JPH09503389A - 窒素同化の増加を示すトランスジェニック植物 - Google Patents

窒素同化の増加を示すトランスジェニック植物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、改良された農業および栄養特性を有する植物の作出方法に関するものである。このような特性として、増大した窒素同化/利用能、より速くより活発な成長、より多い栄養体および生殖体の収穫量、そして栄養および生殖部分の富化されたまたは改変された窒素含量が挙げられる。より詳細には、本発明は、窒素同化/利用経路で鍵となる重要な酵素の発現を改変すべく修飾される植物の遺伝子工学的操作に関するものである。本発明の一実施態様において、発現の望ましい改変は1種以上の天然のまたは修飾された窒素同化酵素の異所性過剰発現のための植物の遺伝子工学的操作により達成される。本発明は他の多くの実施態様をも包含し、それらの全てをここに開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 窒素同化の増加を示すトランスジェニック植物 1.序文 本発明は、一般に、増強された窒素同化および利用能を示し、より大きく、よ り効率的に、より速く成長し、かつ/また、栄養および/または生殖に関係した 植物部分の窒素含量および/または生物量(バイオマス)の増加を示す植物体を 遺伝子工学的に作出することに関するものである。より詳細には、本発明は、遺 伝子工学的手法により窒素同化/利用経路で鍵となる酵素の発現を改変させたト ランスジェニック植物を作出することに関するものである。このように遺伝子工 学的に作出された植物は、低い窒素肥料投入量の条件下でまたは窒素の乏しい土 壌で生産的に栽培することができる。また、遺伝子工学的に作出された植物を用 いると、理想的な栽培条件下でより速く成長または成熟する作物、より高い作物 収穫量および/またはより栄養分の多い生産物を得ることが可能となる。 2.発明の背景 窒素はしばしば植物の成長の律速要因になり、基本的に野外作物はすべて無機 窒素肥料に依存している。肥料は多くの種類の土壌から急速に枯渇してしまうの で、生育期に2,3回、成長しつつある作物に肥料を施さなければならない。窒 素肥料は、通常は硝酸アンモニウム、硝酸カリウムまたは尿素として供給され、 一般にトウモロコシやコムギのような農作物に関連したコストの40%を占めて いる。北アメリカと西ヨーロッパの両地域では毎年約1100万トンの窒素肥料 が使われており、そのために農業従事者は毎年22億ドルを出費していると概算 された(Sheldrick,1987,World Nitrogen Survey,Technical Paper no.59, Washington,D.C.)。さらに、世界銀行の試算では、1年間の窒素肥料の需要量 が世界中で今後10年間に約9000万トンから1億3000万トン以上に増加 するであろうと推論された。植物による窒素の使用効率を上げれば、より低い肥 料投入量でまたは比較的やせた土地で作物を栽培することが可能となり、それゆ え、開発されたまたは開発されつつある農業システムに相当の経済的効果を及ぼ すことができるだろう。 通常の選別技術を用いて、植物の育種家らは、トウモロコシ、コムギ、イネ、 その他の作物種の天然集団から得られる変種を利用することによって窒素使用効 率を改良しようと試みた。しかしながら、野外条件下で評価することが困難な諸 特性に関する従来の育種計画には、広範な集団のスクリーニングに伴う困難が立 ちはだかり、こうした選別法はほとんど成功しなかった。 2.1.植物の窒素同化経路 植物は窒素をその環境から無機化合物の形で、すなわち根から吸収される硝酸 とアンモニア、そして窒素固定根粒でアンモニアに還元される大気中のN2の形 で得ている。若干の硝酸とアンモニアが輸送道管(木部および篩部)において検 出され得るが、大部分の窒素はまず有機体(例:アミノ酸)に同化されてから、 植物体内に輸送される。 無機窒素を有機体に同化する第一段階は、主にグルタミンを形成するためのグ ルタミン酸によるアンモニアの取り込みを含み、これはグルタミンシンテターゼ 酵素(GS;EC 6.3.1.2)により触媒される。次いで、斯く形成されたグルタミ ンは、アスパラギンシンテターゼ酵素(AS;E.C.6.3.5.4)により触媒される アスパラギンの形成においてそのアミド基を供与する。この経路でのアンモニア からアスパラギンへの窒素の定常流はグルタミン酸とα−ケトグルタル酸とアス パラギン酸の循環に依存しており、それぞれグルタミン酸2−オキソグルタル酸 アミノトランスフェラーゼ(GOGAT;E.C.)とアスパラギン酸アミノトラン スフェラーゼ(AspAT;E.C.)により触媒される(図1参照)。かくして、 GS、AS、AspATおよびGOGATは高等植物の主要な窒素同化経路の不 可欠な酵素といえる。 アンモニアの取り込みがGSにより触媒される経路以外の代替経路により進行 しうることを示す証拠が存在する(図1)。Knight and Langston-Unkefer,198 8,Science 241:951-954を参照されたい。一つの経路はグルタミン酸を形成する ためのα−ケトグルタル酸によるアンモニアの取り込みを含み、これはグル タミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)により触媒される。もう一つの経路はアス パラギンを形成するためのアスパラギン酸によるアンモニアの取り込みを含み、 これはアスパラギンシンテターゼにより触媒される(Oaks and Ross,1984,Can .J.Bot.62:68-73;Stulen and Oaks,1977,Plant Physiol.60:680-683)。 これらの酵素(GDHおよびAS)は両方ともアンモニアに対して高いKmを有 し、正常な生育条件下(例えば、低濃度の内部アンモニア)でのこの代替窒素同 化経路の役割は依然として不明のままである。ある研究により、これらまたは他 の代替窒素同化経路は細胞内のアンモニウム濃度が正常レベルを越えて上昇した ときの植物の窒素同化能に対して大いに寄与していることが示唆された(Knight and Langston-Unkefer,前掲)。 2.2.窒素の輸送および利用 グルタミンおよびアスパラギンは主要な長距離窒素輸送化合物を代表するもの で、篩部の液汁中に豊富に存在している。窒素担体としてのそれらの共通した役 割のほかに、これら2つのアミノ酸は植物窒素代謝においてやや異なる役割を担 っている。グルタミンは2つのアミノ酸のうちで代謝的により活性で、さまざま な同化反応で多数の基質にそのアミド窒素を直接供与することができる。その反 応性ゆえに、一般的に植物は窒素の貯蔵のためにグルタミンを利用することはな い。 対照的に、アスパラギンはその高いN:C比のためにグルタミンと比べてより 効率のよい窒素輸送用の化合物となる。さらに、アスパラギンはグルタミンより も安定しており、液胞中に高レベルで蓄積され得る。実際、窒素同化能の高い植 物では、アスパラギンが窒素の輸送および代謝において支配的な役割を果たして いるようである。The Biochemistry of Plants:A Comprehensive Treatise,vo l 5,Amino acid and derivatives,Miflin 編,Academic Press,New York(198 0)pp.569-607中のLea and Miflinによる「植物におけるアスパラギンと他の窒 素化合物の輸送および代謝」;およびSieciechowiczら,1988,Phytochemistry 27:663-671を参照されたい。その相対的安定性のために、アスパラギンは窒素代 謝に直接関与することはないが、アスパラギナーゼ酵素(AN S;E.C.3.5.1.1)によってまず加水分解されてアスパラギン酸とアンモニアを 生成し、次いでこれらはアミノ酸とタンパク質の合成に利用されるにちがいない (図1参照)。 2.3.窒素の同化および利用に関与する植物遺伝子 植物の窒素同化/利用に係わる酵素をコードしている遺伝子の多くがクローン 化され、研究されてきた。植物のグルタミンシンテターゼ(GS)遺伝子および アスパラギンシンテターゼ(AS)遺伝子の論議については、Transgenic Plant s,Vol.1,Kung and Wu編,Academic Press,San Diego,CA,(1993)pp.181-1 94中のTsai and Coruzziによる「アミノ酸生合成酵素をコードする遺伝子を研究 するためのトランスジェニック植物」ならびにその中で引用された文献;アルフ ァルファのアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子の論議については、 Udvardi and Kahn,1991,Mol.Gen.Genet.231:97-105;タバコのグルタミン 酸2−オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ(GOGAT、グルタミン酸 シンテターゼとも言う)遺伝子の論議については、Zehnackerら,1992,Planta 187:266-274;ハウチワマメ(lupin)のアスパラギナーゼ遺伝子の論議については 、Loughら,1992,Plant Mol.Biol.19:391-399およびDicksonら,1992,Plant Mol.Biol.20:333-336を参照されたい。 植物の窒素同化/利用遺伝子の中で、最も広く研究されているものはグルタミ ンシンテターゼ遺伝子とアスパラギンシンテターゼ遺伝子である。GSとASに は複数の遺伝子が存在し、これら遺伝子の分子特性付けにより、それらが異なる 発現パターンを有することが示された。 2.3.1.グルタミンシンテターゼ遺伝子 GSは植物の生育中に多くの器官で活発に機能している(McNallyら,1983,Pl ant Physiol.72:22-25)。根において、それは土の中の水から得られたアンモニ アを同化し(Oaks and Hirel,1985,Ann.Rev.Plant Physiol.36:345-365)、 また、マメ科植物の根粒ではGSが根粒菌により固定されたアンモニアを同化す る(Cullimoreら,1983,Planta 157:245-253)。子葉にあっては、GSが発芽 中に集められた窒素貯蔵物を再同化し(Recent Advances in Phythochemistry: Mobilization of Reserves in Germination,Nozolilloら編,Plenum Press,(19 83)p.77-109中のLea and Joyによる「発芽種子におけるアミノ酸相互変換」) 、そして葉では葉緑体GS2が光呼吸で放出されたアンモニアを同化する(Givan ら,1988,TIBS 13:433-437)。GSの多種多様な役割は、差次的に発現される異 なる遺伝子から誘導されたさまざまのGSイソ型が担っている(Gebhardtら,198 6,EMBO J.5:1429-1435;Tingeyら,1987,EMBO J.6:1-9)。 エンドウのPhaseolusおよびArabidopsisでは、葉緑体GS2が単一の核遺伝子 によってコードされているが、これらの種のそれぞれには細胞質ゾルGSの複数 の遺伝子が存在している(Bennettら,1989,Plant Mol.Biol.12:553-565;Ti ngeyら,1988,J.Biol.Chem.263:9651-9657;Peterman and Goodman,1991, Mol.Gen.Genet.230:145-154)。in vivoおよびトランスジェニック宿主植物 におけるこれらGS遺伝子の発現の分析は、植物の窒素代謝での各種GSイソ型 の役割を解明する上で役に立った。 エンドウのGS遺伝子ファミリーは4つの別個のしかし相同の核遺伝子を含ん でいる。3つは細胞質ゾルのGSイソ型をコードし、1つは葉緑体のGS2イソ 型をコードする(Tingeyら,1987,EMBO J.6:1-9;Tingeyら,1988,J.Biol. Chem.263:9651-9657)。ノーザンブロット分析により、葉緑体GS2の遺伝子 は、一部にはフィトクロムにより、また、一部には光呼吸作用により光依存的に 葉で発現されることが実証された(Edwards and Coruzzi,1989,Plant Cell 1:2 41-248)。また、細胞質ゾルGSの3つの遺伝子(GS1、GS3AおよびGS 3B)も異なる役割を果たしているようである。根では、細胞質ゾルGS1が主 要なイソ型であるが、それは結節でも発現される。細胞質ゾルGS3AおよびG S3Bは結節で高度に発現され、さらに発芽中の種子の子葉でも発現される(Ti ngeyら,1987,EMBO J.6:1-9;Walker and Coruzzi,1989,Plant Physiol.91 :702-708)。GS3A遺伝子とGS3B遺伝子は配列が同一に近いものの、遺伝 子特異的S1−ヌクレアーゼ分析により、GS3Aの発現がGS3Bの発現より も常に高いことが明らかになった(Walker and Coruzzi,1989,Plant Physiol. 91:702-708)。プロモーター−GUS融合体およびトランスジェニック 植物の分析により、葉緑体GS2は光合成細胞型でのみ発現され、また、細胞質 ゾルGS3Aは大部分の器官の脈管構造の篩部細胞でもっぱら発現されることが 分かった。さらに、GS3Aは根や結節の分裂組織でも強く発現される(Edwards ら,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:3459-3463;Brearsら,1991,The Plant Journal,vol.1,pp.235-244)。細胞型および器官レベルでの厳密に制 御された調節からすると、GSの各種遺伝子はアンモニア同化において重複する ことのない別個の役割を果たしていると考えられる。 2.3.2.アスパラギンシンテターゼ遺伝子 2つのAS遺伝子がエンドウからクローン化され(AS1およびAS2)、両 方とも根粒と子葉で最高レベルに発現される。AS1およびAS2はともに根に おいて発現される。AS2は構成的に根で発現され、一方、AS1は暗黒で育て た植物の根にのみ発現される(Tsai and Coruzzi,1990,EMBO J 9:323-332)。 さらに、AS1とAS2は暗順応植物の成熟葉で発現されるが、その発現は光に よって阻害される。暗黒でのこの高レベルのAS遺伝子発現は、光合成炭素の利 用能が低下した条件下で合成される長距離窒素輸送化合物としてのアスパラギン の使用と合致している(アスパラギンはグルタミンより高いN:C比を有する) 。トランスジェニック植物におけるAS1プロモーター−GUS融合体の研究か ら、AS1遺伝子もGS3A遺伝子と同様に篩部細胞でもっぱら発現されること が示された。細胞型および器官レベルでの厳密に制御された調節からすると、各 種AS遺伝子も植物窒素代謝において異なる役割を果たしていると思われる。 2.4.植物の窒素同化/利用過程の遺伝子工学的操作 植物では、窒素同化過程の遺伝子工学的操作がさまざまな結果をもたらした。 一つの事例を挙げると、タバコにおいて原核生物のアンモニウム依存性アスパラ ギンシンテターゼ(ASN−A)遺伝子を発現させることが、種々のグルタミン シンテターゼ(GS)阻害剤に対する耐性を付与した(Duditsら,Transgenic Pl ants expressing a prokaryotic ammonium dependent asparagine synthetase, WO 9111524,Aug.8,1991)。また、これらの同じ植物が成長速度 の増加、植物発育の促進、早期開花、植物の新鮮重量および乾燥重量の増加を含 めて多くの成長変化を示した。GS阻害剤処理は遺伝子工学的に作出した植物の 成長を低下させるどころかむしろ高めたので、ASN−A発現の成長効果は理屈 に合わないことになる。 対照的に、グルタミンシンテターゼ(GS)の過剰発現を試験する多くの研究 は、その過剰発現が植物の成長に及ぼすポジティブな効果を報告することができ なかった。Lea and Forde,1994,Plant Molec.Biol.17:541-558;Eckesら,1 989,Molec.Gen.Genet.217:263-268(アルファルファGSを過剰発現するトラ ンスジェニックタバコ植物);Hemonら,1990,Plant Mol.Biol.15:895-904(細 胞質またはミトコンドリアでマメGSを過剰発現するトランスジェニックタバコ 植物);Hirelら,1992,Plant Mol.Biol.20:207-218(タバコ植物内でダイズ GSを過剰発現するトランスジェニックタバコ植物)を参照されたい。ある研究 が、アルファルファGS1遺伝子を過剰発現するトランスジェニックタバコ植物 における総可溶性タンパク質含量の増加を認めたと報告した。しかしながら、こ の同じ研究がGS1遺伝子に対するアンチセンスRNAを発現するトランスジェ ニックタバコ植物における総可溶性タンパク質含量の同様の増加をも報告したこ とから、GS1発現と可溶性タンパク質の増加との関係ははっきりしていないよ うである(Templeら,1993,Mol.Gen.Genet.236:315-325)。植物におけるG S過剰発現の明確に確立された効果は、GS阻害性除草剤であるホスフィノトリ シンに対する耐性である(Eckesら,前掲;Donnら,1984,J.Molec.Appl.Gene t.2:621-635(ホスフィノトリシン耐性アルファルファ細胞系はGS遺伝子の増 幅を含んでいた))。また、アルファルファGS遺伝子を過剰発現するように遺伝 子操作された植物は遺伝子操作されていない植物よりも速く成長するという報告 があった(Eckesら,1988,オーストラリア特許庁文書番号:AU-A-17321/88)。し かし、報じられたような速い成長は低窒素生育条件下でのみ起こり、普通または 高窒素生育条件下では認められなかった。その上、より速い成長がより多い生物 量または生産量でもって成熟植物を生み出すのかどうか不明である。Eckesらの 前掲をEckesら,1989,Molec.Gen.Genet.217:263-268と比較されたい。 3.発明の概要 本発明は、窒素の同化および利用に係わる主要な酵素(これら酵素のそれぞれ の役割は図1に示される)の発現レベルおよび/または細胞特異的な発現パター ンを変化させたトランスジェニック植物の作出に関するものであり、かくして、 得られる植物は増強された窒素同化および/または利用能ならびに改良された農 業特性を有するものである。本発明は、特に、グルタミンシンテターゼ、アスパ ラギンシンテターゼ、グルタミン酸2−オキソグルタル酸アミノトランスフェラ ーゼ(グルタミン酸2−オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼはグルタミ ン酸シンテターゼとしても知られている)、アスパラギン酸アミノトランスフェ ラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびアスパラギナーゼの発現を変える ことに関するものである(図1参照)。 本発明は作物の重要な農業特性を改良することに用いられる。改良点の一つは 、より低い窒素肥料投入量でまたは窒素の乏しい土壌で生産的に栽培される遺伝 子操作植物の能力であるだろう。更なる改良点としては、より活発な(すなわち 、より速い)成長ならびに普通の栽培条件(すなわち、非限定栄養条件)下での より多い栄養体および/または生殖体の収穫量が含まれる。これらの改良点を達 成するには、伝統的な作物育種法は大きな分離集団のスクリーニングを必要とす るだろう。本発明は、大半の植物ではないにしても、その多くが所望の特性を備 えている植物を作出することによって大規模スクリーニングの必要性を回避する ものである。 本発明によると、所望の植物改良を達成するには、いくつかの場合に、窒素同 化または利用酵素をコードする1個または複数個の遺伝子の異所性過剰発現が必 要となる。かかる発現の改変は次の遺伝子:すなわち、a)酵素のコーディング 配列が強力な構成プロモーターに機能しうる状態で結合されているトランスジー ン;b)所望の酵素をコードする、追加のコピー数の天然遺伝子;c)窒素同化 または利用のための目的遺伝子(類)の発現を活性化する調節遺伝子(類);d )発現を高めるように修飾されたその調節領域を有する、1コピーの天然遺伝子 ;およびe)変異型、改変型またはキメラ型の窒素同化または利用酵素を発現 するトランスジーン;のいずれか1個または数個を用いて植物を遺伝子操作する ことを包含する。 他の場合には、所望の植物改良を達成するのに、窒素同化または利用酵素の発 現パターンを変えることが必要となる。かかる改変発現パターンは次の遺伝子: すなわち、a)酵素のコーディング配列が所望の発現パターンを有するプロモー ター(該プロモーターは組織−または発生−特異的発現パターンをもつと思われ るものを含む)に機能しうる状態で結合されているトランスジーン;b)好まし いパターンでの酵素コード化遺伝子の発現を活性化する修飾調節遺伝子;c)好 ましいパターンで発現するように修飾されたその調節領域を有する、天然コピー 数の酵素コード化遺伝子;のいずれか1個または数個を用いて植物を遺伝子操作 することを包含する。 さらに他の場合には、所望の植物改良を達成するために、窒素同化または利用 酵素の発現レベルおよび/またはパターンを抑制することが必要となる。かかる 発現の抑制はアンチセンスRNA、リボザイム、共抑制構築物または「優性ネガ ティブ(dominant negative)」変異体をコードする遺伝子を用いて植物を遺伝子 操作することを包含する(優性ネガティブ変異体による遺伝子抑制の作用機序の 説明については、Herskowitz,1967,Nature 329:219-222を参照されたい)。さ らに、遺伝子の抑制は、天然遺伝子を1コピーの欠陥遺伝子または所望の発現レ ベルおよび/またはパターンを有するプロモーターの制御下にある酵素コード化 配列と置き換えた相同的組換え構築物を用いて植物を遺伝子操作することによっ ても達成される。 さらに他の場合には、所望の植物改良を達成するために、窒素同化または利用 経路において改変された酵素または異なる型の酵素を発現させることが必要とな る。かかる目標達成の作業は、宿主植物の窒素同化または利用酵素の触媒作用と は異なる触媒作用を有する対応酵素をコードする植物発現可能遺伝子を開発し、 この遺伝子構築物で植物を遺伝子操作することを包含する。この種の酵素をコー ドする遺伝子配列は細菌、酵母、藻類、動物および植物を含むがこれらに限らな いさまざまな供給源から得ることができる。ある場合には、かかるコーディング 配列が該配列を所望の植物活性プロモーターと機能的に連結させることによる植 物発現可能遺伝子融合体の構築に直接用いられる。また、他の場合には、遺伝子 融合体での該コーディング配列の利用は、宿主植物におけるそれらの翻訳能を高 めるために、あるいはそこにコード化された酵素の触媒作用を変えるために、in vitro突然変異誘発またはde novo合成による先行修飾を必要とする。有用な改 変には基質結合および/または触媒作用に関与する残基の修飾が含まれるが、こ れらに限らない。好ましい改変にはハイブリッド酵素の構築も含まれる。例えば 、同一のまたは異なる生物から得られた関連酵素の異なるドメインを組み合わせ て新規な性質を有する酵素を作ることができる。 あらゆる場合に、望まれる改良点を有する植物は、窒素同化または利用酵素の 改変された発現パターンまたはレベル、対応するmRNAまたはタンパク質の改 変された発現パターンまたはレベル、改変された窒素同化または利用能、増加し た成長速度、増加した栄養体収穫高、または改良された生殖体収穫高(例えば、 より多いまたはより大きい種子または果実)について遺伝子操作植物をスクリー ニングすることによって単離することができる。遺伝子操作植物のスクリーニン グは、酵素/タンパク質レベルを測定するためのエンザイムアッセイおよびイム ノアッセイ;mRNAレベルを測定するためのノーザン分析、RNアーゼ保護、 プライマー伸長、逆転写/PCRなど;各種植物組織のアミノ酸組成、遊離アミ ノ酸プールまたは総窒素含量の測定;経時的新鮮重量増加に基づく成長速度の測 定;または総乾燥重量および/または総種子重量に基づく植物収穫高の測定を包 含する。 本発明は、一部には、植物の窒素同化または利用酵素の発現を高めることが、 成長特性の向上または栄養体や生殖体の収穫高の増加をもたらしたという驚くべ き発見に基づいている。本発明は、ここでは、エンドウ・グルタミンシンターゼ (GS)遺伝子またはエンドウ・アスパラギンシンターゼ(AS)遺伝子をコー ドする配列に機能的に連結された強力な構成植物プロモーターのカリフラワーモ ザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーターをコードする組換え構築物を用 いてタバコ植物を遺伝子工学的に操作した実施例により説明される。RNAおよ びタンパク質の分析により、大多数の遺伝子操作植物がGSまたはASの異所性 過剰発現を示すことがわかった。GSまたはASを過剰発現する系統は、対照の 野生型植物よりも高い窒素含量、活発な成長特性、増加した栄養体収穫高または 良好な種子収穫高および品質を示した。 3.1.定義 本明細書に使用される、以下にリストされる用語は、示される意味を有する。 35S =35S転写のためのカリフラワーモザイクウイルスプロモーター AS =アスパラギンシンテターゼ AspAT =アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(またAATとして知ら れている) CaMV =カリフラワーモザイクウイルス cDNA =相補DNA DNA =デオキシリボ核酸 GDH =グルタミン酸デヒドロゲナーゼ 遺伝子融合体=異種遺伝子に操作により連結されたプロモーターを含む遺伝子 構築(前記プロモーターは異種遺伝子の転写を調節する) GOGAT =グルタミン酸2−オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ (また、グルタミン酸シンテターゼとして知られている) Fd-GOGAT =フェレドキシン依存性グルタミン酸シンターゼ NADH-GOGAT =NADH依存性グルタミン酸シンターゼ GS =グルタミンシンテターゼ 異種遺伝子=遺伝子構築の状況において、異種遺伝子は、その遺伝子が前記遺 伝子が自然に連結されていないプロモーターに連結されることを 意味する。異種遺伝子は前記プロモーターを寄与する生物からの ものであってもよく、またそうでなくてもよい。異種遺伝子はメ ッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスRNAまたはリ ボザイムをコードし得る。 窒素非制限=窒素非制限生育条件は、土壌または培地が健全な植物成長を持続 生育条件 するのに充分な量の窒素栄養を含み、または受容する条件である 。 窒素非制限生育条件の例は第5.2.3.節に示される。更に、当業者 は、重要な穀物および観賞植物の殆どの種および変種につきこの ような土壌、培地及び肥料を構成するものを認識するであろう。 PCR =ポリメラーゼ連鎖反応 前駆植物 =形質転換されていない、野生型植物 RNA =リボ核酸 4.図面の説明 図1 植物における窒素同化/代謝の経路。窒素同化の主要な経路はグルタミ ンシンテターゼ(GS)およびグルタミン酸シンターゼ(GOGAT)によるものである。 グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)は生合成の役割においてアンモニア毒性の 条件下で機能するものと考えられ、または触媒量のグルタミン酸を与えてGS/GOG ATサイクルを支持し得る。GDHはおそらくグルタミン酸からアンモニアを放出す るその触媒的役割において更に活性である(例えば、発芽中)。アスパラギン酸 アミノトランスフェラーゼ(AspAT)は可逆反応を触媒作用する。アスパラギンシ ンテターゼ(AS)は二つの活性;グルタミン依存性活性およびアンモニア依存性活 性を有する。アスパラギン代謝はアスパラギナーゼ(ANS)により起こってアスパ ラギン酸およびアンモニアを放出する。 図2 キメラFd/NADH GOGAT酵素の操作。植物フェレドキシン-GOGAT(Fd-GOGAT )の大きいサブユニットはFd結合ドメイン(斜めのクロスバー)を含む。植物お よびE.coli NADH-GOGAT:大きいサブユニット(オープンバー)、小さいサブユニ ットはNADH結合ドメイン(垂直ハッチ)を含む。キメラFd/NADH GOGATはFd-GOGA Tの大きいサブユニット(Fd結合ドメイン)+植物またはE.coliのNADH-GOGATの小 さいサブユニットを含むように操作される。その操作は植物Fd-GOGATをコードす る配列およびNADH結合ドメインを含む、植物またはE.coli NADH-GOGATの小さい サブユニットをコードする配列のイン−フレーム転写融合をつくることにより行 われる。そのキメラタンパク質は、還元剤としてFdまたはNADHを使用し得る二特 異性または二機能性のGOGAT酵素をコードする。 図3 2成分植物発現ベクターの地図。2成分発現ベクターpTEV4、pTEV5、pT EV8およびpTEV9はトランスジェニックタバコ中のcDNAの高レベルの発現のた めに構築されたpBIN19(Bevan,1984,Nucleic Acids Res.12:8711-8721)の誘 導体である。構築の詳細につき、第6.1.1.節を参照のこと。 図4 トランスジェニックタバコに移入されたキメラ35S CaMV-GS cDNA構 築物。エンドウ豆GScDNAをストラスボルグ株CaMV 35Sプロモーター(35S)の 後の発現のためにpTEV発現ベクター(図3、および第6.1.1.節を参照のこと)に クローン化した。GS3AおよびGS2につき、イントロンをゲノム配列からcDNA にとり込む“修飾”クローンを構築した(第6.1.2.節を参照のこと)。GScDN Aクローンの起源は、GS2(また(aka)GS185として知られている);GSI(aka GS299 );GS3A(aka GS341)(Tingeyら,1988,J.Biol.Chem.263:9651-9657;Tingeyら ,1987,EBBO J.6:1-9)であった。 図5 GSトランスジーンを含む一次(T1)形質転換体中のGSタンパク質の分析。 上のパネル:一次形質転換体中のGSポリペプチドのウェスタン分析。レーン1お よび2:細胞質ゾルGS3A遺伝子を有する一次形質転換体Z17-6およびZ17-12はそ れぞれ過剰発現および同時抑制表現型を示す。レーン3−6:葉緑体GS2遺伝子 を有する一次形質転換体Z41-20、Z54-2、Z54-7、およびZ54-8は葉緑体GS2(GSを 比較のこと)につき全て同時抑制される。対照は、TL-タバコの葉、PL-エンドウ 豆の葉、およびPR-エンドウ豆の根。全GS活性がウェスタンパネルの下に示され る(対照=(100%)に対する%として)。下のパネル:サンプルのほぼ等しい負 荷を実証するルビスコの大きいサブユニットタンパク質のクーマシー染色。ctGS -葉緑体GS2(約45 kD);cyGS-細胞質ゾルGS(約38 kD)。 図6 エンドウ豆トランスジーンを含むT2子孫トランスジェニック植物からの GSタンパク質、RNAおよびホロ酵素の分析。典型的に分析されたそれぞれの一 次形質転換体からの4種のT2植物のうちの単一の代表的な植物がこの図に含まれ た。Z17-9の場合、T2子孫は二つの異なるプロフィールを示し、その両方が示さ れる(Z17-9AおよびZ17-9B)。対照:TL/T-タバコの葉、P-エンドウ豆の葉。パ ネルA(上):トランスジェニック植物中のGSポリペプチドのウェスタン分析。 パネルA(下):サンプルのほぼ等しい負荷を示すためのルビスコの大きいサブ ユニットタンパク質のクーマシー染色。パネルB(上):GS1(左)、GS3A(中央 )およびGS2(右)の推定cDNAプローブとハイブリッドを形成されたノーザ ンブロット。パネルB(下):エンドウ豆rRNA遺伝子プローブによる対照ハ イブリダイゼーション。パネルC:トランスジェニック植物中のGSホロ酵素A* 、B、およびCを示す非変性ゲルおよびGS活性分析。GS活性は対照と比較して% として 表される(対照=100%の活性)。 図7A GSホロ酵素の活性ゲル分析。植物を過剰発現するGS1およびGS3Aのホロ 酵素の移動に対する葉緑体および細胞質ゾル濃縮GSタンパク質サンプルの移動を 実証する、エンドウ豆葉緑体(PC)、エンドウ豆の根(PR)、タバコ葉緑体(TC)およ びタバコの根(TR)からのタンパク質抽出物。レーン1:エンドウ豆葉緑体タンパ ク質(PC)はGSホロ酵素Bのみを有する;レーン2:エンドウ豆の根タンパク質(P R)はGSホロ酵素Cのみを有する;レーン3:タバコ葉緑体タンパク質(TC)はGSホ ロ酵素Bのみを有する;レーン4:タバコの根タンパク質はGSホロ酵素Cのみを 有する。レーン5:植物Z17-7(35S-GS3A構築物を有する)からのタンパク質はGS ホロ酵素A*およびBを有する;レーン5:植物Z3-1(35S-GS1構築物を有する)か らのタンパク質はGSホロ酵素BおよびCを有する。 図7B GSホロ酵素A*、B、およびCから単離されたGSタンパク質のウェスタ ン分析。GS3AおよびGS1を過剰発現するトランスジェニックタバコ中で観察され たホロ酵素A*およびCを非変性ゲルから切除し、タンパク質単離緩衝液中で再 度抽出し、そしてGS抗体を使用してウェスタン分析のための変性条件下で電気泳 動にかけた。レーン1:対照としてのタバコの葉のタンパク質;レーン2:Z17- 7からのGSホロ酵素A*;レーン3:対照としての単離された葉緑体GS2(ホロ酵 素B);レーン4:Z3-1からのGSホロ酵素C。 図8 細胞質ゾルGS1またはGS3Aを異所性発現する成長分析に選択されたトラ ンスジェニック植物中のGSタンパク質およびRNAのウェスタンおよびノーザン 分析。上のパネル:GSタンパク質に関するウェスタンブロット。下のパネル:GS mRNAに関するノーザンブロット。P1およびT1はエンドウ豆およびタバコの 葉の対照である。レーン1および2、並びに5および6はGS1を過剰発現する植 物であり、そしてレーン3および4、並びに7および8はGS3Aを過剰発現する植 物である。破線の左のトランスジェニック植物を生育実験Aにおいて分析し、そ して右のトランスジェニック植物を生育実験Bにおいて分析した。相当するプロ ーブをノーザンブロットにおいて使用した。左のエンドウ豆対照をGS1にハイブ リッドを形成し、右手のエンドウ豆対照をGS3Aにハイブリッドを形成した。 図9 細胞質ゾルGS1(Z3)または細胞質ゾルGS3A(Z17)を過剰発現するトラン スジェニック系統の新鮮重量の増加。パネルA:トランスジェニック系統Z3-1、 Z3-2、Z17-6、Z17-7、および形質転換されなかった対照(C)を用いる実験Aの結 果。パネルB:トランスジェニック系統Z3-3、Z3-4、Z17-3、Z17-11、および2 種の形質転換されなかった対照(C1およびC2)を用いる実験Bの結果。これは表 2に示され、そして表3に統計的に分析されたデータのグラフ表示である。 図10 変化されたGS発現パターンを有する植物の定性的成長パターン。それぞ れのパネル中の植物を同時に種をまき、そして約3週間にわたって土壌中で生育 した。対照パネル:SR1未形質転換タバコ(100%のGS活性)。Z3-A1パネル:過剰 発現GS1を有するトランスジェニック植物(123%のGS活性)。Z17-B7パネル:GS3 を過剰発現するトランスジェニック植物(107%のGS活性)。Z54-A2パネル:GS2に つき同時抑制されたトランスジェニック植物(28%のGS活性)。 図11Aおよび11B GS活性と植物新鮮重量または全葉タンパク質の線形関係。ト ランスジーンと関連するKanR表現型の分離を示さなかった一次形質転換体のT2子 孫を成長分析につき選択した。KanRT2植物をMSK培地(R.B.Horschら,Science 22 7:1229(1985))で選択し、18日で砂に移した。植物を下灌漑し(subirrigated)、 2日毎に10mMのKNO3を含む1Xホアグランド液(D.R.Hoaglandら,Circ.Calif.Agr ic.Exp.Stn.347:461(1938))50mlで表面で栄養補給した。それぞれの系統につき 、8種のT2子孫を合計植物新鮮重量(グラム)、トランスフェラーゼアッセイ(B .M.Shapiroら,Methods Enzymol.17A:910(1970))により測定されるような合計 の葉GSの比活性およびタンパク質/新鮮重量(グラム)につき個々に分析した。 分析した植物は、対照、SR1未形質転換タバコ;GS2により同時抑制されたZ54-4 ;GS3Aを過剰発現するZ17-7;GS1を過剰発現するZ3-1であった。図11A;植物新鮮 重量vs.GS活性。図11B;タンパク質/新鮮重量(グラム)vs.GS活性。 図12 トランスジェニックタバコに移入されたキメラ35 S CaMV-AS構築物。AS 1遺伝子のcDNAおよびgInΔAS1遺伝子を、2成分発現ベクターpTEV5を使用し てタバコへの移入のために35Sプロモーターおよびノパリンシンターゼ転写ター ミネーターに融合した。 図13 AS1またはglnΔAS1を発現するトランスジェニック植物のノーザン分 析。個々の形質転換体の葉から単離された全RNA10μgを浸出レーン中に負荷 した。ブロットをエンドウ豆からのAS1cDNAで探査した。陽性対照は暗所で 生育されたエンドウ豆の葉(PL)中のASmRNAを含む。陰性対照は明るい所で生 育されたタバコの葉(TL)中のASmRNAを含む。 図14 AS1およびglnΔAS1を過剰発現するトランスジェニック系統の新鮮重量 の増加が発芽後の3週から6週までグラフで表される。これは表(5)中に示され 、そして表(6)中で統計的に分析されたデータのグラフ表示である。 5.発明の詳細な説明 本発明は植物における窒素代謝の遺伝子操作に関する。特に、本発明は、良好 な成長特性、強化された栄養特性、改良された栄養および収穫量および/または 増進された種子の収穫量または品質を有する植物を操作するために、窒素同化に 関係する酵素および/またはそれらの発現を変化することに関する。 それ故、特別な機構に制限されることを目的としないで、操作の標的はアミノ 酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギンまたはグルタミン酸へのアンモ ニアの同化、または生合成反応におけるこれらの同じアミノ酸の利用に関係する 酵素をコードする遺伝子である。標的遺伝子として、グルタミンシンテターゼ(G S)、アスパラギンシンテターゼ(AS)、グルタミン酸2−オキソグルタル酸アミノ トランスフェラーゼ(GOGAT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspAT) 、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)およびアスパラギナーゼ(ANS)をコードす る遺伝子が挙げられる。窒素同化および利用においてこれらの酵素により果たさ れる役割の線図につき図1を参照のこと。 これらの酵素は変性され、またはそれらの発現が増進、抑制またはそれ以外に 修飾(例えば、異所性発現)されて所望の性質を有する植物を操作し得る。操作 は植物を本明細書に記載された核酸構築物で形質転換することにより行われる。 形質転換された植物またはそれらの子孫は、所望の変性された酵素を発現し、ま たは窒素同化または利用酵素の所望の変化された発現、相当するmRNAの変化 された発現、変化された窒素同化または利用能、増大された成長速度、増進され た栄養収穫量、および/または改良された再生産収穫量を示す植物につきスクリ ーニングされる。 所望の生理学的変化および/または作物栽培学的変化を示す操作された植物は 植物育種または直接に農業生産に使用し得る。また、一つの変性された酵素を有 するこれらの植物はその他の窒素同化または利用酵素の変化でもって操作された その他の変性植物と交雑されて(例えば、GS過剰発現植物をAS過剰発現植物に交 雑する)、親と較べて更に増強された生理学的性質および/または作物栽培学的 性質を有する系統を生産し得る。 本発明が、GSまたはASの異所性過剰発現につき操作された植物の実施例により 説明される。全ての場合、GSまたはASの異所性過剰発現を示す操作された植物は また対照の野生型植物よりも良好な成長特性、強化された栄養特性、改良された 栄養収穫量および/または強化された種子の性質または収穫量を示す。 5.1.窒素同化および利用経路の変化 本発明の一つの局面によれば、望ましい植物は、アミノ酸グルタミン、アスパ ラギンまたはグルタミン酸へのアンモニアの初期同化そして更にアスパラギン酸 への変換に関係する酵素の異所性過剰発現を操作することにより得られる。異所 性という用語は、特別な遺伝子または当該酵素に関する異常な細胞下の(例えば 、オルガネラ局在化と細胞質ゾル局在化の間のスイッチ)、細胞型、組織型およ び/または発育的もしくは一時的な発現(例えば、明/暗所)パターンを意味す るために本明細書で使用される。このような異所性発現は前記酵素の正常な組織 または発育段階における発現を必ずしも排除するのではないが、前記酵素の正常 ではない組織または発育段階における発現を伴う。過剰発現という用語は前記酵 素につき特別な組織、全部および/または発育または一時的な段階における正常 な発現レベルを上回ることを意味するために本明細書で使用される。 グルタミンへのアンモニアの同化そしてグルタミン酸、アスパラギン酸、およ びアスパラギンへのその更なる代謝に関係する主要な酵素は、グルタミンシンテ ターゼ、アスパラギンシンテターゼ、グルタミン酸2−オキソグルタル酸アミノ トランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸 デヒドロゲナーゼおよびアスパラギナーゼである。本発明は、これらの酵素の一 種以上の異所性過剰発現の操作が所望の生理学的性質および作物栽培学的性質を 有する植物を生産することを提供する。好ましい実施態様において、植物はグル タミンシンテターゼまたはアスパラギンシンテターゼの異所性発現につき操作さ れる。酵素の細胞質ゾル形態または葉緑体形態が存在するGSに関して、細胞質ゾ ル形態の増進された発現の操作が好ましい。GSの細胞質ゾル形態として、小節− 特異的酵素(例えば、エンドウ豆GS3A&B)および根−特異的酵素(例えば、エンド ウ豆GS1)の両方が挙げられる。“根−特異的”細胞質ゾルGS(例えば、エンドウ 豆GS1)の増進された発現の操作が特に好ましい。また、本発明は前記酵素の細胞 下の局在化を変化する操作を提供する。例えば、ASの如き細胞質ゾル酵素への葉 緑体標的配列の操作は、植物中の窒素同化を改良し得る。これは光呼吸性アンモ ニアを再同化するために葉肉細胞中で特に有益であろう。 本発明の別の局面によれば、望ましい植物は別の窒素同化経路により増進され たアンモニアとり込みを操作することにより得られる。特に、操作はグルタミン シンテターゼによる窒素同化の正常な主要経路を抑制することにより行われる。 多重GSアイソザイムをコードする植物種において、これは内在性GS遺伝子の抑制 を必要とし得る。好ましい実施態様において、抑制されたGS発現でもって操作さ れた植物は、アスパラギンシンテターゼ(AS)および/またはグルタミンデヒドロ ゲナーゼ(GDH)の如きオルタナチブN同化性酵素の異所性過剰発現につき更に操 作される。最も好ましい実施態様において、GSおよび/またはAS/GDH操作された 植物は窒素同化または利用プロセスに関係するその他の酵素の一種以上の増進さ れた発現につき更に操作される(図1を参照のこと)。 本発明の第三の局面によれば、望ましい植物は同化された窒素の利用に関係す る酵素の異所性過剰発現を操作することにより得られる。本発明のこの局面の実 施態様は代謝反応においてグルタミン、グルタミン酸およびアスパラギンの使用 を触媒作用する酵素の異所性過剰発現でもって植物を操作することを伴い得る。 好ましい実施態様において、植物はアスパラギナーゼの異所性過剰発現につき操 作される。 本発明の第四の局面によれば、望ましい植物は窒素の同化または利用に関係す る酵素の変化され、突然変異されたキメラ形態または異種形態の発現を操作する ことにより得られる。本発明のこの局面の実施態様は、異種起源からの窒素同化 酵素または利用酵素(即ち、異なる植物または動物もしくは微生物を含む、生物 からの酵素)を発現するように植物を操作することを伴い得る。付加的な実施態 様は、例えば、基質結合、触媒作用、および/または生産物放出において増大さ れた効率を有する窒素同化酵素または利用酵素を開発し、そしてこのような新規 な酵素を発現するように植物を操作することを伴い得る。これらの新規な酵素は 前記プロセスに影響する主要アミノ酸残基のin vitro突然変異誘発により開発し 得る。また、このような新規な酵素は関連酵素からのドメインを組換えることに より開発し得る。例えば、キメラ二機能性GOGAT酵素はNADH-GOGATのNADH結合ド メインをFd-GOGAT遺伝子にスプライシングすることによりフェレドキシン-GOGAT 活性およびNADH-GOGAT活性の両方を含むように操作し得る(図2を参照のこと) 。このようなキメラGOGAT酵素はGOGAT反応においてNADHまたはフェレドキシンを 還元剤として利用できるという利点を有するであろう。この新規な酵素の異所性 発現はグルタミン酸の更に有効な合成をもたらし得る。本明細書に示された酵素 修飾の別の例(第7.0節を参照のこと)は、その基質特異性を変化するためにド メインを欠失されたAS酵素の操作である。 本発明によれば、窒素同化酵素または利用酵素の組織および発育の発現パター ンの調節は所望の植物改良を得るのに重要であり得る。植物が正常または別のア ンモニア同化経路に関係する酵素の異所性過剰発現につき操作される場合、本発 明の好ましい実施態様は植物の多くまたは全部において変化された発現を行うこ とを伴う。植物が同化窒素の使用を触媒作用する酵素の異所性過剰発現につき操 作される場合、本発明の好ましい実施態様はこのような発現を窒素“シンク”組 織および構造、例えば、葉および種子に制限する。 5.2.トランスジェニック植物の発生 5.2.1.核酸構築物 核酸配列の性質は、種々の潜在的な宿主植物細胞の遺伝子構造であるように変 化される。本発明の好ましい実施態様は、当業者が絶対に必須ではないが、明ら かに有利であると認識し得る幾つかの特徴を記載するであろう。これらは遺伝子 構造の単離、合成または構築の方法、植物細胞に導入される遺伝子構築物の操作 、遺伝子構築物の或る特徴、および遺伝子構築物と関連するベクターの或る特徴 を含む。 更に、本発明の遺伝子構築物はDNA分子またはRNA分子につきコードし得 る。本発明によれば、標的植物の所望の安定な遺伝子型の変化は外因的に導入さ れた一種以上の核酸構築物、特に組換えDNA構築物のゲノム組込みにより行わ れることが好ましい。それにもかかわらず、本発明によれば、このような遺伝子 型の変化はまた自律的に複製でき、しかも染色体上かつ生殖上安定であるエピソ ーム(DNAまたはRNA)の導入により影響し得る。導入された核酸構築物が RNAを含む場合、このような構築物からの植物形質転換または遺伝子発現は逆 転写により生成されたDNA中間体により進行し得る。 本明細書に記載された核酸構築物は、当業者に公知の方法を使用して生産し得 る。当業者は構築物の成分を単離、特性決定、そして操作するだけでなく、構築 物それ自体をつくるのに使用し得る組換えDNA方法の教示につきSambrookら, 1989,分子クローニング:実験マニュアル,コールドスプリング ハーバー ラ ボラトリー プレス,プレインビュー,N.Y.のような出典を参考にし得る。所望 の成分の核酸配列が知られている、幾つかの場合には、生物起源からそれを単離 するのではなく、それを合成することが有利であり得る。このような場合、当業 者はCaruthersら,1980,Nuc.Acids.Res.Symp.Ser.7:215-233、およびChowおよ びKempe,1981,Nuc.Acids.Res.9:2807-2817のような教示を参考にし得る。そ の他の場合、所望の成分はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅により有利に生産し 得る。PCR教示につき、当業者はGelfand,1989,PCR技術、DNA増幅に関する 原理および応用,H.A.Erlich編集,ストックトン プレス,N.Y.、分子生物学に おける現行のプロトコル,2巻,15章,Ausubelら編集,ジョン ウィリィ&サ ンズ,1988を参考にし得る。 5.2.1.1.発現構築物 本発明によれば、窒素同化または利用酵素の異所性過剰発現を有する植物は、 所望の酵素をコードする配列と操作により関連された植物プロモーターを含む遺 伝子構築物で植物細胞を形質転換することにより操作し得る。(操作により関連 されたは“関連”プロモーターにより調節された転写が機能性メッセンジャーR NA(その翻訳が酵素を生産するであろう)を生産することを意味するために本 明細書で使用される)。本発明の好ましい実施態様において、関連プロモーター は強力かつ非組織特異性または非発育特異性の植物プロモーター(例えば、多く または全ての組織型中で強く発現するプロモーター)である。このような強力な “構成的”プロモーターとして、CaMV35Sプロモーター、T-DNAマンノピンシ ンテターゼプロモーター、およびそれらの種々の誘導体が挙げられるが、これら に限定されない。 本発明の別の実施態様において、組織特異性または発育特異性のプロモーター を所望の酵素をコードする配列で操作により関連させる遺伝子構築物で植物を操 作することが有利であり得る。例えば、光合成組織および器官中の発現が所望さ れる場合、リブロースビホスフェートカルボキシラーゼ(ルビスコ)遺伝子また は葉緑体a/b結合タンパク質(CAB)遺伝子のプロモーターの如きプロモーターが使 用し得る。種子中の発現が所望される場合、種々の種子貯蔵タンパク質遺伝子の プロモーターの如きプロモーターが使用し得る。窒素固定小節中の発現が所望さ れる場合、レグヘモグロビン遺伝子またはノジュリン遺伝子のプロモーターの如 きプロモーターが使用し得る。根特異性発現が所望される場合、根特異性グルタ ミンシンテターゼ遺伝子をコードするプロモーターの如きプロモーターが使用し 得る(Tingeyら,1987,EMBO J.6:1-9;Edwardsら,1990,Proc.Nat.Acad.Sci. USA 87:3459-3463を参照のこと)。 本発明の更に別の実施態様において、誘導プロモーターを所望の酵素をコード する配列と操作により関連させる遺伝子構築物で植物を形質転換することが有利 であり得る。このようなプロモーターの例は多く、そして多岐にわたる。それら として、二三の名前を挙げると、熱ショック遺伝子、防御応答遺伝子(例えば、 フェニルアラニンアンモニアリアーゼ遺伝子)、傷誘発遺伝子(例えば、ヒドロ キシプロリンに富む細胞壁タンパク質遺伝子)、化学誘導遺伝子(例えば、ニト レート還元酵素遺伝子、グルコナーゼ遺伝子、キチナーゼ遺伝子、等)、暗所誘 導遺伝子(例えば、アスパラギンシンテターゼ遺伝子(CoruzziおよびTsai,米国 特許第5,256,558号,1993年10月26日,植物アスパラギンシンテターゼをコード する遺伝子)が挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の更に別の実施態様において、修飾プロモーターまたは人工プロモータ ーを所望の酵素をコードする配列に操作により連結する遺伝子構築物で植物を形 質転換することが有利であり得る。典型的には、異なるプロモーターの構造要素 を組換えることにより構築された、このプロモーターは天然プロモーターには見 られない特異な発現パターンおよび/またはレベルを有する。例えば、シス調節 要素をプロモーターコアーと組み合わせることにより構築された人工プロモータ ーの例につき、Salinaら,1992,Plant Cell 4:1485-1493を参照のこと。 本発明の更に別の実施態様において、窒素同化または利用酵素の異所性過剰発 現は所望の酵素をコードする遺伝子のコピー数を増加することにより操作し得る 。所望の遺伝子の増加されたコピーを有する植物細胞を生産するための一つのア プローチは、遺伝子の多重コピーを含む核酸構築で形質転換することである。ま た、所望の酵素をコードする遺伝子は、増幅選択可能なマーカー(ASM)遺伝子、 例えば、グルタミンシンテターゼまたはジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を含む核酸 構築物中に入れられる。このような構築物で形質転換された細胞は、ASM遺伝子 の増加されたコピーを有する細胞系を選択する培養レジメにかけられる。GS遺伝 子の増幅されたコピーを含む植物細胞系の単離に使用される選択プロトコルにつ き、Donnら,1984,J.Mol.Appl.Genet.2:549-562を参照のこと。所望の遺伝子 がASM遺伝子の近くに連結されるので、ASM遺伝子を増幅した細胞系はまたおそら く所望の酵素をコードする遺伝子を増幅させるであろう。 本発明のもう一つの実施態様において、窒素同化または利用酵素の異所性過剰 発現は所望の酵素をコードする内在性遺伝子またはトランスジーンの発現を調節 する調節遺伝子をコードする核酸構築物で植物細胞を形質転換することにより操 作されてもよく、この場合、導入された調節遺伝子は所望の組織および/または 発育段階、シンテターゼプロモーター、およびそれらの種々の誘導体中の酵素の 強い発現を可能にするように修飾される。 5.2.1.2.抑制構築物 本発明によれば、所望の植物は窒素同化/代謝においてGS活性またはその他の 酵素の活性を抑制することにより操作し得る(図1)。実施態様において、抑制 は成熟標的mRNAを含む、宿主標的RNA転写産物のセグメントまたは全部に 相補性のアンチセンスRNAをコードする遺伝子構築物で植物細胞を形質転換す ることにより操作し得る。別の実施態様において、標的遺伝子(例えば、GSmR NA)抑制は宿主標的RNA転写産物(例えば、成熟GSmRNAを含む、GSRN A転写産物)を開裂するリボザイムをコードする遺伝子構築物で植物細胞を形質 転換することにより操作し得る。 更に別の実施態様において、標的遺伝子抑制は“優性の負の”突然変異を含む 標的酵素をコードする遺伝子構築物で植物細胞を形質転換することにより操作し 得る。好ましい突然変異は触媒作用、基質結合(例えば、GSにつき、グルタミン 酸またはアンモニウムイオンの結合部位)、または生産物放出に影響する突然変 異である。有益な突然変異は上記のプロセスに関係する重要な一つ以上の残基の 欠失または点突然変異であり得る。当業者は優性の負の突然変異を構築するため のアプローチおよび戦略につき本明細書中の教示およびHerskowitz(Nature,329 :219-222,1987)の教示を参考にし得る。 上記の抑制構築物の全てにつき、このような遺伝子構築物は標的遺伝子と同じ 組織および発育特異性で発現することが好ましい。こうして、これらの抑制構築 物は標的遺伝子のプロモーターと操作により関連されることが好ましい。また、 抑制構築物を構成的に発現させることが好ましい場合がある。こうして、CaMV35 Sプロモーターの如き強力な構成的プロモーターがまた抑制構築物を発現するの に使用し得る。これらの抑制構築物に最も好ましいプロモーターは標的遺伝子の 修飾プロモーターであり、この場合、その修飾は組織特異性または発育特異性の 変化なしに標的遺伝子プロモーターの増進された発現をもたらす。 本発明によれば、標的遺伝子発現の抑制された所望の植物はまた同時抑制構築 物で植物細胞を形質転換することにより操作し得る。同時抑制構築物は標的遺伝 子の完全または部分コード配列と操作により関連された機能性プロモーターを含 む。操作により関連されたプロモーターは強力な構成的プロモーター、例えば、 CaMV35Sプロモーターであることが好ましい。また、同時抑制構築物プロモータ ーは、標的遺伝子と同じ組織および発育特異性で発現するプロモーターであって もよい。このような別のプロモーターは標的遺伝子それ自体のプロモーター(例 えば、GS同時抑制構築物の発現を誘導するためのGSプロモーター)を含み得る。 本発明によれば、同時抑制構築物は不完全標的mRNAまたは欠損標的酵素を コードすることが好ましいが、完全に機能性の標的mRNAまたは酵素をコード する構築物がまた同時抑制を行うのに有益であり得る。 実施態様において、GSアイソザイムの全てではないとしても殆どの抑制が所望 される場合、同時抑制構築物は葉緑体GSmRNA(例えば、エンドウ豆GS2mR NA)の完全または部分コピーをコードすることが好ましい。本明細書(第6.2. 2.節)に開示されるように、このような構築物は標的遺伝子の発現を抑制するの に特に有効である。 本発明によれば、標的遺伝子発現が抑制された所望の植物はまた内在性標的遺 伝子の部位誘導突然変異誘発を行い得る構築物で植物細胞を形質転換することに より操作し得る(植物中の標的遺伝子の部位誘導突然変異誘発を行うための核酸 構築物の説明につき、Offringaら,1990,EMBO J.9:3077-84;およびKanevskii ら,1990,Dokl.Akad.Nauk.SSSR 312:1505-1507を参照のこと)。このような構 築物は不活性コード配列による相同組換えにより、またはそれによらない相同組 換えにより内在性標的遺伝子配列を置換することにより標的遺伝子の抑制を行う ことが好ましい。 5.2.1.3.組換え核酸構築物のその他の特徴 本発明の組換え構築物は、その構築物の伝播のための選択可能なマーカーを含 んでもよい。例えば、細菌中で伝播される構築物は抗生物質耐性遺伝子、例えば 、カナマイシン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、またはクロラムフェ ニコールに対する耐性を与える遺伝子を含むことが好ましい。構築物を伝播する のに適したベクターとして、二三名を挙げると、プラスミド、コスミド、バクテ リオファージまたはウイルスが挙げられる。 加えて、組換え構築物はこれらの構築物により形質転換された植物細胞の単離 、同定またはトラッキングのための植物発現性の選択可能なマーカー遺伝子また は スクリーニング可能なマーカー遺伝子を含んでもよい。選択可能なマーカーとし て、抗生物質耐性(例えば、カナマイシンまたはハイグロマイシンに対する耐性 )または除草剤耐性(例えば、スルホニル尿素、ホスフィノトリシン、またはグ リフォセートに対する耐性)を与える遺伝子が挙げられるが、これらに限定され ない。スクリーニング可能なマーカーとして、β−グルクロニダーゼをコードす る遺伝子(Jefferson,1987,Plant Molec Biol.Rep 5:387-405)、ルシフェラー ゼをコードする遺伝子(Owら,1986,Science 234:856-859)、アントシアニン色 素産生を調節するBおよびC1遺伝子産物(Goffら,1990,EMBO J9:2517-2522)が 挙げられるが、これらに限定されない。 植物を形質転換するためにアグロバクテリウム系を利用する本発明の実施態様 (以下を参照のこと)において、組換えDNA構築物は更に植物細胞に形質転換 されるDNA配列に隣接する右のT-DNAボーダー配列を少なくとも含む。好ま しい実施態様において、移入される配列は左右のT-DNAボーダー配列により隣 接される。このようなT-DNAをベースとする形質転換ベクターの適切な設計お よび構築は当業者に公知である。 5.2.2.植物および植物細胞の形質転換 本発明によれば、望ましい植物は本明細書に記載された核酸構築物で植物細胞 を形質転換することにより得られてもよい。幾つかの場合、植物または植物細胞 を幾つかの異なる遺伝子構築物で操作することが望ましい場合がある。このよう な操作は植物または植物細胞を所望の構築物の全部で同時に形質転換することに より行い得る。また、操作は連続的に行われてもよい。それは、一つの遺伝子で 形質転換し、選択およびスクリーニング後に所望の形質転換体を得、形質転換体 を第二遺伝子構築物で形質転換すること、等である。好ましい実施態様において 、それぞれの遺伝子構築物は、多重遺伝子インサートを含む植物形質転換体の同 定を促進するように異なる選択可能なマーカー遺伝子またはスクリーニング可能 なマーカー遺伝子に連結されるであろう。別の実施態様において、幾つかの異な る遺伝子がそれぞれの遺伝子につき操作された親系統を交雑することにより一種 の植物にとり込まれ得る。 本発明の実施態様において、アグロバクテリウムが遺伝子構築物を植物に導入 するのに使用される。このような形質転換は2成分アグロバクテリウムT-DNA ベクター(Bevan,1984,Nuc.Acid Res.12:8711-8721)、および同時培養操作(Ho rschら,1985,Science 227:1229-1231)を使用することが好ましい。一般に、ア グロバクテリウム形質転換系が双子葉植物を操作するのに使用される(Bevanら, 1982,Ann.Rev.Genet 16:357-384;Rogersら,1986,Methods Enzymol.118:627 -641)。アグロバクテリウム形質転換系がまた単子葉植物および植物細胞を形質 転換するだけでなく、DNAをそれらに移入するのに使用し得る(Hernalsteenら ,1984,EMBO J 3:3039-3041;Hooykass-Van Slogterenら,1984,Nature 311:7 63-764;Grimsleyら,1987,Nature 325:1677-179;Boultonら,1989,Plant Mo l.Biol.12:31-40;Gouldら,1991,Plant Physiol.95:426-434を参照のこと) 。 別の実施態様において、組換え核酸構築物を植物および植物細胞に導入するた めの種々の別法がまた使用し得る。これらのその他の方法は、標的が単子葉植物 または植物細胞である場合に特に有益である。別の遺伝子移入方法および形質転 換方法として、裸のDNAのカルシウム、ポリエチレングリコール(PEG)または エレクトロポレーション介在性とり込みによるプロトプラスト形質転換(Paszko- wskiら,1984,EMBO J 3:2717-2722,Potrykusら,1985,Molec.Gen.Genet.199 :169-177;Frommら,1985,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 82:5824-5828;Shimamoto, 1989,Nature 338:274-276を参照のこと)および植物組織のエレクトロポレーシ ョン(D'Halluinら,1992,Plant Cell 4:1495-1505)が挙げられるが、これらに 限定されない。植物細胞形質転換の更に別の方法として、マイクロインジェクシ ョン、炭化ケイ素介在性DNAとり込み(Kaepplerら,1990,Plant Cell Repo-r ter 9:415-418)、およびマイクロプロジェクティル衝撃(Kleinら,1988,Proc.N at.Acad.Sci.USA 85:4305-4309;Gordon-Kammら,1990,Plant Cell 2:603-618 を参照のこと)が挙げられる。 本発明によれば、多種の植物および植物細胞系が、本発明の核酸構築物および 上記の種々の形質転換方法を使用して本明細書に記載された所望の生理学的特徴 および作物栽培学的特徴につき操作し得る。好ましい実施態様において、操作の ための標的植物および植物細胞として、トウモロコシ、小麦、米、大豆、トマト 、 タバコ、ニンジン、ジャガイモ、てんさい、ヒマワリ、ヤムイモ、アラビドプシ ス、ナタネ、およびペチュニアが挙げられるが、これらに限定されない。 5.2.3.形質転換された植物および植物細胞の選択および同定 本発明によれば、所望の植物は、開示された遺伝子構築物をプロトプラスト、 組織培養細胞、組織および器官外植体、花粉、胚、並びに植物全体を含むが、こ れらに限定されない種々の植物細胞型に操作することにより得られる。本発明の 実施態様において、操作された植物体は下記のアプローチおよび方法に従って形 質転換体(導入された一つ以上の遺伝子構築物をとり込み、または組込んだ形質 転換体)につき選択またはスクリーニングされる。次に単離された形質転換体が 植物中で再生し得る。また、操作された植物体は、誘導された植物または幼植物 体をマーカー遺伝子形質につき選択またはスクリーニングにかける前に植物また は幼植物体に再生し得る。一つ以上のマーカー遺伝子を選択またはスクリーニン グする前または後に、植物を植物細胞、組織または器官から再生するための方法 は当業者に公知である。 形質転換された植物細胞、カルス、組織または植物は、操作された植物体を形 質転換DNAに存在するマーカー遺伝子によりコードされた形質につき選択また はスクリーニングすることにより同定され、単離し得る。例えば、選択は形質転 換遺伝子構築物が耐性を与える抑制量の抗生物質または除草剤を含む培地で操作 された植物体を生育することにより行い得る。更に、形質転換された植物および 植物細胞はまた本発明の組換え核酸構築物に存在し得る可視のマーカー遺伝子( 例えば、β−グルクロニダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、B遺伝子または C1遺伝子)の活性につきスクリーニングすることにより同定し得る。このような 選択方法およびスクリーニング方法が当業者に公知である。 また、物理的方法および生化学的方法が本発明の遺伝子構築物を含む植物また は植物細胞形質転換体を同定するのに使用し得る。これらの方法として、1)組換 えDNAインサートの構造を検出し、測定するためのサザン分析またはPCR増幅 ;2)遺伝子構築物のRNA転写産物を検出し、試験するためのノーザンブロット 、S1 RNase保護、プライマー伸長PCR増幅または逆転写酵素PCR増幅;3)このよう な遺伝子産物が遺伝子構築物によりコードされる場合、酵素またはリボザイム活 性を検出するための酵素アッセイ;4)遺伝子構築産物がタンパク質である場合、 タンパク質ゲル電気泳動、ウェスタンブロット技術、免疫沈殿、またはエンザイ ムリンクドイムノアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。更に別の技 術、例えば、in situハイブリダイゼーション、酵素染色、および免疫染色がま た特定の植物器官および組織中の組換え構築物の存在または発現を検出するのに 使用し得る。全てのこれらのアッセイを行う方法が当業者に公知である。 5.2.4.改良された作物栽培学的形質を有する植物に関する形質転換された植物 のスクリーニング 本発明によれば、改良された作物栽培学的特徴を有する植物を得るために、形 質転換された植物が所望の生理学的変化を示す植物につきスクリーニングし得る 。例えば、植物がGS酵素の異所性過剰発現につき操作された場合、形質転換され た植物が所望のレベルで所望の組織および発育段階中にGS酵素を発現する植物に つき試験される。植物が標的遺伝子の抑制につき操作された場合、形質転換され た植物が種々の組織中で減少されたレベルで標的遺伝子産物(例えば、RNAま たはタンパク質)を発現する植物につき試験される。次に、所望の生理学的変化 、例えば、異所性GS過剰発現またはGS抑制を示す植物が所望の作物栽培学的変化 を有する植物につき続いてスクリーニングし得る。 また、形質転換された植物は所望の作物栽培学的変化を示す植物につき直接に スクリーニングし得る。一つの実施態様において、このようなスクリーニングは 窒素栄養欠乏条件下の形質転換された植物の生産的生育に関するものであっても よい。それは、野生型植物の成長を停止し、または野生型植物のサイズまたは品 質をかなり低下するように低減させる、利用可能な窒素栄養に関する、条件下の 形質転換された植物の成長に関するスクリーンである。タバコおよび同様の窒素 栄養要件を有する植物に関する窒素栄養欠乏条件の例は、土壌または合成培地中 の唯一の窒素栄養が(a)0.5mM以下の濃度で供給または周期的に適用される硝酸塩 、または(b)0.5mM以下の硝酸塩に生理学的に均等である濃度で供給または周期的 に適用される硝酸塩の生理学的に均等物(例えば、アンモニウムまたは硝酸塩と ア ンモニウムの混合物)(Eckesら,1988,オーストラリア特許庁書類番号AU-A-1732 1/88を参照のこと)である条件である。窒素栄養欠乏条件の別の例は、土壌また は合成培地中の利用可能な窒素栄養の定常状態レベルが約0.02mM未満の硝酸塩ま たはその生理学的均等物である条件である。本明細書に使用される硝酸塩という 用語は植物窒素肥料として普通に使用される硝酸塩、例えば、硝酸カリウム、硝 酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、等のいずれか一種またはあ らゆる混合物を意味する。本明細書に使用されるアンモニウムという用語は植物 窒素肥料として普通に使用されるアンモニウム塩、例えば、硝酸アンモニウム、 塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、等のいずれか一種またはあらゆる混合物 を意味する。 その他の実施態様において、形質転換された植物のスクリーニングは、窒素非 限定生育条件下で培養される(即ち、健全な植物成長を持続するのに充分な量の 窒素栄養を含み、または受容する土壌または培地を使用して培養される)時に、 未操作の前駆植物と較べて、改良された作物栽培学的特徴(例えば、早い成長、 大きな栄養収穫量または再生産収穫量、または改良されたタンパク質含量、等) に関するものであってもよい。タバコおよび同様の窒素栄養要件を有する植物に 関する窒素非限定条件の例は、土壌または合成培地中の唯一の窒素栄養が(a)10m M以上の濃度で供給または周期的に適用される硝酸塩、または(b)10mM以上の硝酸 塩に生理学的に均等である濃度で供給または周期的に適用される硝酸塩の生理学 的に均等物である条件である。窒素非限定条件の別の例は、土壌または合成培地 中の利用可能な窒素栄養の定常状態レベルが少なくとも約1.0mMの硝酸カリウム またはその生理学的均等物である条件である。植物生育に関する窒素栄養欠乏条 件または“非限定”条件であることに関する更に別のガイダンスが当業界に見ら れる。例えば、Hewitt,E.J.,植物栄養の研究に使用される砂培養方法および水 培養方法,第2編,Farnham Royal(Bucks),Commonwealth Agricultural Bu-rea ux,1966;およびHewitt,E.J.,植物無機栄養,ロンドン,英国大学プレス,197 5を参照のこと。 形質転換された植物がマメ科牧草類である実施態様において、所望の作物栽培 学的変化および改良による形質転換された植物の直接のスクリーニングは、小節 形成または窒素固定が抑制される条件下である以外は上記のようにして行われて もよい。 本発明によれば、窒素同化プロセスまたは利用プロセスの変化で操作された植 物は改良された窒素含量、変化されたアミノ酸またはタンパク質組成、活発な成 長特性、増大された栄養収穫量または良好な種子収穫量および品質を示し得る。 このような改良された作物栽培学的特徴を有する操作された植物および植物系統 は下記のパラメーター:1)新鮮重量または乾燥重量の増加の速度に関して測定さ れる成長の速度;2)新鮮重量または乾燥重量に関する、成熟植物の栄養収穫量; 3)種子または果実収穫量;4)種子または果実重量;5)植物の合計窒素含量;6)果 実または種子の全窒素含量;7)植物の遊離アミノ酸含量;8)果実または種子の遊 離アミノ酸含量;9)植物の合計タンパク質含量;および10)果実または種子の合 計タンパク質含量のいずれかを試験することにより同定し得る。これらのパラメ ーターを試験するための操作および方法が当業者に公知である。 本発明によれば、所望の植物は、前記パラメーターの一つ以上において対照植 物(即ち、前駆植物)に対し改良を示す植物である。実施態様において、所望の 植物は、少なくとも一つのパラメーターにおいて対照植物に対し少なくとも5% の増加を示す植物である。好ましい実施態様において、所望の植物は、少なくと も一つのパラメーターにおいて対照植物に対し少なくとも20%の増加を示す植物 である。少なくとも一つのパラメーターにおいて少なくとも50%の増加を示す植 物が最も好ましい。 5.3.発明の有用性 本発明の遺伝子操作された植物は、野生型植物の成長を停止させたり、成長を 小さくして野生型植物を実際に無用のものにする、窒素栄養素が欠乏した条件下 (すなわち、土壌に窒素が少なく、また、窒素肥料の投入量が少ない)で生産的 に栽培することができる。遺伝子操作された植物はまた、より早い成熟、より速 い成長および/またはより高い収穫量の達成、および/または窒素無制限成長条 件(すなわち、健康的な植物の成長を維持するのに充分な量の窒素栄養素を含む か受け取る土壌または培地)を使用して栽培するときのより栄養に富む食品およ び動物飼料の生産に有利に使用することができる。窒素無制限成長条件は、種同 士の間および一つの種の亜種に対して変わる。しかし、当業者であれば、全部で なくても、ほとんどの重要な作物および観賞植物の栽培に対して、何が窒素無制 限成長条件を構成するかを知っている。例えば、小麦の栽培に対しては、Alcoz ら、Agronomy Journal 85:1198-1203(1993)、RaoおよびDao,J.Am.Soc.Agron omy 84:1028-1032(1992)、HowardおよびLessman,Agronomy Jornal 83:208-211( 1991);トウモロコシの栽培に対しては、Tollenearら、Agronomy Journal 85:25 1-255(1993)、Strawら、Tennessee Farm and Home Science:Progress Report, 166:20-24(Spring 1993)、Miles,S.R.,J.Am.Soc.Agronomy 26:129-137(193 4)、Daraら、J.Am.Soc.Agronomy 84:1006-1010(1992)、Binfordら、Agronomy Journal 84:53-39(1992);大豆の栽培に対しては、Chenら、Canadian Journal of Plant Science 72:1049-1056(1992)、Wallaceら、Journal of Plant Nutriti on 13:1523-1537(1990);米の栽培に対しては、OritaniおよびYoshida,Japanes e Journal of Crop Science 53:204-212(1984);亜麻仁の栽培に対しては、Diep enbrockおよびPorksen,Industrial Crops and Products 1:165-173(1992);ト マトの栽培に対しては、Grubingerら、Journal of the American Society for H orticultural Science 118:212-216(1993)、Cerne,M.,Acta Horticulture 277 :179-182(1990);パイナップルの栽培に対しては、Magistadら、J.Am.Soc.Ag ronomy 24:610-622(1992)、Asoegwu,S.N.,Fertilizer Research 15:203-210(1 988)、Asoegwu,S.N.,Fruits 42:505-509(1987);レタスの栽培に対しては、Ri chardson およびHardgrave,Journal of t he Science of Food and Agriculture 59:345-349(1992);ミントの栽培に対し ては、Munsi,P.S.,Acta Horticulturae 306:436-443(1992);カモミールの栽 培に対しては、Letchamo,W.,Acta Horticulturae 306:375-384(1992);タバコ の栽培に対しては、Sissonら、Crop Science 31:1615-1620(1991);馬鈴薯の栽 培に対しては、PorterおよびSisson,American Patato Journal,68:493-505(19 91);アブラナ科の栽培に対しては、Rahnら、Conference”Proceedings,second congress of the European Society for Agronomy”Warwick Univ.,p.424-425 (August 23-28 1992);バナナの栽培に対しては、HegdeおよびSrinivas,Tropic al Agriculture 68:331-334(1991)、LangeneggerおよびSmith,Fruits 43:639-6 43(1988);イチゴの栽培に対しては、HumanおよびKotze,Communications in So il Science and Plant Analysis 21:771-782(1990);モロコシの栽培に対しては 、MahalleおよびSeth,Indian Journal of Agricultural Sciences 59:395-397( 1989);オオバコの栽培に対しては、AnjorinおよびObigbesan,Conference”Int ernational Cooperation for Effective Plantain and Banana Research”Proce edings of the third meeting.Abidjan,Ivory Coast,p.115-117(May 27-31, 1985);サトウキビの栽培に対しては、Yadav,R.L.,Fertiliser News 31:17-22 (1986)、YadavおよびSharma,Indian Journal of Agricultural Sciences 53:38 -43(1983);テンサイの栽培に対しては、Draycottら、Conference”Symposium N itrogen and Sugar Beet”International Institute for Sugar Beet Research - Brussels Belgium,p.293-303(1983)参照。また、GohおよびHaynes,”Nitrog en and Agronomic Practice”in Meneral Nitrogen in the Plant-Soil System ,Academic Press,Inc.,Orlando,Florida,p.379-468(1986),Engelstad,O. P.,Fertilizer Technology and Use,Third Edition,Soil Science Society o f America,p.633(1985),Yadav and Sharmna,Indian Journal of Agricultura l Sciences,53:3-43(1983)も参照。 GS抑制は、いくつかのGS抑制された植物、特に豆科植物が、非抑制植物よ りもより速く成長する、あるいはより高い窒素含量を有するという点で有用であ る(KnightおよびLangston-Unkefer,Science,241:951-954参照)。GS抑制さ れた植物はまた、アミノ酸またはタンパク質含量を変えて、特定のダイエット 食品の製造に有用であり得る。さらに、本明細書に開示する遺伝子操作された全 植物は、農業的に有用なプラントラインを展開するための育種ストックとして役 立っと考えられる。 6.実施例:グルタミンシンテターゼの植物における異所性過剰発現は、植物成 長表現型の増加を引き起こす ここでは、トランスジェニック植物において窒素使用効率を操作するための分 子遺伝学法を記載する。その方法は、通常はGS発現が認められない細胞型およ び/またはレベルでGSを発現する、グルタミンシンテターゼの異所性発現に頼 るものである。トランスジェニック植物における細胞特異的GS発現のパターン は、細胞質ゾルGS(通常は、篩部で発現するだけである。)を全細胞型で構成 的に過剰発現することにより変えられる。GSのそのような異所性発現は、窒素 同化酵素の区画化および細胞型特異性から生じる生理的制限を回避することがで きる。葉肉細胞での細胞質ゾルGSの異所性高レベル発現は、光呼吸によって失 われたアンモニアの再同化に対して別のルートを提供すると考えられる。このこ とは、光呼吸によって失われるアンモニアの量が最初の窒素同化の10倍を超え るとき、成長の上での利点を与えると考えられる(Wallsgroveら、1983,Plant Cell Environ.6:301-309;Keysら、1978,Nature,275:741-743)。ここに開示 する研究は、細胞質ゾルGSに対する異種GSサブユニットの構成的過剰発現が GS mRNA、GSタンパク質、全GS活性、天然のGSホロ酵素の増加なら びに一例においては新規GSホロ酵素の産生をもたらすことを示す。細胞質ゾル GSを過剰発現する形質転換された植物は、野生型と比較して、統計的に重要な 成長上の利点を有する。形質転換された植物は、栄養成長期の際に、形質転換さ れていない前駆植物よりも速く成長し、最終の新鮮重量をより高くし、溶解性の より高いタンパク質を有する。しかし、場合によっては、細胞質ゾルGSおよび /または葉緑体GSの過剰発現が、内在遺伝子発現または共同抑制の下方調整を 引き起こす。細胞質ゾルGS過剰発現構成体を含むいくつかの形質転換された植 物および葉緑体GS2構成体を含む全ての形質転換された植物はGSを過剰発現 しないで、むしろGS発現を抑制し、内在GS遺伝子の抑制も含む(すなわち、 共同抑制)。そのようなGSが共同抑制された植物は、小さい成長特性を示す可 能性があるが、窒素が他の窒素同化/代謝経路にそれて入ることによりアミノ酸 およびタンパク質含量が変わると考えられる。 6.1.材料および方法 6.1.1.植物発現ベクターの構築 植物発現ベクターpTEV4、5、7および8を次のように構築した。カリフラワ ーモザイクウイルス(CaMV)のStrasbourg株の35Sプロモーターを含む、転写開 始に対して-941〜+26まで伸びるHindIII−EcoRI断片を、pBluescript KS II-(pT 109)に挿入した(Hohnら、1982,Curr.Topics Microbiol.Immunol.96:194-23 6)。次いで、HindIIIおよびXhoI部位の間のポリリンカー配列を、XbaI、SstIお よびStuI部位を含むように修飾した(pT145)。こうして、pBIN19(Clontech) 由来の、ノパリンシンターゼ転写ターミネーターを含むT4ポリメラーゼ処理し たSstI−EcoRI断片をStuI部位に挿入することができ、pT161を作った。このよう に構築された発現カセットは、隣がEcoRI部位であり、修飾ポリリンカーを含む 、pBIN19(Bevan,1984,Nucleic Acids Res.12:8711-8721)由来のプラスミド であるpW3に移入された。プロモーターの5’末端がpW3の左端に隣接するように 配向したクローンを選択し(pW63)、プロモーターとターミネーターとの間に多 数のクローニング部位を挿入した。こうして、列挙したユニークなクローニング 部位を有する次のバイナリーベクターを作った(図3):pTEV4(HindIII-XbaI- BamHI-XhoI)、pTEV5(HindIII-StuI-SstI-KpnI)、pTEV8(HindIII-XhoI-BamHI-X baI)、pTEV9(HindIII-KpnI-SstI-StuI)。 6.1.2.GS cDNAのバイナリー発現ベクターへの移入 細胞質ゾルGS1およびGS3Aならびに葉緑体GS2のエンドウ遺伝子に対 応するcDNAをpBluescriptから上記のバイナリー発現ベクターへ移入した( 図4参照)。これらのcDNAは、以前は、各々GS299、GS341および GS185として記載された(Tingeyら、1987,EMBO J.6:1-9;Tingeyら、198 8,J.Biol.Chem.263:9651-9657)。葉緑体GS2に対しては、ゲノム配列 の第一イントロンをcDNAの適切な位置に挿入して修飾cDNAを構築した( Z54)。これは、ポリメラーゼ連鎖反応法を使用してcDNAの5’末端から エキソン2内に位置するBsmI部位(アミノ酸43)まで伸びる断片を増幅すること により行い、これは次いで、pBluescriptにおけるcDNAにクローン化するこ とができた。細胞質ゾルGS3Aに対しては、ゲノムGS3AクローンのBgIII- KpnI断片を、pBluescript cDNAクローンに交換クローン化することにより修 飾DNA(Z17)を構築し、全てのゲノムイントロン(アミノ酸6より前方) が挿入されたcDNA配列を作った。イントロンを入れてcDNAを構築するこ との目的は、単子葉植物で示されたように(SinibaldiおよびMettler,1991)、 トランスジェニック植物での発現を高めるために試みることであった。そのcD NAをpBluescriptから下記のバイナリー発現ベクターに移入した。すなわち、 GS1−pTEV4をXbaI-XhoI部位に入れてpZ3(NRRL受理番号B-21330)を 作製し、GS3Aおよび修飾GS3A−pTEV4をXbaI-XhoI部位に入れて、各々、 pZ9(NRRL受理番号B-21331)およびpZ17(NRRL受理番号B-21332 )を作製し、GS2および修飾GS2−pTEV5をStuI-KpnI部位に入れて、各々、 pZ41(NRRL受理番号B-21333)およびpZ54(NRRL受理番号B-213 34)を作製した。 6.1.3.植物の形質転換 バイナリーベクター構築体を、以前に記載された方法を使用して三親交配する ことにより、無力のアグロバクテリウム(Agrobacterium)株LBA4404に移入した( Bevan,1984,Nucleic Acids Res.12:8711-8721)。Nicotiana tabacum系SR1を 、葉接種法により形質転換し(Horschら、1985,Science 227-1299-1231)、再生 した苗条(shoot)を、200μg/mlのカナマイシンを含む培地上で選択した。一次形 質転換体を滅菌培地で保持し、次いで、成熟するまで土壌で成長させた。トラン スジェニック種子を10%次亜塩素酸ナトリウムで滅菌し、100μg/mlカナマイシン を含む培地上で発芽させた。 6.1.4.GSタンパク質および酵素活性分析 可溶タンパク質を、以前に記載されたように、タバコおよびエンドウの葉の組 織から抽出した(TingeyおよびCoruzzi,1987,Plant Physiol.84:366-373)。タ ンパク質を変性し、12%アクリルアミドのSDS−PAGEにより分離し、ニト ロセルロース上に電気ブロットした。ウェスタン分析法を、Promega製のProtoBl otキットならびにタバコ葉緑体GS2およびPhaseolus細胞質ゾルGSに対して 高められた抗体の混合物を使用して行った(Hirelら、1984,Plant Physiol.74: 448-450;Laraら、1984,Plant Physiol.76:1019-1023)。形質転換体における 全GS活性を、以前に記載されたADP−依存トランスフェラーゼアッセイを使 用して測定した(ShapiroおよびStadtman,1970,Methods Enzymol.17A:910-922 )。非変性ゲル電気泳動は、GSアイソザイム検出のためのADP−依存トラン スフェラーゼアッセイと共に公知のプロトコール(Davis,1964,Annals New Yor k Acad.Sci.121:404-427)に従った。 6.1.5.RNA分析 RNAを、Bio101製の「RNAマトリックス」を使用し、製造者の示唆する以 下のプロトコールに従って単離した。全RNAを、40mMのトリエタノールアミン 、2mMのEDTAおよび3.2%のホルムアルデヒド/1.2%アガロースで電気泳動し た(Thomas,1983,Methods Enzymol.100:255-266)。ゲルを10mMのリン酸ナト リウムに浸漬し、Hybond-Nナイロン膜(Amersham)上にキャピラリーブロットし た。cDNAを、NEN製のランダムプライマーおよび拡張試薬標識システムを使 用して標識化し、鎖特異的リボプローブを、StratageneRNA転写キットを使用 して作った。水性ハイブリダイーションを、膜の製造者のプロトコールに従って 行い、ブロットを0.1xSSRE、0.1%xSDSで洗浄した。 6.1.6.植物の成長条件 先に高いレベルでGS1またはGS3Aを発現すると解析された一次形質転換 体の子孫を、100μg/mlのカナマイシンを含むMurashige-Skoog(MS)培地で発芽 させた。14日後、カナマイシン耐性苗を、白砂を入れた4インチのポットに移し 、Saran Wrap(登録商標)で約1週間覆って、過剰な蒸散を防ぎ、苗が定着で きるようにした。ポットを、唯一の窒素源として10mMの硝酸カリウムを含む過剰 の1X Hoagland溶液で定期的に湿らした。次いで、毎週、3〜7本の植物を切っ て新鮮重量を測定し、隣り合った植物の陰になるのが顕著になるまで4週間続け た。植物を、明−暗のサイクルを16-8時間とし、温度のサイクルを24-18℃とし て成長させた。昼間の光の強さは1000luxであった。 6.2.結果 6.2.1.トランスジェニック植物に導入したGS構築体 葉緑体GS2(aka GS185(Tingeyら、1988,J.Biol.Chem.263:9651-9657)) 、細胞質ゾルGS1(aka GS299(Tingeyら、1988,J.Biol.Chem.263:9651-965 7))およびGS3A(aka GS341(Tingeyら、1987,EMBO J.6:1-9))に対するPis um sativum cDNAをpTEVバイナリー発現ベクターに挿入して(図3および4 参照)、CaMV 35Sプロモーターの後ろを発現させ、トランスジェニックタバコに 移入した。GS2(図4、構築体Z54)およびGS3A(図4、構築体Z17 )に対しては、1個以上のイントロンを挿入したcDNAを構築し、CaMV 35Sプ ロモーターの後ろを発現させた。イントロンを挿入したcDNAを構成すること の目的は、単子葉植物で示されたように(SinibaldiおよびMettler,1991,Prog ress in Nucleic Acid Research and Molecular Biology 42:1991)、トランス ジェニック植物での発現を高めるために試みることであった。さらに、未修飾の 全長GS cDNAも、GS2(Z41)、G3A(Z9)およびGS1(Z3 )に対して、35S-CaMVプロモーター下で発現させた(図4参照)。図4に詳述し た35S-CaMV-GS構築体の各々に対して、少なくとも8個の一次(T1)形質転換 体を分析し、代表的サンプルを図5に示す。選択した一次形質転換体に対しては 、4個のカナマイシン耐性T2子孫植物も分析した(図6)。以下に示すT1お よびT2植物の分析は、ウェスタン分析法(図5および図6、パネルA);ノー ザンブロット分析法(図6、パネルB)、GSホロ酵素分析(図6、パネルC) およびGS酵素活性分析(図6、パネルCならびに表1Aおよび1B)を含み、 分析した全トランスジェニック系を代表している。 6.2.2.35S−葉緑体GS2遺伝子融合体を有するトランスジェニック植物の 分析 35S−GS2構築体(図4、Z41またはZ54)のいずれかを含むトラン スジェニック植物を分析した。35S−GS2(Z41)および修飾した(イン トロンを含む)35S−GS2構築体(Z54)は共に、一次T1形質転換体お よびT2子孫植物の両方に対して同様の結果を与えた。全一次形質転換体のウェ スタンブロット分析は、野生型タバコ(図5、レーンTL)と比較して、葉緑体 GS2ポリペプチド(ctGS)の量がかなり減少したことを示した(図5、レ ーン3〜6)。ポリクローナルGS2抗体は、エンドウおよびタバコの両方のG S2を認識することが分かっているので(TingeyおよびCoruzzi,1987,Plant P hysiol.84:366-373;Tingeyら、1988,J.Biol.Chem.263:9651-9657)、この 減少は、宿主のタバコGS2遺伝子およびエンドウGS2トランス遺伝子の両方 の下方調整を表す。細胞質ゾルGSポリペプチド(cyGS)の量は、形質転換 していない対照の野生型タバコ(図5、レーンTL)と比較して変わらないこと がこれらの形質転換体(図5、レーン3〜6)で認められた。Z41の場合は、 全部で14個の独立した一次形質転換体の全GS活性が下方調整され、高くて野 生型の活性の85%、低い方は野生型GS活性の22%であった(表1Aおよび 1B)。Z54構築体の場合は、再生された全部で9個の独立した一次形質転換 体が野生型GS活性の50%以下に下方調整され、その範囲は49%〜11%で あった(表1Aおよび1B)。これらのデータから、イントロンを含むZ54構 築体がかなり共同抑制されたことは明らかである。対照的に、Z41構築体は、 内在性タバコ葉緑体GS2の下方調整の点であまり有効でなく、これらの植物は より広い範囲の共同抑制表現型を示した(表1Aおよび1BのZ41の個体間の GS活性の変化を参照)。典型的には、GS2が共同抑制された植物は、野生型 よりもゆっくり成長し、光呼吸中のアンモニアの蓄積と関連する毒性またはグル タミンの欠乏のいずれかにより、介在する黄白化を発生した(図10参照)。従 って、これらの形質転換体は、以前に記載されたオオムギのGS2突然変異体に 類似していた(Wallsgroveら、1987,Plant Physiol.83:155-158)。高められた (1.2%)CO2の雰囲気下(光呼吸の抑制のため)で成長させた、またはグルタ ミンを補足したZ41またはZ54型のいずれかの共同抑制された植物は、あま り重い症状を示さなかった。このことも、これらの植物がGS2欠乏であるとい う結果を支持するものである。 一次Z41およびZ54形質転換体由来の4個のカナマイシン耐性T2子孫植 物も分析した(図6)。子孫のウェスタン分析により得られた結果および全GS 活性に対して得られた結果は、一次形質転換体に対して認められた結果と同様で あった(図6、パネルA、および表1B)。図6は、いくつかのZ54またはZ 41−次形質転換体の代表的な一つのT2子孫のデータを示す。これらの植物の ウェスタンブロット分析から、葉緑体GS2タンパク質の量が少ないことが確認 され(図6、パネルA)、非変性GS活性ゲル分析により、GS2ホロ酵素の量 が野生型のタバコ(図6、パネルC、レーンTL)と比較して少ないことが確認 された(図6、パネルC、レーン9〜14)。ノーザン分析は、GS2トランス 遺伝子からの転写体が、対照のエンドウRNA(図6、パネルB、レーンP)に 存在するものと比較して検出できないことを示した(図6、パネルB、レーン9 〜14)。これらの結果は、エンドウGS2トランス遺伝子の挿入によるタバコ 葉緑体GS2の特異的共同抑制を示唆する。さらに、エンドウGS2トランス遺 伝子も抑えられた。細胞質ゾルGSmRNAおよびタンパク質のレベルは、これ らのGS2共同抑制植物において影響を受けなかった。 6.2.3.35−S細胞質ゾルGS3A遺伝子融合体を有するトランスジェニック 植物の分析 35S−GS3A構築体(Z17またはZ9;図4)のいずれかを含むトラン スジェニック植物を分析した。Z17(イントロンを含む系)の場合、GS活性 を分析した13個の独立した一次形質転換体のうち、6個はGS活性の過剰発現 を示した(119〜145%)が、7個は、形質転換しなかった対照(100%)と比較して 、共同抑制(52〜28%)を示した(表1Aおよび1B)。図5および6は、Z17 の代表的な過剰発現体および共同抑制された系のデータを含む。形質転換体Z1 7−12は、GS酵素活性が共同抑制されており(野生型の27%)、葉緑体G S2および細胞質ゾルGSタンパク質の両方とも、野生型のタバコ(図5、レ ーンTL)と比較して低い(図5、レーン2)。対照的に、形質転換体Z17− 6は、全GS活性レベルが高められ(127%)、細胞質ゾルGSタンパク質レベル が野生型のタバコ(図5、レーンTL)と比較して増加した(図5、レーン1) 。他の独立形質転換体のT2子孫の分析では、細胞質ゾルGSタンパク質が下方 調整された形質転換体がさらに示されたが(Z17−9BおよびZ17−10; 図6、パネルA、レーン6および7)、他は、細胞質ゾルGSのレベルが高めら れた(Z17−7およびZ17−9A;図6、パネルA、レーン4および5)。 Z17植物に対して認められた共同抑制現象(Z17−9B、Z17−10およ びZ17−12)は、GS2形質転換体(Z54およびZ41)に対して認めら れた現象とは、葉緑体GS2および細胞質ゾルGSの両方がGS3A共同抑制植 物において下方調整されるという点で明らかに異なる(図6、パネルA、レーン 6〜8、レーン9〜14参照)。図6は、35S−GS3A(Z17−9B、Z 17−10、Z17−12)によって引き起こされる共同抑制がGSの量の減少 (ウェスタンおよびGS活性ゲル分析;図6、パネルAおよびC、レーン6〜8 )およびGS3Aトランス遺伝子の本質的に検出できない転写(ノーザン分析法 ;図6、パネルB、レーン6〜8)を伴うことを示す。GS3A構築体を過剰発 現する形質転換体(Z17−6、Z17−7およびZ17−9A)では、GS3 A転写体が非常に多く(図6、パネルB、レーン3〜5)、このことは、ウェス タンブロット分析(図6、パネルA、レーン3〜5)およびGS活性分析(表1 )によって検出可能な細胞質ゾルGSの量がより多いことを表す。細胞質ゾルG S3Aを過剰発現するこれらのZ17形質転換体の可溶タンパク質の非変性GS 活性ゲル分析は、野生型タバコの葉において支配的な葉緑体GS2ホロ酵素(バ ンドB、図6、パネルC、レーンT)よりもゆっくり移動する新規GSホロ酵素 の存在を示す(バンドA*、図6、パネルC、レーン3〜5)。同じGS3Aト ランス遺伝子構築体を有する個々のZ17形質転換体が二つの異なる表現型であ る共同抑制型(図6、レーン6〜8)および過剰発現型(図6、レーン3〜5) を与えるというのは興味深いことである。 分析するトランスジェニック植物集団の大きさを拡大するために、形質転換の 第二ラウンドを行い、上記と同様の結果を得た。分析した全部で23個の独立し た一次Z17形質転換体のうち、5個はGSが共同抑制され、8個はGSを過剰 発現した。さらに、修飾していない(イントロンを含まない)GS3AcDNA を含む一次形質転換体を分析した(Z9、図4)。分析した4個のZ9−次形質 転換体のうち、1個はGSが共同抑制され、2個は細胞質ゾルGSを過剰発現し た。このことは、Z17(イントロンを含む35S−GS3A)およびZ9(3 5S−GS3A cDNA)構築体の間に定性的な相違はないことを示唆した。 特に興味深いのは、Z17−9AおよびZ17−9B(図6、レーン5および6 )のこれらの二つのT2植物が、単一の一次形質転換体からの自家受粉によって 誘導されたけれども、種々の表現型を有するはずであるという観察である。Z1 7−9−次形質転換体の全GS活性を分析し、活性が減少し、従って共同抑制さ れたことを見出した(表1参照)。Z17−9の他の二つのT2子孫植物を分析 し(Z17−9CおよびZ17−9D)、これらが共に共同抑制されて、この集 団における共同抑制の割合が3:1と優勢であることが分かった。 6.2.4.35S−細胞質ゾルGS1遺伝子融合体を有するトランスジェニック植 物の分析 35S−GS1構築体(Z3;図4参照)を含むトランスジェニック植物も分 析した。独立した8個のZ3−次形質転換体のうち、5個は、ウェスタンおよび ノーザンブロット分析から、明らかに過剰発現の表現型であり、共抑制型はなか った。これらのZ3形質転換体のうち二つのT2子孫を図6に示す。Z3−1お よびA3−2のどちらも、細胞質ゾルGSタンパク質の量の増加を示し(図6、 パネルA、レーン1および2)、これは、GS mRNAのレベルの増加によっ て表される(図6、パネルB、レーン1および2)。非変性活性ゲル分析は、タ バコの葉の葉緑体GS2ホロ酵素(図6、パネルC、レーンT)よりも速く移動 するGSホロ酵素(バンドC)(図6、パネルC、レーン1および2)を示した 。このZ3植物中のより速く移動するGSホロ酵素(バンドC)は、天然のエン ドウ細胞質ゾルGSと大きさが対応する。 6.2.5.トランスジェニック植物における天然および新規の細胞質ゾルGSホロ 酵素の分析 細胞質ゾルGS3A(Z17)およびGS1(Z3)の異所性発現は、さらに 、しかし、野生型タバコの葉に見られる葉緑体GS2(バンドB)と比較して異 なるGSホロ酵素活性バンド(例えば、バンドA*およびC)を与えた。これら のトランスジェニック植物からの抽出物の電気泳動を非変性活性ゲルで繰り返し た。該ゲルには、比較のために、細胞質ゾルGSホロ酵素(バンドC)に富むエ ンドウの根(PR)およびタバコの根(TR)のタンパク質のレーン(図7A、 レーン2および4)、ならびに葉緑体GS3ホロ酵素(バンドB)に富む精製し たエンドウの葉緑体(PC)およびタバコの葉緑体(TC)から得た抽出物(図 7A、レーン1および3)を含めた。トランスジェニックタバコZ3−1の抽出 物(図7A、レーン6)に見られる別のGS1ホロ酵素活性(バンドC)は、天 然のエンドウの細胞質ゾルGSバンド(バンドC、図7A、レーン2および4) と共に移動する。対照してみると、Z17−7トランスジェニック植物の葉(図 7A、レーン5)に見られる新規GS3A活性(バンドA*)は、細胞質ゾルG S(バンドC)とも、葉緑体GS2バンド(バンドB)とも一緒に移動しない。 そして、大きさはより大きく、電荷はより酸性側である。GS活性バンドA*、 BおよびCのサブユニット組成物を決定するために、これらのバンドを調製ゲル から切り取り、変性SDSゲルに再び載せ、次いで、GSサブニットのウェスタ ンブロット分析を行った(図7B)。この分析は、GS活性バンドA*およびC が共に、もっぱら細胞質ゾルGSポリペプチドを含むことを示した(図7B、レ ーン2および4)。この知見では、より大きいGS3A活性バンドA*が、異種 GS3A細胞質ゾルサブユニットと内在性タバコ葉緑体前駆体GS2サブユニッ トとの会合の結果であるという可能性は少なかった。GS活性バンドA*は、ト ランスジェニックGS3Aサブユニットとシャペロニン型タンパク質との集合を 表すと考えられるが、該複合体をATPで解離するという試みは成功しなかった 。その結果、新規GSホロ酵素の性質は不明のままである。 6.2.6.細胞質ゾルGS1またはGS3Aを異所的に過剰発現する形質転換体の 成長分析のための選択 細胞質ゾルGS3A(Z17)または細胞質ゾルGS1(Z3)を異所的に過 剰発現する2組の植物を選択して成長分析を行った。第一ラウンドの形質転換か ら(下記実験A参照)、植物Z3−1およびZ3−2をGS1高レベル発現体と して選択し(図6、レーン1および2;図8、レーン1および2)、植物Z17 −6およびZ17−7をGS3A高レベル発現体として選択した(図5、レーン 1;図6、レーン3および4;図8、レーン3および4)。これらの形質転換体 のカナマイシン耐性T2子孫を以下に記載する実験Aでの成長分析のために選択 した。第二ラウンドの形質転換から、二つのさらに独立して形質転換したGS1 −過剰発現植物(Z3−3およびZ3−4)(図8、レーン5および6)および 二つのさらに独立して形質転換したGS3A−過剰発現植物(Z17−3および Z17−11)(図8、レーン7および8)を選択して分析した。これらの植物 のカナマイシン耐性T2子孫を、第二成長実験で分析した(下記実験B)。 6.2.7.植物成長実験の設計 植物成長分析を、図8でGSタンパク質およびRNAの分析を行ったT2子孫 植物に対して行った。個々のT2植物を白砂中で成長させ、その成長を、タイム ポイントごとに4〜7個の植物の新鮮重量を測定することにより評価した。新鮮 重量の測定は、植物が急速に成長し、供給した窒素にもっぱら依存し、抽薹およ び開花中に生じる可能性のある窒素の大きな内部源を流動させることのない栄養 成長期中のみ行った。植物は、窒素が無制限であり(すなわち、10mMの硝酸塩の 施肥が定期的に行われる。)、隣接する植物の光合成妨害が少ない条件下で成長 させ、そのような妨害が現れたときに成長分析を終わらせた。分析した全ての植 物は同じ週齢であり、0.1〜0.3gの新鮮重量で分析を開始し、植物が約6週齢で 、隣接する植物の妨害が抽薹の開始時に現れるまで続けた。 6.2.8.植物成長実験A 表2に、Z3−1およびZ3−2の系(過剰発現GS1)ならびにZ17−6 およびZ17−7の系(過剰発現GS3A)の全新鮮重量測定値の平均の結果を 示す。これらの結果を、図9、パネルAでグラフにより示し、表3で統計的に分 析した。トランスジェニック系の全4個の過剰発現するエンドウの細胞質ゾルG Sは、コントロールよりも35%〜114%だけ大きくなった。これは、3個の系、す なわち、Z3−2(P=0.08)、Z17−6(P=0.0015)およびZ17−7( P=0.013)に対して統計的に重要であった(表3)。 6.2.9.植物成長実験B 成長実験を、同じGS1(Z3)およびGS3A(Z17)構築物を有する種 々のトランスジェニック系で繰り返して、上記で得られた結果を確認した。この 実験は、統計的分析のために、より大きい植物集団を含む。表2は、トランスジ ェニック系Z3−3、Z3−4、Z17−3およびZ17−11ならびに2個の コントロール系(C1、C2)の4回のタイムポイントに対する平均データを示 す。Z3−4を除く全ての系は、コントロールよりも40%〜44%だけ大きくなり、 6週目の新鮮重量の違いは、統計的に有意であった(表3)。これらの結果はま た、図9、パネルBにグラフにより示す。第二の成長実験は第一の実験結果を確 証するものであることは明らかであり、これは、エンドウの細胞質ゾルGS1ま たはGS3Aのいずれかの異所性過剰発現がタバコの成長速度を高めたことを示 唆するものである。テストした全ての系において、GS3A過剰発現は、非形質 転換コントロールと比較して成長速度を増加させ、これは、トランスジェニック タバコに対して統計的に有意な成長速度の増加であった。 6.2.10.植物の成長に対するGS過剰発現の定性的影響 図10は、GSを過剰発現する植物の成長表現型(Z3−A1およびZ17− B7)のコントロール植物およびGSが共同抑制される植物(Z54−A2)の 表現型に対する定性的比較を示す。その結果は、GS過剰発現のレベルがたとえ 低くても、容易に認められる成長の改善が得られることを示す(図10、Z17 −B7およびZ3−A1の成長をコントロール植物の成長と比較)。さらに、こ れらの結果は、成長の改善がGS過剰発現によるものであり、CaMV−35S GS構成体による植物の単なる遺伝子操作によるのではないことを示す。例え ば、CaMV35S−GS2により遺伝子操作され、GS発現が共同抑制された Z54−A1は、かなり小さい成長を示した。さらに、これらの結果は、GS活 性が植物成長の律速段階であることを示す。というのは、この酵素の阻害により 成長に対する重大な表現型の影響が引き起こされるからである。 6.2.11.GS活性と最終の新鮮重量および全タンパク質との間の相関性 GS遺伝子の異所性過剰発現または共同抑制と関連するGS活性の変化が、栄 養成長期の終わりの「最終」の新鮮重量に対して影響があるかどうかを調べるた めの実験を行った。成長分析は、GS2によって共同抑制される系(Z54−4 )、GS1を過剰発現する系(Z3−1)、GS3Aを過剰発現する系(Z17 −7)および形質転換されていないタバコのコントロール(SR1)に対するT 2世代植物において行った。植物を砂土で成長させ、10mMのKNO3を含む Hoagland溶液で定期的に湿らした。指定のタイムポイントで、各系の8個のT2 植物を秤量し、葉のGS活性を各々について測定した。このデータを分析すると 、32日および43日の両日に測定した個々の全ての「最終」の新鮮重量とGS特異 的活性との間には直線的関係があることが分かる(図11A)。例えば、GS活 性が共同抑制されるZ54−4植物(野生型GS活性の27%)はコントロールの 半分の重量であり、GS3A(136%GS活性)またはGS1(284%GS活性)を 過剰発現する植物は、各々、コントロールよりも1.5倍および2倍重い。これら の同じT2植物の場合、葉の全タンパク質(μgタンパク質/gm新鮮重量)と葉 のGS活性との間にも直線的関係が存在する。最も高いレベルのGS活性を発現 する植物(284%)は、可溶タンパク質レベル/gm新鮮重量が、コントロールと比 較して1.5倍高かった(図11B)。このデータの無対T−テスト分析は、GS 過剰発現系(Z3−1、Z17−7)が、p<0.0001のときにかなり大きいGS 活性、新鮮重量、および葉の可溶タンパク質を有することを示した。ただし、p 値が0.0007であるZ17−7に対する新鮮重量は除く。同様に、GS2によって 共同抑制される系(Z54−4)は、p<0.001のときに、コントロールSR1 よりもかなり小さいGS活性、新鮮重量、および葉の可溶タンパク質を有した。 成長実験で使用されるGS過剰発現T2系(Z3、Z17)のGS活性プロフィ ルは、T2世代ではGS活性が一貫して高かったことを除き、親のT0系および T1子孫に匹敵する。このことは、恐らく、GSトランス遺伝子と会合したKanR 表現型の分離が認められなかったので、トランス遺伝子のいくつかまたは全部が 、T2世代でホモ接合体になったという事実によると考えられる。成長実験の終 わりには、GSを過剰発現するトランスジェニック系は、コントロールよりも視 覚的に緑が強くなり、劇的に大きくなった。 6.3.考察 遺伝子工学が収穫のある植物の改善において重要であると考えられ始めるにつ れて、選択した遺伝子の過剰発現において決定的なパラメータを理解することが ますます重要になってくる。宿主植物相同体が存在する遺伝子の過剰発現か、ウ イルスコートタンパク質およびBT毒性遺伝子などの相同体のない遺伝子の過剰 発現より複雑であることは明らかである(Powell-Abelら、1986,Science 232:7 38-743;Vacckら、1987,Nature 328:33-37)。これは、トランスジェニック植 物が検出でき、宿主相同体が存在するトランス遺伝子を、恐らくフィードバック 阻害またはいくつかの他の機構により抑えることができる共同抑制現象による( van der Krolら、1990,Plant Cell 2:291-299;Napoliら、1990,Plant Cell 2 :279-289)。本発明では、同じ構成プロモーター(35S−CaMV)の後ろの 葉緑体または細胞質ゾルGSに対する3種類のエンドウGS遺伝子をトランスジ ェニックタバコで異所的に過剰発現する試みを呈示する。その試みの結果、各G S遺伝子に対して異なる過剰発現および/または共同抑制が得られた。さらに、 過剰発現に成功した細胞質ゾルGSに対する2種類の遺伝子(GS1およびGS 3A)の場合、その過剰発現により、GS RNA、タンパク質および酵素の過 剰産生だけでなく、窒素使用効率が改善された表現型が得られた。 細胞質ゾルGS1に対するエンドウ遺伝子のタバコでの過剰発現は、GS活性 および細胞質ゾルGSタンパク質が増加し、トランス遺伝子mRNAのレベルが 高い純粋な表現型を与える。さらに、GS1タンパク質は、会合して、大きさお よび電荷が天然のエンドウの細胞質ゾルGSと同じであるGSホロ酵素になる。 細胞質ゾルGS3Aを過剰発現するトランスジェニック植物においては、状況が いくらか異なる。高レベルのGS3Aトランス遺伝子mRNAは、ウェスタンブ ロットで可視化される細胞質ゾルGSのレベルの増加を引き起こす。しかし、G S3Aの過剰発現は、エンドウまたはタバコの天然の葉緑体または細胞質ゾルG Sホロ酵素より大きい新規GSホロ酵素の出現を引き起こす。これらのトランス ジェニック植物において、細胞質ゾルGS遺伝子は、通常は見られない細胞の型 (例えば、葉肉細胞)で発現され、GS3AトランスジェニックリーフのGSホ ロ酵素がより大きいのは、細胞質ゾルGSサブユニットが天然の葉緑体前駆体G S2と共会合することによると考えられた。しかし、この新規GS3Aホロ酵素 は、もっぱら細胞質ゾルGSサブユニットから構成されることが分かっており、 従って、トランスジェニックGS3Aサブユニットと内在性のタバコ葉緑体前駆 体GS2との共会合によるのではない。二つの他の可能性が存在する。より大き いGS3Aホロ酵素は、トランスジェニックGS3Aサブユニットが集合して、 通常の八面体構造以外の立体配置になった結果であると考えられる。あるいは、 新規のGS3Aホロ酵素は、過剰発現した細胞質ゾルサブユニットが会合したシ ャペロン型から解離し損なった結果であるかもしれない。実際、GSとgroEL様 タンパク質との密接な会合が、以前、エンドウで確認された(Tsuprunら、1992, Biochim.Biophys.Acta 1099:67-73)。しかし、新規GS3A活性バンドを潜在 的なシャペロン型からATPによって分離する試みは失敗に終わった。新規GS 3Aホロ酵素は、(GS活性ゲル分析での検出から)明らかにGS活性を有する にちがいないが、この新規GSアイソザイムが、天然の細胞質ゾルGSまたは葉 緑体GS2ホロ酵素と等モルベースで同様の活性を有するかどうかを模索するの は興味深い。もし有するとすれば、35S−GS3Aを過剰発現し、従って新規 GSホロ酵素を有する植物は、高められた全GS活性を有すると予想することが できる。実際はそうではなく、4個のZ17−6のT2子孫植物(GS3Aを発 現)の全GS活性の平均(野生型との比較)は100%であることが分かり、4個の Z17−7の子孫植物の平均は、野生型と比較すると107%であった。対照する と、Z3−1およびZ3−2(GS1天然ホロ酵素を過剰発現)のT2子孫に対 して得られるGS活性値は、野生型と比較して、各々、123%および120%であった 。これは、Z3の過剰発現形質転換体でGS1サブユニットが集合して天然の大 きさのGSホロ酵素になることは全GS活性に対して有利であることを示唆する 。 ここで、窒素の使用効率を、細胞質ゾルGS1または細胞質ゾルGS3Aの過 剰発現に成功したトランスジェニックタバコの栄養成長期に評価した。栄養成長 期中には、栄養の急速な吸収および光合成能の最大限の活用を特徴とする急速な 葉の発達がある。窒素は、最もしばしば制限する微量栄養であり、植物内でのそ の吸収および使用の生理機能は、栄養期と生殖期とでは異なる。第一に、土壌か らの窒素の混入、伸び広がる細胞へのその混入および光呼吸による損失の制限が あり、次いで、抽薹の開始とともに、生殖期中には、種子の収穫に変換するため の窒素保存物の流動がある。恐らく、窒素使用効率は、栄養成長期中はあまり複 雑ではなく、本発明者らのトランスジェニック植物成長分析の焦点はこの成長期 にある。 本発明の知見は、タバコで異所的に発現されるエンドウ細胞質ゾルグルタミン シンテターゼがトランスジェニックタバコの栄養成長期にかなりの利点を付与す ることを示す。細胞質ゾルGS1またはGS3Aを異所的に(すなわち、全細胞 型で)過剰発現する植物は、全新鮮重量がコントロールよりも高い。特に顕著な のは、GS3Aを発現する全て系(Z17)の全新鮮重量が6週目のコントロー ルより高く、これらが統計的に常に重要であることである。各ケースで、コント ロールとトランスジェニック系との間の相違がサンプルの差異による確率は5% 未満であった。分析したGS1発現系(Z3)の場合、4個のうち3個はコント ロールより大きくなり、3個のうち2個は、その相違が10%のレベルで統計的に 重要であった。この増加した窒素使用効率は、作物を同様に遺伝子操作して、通 常の窒素量で良好に成長させたり、肥料の少ない投入で栽培したり、あるいは品 質の悪い土壌で栽培することができ、従って、開発された、または開発中の農業 システムにおいて、経済的にかなり影響がある。 GS過剰発現は、以前にトランスジェニックタバコで試みられたが(Eckesら 、Mol.Gen.Genet,217: 263-268;Hemonら、1990 Plant Mol.Biol.15: 895- 904;Hirelら、1992,Plant Mol.Biol.20:207-218;Templeら、1993,Mol.Ge n.Genet.236:315-325)、GSの過剰発現をGS活性のかなりの増加ならびに 植物の成長および栄養特性における改善と相関させた最初の報告は本発明である 。Templeらは、GS mRNAおよびタンパク質の増加を報告したが、トランス ジェニック植物でのGS活性の対応する増加は報告しなかった(Templeら、同書 )。Hemonらは、GS発現構築体により遺伝子操作したトランスジェニック植物 でのGS mRNAレベルの増加を報告したが、GSタンパク質または酵素活性 の対応する増加の報告はなかった(Hemonら、同書)。他の二つの報告では、ト ランスジェニック植物でのGS遺伝子の過剰発現の結果、GS酵素のレベルが増 加したが、GS過剰産生の表現型による影響についての報告はなかった(Eckes ら、同書;Hirelら、同書)。植物成長速度を約20%改善するアルファルファGS 遺伝子の過剰発現の報告が一つある(Eckesら、1988,オーストラリア特許出願N o.AU-A-17321/88)。しかし、ここで報告された改善は、低窒素条件下での成長 のみに限られていると思われる。同様に遺伝子操作した植物について、窒素無制 限媒体で行った続く分析では、コントロール植物と比較して、表現型の変化を示 さないことが報告された(Eckesら、1989,Mol.Gen.Genet.217:263-268)。 さらに、より速い成長速度により、遺伝子操作した植物とコントロール植物との 間で最終の新鮮重量に相違が生じるという報告はない。これらの以前の研究に対 して、本発明は、窒素条件とは無関係に、GS過剰発現が植物の成長、収率およ び/または栄養特性を改善することができることをはっきり例証するものである 。 本発明の農業上の有用性は、栄養器官が採取される作物の種類に直接関係し、 これらには、全ての飼料穀物、馬鈴薯、テンサイおよびサトウキビならびにタバ コが含まれる。最終の新鮮重量の記録の1週間以内に、植物は、節間の伸長を受 け始め、各集団に対する次の新鮮重量の測定の標準偏差は、植物の異なる生理学 的段階の結果、増加した。増加した栄養成長速度も種子の収率をかなり有利にす るかどうかは重要な問題であり、まだ回答は出されていない。種子の収率および 種子の窒素含量に関係する生理学的パラメーターは、窒素吸収効率だけでなく、 抽薹開始時の保存物の再流動および畑の集団密度の成りゆきも含む。そのような 研究は、種子の収穫に対して選択され、収穫生理学に関していくらか知識がある トランスジェニック種において行うとより良好である。 細胞質ゾルGS1によるのではなく、エンドウの葉緑体GS2および細胞質ゾ ルGS3Aをコードする遺伝子による内在性タバコの共同抑制も興味深い。これ は、エンドウGS2がタバコ葉緑体GS2型のみを抑制し、一方、GS3Aがタ バコ葉緑体GS2および細胞質ゾルGSの両方を抑制するときに、特にそうであ る。以前、ペチュニアカルコンシンテターゼおよびジヒドロフラバノール−4− リダクターゼが、トランスジェニックペチュニアで、内在物およびトランス遺伝 子の両方を抑制することが示された(van der Krolら、1990,Plant Cell 2:291 -299;Napoliら、1990,Plant Cell 2:279-289)。さらに最近、カルコンシンテ ターゼ遺伝子の5’または3’端は、共同抑制を引き起こすのに十分であるが、 プロモーターの小さい遺伝子はそうではないことが報告された(Jorgensen,199 2,Agbiotech News and Information Sept: 1992)。これは、転写開始剤の必要 性を示唆するものである。一時的な異所性配列対合が、遺伝子抑制の可能な機構 として引き合いに出され、これは、たぶん、転写の開始と関係するDNAの巻き 戻しに依存すると考えられる(Jorgensen,1990,Trends in Biotechnology 8:3 40-344;Jorgensen,1991,Trends in Biotechnology 9:255-267;Jorgensen,1 992,Agbiotech News and Information Sept: 1992)。エンドウGS遺伝子発現 に対する本発明の知見から、共同抑制現象は、ヌクレオチドレベルでの配列の完 全な相同性には依存しないことは明らかである。 窒素同化酵素の発現を加減することによる窒素利用の増加はまた、トウモロコ シなどのトランスジェニック植物での収率を高めるための実行可能な方法である と考えられる。作物における窒素使用効率は、高められた収率として測定され、 従って、農業的尺度となる。この種の適応または限定は、生存のために、環境条 件に対する種々の反応に依存して、より高い収率には依存しない野生型植物に対 しては、真に有利であるとはいえない(Sechleyら、1992,Int.Rev.Cyt.134: 85-163)。従って、作物の収率の増加は、従来の品種改良法よりもむしろ、本明 細書に記載したような遺伝子工学法によってより容易に実現することができる。 7.0.実施例:植物中のアスパラギンシンテターゼの異所性過剰発現が植物増殖 表現型の増加を引き起こす 以下の研究は、アスパラギン製造の増加及び植物成長に対する影響を試験する とを目的とする、植物中でのAS遺伝子発現の操作に係わる。窒素運搬/貯蔵化合 物としてアスパラギンがグルタミンよりも好ましいいくつかの特徴があり、従っ てアスパラギンへの窒素の同化の増加はin vivoで価値があり得る。アスパラギ ンは、グルタミンよりも高いN:C比率を有する長距離窒素輸送化合物である。従 って、それは窒素輸送のためのより経済的な化合物である。それに加えて、アス パラギンはグルタミンより安定であり、液胞中で高いレベルに蓄積することがで きる(Sieciechowicz et al.,1988,Phytochemistry 27:663-671;Lea and Fowd en,1975,Proc.R.Soc.Lond.192:13-26)。エンドウの葉の分化の間にはアス パラギンが活発に代謝されるが、窒素を成長のためにもはや必要としない成熟し た葉ではアスパラギンは容易には代謝されず、葉から活発な成長領域、例えば分 化中の葉や種子に再輸送(師部中)される(Sieciechowicz et al.,1988,Phyto chemistry 27:663-671;Ta et al.,1984,Plant Physiol 74:822-826)。ASは通 常暗所でのみ発現され(Tsai and Coruzzi,1990,EMBO J.9:323-332)、従って3 5-AS1は構成的に発現され、細胞型に関して異所的に発現されるだけでなく一時 的発現についてもそうである。即ち、本明細書に示した研究は、あらゆる細胞型 中での光非依存性形態のASの異所性過剰発現がアスパラギン製造を増加させるか どうかを調べるものである。増加されたアスパラギン製造がトランスジェニック 植物の窒素使用効率と成長表現型において利点を与えるかどうかについても本明 細書で試験する。 過剰発現野性型ASに加えて、本研究ではグルタミン結合ドメインを欠いている AS酵素の改変形態(glnΔAs1)の異所性過剰発現を調べた。この研究により調べら れた問題は、その酵素のglnΔAs1形態の異所性過剰発現が増強されたアンモニア 依存性AS活性を有する新規な植物AS酵素を生成するか、あるいはそのような突然 変異が、内因性野性型ASサブユニットとともに集合することにより優勢ネガティ ブ効果を有し(Herskowitz,1987,Nature 329:219-222)、ヘテロダイマーを形成 するかどうか(Rognes,1975,Phytochemistry 14:1975-1982;Hongo and Sato, 1983,Biochim et Biophys Acta 742:484-489)ということである。エンドウASを 異所的に発現するトランスジェニック植物の分析により、アスパラギンの増加し た蓄積と改善された成長表現型(35S-AS1の場合)、そして成長表現型に対する 有害な作用を伴うアスパラギンの増加した蓄積が示された(35S-glnΔAS1の場合) 。これらの結果は、窒素代謝と成長表現型をAS遺伝子の異所性過剰発現によって 操作することが可能なことを示している。窒素が植物成長の律速元素であること が多く、典型的にはその成長期に作物に数回施用されるので、作物植物における 窒素利用効率を改善する分子設計技術は農業にとって大きな利益をもたらすもの である。 7.1.方法及び材料 7.1.1.AS遺伝子構築物 以前にエンドウからクローン化されているAS1 cDNA(Tsai and Coruzzi,1990 ,EMBO J 9:323-332)を、pTZ18UからpBluescript KS-(Stratagene)のEcoRI部位 に移入した。glnΔAS1欠失突然変異体を、「内部−外部」PCRを使用して構築し た(Innis et al.,1990,PCR Protocols: A guide to Methods and Application s.New York,Academic Press pp.1-461)。アミノ酸2-4(CGI)に対応するコード 配列をAS1 cDNAのアミノ末端から削除し、開始メチオニンと非翻訳リーダーをそ のまま残した。この欠失が、動物ASについて定義されたアミノ酸MCGIを含んでい るAS酵素の推定グルタミン結合ドメインに対応した(Pfeiffer et al.,1986,J .Biol.Chem.261:1914-1919;Pfeiffer et al.,1987,J.Biol.Chem.252:1 1565-11570)。野性型AS1及びglnΔAS1に対応するcDNAを次にpBluescriptからバ イナリ発現ベクターpTEV5へ移入した。このベクターは、CaMV 35Sプロモーター (-941から+26まで)、多回クローニングサイト、及びノパリンシンターゼター ミネーターを含む。図12は、AS1 cDNA pZ127(NRRL受託番号B-21335)及びglnΔ AS1 cDNA pZ167(NRRL受託番号B-21336)を含むバイナリーベクター構築物の詳 細を示し、これをタバコに形質転換した。 7.1.2.植物形質転換体 バイナリーベクター構築物を、安全化Agrobacterium株LBA4404に、その後Nico tiana tabacum SR1に、他の文献に記載された標準的手順を使用して移入した(Be van,1984,Nucleic Acids Res.12:8711-8721;Horsch et al.,1985,Science 227:1229-1231)。 7.1.3.形質転換体のRNA分析 Bio101からの「RNAマトリックス」を使用してRNAを単離し、全RNAをこれまで に記載されたように電気泳動にかけた(Thomas,1983,Methods Enzymol.100:25 5-266)。ゲルを毛細管でHybond-Nナイロン膜(Amersham)上へブロットした。cDNA を、NENにより供給されるランダムプライマーと延長試薬標識システムを使用し て標識した。ハイブリダイゼーションを水溶液中で行い、ブロットを0.1X SSPE ,0.1%SDS中で洗浄した。ノーザンブロットをエンドウAS1 cDNA,pAS1でプロー ビングした(Tsai and Coruzzi,1990,EMBO J 9:323-332)。 7.1.4.遊離アミノ酸の抽出 タバコ葉組織試料を液体窒素中で凍結し、メタノール:クロロホルム:水(12: 5:3、v/v/v)からなる抽出培地の10のml中で抽出した。ホモジネートを、12,000 X Gで15分間遠心分離した。ペレットを再び抽出し、上清を合わせた。上清へ2.5 mlのクロロホルム及び3.8mlの蒸留水を添加すると分離した。メタノール:水相 を集め、減圧下に乾燥し、1mlの蒸留水中に再溶解した。その溶液を12,000gで 2分間遠心分離して0.45μmナイロンフィルターマイクロ遠心分離チューブフィ ルターシステムを通しろ過した。 7.1.5.アミノ酸プールのHPLC測定 アミノ酸は、Microsorb Type OAA Analysisカラム(Rainin)上でDuPontのHPLC 機器を使用してo-フタルジアルデヒド(OPA)誘導体として測定した。試料(100μL )をOPA作用試薬の100μlで誘導化した。2分の誘導化の後、誘導化された試料の 50μlを注入した。この勾配は2種の溶離液;A.4.5%メタノール及び0.5%テトラ ヒドロフルオランを含む95%0.1M酢酸ナトリウム(pH7.2);B.100% メタノールを使用して生成した。溶離液をろ過し、使用の前にHeで脱気した。OP A誘導化アミノ酸の検出は、UV分光光度計で340nmにおいて行った。各測定は二回 行い、値はその平均値を表す。 7.1.6.植物成長条件 高レベルのAS1 mRNAまたは変異glnΔAS1 mRNAを発現するものとして特徴付け られる一次形質転換体の後代を、100μg/mlのカナマイシンを含むMS培地上で生 育させた。14日後、カナマイシン耐性苗木を白砂で満たした4インチの鉢に移し 、約1週間サランラップで包んで過剰な蒸発を防ぎ、苗木が根付くようにした。 鉢に唯一の窒素源として10mM硝酸カリウムを含む1X Hoagland溶液を定期的に与 えた。その後、3〜7の植物を各週に新鮮重量を測定するために採取し、隣り合 った植物の陰になるのが顕著になるまで4週間継続した。植物を16-8時間の光- 暗所サイクルの下に24-18℃の温度サイクルで成長させた。昼間光度は1000ルク スであった。 7.2.結果 7.2.1.エンドウAS1とglnΔAS1を発現するトランスジェニック植物の構築 35S-CaMVプロモーターから発現されたエンドウAS1 cDNA(Tsai and Coruzzi, 1990,EMBO J 9:323-332)をトランスジェニックタバコに移し(図12及び7.1材 料及び方法の項を参照)、5つの独立した一次形質転換体(Z127;1-5)が高いレ ベルのAS1 mRNAを発現することが示された(下記参照)。グルタミン結合ドメイ ンに欠失を有するAS1 cDNA(glnΔAS1)を含む3つの独立したトランスジェニック 系(Z167;1-3)もトランスジーンRNAの高いレベルを含むことが示された(下記参 照)。 7.2.2. AS1とglnΔAS1を発現する形質転換体のノーザン分析 トランスジェニック植物から抽出されたRNAのノーザンブロット分析を行い、3 5S-AS1トランスジーンが高いレベルで発現した植物を同定した(図13)。陽性対 照として、ASのRNAを暗所で生育したエンドウ植物の葉中に検出した(図13、 レーンPL)。これに対して、光中で生育した野性型タバコの葉にはAS mRNAは検 出されなかった(図13、TL)。以前の研究により、タバコAS mRNAは暗所で生育 した植物の組織中だけに発現されることが示されている(Tsai and Coruzzi,199 1,Mol Cell Biol 11:4966-4972)。AS1を過剰発現する形質転換体(Z127-1、-3 、-4及び-5)は全て、それらが光中で生育されたにもかかわらず、AS1 mRNAの高 いレベルを含んでいた(図13)。このように、35S CaMVプロモーターは、エンド ウAS1の構成的な発現を生成するのに対して、内因性AS mRNAは、光中ではタバコ 葉中に発現されない。glnΔAS1形質転換体も、タバコ対照と比較して高水準のmR NAの構成的な発現を示した(Z167-2、-3及び-4)(図13)。AS酵素のよく知られ た不安定性のために、AS酵素を均質物にまで精製できず、植物ASの抗体をASタン パク分析のために使用できなかった。それに加えて、in vitroアッセイでは、酵 素の不安定さのためにAS活性が検出されなかった。 7.2.3.AS1及びglnΔAS1を発現するトランスジェニック系のアミノ酸分析 ノーザン分析の結果に基づいて、AS1 mRNAの高いレベルを示した2つの独立の トランスジェニック系(Z127-1及びZ127-4)をさらに分析するために選択した。同 様に、Z167-2及びZ167-4系をglnΔAS1構築物の高発現体の代表として選択した。 これらの植物のT2後代について、以下に記載するアミノ酸分析及び成長分析を行 った。 7.2.4.AS1-過剰発現系 選択した両方のZ127系(Z127-1及びZ127-4)は、アスパラギンの増加されたレベ ル(野性型対照より10〜100倍高い)を示した(表4)。個々のT2植物の間で見 られるばらつきは、個体のホモ接合性またはヘテロ接合性を反映している可能性 が最も高く、中間レベル:高いアスパラギンレベルの約2:1の比は、この考え方 の証拠となるものである。しかし、すべての場合においてアスパラギンのかなり の増加は対照濃度のほぼ100倍まで及んでいることが判る。面白いことには、こ れらの植物においてグルタミン濃度の対応する減少が存在し(Z127-4のデータは 唯一高い値ではずれていたが)、これはAS反応における基質としてのグルタミ ンの使用を反映しており、同じく予測できるのは他の基質アスパルテートの濃度 の減少である。しかし、Z127系中のグルタメートの低下した濃度はいくらか予想 外である。生化学的予測とAS反応に関与する他の3つのアミノ酸について集めた データから、グルタメートの増加が予測された。グルタメートの見かけ上の減少 は、アミノ基転移のようないくつかの関連するプロセスにおける基質として使用 されたために起こった高い代謝回転の結果であり得る。 7.2.5.GlnΔAS1過剰発現系 glnΔAS1を過剰発現する選択された二つの系において調べた問題は、ASのグル タミン結合ドメインの欠失がアスパラギン生合成に対して優勢−ネガティブ効果 を有しているかどうかということである。これらの系(Z167-2及びZ167-4)につ いて集めたデータはデータ値のばらつきのために解釈するのがやや困難である( 表4)。しかし、ほとんど全ての場合において、野性型非トランスジェニックタ バコと比較して3から19倍の範囲のアスパラギン濃度の実質的な増加が存在する 。これらの結果は、トランスジェニック系がアスパルテート、グルタメートまた はグルタミンプールに対して殆ど影響を及ぼさずにアスパラギンを蓄積する能力 を有することを示唆している。一つの可能性は、glnΔAS1酵素がアンモニアとア スパルテートから直接アスパラギンを合成できるということである。 7.2.6.AS1及びglnΔAS1を発現する形質転換体についての植物成長実験 白砂中で生育された個体トランスジェニックT2植物を使用して成長分析を行っ た。これらの研究は、近隣の植物からの干渉を最小にした条件下に成長速度を調 べることを目的とする。このため、生育の栄養成長段階(発芽後6週間まで)の 間にのみ新鮮重量測定を行った。この間、植物は急速に成長し、供給された窒素 にのみ依存し、墓立や顕花の間におこるように内部窒素源を移動させない。植物 は、窒素について非制限的(即ち10mM硝酸塩の規則的な施肥)で隣接植物からの 光合成干渉を減らすような条件下に生育された。その成長分析は、そのような干 渉が顕著になったときに終了した。分析したすべての植物は各時点で同じ加齢を 有し、0.1〜0.3gの新鮮重量/植物の間に分析を開始し、近隣の植物の干渉 が顕著になり薹立が間近の約6週齢になるまで継続した。 表5及び6は、系Z127-1及びZ127-4(野性型AS1を過剰発現する)とZ167-2及 びZ167-4(glnΔAS1を過剰発現する)についての平均全新鮮重量測定の結果を示し 、これらの結果を図13にグラフとして示す。野性型ASを過剰発現しているトラ ンスジェニック系は、対照(100%)と比較して133%及び110%成長したが(表5)、 無対t検定により分析した場合、いずれの場合も統計学的に有意でなかった(表 6)。glnΔAS1構築物(Z167)を過剰発現するトランスジェニック系は同等に成長 しなかった。6週まで生存したZ167-4植物は成長において対照から区別できず、 生存したZ167-2植物は対照よりも非常に小さかった(P-0.041;5%レベルにおい て有意)(表5及び6、図14も参照)。実験における3つの異なる系を比較する と、カナマイシン耐性Z167植物の大部分が死滅したことは興味深い。典型的に、 Z167植物は鉢で生育されると発芽するのが遅く、不健康に見えた。これは、Z167 -2について集められた新鮮重量のデータに明確に反映されていたが、Z167-4デー タについてはそれほど明確ではなく、glnΔAS1遺伝子生成物が植物成長に対し実 際に優勢−ネガティブ効果を有していたことを示唆している。 7.3.考察 本明細書に開示した研究では、ASをトランスジェニック植物中に異所的に過剰 発現させ、この操作の一次窒素同化と植物成長に対する影響を試験するものであ った。特に、ASの細胞特異的発現パターンを変更し、光に関してASの制御も改変 した。野性型植物においては、ASは通常その師部中に発現されるだけであり(Tsa i,1991,Molecular Biology Studies of the Light-Repressed and Organ-Spec ific Expression of Plant Asparagine Synthetase Genes.Ph.D.Thesis,The Rockefeller University,New York,NY)、その発現は光合成及び非光合成組織 の両方において光によって劇的に抑制される(Tsai and Coruzzi,1990,EMBO J 9:323-332;Tsai and Coruzzi,1991,Mol Cell Biol 11:4966-4972)。ここで 、エンドウの野性型AS1及びAS1の変異形態(glnΔAS1)は、構成的プロモーター( 35S-CaMV)の制御下にトランスジェニックタバコ中に発現され、AS1がすべての 細胞型中に光から独立して発現される。それが通常は発現されない細胞において 構成的に発現されるAS1の生理的な意義は、植物窒素代謝に対して重大な影響を 有し得る。例えば、アスパラギンは光呼吸窒素リサイクルに関与しており(Givan et al.,1988,TIBS 13:433-437;Ta et al.,1984,Plant Physiol 74:822-82 6)、従って光合成細胞中のASの異所性発現は光呼吸に劇的な影響を与え得る。さ らに、この点でアンモニア依存性AS酵素の発現は光呼吸アンモニアの再同化を助 け得る。 35S-AS1を発現する4つの独立したトランスジェニックタバコ系が野生型エン ドウAS1トランスジーンを構成的に発現することが示された。2つの系をさらに 分析し(Z127-1及びZ127-4)、遊離アスパラギンが高いレベルにトランスジェニ ック葉組織中に蓄積し、典型的にはトランスジェニック系Z127-1及びZ121-4が対 照非形質転換タバコ系の10〜100倍のアスパラギンを蓄積したことから、発現さ れたAS1遺伝子が機能的であったことが示された。これらの増加したアスパラギ ンレベルは、予測されるようにAS基質、グルタミン及びアスパルテートの減少を 伴った。しかし、ASの基質であるグルタミンのより高い内因性レベルを与えるこ とによって、より多くの無機窒素を窒素運搬化合物のアスパラギンに導入するこ とはなお可能であり得る。 Z127トランスジェニック植物の植物成長実験は、AS1過剰発現植物中のアスパ ラギンの蓄積が植物分化の栄養成長期の間の成長に対して、ポジティブな効果を 持つかどうかということを調べることを目的とするものであった。栄養成長の間 に起こる急速な葉の分化は、栄養の有効性を強く要求し、この時点では組織を広 げて大きくすることにおける新しいタンパク質の合成のために窒素が典型的に最 も臨界的な栄養素である。このとき同化され蓄積された窒素はその後その植物中 でリサイクルされて種子貯蔵物中に蓄積され、また主要な長距離輸送アミノ酸で あるアスパラギンも種子貯蔵物の形成に重要な役割を果たす(Dilworth and Dure ,1978,Plant Physiol 61:698-702;Sieciechowicz et al.,1988,Phytochemi stry 27:663-671)。2つのZ127系が、栄養成長の終了までの6週間にわたって非 形質転換対照より大きくなり、10%及び33%の成長の優位性が得られたことが判明 した。しかしこれらの値は、t検定を行うと統計学的には有意でなかった。即ち 、植物は10〜100倍より高いレベルのアスパラギンを製造するが、グルタミンレ ベルが成長中の増加に対して制限的であることがあり得る。さらに本明細書に示 したのは、トランスジェニックタバコ中でGSを過剰発現することは統計学的に有 意な(上出)より大きい成長優位性を与えることができるという知見である。グ ルタミンがアスパラギン生合成のための基質であるので、両者は無機窒素の一次 的同化において中枢となるアミノ酸である。従って、GSとASを高いレベルで発現 するトランスジェニック系を形成する(AS及びGS過剰発現体を交雑することによ って)ことは、いずれの親よりも有利な成長形質も持つことがあり得ると予測で きる。特に本明細書で記載した方法は、トランスジェニック系中の同化が2、3 の細胞型に制限されず、すべての植物細胞中で使用可能な窒素が利用されること を可能にするという長所を有する。一つの植物中でのGS及びASの両方の異所性過 剰発現はグルタミン蓄積を回避する利点を有し得、これはグルタミンの高い濃度 の存在下ではグルタミンが活性な代謝産物であって細胞の代謝を破壊し得るから である。これに対し、アスパラギンは比較的不活性な化合物であり、経済的に窒 素を蓄えることができる。さらに、アスパラギンは、グルタメートの分子を遊離 する反応において形成され、アンモニア単位をさらに受容するのに利用され得る (Lea and Fowden,1975,Proc.R.Soc.Lond.192:13-26). 野性型ASの異所性過剰発現に加えて、1つの試みにおいて植物グルタミン依存 性ASを、そのアンモニア依存活性を増強するように改変した。特に、ASのグルタ ミン結合ドメインに対する抗体が同じASポリペプチドに存在しているグルタミン 依存AS活性を抑制するが、アンモニア依存活性は増強することが動物中で示され ている(Pfeiffer et al.,1986,J.Biol.Chem.261:1914-1919;Pfeiffer et al.,1987,J.Biol.Chem.252:11565-11570)。類推として、突然変異によりグ ルタミン結合のために必要とされる3つのアミノ酸を特異的に削除された部位特 異的変異体(glnΔAS1)がエンドウAS1 cDNAに形成されている(Tsai and Coruzzi ,1990,EMBO J 9:323-332)。このglnΔAS1をトランスジェニック植物に導入す ることによって、アンモニア依存AS活性を増強すること及び/またはサブユニッ ト活性低下及び野性型と突然変異サブユニットのヘテロダイマーの形成を通して 内因性グルタミン依存AS活性を抑制することが可能であり得る。glnΔAS1トラン スジーンを過剰発現する2つの独立のトランスジェニック系、Z167-2及びZ167-4 が非形質転換タバコ対照よりも約3〜19倍高いアスパラギンレベルを蓄積し得る ことが見出された。アスパラギンの同化におけるglnΔAS1遺伝子の活性は、グル タミン以外の窒素基質(例えばアンモニア)を利用する能力を持っている改変酵 素を示唆するものである。E.coli AsnA遺伝子と哺乳類ASの既知のアンモニア依 存AS活性に対する類推から、突然変異植物glnΔAS1酵素を発現するトランスジェ ニック植物におけるアスパラギンの高いレベルは、glnΔAS1酵素が直接アンモニ アをアスパラギンに同化でき、従って一次窒素同化においてGSを迂回し得ること を示唆している。この提案が正しいならば、これらのトランスジェニック植物中 のアスパラギンの相対レベル(Z167対Z127)に基づいて、glnΔAS1遺伝子がアスパ ラギンの合成において過剰発現された野性型AS1ほどは効率的でないことは明ら かである。 glnΔAS1を発現するトランスジェニック系(Z167-2及びZ167-4)は非形質転換対 照より大きくならず、実際にはZ167-2の成果と実験の終了前におけるZ167植物の 高い死滅割合によって示されるように、それらの成長は非形質転換植物より劣っ ているのが典型的であった。これらの植物がその葉中に3〜19倍高いレベルのア スパラギンを蓄積するのに成長が劣ることは奇妙である。植物ASはホモダイ マーとして集合すると思われる(Rognes,1975,Phytochemistry,14:1975-1982) 。野性型ASが通常発現されない葉の葉肉組織においては、glnΔAS1形態はホモダ イマーへ自己集合することができ、アスパラギンを生成することができる酵素を 形成する。しかし師部細胞においては、glnΔAS1サブユニットは野性型ASサブユ ニットと共に集合し得、これにより野性型ASを優勢−ネガティブ突然変異として 不活性化する(Herkowitz,1987,Nature 329:219-222)。glnΔAS1植物中では、 葉の葉肉細胞中に合成されたアスパラギンは、師部に輸送され、ロードされるこ とができないことがあり得、これがこれらのトランスジェニック系の劣った成長 表現型の要因となっている可能性がある。これらの観察は、細胞型機能、窒素代 謝遺伝子の細胞特異的遺伝子発現及び植物窒素代謝に対するその影響の特性化を 明らかにするものである。 8.微生物の寄託 以下の微生物は、Agricultural Research Culture Collection,Northern Reg ional Research Center(NRRL),Peoria,Illinois寄託されており、以下の受託 番号が付与されている。 本発明をその特異的態様を参照して詳細に記載したが、機能的に等価な改変は 本発明の範囲の範囲内であることが理解されるであろう。実際、本明細書に示し 記載したものに加えて本発明の種々の改変は、これまでの記載及び添付の図面か ら当業者に明らかであり、そのような改変は添付の請求の範囲に包含されること を意図するものである。 種々の刊行物を本明細書中で引用したが、その全体を引用により本明細書の一 部とするものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.1種または数種の窒素同化/代謝酵素の異所性過剰発現のための植物の遺伝 子工学的操作により改良された農業または栄養特性を有する植物を作出する方法 であって、上記の改良された農業または栄養特性を有する植物が、同様に栽培し た遺伝子操作されていない前駆植物と比べて、該植物と該前駆植物を窒素非限定 生育条件下で栽培するときに次の特性: i)より速い成長速度、 ii)より多い成熟時の新鮮または乾燥重量、 iii)より多い果実または種子の収穫量、 iv)より高い総植物窒素含量、 v)より高い果実または種子の窒素含量、 vi)より高い全植物の遊離アミノ酸含量、 Vii)より高い果実または種子の遊離アミノ酸含量、 viii)より高い果実または種子のタンパク質含量、または ix)より高い栄養組織のタンパク質含量、 を示すものであり;過剰発現される窒素同化/代謝酵素がアスパラギン酸アミ ノトランスフェラーゼ、グルタミン酸2−オキソグルタル酸アミノトランスフェ ラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アスパラギナーゼ、真核生物アスパラ ギンシンテターゼまたは細胞質ゾルグルタミンシンテターゼであり;そして1種 または数種の窒素同化/代謝酵素の異所性過剰発現のための遺伝子工学的操作が 、 i)1種または数種の窒素同化/代謝酵素の異所性過剰発現を与える1 個または数個の遺伝子融合体で植物を形質転換し、 ii)該遺伝子融合体に連結されたマーカー遺伝子により付与された形質 に基づいて上記の形質転換植物を選択または同定し、 iii)上記の形質転換植物を窒素非限定生育条件下で栽培して、上記の 改良された農業または栄養特性の1以上について該形質転換植物をスクリーニン グし、そして iv)1以上の改良された農業または栄養特性を有する形質転換植物を選 別する、 ことを含んでなる、上記の方法。 2.遺伝子融合体が構成的に発現される強力な植物プロモーターに機能しうる状 態で連結された窒素同化/代謝酵素をコードする遺伝子を含むものである、請求 項1に記載の方法。 3.構成的に発現される強力な植物プロモーターがCaMV 35Sプロモータ ーである、請求項2に記載の方法。 4.窒素同化/代謝酵素が真核生物アスパラギンシンテターゼまたは細胞質ゾル グルタミンシンテターゼである、請求項3に記載の方法。 5.窒素同化/代謝酵素が根−特異的グルタミンシンテターゼである、請求項4 に記載の方法。 6.遺伝子融合体がpZ3、pZ9またはpZ17の35S−GS遺伝子融合体 である、請求項1に記載の方法。 7.遺伝子融合体がpZ127の35S−AS遺伝子融合体である、請求項1に 記載の方法。 8.請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により作出された植物。 9.1種または数種の窒素同化/代謝酵素の異所性過剰発現を与える1個または 数個の上記遺伝子融合体を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法 により作出された植物の種子。 10.請求項9に記載の種子の植物。 11.グルタミンシンテターゼ遺伝子の異所性過剰発現のための植物の遺伝子工学 的操作により抑制されたグルタミンシンテターゼレベルを有する植物を作出する 方法であって、上記の抑制されたグルタミンシンテターゼレベルが同様に栽培し た遺伝子操作されていない前駆植物と比較してのことであり;そして植物の遺伝 子工学的操作が、 i)グルタミンシンテターゼ遺伝子の異所性過剰発現を与えるようにデ ザインされた遺伝子融合体で植物を形質転換し、 ii)該遺伝子融合体に連結されたマーカー遺伝子により付与された形質 に基づいて上記の形質転換植物を選択または同定し、 iii)異常に低いグルタミンシンテターゼレベルについて上記の形質転 換植物をスクリーニングし、そして iv)異常に低いグルタミンシンテターゼレベルを有する形質転換植物を 選別する、 ことを含んでなる、上記の方法。 12.グルタミンシンテターゼ遺伝子が葉緑体グルタミンシンテターゼをコードす る遺伝子である、請求項11に記載の方法。 13.遺伝子融合体がpZ41またはpZ54の35S−GSである、請求項12に 記載の方法。 14.不活性のアスパラギンシンテターゼの異所性過剰発現のための植物の遺伝子 工学的操作により抑制されたアスパラギンシンテターゼレベルを有する植物を作 出する方法であって、上記の抑制されたアスパラギンシンテターゼレベルが同様 に栽培した遺伝子操作されていない前駆植物と比較してのことであり;そして植 物の遺伝子工学的操作が、 i)不活性のアスパラギンシンテターゼの異所性過剰発現を与える遺伝 子融合体で植物を形質転換し、 ii)該遺伝子融合体に連結されたマーカー遺伝子により付与された形質 に基づいて上記の形質転換植物を選択または同定し、 iii)異常に低いアスパラギンシンテターゼレベルについて上記の形質 転換植物をスクリーニングし、そして iv)異常に低いアスパラギンシンテターゼレベルを有する形質転換植物 を選別する、 ことを含んでなる、上記の方法。 15.遺伝子融合体がpZ167の35S−ASである、請求項14に記載の方法。 16.1種または数種の窒素同化/代謝酵素の異所性過剰発現を与える1個または 数個の上記遺伝子融合体を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法 により作出された植物の子孫、クローン、細胞系または細胞。 17.(a)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸2−オキソ グルタル酸アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アスパ ラギナーゼ、真核生物アスパラギンシンテターゼまたは細胞質ゾルグルタミンシ ンテターゼをコードする遺伝子を異所的に過剰発現し、そして(b)同様に栽培 した遺伝子操作されていない前駆植物と比べて、該植物と該前駆植物を窒素非限 定生育条件下で栽培するときに、次の改良された農業または栄養特性: i)より速い成長速度、 ii)より多い成熟時の新鮮または乾燥重量、 iii)より多い果実または種子の収穫量、 iv)より高い総植物窒素含量、 v)より高い果実または種子の窒素含量、 vi)より高い全植物の遊離アミノ酸含量、 vi)より高い果実または種子の遊離アミノ酸含量、 viii)より高い果実または種子のタンパク質含量、または ix)より高い栄養組織のタンパク質含量、 の1以上を示すものである、遺伝子工学的に作出された植物。 18.細胞質ゾルグルタミンシンテターゼが根−特異的グルタミンシンテターゼで ある、請求項17に記載の遺伝子工学的に作出された植物。
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