であっても、オイルが軸方向外側に向かって押し出されるようにされ る。 上記太陽歯車、又は、上記リング歯車のいずれかが上記長手方向軸に垂直な中 央面９０に沿って２つの部分に分かれるようになっているので、それらを上記遊 星歯車と、遊星腕とで完全な歯車列を形成するように組み合わすことができる。 どの歯車を分離するかという選択は、少なくとも部分的には、軸方向ポンプ動作 の方向によって決定されるが、これは、この方向に応じて、上記ギアに対して軸 方向に反動力が加えられるようになるためである。上記好適な実施例である軸方 向外側へ向かって押し出す配置では、反動力は、上記リング歯車に対して軸方向 外側に向かって加えられる。この力は、上記リング歯車を右と左に分離するよう に作用し、また、上記太陽歯車に対しては、軸方向内側に向かい、かつ、それぞ れを左右から挟み込むような力を加える。従って、上記リング歯車は、上記分離 力に最も抵抗するように一つの部品とされ、また、上記太陽歯車は、上記挟み込 む力が２つの部品を互いに安定化させるため、２つの部品８ａと８ｂとに分離さ れている。 上記オイル補給システムの運転は、オイルの流れ、３４と、３６ と、を調べることによって理解することができるが、このオイルは、遊星歯車１ ０ａと１０ｂと（図１）の間に配設された上記スプレーバーによって導入される 。上記太陽歯車の歯にスプレーされる上記オイル３４のうちのある部分は、歯か ら跳ね返されたり上記バッフル８０に捕らえられ、跳ね返ったオイルが当たった り、隣接した遊星歯車１０ｂによってかき回されてオイルが跳ね返されるのを防 止して、余分な出力低下が防止されている。オイル３４の残りの部分は、上記太 陽歯車と遊星歯車１０ｂとの間に輸送され、上記歯車の歯によって軸方向へと外 側に向かって押し出される。この様にして、図３に最も良く示されるように、上 記歯が歯合部からでてくると、使用済みオイル３４′は、歯上の凹凸部から接線 方向（上記太陽歯車と遊星歯車とに相対的に）への速度をもって、上記歯車と上 記遊星腕の回転方向に応じて、上記遊星腕２５の回転方向へと排出される。その 際の軸方向速度は、上記歯合する歯車の歯の軸方向への押し出しにより与えられ るものである。上記押し出し作用が、上記オイルのほとんどを軸方向外側に向か って押し出すため、上記排出されたオイルは、上記歯車の軸方向長さに向かって は不均一に分布しており、排出されるオイルは、上記歯車端面近傍により多くの 存在し、かつ、上記中心面９０近傍にはより少なく分布することになる。従って 、上記排出された多くのオイルは、上記遊星腕と、上記遊星歯車との間の空間９ ２へと流れ、その後上記収集チャネル５６内へと流れて行く。上記排出されたオ イルの残りは上記バッフルによって捕捉されることになる。上記バッフルは、上 記太陽歯車からのオイルの跳ね返りを防止するほか、上記排出されたオイルが、 上記遊 星歯車１０ｂの上記歯によってかき回されて飛散するのを防止するようになって いる。上記排出されたオイルは、上記遊星歯車に対して大きな接線方向の速度を 有しているとともに、上記回動している遊星腕と、バッフルと、に対しては径方 向の速度成分を有している。従って、上記オイルは、上記バッフルに沿って径方 向外側に向かって上記収集溝８２へと流れて行くことになる。 遊星歯車１０ａにスプレーされるオイル３６は、上記遊星歯車によって、上記 リング歯車の歯合部に輸送される。上記遊星歯車を通過した後にオイルは排出さ れ、歯合部から出てくるリング歯車は、歯合する歯車の歯による押し出し効果の ために、軸方向に向かう速度を有しているとともに、上記遊星腕の回転により、 遊星腕の回転する方向に向かった接線方向の速度を有している。この結果、上記 オイルは、上記収集チャネル５６へと向かって軸方向外側、かつ、上記吐出通路 ６２の開口６４に向かって接線方向に排出される。 オイルは、また、複数の上記面４４と、遊星歯車の上記ボアの面４６と、に供 給されているとともに、それぞれのジャーナルピンの周方向外側に供給されてい る。上記オイルは、加圧下で供給されているので、ギアの回転方向に拘わらず、 複数の面４４と４６との間にある環状部を通して軸方向外側に流れる。上記オイ ルは、このオイルが、上記太陽歯車／遊星歯車歯合部から排出されるのと同様に 、それぞれの遊星歯車の端面に吐出され、さらに、上記遊星腕に対して径方向外 側に向かって、上記オイル収集チャネルへと流れる。別の実施例では、歯車の回 転する方向は、これまで説明してきたものとは逆となっており、上記ギア歯合部 内のオイルは、軸方向内側 に向かって押し出される。複数の上記歯車は、２重はすば歯車とされており、上 記複数の歯の間のギャップ８６に向けてオイルを流している。上記した好適な実 施例では、オイルは上記歯車の歯合部から接線方向の速度と軸方向の速度との双 方をもって排出されるが、この場合の軸方向の速度成分は、上記中心面と内側と に向いている。従って、上記内側へと押し出す実施例を効率よく運転するために は、遊星歯車間の複数のバッフルと溝とを利用することがよりいっそう必要であ り、これらによって、上記収集チャネルに向けて軸方向外側にオイルを跳ね返す とともに、回転方向の隣接した歯車から排出されるオイルから、それぞれの遊星 歯車を遮蔽している。加えて、上記複数の歯車による軸方向の押し出し動作によ る反動力は、上記太陽歯車を軸方向外側に向かって押し出すようにしており、ま た、上記リング歯車を軸方向内側に向かって押しているため、一体となった太陽 歯車と、分離したリング歯車とを使用することができる。 上記内向きに押し出す配置では、使用済みオイルが、上記ギャップ８６の間に 蓄積され、上記歯合部からの使用済みオイルの排出が妨害されるために、上記外 側押し出し配置ほどには余分な出力損失を低減させることはできない。さらに、 上記遊星歯車の間のバッフルと溝とは、内向き押し出し配列のためには、より必 須とされるので、重量、価格、複雑さといった特徴的な点においての利点は少な い。 本発明は、入力のための太陽歯車と、出力のための遊星遊星腕と、非回転のリ ング歯車とを有する遊星歯車列との関連において説明を加えてきたが、当然のこ とながら、上記太陽歯車以外が入力歯車と され、出力歯車が上記遊星歯車以外の歯車列であっても動作する。 上記オイル供給用導管は、上記したように、上記スプレーバーと一体に、ある いは上記スプレーバーと上記バッフルとの双方と一体として形成することができ る。上記一体型バッフル／導管配置は、遊星歯車間の間隔に制限があるような場 合に好適に利用されるものの、この配置は、上記太陽歯車から跳ね返されるオイ ルを捕捉するには向いていない。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 太陽歯車と、遊星腕に回動可能に取り付けられ、前記太陽歯車と歯合する 複数の遊星歯車と、前記複数の遊星歯車と歯合するリング歯車とを有する遊星歯 車列であって、前記太陽歯車と、遊星歯車と、リング歯車とは、それぞれがやま ば歯車であり、前記太陽歯車と、前記遊星腕と、前記リング歯車のうちの少なく とも２つが中心軸を中心として回動可能にされている遊星歯車列において、潤滑 システムは、 前記遊星腕に対して静止しているとともに、前記遊星歯車のそれぞれの対の中 間にあって周方向に配設され、かつ、前記歯車列へと新たなオイルを供給するた めのオイル供給用導管と、 それぞれの歯車端面に隣接し、かつ、それぞれの歯車端面の軸方向外側にある とともに、前記中心軸に対して静止している使用済みオイルを受けるオイル収集 用チャネルと、 前記それぞれのチャネルから延び、かつ、使用済みオイルを導入するための入 り口を有する少なくとも一つの吐出通路と、を有していることを特徴とする遊星 歯車列。 ２． 前記遊星腕に対して静止し、かつ、対となったそれぞれの遊星歯車の中間 にあって、周方向に配設されているとともに、前記遊星腕の複数の内側面の間に 軸方向に延びた複数のバッフルを有しており、それぞれのバッフルの径方向外側 端は、軸方向に延びていて、遊星腕に入り込んだ溝を形成しており、使用済みオ イルを径方向、 かつ、軸方向外側に向かって流して、複数の前記オイル収集チャネルへと吐出さ せていることを特徴とする請求項１に記載の潤滑システム。 ３． 前記オイル供給用導管は、スプレーバーであることを特徴とする請求項１ に記載の潤滑システム。 ４． 回動する歯車の歯によって形成されるそれぞれの頂点は、歯車の回転方向 の進行方向にある残りの歯の方向に進行して、それぞれの歯車の歯合部内にある オイルを軸方向外側へと押し出すようになっていることを特徴とする請求項１に 記載の潤滑システム。 ５． 回動する歯車によって形成されるそれぞれの頂点は、前記歯車の回動方向 後方にある歯の部分へと戻されるようにされ、歯車の歯合部内のオイルが、軸方 向内側に押し出されるようになっていることを特徴とする請求項１に記載の潤滑 システム。 ６． 前記太陽歯車と、前記遊星歯車と、前記リング歯車とは、連続やまば歯車 であることを特徴とする請求項４に記載の潤滑システム。 ７． 前記太陽歯車と、前記遊星歯車と、前記リング歯車とは、不連続やまば歯 車であることを特徴とする請求項５に記載の潤滑システム。 ８． 太陽歯車と、遊星腕に回動可能に取り付けられ、前記太陽歯車と歯合する 複数の遊星歯車と、前記複数の遊星歯車と歯合するリング歯車と、を有する遊星 歯車列であって、前記太陽歯車と前記遊星腕と、前記リング歯車のうちの少なく とも２つが中心軸を中心として回動可能にされているとともに、前記太陽歯車と 、前記遊星歯車と、前記リング歯車とは、それぞれがやまば歯車である遊星歯車 列において、潤滑システムは、 前記やまば歯車は、互いに回動して、前記各回動可能な歯車の上記歯部によっ て形成されるそれぞれの頂点が、歯車が回動して行く方向にある残りの歯に沿っ て前方に進行して、それぞれの歯車歯合部内のオイルを軸方向外側に押し出すよ うになっており、 前記遊星腕に対して静止しているとともに、前記遊星歯車のそれぞれの対の中 間にあって周方向に配設され、かつ、前記歯車列へと新たなオイルを供給するた めのオイル供給用スプレーバーと、 それぞれの歯車端面に隣接し、かつ、それぞれの歯車端面の軸方向外側にある とともに、前記中心軸に対して静止して使用済みオイルを受けるオイル収集用チ ャネルと、 前記それぞれのチャネルから延び、かつ、使用済みオイルを導入するための入 り口を有する少なくとも一つの吐出通路と、 対となったそれぞれの遊星歯車の中間にあって、周方向に配設されているとと もに、前記遊星腕に対して静止したバッフルと、を有しており、 それぞれのバッフルの径方向内側端は、隣接した前記スプレーバ ーのうちの一つから周方向に離間しているとともに、前記複数のバッフルは、前 記遊星腕の前記複数の内側面の間において軸方向に延びており、それぞれのバッ フルの径方向外側端は、軸方向に延びた溝を形成していて、この溝は、前記遊星 腕に入り込んでいて、使用済みオイルを径方向かつ、軸方向外側に向けて前記オ イル収集チャネル内に流すようになっていることを特徴とする潤滑システム。