【発明の詳細な説明】
ドクムギ花粉アレルゲンのT細胞エピトープ
[発明の背景]
アレルゲンは、草本花粉の最も豊富な蛋白質を構成し、温和な気候でのアレル
ギー疾患の主因である[Marsh(1975年)「アレルゲン、およびアレルギーの遺
伝学(Allergens and the genetics of allergy)」:M.Sela編、The Antigens
第3巻271〜359ページ、Academic Press Inc.英国ロンドン、米国ニューヨーク
より;Hillら(1979年):Med.J.Australia第1巻426〜429ページ]。ドクム
ギのアレルゲン性蛋白質の最初の記載は、それらが免疫化学的に明確であり、第
1、第2、第3および第4群として公知であることを示した[Johnson およびMa
rsh(1965年):Nature第206 巻935〜942ページ;Johnson およびMarsh(1966年
):Immunochemistry 第3巻91〜100ページ]。国際免疫学会連合(IUIS)の命
名法を用いて、これらのアレルゲンはLolpI、 LolpII、LolpIIIおよびLolp
IVと名付けられている。加えて、文献中で特定されているもう一つの重要なLoli um
perenne L.のアレルゲンは、LolpIXであって、LolpVまたはLolpIbとし
ても公知である[Singhら(1991年):Proc.Natl.Acad.Sci.USA第88巻1,384
〜1,388ページ]。
これら5種類の蛋白質は、花粉ドクムギであるLolium perenne L.で特定され
ており、感受性のあるヒトに即時型(1型)過敏症を誘発する際の抗原として作
用する。
LolpVはアレルゲンとして定義されるが、それは、それがドクムギ感受性患
者の血清中の特異的IgEに結合し、IgG の応答の際に抗原として作用し、そして
T細胞の応答を誘発できるからである。アレルゲンとしての特性は、ドクムギ花
粉感受性患者の80%が、LolpVイソ型蛋白質に結合する特異的IgE 抗体を有す
ることを示す免疫ブロットの研究によって立証されている[PCT出願公報第WO
93/04174号65ページ]。これらの結果は、LolpVが主要なドクムギアレルゲン
であることを示す。
草本花粉間の実質的なアレルゲン性交叉反応性は、例えば、Marshら(1970年
)[J.Allergy第46巻107〜121ページ]、およびLowenstein(1978年)[Prog.
Allergy 第25巻1〜62ページ(スイス国バーゼル)]が記載したとおり、一種のI
gE 結合検定法である放射性アレルギー吸収試験(RAST)を用いて立証されてい
る。
LolpVと他の草本花粉抗原との免疫化学的関係は、ポリクローナル抗体とモ
ノクローナル抗体との双方を用いて立証されている[Zhang ら:Int.Arch.All
ergy Appl.Immunol.第96巻28〜34ページ(1991年);Roberts ら:Int.Arch.
Allergy Appl.Immunol.第98巻178〜180ページ(1992年);Mattheisenおよび
Lowenstein:Clinical and Experimental Allergy 第21巻309〜320ページ(1991
年);van Reeら:J.Allergy Clin.Immunol.第83巻144〜151ページ(1989年
)]。抗体は、IgE の成分を結合させる精製蛋白質に対して調製された。これら
のデータは、非常に近縁の草本の花粉中に存在する主要アレルゲンは、免疫化学
的にLolpVに類似し、一般に、第5群アレルゲンとして特徴付けられることを
証明する。
ドクムギ花粉アレルゲンおよび近縁草本のアレルゲンの全世界的な普及を考慮
すると、LolpV、または他の免疫学的に近縁の草本アレルゲンに対する感受性
を検出し、あるいはそのようなアレルゲンに対する感受性を治療し、あるいはそ
のような感受性を治療する医薬の製造を助けるのに用い得るような組成物もしく
は方法の開発に対する差し迫った必要性が存在する。本発明は、これらの効用の
うち一つまたはそれ以上を有する材料および方法を提供する。
[発明の要約]
本発明は、LolpVの単離ペプチドを提供する。本発明の範囲内のペプチドは
、LolpVの少なくとも1T細胞エピトープ、好ましくは少なくとも2T細胞エ
ピトープを含む。更に、本発明は、LolpVの少なくとも1T細胞エピトープを
それぞれ含む少なくとも2領域を含むペプチドを提供する。
本発明は、対応する天然に産するアレルゲンまたはその部分として、類似の、
または強化された治療特性を有するが、減殺された副作用を有する修飾されたペ
プチドはもとより、増大させた溶解度および安定性のような改良された特性を有
する修飾されたペプチドも提供する。本発明の治療用ペプチドは、投与されるLo
lpV感受性の個人での、LolpV、またはLolpVに免疫学的に交叉反応性であ
るアレルゲン、例えば、Dactylis glomerataのようなイネ科に属する花粉に由来
するアレルゲンのDacgVに対する該個人のアレルギー性応答を変化させること
ができる。
ドクムギ花粉蛋白質のLolpV、またはDacgVのようなLolpVに免疫学的に
近縁である花粉蛋白質に対する個人の感受性を治療もしくは診断する方法、なら
びに本発明の1種類またはそれ以上のペプチドを含む治療用組成物も提供される
。
本発明は、LolpVに対して免疫学的に交叉反応性であるDacgV蛋白質の核酸
およびアミノ酸配列も提供する。
本発明のその他の特徴は、本発明の好適実施態様の、添付の図面と結び付けて
の下記の詳細な説明から、より良く理解されるものと思われる。
[図面の簡単な説明]
図1は、cDNAクローンである12R(配列番号1)のヌクレオチド配列、
および予測されるそのアミノ酸配列(配列番号2)を示す。クローン12Rは、
λgtIIのライブラリーに由来するLolpVの完全な長さのクローンである(PC
T出願公報第WO93/04174号を参照のこと)。
図2は、LolpVに由来する様々な長さの本発明のペプチド(配列番号3〜29
)を示す。
図3は、LolpIに由来する様々な長さのペプチド(配列番号30〜53)を示す
。
図4は、親和性で精製したLolpVで生体外で初回抗原刺激し、LolpVペプチ
ド(LolpV蛋白質アレルゲンに由来)に対する応答について分析した患者19名
からのT細胞系統の応答を、平均S.I.が少なくとも2である応答の百分率(
各棒の上に表示)によって示すグラフ表示であって、カッコで囲んだ数字が、個
々のペプチドに応答した患者の百分率を表し、棒は、各ペプチドについての陽性
度指数(平均S.I.を乗じた応答患者の%)を表す。
図5は、各ペプチドについての順位付け和を示す、図4に示したのと同じデー
タから導かれたグラフ表示であって、棒は、試験した19患者の群でのペプチド応
答の累積順位を表し、各棒の上には、各ペプチドに陽性に応答する患者の百分率
をカッコ内に示し、S.I.も各棒の上に示す。
図6は、直接ELISAの結果のグラフ表示であって、IgE の採取源は、PH
P−Aと名付けた貯留ヒト血漿(PHP)の試料であり、抗原は、ドクムギ花粉
の可溶性花粉抽出物(SPE)、または細菌で発現させた組換えLolpV(rLol
pV)のいずれかである。
図7は、直接ELISAの結果のグラフ表示であって、IgE の採取源は、PH
P−Bと名付けた貯留ヒト血漿(PHP)の試料であり、抗原は、ドクムギ花粉
の可溶性花粉抽出物(SPE)またはrLolpVのいずれかである。
図8は、直接ELISAの結果のグラフ表示であって、IgE の採取源は、#11
18、#1120、#1125および#1141という個人患者4名からの血漿であり、抗原は
、ドクムギ花粉SPEである。
図9は、直接ELISAの結果のグラフ表示であって、IgE の採取源は、#11
18、#1120、#1125および#1141という個人患者4名からの血漿であり、抗原は
、rLolpVである。
図10は、競合ELISAの結果のグラフ表示であって、IgE の採取源は、PH
P−Aと名付けた貯留ヒト血漿の試料であり、IgE の結合は、ドクムギ花粉SP
E、親和性で精製した未変性LolpVまたはrLolpVの存在下で測定した。
図11は、競合ELISAの結果のグラフ表示であって、IgE の採取源は、IgE
採取源としての#706という個人患者からの血漿であり、IgE の結合は、ドクム
ギ花粉SPE、親和性で精製した未変性LolpVまたはrLolpVの存在下で測定
した。
図12は、ドクムギ花粉SPEおよびrLolpVに対するヒスタミン放出検定のグ
ラフ表示である。
図13aおよび図13bは、IgE 採取源としてPHP−Bと名付けた貯留ヒト血漿の
試料を用い、抗原が、LolpVまたはrLolpVのいずれかに由来する選ばれたペ
プチドである直接ELISAの結果のグラフ表示をそれぞれ示す。
図14は、IgE 採取源としてPHP−Bと名付けた貯留ヒト血漿の試料を用い、
抗原が、親和性で精製したLolpIとLolpVとの混合物、またはドクムギ花粉S
PEに対するIgE の結合について競合させるための組換えLolpI(rLolpI)
もしくはrLolpVの混合物である競合ELISAのグラフ表示である。
図15は、Ab1B9の親和性で精製した未変性LolpVのクーマシーブルー染色SD
S−PAGE(12.5%)分析の写真であって、試料を還元性条件下で処理し、分
子量の標準を左に示してある。
図16は、DacgVのクローン259番のヌクレオチド配列、および予測されたその
アミノ酸配列を示す。ヌクレオチド1〜699番のヌクレオチド配列は確認されて
いるが、ヌクレオチド700〜1,181番のヌクレオチド配列は確認されていない。
[発明の詳細な説明]
本発明は、LolpVに由来する単離されたペプチドを提供する。本発明は、Lol
pVと免疫学的に交叉反応性であるDacgVという蛋白質アレルゲンも提供する
。ここで用いられる限りで、「ペプチド」は、LolpVの免疫応答を誘導するい
かなる蛋白質断片をも意味する。ここで用いられる限りでの用語「断片」および
「抗原性断片」は、該断片が由来する蛋白質のアミノ酸配列全体より少数のアミ
ノ酸残基を有し、免疫応答を誘導するアミノ酸配列を指す。ここで用いられる限
りでの用語「単離(された)」および「精製(された)」は、組換えDNAの手
法を用いて生産されたときに、細胞性物質または培地を実質的に含まないか、ま
たは化学的に合成されたときに、化学的前駆体その他の化学物質を実質的に含ま
ない、本発明のペプチドを指す。ここで用いられる限りで、本発明の「ペプチド
」という用語は、LolpVに由来する、該アレルゲンの少なくとも1T細胞エピ
トープを含むペプチド、またはそのようなペプチドの少なくとも1T細胞エピト
ープを含む一部分を包含する。
それぞれLolpVの少なくとも1T細胞エピトープを含む少なくとも2領域を
含むペプチドも、本発明の範囲内にある。それぞれLolpVという蛋白質アレル
ゲンの少なくとも2T細胞エピトープを含む単離ペプチド、または単離ペプチド
の領域は、治療効果の増大のためには特に望ましい。本発明のペプチドに免疫学
的に(例えば、抗体またはT細胞の交叉反応性によって)類縁付けられるペプチ
ド、例えばDacgVからのペプチドも、本発明の範囲内にある。抗体の交叉反応
性によって免疫学的に類縁付けられるペプチドは、LolpVのペプチドに特異的
な抗体によって結合される。T細胞の交叉反応性によって類縁付けられるペプチ
ドは、本発明のペプチドと同じT細胞と反応できる。
本発明の単離ペプチドは、そのようなペプチドを暗号化している配列を有する
核酸で形質転換された宿主細胞での、組換えDNAの手法によって生産できる。
本発明の単離ペプチドは、化学的合成によっても生産できる。組換え手法によっ
てペプチドを生産するときは、本発明のペプチドを暗号化している配列を有する
核酸、または該核酸配列の機能的等価体で形質転換した宿主細胞を、該細胞に適
した培地で培養し、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィ
ー、限外瀘過、電気泳動、または該ペプチド、該ペプチドが由来する蛋白質アレ
ルゲンまたはその一部による免疫精製法を包含する、ペプチドおよび蛋白質を精
製するための当技術に公知の手法を用いて、該細胞培養の培地、該宿主細胞また
はその双方からペプチドを精製することができる。
本発明は、本発明の核酸配列を発現するよう形質転換された発現ベクターおよ
び宿主細胞を提供する。本発明のLolpVペプチドまたはその少なくとも1断片
に対する核酸の暗号は、大腸菌のような細菌細胞、昆虫細胞、酵母、またはチャ
イニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のような哺乳類の細胞で発現させ得る。
適切な発現ベクター、プロモーター、エンハンサーその他の発現制御要素は、Sa
mbrookの「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Labor
atory Manual)」第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニュー
ヨーク州Cold Spring Harbor(1989年)に見出し得る。他の適切な発現ベクター
、プロモーター、エンハンサーその他の発現要素は、当技術に公知である。酵母
での発現に適したベクターは、YepSecl[Baldariら(1987年):Embo J.第6巻
229〜234ページ]、pMFa[KurjanおよびHerskowitz(1982年):Cell第30巻933
〜943ページ]、JRY88[Schultzら(1987年):Gene第54巻113〜123ページ]お
よびpYES2(Invitrogen Corporation、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を
包含する。これらのベクターは無料で入手できる。バキュロウイルス系および哺
乳類の発現系も入手できる。例えば、昆虫細胞での発現用には、バキュロウイル
ス系が商業的に入手でき(PharMingen、米国カリフォルニア州サンディ
エゴ)、哺乳類細胞での発現用には、pMSGベクターが商業的に入手できる(Phar
macia、米国ニュージャージー州Piscataway)。
大腸菌での発現用には、適切なベクターは、とりわけ、pTRC[Amannら(1988
年):Gene第69巻301〜315ページ];pGEX(Amrad Corp.、オーストラリア国メ
ルボルン);pMAL(N.E.Biolabs、米国マサチューセッツ州Beverly);pRIT5(
Pharmacia、米国ニュージャージー州Piscataway);pET-11d(Novagen、米国ウ
ィスコンシン州Madison)[Jameelら(1990年):J.Virol.、第64巻3,963〜3,
966ページ]およびpSEM[Knappら(1990年):BioTechniques、第8巻280〜281
ページ]を包含する。例えばpTRCやpET-11dの利用は、融合していない蛋白質の
発現に導くことになる。pMAL、pRIT5、pSEMおよびpGEXの利用は、マルトースE
結合蛋白質(pMAL)、蛋白質A(pRIT5)、断端β−ガラクトシダーゼ(PSEM)
またはグルタチオンS−移転酵素(pGEX)に融合したアレルゲンの発現に導くこ
とになる。本発明のLolpVペプチドを融合蛋白質として発現させると、担体蛋
白質とLolpVペプチドとの間の融合接点で酵素の切断部位を導入するのに特に
好都合である。そうして、蛋白質やペプチドの精製のための慣用の手法を用いて
、この酵素部位での酵素的切断、および生化学的精製によって、LolpVペプチ
ドを融合蛋白質から回収し得る。適切な酵素切断部位は、血液凝固因子Xaまたは
トロンビンに対するそれらを包含し、これらに適した切断のための酵素および操
作手順が、例えば、Sigma Chemical Company(米国ミズーリ州セントルイス)お
よびN.E.Biolabs(米国マサチューセッツ州Beverly)から商業的に入手できる
。また、異なるベクターは、例えばIPTG誘導(PRTC、Amannら(1988年):
前出;pET-11d、Novagen、米国ウィスコンシン州Madison)または温度誘導(pRI
T5、Pharmacia、米国ニュージャージー州Piscataway)による構成的もしくは誘
導可能な発現を許す異なるプロモーターを有する。組換えによって発現させた蛋
白質を分解する変化した能力を有する異なる宿主の大腸菌で、組換えLolpVペ
プチドを発現させるのも(例えば米国特許第4,758,512号明細書)適切であり得
る。これに代えて、大腸菌によって優先的に利用されるコドンを用いるために核
酸配列を変化させるが、そのような核酸の変化が、発現させた蛋白質のアミノ酸
配列に影響しないようにすることも好都合であり得る。
リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムの共沈、DEAE−デキストラン媒介
トランスフェクション、または電気穿孔法のような慣用の手法を用い、宿主細胞
を形質転換して、本発明の核酸配列を発現させることができる。宿主細胞を形質
転換させるのに適した方法は、Sambrookら(前出)その他の研究室用教科書に見
出し得る。本発明の核酸配列は、標準的手法(すなわち固相合成法)を用いて、
化学的に合成してもよい。LolpV(LolpIb.1として記載されている)を暗号
化しているクローン12Rの単離およびクローニングの詳細は、引用によってそ
のままここに組み込まれるPCT出願第WO93/04174号公報に与えられている。
誘導できる非融合発現ベクターは、pTrc[Amannら(1988年):Gene第69巻30
1〜315ページ]およびpET11d[Studierら:Gene Expression Technology: Meth
ods in Enzymology、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(199
0年)、第185巻60〜89ページ]を包含する。標的遺伝子の発現は、pTrcでは雑種
trp-lac融合プロモーターからの宿主RNA重合酵素の転写に依存するのに対し
、pET11dに挿入された標的遺伝子の発現は、同時発現させたウイルスRNA重合
酵素が介在するT7 gn10-lac0融合プロモーター(T7 gnl)からの転写に依存
する。このウイルス性重合酵素は、宿主系統のBL21(DE3)またはHMS
174(DE3)によって、lac UV5というプロモーターの転写制御下で、T
7 gnlを潜在させる常在性λプロファージから供給される。
大腸菌での組換えLolpVペプチドの発現を最大化する一つの基本方針は、組
換え蛋白質を蛋白質分解によって切断する能力が損なわれた宿主細菌中で、蛋白
質を発現させることである[S.Gottesman:Gene Expression Technology: Meth
ods in Enzymology、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(199
0年)、第185巻119〜128ページ]。もう一つの基本方針は、各アミノ酸に対する
個々のコドンが、高度に発現された大腸菌蛋白質で優先的に利用されるものにな
るように、発現ベクターに挿入しようとする望みの遺伝子の核酸配列を変えるこ
とであると思われる[和田ら(1992年):Nuc.Acids Res.第20巻2,111〜2,118
ページ]。本発明の核酸配列のそのような変化は、標準的なDNA合成手法によ
って実施できると思われる。
本発明の核酸は、標準的手法を用いて、化学的にも合成できる。ペプチド合成
のように、商業的に入手できるDNA合成装置で完全に自動化されている固相合
成法をはじめ、ポリヌクレオチドを化学合成する各種の方法が公知である(例え
ば、引用によってここに組み込まれる板倉らの米国特許第4,598,049号明細書;C
arutherらの米国特許第4,458,066号明細書;および板倉の米国特許第4,401,796
号および第4,373,071号明細書を参照のこと)。
本発明は、本発明のペプチドを暗号化している核酸配列も提供する。本発明の
いかなる実施態様に用いられる核酸配列も、図2(配列番号第3〜29番)に示
したような対応するペプチドを暗号化しているcDNAであることができる。そ
のようなオリゴデオキシヌクレオチド配列は、公知の手法を用いて、化学的また
は機械的に生産できる。オリゴヌクレオチドの機能的等価体は、(1)図1に示
したようなLolpVの配列(もしくは対応する配列部分)またはその断片がそれ
とハイブリッド形成する相補的オリゴヌクレオチドとハイブリッド形成できる配
列
であるか、(2)図2に示したようなLolpVに由来するペプチド配列を暗号化
している核酸配列と相補的な対応する配列部分であるか、および/または(3)
図1に示したようなLolpVの配列(もしくは対応する配列部分)によって暗号
化される生成物の同一の機能的特徴性を有する生成物(例えばポリペプチドもし
くはペプチド)を暗号化した配列であるそれである。ある機能的等価体が一つま
たはそれ以上の基準に合致しなければならないか否かは、その用途によるものと
思われる(例えば、オリゴプローブとしてのみそれを用いようとするにすぎない
ならば、第一または第二の基準にのみ合致する必要があるにすぎず、本発明のLo
lpVペプチドを生産するのに用いようとするならば、第三の基準にのみ合致す
る必要があるにすぎない)。本発明の核酸配列は、上記のとおりに調製されたD
NAから転写され得るRNAも包含する。
好適な核酸は、本発明のLolpVペプチドに対する約50%以上の相同性、より
好ましくは約60%以上、最も好ましくは約70%以上の、本発明のLolpVペプチ
ドとの相同性を有するペプチドを暗号化している。本発明のLolpVペプチドと
の約90%以上、より好ましくは約95%以上、最も好ましくは約98〜99%以上の相
同性を有するペプチドを暗号化している核酸も、本発明の範囲内にある。相同性
とは、LolpVの2ペプチド間の、または2核酸分子間の配列の類似性を指す。
相同性は、比較を目的として整列させ得る各配列中の位置を比較することによっ
て決定することができる。比較された配列中の位置が、同じヌクレオチドまたは
アミノ酸に占められているときは、分子はその位置で相同である。配列間の相同
性の度合いは、配列が共有する、対合するか、または相同である位置の数の関数
である。
好適な核酸断片は、長さが7アミノ酸残基以上、好ましくは長さが13〜14アミ
ノ酸残基、より好ましくは長さが16〜30アミノ酸残基以上のペプチドを暗号化し
ている。長さが30アミノ酸残基以上、長さが40アミノ酸残基以上、長さが約80ア
ミノ酸残基以上、長さが約100アミノ酸残基以上またはそれ以上のペプチドを暗
号化している核酸断片も予期される。
LolpVと免疫学的に交叉反応性であるアレルゲン、例えば完全な長さのDacg
V蛋白質またはペプチトを暗号化している核酸配列(図16)も、本発明の範囲内
にある。DacgVの蛋白質およびペプチドは、上記に考察したとおりに組換えに
よって、または合成によって生産してよい。DacgV蛋白質またはそのペプチド
を発現するよう形質転換させた発現ベクターおよび宿主細胞も、本発明の範囲内
にある。DacgVのクローニングの詳細は、実施例中に与える。
本発明は、本発明の単離LolpVペプチドまたはその一部を生産する方法であ
って、本発明のLolpVペプチドを暗号化している核酸配列で形質転換した宿主
細胞を適切な培地で培養して、該LolpVペプチドを含有する細胞と培地との混
合物を生産する段階と;該混合物を精製して、実質的に純粋なLolpVペプチド
を生産する段階とを含む方法も提供する。本発明のLolpVペプチドまたはその
一部を暗号化しているDNAを含有する発現ベクターで形質転換した宿主細胞は
、該宿主細胞に適した培地で培養する。本発明のLolpVペプチドは、イオン交
換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、お
よび本発明のLolpVペプチドまたはその一部に特異的な抗体による免疫精製法
を包含する、ペプチドおよび蛋白質を精製するための当技術に公知の手法を用い
て、細胞培養の培地、宿主細胞またはその双方から精製することができる。
本発明のもう一面は、LolpVペプチドと特異的に反応する抗体に関する。そ
のような抗体は、アレルゲン抽出物を規格化し、または天然に産するLolpVを
単離するのに用い得る。また、本発明のLolpVペプチドは、アレルゲン抽出物
を規格化するための「精製」アレルゲンとして用いることができる。例えば、マ
ウスまたはウサギのような動物を、本発明の単離LolpVペプチドの、抗体応答
を誘発できる免疫原の形態で免疫することができる。ペプチドに免疫原性を賦与
する手法は、担体への接合その他の当技術に周知の手法を包含する。LolpVペ
プチドは、アジュバントの存在下で投与もできる。免疫処置の進捗は、血漿もし
くは血清中の抗体価の検出によって監視でき、標準的ELISAその他の免疫検
定法を免疫原を抗原として用いて、抗体のレベルを評価することができる。
免疫処置に続いて、抗LolpVペプチド抗血清を得ることができ、望まれるな
らば、ポリクローナル抗LolpVペプチド抗体を血清から得てもよい。モノクロ
ーナル抗体を生産するには、免疫した動物から抗体生産細胞(リンパ球)を採集
し、標準的体細胞融合操作によって、骨髄腫細胞のような不死化細胞と融合させ
て、ハイブリドーマ細胞を生じさせることができる。ハイブリドーマ細胞は、免
疫化学的にふるい分けして、本発明のLolpVペプチドと反応する抗体が生産で
きる。これらの血清またはモノクローナル抗体を、アレルゲン抽出物を規格化す
るのに用いることができる。
本発明のペプチドや抗体の利用を通じて、一貫した、充分に確定された組成お
よび生物学的活性を有する製剤が製造でき、治療を目的として(例えば、ドクム
ギ花粉に感受性である個人の、そのような草本の花粉、またはDacgVのような
免疫学的に近縁の草本の花粉に対するアレルギー性応答を変更するために)投与
できる。そのようなペプチドの投与は、例えば、LolpVアレルゲンに対するB
細胞の応答、LolpVアレルゲンに対するT細胞の応答、またはその双方の応答
を変更し得る。単離ペプチドは、ドクムギ花粉アレルギーの免疫療法の機序を研
究し、免疫療法に役立つ修飾された誘導体または類似体を設計するのに用いるこ
ともできる。
本発明は、本発明のLolpVペプチドを特異的に認識するT細胞クローンにも
関する。これらのT細胞クローンは、本発明のペプチドに特異的に反応性である
T細胞受容体についての単離、および遺伝子の分子クローニングに適し得る。T
細胞クローンは、Abdul K.Abbasらの「細胞および分子免疫学(Cellular and M
olecular Immunology)」、W.B.Saunders Co.(1991年)139ページに記載のと
おりに生産し得る。本発明は、可溶性T細胞受容体にも関する。これらの受容体
は、LolpVに感受性である個人において、T細胞の適切な下位集団の抗原依存
性活性化を阻害し得る。そのようなT細胞受容体と特異的に反応する抗体も、こ
こに記載の手法に従って生産できる。そのような抗体は、個人におけるT細胞−
MHC相互作用を遮断するのにも役立つ。可溶性T細胞受容体を生産する方法は
、Edward S.Golubらの「免疫学;ある統合(Immunology;A Synthesis)」、Si
naur Assoc.、米国マサチューセッツ州Sunderland(1991年)366〜369ページに
記載されている。
本発明の単離ペプチドを得るには、望みの長さの重複しないペプチド、または
実施例2で検討したような望みの長さの重複ペプチドへと分割するが、これらは
組換えにより、合成により、または、特定の状況では、アレルゲンの化学的切断
によって生産できる。少なくとも1T細胞エピトープを含むペプチドは、T細胞
の応答、例えば刺激(すなわち増殖またはリンホカイン分泌)を誘発でき、およ
び/またはT細胞の不応答性を誘導できる。少なくとも1T細胞エピトープを含
むペプチドを決定するには、単離ペプチドを、例えばT細胞の生物学の手法を用
いて試験して、該ペプチドがT細胞の応答を誘発するか、またはT細胞の不応答
性を誘導するか否かを決定する。T細胞の応答を誘発するか、またはT細胞の不
応答性を誘導することが判明したペプチドは、T細胞刺激活性を有すると定義さ
れる。
ヒトのT細胞刺激活性について本発明のペプチドをふるい分けることは、いく
つかの異なる検定法のうち1種類またはそれ以上を用いて、達成できる。例えば
、生体外では、本発明のペプチドを、培養T細胞中で適切なMHC分子を提示す
る抗原提示細胞に接触させることによって、T細胞刺激活性を検定する。必要な
補助刺激と結合させた、適切なMHC分子を伴う本発明のペプチドのT細胞への
提示は、上昇したレベルのサイトカイン類、特にインターロイキン2やインター
ロイキン4の生産を誘導するT細胞にシグナルを伝達する効果を有する。培養上
清が得られ、インターロイキン2その他の公知サイトカイン類について検定する
ことができる。例えば、インターロイキン2についてのいくつかの慣用の検定法
のいずれか一つ、例えば、引用によってその適切な部分がここに組み込まれるPr
oc.Natl.Acad.Sci.USA第86巻1,333ページ(1989年)に記載の検定法を用い
ることができる。インターフェロンの生産の検定用キットもGenzyme Corporatio
n(米国マサチューセッツ州Cambridge)から入手できる。
T細胞の増殖についての一般的な検定法は、トリチウムチミジン取り込みの測
定を包含する。T細胞の増殖は、培養された細胞の複製中のDNAに取り込まれ
た3H標識チミジンの量を決定することによって、生体外で測定できる。したがっ
て、DNA合成の速度、ひいては細胞分裂の速度が定量できる。
T細胞の応答性を低下させる能力について、ペプチドをふるい分けてもよい。
T細胞を刺激し、精製された未変性LolpV蛋白質のアレルゲンまたはその一部
の活性を阻害し、もしくは完全に遮断し、T細胞の不応答性、または低下したT
細胞の応答性の状態を誘導することが知られているペプチドの能力は、その後の
、本発明のペプチドへの曝露後の、未変性LolpVアレルゲンを提示する抗原提
示細胞によるT細胞の刺激の試みを用いて、決定することができる。T細胞が、
インターロイキン2合成およびT細胞増殖によって決定される限りで、その後の
活性化の試みに不応答性であるならば、不応答性の状態が誘導されたことになる
。本発明に従って、ある検定法の基盤に用い得る検定系については、例えば、Gi
mmiら(1993年):Proc.Natl.Acad.Sci.USA第90巻6,586〜6,590ページ、お
よびSchwartz(1990年):Science第248巻1,349〜1,356ページを参照のこと。
加えて、「潜在」エピトープを含むペプチドを決定してよく、本発明の範囲内
にある。潜在エピトープは、蛋白質抗原中の、未変性抗原のプロセシング、およ
び適切なMHC分子への提示に起因して免疫系に通常は現出されない決定基であ
る。しかし、潜在エピトープを含むペプチドは、T細胞を不応答性にすることが
でき、被験者をこのペプチドで初回抗原刺激すると、該被験者から得られたT細
胞は、そのペプチドが由来するペプチドまたは蛋白質の抗原に応答して、生体外
で増殖することになる。蛋白質抗原に由来する少なくとも1個の潜在エピトープ
を含むペプチドを、ここでは「潜在ペプチド」と呼ぶ。上記のT細胞の増殖検定
で潜在エピトープの存在を確認するには、抗原で初回剌激したT細胞を各ペプチ
ドの個別の存在下で生体外で培養して、ペプチド反応性のT細胞系を確立する。
あるT細胞系を与えられたペプチドで確立でき、T細胞が、そのペプチドが由来
するペプチドや蛋白質の抗原で挑戦すると増殖できるならば、ペプチドは少なく
とも1潜在エピトープを含むと考えられる。
溶解度の増大、治療もしくは予防効果の強化、または安定性(例えば、生体外
での棚保ち、および生体内での蛋白質分解への耐性)のような目的で、本発明の
ペプチドの構造を変えることも可能である。例えばアミノ酸の置換、削除もしく
は追加によってアミノ酸配列を変えた、修飾されたペプチドを生産して、免疫原
性を変化させ、および/またはアレルギー原性を低下させることができ、あるい
は、ある成分を同じ目的でそれに追加できる。
例えば、免疫原の形態で投与されたときに、ある種の強力な増殖の応答、また
は可能ならいかなる増殖の応答も誘導できる能力はなくとも、T細胞アネルギー
を誘導し、MHC蛋白質を結合させる能力を保持するように、ペプチドを修飾す
ることができる。この場合、T細胞受容体にとって決定的な結合残基は、公知の
手法(例えば、各残基の置換、およびT細胞の反応性の存否の決定)を用いて決
定することができる。T細胞受容体と作用し合うのに不可欠であることが示され
た残基は、その不可欠なアミノ酸を、その存在がT細胞の反応性を強化し、減殺
するが除去はせず、または左右しないことが示されているもう一つの、好ましく
は類似のアミノ酸残基と置き換えること(保存性置換)によって、修飾すること
ができる。加えて、T細胞受容体の相互作用に不可欠ではないアミノ酸残基は、
その組込みが、T細胞の反応性を強化し、減殺し、または左右しないが、適切な
MHCとの結合は排除し得ないもう一つのアミノ酸で置き換えることによって、
修飾することができる。
更に、本発明のペプチドは、MHC蛋白質複合体と作用し合うのに不可欠であ
ることが示されているアミノ酸は、その存在がT細胞の反応性を強化し、減殺す
るが除去はせず、または左右しないことが示されているもう一つの、好ましくは
類似のアミノ酸残基と置き換えること(保存性置換)によって、修飾できる。加
えて、MHC蛋白質複合体と作用し合うのに不可欠ではないが、なおMHC蛋白
質複合体を結合させるアミノ酸残基は、その組込みが、T細胞の反応性を強化し
、左右せず、または減殺するが除去はしないもう一つのアミノ酸で置き換えるこ
とによって、修飾できる。不可欠ではないアミノ酸に対する好適なアミノ酸置換
は、アラニン、グルタミン酸またはメチルアミノ酸による置換を包含するが、そ
れらに限定されない。
安定性および/または反応性を強化するために、本発明のペプチドは、天然の
対立性変異から得られる蛋白質アレルゲンのアミノ酸配列に一つまたはそれ以上
の多形性を組み込むように修飾することもできる。更に、D-アミノ酸、非天然ア
ミノ酸または非アミノ酸類似体を置き換え、または追加して、本発明の範囲内の
修飾されたペプチドを形成することができる。その上、本発明のペプチドは、A.
Sehonおよび共同研究者のポリエチレングリコール(PEG)法[Wieら、前出
]を用いて、PEGと結合した蛋白質またはペプチドを形成するよう修飾するこ
とができる。加えて、本発明の蛋白質またはペプチドの化学合成の際に、PEG
を加えることができる。ペプチドまたはその一部の修飾は、還元/アルキル化[
Tarr:J.E.Silver編「蛋白質の微細特徴付けの方法(Methods of Protein Mic
rocharacterization)」、Humana Press、米国ニュージャージー州Clifton、155
〜194ページ(1986年)];アシル化[Tarr、前出];適切な担体との化学的カ
ップリング[MishellおよびShiigi編「精選細胞免疫学の方法(Selected Method
s in Cellular Immunology)」、W.H.Freeman、米国カリフォルニア州サンフラ
ンシスコ(1980年):米国特許第4,939,239号明細書];または穏やかなホルマ
リン処理[Marsh:Int.Arch.Allergy Appl.Immunol.第41巻199〜215ページ
(1971年)]も包含する。
本発明のペプチドの精製を容易にし、できれば溶解度を増大させるために、リ
ポーター基をペプチド骨格に加えることが可能である。例えば、ペプチドにポリ
ヒスチジンを加えて、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーでペ
プチドを精製することができる[E.Hochuliら:Bio/Technology第6巻1,321〜1
,325ページ(1988年)]。加えて、望まれるならば、ペプチドのリポーター基と
アミノ酸配列との間に、特異的なエンドプロテアーゼ切断部位を導入して、不適
当な配列を含まないペプチドの単離を容易にすることができる。個体を蛋白質抗
原に脱感作して好結果を得るには、ペプチドに官能基を付加するか、あるいは疎
水性のT細胞エピトープ、または疎水性エピトープを含む領域をペプチド、また
は蛋白質もしくはペプチドの疎水性領域に含めないことによって、ペプチドの溶
解度を高めることが必要であり得る。荷電アミノ酸対(例えばKKまたはRR)
のような官能基は、ペプチドのアミノまたはカルボキシル末端に付加したときは
、ペプチドの溶解度を高めるのに特に役立つ。
ペプチド内のT細胞エピトープの抗原の適切なプロセシングをできれば助ける
ために、それぞれ少なくとも1T細胞エピトープを含む領域間で、規範的なプロ
テアーゼ感受性部位を組換えまたは合成によって加工することができる。例えば
、ペプチドの組換え構成の際に、ペプチド内の領域間に、荷電アミノ酸対、例え
ばKKまたはRRが導入できる。得られるペプチドは、ペプチドの1個またはそ
れ以上のT細胞エピトープを有する部分を形成するためのカテプシンおよび/ま
たは他のトリプシン様酵素による切断に感受性となるようにできる。加えて、上
記に考察のとおり、そのような荷電アミノ酸残基は、ペプチドのアミノまたはカ
ルボキシル末端に付加することができ、ペプチドの溶解度の上昇を招くことがで
きる。
本発明のペプチドを暗号化しているDNAの部位指向性突然変異誘発は、当技
術に公知の方法を用いてペプチドの構造を修飾するのに用いることができる。そ
のような方法は、とりわけ、望みのアミノ酸を暗号化している配列を含むオリゴ
ヌクレオチドによるPCR[Hoら:Gene第77巻51〜59ページ(1989年)]、また
は突然変異させた遺伝子の全合成[Z.Hosomskyら:Biochem.Biophys.Res.Co
mm.第161巻1,056〜1,063ページ(1989年)]を包含する。細菌の発現を増強する
ために、前記の方法を他の操作と併用して、本発明の蛋白質またはペプチドを暗
号化しているDNA構成体の真核コドンを、大腸菌、酵母、哺乳類細胞その他の
真核細胞で優先的に用いられるものに変えることができる。
本発明のペプチドまたは抗体は、ドクムギ花粉症を検出および診断するのに用
いることもできる。例えば、これは、ドクムギ花粉、またはDacgVのような他
の交叉反応性花粉に対する感受性について評価しようとする個体から得られた血
液または血液生成物を、血液中の成分(例えば抗体、T細胞、B細胞)とペプチ
ドとの結合、およびそのような結合が生じる度合いの決定に適切な条件下でLol
pVの単離ペプチドと組み合わせることによって、生体外で実施できると思われ
る。本発明の蛋白質、ペプチドまたは抗体が役立つと思われるアレルギー性疾患
のその他の診断法は、放射性−アレルゲン吸収試験(RAST)、ペーパー放射
性免疫吸収試験(PRIST)、酵素結合免疫吸収検定法(ELISA)、放射
線免疫検定法(RIA)、免疫-放射能測定検定法(IRMA)、発光免疫検定
法(LIA)、ヒスタミン放出検定法およびIgE 免疫ブロット法を包含する。
個体における少なくとも1種類の蛋白質アレルゲンに特異的なIgE の存在、お
よび該個体のT細胞が該蛋白質アレルゲンのT細胞エピトープに応答できる能力
は、即時型過敏症試験および遅延型過敏症試験を個体に施すことによって、決定
できる。それぞれ該アレルゲンに特異的なIgE を結合する、蛋白質アレルゲンも
しくはその一部、または該蛋白質アレルゲンもしくはその一部の修飾形態を利用
して、個体に即時型過敏症試験を施す[例えば、I.M.Roitt,J.Brostoff,D.K
.Male編「免疫学(Immunology)」、C.V.Mosby Co.、Gower Medical Publishi
ng、英国ロンドン、米国ニューヨーク、19.2〜19.18ページ;22.1〜22.10ページ
を参照のこと]。即時型過敏症試験の実施の以前、同時または以後に、同じ個体
に遅延型過敏症試験を施す。言うまでもなく、遅延型過敏症試験を施す以前に即
時型過敏症試験を施すならば、遅延型過敏症試験は、特異的な即時型過敏症の反
応を示す個体に施すことになる。遅延型過敏症試験は、それぞれ、ヒトT細胞刺
激活性を有し、それぞれ、アレルゲンに特異的なIgE を、該アレルゲン感受性で
ある個体の集団の実質的な百分率(例えば、少なくとも約75%)では結合しな
い、組換えによって形成された蛋白質アレルゲンもしくはその一部、または該蛋
白質アレルゲンに由来するペプチドの修飾形態を利用する。特異的な即時型過敏
症反応と特異的な遅延型過敏症反応の双方を有することが判明した個体には、そ
れぞれ、遅延型過敏症試験で用いたのと同じ修飾された形態の蛋白質またはその
一部、組換えによって生産された蛋白質アレルゲンまたはペプチドを含む治療用
組成物を投与してよい。
LolpV感受性の個体、またはDacgVのようなLolpVに交叉反応性であるア
レルゲンにアレルギー性である個体に治療用投与方式で投与したときの本発明の
単離ペプチドは、LolpVというドクムギ花粉のアレルゲン、またはそのような
交叉反応性アレルゲンに対する個体のアレルギー性応答を変えることができ、好
ましくは、該アレルゲンに対する個体のB細胞応答、T細胞応答、またはB細胞
とT細胞との双方の応答を変えることができる。ここで用いられる限りで、ドク
ムギ花粉アレルゲンまたは交叉反応性アレルゲンに感受性である個体のアレル
ギー性応答の変更は、該アレルゲンに対する不応答性、またはドクムギ花粉で誘
導される喘息症状の減退をはじめとする、標準的臨床操作によって決定される限
りでの[例えば、Varneyら:Brit.Med.J.第302巻265〜269ページ(1990年)
を参照のこと]該アレルゲンに対する症状の減退として定義できる。ここで言及
される限りで、症状の減退は、本発明のペプチドまたは蛋白質による治療の投与
方式を個体が完了した後の、アレルゲンに対する該個体のアレルギー性応答のい
かなる低下をも包含する。この減退は主観的であり得る(すなわち、アレルゲン
の存在下で患者はより快適に感じる)。症状の減退は、当技術に公知であるよう
な標準的皮膚試験を用いて、臨床的にも決定できる。
T細胞刺激活性を有し、したがって少なくとも1T細胞エピトープを含む本発
明のLolpVペプチドは、治療の目的に特に望ましい。エピトープについて述べ
ると、エピトープは、受容体、特に免疫グロブリン、組織適合性抗原およびT細
胞受容体による認識の基本要素または最小単位であると思われ、エピトープは、
受容体による認識に不可欠なアミノ酸を手組む。エピトープを模倣し、LolpV
に対するアレルギー性応答を下方調節できるか、または低下させられるアミノ酸
配列を用いることもできる。T細胞エピトープは、アレルギーの臨床的症状の原
因となる蛋白質アレルゲンに対する免疫応答の開始および永続化に関与すると考
えられる。これらのT細胞エピトープは、抗原提示細胞の表面の適切なHLA分
子に結合し、関連するT細胞下位集団を刺激することによって、初期事象をTヘ
ルパー細胞の水準で誘発するものと考えられる。これらの事象は、T細胞の増殖
、リンホカインの分泌、局所的炎症反応、該部位への追加の免疫細胞の補充、お
よび抗体生産へと導くB細胞カスケードの活性化に導く。これらの抗体の1アイ
ソタイプであるIgE は、アレルギー症状の発症に根本的に重要であり、その生産
は、事象のカスケードの初期には、分泌されるリンホカインの性質にTヘルパー
細胞の水準で影響される。
少なくとも1T細胞エピトープを含み、LolpV蛋白質アレルゲンに由来する
本発明の単離LolpVペプチドへの、ドクムギ花粉患者の曝露は、適切なT細胞
下位集団を該蛋白質アレルゲンに不応答性にさせるか、または応答を低下させ、
こうして、そのような曝露の際に免疫応答の刺激に参加させないことがある。加
えて、少なくとも1T細胞エピトープを含む本発明のペプチドまたはその一部は
、リンホカイン分泌の特性像を、天然に産するLolpV蛋白質アレルゲンまたは
その一部への曝露に匹敵するまでに変化させ得る(例えば、IL−4の減少およ
び/またはIL−2の増加を招く)。更に、本発明のそのようなペプチドの投与
は、天然に産するアレルゲンに対する応答に通常は参加するT細胞下位集団に、
該アレルゲンへの通常の曝露の部位(例えば鼻粘膜、皮膚および肺)から断片ま
たは蛋白質のアレルゲンの治療的投与の部位へと、これらのT細胞が引き揚げら
れるような影響を及ぼし得る。T細胞下位集団のこの再配分は、アレルゲンへの
通常の曝露の部位での通常の免疫応答を刺激できる個体の免疫系の能力を改善ま
たは低下させて、アレルギー症状の減退を招き得る。
本発明の単離LolpVペプチドは、LolpVアレルゲンまたは交叉反応性蛋白質
アレルゲンに対するアレルギー反応を診断、治療および予防する方法に用いるこ
とができる。したがって、本発明は、アレルギーの診断に役立ち、そして/また
はアレルギー療法に役立つ、単離LolpVペプチドまたはその一部を含む組成物
を提供する。そのような組成物は、代表的には、生体内への投与が意図されたと
きに、製薬上許容され得る担体または希釈剤も含むことになる。本発明の治療用
組成物は、合成によって製造されたLolpVペプチド、および製薬上許容され得
る担体または希釈剤も含み得る。
脱感作しようとする個体への本発明の治療用組成物の投与は、公知の手法を用
いて実施できる。LolpVペプチドまたはその一部は、例えば適切な希釈剤、担
体、および/またはアジュバントと併用して個体に投与し得る。製薬上許容され
得る希釈剤は、食塩水および緩衝剤水溶液を包含する。製薬上許容され得る担体
は、ポリエチレングリコール[Wieら(1981年):Int.Arch.Allergy Appl.I
mmunol.第64巻84〜99ページ]およびリポソーム[Strejanら(1984年):J.Ne
uroimmunol.第7巻27ページ]を包含する。
本発明の治療用組成物は、ドクムギのアレルゲンに感受性である個体、または
イエドクムギ(すなわちDactylis glomerataまたはSorghum halepensisなど)の
アレルゲンに免疫学的に交叉反応性であるアレルゲンに感受性である個体に投与
する。T細胞の不応答性を誘導する目的には、本発明の治療用組成物を、免疫原
性でない形態、例えばアジュバントを含有しない形態で投与するのが好ましい。
いかなる理論も限定することを意図しないが、T細胞の不応答性、またはT細胞
の応答性の低下は、「第二シグナル」と呼ばれることもある適切な補助刺激性シ
グナルを与えない結果として誘導されると考えられる。略述すると、T細胞の刺
激は、2形式のシグナルを必要とし、第一のそれは、T細胞による、抗原提示細
胞(APC)上の適切なMHCに関連する加工された抗原の、T細胞受容体を介
しての認識であり、第二の形式のシグナルは、補助刺激性シグナルまたは「第二
シグナル」と呼ばれ、特定の適格なAPCによって与えられ得る。本発明の組成
物をアジュバントなしに投与すると、第二シグナルまたは補助刺激性シグナルを
生成できる適格APCは、適切なT細胞の刺激に従事しなくなり、そのために、
T細胞の不応答性、またはT細胞の応答性の低下を招くと考えられる。加えて、
「第二シグナル」のような補助刺激性シグナルの送達を遮断できる多数の抗体ま
たは他の試薬が存在し、それらはB7(B7-1,B7-2およびBB-1を包含する)、CD28
、CTLA4、CD40、CD40L、CD54およびCD11a/18を包含するが、それらに限定されな
い[JenkinsおよびJohnson:Current Opinion in Immunology第5巻361〜367ペ
ージ(1993年)、ならびにClarkおよびLedbetter:Nature第367巻425〜428ペー
ジ(1994年)]。したがって、本発明のペプチドは、上記のような非免疫原性形
態で、T細胞の不応答性の水準が高められないように補助刺激性シグナルを遮断
できる試薬と結合して投与し得る。
脱感作しようとする個体への本発明の治療用組成物の投与は、公知の操作を用
いて、アレルゲンに対する個体の感受性を低下させる(すなわち、アレルギー性
応答を低下させる)のに有効な投与量および期間に実施することができる。治療
用組成物の有効量は、ドクムギ花粉に対する個体の感受性の度合い、個体の年齢
、性別および体重、ならびに個体に抗原性応答を誘発できる蛋白質またはその断
片の能力のような因子に従って変化すると思われる。
活性化合物(すなわち蛋白質またはその断片)は、注射(皮下、静脈内など)
、経口投与、吸入、経皮塗布または直腸投与のような慣用の方式で投与し得る。
投与の経路に応じて、活性化合物を、該化合物を不活性化し得る酵素、酸その他
の自然条件の作用から該化合物を保護する材料内に被覆し得る。
例えば、好ましくは1投与単位あたり約1μg〜3mg、より好ましくは約20〜7
50μgの活性化合物(すなわち蛋白質またはその断片)を、注射によって投与し
得る。投与量の投与方式は、最適の治療応答を与えるように調製し得る。例えば
、数回に分割した投与量を毎日投与するか、または治療状況の切迫によって指示
されるとおりに、投与量を比例して減少もしくは増加させ得る。非経口投与以外
でペプチドを投与するには、その不活性化を防ぐ材料で蛋白質を被覆するか、ま
たはそれとともに蛋白質を同時投与する必要があり得る。例えば、ペプチドまた
はその一部を酵素阻害剤とともに、またはリポソームとして同時投与し得る。酵
素阻害剤は、膵臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロリン酸塩(DEP
)およびトラシロールを包含する。リポソームは、慣用のリポソームのみならず
水中油中水型CGF乳剤も包含する[Strejanら(1984年):J.Neuroimmunol.
第7巻27ページ]。
活性化合物は、非経口的に、または腹腔内にも投与し得る。分散も、グリセリ
ン、液体ポリエチレングリコール類およびその混合物、ならびに油中に調製でき
る。貯蔵や使用の通常の条件下では、これらの製剤は、微生物の繁殖を防ぐため
の防腐剤を含有し得る。
注射の用途に適した製剤組成物は、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散、
および注射できる分散の無菌溶液を即座に調製するための無菌粉末を包含する。
すべての場合に、組成物は、無菌でなければならず、容易な注射可能性が存在す
る程度に流動的でなければならない。それは、製造および貯蔵の条件下で安定で
なければならず、細菌や真菌のような微生物の汚染作用に抗して保存されなけれ
ばならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセリン、
プロピレングリコールおよび液体のポリエチレングリコールなど)、適切なそれ
らの混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であることができる。例
えば、レシチンのような被覆剤の利用、分散の場合の必要とされる粒度の維持、
および界面活性剤の利用によって、適正な流動性が保てる。微生物の作用の防止
は、様々な抗菌剤や抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール
、アスコルビン酸、チメロサールその他によって達成できる。多くの場合、等張
剤、例えば、砂糖、マンニトールやソルビトールのような多価アルコール、また
は塩化ナトリウムを組成物に含ませるのが好ましいと思われる。注射できる組成
物の吸収の遷延は、吸収を遅らせる薬剤、例えば一ステアリン酸アルミニウムや
ゼラチンを組成物に含ませて、実施できる。
注射できる無菌溶液は、必要量の活性化合物(すなわち蛋白質またはペプチド
)を、上記に列挙した成分のうち1種類またはそれらの組合せをとともに適切な
溶媒に組み込み、次いで、必要に応じて、濾過して滅菌することによって調製す
ることができる。一般に、分散は、活性化合物を、基本分散媒、および上記に列
挙したものからの必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクルに組み込むこと
によって調製できる。注射できる無菌溶液を調製するための無菌粉末の場合は、
好適な調製方法は、真空乾燥、および活性成分(すなわち蛋白質またはペプチド
)と望みのいずれかの追加的成分との粉末を、予め滅菌濾過したそれらの溶液か
ら生じる凍結乾燥である。
本発明のペプチドを上記のとおり適切に保護したときは、該ペプチドは、例え
ば不活性の希釈剤、または同化できない摂食できる担体とともに、経口的に投与
し得る。ペプチドおよびその他の成分は、硬殻または軟殻のゼラチンカプセルに
封入するか、打錠するか、または個体の食事に直接組み込んでもよい。治療用経
口投与のためには、活性化合物を賦形剤とともに組み込み、摂取できる錠剤、口
中錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハースなどの
形態で用い得る。そのような組成物や製剤は、少なくとも1重量%の活性化合物
を含有しなければならない。組成物および製剤の百分率は、言うまでもなく、変
動させてよく、好都合には、単位重量の約5〜80重量%であり得る。そのような
治療に役立つ組成物中の活性化合物の量は、適切な投与量が得られるようにする
。本発明による好適な組成物または製剤は、1経口投与単位が、約10μg〜約200
mgの活性化合物を含有するように調製する。
錠剤、トローチ、丸薬、カプセルなどは、下記のものも含有し得る:トラガカ
ント、アラビアゴム、トウモロコシ澱粉またはゼラチンのような結合剤;リン酸
二カルシウムののような賦形剤;トウモロコシ澱粉、バレイショ澱粉、アルギン
酸などのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;およびショ
糖、乳糖もしくはサッカリンのような甘味剤、またはペパーミント、冬緑油もし
くは桜桃香味料のような香味料。投与単位形態がカプセルであるときは、上記形
式の材料に加えて、液体担体を含有し得る。被覆剤として、さもなければ該投与
単位の物理的形態を変えるために、他の様々な材料が存在し得る。例えば、シェ
ラック、砂糖またはその双方で錠剤、丸薬またはカプセルを被覆し得る。シロッ
プまたはエリキシルは、活性化合物、甘味剤としてのショ糖、防腐剤としてのメ
チルおよびプロピルパラベン、桜桃またはオレンジ香料のような染料および香昧
料を含有し得る。言うまでもなく、何らかの投与単位形態を調製するのに用いら
れるいかなる材料も、製薬上純粋であり、用いられる量で実質的に無害でなけれ
ばならない。加えて、活性化合物は、徐放性の製剤や配合物に組み込み得る。
ここで用いられる限りで、「製薬上許容され得る担体」は、いかなる、かつす
べての溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遷延剤
なども包含する。製薬上活性である物質にそのような媒体および薬剤を用いるこ
とは、当技術に公知である。いずれの慣用の媒体または薬剤も、活性化合物とは
配合禁忌でない限り、治療用組成物へのそれらの使用が予測される。補助的な活
性化合物も該組成物に組み込むことができる。
投与を容易にし、投与量を均一にするためには、非経口組成物を投与単位形態
で配合することが特に好都合である。ここで用いられる限りでの投与単位形態は
、哺乳類被験者に投与するための一元的投与量として適合させた、物理的に独立
した単位を指し、各単位は、望みの治療効果を生じるよう計算された所定量の活
性化合物を、必要とされる製剤用担体とともに含有する。本発明の新規な投与単
位形態の仕様は、(a)活性化合物と、達成しようとする特定の治療効果との独
自の特徴性、ならびに(b)そのような活性化合物を個体での感受性の治療のた
めに複合させる技術に固有の限界に規定され、かつ直接的に依存する。
ドクムギ花粉蛋白質LolpVに由来する本発明の様々な単離ペプチドを図2(
配列番号3〜29)に示す。LolpVの、それぞれ少なくとも1T細胞エピトープ
を含む少なくとも2領域を含むペプチドも、本発明の範囲内にある。ここで用い
られる限りで、領域は、図2に示した本発明のペプチドのアミノ酸配列、または
そのようなペプチドの一部のアミノ酸配列を含み得る。
実施例2で考察されるとおり、ヒトT細胞刺激活性は、LolpVアレルゲン感
受性の個体(すなわち、LolpVアレルゲンに対するIgE 介在免疫応答を有する
個体)から得たT細胞を、該アレルゲンに由来するペプチドとともに培養し、例
えば細胞によるトリチウムチミジンの取り込みによって測定された限りで、該ペ
プチドに応答してT細胞の増殖が生じるか否かを決定することによって、試験で
きる。ペプチドに対するT細胞による応答についての刺激指数は、対照cpm で除
したペプチドに応答しての最高cpm として算出できる。背景レベルの2倍に等し
いか、またはそれより高い刺激指数(S.I.)を「陽性」と考える。陽性の結果を
用いて、試験した患者の群に対する各ペプチドについての平均刺激指数を算出す
る。図4および5では、T細胞による平均刺激指数を棒上に示す。本発明の好適
なペプチドは、少なくとも1個のT細胞エピトープを含み、2.0 より大きいか、
またはそれに等しいT細胞刺激指数を有する。試験した有意数のドクムギ花粉感
受性患者で2.0より大きいか、またはそれに等しい平均T細胞刺激指数を有する
ペプチドは、治療剤として役立つと考えられる。好適なペプチドは、平均T細胞
刺激指数が2.5以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、より好
ましくは4.0以上、より好ましくは5.0以上、最も好ましくは約6以上である。例
えば、図4および5に示したデータによって示されるとおり、5以上の平均T細
胞刺激指数を有する本発明のペプチドは、ペプチドLPIX-4(配列番号6)、LPIX
-5(配列番号7)、LPIX-8(配列番号10)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-
19(配列番号21)を包含する。
加えて、好適なペプチドは、陽性度指数(P.I.)が約60以上、より好ましくは
約100、より好ましくは約200以上、最も好ましくは約300以上である。あるペプ
チドについての陽性度指数は、ドクムギ花粉感受性の個体集団(例えば、好まし
くは15個体以上、より好ましくは30個体以上、またはそれ以上の集団)における
、そのようなペプチドのT細胞刺激指数が2.0以上である個体の百分率を平均T
細胞刺激指数に乗じることによって決定される。したがって、陽性度指数は、あ
るペプチドに対するT細胞の応答の強さ(S.I.)と、ドクムギ花粉感受性の個体
集団におけるペプチドに対するT細胞の応答の頻度との双方を表す。図4では、
棒は陽性度指数を表し、そのペプチドに対するT細胞刺激指数が2.0以上の被験
個体の百分率は、各棒の上のカッコ内に示されている(平均T細胞刺激指数も各
棒の上に示されている)。例えば、図4に示したとおり、LolpVペプチドのLPI
X-5(配列番号7)は、平均S.I.が5.8であり、被験個体群中の陽性の応答が26.3
%であって、152.54の陽性度指数となる。陽性度指数が約100以上で、平均T細
胞刺激指数が約4以上であるLolpVペプチドは、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-
5(配列番号7)およびLPIX-17配列番号19)を包含する。
図5では、棒は、実施例2に示したとおりの被験患者群におけるペプチドの応
答の累積順位を表す。累積順位を決定するために、各個体で最高のS.I.を有する
5種類のペプチドを決定し、5が最も強い応答を表すよう降順に数字の順位に割
り振った。次いで、各ペプチドの順位を被験患者群全体について合計して、ペプ
チドの累積順位を決定した。各棒の上に、各ペプチドについての平均S.I.、およ
び被験患者群でのペプチドに対して2以上のS.I.を有する陽性の応答の百分率(
カッコ内)がある。
例えば精密なマッピングの手法によって、正確なT細胞エピトープを決定する
ためには、T細胞の生物学の手法によって決定されるようなT細胞刺激活性を有
し、したがって少なくとも1個のT細胞エピトープを含むペプチドを、該ペプチ
ドのアミノもしくはカルボキシル末端のいずれかでのアミノ酸残基の追加または
削除によって修飾し、かつ試験して、該修飾されたペプチドに対するT細胞の活
性の変化を決定する。この手法に従って、ペプチドを選択し、組換えによるか、
または合成によって生成する。ペプチドは、ペプチドに対するT細胞応答の強さ
(例えば刺激指数)、ドクムギ花粉に感受性である個体群でのペプチドに対する
T細胞応答の頻度、および初めに考察したような別の草本種、すなわちDactylis
glomerataからの別のアレルゲンとのペプチドのあり得る交叉反応性を包含する
様々な因子に基づいて選択する。これらの選ばれたペプチドの物理的および化学
的特性(例えば溶解度、安定性)を調べて、該ペプチドが治療用組成物の用途に
適しているか否か、または該ペプチドが、ここに記載したような修飾を要するか
否かを決定する。選ばれたペプチド、または選ばれた修飾されたペプチドの、ヒ
トT細胞を刺激し(例えば、増殖やリンホカイン分泌を誘導する)、または適切
なT細胞の集団を、不応答性にするか、もしくは蛋白質アレルゲンに対する応答
を低下させ得る能力を決定する。
加えて、溶解度または安定性を増大させる目的のために、LPIX-4(配列番号6
)、-5(配列番号7)、-6(配列番号8)、-11(配列番号13)、-12(配列番号
14)、-16(配列番号18)、-17(配列番号19)および-20(配列番号22)のよう
なペプチドを更に修飾するのが望ましいことがある。溶解度を改良する修飾は、
Val、Ile、Leu、Phe、TyrおよびTrpのような親水性アミノ酸を除去するための、
ペプチドのアミノもしくはカルボキシル末端のいずれかまたは双方からの断端を
包含する。断端によって除去された残基を、Asp、Glu、LysおよびArgのような荷
電親水性アミノ酸、またはSer、Pro、Gly もしくはAlaのような中性親水性アミ
ノ酸で置き換えてもよい。そのようなアミノ酸は、RまたはSのいずれかの光学
的立体配置のものであり得る。
溶解度を改良するその他の修飾は、ペプチドのアミノ−もしくはカルボキシル
−末端のいずれかまたは双方への親水性重合体の結合を包含する。そのような重
合体は、ポリアニオン性、ポリカチオン性または(ポリオキシエチレンのように
)中性であり得る。
安定性を改良する修飾は、AsnおよびGln残基の削除または置換、ならびにAsn-
Gly、Asp-GlyおよびAsp-Proという配列の除去を包含する。
上記の修飾の具体的な例は、ペプチドLIX-12からのN末端のValおよびC末端
のVal-His-Ala-Valの除去であろうと思われる。得られる断端ペプチドを直接用
いるか、または削除された残基を極性アミノ酸のAsp、Glu、LysおよびArgの組合
せで置換することができると思われる。同様に、N末端の配列Gly-PheおよびC
末端の配列Phe-Lys-IleをペプチドLPIX-5(配列番号7)から除去できるものと
思われる。
その上、本発明の好適なT細胞エピトープ含有ペプチドは、免疫グロブリンE
(IgE)と結合しないか、または該ペプチドが由来する蛋白質アレルゲンより実
質的に少ない程度に(例えば少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1,000
倍少なく)IgE と結合する。標準的な免疫療法の主な合併症は、アナフィラキシ
ーのようなIgE 介在応答である。免疫グロブリンEは、マスト細胞または好塩基
球のIgE との抗原の結合や架橋結合、ならびにメジエーター(例えばヒスタミン
、セロトニン、好酸性走化性因子)の放出から生じるアナフィラキシー反応のメ
ジエーターである。したがって、LolpV感受性個体の集団の実質的な百分率で
のアナフィラキシーは、LolpVアレルゲンに感受性である個体の集団の実質的
な百分率(例えば約75%以上)でIgE と結合しないペプチドを免疫療法に用いる
ことによって回避できると思われ、あるいは、ペプチドがIgE と結合するならば
、そのような結合は、マスト細胞または好塩基球からのメジエーターの放出を招
かない。アナフィラキシーの危険率は、IgE との結合が低下しているペプチドを
免疫療法に用いることによって、減少させられると思われる。更に、最低のIgE
刺激活性を有するペプチドは、治療効果のために望ましい。最低のIgE 刺激活性
とは、未変性のLolpV蛋白質アレルゲンに剌激されたIgE の生産および/また
はIL−4の生産の量より少ないIgE 生産を指す。同様に、IL−4の生産は、
低下したIgE 刺激活性を示す低下したIL−4生産に匹敵できる。
本発明のペプチドを診断用試薬として用いようとするならば、ペプチドまたは
蛋白質が、未変性LolpVアレルゲンに匹敵する低下したIgE 結合活性を有する
ことは不要である。ペプチドのIgE 結合活性は、例えば、各種の酵素結合免疫吸
収検定法(ELISA)を用いることによって、決定できる。
本発明の好適なT細胞エピトープ含有ペプチドは、ドクムギ花粉感受性個体、
または、DacgIのような、ドクムギ花粉アレルゲンに免疫学的に近縁であるア
レルゲンに感受性である個体に、治療的投与方式で投与したときは、該アレルゲ
ンに対する個体のアレルギー性応答を変えることができる。特に、LolpVの少
なくとも1T細胞エピトープ、または、少なくとも1T細胞エピトープをそれぞ
れ含む、LolpVに由来する少なくとも2領域を含む、本発明のそのような好適
なLolpVペプチドは、ドクムギ花粉に感受性である個体に投与したときは、該
アレルゲンに対する個体のT細胞応答を変えることができ、ドクムギに対する感
受性を指向する治療法として役立つ。
本発明の好適な単離LolpVペプチドは、LolpVの少なくとも1T細胞エピト
ープを含み、したがって、該ペプチドは少なくとも約7アミノ酸残基を含む。治
療の効果性の目的のためには、本発明の好適な治療用組成物は、好ましくは、Lo
lpVの少なくとも2T細胞エピトープを含み、したがって、好適なペプチドは
、少なくとも約8アミノ酸残基、好ましくは少なくとも15アミノ酸残基を含む。
その上、本発明の好適な単離ペプチドを含む治療用組成物は、好ましくは、ドク
ムギ花粉感受性個体への組成物の投与の治療用投与方式が蛋白質アレルゲンに寛
容にされようとしている個体のT細胞を生じるのに充分な百分率の、花粉アレル
ゲン全体のT細胞エピトープ(すなわち、少なくとも約40%、より好ましくは約
60%の、花粉アレルゲン全体に対するT細胞活性)を含む。長さで約45アミノ酸
残基まで、最も好ましくは長さで約30アミノ酸残基までを含む、合成によって生
産された本発明のペプチドは、長さの増加がペプチド合成の困難を招き得ること
から、特に望ましい。本発明のペプチドは、初めに述べたとおり、組換えによっ
て生産してもよく、45アミノ酸の、またはそれより長いペプチドを組換えによっ
て生産するのが好ましい。
治療の目的に用いることができる、LolpV蛋白質アレルゲンに由来するペプ
チドは、LolpVの少なくとも1T細胞エピトープを含み、下記のペプチドの全
部または一部を含む:LPIX-1(配列番号3)、LPIX-1.1(配列番号3)、LPIX-2
(配列番号4)、LPIX-2.1(配列番号4)、LPIX-3(配列番号5)、LPIX-4(配
列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-7(配列番号
9)、LPIX-8(配列番号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-10(配列番号12)
、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-13(配列番号15)、L
PIX-14(配列番号16)、LPIX-15(配列番号17)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX
-17(配列番号19)、LPIX-18(配列番号20)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20
(配列番号22)、LPIX-21(配列番号23)、LPIX-22(配列番号24)、LPIX-23(
配列番号25)、LPIX-24(配列番号26)、LPIX-26(配列番号28)およびLPIX-27
(配列番号29)(その配列は図2に示す)、ここで、ペプチドの一部は、好まし
くは、それが由来するペプチドの平均T細胞刺激指数に等しいか、またはそれよ
り大きい平均T細胞刺激指数(S.I.)を有する(例えば、図5に示すとおり、LP
IX-16(配列番号18)についてのS.I.は、棒の上に3.7 と示され
、したがって、LPIX-16のいかなる部分も、好ましくは、平均S.I.が3.7 である
)。治療の目的に用いることができる、LolpV蛋白質アレルゲンに由来するは
るかに好ましいペプチドは、下記のペプチドの全部または一部を含む:LPIX-4(
配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-8(配列番
号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14
)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)
、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-23(配列番号25)、およびLPIX-26(配列番号2
8)。治療の目的に用いることができる、LolpV蛋白質アレルゲンに由来するは
るかに好ましいペプチドは、下記のペプチドの全部または一部を含む:
LPIX-1(配列番号3)、LPIX-2(配列番号4)、LPIX-3(配列番号5)、LPIX-4
(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-7(配列
番号9)、LPIX-8(配列番号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-10(配列番号1
2)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-13(配列番号15)
、LPIX-14(配列番号16)、LPIX-15(配列番号17)、LPIX-16(配列番号18),LP
IX-17(配列番号19)、LPIX-18(配列番号20)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-
20(配列番号22)、LPIX-21(配列番号23)、LPIX-22(配列番号24)、LPIX-23
(配列番号25)、LPIX-24(配列番号26)、LPIX-26(配列番号28)、およびLPIX
-27(配列番号29)。
本発明の一実施態様は、LolpVというペプチド、または該蛋白質アレルゲン
の少なくとも1T細胞エピトープを含むその一部を特徴とし、式Xn-Y-Zmを有す
る。この式によれば、Yは下記のものからなる群から選ばれるアミノ酸配列であ
る:LPIX-1(配列番号3)、LPIX-1.1(配列番号3)、LPIX-2(配列番号4)、
LPIX-2.1(配列番号4)、LPIX-3(配列番号5)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX
-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-7(配列番号9)、LPIX-8(配
列番号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-10 (配列番号12)、LPIX-11(配列
番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-13(配列番号15)、LPIX-14(配列番
号16)、LPIX-15(配列番号17)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号1
9)、LPIX-18(配列番号20)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22)
、LPIX-21(配列番号23)、LPIX-22(配列番号24)、LPIX-23(配列番号25)、L
PIX-24(配列番号26)、LPIX-26(配列番号28)、およびLPIX-27(配列番号29)
(その配列は図2に示す)。加えて、Xnは、蛋白質アレルゲンのアミノ酸配列
中のYのアミノ末端に隣接するアミノ酸残基であり、Zmは、蛋白質アレルゲン
のアミノ酸配列中のYのカルボキシル末端に隣接するアミノ酸残基である。式中
、nは0〜30、かつmは0〜30である。好ましくは、ペプチドまたはその一部は
、図4に示したYの平均T細胞刺激指数に等しいか、またはそれ
より大きい平均T細胞刺激指数を有する。好ましくは、Xのアミノ末端およびZ
のカルボキシル末端を含むアミノ酸は、荷電アミノ酸、すなわちアルギニン(R
)、リシン(K)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)もしくはアスパラギ
ン酸(D);反応性側鎖を有するアミノ酸、例えばシステイン(C)、アスパラ
ギン(N)もしくはグルタミン(Q);または立体的に小さい側鎖を有するアミ
ノ酸、例えばアラニン(A)もしくはグリシン(G)から選ばれる。好ましくは
、nおよびmは0〜5、最も好ましくは、n+mは10未満である。
本発明のもう一つの実施態様は、LolpVの少なくとも1個のT細胞エピトー
プをそれぞれ含む少なくとも2領域を含むペプチドを提供し、したがって、各領
域は、少なくとも約7個のアミノ酸残基を含む。少なくとも2領域を含むこれら
のペプチドは、LolpVアレルゲンの100またはそれ以上までのアミノ酸残基を含
むことができるが、好ましくは少なくとも約15、はるかに好ましくは少なくとも
約20、最も好ましくは少なくとも約30のアミノ酸残基を含む。望まれるならば、
該領域のアミノ酸配列は、抗原提示細胞によるプロセシングに対する感受性を増
大させるためのリンカーによって形成し、結合することができる。そのようなリ
ンカーは、いかなる非エピトープアミノ酸配列であることも、あるいは他の適切
な連結剤または結合剤であることもできる。少なくとも1個のT細胞エピトープ
をそれぞれ含む少なくとも2領域を含む好適なペプチドを得るためには、該領域
を、アレルゲンの領域の天然に見出される立体配置と同じか、または異なる立体
配置に配置する。例えば、T細胞エピトープを含む領域は、隣接しない立体配置
に配置でき、好ましくは、同じ蛋白質アレルゲンから由来できる。隣接しないと
は、T細胞エピトープを含む領域の配置であって、該領域が由来する蛋白質アレ
ルゲンの未変性アミノ酸配列のそれとは異なる配置として定義される。更に、T
細胞エピトープを含む隣接しない領域は、不連続の順序で(例えば、T細胞エピ
トープを含む領域が由来する未変性の蛋白質アレルゲンのアミノ酸の順序とは異
なる、アミノ酸がアミノ末端からカルボキシル末端へと配置される順序で)配置
できる。本発明のペプチドは、LolpVのT細胞エピトープの少なくとも15%、
少なくとも30%、少なくとも50%または100%までを含むことができるが、Lolp
Vのアミノ酸配列全体は含まない。
個々のペプチド領域は、どの領域がLolpVに特異的な免疫グロブリンEと結
合し、そのような領域のどれがマスト細胞または好塩基球からのメジエーター(
例えばヒスタミン)の放出を生起するかを決定するために形成かつ試験できる。
免疫グロブリンEと結合し、マスト細胞または好塩基球からのメジエーターの放
出を、試験したアレルギー性血清の約10〜15%を越えて生起することが判明した
ペプチド領域は、好ましくは、本発明の好適なペプチドを形成するように配置し
たペプチド領域に含めない。
予備的なIgE 結合データの研究(実施例3)でIgE と結合しないと思われる好
適なペプチド領域の例は、図2に示されている、そのような領域のアミノ酸配列
(配列番号3〜29)、または該領域の、少なくとも1個のT細胞エピトープを含
む部分を包含する。
好適なペプチドは、上記に考察した好適な領域のうち2領域もしくはそれ以上
、またはそれらの一部の様々な組合せを含む。2領域またはそれ以上(各領域は
図2に示したようなアミノ酸配列を有する)の組合せを含む好適なペプチドは、
下記を包含する:
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1
6(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1
2(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-
20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1
7(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)およびLP
IX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1
1(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(
配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-8
(配列番号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配
列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列
番号21)、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-23(配列番号25)およびLPIX-26(配
列番号28);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-16(配列番号18)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-17(配列番号19)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-16(配列番号18)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-17(配列番号19)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-11(配列番号13)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およ
びLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-11(配列番号13)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-16(配列番号18)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-11(配列番号13)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-16(配列番号18)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-11(配列番号13)、LPIX-16(配列番号18)およびLPIX-20(配列番号22)
;
LPIX-11(配列番号13)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22)
;
LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22)
。
本発明の更にもう一面では、LolpVの少なくとも1個のT細胞エピトープを
それぞれ含む、少なくとも2ペプチドを含む組成物(例えば、少なくとも2ペプ
チドの物理的混合物)が与えられる。そのような組成物は、治療の用途のための
製薬上許容され得る希釈剤の担体を有するか、または試薬の用途のための慣用の
非製剤用賦形剤を更に有する組成物の形態であることができる。治療用に用いる
ときは、有効量の1種類またはそれ以上のそのような組成物を、ドクムギ花粉感
受性の個体に同時にか、または順次に投与できる。
本発明のもう一面では、LolpVペプチドの同時にか、または順次に投与でき
る組合せが与えられる。そのような組合せは、ただ1種類のみのペプチドか、ま
たは、望まれるならば、より多くのペプチドを含む治療用組成物を含む。そのよ
うな組成物は、好適な組合せで同時にか、または順次に投与してよい。
同時にか、または順次に投与できるか、さもなければ利用できるLolpVペプ
チドの好適な組成物および好適な組合せ(図2に示したアミノ酸配列を有するペ
プチドを含む)は、下記の組合せを包含する:
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1
6(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1
2(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-
20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1
7(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)およびLP
IX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1
1(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(
配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-8
(配列番号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配
列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列
番号21)、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-23(配列番号25)およびLPIX-26(配
列番号28);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-16(配列番号18)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX
-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-16(配列番号18)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-17(配列番号19)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)および
LPIX-20(配列番号22);
LPIX-11(配列番号13)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およ
びLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-11(配列番号13)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-16(配列番号18)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-4(配列番号6)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-11(配列番号13)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-5(配列番号7)、LPIX-16(配列番号18)およびLPIX-20(配列番号22);
LPIX-11(配列番号13)、LPIX-16(配列番号18)およびLPIX-2 (配列番号22
):
LPIX-11(配列番号13)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-20(配列番号22)
;
LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-2 (配列番号22)
。
本発明のもう一面では、少なくとも2ペプチドを含む治療用組成物(例えば、
少なくとも1個のエピトープをそれぞれ含む少なくとも2ペプチドの物理的混合
物)であって、少なくとも一方のペプチドが、下記の群から選ばれるLolpVに
由来するアミノ酸またはその一部を含み:LPIX-1(配列番号3)、LPIX-2(配列
番号4)、LPIX-3(配列番号5)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7
)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-7(配列番号9)、LPIX-8(配列番号10)、LP
IX-9(配列番号11)、LPIX-10(配列番号12)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-1
2(配列番号14)、LPIX-13(配列番号15)、LPIX-14(配列番号16)、LPIX-15(
配列番号17)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-18(配
列番号20)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-21(配列
番号23)、LPIX-22(配列番号24)、LPIX-23(配列番号25)、LPIX-24(配列番
号26)、LPIX-26(配列番号28)およびLPIX-27(配列番号29)(図2に示したと
おり)、少なくとも一方のペプチドが、下記の群から選ばれるLolplに由来す
るアミノ酸またはその一部を含む治療用組成物が与えられる:
LPI-1(配列番号30)、LPI-1.1(配列番号31)、LPI-2(配列番号32)、LPI-3(
配列番号55)、LPI-4(配列番号33)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-5(配列番
号35)、LPI-6(配列番号36)、LPI-7(配列番号37)、LPI-8(配列番号38)、L
PI-9(配列番号39)、LPI-10(配列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-12(
配列番号42)、LPI-13(配列番号43)、LPI-14(配列番号44)、LPI-15(配列番
号45)、LPI-16(配列番号46)、LPI-16.1(配列番号47)、LPI-17(配列番号48
)、LPI-18(配列番号49)、LPI-19(配列番号50)、LPI-20(配列番号56)、LP
I-21(配列番号51)、LPI-22(配列番号52)およびLPI-23(配列番号53)。図3
に示した様々なLolpIの合成はもとより、LolpIを暗号化しているクローンの
単離およびクローニングも、LolpIを用い、かつLolpIに由来する様々なペプ
チドを用いたヒトT細胞の研究とともにPCT公開特許第US94/02537号公報に記
載されており、引用によってその全体がここに組み込まれる。
好ましくは、該治療用組成物は、少なくとも5、6、7または8ペプチドを含
み、ここで、少なくとも3または4ペプチドは、LolpVに由来し、かつ下記の
群から選ばれ:LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-11(配列
番号13)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)およびLPIX-20(
配列番号22)、少なくとも2、3または4ペプチドは、LolpIに由来し、かつ
下記の群から選ばれる:LPI-16(配列番号46)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20
(配列番号56)およびLPI-23(配列番号53)。例えば、好適な治療用組成物は、
LolpIからの少なくとも2ペプチドとLolpVからの3ペプチドと、またはLol
pIからの3ペプチドとLolpVからの3ペプチドと、またはLolpIからの3ペ
プチドとLolpVからの4ペプチドと、またはLolpIからの4ペプチドとLolp
Vからの4ペプチドと、またはLolpIからの4ペプチドとLolpVからの3ペプ
チドとを含む。
本発明のもう一面では、同時にか、または順次に投与できる、LolpVおよびL
olpIに由来するペプチドもしくはその一部の組合せを投与する段階を含む方法
が提供されるが、そのようなペプチドは、製薬上許容され得る担体または希釈剤
との治療用組成物の形態であることができる。同時にか、または順次に投与でき
る、LolpVおよびLolpIのペプチドを含む好適な組成物および好適な組合せの
例は、下記の組合せである:
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPI-22(配列番号
52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、
LPIX-8(配列番号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-
12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19
(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-23(配列番号25)、LPIX-26(
配列番号28);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20、LPI-23(配列番号53
)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配列番号40)、LP
I-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPI-22(配列番号52)、LPIX-4(
配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-8(配列番
号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14
)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)
、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-23(配列番号25)、LPIX-26(配列番号28)、L
PIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-9
(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(
配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配
列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(
配列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPI-22(配列番
号52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)
、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LP
IX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-
23(配列番号25);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPI-22(配列番号
52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、
LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPI
X-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPI-22(配列番号
52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、
LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPI
X-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPI-22(配列番号
52);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPIX-4(配列番号
6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-8(配列番号10)、
LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX
-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20
(配列番号22)、LPIX-23(配列番号25)、LPIX-26(配列番号28);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPIX-4(配列番号
6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-9(配列番号11)、
LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPI
X-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPIX-4(配列番号
6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-9(配列番号11)、
LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPI
X-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPIX-4(配列番号
6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-12(配列番号14)
、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、L
PIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPIX-4(配列番号
6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-1 (配列番号18)
、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-10(配
列番号40)、LPI-11(配列番号41)、LPI-15(配列番号45)、LPIX-4(配列番号
6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-16(配列番号18)
、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPIX-4(配
列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-8(配列番号
10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)
、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、L
PIX-20(配列番号22);LPIX-23(配列番号25)、LPIX-26(配列番号28);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPIX-4(配
列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-9(配列番号
11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番
号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号2
2);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPIX-4(配
列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-9(配列番号
11)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19
)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-23(配列番号25)
;
LPI- 16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI
-23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPIX-4(
配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8、LPIX-12(配列番
号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号2
1)、LPIX-20(配列番号22);
LPI- 16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI
-23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPIX-4(
配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-16(配列
番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-9(配列番号21)、LPIX-20(配列番号
22);
LPI- 16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI
-23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPIX-4(
配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-16(配列
番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-22(配
列番号52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号
8)、LPIX-8(配列番号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)
、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、L
PIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22)、LPIX-23(配列番号25)、LPIX
-26(配列番号28);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-22(配
列番号52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号
8)、LPIX-8(配列番号10)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)
、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、L
PIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-22(配
列番号52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号
8)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)
、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22)、L
PIX-23(配列番号25);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-22(配
列番号52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号
8)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19
)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-22(配
列番号52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号
8)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21
)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPI-4.1(配列番号34)、LPI-22(配
列番号52)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配列番号
8)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-20(配列番号22
);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPI-3(配列番号55)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配
列番号7)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-8(配列番号10)、LPIX-9(配列番号
11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18
)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22)
、LPIX-23(配列番号25)、LPIX-26(配列番号28);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI- 18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI
-23(配列番号53)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(
配列番号8)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-11(配列番号13)、LPIX-12(配列
番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番
号21)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配
列番号8)、LPIX-9(配列番号11)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列
番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番
号22)、LPIX-23(配列番号25);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配
列番号8)、LPIX-12(配列番号14)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列
番号19)、LPIX-19(配列番号21)、LPIX-20(配列番号22);
LPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)、LPI-
23(配列番号53)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7)、LPIX-6(配
列番号8)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、LPIX-19(配列
番号21)、LPIX-20(配列番号22);および
LPI-16.1、LPI-18、LPI-20、LPI-23、LPIX-4、LPIX-5、LPIX-6、LPIX-16、LPIX-
17、LPIX-20とLPI-16.1(配列番号47)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列
番号56)、LPI-23(配列番号53)、LPIX-4(配列番号6)、LPIX-5(配列番号7
)、LPIX-6(配列番号8)、LPIX-16(配列番号18)、LPIX-17(配列番号19)、
LPIX-20(配列番号22)と。
加えて、LolpIの少なくとも1T細胞エピトープをそれぞれ含む、少なくと
も2LolpIペプチドを含む組成物(例えば、少なくとも2ペプチドの物理的混
合物)が与えられる。そのような組成物は、製薬上許容され得る担体または希釈
剤との治療用組成物の形態で投与して、ドクムギ感受性、および、特にLolpI
蛋白質アレルゲンに対する感受性を治療することができる。LolpIペプチドの
、同時にか、または順次に投与できる(図3に示したアミノ酸配列を有するペプ
チドを含む)好適な組成物および好適な組合せは、下記の組合せを包含する:
LPI-16(配列番号46)およびLPI-20(配列番号56);
LPI-18(配列番号49)およびLPI-20(配列番号56);
LPI-20(配列番号56)およびLPI-23(配列番号53);
LPI-16(配列番号46)、LPI-18(配列番号49)およびLPI-20(配列番号56);
LPI-16(配列番号46)、LPI-20(配列番号56)およびLPI-23(配列番号53);
LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)およびLPI-23(配列番号53);
LPI-16(配列番号46)、LPI-18(配列番号49)、LPI-20(配列番号56)およびLP
I-23(配列番号53)。
ここに記載の組成物はいずれも、個体の、ドクムギ花粉アレルゲンまたは免疫
学的交叉反応性アレルゲンに対する感受性を治療する医薬の製造に役立つ。
下記の非限定的な図および実施例によって、本発明を更に説明する。
実施例1ドクムギ花粉からの未変性LolpVの精製
A.モノクローナル抗体(mAb)1B9の生産および精製
Dactylis glomerata(カモガヤ)の未精製花粉抽出物でBalb/c系マウスを免疫
し、記載のとおり抗体分泌クローンを生成した[Walshら、Int.Arch.Allergy
Appl.Immunol.(1990年)第91巻419〜425ページ]。LolpVに対して交叉反応
するMAb 1B9というハイブリドーマクローンをWalker博士(Birmingham 大学Wol
fson Research Lab.、英国バーミンガム)から得た。Balb/c系マウスから形成
される腹水液は、契約によって生産された(Babco、米国カリフォルニア州Richm
ond)。(NH4)2SO4沈澱(50%飽和)によって、腹水液から抗体を生成した。ペレ
ットを10ミリモルのリン酸緩衝液、pH7.5に再懸濁させ、同じ緩衝液に対して4
℃で一晩透析し、次いで、0〜0.5モルのNaClの線形勾配を用いた、FPLC Q-Seph
arose(Pharmacia、米国ニュージャージー州Piscataway)でのイオン交換クロマ
トグラフィーによって分画した。IgE は、0.15〜0.2モルのNaClの濃度で溶出さ
れた。
B.1B9免疫親和性カラムの調製
生成した1B9を、メーカーの使用説明書に従い、蛋白質3〜4mg/mlのを用いて
、Affigel-10(Biorad、米国カリフォルニア州Richmond)に結合させた。略述す
ると、PFLC Q-Sepharoseで生成したmAb 1B9を0.1モルのMOPS緩衝液、pH7.5に対
して、2〜3回交換しつつ4℃で一晩透析した。Affigel-10樹脂を、振盪したガ
ラス漏斗内で冷脱イオン水で洗浄した。洗浄した樹脂を、1B9抗体と4℃で4時
間混合し、次いで、1モルのエタノールアミン、pH8.0で1時間遮断した。樹脂
をカラムに充填し、PBSで洗浄し、次いで、PBS+0.05%アジ化ナトリウム
中で貯蔵した。
C.ドクムギ花粉からのLolpVの親和精製
脱脂したドクムギ花粉100g(Green Laboratories、米国ノースカロライナ州L
enoir)を、0.05モルリン酸緩衝液、pH7.2、0.15モルNaCl、臭化フェニルメチル
スルホニル(170μg/ml)、ロイペプチン(1μg/ml)、ペプスタチン(1μg/m
l)およびダイズトリプシン阻害剤(1μg/ml)を含有する抽出緩衝液1リット
ルで抽出した。
溶液を4℃で一晩撹拌し、次いで、12,000xgで100分間遠心分離することに
よって、花粉を抽出した。不溶性物質は、抽出緩衝液0.5〜1.0 1で再抽出し、
次いで、上清を併せ、0.05モルリン酸緩衝液+0.3モルNaCl pH7.2 で平衡させた
DE-52 セルロース(Whatman、英国Maidstone)100mlへのバッチ吸収によって、
色素除去した。
未結合材料は、0.5ml/秒の流速で1B9-Affigel-10のカラムに装荷した。次い
で、PBS、PBS+0.5 モルNaCl、そしてもう一度PBSでカラムを徹底的に
洗浄してから、0.1モルのグリシン、pH2.7でLolpVアレルゲンを溶出させた。
分画を直ちに1モルのトリクレン、pH11.0で中和した。これらの親和精製した材
料は、IgE の研究およびT細胞エピトープのマッピングに用いた。親和精製したLolpVの物理化学的特性
1B9で親和精製した材料を、SDS−PAGEによって分析した。図15に示し
たとおり、LolpVは、分子量が29,000〜22,000の範囲の多重帯域として存在す
る。これらの成分はすべて、ウエスタンブロット分析によって、1B9に対して反
応性であった(データは示さず)。これらの成分を、ProBlott膜(Applied Bios
ystems、米国カリフォルニア州Foster City)で電気ブロットし、クーマシーブ
ルーで染色し、3条の主帯域を切り出し、Beckman LF−3000(Beckman In
struments、米国カリフォルニア州Carlsbad)という配列決定装置で配列決定し
た。3帯域のN末端配列を表1に示す。この配列決定データは、中間および低分
子量の帯域は、より高分子量の成分のN末端切断生成物を表すことを示す。N末
端の配列は、クローン化されたLolpV(12R)と同一である(PCT出願公
開第WO93/04174号公報を参照のこと)。N末端の5個のプロリン残基は、すべて
ヒドロキシプロリンであることが判明したが、これは、米国北部の草本からの第
5群のアレルゲンに共通であるように思われた[F.Matthiesenら(1991年):C
lin.Exp.Allergy、第21巻297〜307ページ]。発明者らは、1B9で親和精製した
材料をアミノ酸分析によっても決定し(表2)、データは、Klysnerら[Clin.E
xp.Allergy(1992年):第22巻491〜497ページ]が報告した米国北部の草本か
らのLolpVその他の第5群のアレルゲンに酷似した。更に、特異的な抗第1群m
Ab を用いたウエスタンブロット分析(データは示さず)は、第1群の蛋白質は
標本中に検出できないことを立証した。したがって、考え合わせると、これらの
データは、1B9で親和精製した標本は、第5群のアレルゲンのみを含むにすぎな
いことを示唆する。
実施例2−LolpVを用いたヒトT細胞の研究重複ペプチドの合成
図1に示したクローン12R(配列番号2)、ATCC番号69475のcDNA
配列から、LolpVのアミノ酸配列を推理した。LolpVを暗号化しているクロー
ン12R(LolpIb.1として記載)の単離およびクローニングの詳細は、引用に
よってその全体がここに組み込まれるPCT出願公開第WO93/04174号公報に与え
られている。クローン12Rによって暗号化されている組換えによって生産され
たLolpVの発現の一実施例は、下記の実施例4で与えられる。
標準的Fmoc/tBoc合成化学を用いて、ドクムギLolpVの重複ペプチドを合成し
、逆相HPLCによって精製した。図2は、これらの研究に用いたLolpVペプ
チドを示す。ペプチド名は、一貫して整合している。ドクムギの抗原ペプチドに対するT細胞の応答
季節性鼻炎の臨床的症状を示し、草本について皮膚試験陽性であった草本アレ
ルギー患者からのヘパリン処理血液60mlのリンパ球分離培地(LSM)の遠心分
離によって、末梢血単核細胞(PBMC)を精製した。10μg/mlの親和精製した
未変性LolpVを有する、5%の熱不活性化ヒトAB血清で強化した完全培地(I
RPMI−164)、2モルのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン/ス
トレプトマイシン、5x10-5モルの2-メルカプトエタノール、および10ミリモル
HEPESの、加湿した5%CO2の恒温器中で37℃で6日間の大量培養での2x1
06 PBL/mlの刺激によって、長期T細胞系統を確立した。この量の開始抗原
が、大部分の草本アレルギーの患者からのT細胞の活性化に最適であると決定さ
れた。LSM遠心分離によって、生存できる細胞を精製し、5単位の組換えヒト
IL−2/ml、および5単位の組換えヒトIL−4/mlで強化した完全培地で、
望みの細胞数が達成されるまで最高3週間培養した。細胞は、4〜6週間休ませ
た。
次いで、選ばれたペプチド、すなわち組換えLolpI(rLolpI)、精製した
未変性LolpV、精製したrLoloV、または組換えFeldI(rFeldI)(I鎖)
、あるいは破傷風トキソイド(TT)に対してT細胞が増殖できる能力を評価した
。検定のために、エプスタイン・バーウイルス(EBV)で形質転換した2x104
個の自己B細胞(下記のとおり調製した)、または5x104個の照射PBLの存
在下で、2x104個の休止細胞を2〜50mg/mlのrLolpI、精製した未変性Lolp
V、rFeldI(I鎖)またはrLolpIで、96穴丸底プレートのウエルを二重に用
いて、200mlの堆積の完全培地中で3日間再剌激した。次いで、各ウエルに1mCi
のトリチウム化チミジンを16〜20時間与えた。取り込まれたカウントをガラス繊
維のフィルターマットに捕集し、液体シンチレーションによる計数の処
理をした。rLoloV、精製した未変性LolpVおよび組換えLolpI、ならびに上
記のとおり合成した抗原性ペプチドによる検定中の変動する抗原の線量を決定し
た。力価測定は、T細胞検定でのペプチドの線量を最適化するために用いた。各
ペプチドの力価測定での最大の応答を刺激指数(S.I.)として表した。S.I.は、
ペプチドに対する応答の際に細胞によって取り込まれた毎分カウント数(cpm)
を培地のみの中で細胞によって取り込まれたcpmで除したものである。背景レベ
ルの2倍に等しいか、またはそれより高いS.I.値は、「陽性」と考えられ、ペプ
チドがT細胞エピトープを含むことを示す。陽性の結果を、被験患者群について
の各ペプチドの平均刺激指数を算出するのに用いた。結果(示さず)は、一人の
患者が、LolpVペプチドはもとより、組換えLolpVや精製した未変性LolpV
にも充分に応答するが、rFeldI(I鎖)またはTTには応答しないことを立証す
る。このことは、LolpVのT細胞エピトープは、この特定のアレルギー性患者
からのT細胞によって認識されること、およびrLolpVは、そのようなT細胞エ
ピトープを含むことを示す。
上記の操作を、全部で19名の患者で追行した。個々の患者の結果を、その患者
が、精製した未変性LolpV蛋白質に2.0に等しいか、またはそれより高いS.I.で
応答し、かつその患者が、精製した未変性LolpIにに由来する少なくとも1ペ
プチドに2.0 またはそれ以上のS.I.で応答したならば、各ペプチドについての平
均S.I.を算出するのに用いた。患者19名からの陽性の実験の要約を図4に示す。
各棒の上の数字は、そのペプチドに対する平均S.I.を示す。カッコで括った数字
は、その特定のペプチドに応答する患者の百分率を表す。棒は、各ペプチドにつ
いての陽性度指数(平均S.I.を乗じた応答する患者の百分率)を表す。
図5は、上記と同じデータから導いた、各ペプチドについての順位和を示す。
棒は、被験患者19名の群でのペプチドに対する応答の累積和を表す。累積和を決
定するために、各個体でS.I.が最高である5種類のペプチドを決定し、5が最も
強い応答を表すように、順位の数字を降順に割り振った。次いで、患者群全体に
ついて、各ペプチドについての順位を合計して、そのペプチドについての累積順
位を決定した。各棒の上は、試験した19患者の群での平均S.I.、およびペプチド
に対する、S.I.が少なくとも2である陽性の応答の百分率(カッコ内)である。
陽性の百分率、および平均細胞刺激指数が与えられると、この2数字を乗じるこ
とによって、各ペプチドについての陽性度指数(P.I.)が算出できる。図5は、
この研究では、LPIX-20がペプチドの最高の順位付け和を有することを示す。
実施例3
主要なドクムギ花粉アレルゲンとしてのLolpV
A)ELISA分析
LolpVの重要性を調べるために、直接と競合との双方のELISA検定法を
実施した。直接ELISAでは、リン酸緩衝食塩水、pH7.4(PBS)への10μg
/mlの抗原100μlを用いて、Immulon II(Dynatech、米国バージニア州Chantill
y)という96穴プレートを室温(RT)で4時間、または4℃で一晩(O/N)
被覆した。各段階の間に、PBS−Tで3回プレートを洗浄した。過剰な被覆抗
原は除去し、RTで1時間、PBSに溶かした0.5%ゼラチン+1mg/mlPVP
の1ウエルあたり300μlで穴を遮断した。系統希釈した患者血漿、または希釈剤
のPBS+0.05%のTween-20を、ウエルを二重に用い、1ウエルあたり100μlと
して4℃で一晩温置した。未結合抗体を除去し、ウエルを100μg/ウエルの第二
のAb(1:1,000、ビオチニル化したヤギ抗ヒトIgE、KPL Inc.、米国メリーラン
ド州Gaithersburg)とともにRTで1時間温置した。この溶液を除去し、ストレ
プトアビジン−セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)(1:10,000)を
100μl/ウエル(SBA Inc.米国アラバマ州Birmingham)で加え、RTで1時間
温置した。3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)である基質(KPL Inc.
、米国メリーランド州Gaithersburg)を直前に混合し、100μg/ウエルで加え、
1〜5分間で発色させた。100μg/ウエルの1モルリン酸の添加によって反応を
停止させた。MR7000プレート読取り装置(Dynatech、米国バージニア州Chantill
y)で450nmフィルターを用いて、プレートを読取った。二重のウエルの吸光度レ
ベルを平均した。結果を、吸光度対希釈としてグラフ化した。競合ELISAは
、同じ操作手順に下記の変化を加えて実施した:IgE の最終源として一回希釈の
患者血漿(またはプールしたヒト血漿(PHP))を用いた;系統希釈した抗原
を血漿と混合し、O/N4℃で温置した。次いで、この血漿をウエルを二重に用
いて温置した。結果を吸光度対競合抗原の濃度の対数としてプロットした。
直接ELISAのために、ドクムギ花粉の可溶性花粉抽出物(SPE)または
rLolpV(精製した未変性LolpVは少量のLolpIを有することがあるので、組
換え材料の使用が、IgE がLolpVのみと結合することを確実にする)のいずれ
かでウエルを被覆し、これらの抗原とのヒトIgE 抗体の結合を分析した。ドクム
ギ穿刺試験の評点が3+またはそれ以上の患者20名からの等量の血漿からなるP
HP(PHP−A)、または直接ELISAによって測定した限りで高いIgE 結
合性を有する、草本皮膚試験で反応性である患者40名からの等アリコートの血漿
からなるPHP(PHP−B)、または個々の患者からの血漿を、この研究で比
較した。PHP−A(図6)、PHP−B(図7)、ドクムギ花粉SPEでの個
々の患者4名(図8)、および精製したrLolpV(図9)によるSPEまたはrL
oloVに対する結合反応性の結果は、花粉抽出物と組換え蛋白質との双方に対
しては、高いIgE の結合性が存在することを示す。
競合検定では、ELISAのウエルをドクムギ花粉SPEで被覆し、次いで、
競合するドクムギ花粉SPE、精製した未変性LolpV、またはrLolpVの存在
下でアレルギー患者のIgE の結合を測定した。この検定でのアレルギー性IgE の
採集源は、PHP−A(図10)、または個々の患者の血漿(図11)であった。競
合検定は、LolpSPEに対するIgE の少なからぬ部分がLolpVに特異的である
ことを確認した。
B)ヒスタミン放出分析
ドクムギアレルギーの患者1名で、LolpSPEおよびrLolpVを追加抗原と
して用いて、ヒスタミン放出検定を実施した。この検定は、ヒト好塩基球という
メジエーターの放出を通じてのIgE の反応性の尺度であり、特異的モノクローナ
ル抗体を用いたヒスタミンのアシル化誘導体の検出に基づく[A.M.Morelおよび
M.A.Delaage(1988年):J.Allergy Clin.Immunol.第82巻646〜654ページ]
。この放射線免疫検定法の試薬は、Amac Inc.(米国メイン州Westbrook)によ
って、キットとして販売されている。ヘパリン処理した全血を草本アレルギーの
個体から吸引し、次いで、アリコート200μlを、様々な濃度の当量の草本抗原の
SPEおよびrLolpVと、またはポリプロピレン1.5mlに溶かした希釈剤である
PACM緩衝液(25ミリモルPIPES、100ミリモルNaCl、5ミリモルKCl、4
ミリモルCaCl2、1ミリモルMgCl2、0.003%HSA、pH7.3)と混合した。放出反
応は、37℃で30分間実施した。この温置後に、試料を1,500rpmで3分間遠心分離
し、上清を取り出した。全ヒスタミン放出については、PACM緩衝液0.9mlに
血液0.1mlを加え、渦流撹拌し、次いで3分間沸騰させた。試料を13,000rpmで回
転させ、分析のために上清を取り出した。二重にした試料を用いて、全放出を測
定した。すべての上清をアシル化緩衝液で1:4に希釈し、検定の残余は、メー
カーの操作説明書に従って実施した。この検定の結果は、図12に示したが、抽出
物と組換え蛋白質との双方に対する広い濃度範囲にわたる強いヒスタミン放出を
立証する。
C)LolpVペプチドに対する反応性
LolpVペプチドに対するIgE の反応性を評価するために、直接ELISAを
実施した。この検定では、ELISAのプレートを合成LolpVペプチド(図2
に示す)およびrLolpV蛋白質のセットで被覆した。ウエル上でPHP−Bのヒ
トIgE との結合を温置し、得られる結合を分析した。図13aおよび図13bに証拠付
けられるとおり、この予備検定では、LolpV蛋白質との非常に高いIgE の結合
が存在するものの、LolpVペプチドのいずれとの有意な結合も検出されない。
D)LolpIおよびLolpVはドクムギ花粉の主要なアレルゲンを構成する。
LolpエおよびLolpVは、一体となって、ドクムギ花粉SPEの主要なIgE 結
合蛋白質を構成することを示すために、別個の競合ELISAを実施した。この
検定では(図14)、精製した未変性LolpIとLolpVの混合物、またはrLolpI
とrLolpVの混合物が、ドクムギ花粉SPEとのIgE の結合に競合できる能力を
調べるために、PHP−Bを用いた。精製した未変性蛋白質は、ドクムギ花粉S
PEとのIgE の結合に背景レベルまで競合する。rLolpIとrLolpVの混合物も
、プレートを被覆するSPEとの結合に利用できるIgE の量を実質的に減少させ
ることができる。すべてのドクムギ花粉蛋白質に対して仕向けられたヒトIgE の
大多数は、ドクムギ花粉のSPE蛋白質の複雑な混合で見出される僅か2種類の
蛋白質(LolpIおよびLolpV)の混合によって、結合された。このデータは、
これら2種類のペプチドがドクムギ花粉の主要アレルゲンであることを意昧する
。
実施例4
LolpVの発現
LolpVの発現を下記のとおり実施した。λgtIIクローンの12RをEcoRIで消
化した。LolpVを暗号化している挿入断片をpGEXに結合した。LolpVを含むpG
EXベクター(クローン12R)をEcoRIで消化した。LolpVの挿入断片(図1に
示したヌクレオチド配列を有する)を、1%のSeaPlaqueという低融点アガロー
スゲル中でのこの消化物の電気泳動によって、単離した。次いで、挿入断片を、
独自のEcoRIエンドヌクレアーゼ制限部位に続く、ATG という開始コドンの3’
直近の6個のヒスチジン(His6)を暗号化している配列を含むように修飾した、
EcoRIで消化した発現ベクターのpET-11d(Novagen、米国ウィスコンシン州Madis
on、Jmeelら(1990年):J.Virol.第64巻3,963〜3,966ページ)に結合した。
ベクター中の第二のEcoRIエンドヌクレアーゼ制限部位は、隣接するClaIおよび
Hind IIIエンドヌクレアーゼ制限部位とともに、EcoRIおよびHind IIIによる消
化、平滑断端化および再結合によって、予め除去しておく。Ni2+キレート化カラ
ム[Hochuliら(1987年):J.Chromatog.第411巻177〜184ページ;Hochuliら
(1988年):Bio/Tech.第6巻1,321〜1,325ページ]での組換え蛋白質(rLolp
V)の親和精製のために、このヒスチジン(His6)配列を追加した。組換えクロ
ーンを用いて、T7ポリメラーゼを暗号化している遺伝子に先行するイソプロピル
−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導できるプロモーターを有
するプラスミドを潜伏させている大腸菌株のBL21−DE3を形質転換したI
PTGによる誘導は、高レベルのT7ポリメラーゼの発現へと導くが、これは、T7
のプロモーターを有するpET-11dでの組換え蛋白質の発現
に必要である。LolpV(クローン12R)を含有するpET-11dは、ジデオキシ配
列決定法[Sangerら(1977年):Proc.Natl.Acad.Sci.USA第74巻5,460〜5,4
63ページ]によって、発現の正確な読み枠内のLolpVクローンであることが確
認された。
組換え蛋白質の発現および精製のために、pET-11d LolpVクローンを大規模
に増殖させた。組換えプラスミドを含有する細菌の2mlの培養体を8時間増殖さ
せ、次いで、固体培地(例えば、200μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地
(Gibco-BRL、米国メリーランド州Gaithersburg)への1.5%アガロースを有する
6枚のペトリプレート(100x15mm))に画線し、融合まで一晩増殖させ、次い
で、アンピシリン(200μg/ml)を含有する液体培地(脳心臓インフュージョン培
地、Difco)91に掻き取って入れた。培養体を、A600が1.0になるまで増殖さ
せ、IPTGを加え(1ミリモルの最終濃度)、培養体を更に2時間増殖させた
。
遠心分離(7,930xg、10分)によって細菌を回収し、6モルのグアニジン−H
Cl 90mL、0.1モルのNa2HPO4、pH8.0中で1時間、激しく撹拌しつつ溶菌させた。
不溶性材料は、遠心分離(11,000xg、10分、4℃)。溶解物のpHをpH8.0に調
整し、溶解物を、6モルのグアニジン-HCl、100ミリモルのNa2HPO4、pH8.0で平
衡させておいた80ml入りニッケルNTAアガロースカラム(Qiagen、米国カリフ
ォルニア州Chatsworth)に掛けた。6モルのグアニジン−HCl、100ミリモルのNa2
HPO4、10ミリモルのトリス−HCl、pH8.0、次いで、8モルの尿素、100ミリモル
のNa2HPO4、pH8.0、そして最終的に8モルの尿素、100ミリモルの酢酸ナトリウ
ム、10ミリモルのトリス−HCl、pH6.3で順次に洗浄する。流過物がA280≦0.05
を有するまで、カラムを各緩衝液で洗浄した。
組換え蛋白質のrLolpVを8モルの尿素、100ミリモルの酢酸ナトリウム、10
ミリモルのトリス−HCl、pH4.5で溶離させ、10mlのアリコートとして捕集した。
各分画の蛋白質の濃度を、A280の吸光度によって決定し、ピーク分画をプール
した。捕集した組換え蛋白質のアリコートを、Sambrookら、前出の方法に従って
、SDS−PAGEで分析した(データは示さず)
最初の9リットルの標本は、約60〜70%の純度を有するrLolpV12mgを生じた
。標本の純度は、クーマシーブルーで染色したSDS−PAGEゲルの濃度測定
(Shimazu Flying Spot Scanner、Shimazu Scientific Instruments Inc.、米
国メリーランド州Braintree)によって決定した。
実施例5−DacgVのクローニングおよび発現
Greer Laboratories(米国ノースカロライナ州Lenoir)からDactylis glomera ta
の花粉を購入した。PCT出願公開第US92/05661(WO93/01213)号公報に前記
のとおり、RNAを単離し、Invitrogen(米国カリフォルニア州サンディエゴ)
からのMICRO-FAST TRACK(商品名)というmRNA単離キットを用いて、ポリA
+RNAを単離した。BRL cDNA SYNTHESIS PLUS(商品名)キット(米国メリー
ランド州Gaithersburg)を用いて、二本鎖cDNAを作製した。cDNA CLONING S
YSTEM 1GT10(商品名)(Amersham、米国イリノイ州Arlington Heights)を用い
て、1gt10にcDNAライブラリーを作製した。メーカーの示唆する操作手順を
用いて、EcoRI、BamHI、KpnIおよびNcoIの制限部位を含むD. glomerataの二本鎖
cDNAをアダプターアームに結合し、(ラムダ)gt10内に結合した。やはりメ
ーカーの示唆する操作手順を用いて、ライブラリーをパッケージし、力価測定し
た。ライブラリーを展開培養し、ランダムプライムによるプローブ(RANDOM PRI
MED DNA LABELING KIT(商品名)、Boehringer Mannheim Corporation、米国イ
ンディアナ州Indianapolis)、またはニックトランスレーションによるプローブ
[J.Sambrook ら:Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Ha
rbor Laboratory(1989年)]を用いて、100,000を越える独立したファージのプ
ラークをふるい分けした。ライブラリーは、1.2キロベースのLolpVクローン1
2RのcDNAでふるい分けした[M.B.Singh:Proc.Natl.Acad.Sci.USA(
1991年)第88巻1,384〜1,388ページ]。
多くの陽性のクローンが、最初のふるいの中に特定された。いくつかのクロー
ンを、標準的手法[J.Sambrookら:Molecular Cloning: A Laboratory Manual
、Cold Spring Harbor Laboratory(1989年)]を用いて回収し、同じLolpVク
ローンの12Rのプローブを用いて、高力価のファージストックの希釈物を再ふ
るい分けした。ファージストックは、標準的手法[J.Sambrookら:Molecular C
loning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1989年)]を
用いて調製した。陽性のクローンを再び回収し、前と同じように高力価のストッ
クを調製し、LolpVクローンの12Rのプローブによる第三のふるい分けのた
めに系統希釈物を調製した。この第三のふるい分けの後では、228、235、236、2
59、267および285番の6ファージクローンが陽性であり、記載のとおり[J.Samb
rookら:Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Labora
tory(1989年)]高力価のストックを調製した。標準的手法[J.Sambrookら:M
olecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(19
89年)]を用いて、選ばれたファージからcDNA挿入断片を単離した。クロー
ン228番からの挿入断片は、約500塩基対(bp)であった。クローン235番からの
挿入断片は、約1,000bpであった。クローン236番からの挿入断片は、約1,200bp
であった。クローン259番からの挿入断片は、約1,200bpであった。クローン267
番からの挿入断片は、約1,000bpであった。クローン28
5番からの挿入断片は、約800bpであった。単離した挿入断片は、それに続く分析
のために、適切に消化されたpUC18および/またはpUC19中にクローニングした。
Sangerらの標準的なジデオキシ鎖末端法[F.Sangerら:Proc.Natl.Acad.Sci
.USA(1977年)第74巻5,460〜5,463ページ]に基づくSEQUENASE(商品名)とい
うキット(USB、米国オハイオ州クリーブランド)を用いて、cDNA挿入断
片を配列決定した。
クローンのすべてについての部分的配列を決定した。LolpVクローンの12
Rの配列(配列番号2)[E.K.Ongら:Gene(1993年)第134巻235〜240ページ
]との比較によって、すべてがDacgVの配列を含むことが判明した。クローン2
35番および236番の部分的に翻訳された配列は、互いに酷似してはいたが、その
配列(示していない)の異なる部位で始まり、DacgVの一つのイソ型を表すよ
うに思われる。クローン259番の部分的に翻訳された配列は、クローン235番およ
び236番のそれとは異なり、DacgVの第二のイソ型を表すように思われる。クロ
ーン259番の部分的に翻訳された配列は、LolpVのクローン12Rの配列(配列
番号2)[E.K.Ongら:Gene(1993年)第134巻235〜240ページ]と最も相同で
ある。クローン235番および236番の部分的に翻訳された配列は、LolpVのクロ
ーン19Rの配列[E.K.Ongら:Gene(1993年)第134巻235〜240ページ]と最
も厳密に相同である。
クローン259番を全体的に配列決定した。標準的な前進後退プライマー(New E
ngland Biolabs、米国マサチューセッツ州Beverly)を用いて、両端から配列決
定した。EcoRIおよびPstIでの単離挿入断片の消化によって、下位構成体を調製
し、適切に消化したpUC18中に断片をクローニングして、内部配列を決定した。D
acgV遺伝子の5’位に対応するEcoRI/PstI挿入断片を単離し、StuIまたはS
au3AおよびXhoIで更に消化し、適切に消化したpUC19中に結合させて、以後の配
列分析を実施した。クローン259番のヌクレオチド(配列番号57)および推理さ
れるアミノ酸配列(配列番号58)を図16に示す。ヌクレオチド1〜25番はアダプ
ター配列に相当する。この配列はポリA鎖で終る、すなわちアダプター配列は、
この配列の3’末端では示されない。700〜1,181番のヌクレオチド配列は、予備
的であるにすぎず、誤って特定され得るものもある。例えば、ヌクレオチド712
番は、仮に「C」として特定されている。しかし、これは、Gly196を暗号化して
いるコドンの第三位であり、残基712番での別なヌクレオチドの存在は、予測さ
れるアミノ酸を変えない。第5群の草本アレルゲンを配列決定することは、それ
らの高いGC含量のために困難である。
クローン236番および259番は、ATCCに寄託してある。
第5群のアレルゲンは、非常に保存的な領域を有することから、ここに記載の
LolpVの主要なT細胞エピトープ含有ペプチドは、特に該領域が近縁草本間で
強固に保存されている場合は、DacgVの主要T細胞エピトープである可能性が
高い。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12N 15/02 9637−4B C12P 21/02 C
C12P 21/02 9358−4B 21/08
21/08 0276−2J G01N 33/53 Q
G01N 33/53 0276−2J K
0276−2J 33/577 B
33/577 9284−4C A61K 39/395 N
// A61K 39/395 9162−4B C12N 15/00 C
(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SK,UA,US,UZ,V
N
(72)発明者 ルクマン,モハマド
アメリカ合衆国 01720 マサチューセッ
ツ,アクトン,キャリッジ ドライブ 13