JPH09505852A - 改善された弾性率を有する溶融紡糸可能なコポリアミド、これから製造されたフィラメント、およびこのフィラメントの用途 - Google Patents

改善された弾性率を有する溶融紡糸可能なコポリアミド、これから製造されたフィラメント、およびこのフィラメントの用途

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Abstract

(57)【要約】 フィラメントの溶融紡糸に用いられる改善された弾性率を有するコポリアミドが提案されている。このコポリアミドは融点150〜320℃の線状ポリアミドベース重合体75重量%以上と、該ベース重合体中に混入されているガラス転移点(Tg)130〜330℃、重合度(DP)<100のブロックコモノマー0.5重量%以上とからなる。初期モジュラス500〜1500cN/texのこの変性共重合体から製造されたフィラメントは工業用布帛の製造に極めて適している。

Description

【発明の詳細な説明】 改善された弾性率を有する溶融紡糸可能なコポリアミド、これ から製造されたフィラメント、およびこのフィラメントの用途 本発明は、融点150〜320℃の線状ポリアミドベース重合体75重量%以 上と、ブロックコモノマー0.5重量%以上とからなり、フィラメントの溶融紡 糸に用いられる改善された弾性率を有するコポリアミド、このコポリアミドから 製造されたフィラメントおよびその用途に関するものである。 工業分野に用いるためにポリアミド布帛(fabrics)が必要とされており、こ のポリアミド布帛は一般的に高モジュラスフィラメントから構成する必要がある 。多量生産される生成物として入手できるポリアミド6.6またはポリアミド6 のような線状ポリアミドの溶融紡糸可能なフィラメントからなる布帛は、工業分 野における多くの用途にとって余りにも低い初期モジュラスを示す。従って、こ のような布帛は、芳香族ポリアミド、いわゆるアラミドから製造するのが好まし い。アラミド糸は溶融紡糸することができず、費用のかかる方法で溶液から紡糸 する必要がある。その製造は費用がかかるので、経済的考慮から多量生産に限定 されている。ポリアミドの標準製品は、その良好な可撓性、耐摩耗性および接着 性のために使用可能であったが、弾性率が低いという欠点がある。 従来、ポリアミドの弾性率を増大させようという試みは行われていなかった。 しかし、ランダム変性方法の系統的な研究において、(硬質)コモノマーを統計 的に分布させて混入した場合には、最良の場合でも、弾性率(E-modulus)を僅 か増大させるにすぎなかった。アジピン酸と同形であるヘキサヒドロテレフタル 酸(HHT)でPA6.6を変性しても、標準重合体と比較して、僅かに約5% 改善されるにすぎなかった。硬質分子は10%以上含有させると延伸性を著しく 損なうことが既に知られているから、この方法でもすべての場合に明らかに低い 強度が得られる。 欧州特許(EP)−A−0 041 371 号から、高剛性繊維を生成する溶融紡糸可 能なポリアミドの製造方法が知られている。しかし、適当なポリ−p−フェニレ ンアジパミド共重合体は大きな困難を伴なって合成できるにすぎない。この場合 における弾性率の増大は、純芳香族コモノマーの反応が遅いため、このコモノマ ーを大過剰添加することによってのみ達成される。さらに、芳香族ジアミンコモ ノマーを重合させるには、ポリアミド合成中に反応器を真空下に維持する必要が ある。従って、酸素を排除するために、強力なかきまぜ機を装着した真空密反応 器が必要である。 他のよく知られている半(semi)芳香族ポリアミドは、ポリ−m−キシレンア ジパミドホモポリマー(PMMXD.6)である。しかし、このホモポリマーは、意図 する使用分野において剛性が欠けているために、実用に不適当である。 本発明の目的は、ポリアミド66,ポリアミド6,ポリアミド6.10,ポリ アミド6.12,ポリアミド6T,ポリアミド6I,ポリアミドMXD.6また はポリアミド4.6のようなポリアミドからなる重合体をベース重合体とし、改 善された機械的特性、特に、例えば、スクリーン印刷用布帛のモノフィラメント またはタイヤコード用織物のマルチフィラメントの製造に適した高い初期モジュ ラス(AE)(弾性率)を有するコポリアミドを提供するにある。 この問題は、前記ベース重合体中に、ガラス転移点(Tg)130〜330℃ 、重合度(DP)<100、好ましくは重合度(DP)<35のブロックコモノ マーを混入することにより、解決される。 本発明においては、驚くべきことには、前記ブロックコモノマーによって変性 された本発明のコモノマーが、工業用または産業用布帛に用いられる溶融紡糸可 能な高モジュラスフィラメントの製造に特に好適であることを見い出した。さら に、高い初期モジュラスを達成するには、ランダム変性法と比較して、有意に少 ない量のブロックコモノマーを必要とするにすぎない。 約0.5%の含有量は、未変性PA標準物質と比較すると、重合体の諸性質に 僅かな影響を及ぼすにすぎない。他方、このような硬質ブロックコモノマーと可 撓性PAマトリックスとの相溶限界は約25%である。 次の一般式: で表わされるブロックコモノマーが特に適当であることが分った。 置換基R3およびR4の少くとも一方が次式: (上式において、R5,R6,R7,R8,R9,R10およびR11はH原子、アルキ ル基、アリール基、−O−アルキル基または−O−アリール基を示し、n=2〜 8であり、Xは−C(CH32基,O原子,SO2またはS原子を示す) で表わされる構造のいずれかを示す場合が好ましい。 また、前記コポリアミドから製造されたフィラメントは同時に次の性質: −強度(Et)55〜120cN/tex −伸度(Dt)10〜30% −初期モジュラス(AE)500〜1500cN/tex を有しているのが好ましい。 本発明のフィラメントは工業用布帛、例えば、スクリーン印刷用布帛およびタ イヤ用織物の製造に用いられる。 次に、本発明を実施例について説明する。 1.ブロックコモノマーの製造:方法I この方法によって合成されるすべてのブロックコモノマーは、N−メチル−2 −ピロリドン(NMP)中で対応する酸塩化物およびジアミンを使用することに より、溶液として製造される。この合成法は使用する反応体とは無関係に同一で ある。下記のMXD・BIA(m−キシリレンジアミン・t−ブチル−イソフタ ル酸)製造方法は合成方法の一例である。 1個の反応器内で、6リットルのN−メチル−2−ピロリドン(NMP),1 150mlのトリメチルアミンおよび546gのm−キシリレンジアミン(MX D)を約0℃(氷浴)に冷却した。強くかきまぜながら、温度が100℃を越え ないようにして、10%過剰である1135gの5−t−ブチル−イソフタル酸 −ジクロリドを導入した。普通これには10〜15分を要する。一夜静置した後 に、この半透明溶液を激しくかきまぜながら15リットルの熱水(約90℃)中 に細い流れとして注入した。これを一夜静置した。ほぼ粒状物が懸濁されている このクリーム状懸濁液を2個の濾過装置(Filterstrumpf)に配分し、濾過し、 回転遠心分離器で約5〜10分間遠心分離した。熱水に懸濁させ、遠心分離する 操作を、さらに3回行った。 遠心分離によって得た沈殿(Ansatz)をアジピン酸−1,6−ヘキサンジアミ ン(AH)塩溶液中に懸濁させて、ポリアミド6.6を製造するためにオートク レーブ内で直接重合させることができた。しかし、遠心分離によって得た沈殿は 、また、熱水に懸濁させた後に乾燥するために、濾過し、遠心分離し、90℃の 真 空乾燥器中で作業真空度下に乾燥させることができた。収率は理論値の93%で あった。 2.ブロックコモノマーの合成、方法II また、本発明に係るブロックコモノマーは直接、すなわち酸塩化物経由という 回り道をせずに、溶媒であるジメチルエチル尿素(DMEU)中で製造すること ができる。下記の方法は、この方法IIによって実現されるすべてのコモノマーブ ロックの代表的な例として、MXD・BIAの合成を例示するものである。 秤量した量: MXD(m−キシリレンジアミン) : 754.7g(5.55モル) BIA(t−ブチル−イソフタル酸):1232g (5.55モル) DMEU(ジメチルエチル尿素) : 2.7 l H3PO2(50%) : 1.8 g 秤量した量(H3PO2を除く)を10リットルガラス反応器に導入し、N2で おおいながらかきまぜた(60rpm)。この反応容器には電気ヒータおよびア ンカー型かきまぜ羽根(イノックス(Inox)社製)を装着した。反応混合物を連続 して加熱し、これによりかきまぜ効果を改善した。100℃に達した際に(約3 0分後)、上述の量のH3PO2を混入した。さらに約40分間加熱した後に、1 93℃以上で水の留出が始まった。理論的予想量に相当する200mlの留出液 が、232℃の反応混合物温度において約1時間後に得られた。233℃でさら に1時間蒸留し、その間にさらに207mlの留分が捕集された。全蒸留時間は 3時間であった。反応混合物を210℃に冷却した後に、この温度の高い反応混 合物を、激しくかきまぜながら(ポリトロン(POLYTRON)かきまぜ機)、蠕動ポン プによって30リットルの水のなかに導入した。この際、生成した重合体は沈殿 として沈降した。次いで、このブロックコモノマーの合成を次の操作によって完 結させた: 遠心分離し、濾過(ガラスフィルター(ソビレル(SOVIREL,No.4))する。 洗浄:激しくかきまぜながら20リットルの水中に懸濁させ;濾過し;洗浄し ;20リットルの水中に1時間懸濁させ、濾過し、60リットルの水で洗浄する 。 乾燥:40時間/120℃/40mmHg 15時間/120℃/0.5mmHg。 収量:1787g(理論値の98%) ブロックコモノマーの特性: IV(固有粘度)=30ml/g(m−クレゾール中において25℃で測 定;秤量した量=0.5%) Tg(ガラス転移点)=201℃(示差走査熱量計(DSC), 10°K/分,N2;4回目の通過後の値=安定) Mn(数平均分子量)=7628g/モル 次の値から計算した: CEG(末端カルボキシル基)= 138.3〜140.6モル/トン AEG(末端アミノ基)=121.5〜 124モル/トン 3.方法IIによって合成を行った他の例 4.ブロックコポリアミドの製造 すべてのブロックコポリアミドを同じ方法によって合成した。すなわち、かき まぜながら(ツラックス(Turax)),1200gのブロックコモノマーを9kg のAH塩溶液中に懸濁させた。このブロックコモノマーの等しくないことのある AEG/CEG比を、ヘキサメチレンジアミン(HMD)またはアジビン酸によ って、それぞれ補正した。これに次いで、AH塩溶液に懸濁しているブロックコ モノマーを、オートクレーブ内で、内容物温度170℃において3時間予備処理 した。ある場合には、消泡剤を添加するのが有利であった。全導入量の容積がオ ートクレーブ容積の2/3を越えて初期に生じた泡が導管を閉塞することがない ようにする必要があった。内容物を170℃において3時間維持した後に、全装 入量に対して不足している8kgのAH塩溶液をオートクレーブ(AK)に添加 し、このオートクレーブをさらに加熱した。濃縮段階を115〜125℃、1バ ール(絶対圧)で行った。排出前の最終温度は278〜280℃であった。 この重縮合の結果を表2に示す。 表2には本発明のブロックコポリアミドの例が示されている。 MXD=メタキシレンジアミン BIA=t−ブチルイソフタル酸 IPD=イソホロンジアミン HHT=ヘキサヒドロテレフタル酸 5.後縮合 タンブラー内で高真空下に後縮合(NK)を行った。0.8ミリバールの高真 空(HV)下に4時間後縮合を行った後に、約75の相対粘度(RV)を達成す るために、温度を190〜250℃にする必要があった。 表3は小型タンブラーにおける後縮合の例を示す。 6.紡糸延伸 すべてのブロックコポリアミドを同じ方法により紡糸した。例:ブロックコポ リアミド66/MXD・BIAの両成分の含有量を変えて該ブロックコポリアミ ドを既知方法によって溶融し、押出機における押出量を13kg/時間として2 00デニール/30フィラメントのモデルタイターまで紡糸した。紡糸パラメー タは次の通りであった。紡糸パラメータ 溶融温度: 285〜287℃(600m/分において) (押出機後) 289〜291℃(1000m/分において) ブロック温度: 295℃ 紡糸口金温度: 320℃ ホットカラー(6cm) 温度:340℃ これらの結果を表4に示す。 表4は、ブロックコポリアミド66/MXD.BIAの例について、両成分含 有量の増加が糸の特性に及ぼす影響を示す。 次の表5には、PA6.6が本発明の種々のブロックコポリアミド10重量% によって変性されているコポリアミド延伸糸の特性をまとめて示す。 表5から、すべての実験例の初期モジュラスが対照(V5)の値より約50% 大きいことが分かる。本発明に係るモノフィラメントを使用して製造した布帛は 、工業用布帛に使用するのに極めて好適であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジャン コカール フランス国 エフ エル 69290 グレジ ュ ラ ヴァレン ルト デュ クレスト “ラ モルリエール”(番地なし)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.融点150〜320℃の線状ポリアミドベース重合体75重量%以上と、ブ ロックコモノマー0.5重量%以上とからなり、フィラメントの溶融紡糸に用い られる改善された弾性率を有するコポリアミドにおいて、 前記線状ポリアミドベース重合体中に混入される前記ブロックコモノマーが 、ガラス転移点(Tg)130〜330℃、重合度(DP)<100であること を特徴とするコポリアミド。 2.前記線状ポリアミドベース重合体が次の一般式: (式中のR1およびR2は直鎖アルキル基、枝分れアルキル基またはアリール基 を示す)で表わされることを特徴とする請求の範囲第1項記載のコポリアミド。 3.前記ブロックコモノマーが次の一般式: 〔式中の置換基R3およびR4の少くとも一方が次式: (式中のR5,R6,R7,R8,R9,R10およびR11はH原子、アルキル基、 アリール基、−O−アルキル基または−O−アリール基を示し、n=2〜8であ り、Xは−C(CH32基,O原子,SO2またはS原子を示す)で表わされる 構造を有する〕ことを特徴とする請求の範囲第1項記載のコポリアミド。 4.次の特性: 強度(Ft)55〜120cN/tex 伸度(Dt)10〜30% 初期モジュラス(AE)500〜1500cN/tex を同時に有することを特徴とする請求の範囲第1〜3項のいずれか一つの項に 記載のコポリアミドから製造されたフィラメント。 5.工業用布帛の製造に請求の範囲第4項記載のフィラメントを使用する方法。
JP8511234A 1994-09-30 1995-09-19 改善された弾性率を有する溶融紡糸可能なコポリアミド、これから製造されたフィラメント、およびこのフィラメントの用途 Pending JPH09505852A (ja)

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