JPH09505909A - 分散シフト単一モード光ファイバ - Google Patents

分散シフト単一モード光ファイバ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、幾何パラメータの最適化によって有効モード表面積が65μm2を上回る分散シフト単一モード光ファイバに関する。屈折率はU字型またはW字型のプロファイルを有する。

Description

【発明の詳細な説明】 分散シフト単一モード光ファイバ 本発明は、分散シフト単一モード光ファイバに関する。 いわゆる分散シフト単一モード光ファイバは、通常1.3μm(シリカの分散 がほぼ0である波長)以外の波長が使用され、その伝送波長において伝送波の色 分散がほぼ0である、すなわち、特にコアとクラッドとの間の屈折率の差を大き くすることにより、0ではないシリカの色分散が相殺される(そのため「シフト 」という用語を使用する)ようなファイバである。 現在、伝送線用光ファイバ、すなわち例えば大西洋横断接続など長距離伝送を 行うための光ファイバとして選択される伝送波長は、ほぼ1.55μmである。 実際、光の伝送の減衰量が最小となるのがこの波長であり、その値は0.2dB /kmである。 従って本発明においては、想定するファイバは、伝送効率が最も高い1.55 μmの波長において使用するものとする。 また、単一モード光ファイバの方が多重モード光ファイバよりもはるかに広い 帯域を有することがわかっており、そのため、遠距離伝送線の現在および将来の 開発は単一モードファイバを 中心にして行われている。 従って本発明は特に、ほぼ1.55μmの波長で使用される分散シフト単一モ ード光ファイバに関する。 より詳細には,本発明は、曲率半径が30mmの時、曲げによる損失が0.0 05dB/mを超えない光ファイバに関する。実際、光ファイバにとって正しい 伝送条件下で動作を実現するには、このように、曲げによる損失を制限すること が必要である。 現在、分散シフト単一モード光ファイバの様々なプロファイルが研究され、論 文に広く記載されている。 「ステップ形」、「台形」、「三角形」などと呼ばれる最も簡単なプロファイ ルは、光ファイバの中心からの距離に応じてコア内屈折率が変化するものであり 、この距離に応じて、屈折率は各々、長方形、台形、あるいは三角形をなす曲線 を形成するが、コアを取り囲むクラッドにおける屈折率は一定であり、コアの屈 折率よりも低い。 また、光ファイバの「内側」コアを形成する中心部分を、内側コアの屈折率よ りも低い屈折率を有する「外側」コアと、外側コアの屈折率よりも低い屈折率を 有するクラッドとが取り囲 む、「ペデスタル」プロファイルも知られている。 さらに、ファイバの中心からの距離dに応じてファイバ内の屈折率nが第1図 の概略図に示す曲線のように変化する「中心リング付き台形」型のプロファイル も知られている。このプロファイルにおいてコアCは、 台形の、極端な場合には三角形または四角形の曲線が形成されるように屈折率 が変化する最大屈折率ns+Δnの中央部分と、 中央部分10を囲み、屈折率nsが例えば一定でns+Δnよりも低い層11と 層11を囲み、屈折率ns+hΔn(0<h<1)が例えば一定でnsよりも高 くns+Δnよりも低い層12とを含む。 層12は、屈折率がnsであるクラッド層Gに囲まれる。 実際には、コアCの中央部分10に関して用いる「台形」という用語は、三角 形および四角形という極端な形状をも含む。 さらにまた、Journal of Lightwave Technology、第11巻、11号、199 3年11月所載の論文「Transmission characteristics of a coaxial optical fiber line」にも記載されて いるが、ファイバの中心からの距離dに応じてファイバ内の屈折率nが第2図の 概略図に示す曲線のように変化する「中央埋没穴」型と呼ばれるプロファイルも 知られている。このプロファイルではコアC’は、屈折率ns+Δnがns+hΔ nよりも大きい層21に囲まれた最小屈折率ns+hΔn(h<0)の中央部分 20を含む。層21は、屈折率がnsであるクラッド層G’に囲まれる。 なお、当然のことながら、前記のプロファイルは全て、光ファイバの中心に対 し回転対称性を有する。 これらプロファイルにより、1.55μmにおいて色分散をほぼ0にし、減衰 および曲げによる損失を少なくすることが可能となる。とはいえ、光ファイバを 使用する長距離リンクの開発における不断の願望は、伝送品質を更に向上しその コストを下げることである。 ところで、伝送品質はリンク全体のSN比と密着な関係があり、ノイズは伝送 線内で使用される中継器に属する増幅器が発する増幅自然放射によって生じ、こ のSN比自体は、増幅器間の距離Z、使用光ファイバの有効モード表面積Seff 、母集団反転係数(factor of inversion of population)nsp、単位長 減衰αおよび、増幅器の入力側と出力側の結合係数C1およびC2に依存する、光 ファイバのペナルティ関数Fに反比例することがわかっている。ペナルティ関数 Fは下記の式で与えられる。 この式から、伝送品質を向上させるため以下の試みを追求できることがわかる 。 他のことはそのままにして母集団反転係数nspを小さくする。ただしこの場合 、ポンピング波長において複雑な調整が必要となり、したがって光ファイバ以外 の部品にも複雑な調整が必要となる。 減衰αを小さくする。しかし1.55μmにおける減衰はすでに極めて小さく (実際には0.2dB/km程度)、ペナルティ関数Fに対しては大きく低減を 期待することはできない。 結合係数C1およびC2を変更する。これは光ファイバ以外の部品をも介入させ ることになり、複雑な調整が必要となる。 有効モード表面積Seffを大きくする。これによってリンクの品質を向上させ ることが可能である。 第3図に、有効モード表面積が50μm2の既知の光ファイバ(曲線30)お よび有効モード表面積が70μm2の理論的光ファイバ(曲線31)について増 幅器間の距離Z(単位はkm)を関数とした時の、ソリトン型伝送を使用する光 ファイバのペナルティ関数F(単位はdB)を示す。なお、Fは依存する他のパ ラメータは全てそのままとする。ある決まったペナルティ関数、すなわちある決 まったSN比においては、有効モード表面積が大きくなればなるほど増幅器間の 距離が大きくなり、それにより、使用する中継器の数を減らすことができ、従っ てシステムのコストを低減することが可能となる。 また、ある決まった増幅器間の距離においては、有効モード表面積が大きくな ればなるほどペナルティ関数が低くなる、すなわち伝送品質が向上する。 このように、伝送品質を向上させるには、あるいは同じことであるが、ある決 まったリンク品質の使用される中継器の数を減らし、それによって同時にリンク のコストの低減をもはかるには、有効モード表面積を大きくすることが有利であ る。 1.55μmにおいて色分散がほぼ0になるようにするため、すなわち1.5 5μmにおいてシリカの色分散を相殺するため に、ステップ形、台形、三角形プロファイルなど単純な屈折率プロファイルを使 用する場合、コアとクラッドの間の屈折率の差を大きくする必要があり、その結 果、必然的に有効モード表面積が少なくなってしまう。 このように、1.55μmにおいて色分散をほぼ0にしつつ大きな有効モード 表面積を得るには、第1図および第2図に例示するような、より複雑な屈折率プ ロファイルを選択することが必要である。 現在までのところ、中心リング付き台形型のプロファイルについて実施された 研究では、有効モード表面積は50から60μm2止まりである。中央埋没穴型 プロファイルについては現在までのところ、有効モード表面積を決定できるよう な研究はなされていない。 従って本発明の目的は、曲げによる減衰および損失を、既知の光ファイバを使 用して得られる減衰および損失と同等に維持しつつ、1.55μm近辺で色分散 が0であって有効モード表面積が65μm2を上回る単一モード光ファイバを作 成するため、既知のプロファイルの幾何パラメータを最適化して、従来のプロフ ァイルで得られる有効モード表面積よりも大きな有効 モード表面積が得られるようにすることである。 この目的のため、本発明は、 Δnを必ず正の値とし、屈折率がほぼ台形の形状を有する曲線で表され、光フ ァイバの中心からの距離に応じて屈折率が最小屈折率nsと最大屈折率ns+Δn との間で変化する中心部分と、 前記中心部分を取り囲み屈折率がほぼnsに等しい第一層と、 前記第一層を取り囲み、0<h<1とする時、屈折率がnsとns+hΔnの間 で変化する第二層と、 前記第二層を取り囲み、ほぼnsに等しい屈折率を有する光クラッドと、 を有する光コアを含む、1.55μm近辺で色分散がほぼ0の単一モード光ファ イバであって、 前記屈折率プロファイルが 前記第二層において測定されるコアの全半径a、 前記中心部分の半径とaとの比率x(0<x<1)、 前記第一層の半径とaとの比率y(x<y<1)、および 台形の上底と下底との比率r(0≦r≦1) という幾何パラメータで定義され、 1.55μmにおいて前記ファイバの色分散がほぼ0になり、前記ファイバのカ ットオフ波長λcが1.4μm<λc<1.55μmになるようにaとΔnが定め られ、rは0から1の間で任意に選択され、x、yおよびhは の関係式が成立するように選択されることを特徴とする光ファイバを提供する。 実際には、3)に示す関係式で、プロファイルの中央リングについてdの関数 としてnを与える曲線によって画定される表面積と、台形についてdの関数とし てnを与える曲線によって画定される表面積の比率の限界値が決定される。 本発明による台形および中央リング型プロファイルの光ファイバを使用すると 、65μm2を上回り85μm2に達する有効モード表面積が得られる。リンク品 質が一定であるとした場合、これにより増幅器間の距離を10から30%大きく することが可能である。 提起された問題を解決するため、本発明はさらに、 −1<h<0とし、Δnを必ず正の値とするとき、前記光ファイバの中心から の距離に応じて屈折率が最小屈折率ns+hΔnと最大屈折率nsとの間で変化す る中心部分と、 前記中心部分を取り囲み、前記光ファイバの中心からの距離に応じて屈折率が nsとns+Δnの間で変化する層と、 前記層を取り囲み、ほぼnsに等しい屈折率を有する光クラッドと、 を有する光コアを含む、1.55μm近辺で色分散がほぼ0の単モード光ファイ バであって、 前記屈折率プロファイルが 前記層において測定されるコアの全半径a、 前記中心部分の半径とaとの比率y(0<y<1)、 という幾何パラメータで定義され、 1.55μmにおいて前記ファイバの色分散がほぼ0になり、前記ファイバのカ ットオフ波長λcが1.45μm<λc<1.55μmになるようにΔnが定めら れ、yが0から1の間で任意に選択され、hが の関係式が成立するように選択されることを特徴とする光ファイバを提供する。 本発明による中央埋没穴型プロファイルの光ファイバを使用すると、65μm2 を上回り95μm2に達する有効モード表面積が得られる。リンク品質が一定で あるとした場合、これにより増幅器間の距離を10から40%大きくすることが 可能である。 本発明の他の特徴および長所は、例示的であって限定的ではない、本発明の実 施態様についての以下の説明において明らかになろう。 以下の図において、 第1図は、中心リング付き台形型プロファイル単一モードファイバについて、 光ファイバの中心からの距離dに応じた、異なる層の屈折率nの変化を示す図で ある。 第2図は、中央埋没穴型プロファイル単一モードファイバについて、光ファイ バの中心からの距離dに応じた、異なる層の屈折率nの変化を示す図である。 第3図は、増幅器間の距離Zに応じた、1.55μmにおいて色分散がほぼ0 のソリトン型伝送を使用する単一モード光ファイバのペナルティ関数Fを示す図 である。 第4図は、中心リング付き台形型プロファイル単一モードファイバについて、 光ファイバの中心からの距離dに応じた、異なる層の理論的屈折率および実屈折 率nの変化を示す図である。 第1図から第3図については、従来技術の説明の際に説明した。 前述のように、既知の中心リング付き台形型および中央埋没穴型プロファイル を使用し、本発明の基準に従って幾何パラメータを選択することにより、ステッ プ形、台形、あるいは三角形型の従来のプロファイル、ならびに先行技術におい て使用されている中心リング付き台形型および中央埋没穴型プロファイ ルを使用して得られる有効モード表面積よりもはるかに大きい有効モード表面積 が得られる。このように、本発明により、有効モード表面積、色分散、減衰量、 曲げによる損失に関して必要な要件を満たすようにこれらプロファイルの幾何パ ラメータの選択を最適化することが可能である。 以下に、本発明の関係式が成立する前記に定義したパラメータの値、ならびに 有効モード表面積、1.55μmにおける色分散、カットオフ波長、およびこれ らの特徴を有するプロファイルを使用して得られる曲げによる減衰および損失を 与える、本発明の可能な実施例を3例説明する。 まず第一に、本発明によるプロファイルの幾何特性は全て、二つの基本パラメ ータ、すなわちファイバのコアの全半径a、およびコアの最大屈折率と光クラッ ドの屈折率の差Δnによって決まることを想起されたい。 これらの基本パラメータは、本発明による光ファイバについて必須要件を満た すために、従来の方法で決定することができる。必須要件とは以下の通りである 。 色分散がほぼ0であること、すなわち実際には1.55μm近辺において1p s/(nm.km)未満であること。 所望波長において伝送が単一モードであり曲げによる損失を低減するため、カ ットオフ波長λcが1.4μm<λc<1.55μmであること。 減衰が0.2dB/km程度であること。 中心リング付き台形型プロファイルについて、前記の基準を満たすためにパラ メータaおよびΔnをどのように選択するかについて簡潔に説明するが、中央埋 没穴型プロファイルについても同様の議論があてはまる。 周知のように、色分散Cは下記のような波長λの関数で表すことができる。 ここで、 M(λ)は、波長λにおける純シリカの色分散を特徴付ける既知の項である。 (M(λ)は1.55μmで約22ps/(nm.km)) 正規化周波数であり、BはVに応じて決まる正規化有効屈折率 である(有効屈折率は、実際にコア内を伝播する光波に「見える」屈折率である 。) Cは真空内の光の速度である。 ε(λ)は無視してよい項である。 1.4μmから1.55μmの間で導波が単一モードとなるようなカットオフ 波長λcを得ようとしているので、そこから、正規化周波数Vの変化の範囲を限 定する間隔、すなわちBについて対応する間隔を求めることが可能である。従っ て方程式(1)からΔnを求め、次いで、正規化周波数をもたらす方程式(2) からaを求めることができる。 ここで、nsは光クラッドの屈折率であり、λは動作波長である。 一般的に、中心リング付き台形型プロファイルを有する光ファイバについては 、前記の条件が成立するようにコアの半径を2μmから9μmの間で選択するこ とができ、屈折率の差Δnは8×10-3から20×10-3の間で選択することが できる。 中央埋没穴型プロファイルを有する光ファイバについては、 前記の条件が成立するようにコアの半径を2.5μmから4μmの間で選択する ことができ、屈折率の差Δnは12×10-3から20×10-3の間で選択するこ とができる。 また、リング付き台形型プロファイルについては、rの値の選択は0から1の 範囲で任意である。本発明においては、「台形」という用語は、rが0である( 従って台形が三角形となる)、あるいはrが1である(従って台形が長方形とな る)ような極端な例を含む広い意味で解釈すべきである。 また、中央埋没穴型プロファイルのyの値についても同様であり、yは文字通 り0から1の範囲で任意に選択できる。実施例1 この例では、光ファイバは中心リング付き台形型である。ファイバの特徴とな るパラメータの値は以下の通りである。 a=6.97μm Δn=10×10-3 r=0.6 x=0.35 y=0.69 h=0.325 このようなファイバを使用した場合、色分散は1558nmにおいて0.68 5ps/(nm.km)であり、カットオフ波長は1.48μmであり、減衰は 0.20dB/kmである。曲げによる損失は、曲率半径が30mmの場合、0 .005dB/m未満である。 有効モード表面積は71μm2である。実施例2 この例では、光ファイバは中央埋没穴型である。ファイバの特徴となるパラメ ータの値は以下の通りである。 a=3.07μm Δn=15.6×10-3 y=0.56 h=−0.55 このようなファイバを使用した場合、色分散は1558nmにおいて0.7p s/(nm.km)であり、カットオフ波長は1.485μmであり、減衰は0 .21dB/km程度である。曲げによる損失は5×10-7dB/m未満である 。 有効モード表面積は71.9μm2である。実施例3 この例では、光ファイバは中央埋没穴型である。ファイバの特徴となるパラメ ータの値は以下の通りである。 a=3.3μm Δn=14.7×10-3 y=0.606 h=−0.599 このようなファイバを使用した場合、色分散は1558nmにおいて0.7p s/(nm.km)であり、カットオフ波長は1.485μmであり、減衰は0 .21dB/km程度である。曲げによる損失は10-3dB/m未満である。 有効モード表面積は89.8μm2である。 もちろん本発明は、前記に説明した特定の実施態様に限定されるものではない 。 特に、台形、三角形、長方形など明確な幾何形状を想起する時、実際には、得 られたプロファイルは理論的プロファイルとは多少なりとも異なることがあるこ とは明らかであり、このような差異が制御できる状態にある場合には、その差異 によって当該光ファイバについて期待される特性が変化することはない ことが文献で証明されている。一例として、第4図に、光ファイバ上で測定され た中心リング付き台形型の実プロファイル40を示す。この実プロファィルは、 同じく第4図に示す理論的プロファイル41と等価である。この等価性の詳細に ついては、日立の米国特許第4406518号を参照されたい。 また、リング付き台形型プロファイルの中央リングは必ずしも長方形の理論的 形状を有さず、台形または三角形の理論的形状をとることも可能であること、よ り一般的に言えば、実際には、これらの形状と等価なあらゆる形状をとることが 可能であることは明らかである。 このように、本発明によるファイバについては、幾何パラメータ(ファイバの 中心からの距離、屈折率の違い)によって本発明の関係式が成立することが重要 であるが、曲線の実際の形状が、想定するプロファイルについての理論的幾何形 状と完全に一致する必要はない。 最後に、本発明の範囲を逸脱せずに、あらゆる手段を同等の手段で置き換える ことが可能である。
【手続補正書】 【提出日】1996年6月13日 【補正内容】 (1)明細書全文を別紙の通り補正する。 (2)全図を別紙の通り補正する。 明細書 1.発明の名称 分散シフト単一モード光ファイバ 2.特許請求の範囲 (1)Δnを必ず正の値とし、屈折率がほぼ台形の形状を有する曲線で表され 、光ファイバの中心からの距離に応じて屈折率が最小屈折率nsと最大屈折率ns +Δnとの間で変化する中心部分と、 前記中心部分を取り囲み、屈折率がほぼnsに等しい第一層と、前記第一層を取 り囲み、0<h<1とする時、屈折率がnsとns+hΔnとの間で変化する第二 層と、 前記第二層を取り囲み、ほぼnsに等しい屈折率を有する光クラッドと、 を有する光コアを含む、1.55μm近辺で色分散がほぼ0の単一モード光ファ イバであって、 前記屈折率プロファイルが 前記第二層において測定されるコアの全半径a、 前記中心部分の半径とaの比率x(0<x<1) 前記第一層の半径とaの比率y(x<y<1) 台形の上底と下底との比率r(0≦r≦1) という幾何パラメータで定義され、 1.55μmにおいて前記ファイバの色分散がほぼ0になり、前記ファイバのカ ットオフ波長λcが1.4μm<λc<1.55μmになるようにaとΔnが定 められ、rが0から1の間で任意に選択され、x,yおよびhが の関係式が成立するように選択されることを特徴とする光ファイバ。 (2)aが2μmから9μmの間に含まれ、Δnが8×10-3から 20×1 0-3の間に含まれることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光ファイバ。 3.発明の詳細な説明 〔産業上の利用分野〕 本発明は、分散シフト単一モード光ファイバに関する。 〔従来の技術〕 いわゆる分散シフト単一モード光ファイバは、通常1.3μm(シリカの分散 がほぼ0である波長)以外の波長が使用され、その伝送波長において伝送波の色 分散がほぼ0である、すなわち、特にコアとクラッドとの間の屈折率の差を大き くすることにより、0ではないシリカの色分散が相殺される(そのため「シフト 」という用語を使用する)ようなファイバである。現在、伝送線用光ファイバ、 すなわち例えば大西洋横断接続など長距離伝送を行うための光ファイバとして選 択される伝送波長は、ほぼ1.55μmである。実際、光の伝送の減衰量が最小 となるのがこの波長であり、その値は0.2dB/kmである。 従って本発明においては、想定するファイバは、伝送効率が最も高い1.55 μmの波長において使用するものとする。 また、単一モード光ファイバの方が多重モード光ファイバよりもはるかに広い 帯域を有することがわかっており、そのため、遠距離伝送線の現在および将来の 開発は単一モードファイバを中心にして行われている。 従って本発明は特に、ほぼ1.55μmの波長で使用される分散シフト単一モ ード光ファイバに関する。 より詳細には,本発明は、曲率半径が30mmの時、曲げによる損失が0.0 05dB/mを超えない光ファイバに関する。実際、光ファイバにとって正しい 伝送条件下で動作を実現するには、このように、曲げによる損失を制限すること が必要である。 現在、分散シフト単一モード光ファイバの様々なプロファイルが研究され、論 文に広く記載されている。 「ステップ形」、「台形」、「三角形」などと呼ばれる最も簡単なプロファイ ルは、光ファイバの中心からの距離に応じてコア内屈折率が変化するものであり 、この距離に応じて、屈折率は各々、長方形、台形、あるいは三角形をなす曲線 を形成するが、コアを取り囲むクラッドにおける屈折率は一定であり、コアの屈 折率よりも低い。 また、光ファイバの「内側」コアを形成する中心部分を、内側コアの屈折率よ りも低い屈折率を有する「外側」コアと、外側コアの屈折率よりも低い屈折率を 有するクラッドとが取り囲む、「ペデスタル」プロファイルも知られている。 さらに、ファイバの中心からの距離dに応じてファイバ内の屈折率nが図1の 概略図に示す曲線のように変化する「中心リング付き台形」型のプロファイルも 知られている。このプロファイルにおいてコアCは、 台形の、極端な場合には三角形または四角形の曲線が形成されるように屈折率 が変化する最大屈折率ns+Δnの中央部分と、 中央部分10を囲み、屈折率nsが例えば一定でns+Δnよりも低い層11と 層11を囲み、屈折率ns+hΔn(0<h<1)が例えば一定でnsよりも高 くns+Δnよりも低い層12と を含む。 層12は、屈折率がnsであるクラッド層Gに囲まれる。 実際には、コアCの中央部分10に関して用いる「台形」という用語は、三角 形および四角形という極端な形状をも含む。 なお、当然のことながら、前記のプロファイルは全て、光ファイバの中心に対 し回転対称性を有する。 これらプロファイルにより、1.55μmにおいて色分散をほぼ0にし、減衰 および 曲げによる損失を少なくすることが可能となる。とはいえ、光ファイバを使用す る長距離リンクの開発における不断の願望は、伝送品質を更に向上しそのコスト を下げることである。 ところで、伝送品質はリンク全体のSN比と密着な関係があり、ノイズは伝送 線内で使用される中継器に属する増幅器が発する増幅自然放射によって生じ、こ のSN比自体は、増幅器間の距離Z、使用光ファイバの有効モード表面積Seff 、母集団反転係数(factor of inversion of population)nsp、単位長減衰αお よび、増幅器の入力側と出力側の結合係数C1およびC2に依存する、光ファイバ のペナルティ関数Fに反比例することがわかっている。ペナルティ関数Fは下記 の式で与えられる。 この式から、伝送品質を向上させるため以下の試みを追求できることがわかる 。 他のことはそのままにして母集団反転係数nspを小さくする。ただしこの場合 、ポンピング波長において複雑な調整が必要となり、したがって光ファイバ以外 の部品にも複雑な調整が必要となる。 減衰αを小さくする。しかし1.55μmにおける減衰はすでに極めて小さく (実際には0.2dB/km程度)、ペナルティ関数Fに対しては大きく低減を 期待することはできない。結合係数C1およびC2を変更する。これは光ファイバ 以外の部品をも介入させることになり、複雑な調整が必要となる。有効モード表 面積Seffを大きくする。これによってリンクの品質を向上させることが可能で ある。 図2に、有効モード表面積が50μm2の既知の光ファイバ(曲線30)およ び有効モード表面積が70μm2の理論的光ファイバ(曲線31)について増幅 器間の距離Z(単位はkm)を関数とした時の、ソリトン型伝送を使用する光フ ァイバのペナルティ関数F(単位はdB)を示す。なお、Fは依存する他のパラ メータは全てそのままとする。ある決まったペナルティ関数、すなわちある決ま ったSN比においては、有効モード表面積が大きくなればなるほど増幅器間の距 離が大きくなり、それにより、使用する中継器の数を減らすことができ、従って システムのコストを低減することが可能となる。 また、ある決まった増幅器間の距離においては、有効モード表面積が大きくな ればなるほどペナルティ関数が低くなる、すなわち伝送品質が向上する。 このように、伝送品質を向上させるには、あるいは同じことであるが、ある決 まったリンク品質の使用される中継器の数を減らし、それによって同時にリンク のコストの低減をもはかるには、有効モード表面積を大きくすることが有利であ る。 1.55μmにおいて色分散がほぼ0になるようにするため、すなわち1.5 5μmにおいてシリカの色分散を相殺するために、ステップ形、台形、三角形プ ロファイルなど単純な屈折率プロファイルを使用する場合、コアとクラッドの間 の屈折率の差を大きくする必要があり、その結果、必然的に有効モード表面積が 少なくなってしまう。 このように、1.55μmにおいて色分散をほぼ0にしつつ大きな有効モード 表面積を得るには、図1に例示するような、より複雑な屈折率プロファイルを選 択することが必要である。 現在までのところ、中心リング付き台形型のプロファイルについて実施された 研究では、有効モード表面積は50から60μm2止まりである。 〔発明が解決しようとする課題〕 従って本発明の目的は、曲げによる減衰および損失を、既知の光ファイバを使 用して得られる減衰および損失と同等に維持しつつ、1.55μm近辺で色分散 が0であって有効モード表面積が65μm2を上回る単一モード光ファイバを作 成するため、既知のプロファイルの幾何パラメータを最適化して、中心リング付 き台形のプロファイルで得られる有効モード表面積よりも大きな有効モード表面 積が得られるようにすることである。 〔課題を解決するための手段〕 この目的のため、本発明は、 Δnを必ず正の値とし、屈折率がほぼ台形の形状を有する曲線で表され、光フ ァイバの中心からの距離に応じて屈折率が最小屈折率nsと最大屈折率ns+Δn との間で変化する中心部分と、 前記中心部分を取り囲み屈折率がほぼnsに等しい第一層と、前記第一層を取 り囲み、0<h<1とする時、屈折率がnsとns+hΔnの間で変化する第二層 と、 前記第二層を取り囲み、ほぼnsに等しい屈折率を有する光クラッドと、 を有する光コアを含む、1.55μm近辺で色分散がほぼ0の単一モード光ファ イバであって、 前記屈折率プロファイルが 前記第二層において測定されるコアの全半径a、 前記中心部分の半径とaとの比率x(0<x<1)、 前記第一層の半径とaとの比率y(x<y<1)、および 台形の上底と下底との比率r(0≦r≦1) という幾何パラメータで定義され、 1.55μmにおいて前記ファイバの色分散がほぼ0になり、前記ファイバのカ ットオフ波長λcが1.4μm<λc<1.55μmになるようにaとΔnが定 められ、rは0から1の間で任意に選択され、x、yおよびhは の関係式が成立するように選択されることを特徴とする光ファイバを提供する。 実際には、3)に示す関係式で、プロファイルの中央リングについてdの関数 としてnを与える曲線によって画定される表面積と、台形についてdの関数とし てnを与える曲線によって画定される表面積の比率の限界値が決定される。 本発明による台形および中央リング型プロファイルの光ファイバを使用すると 、65 μm2を上回り85μm2に達する有効モード表面積が得られる。リンク品質が一 定であるとした場合、これにより増幅器間の距離を10から30%大きくするこ とが可能である。 〔実施例〕 本発明の他の特徴および長所は、例示的であって限定的ではない、本発明の実 施態様についての以下の説明において明らかになろう。 前述のように、既知の中心リング付き台形型プロファイルを使用し、本発明の 基準に従って幾何パラメータを選択することにより、ステップ形、台形、あるい は三角形型の従来のプロファイル、ならびに先行技術において使用されている中 心リング付き台形型プロファイルを使用して得られる有効モード表面積よりもは るかに大きい有効モード表面積が得られる。このように、本発明により、有効モ ード表面積、色分散、減衰量、曲げによる損失に関して必要な要件を満たすよう にこれらプロファイルの幾何パラメータの選択を最適化することが可能である。 以下に、本発明の関係式が成立する前記に定義したパラメータの値、ならびに 有効モード表面積、1.55μmにおける色分散、カットオフ波長、およびこれ らの特徴を有するプロファイルを使用して得られる曲げによる減衰および損失を 与える、本発明の可能な実施例を説明する。 まず第一に、本発明によるプロファイルの幾何特性は全て、二つの基本パラメ ータ、すなわちファイバのコアの全半径a、およびコアの最大屈折率と光クラツ ドの屈折率の差Δnによって決まることを想起されたい。 これらの基本パラメータは、本発明による光ファイバについて必須要件を満た すために、従来の方法で決定することができる。必須要件とは以下の通りである 。 色分散がほぼ0であること、すなわち実際には1.55μm近辺において1p s/(nm.km)未満であること。 所望波長において伝送が単一モードであり曲げによる損失を低減するため、カ ットオフ波長λcが1.4μm<λc<1.55μmであること。 減衰が0.2dB/km程度であること。 中心リング付き台形型プロファイルについて、前記の基準を満たすためにパラ メータaおよびΔnをどのように選択するかについて簡潔に説明する。 周知のように、色分散Cは下記のような波長λの関数で表すことができる。 ここで、M(λ)は、波長λにおける純シリカの色分散を特徴付ける既知の項で ある。(M(λ)は1.55μmで約22ps/(nm.km)) は、導波管の分散を特徴付ける項であり、Vは正規化周波数であり、BはVに応 じて決まる正規化有効屈折率である(有効屈折率は、実際にコア内を伝播する光 波に「見える」屈折率である。) Cは真空内の光の速度である。 ε(λ)は無視してよい項である。 1.4μmから1.55μmの間で導波が単一モードとなるようなカットオフ 波長λcを得ようとしているので、そこから、正規化周波数Vの変化の範囲を限 定する間隔、すなわちBについて対応する間隔を求めることが可能である。従っ て方程式(1)からΔnを求め、次いで、正規化周波数をもたらす方程式(2) からaを求めることができる。 ここで、nsは光クラッドの屈折率であり、λは動作波長である。 一般的に、中心リング付き台形型プロファイルを有する光ファイバについては 、前記の条件が成立するようにコアの半径を2μmから9μmの間で選択するこ とができ、屈折率の差Δnは8×10-3から20×10-3の間で選択することが できる。 また、リング付き台形型プロファイルについては、rの値の選択は0から1の 範囲で任意である。本発明においては、「台形」という用語は、rが0である( 従って台形が三角形となる)、あるいはrが1である(従って台形が長方形とな る)ような極端な例を含む広い意味で解釈すべきである。 以下、実施例を説明する。 この例では、光ファイバは中心リング付き台形型である。ファイバの特徴とな るパラメータの値は以下の通りである。 a=6.97μm Δn=10×10-3 r=0.6 x=0.35 y=0.69 h=0.325 このようなファイバを使用した場合、色分散は1558nmにおいて0.68 5ps/(nm.km)であり、カットオフ波長は1.48μmであり、減衰は 0.20dB/kmである。曲げによる損失は、曲率半径が30mmの場合、0 .005dB/m未満である。 有効モード表面積は71μm2である。 もちろん本発明は、前記に説明した特定の実施態様に限定されるものではない 。 特に、台形、三角形、長方形など明確な幾何形状を想起する時、実際には、得 られたプロファイルは理論的プロファイルとは多少なりとも異なることがあるこ とは明らかであり、このような差異が制御できる状態にある場合には、その差異 によって当該光ファイバについて期待される特性が変化することはないことが文 献で証明されている。一例として、図3に、光ファイバ上で測定された中心リン グ付き台形型の実プロファイル40を示す。この実プロファイルは、同じく図3 に示す理論的プロファイル41と等価である。この等価性の詳細については、日 立の米国特許第4406518 号を参照されたい。 また、リング付き台形型プロファイルの中央リングは必ずしも長方形の理論的 形状を有さず、台形または三角形の理論的形状をとることも可能であること、よ り一般的に言えば、実際には、これらの形状と等価なあらゆる形状をとることが 可能であることは明らかである。 このように、本発明によるファイバについては、幾何パラメータ(ファイバの 中心からの距離、屈折率の違い)によって本発明の関係式が成立することが重要 であるが、曲線の実際の形状が、想定するプロファイルについての理論的幾何形 状と完全に一致する 必要はない。 最後に、本発明の範囲を逸脱せずに、あらゆる手段を同等の手段で置き換える ことが可能である。 4.図面の簡単な説明 図1は、中心リング付き台形型プロファイル単一モードファイバについて、光 ファイバ中心からの距離dに応じた、異なる層の屈折率nの変化を示す図である 。 図2は、増幅器間の距離Zに応じた、波長1.55μmにおいて色分散がほぼ 0のソリトン型伝送を使用する単一モード光ファイバのペナルティ関数Fを示す 図である。 図3は、中心リング付き台形型プロファイル単一モード光ファイバについて、 光ファイバの中心からの距離dに応じた、異なる層の理論的屈折率および実屈折 率nの変化を示す図である。 10、中央部分 11、中央部分を取り囲み、屈折率がnsの層 12、層11を取り囲み、屈折率がns+hΔnの層 30、有効モード表面積が50μm2の既知の光ファイバ 31、有効モード表面積が70μm2の理論的光ファイバ 40、実屈折率 41、理論的屈折率 【図1】 【図2】 【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 オドウアン,オリビエ フランス国、91600・サビイニー・スユー ル・オルジユ、リユ・アンリ・デユナン、 15 (72)発明者 アメドウ,ジヤン−ピエール フランス国、91180・サン・ジエルマン・ レ・アルパジヨン、リユ・ドユ・ドクトウ ール・ババン、46・ビス

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.−1<h<0とし、Δnを必ず正の値とするとき、光ファイバーの中心から の距離に応じて屈折率が最小屈折率ns+hΔnと最大屈折率nsとの間で変化す る中心部分と、 前記中心部分を取り囲み、前記光ファイバの中心からの距離に応じて屈折率がns とns+Δnの間で変化する層と、 前記層を取り囲み、ほぼnsに等しい屈折率を有する光クラッドと を有する光コアを含む、1.55μm近辺で色分散がほぼ0の単一モード光ファ イバであって、 前記屈折率プロファイルが 前記層において測定されるコアの全半径a、 前記中心部分の半径とaの比率y(0<y<1) という幾何パラメータで定義され、 1.55μmにおいて前記ファイバの色分散がほぼ0になり、前記ファイバのカ ットオフ波長λcが1.4μm<λc<1.55μmになるようにaとΔnが定め られ、yが0から1の間で任意に選択され、hが の関係式が成立するように選択されることを特徴とする光ファイバ。 2.aが2.5μmから4μmの間に含まれ、Δnが12×10-3から20×1 0-3の間に含まれることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光ファイバ。 3.Δnを必ず正の値とし、屈折率がほぼ台形の形状を有する曲線で表され、光 ファイバの中心からの距離に応じて屈折率が最小屈折率nsと最大屈折率ns+Δ nとの間で変化する中心部分と、 前記中心部分を取り囲み、屈折率がほぼnsに等しい第一層と、 前記第一層を取り囲み、0<h<1とする時、屈折率がnsとns+hΔnとの間 で変化する第二層と、 前記第二層を取り囲み、ほぼnsに等しい屈折率を有する光クラッドと、 を有する光コアを含む、1.55μm近辺で色分散がほぼ0の 単一モード光ファイバであって、 前記屈折率プロファイルが 前記第二層において測定されるコアの全半径a、 前記中心部分の半径とaの比率x(0<x<1) 前記第一層の半径とaの比率y(x<y<1) という幾何パラメータで定義され、 1.55μmにおいて前記ファイバの色分散がほぼ0になり、前記ファイバのカ ットオフ波長λcが1.4μm<λc<1.55μmになるようにaとΔnが定め られ、rが0から1の間で任意に選択され、x、yおよびhが の関係式が成立するように選択されることを特徴とする光ファイバ。 4.aが2μmから9μmの間に含まれ、Δnが8×10-3から20×10-3の 間に含まれることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の光ファイバ。
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