JPH09504021A - プロスタグランジンの新規使用 - Google Patents

プロスタグランジンの新規使用

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JPH09504021A
JPH09504021A JP7511697A JP51169795A JPH09504021A JP H09504021 A JPH09504021 A JP H09504021A JP 7511697 A JP7511697 A JP 7511697A JP 51169795 A JP51169795 A JP 51169795A JP H09504021 A JPH09504021 A JP H09504021A
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ストイエルンシヤンツ,ヨハン
レスユウル,バーホラム
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Abstract

(57)【要約】 組織又は変性組織(例えば髪)の色素沈着を増加させるためのプロスタグランジン、その誘導体又は類似体を含む組成物の製造方法を開示する。これらの中では、特にプロスタグランジンF及びプロスタグランジンE2の誘導体及び類似体が前記目的に適していることが知見された。

Description

【発明の詳細な説明】 プロスタグランジンの新規使用 本発明は、動物(ヒトを含む)の組織(例えば目、皮膚及び髪)の色素沈着を 増すためのプロスタグランジン及びその活性誘導体又は類似体の使用に関する。 本発明は更に、前記使用のための医薬又は化粧用組成物、及びその製造に関する 。 目、皮膚及び髪の色はこれらの構造体の細胞中のメラニンの量によって決定さ れる。従って、例えば目の色は虹彩のメラニン細胞中のメラニンの量によって決 定される。茶色の目をしたヒトの場合、虹彩のメラニン細胞は多量のメラニンを 含んでおり、青い目をしたヒトの虹彩のメラニン細胞はメラニンを僅かしか含ん でいない。青目の光が虹彩後側の色素上皮から反射すると、波長の短い青い光は 吸収されず、目の色は青く見える。虹彩が茶色のヒトの場合、光はメラニン細胞 内のメラニンによって吸収され、茶色のように見える。虹彩が薄茶色(はしばみ 色)又は緑茶色のヒトの場合、メラニン細胞のメラニン含有量は青い目のヒトよ りは多いが、茶色の目のヒトよりは少ない。 皮膚細胞中のメラニンが少ない個体は淡色の皮膚をしているが、メラニンの多 い個体では、メラニン細胞の数や細 胞中のメラニン含量によって皮膚の色は茶色又は黒色のように見える。目では虹 彩メラニン細胞は非移動性(continent)とみなされ、即ちメラニン細 胞はメラニン顆粒を隣接細胞に移動させないが、皮膚ではメラニン細胞は通常メ ラニンをケラチノサイトに移動させ、従って移動性(incontinent) とみなされる。 髪の色は、皮膚乳頭に位置するメラニン細胞によって決定される。これらの細 胞のメラニンは髪の基質や皮質の細胞に移動し、その後角化し、髪を形成する。 従って、毛胞付近のメラニン細胞を刺激してより多くのメラニンを生成しこれを 髪の基質や皮質の細胞に付与すれば、髪の色を暗色方向に変えることが可能であ る。睫毛の成長も髪の成長と同様であり、メラニン細胞が睫毛包付近に存在する 。従って、これらのメラニン細胞を刺激してより多くのメラニンを生成すると、 睫毛はより暗化する。 目、皮膚及び髪の色の調整は一般にあまり解明されていない。しかしながら、 α−メラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)のようなある種のホルモン、及び ある種のステロイドホルモンが皮膚の色素沈着に作用することが公知である。皮 膚の通常の日焼けの過程では、紫外線が皮膚のメ ラニン細胞を直接又は間接的に刺激してより多くのメラニンを生成し、これが隣 接するケラチノサイトに移動する。新たなケラチノサイトが絶えず増殖し、古い ケラチノサイトは皮膚表面に達し、最後に剥がれて除去される。従って、皮膚が 繰り返し紫外線にさらされることがなければ、日焼けは時間と共に消えてしまう 。目の色又は髪の色の決定因子は不明で、例えば紫外線は目の色には全く又はほ とんど作用しない。 メラニンは、メラノゾームと称する小さな顆粒内に充填された大型ポリマーで ある。数種のメラニンがある。最も一般的な茶色−黒色メラニンはユーメラニン と呼称される。システインを含む他のメラニンはフェオメラニンである。通常、 フェオメラニンの色は黄色−赤色である。赤茶けた髪の個体はフェオメラニンを 有する。3番目の種類のメラニンは黒色のオキシメラニンである。 今回予想に反して、ある種のオータコイド、特にプロスタグランジン並びにプ ロスタグランジンの誘導体及び類似体は組織への長時間局所投与の際に、皮膚及 び目の虹彩のような身体組織又は髪及び睫毛のような変性身体組織の色素沈着増 加のために使用できることが知見された。従って、 プロスタグランジンを適用すると虹彩が色素沈着するので、目の色を変えること ができる。このような実験はサルで実施され、この結果が最近、プロスタグラン ジン類似体を用いた臨床試験でヒトでも実証された。最も予想外であったが、ヒ トではプロスタグランジンが睫毛の色を変化させ得ることも知見された。睫毛は 髪と類似しているので、髪の成長組織を同様に処理するとそれに対応して色が変 化することが十分に予測されよう。 プロスタグランジンは、通常身体で生成される不飽和20炭素脂肪酸から誘導 される成分群である。身体の実質的に全ての組織はプロスタグランジンや他のエ イコサノイドを生成する。プロスタグランジンは様々な重要な生理機能を有し、 オータコイドとして分類される。オータコイドは局所ホルモンを意味する。通常 プロスタグランジンのような局所ホルモンは、多様な生理現象に対して組織中の 協調作用を有する。天然プロスタグランジンの化学構造は以下の式: で表される。プロスタグランジンは前記式では「X」で表されるシクロペンタン 環と2個の側鎖とからなる。上方側鎖は7個の炭素原子を含んでα鎖と呼ばれ、 下方側鎖は8個の炭素原子を含んでω鎖と呼ばれる。α鎖の末端は通常カルボン 酸部分である。側鎖は1〜3個、最も頻繁には2個の二重結合を含み得る。二重 結合はα鎖の炭素原子5と炭素原子6との間に、またω鎖の炭素原子13と炭素 原子14との間に位置する。α鎖の二重結合はシス配置を示し、ω鎖の二重結合 はトランス配置を示す。更には、ω鎖の炭素15の置換基は生物活性に必須であ る。天然プロスタグランジンでは、この置換基はヒドロキシルである。シクロペ ンタン環(X)の配置及び官能価は種々のプロスタグランジンレセプターの選択 性のために重要であり、種々の配置を以下に示す: 従って、プロスタグランジンには5員環の官能価、即ちシクロペンタン環の配置 や置換基によって記号A、B、C、D、E、F又はJをつける。プロスタグラン ジンA、B、Cが恐らく天然ではなく、人工プロスタグランジンを表すことは注 目すべきである。にもかかわらず、これらのプロスタグランジンはかなりの生物 活性を示す。プロスタグランジンの送達を高めて、化学安定性を改善するために 、ω鎖のカルボン酸部分を、例えば1〜10個の炭素、特に1〜6個の炭素を含 むアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ ブチル、ネオペンチル又はベンジル)でエステル化することができる。プロスタ グランジンのこのようなエステル化プロドラッグは幾つかの特許や出願明細書に 記載されている(例えばヨーロッパ特許第093380号、ヨーロッパ特許第0 364417号及びWO92/02496号を参照されたい)。特定のプロスタ グランジン類似体に依存して、塩(例えばナトリウム塩)のような他の誘導体を 使用することもできる。 従って、例えばある種の老人性及び/又は病的症状でプロスタグランジン又は その活性類似体もしくは誘導体を投与して、目や皮膚のような身体組織及び髪や 睫毛のような 変性身体組織の色素沈着を増加させる方法を提供することが本発明のひとつの目 的である。前記症状は例えば以下のものを含む: −虹彩をより明化させる虹彩の色素脱失、 −初老の人々の間では普通の症状であり、一般にマイナスと感じられる典型的な 老人性変化である白髪、及び −色素沈着減少による皮膚の典型的な疾病である白斑。白斑は身体の多様な部位 で発生し得、美容上及び心理的な問題として認識されている。 不正確又は不完全であったとしても何等本発明を制限するものではない前述の 機構によれば、本発明は動物(ヒトを含む)でメラニン細胞を刺激してより多量 のメラニン型物質を生成する方法を提供することであるとして定義することがで きる。 通常、プロスタグランジンは治療すべき身体部分(例えば目、皮膚又は頭皮) に持続的に繰り返し局所投与される。活性成分のプロスタグランジンは、治療す べき身体の部位によって水溶液又は油性溶液、及びリニメント、クリーム、軟膏 、シャンプー又はパッチで投与することができる。かくして、処方物は治療すべ き器官又は組織の特定の生理的 要件に適合せねばならない。プロスタグランジン化合物の溶解度及び/又は安定 性は、プロスタグランジンと錯体を生成する物質(例えばシクロデキストリン型 物質)又は疎水性化合物と錯体(例えば包接錯体)を生成することが知られてい る他の化合物を添加することにより増すことができる。 目や皮膚のような身体組織及び髪や睫毛のような変性身体組織の色素沈着を増 すために、有効量の少なくとも1種のプロスタグランジン又はその活性類似体も しくは誘導体と、生理学的及び薬理学的に許容可能なキャリヤーとを含む組成物 を提供することも本発明の目的である。 目や瞼への局所使用では、薬理学的に許容可能な緩衝液や塩を添加することに よって、プロスタグランジン並びにその誘導体及び類似体(エステル及び塩を含 む)を生理学的に許容可能なモル浸透圧濃度を示す水溶液、クリーム、軟膏又は 油中に処方することができる。このような処方物はディスペンサーによっては、 塩化ベンゾアルコニウム、クロロヘキシジン、クロロブタノール、パラヒドロキ シ安息香酸及びフェニル水銀塩(例えば硝酸塩、塩化物、酢酸塩及び硼酸塩)の ような保存料、又は酸化防止剤、並びに EDTA、ソルビトール、硼酸等のような添加剤を添加剤として含んでいてもよ いし含まなくてもよい。更には、特に水溶液は多糖類(例えばメチルセルロース )、ムコ多糖類(例えばヒアルロン酸及び硫酸コンドロイチン)又はポリアルコ ール(例えばポリビニルアルコール)のような増粘剤を含み得る。種々の徐放性 ゲル及びマトリックスを、例えばその場でゲルを生成する物質に基づく可溶性及 び不溶性眼球挿入物と共に使用してもよい。使用すべき実際の処方物やプロスタ グランジン類似体によっては、様々な量の薬剤や異なる投与計画を使用してもよ い。通常、目の治療のためのプロスタグランジンの1日用量は0.1−1000 μg/目、特に1−100μg/目であり得る。処方物によっては1日量の投薬 達成のために、プロスタグランジンを日に1回投与してもよいし数回投与しても よい。 皮膚や頭皮への局所使用の場合、軟膏、クリーム、リニメント又はパッチをキ ャリヤーとして用いて、プロスタグランジン成分を配合することが有利であり得 る。更には、これらの処方物は、ディスペンサーによっては保存料を含んでいて も含まなくてもよい。このような保存料には、前述のように、例えばメチル−、 プロピル−又はブチルパラ ヒドロキシ安息香酸、ベタイン、クロロヘキシジン、塩化ベンゾアルコニウム等 が含まれる。種々の徐放性送達用マトリックスを使用することもできる。通常、 頭皮に適用すべき用量はプロスタグランジンや処方物によって0.0001−1 00mg/日、特に0.001−100mg/日である。好ましい実施態様では 、用量は0.001−10mg/日、特に0.01−10mg/日である。白斑 及び他の皮膚疾病の治療の場合、通常0.0001−10mg/dm2/日、例 えば0.001−1、特に0.01−1mg/dm2/日の用量を使用する。処 方によっては1日量の投薬達成のために、所用により酸化防止剤を含んだプロス タグランジンを日に1回投与してもよいし数回投与してもよい。 数種の異なるプロスタグランジンを使用して、前述した型の組織(例えば目、 皮膚及び髪)で色素沈着に対する治療効果を達成することができる。特にA、F 及びE型プロスタグランジンが効果的であることが判明した。目や皮膚の過敏状 態や赤みのような副作用を最低限にするために、ほとんど副作用がないことが判 明したプロスタグランジン誘導体又は類似体(例えば例えばPCT特許第WO9 0/ 02553号に記載のフェニル−及び他の環置換プロスタグランジン誘導体)を 使用することが適切であり得る。例えば広域の皮膚を治療すべき場合、高い薬理 活性を示し、副作用はないか又は非常に少ないプロスタグランジン(例えば17 −フェニル−18,19,20−トリノール−PGF及びそのカルボン酸エ ステル)が特に有用であり得る。良好な治療係数を示す他のプロスタグランジン 類似体を使用してもよい。一般に、髪の成長は遅いので、プロスタグランジンは 持続的に、通常半年から1年間使用すべきであり、皮膚又は髪の着色を保持すべ き場合には、プロスタグランジンを長期間使用せねばならない。特定のプロスタ グランジンの効力によっては、プロスタグランジンを含む処方物を長期治療中断 続的に使用する、例えば週1回もしくは2回、2週間に1回又は例えば1ケ月の 連続使用の翌月は治療しない等も可能である。 虹綾の色素沈着を増すためには、プロスタグランジン処方物を少なくとも3ケ 月以上規則的に投与すべきである。しかしながら、ある程度の色素沈着を達成し た後の目では、プロスタグランジンの投与量をかなり減らして、例えば週1回、 月1回、場合によってはそれ以上の間隔をあけるか、 又は治療を密にして治療間隔をあける、例えば日に1回で1ケ月治療し、その後 3−12ケ月の間は治療せず、その後再度日に1回で1ケ月の治療を行うなどし て新しい色素沈着状態を維持することができる。更には、プロスタグランジン治 療によって生ずる虹綾の変色は永続的で連続治療も断続治療も不要となり得る。 本発明を以下の非制限的な実施例及び臨床データにより説明する。 プロスタグランジン誘導体の合成及び処方 PGFイソプロピルエステル この化合物を市販の対応する酸PGFから製造した。Grundo R( Organic Prep and Proc Int 1980,12,22 5−228)が記載する方法に従って、酸をDBUの存在下、アセトン中、ヨウ 化イソプロピルで白色結晶質生成物としてエステル化した。融点59−60℃; 収率(77%);Rf=0.29(アセトン:EtOAc 1:1);1H NM R(CDCl3)d0.89(t,3H),1.2(d,6H),1.3(m, 6H),1.5(m,3H),1.68(m,2H),1.8(m,2H),2 .05−2.42(m, 8H),2.94(d,1H),3.94(m,1H),4.06(q,1H) ,4.18(q,1H),5(sept,1H),5.34−5.45(m,2 H),5.46−5.52(q,1H),5.54−5.60(q,1H);13 C NMR(CDCl3)d173.39,135.19,132.56,12 9.72,129.00,78.05,72.99,72.89,67.64, 55.83,50.46,42.87,37.27,34.06,31.74, 26.63,25.68,25.21,24.90,22.61,21.85, 21.84,14.02。PGE2イソプロピルエステル PGE2(Chinoinから入手したPGE2)(100mg,0.28mm oL)のアセトニトリル(10mL)溶液に、エチルジイソプロピルアミン(1 61mg,1.3mmoL)及びヨウ化イソプロピル(380mg,2.3mm oL)を添加した。この反応混合物を2〜3時間60〜65℃に暖めた(TLC 監視)。この溶液をジエチルエーテル(30mL)で希釈し、水(20mL)で 洗浄した。水層をジエチルエーテル(30mL)で抽出した。合わせた有機層を ブライン(2×10mL)、5%クエン酸 (2×15mL)及び5%炭酸水素ナトリウム(3×15mL)で洗浄した。有 機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を真空除去して無色油状物を 得た。これをジエチルエーテル/酢酸エチル(3:1)を溶離剤として用いるシ リカゲルのカラムクロマトグラフィーにかけて精製した。これによりPGE2イ ソプロピルエステルの無色油状物が得られた:収量72mg(64%)。NMRデータ 1 H NMR(CDCl3)δ0.9(3H,m);1.22(6H,d);1. 3(6H,m);1.4−1.5(2H,m);1.6−1.7(2H,m); 2.05(q,2H);2.2−2.4(6H,m);2.7(1H,m);4 .05(1H,q);4.10(1H,q);5.0(1H,sept)5.3 0(1H,m);5.43(1H,m);5.54(1H,q);5.64(1 H,q)。 PCT特許WO92/02496号に開示されている方法に従って、13,14 −ジヒドロ−17−フェニル−18,19,20−トリノールPGFイソプ ロピルエステル を製造した。上記特許は参考として本明細書の一部を構成するも のとする。動物でのプロスタグランジンの虹綾色素沈着への作用 カニクイザルを使用した。サルを以下のプロスタグランジン: − PGF−イソプロピルエステル0.5μg/日、2μg/日及び6μg /日; − PGE2−イソプロピルエステル3μg/日並びに −13,14−ジヒドロ−17−フェニル−18,19,20−トリノール−P GF−イソプロピルエステル2μg/日、6μg/日及び20μg/日 のいずれかを用いて日に1回で4〜12ケ月局所的に処置した。 対側性目にベヒクルだけを与えて、対照とした。虹綾色素沈着増加度を表Iに 示す。虹綾色素沈着の増加は大半が穏やかから中程度に分類されたが、全てのグ ループで顕著な色素沈着を示す動物がいた。従って、PGF2−イソプロピルエ ステル、PGE−イソプロピルエステル、及び13,14−ジヒドロ−17 −フェニル−18,19,20−トリノール−PGF−イソプロピルエステ ルは全て、非常にヒトの目を思わせる動物モデルで虹彩色素沈着を増加させた。 ヒトでのプロスタグランジンの虹彩色素沈着への作用 13,14−ジヒドロ−17−フェニル−18,19,20−トリノール−P GF−イソプロピルエステル眼滴を用いて実施した臨床試験により、サルで の結果がヒトでも立証された。約1.5μg/目/日の用量の薬剤(0.005 %眼溶液)で4.5〜6ケ月間連続治療した後に、緑茶色虹彩の患者で虹彩色素 沈着の変化が観察された。治 療前及び規則的な間隔での治療中に撮ったカラー写真で目の色の変化を調べた。 色素沈着の増加は穏やかから中程度として分類された。虹彩が治療前に色素脱失 した点又はより大きな区域を示す場合があった。これが薬剤治療中に色素が再付 着した。従って、老人性色素脱失の患者でプロスタグランジン治療を行うと正常 な色素沈着状態が回復し得る。臨床試験で得られた結果を表IIに示す。 これらの結果は明らかに、サル及びヒトの両方で虹彩の色素沈着が増加し得る ことを示している。ヒトでの虹彩色素沈着増加の前提条件は黄茶色、緑茶色又は 青/灰茶色であるように思える。ヒトの虹彩色素沈着を変化させ得る薬剤は他に は知られていない。 13,14−ジヒドロ−17−フェニル−18,19, 20−トリノール−PGF−イソプロピルエステル眼滴による治療中のある 患者で虹彩色素沈着が増加する以外に、睫毛が暗化する患者がいることも確認さ れた。これで考えられる理由は、このプロスタグランジン類似体による局所治療 中に、薬剤の一部が瞼の睫毛包に達することである。従って、睫毛包のメラニン 細胞は刺激を受けてより多くの色素を生成し、これを瞳毛の基質及び皮質細胞に 付与するため、睫毛が暗化する。新しい睫毛の生え替わり速度は約150日なの で、この作用は約半年と十分に長い期間の薬剤治療中にのみ検出され得る。 睫毛の色素沈着増加についての知見は、髪が一般にプロスタグランジンによっ て暗化し得ることを暗示している。従って、頭髪を一般にプロスタグランジンで 同様に処置して暗化させることができる。髪の成長速度は約0.5〜1cm/月 なので、髪の色を変えるための治療は6〜12ケ月以上かかり、色を維持するに は一定の間隔をおいて、即ち断続的に治療を継続しなければならない。このプロ スタグランジンの指針は例えば灰髪又は白髪の個体で使用され得る。 虹彩及び瞼の睫毛(毛)包のいずれのメラニン細胞もプ ロスタグランジンで刺激するとより多くのメラニンを生成し得るので、皮膚の他 の場所のメラニン細胞もプロスタグランジンで刺激することができることは明白 である。従って、皮膚の日焼けも同様に達成され得る。このような日焼けは単に 美容上の見地から望ましいことであり得るが、色素沈着減少のような皮膚のある 種の病的症状(例えば白斑)の治療でも治療上の見地から重要であり得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AM,AU,BB,BG,B R,BY,CA,CN,CZ,FI,GE,HU,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LV, MD,MG,MN,MW,NO,NZ,PL,RO,R U,SD,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.組織又は変性組織(例えば虹彩、皮膚及び髪)の色素沈着増加用組成物の製 造のための、活性量のプロスタグランジン又はその活性誘導体もしくは類似体の 使用。 2.プロスタグランジンがPGF誘導体である請求項1に記載の使用。 3.プロスタグランジンがPGE2誘導体である請求項1に記載の使用。 4.プロスタグランジンが17−フェニル−18,19,20−トリノール−P GF誘導体である請求項2に記載の使用。 5.プロスタグランジン誘導体が13,14−ジヒドロ−17−フェニル−18 ,19,20−トリノール−PGFエステルである請求項1に記載の使用。 6.組織又は変性組織(例えば虹彩、皮膚及び髪)の色素沈着の増加方法であっ て、生理学的に許容可能な処方物中の請求項1〜5のいずれか一項に記載の活性 プロスタグランジン又はその誘導体もしくは類似体を前記組織に投与することか らなる前記方法。 7.1日に又は一定の間隔をおいて0.1〜100μg/ 目の量のプロスタグランジンを目に投与する請求項6に記載の方法。 8.1日に又は一定の間隔をおいて0.001〜10mgの量のプロスタグラン ジンを頭皮に投与する請求項6に記載の方法。 9.1日に又は一定の間隔をおいて約0.0001〜10mg/dm2の量のプ ロスタグランジンを皮膚に投与する請求項6に記載の方法。 10.請求項1から5のいずれか一項に記載の活性プロスタグランジン又はその 誘導体もしくは類似体と生理学的に許容可能なキャリヤー(例えば溶液、軟膏、 クリーム、リニメント又はパッチ)とを含む医薬又は化粧用組成物。
JP7511697A 1993-10-20 1994-10-19 プロスタグランジンの新規使用 Pending JPH09504021A (ja)

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