【発明の詳細な説明】
偏光を制御する送信装置および受信機
本発明は、入力信号を送信信号に変換するための送信機と、制御信号に応答し
て受信機の入力信号から偏光の希望の状態を持つ別の信号を取り出すための偏光
適合手段を含む受信機へ送信信号を送るための通信路と、偏光適合手段の出力信
号に偏光変化を与えるための手段とを備え、受信機は偏光の実際の状態と偏光の
希望の状態との間の違いを表す誤差信号を測定するための測定手段と、誤差信号
から制御信号を取出すための制御手段とを備える、送信装置に関するものである
。
本発明は同様にそのような送信装置のための受信機に関するものである。
初めの節で示したような送信装置がIEEEジャーナル・オブ・ライトウエー
ブ・テクノロジー(IEEE Journal of Lightwave Technology)9巻10号、199
1年10月号所載のノエ(R.Noe)他による雑誌論文「相関光学系における
偏光取扱い法の比較(Comparison of Polarization Handling Methods in Cohere
nt Ootical Systems)」から知られている。
入力信号を通信路を通じて送るために、信号源から生ずる信号が送信機におい
て入力信号によって振幅変調され、周波数変調され、または位相変調される。そ
のようにして得た送信信号は光通信路によって受信機へ送られる。この送信装置
は光送信装置とすることができるが、無線送信装置とすることもできる。光通信
路は、たとえば、ガラス繊維で構成できるが、通信路は自由空間を通る直視リン
クとすることもできる。無線装置では通信路は自由空間で構成される。
送信機によって送信された信号を受信するために各種の受信機形態が可能であ
る。いくつかのそれらの受信機においては、受信した信号、または復調のために
必要な補助信号はある偏光特性を持たねばならない。それらの受信機の例は、た
とえば、アンテナ、光増幅器または光フィルタなどの偏光感知部品を利用する受
信機である。その他の偏光感知受信機が、ヘテロダイン受信機、ホモダイン受信
機および位相ダイバーシチー受信機などの相関(光学)受信機である。
一般に、受けた光信号の偏光特性、たとえば、偏光の向きは不定であり、更に
時間的に一定ではない。予防手段を講じないと、復調された信号の振幅は最大値
(偏光の実際の状態が偏光の希望の状態に一致する時)と最小値(偏光の実際の
状態が偏光の希望の状態に対して直交する時)の間で変化することがある。
偏光感知部品の例が受信信号を増幅するためのレーザ増幅器である。そのよう
なレーザ増幅器の利得係数は受けた光信号の偏光の状態にしばしば依存する。最
高の利得係数を達成するために、受信信号の偏光状態を偏光適合手段によって変
化する、そうするとこの偏光状態が希望の偏光状態に一致する。したがってその
別の信号は偏光状態が変化した受信信号である。
たとえば、ヘテロダイン受信機などの相関光受信機においては、非常に高い周
波数(たとえば、1014Hz)を持つ光信号がはるかに低い周波数(たとえば、
109Hz)を持つ信号に変換される。このために、光方向性結合器および光電
変換器が受信した光信号と局部レーザから来る光信号とを混合する。その結果、
受信光信号の周波数と局部レーザから来る光信号のそれとの差に等しい周波数を
持つ中間周波数信号が得られる。
この混合法の信号損失を可能な限り小さくするように注意を払うためには、受
信光信号の偏光状態と局部レーザから来る光信号の偏光状態を同じにする必要が
ある。これは、受信光信号の偏光状態または局部レーザによって発生された光信
号の偏光状態を、偏光適合手段が適合させることで達成できる。この場合には、
別の光信号は受信光信号と局部的に発生された光信号の組合わせから得られた信
号である。
偏光の実際の状態と希望の偏光状態の差を表すものである誤差信号を検出する
ために、(小さい)偏光の変化が偏光適合手段の出力信号において行われる。特
定の向きの偏光変化が行われた時に受信機の出力信号が大きくなることがあるが
、これは偏光状態をこの向きに一層適合すべきことを意味する。他方、それらの
偏光変化が行われた時に受信機の出力信号が小さくなったとすると、偏光状態を
別の向きに適合すべきである。受信機の出力信号に変化が起きないとすると、別
の信号の(ほぼ)最適な偏光が存在する。受信機で偏光の変化を行うことが可能
であることが観察されているが、それらは送信機で既に行われていると同様に考
えることができる。
初めの節で示したような送信装置では、受信機入力信号、または(相関受信機
の場合には)局部レーザから来る信号における望ましくない変化によって、偏光
適合手段の動作が乱されることがある。それらの望ましくない変化は、たとえば
、入力信号の振幅変化または偏光変化のことがある。
本発明の目的は、偏光適合手段の動作に対する入力信号の悪影響を小さくした
、初めの節で示したような送信装置を得ることである。
このために、本発明は、測定手段が、ある限界周波数より低い周波数を持つ周
波数成分を抑制した誤差信号を得るためのフィルタ手段を備え、偏光変化の極め
て多数の周波数成分がその限界周波数より高くされることを特徴とするものであ
る。
本発明は、入力信号の望ましくない変化の影響が、受信信号の望ましくない変
化と、光信号中の誤差信号を検出するために行われる偏光変化とを弁別できない
という認識に基づいている。入力信号のそれらの望ましくない変化は、本質的に
は比較的低い周波数の変化であるから、フィルタ手段を挿入すると誤差信号に及
ぼすそれらの変化の影響がかなり減少する。しかし、その場合には、偏光変化の
影響を受信機の出力信号に及ぼすために、偏光変化中の適切な数の周波数成分を
遮断周波数より高くすべきである。
本発明のある実施例は、限界周波数より低い遮断周波数を持ち、偏光適合手段
と測定手段の間に挿入される振幅制御手段を受信機が備えることを特徴とするも
のである。
光受信機は、出力信号の振幅または受信機内部の中間周波数信号の振幅を希望
のレベルに維持する、振幅制御手段を備えることができる。その振幅制御手段は
ゆっくりした振幅変化を除去できるが、ある遮断周波数より高い周波数を持つ速
い振幅変化が起きたとすると、これを行うことはもはやできない。これは、この
遮断周波数より高い周波数を持つ振幅変化が(ほとんど)減衰されないで振幅制
御手段の出力端子に到達するのに反して、ゆっくりした振幅変化が(ほぼ)完全
に抑制されることを意味する。遮断周波数を限界周波数より低く選択したとする
と、振幅制御手段はフィルタ手段の機能も実行できる。また、偏光の変化によっ
てひき起こされて測定手段によって測定すべきである振幅の変化による影響は振
幅制御手段によって除去される。
本発明を図面を参照して更に説明する。図面では類似の参照符号は類似の要素
を示す。
第1図は本発明の送信装置を示す。
第2図は本発明の送信装置で使用する相関受信機を示す。
第3図は第1図または第2図に示す受信機で使用する測定手段30の実施例を
示す。
第4図は第1図または第2図に示す受信機で使用する測定手段30の別の実施
例を示す。
第5図は第1図または第2図に示す受信機で使用する偏光適合手段の測定手段
8の実施例を示す。
第6a図および第6b図は偏光適合手段を制御するためにマイクロプロセッサ
48で実行するプログラムの流れ図を示す。
第7図は第6a図および第6b図に示すブロック86のより詳細な流れ図を示
す。
第1図に示す送信装置においては、入力信号が送信機2に加えられる。送信機
2の出力信号のための送信信号、この場合には光送信信号、を伝える送信機の出
力端子が通信路、この場合にはガラス繊維4によって形成されている、によって
受信機6の入力端子に接続される。受信機6の入力信号は偏光適合手段8に加え
られる。この偏光適合手段8の出力信号のための別の信号を伝える、偏光適合手
段8の出力端子がレーザ増幅器10の入力端子に接続される。レーザ増幅器10
の出力端子は光ダイオード12の入力端子に接続される。光ダイオード12の出
力端子は増幅器14の入力端子に接続される。増幅器14の出力端子は振幅制御
器15の入力端子と受信機6の出力端子に接続される。振幅制御器15の出力端
子は測定手段30の入力端子に接続される。測定手段30の入力信号がフィルタ
手段、この場合には帯域フィルタ34によって構成される、の入力端子に加えら
れる。帯域フィルタ34の出力端子は検出器32の入力端子に接続される。測定
手段30の出力端子が制御手段28の入力端子に接続される。制御手段28の第
1の出力端子が加算器回路16の第1の入力端子に接続される。制御手段28の
第2の出力端子が加算器回路18の第1の入力端子に接続される。制御手段28
の第3の出力端子が加算器回路20の第1の入力端子に接続される。
制御手段28の第4の出力端子が偏光変化を行うための手段の制御入力端子に
接続される。この場合には、偏光変化を行うための手段は3つの信号発生器22
、24、26によって構成される。信号発生器22の出力端子が加算器回路16
の第2の入力端子に接続される。信号発生器24の出力端子が加算器回路18の
第2の入力端子に接続される。信号発生器26の出力端子が加算器回路20の第
2の入力端子に接続される。加算器回路16、18、20の出力端子が偏光適合
手
段8の対応する制御入力端子に接続される。
送信機2は光信号を発生する。その光信号は入力信号に依存して変調される。
これに関連して、振幅変調、周波数変調または位相変調が加えられることがわか
る。このようにして得られた光信号はガラス繊維4を通じて受信機6に送られる
。この送りは光信号の偏光の状態にかなり影響することがある。一般に、受けた
光信号の偏光の状態は直線、円または楕円である。レーザ増幅器10の利得係数
は、ある偏光の向きを持つ直線偏光された光に対して最大であるから、偏光適合
手段8はある向きに直線偏光された光信号を、任意の偏光状態を持つ光信号から
得ることができなければならない。
これは、自律的に制御できる部分を2つまたはそれ以上、たとえば、3つ、有
する偏光適合手段で常に可能である。それら3つの部分をどのようにして制御す
るかについては後で詳しく説明する。偏光適合手段8の出力信号はレーザ増幅器
10によって増幅され、光ダイオード12によって電気信号に変換される。この
電気信号は増幅器14によって希望の出力レベルまで増幅される。測定手段30
が、増幅器14の出力信号のうち、限界周波数の上に通過帯域を持つ部分の電力
を測定する。このために増幅器14の出力信号が帯域フィルタ34によって濾波
され、この帯域フィルタ34の出力信号が検出器32によって検出される。制御
手段28が、測定手段30の出力信号に応答して、偏光適合手段8の3つの部分
についての制御信号を決定する。
制御手段28は信号発生器22、24、26を順次起動させる。信号発生器は
希望によっては周期信号を発生するために構成できるが、あるいは、信号発生器
が階段状信号を発生することが可能である。起動信号発生器が周期信号を発生す
るものとすると、偏光適合手段の光出力信号が周期的に変化する。そうすると増
幅器14の出力信号が周期的に変化することになる。この周期的変化は振幅検出
器15によって周期信号に変換される。その周期信号の振幅は帯域フィルタ34
と検出器32を介して測定手段30によって測定される。起動信号発生器に属す
る制御手段の出力信号が、偏光の最適付随状態(attendant state )が存在する
ようなものであるとすると、増幅器14の出力信号の振幅に対する発生された偏
光変化の影響は小さい。その理由は、この最適条件が比較的平坦だからである。
その結果、測定手段の出力信号は小さい。しかし、実際の偏光状態と最適偏光状
態の間に違いがないとすると、発生された偏光変化の影響は大きく、そのために
測定手段の出力信号の影響は大きい。この特定の制御信号を制御手段によって設
定することによって、偏光適合手段の出力信号の最適偏光状態が得られる。
偏光適合手段8の全ての部分の設定を最適にするために、信号発生器を順次起
動し、適切な制御信号を制御手段によって最適にする。
階段状の偏光変化が行われるものとすると、増幅器14の出力信号の振幅を増
大するか、減少するかの判定を測定手段を介して行うことができる。この振幅を
増大するものとすると、階段状の偏光変化が正しい向きに行われ、この振幅が減
少を再び開始するまで、制御手段の出力信号がその向きに更に適合させられる。
そうするとその時に最適条件を超えたことになる。この振幅が減少するものとす
ると、階段状の偏光変化が誤った向きに行われ、最適条件に到達するまで、制御
手段の出力信号が逆の向きに適合させられる。
ここでまた、信号発生器が繰り返し起動され、別の光信号の偏光状態が最適で
ある値に適切な制御信号がセットされる。
第2図に示す受信機では、入力信号が結合素子11の第1の入力端子に加えら
れる。局部レーザ54によって発生された光信号が、偏光適合手段8を介して結
合素子11の第2の入力端子に加えられる。結合素子11の2つの出力端子が2
個の光ダイオードを有する光電変換器の2つの入力端子に接続される。
光電変換器12の出力信号が、この場合には制御可能な増幅器14によって構
成される振幅制御手段の入力端子に接続される。制御可能な増幅器14の出力端
子が復調器36の入力端子と振幅検出器38の入力端子に接続される。復調器3
6の出力端子が受信機6の入力端子と振幅検出器40の入力端子に接続される。
振幅検出器38の出力端子が組合わせ手段42の第1の入力端子に接続され、振
幅検出器40の出力端子が組合わせ手段42の第2の入力端子に接続される。
組合わせ手段42の出力端子が低域フィルタ44の入力端子と測定手段30の
入力端子に接続される。低域フィルタ44の出力端子が積分器46の入力端子に
接続される。積分器46の出力端子が制御可能な増幅器14の入力端子に接続さ
れる。
測定手段30の出力端子がアナログ−デジタル変換器52の入力端子に接続さ
れる。アナログ−デジタル変換器52の出力端子がマイクロプロセッサ48に接
続される。マイクロプロセッサ48はデジタル−アナログ変換器50に更に接続
される。そのデジタル−アナログ変換器の出力端子は偏光適合手段8に接続され
る。マイクロプロセッサ48の別の出力端子が測定手段30の同期化入力端子に
接続される。
受信機6の動作を説明するために、受ける信号がFSK変調された光信号であ
ると仮定する。結合手段11ではこの受信信号は局部レーザから来た信号に組合
わされる。先に説明したように、受信信号の偏光状態と局部レーザから来た信号
の偏光状態は同じであることが望ましい。局部レーザから来た信号は一般に直線
偏光され、受信信号の偏光状態は不定であるから、偏光適合手段はレーザ54の
偏光された光を偏光の考えられる任意の偏光状態に変換できなければならない。
先に説明したように、3つの部分を有する偏光適合手段8をこの目的のために使
用する。
結合素子11の2つの出力信号が光電変換器によって1つの電気信号に変換さ
れる。この電気信号は制御可能な増幅器14によって増幅され、その後でFSK
復調器によって復調される。
受信機の出力信号の振幅を表す信号が組合わせ手段42および振幅検出器38
、40によって得られる。そうすると、中間周波数信号の振幅と復調された中間
周波数信号の振幅を用いて、出力信号の振幅を表すものを決定する。復調された
ベースバンド信号を使用することによって、振幅検出中の信号対ノイズ比が高く
なる。その理由は、FM復調後の信号対ノイズ比は中間周波数信号の信号対ノイ
ズ比より高いからである。振幅検出中に中間周波数信号を同時に使用することに
よって、受信機の不正確な同調、または変調されていない信号の受信のために復
調された信号が存在しない場合の可変増幅器の過剰な制御を避ける。組合わせ手
段の出力信号は低域フィルタ44と積分器46を介して制御可能な増幅器14の
制御入力端子に接続される。制御可能な増幅器14と、振幅検出器38、40と
、低域フィルタ44と、積分器46とによって構成されている制御ループが、受
信機の出力信号を希望の値に維持する。低域フィルタ44と積分器46は振幅制
御手段の遮断周波数の決定に寄与する。測定手段30は、組合わせ手段42の出
力信号に対して行われた偏光変化の影響を決定する。測定手段30の(アナログ
)出力信号がアナログ−デジタル変換器52によってデジタル誤差信号に変換さ
れる。このデジタル誤差信号はマイクロプロセッサ48によって処理される。そ
の出力信号に応じてマイクロプロセッサ48は制御信号の値を以下に説明するよ
うなやり方で決定する。また、マイクロプロセッサ48は同期パルスを測定手段
30に加えて測定サイクルを起動する。
第3図に示す測定手段30では、入力信号が第1種低域フィルタ56に加えら
れる。このフィルタの遮断周波数は60kHzである。低域フィルタ56の出力
端子が、遮断周波数は15kHzである高域フィルタ58の入力端子に接続され
る。高域フィルタ58の後に2つの帯域消去フィルタ60、62の縦続組合わせ
が続く。それらの帯域消去フィルタのノッチ周波数は1.5kHzである。帯域
消去フィルタ62の出力端子はサンプリング回路64の入力端子に接続される。
サンプリング回路64の出力端子は測定手段の出力端子を構成する。
測定手段30の同期化入力端子がタイマ回路66に接続される。このタイマ回
路66の第1の出力端子がフィルタ58、60および62のリセット入力端子に
接続される。タイマ回路66の第2の出力端子がサンプリング回路64の制御入
力端子に接続される。
第3図に示す測定手段30は、階段状偏光変化の影響を測定するために構成さ
れる。偏光変化を行う前の期間中に、タイマ回路はリセット信号をフィルタ58
、60および62に加えるから、フィルタ58、60および62中の全てのコン
デンサが短絡されて、それらのフィルタには電力はもはや蓄積されない。偏光変
化には同期パルスをタイマ回路66に加えることが伴う。その結果、ある時間中
はリセット信号が除去される。このためにフィルタ56、58、60および62
の縦続組合わせの応答がサンプリング回路64の入力端子で利用できるようにす
ることを可能にする。この縦続組合わせの帯域通過の性質の結果として、この応
答は最初は零に等しく、後で増加して、ある時間の後で最大値に達し、その後で
再び零に戻る。サンプリング回路64の入力信号が最大値をとった時に、タイマ
手段66はサンプリングパルスをサンプリング回路に加える。その最大値は測定
手段30の出力端子へ送られる。この最大値を検出すると、リセット信号は再び
アクティブ状態になるから、フィルタ58、60、62はそれの最初の位置を再
びとって、次の測定サイクルに備える。フィルタ中のコンデンサをリセット信号
によって短絡することの利点は、フィルタ58、60、62がはるかに急速にそ
れの最初の位置に到達し、したがって、単位時間当たり極めて多数の測定を行え
ることである。
第4図に示す測定手段30では、入力信号が乗算器回路68の第1の入力端子
に加えられる。乗算器68の第2の入力端子に補助信号が加えられる。乗算器回
路68の出力端子が低域フィルタ70を介して測定手段30の出力端子に接続さ
れる。
第4図に示す測定手段は、受信機の出力信号において逐次行われる偏光変化を
測定するために構成される。補助信号は偏光変化を行うために用いる信号に対応
する信号である。低域フィルタの出力信号は乗算器回路68の2つの入力信号の
積の平均値に等しい。偏光適合手段8の最適条件設定の場合には、受信機の出力
信号に対する偏光変化の影響は小さいから、測定手段の出力信号はほぼ零である
。
第5図に示す偏光適合手段8は、寸法が1×1×65mmのLiNbO3結晶
である。電極は、200オングストロームのクロム層をまずスパッタリングし、
その後で1000オングストロームの金層をスパッタリングすることによって形
成される。四隅を除去することによって電極は分離される。2つの場所の側で金
属層を遮断することによって3つの部分が得られる。
LiNbO3結晶はいわゆる複屈折媒体であって、x方向とy方向(第5図参
照)の電界に対する屈折率n0が同じであるが、それの屈折率はz方向の電界に
対する屈折率neとは異なる。z軸に垂直な方向の電界を加えることによって、
x方向とy方向の屈折率は異なるようにもなる。適当な寸法を定める場合には、
光波長差λ/kに設定する。kの慣行的値は2、3または4である。電界の向き
は電圧Vx,iとVy,iとの比によって決定される。
そうすると、電圧Vx,iとVy,iの間の関係、およびLiNbO3結晶中の電界
とx軸の間の角度に対しては、次の関係が成り立つ。
Vx,i(αi)=Vx 0+Vx 2π/κcos(αi) (1)
Vy,i(αi)=Vy 0+Vy π2/κsin(αi) (2)
(1)と(2)で、Vx 0とVy 0は一定であって、電圧VxとVyが存在しない時は
複屈折を特徴とし、Vx 2π/κとVy 2π/κは一定であって、電界に平行な方向と
電界に垂直な方向の間に位相差2π/kを生じさせるために必要な電圧を表す。
電圧VxとVyが直角に変化すること(change in quadrature)は、
それが回転するλ/k画像が得られることであるとすると、それの回転角度を希
望する任意の値に設定できることを意味する。
送信装置がマイクロ波送信装置であるならば、たとえば、円形導波管に含まれ
ているファラデー回転子によって偏光適合手段を構成できる。
第6a図と第6b図に示す流れ図において命令は下の表に述べるような意味を
持つ。
命令80では、偏光適合手段8の3つの部分に対するαiの値を、適当である
ことが判明している初期値にセットする。その後で、命令90でVx,iとVy,iの
対応する値を計算する。命令92でαiの変化に対する受信機出力信号の応答を
計算する。命令94で受信機の出力信号のパワーが減少したかどうかを検査する
。受信機の出力信号のパワーが実際に減少したとすると、ステップδiが明らか
に誤った向きに行われたのであるから、δiの符号を変える。パワーが実際に減
少しなければ、δiの値はそのままにする。第3図に示す測定手段30は、測定
手段30の出力信号の符号によって、受信機の出力信号の増加または減少を示す
ことに注目されたい。
命令98、100、102、104においては、受信機のパワーが減少を開始
するまではαiの値を値δiだけ増加する。その時には到達すべき最適値を既に通
過しており、命令106では、αiを値δiだけ減少し、命令108、110では
、Vx,iとVy,iの対応する値を計算して、デジタル−アナログ変換器
50に加える。その後で、iの値を変化し、偏光適合手段8の次の部分の設定の
最適化を開始する。
このようにして、偏光適合手段8の各部分について制御信号が最適化される。
局部的な最適条件に収束することを避けるために、最適化の順序は常に同じでは
ないことがわかる。同様に、全体的な最適条件が実際に一層確実に見出だされる
ようにするために、最適化は種々の開始点から行われることもわかる。更に、偏
光適合手段の種々の部分が同時に駆動されるために、全体的な最適条件が実際に
見出だされることがわかる。
第7図に示す流れ図では、命令は下の表に示すような意味を持つ。
命令114ではVx,iとVy,iの特定の値をデジタル−アナログ変換器50に加
える。その後で、同期パルスを測定手段30に供給して、測定サイクル(前記し
た)をトリガする。その後で、命令118で、デジタル−アナログ変換器50の
出力信号を偏光適合手段に実際に供給する。その後で、測定サイクルの終了をあ
る時間だけ待つ。命令122では、測定手段の出力信号を読出してマイクロプロ
セッサで更に処理をする。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
H04B 10/26
10/28
(72)発明者 ショウテン,ドルフ
オランダ国5621、ベーアー、アインドーフ
ェン、フルーネヴァウツウェッハ、1