JPH09500812A - 双極形超音波手術 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 超音波発振回路が、設定された周波数でツールを駆動する。この超音波発振回路に振幅制御回路（47）が作用することによって、振動レベルが設定される。周波数制御回路（48）がそれら振幅制御回路と超音波発振回路とを接続している。ハンドピースはトランスデューサと振動ツールとを支持している。流管（17）が振動ツールを囲繞している。流管（17）及び／または振動ツールに装備されている電極（42）が、振動ツールの先端部（18）及び／または流管（17）の先端部まで、もしくはそれら先端部の近傍まで延在しており、それら電極（42）によって双極形電気手術作用が提供され、この電気手術作用に振動ツールの超音波振動を併用することもでき、或いは、超音波振動を使用せずに電気手術作用のみとすることもできる。超音波手術及び双極形電気手術を実施する方法は、振動ツールまたは流管（17）に装備された双極形電極（42）を備えた超音波ハンドピースを用いる方法である。

Description

【発明の詳細な説明】 双極形超音波手術 １．発明の分野 本発明は、超音波振動を発生する手術器具と組合せた双極形 電気手術に関し、より詳しくは、潅流用の流管ないしはパイプ形の超音波振動ツ ールに、１つないし複数の電極を付加することによって、超音波振動ツールの先 端部近傍に双極形電気手術のための電力を供給できるようにしたものである。 ２．開示の背景 米国特許第 4,674,498号は、低周波振動で駆動するようにし た電気焼灼機能を備えた振動メスに関するものであるが、切開は鋭利な刃の機械 的作用によって行われ、振動は、凝固させた体組織や体液がその刃に凝着するの を防止するために利用している。体組織や体液が凝着すると、凝固させた体組織 が損傷して、一度塞がった傷口が再び開いてしまうからである。この米国特許第 4,674,498号は、低周波で加熱するようにした振動メスを開示している。 米国特許第 4,886,060号は、スウェーデンの会社である Swedemed 社に譲渡さ れている特許であり、圧電振動子で駆動するようにした超音波振動ツールに関す るものである。その請求の範囲に広く記載されているのは、高周波放射源と共に 使用する超音波メス手段であり、高周波放射源が放射するエネルギによって、そ の超音波メスの先端部に位置する体組織に熱を発生させ、その体組織を凝固させ るようにしている。このツールは、凝固手段（電気手術器）からは電気的に絶縁 されているが、それは、圧電振動子の短絡を防止するためである。 米国特許第 4,931,047号は、米国、コロラド州、Boulder に所在の Valleylab 社に譲渡されている特許であり、手術部位の体組織を破砕するための、振動する 先端部を備えた超音波装置に関するものである。その先端部は、高周波発生装置 に接続されており、手術部位に対して切開作用、凝固作用、ないしはそれらの混 合作用を及ぼすことができる。従って手術に用いる際には、超音波破砕作用と電 気手術作用とを同時に利用することもできれば、それらの一方だけを利用するこ ともでき、更には、それらを交替的に利用することもできる。その電気手術作用 は単極形のものであり、即ち、電流は上述の先端部から流れ出て患者の体組織を 通過し、患者の身体に貼着した接地パッドへ流れる。この先端部を支持している ツールは中心孔を有する中空のものであり、このツールの周囲の環状断面空間を 通って潅流液が先端部へ流れ、そこから基端側へ、ツールの中心孔を介して吸入 され、それによって手術部位から、その手術によって発生した破砕片を除去でき るようにしている。この吸入法は米国特許第 3,693,613号によって公知となって いる。 米国特許第 5,015,227号は、米国、コロラド州、Boulder に所在の Valleylab 社に譲渡されている特許であり、電気手術機能を備えた超音波装置に関するもの である。同米国特許の特徴は、導電性Ｏリングに関係したものであり、この導電 性Ｏリングは、超音波振動子が発生する破砕用ツールの振動によって妨害される ことなく、ハンドピースにおいて電気手術用電力のオンオフを行えるようにする ものである。 双極形電気手術の典型的な一例は、２つの電気手術用電極を処置対象の体組織 に非常に近接させた上で、電気手術器のジェネレータをオンにして体組織を乾燥 させるというものである。電流が流れる領域は、２つの電極の間の領域に限局さ れる。超音波振動ツールを、双極形電気手術のためのそれら電極の間に配設した り、それら電極に近接させて配設するということは、これまでに全く行われてい ないことである。尚、上に列挙した先行技術を示す特許の開示は、この言及をも ってその全体が本開示に包含され、本開示の一部として取扱われる。 発明の概要 双極形超音波手術器は、電気手術用の高周波電力を供給する双極形電源に接続 された、術医が操作するハンドピースを備えたものとすることができる。発振回 路が、この超音波手術器を所定周波数で駆動するようにすることが好ましい。超 音波駆動回路によって超音波振動の振動レベルを設定可能にすることができる。 ハンドピースを把持するためのハウジングは、使用中にそのハウジングの基端部 を術医が把持するようなものとすることが最も好ましい。電気手術用の高周波電 力を供給する双極形電源に夫々にリード線が接続されており、それらリード線が ハウジングに支持されている構成とすることができる。 超音波エネルギを供給するトランスデューサを、ハウジング内に収容すること が好ましい。このトランスデューサは、例えばハウジングの軸心に沿って配設す るようにし、また、少なくとも１つの適当な周波数及び波長の近傍においてこの 軸心に沿って振動し、しかもその振動による変移が超音波手術作用を得るのに充 分な変移であるように選択すればよい。複数のパイプ形ツールの各々をトランス デューサに取付けて、その各々を少なくとも１つの適当な周波数及び波長の近傍 で振動させることができるようにすることが好ましい。また、各々のパイプ形ツ ールには中央孔を貫通形成し、その中央孔を吸入源に接続するのがよい。パイプ 形ツールのハウジングから離れた側の端部を成している先端部を、超音波手術作 用または双極形電気手術作用もしくはそれらを組合せた手術作用を提供し得る位 置に配置することが好ましい。 流管は、例えばパイプ形ツールに対して同軸的な位置に配設し、ハウジングか ら片持式で延出する形で支持されているようにすることが好ましい。パイプ形ツ ールと流管との間に画成された環状断面空間が、潅流液を流通させることができ るようにするのがよい。２つないしそれ以上の複数の電極を、パイプ形ツールま たは流管もしくはそれら両方に装備するようにし、それら電極に夫々のリード線 を接続してそれら電極へ選択的に給電できるようにすることが好ましい。 リード線には、夫々の電極へ選択的に給電し得るようにするスイッチ機構を付 設するようにしてもよい。超音波駆動回路が、発振回路に接続している振幅制御 回路と、それら振幅制御回路と発振回路との間に接続している周波数制御回路と 、超音波手術器の線形運動を所定周波数の近傍に維持するための周波数制御回路 内の周波数制御用フィードバック・ループとを備えているようにしてもよい。 複数の電極を、パイプ形ツールから絶縁してこのパイプ形ツールに装備してあ り、それら複数の電極の各々にリード線を接続して、それら電極へ選択的に給電 できる構成とすることが好ましい。また、複数の電極とリード線との間に配設し た摺動式の電気接続構造を介してそれら電極の各々をそれらリード線に変移可能 に接続することによって、パイプ形ツールの超音波振動を許容しつつそれら電極 へ給電できるようにしてもよい。これとは別の構成例として、複数の電極の各々 を流管に装備し、それら電極にリード線を接続して、それら電極へ選択的に給電 できるようにしてもよい。１つの実施例においては、複数の電極の少なくとも１ つを流管に装備することが好ましく、この場合に、それら電極の別の少なくとも １つをパイプ形ツールに装備することができ、そして、それら電極の各々にリー ド線を接続して、それら電極へ選択的に給電できるようにすればよい。 １つの構成例として、パイプ形ツールに装備した少なくとも１つの電極の各々 とそれら各電極に対応した夫々のリード線との間に配設した可撓性の電気接続構 造を介して、各電極とそれに対応したリード線とを変移可能に接続することによ って、パイプ形ツールの超音波振動を許容しつつ各電極へ給電できるようにした 構成がある。この場合、かかる少なくとも１つの電極の各々を、パイプ形ツール から絶縁してこのパイプ形ツールに装備するようにし、そしてかかる少なくとも １つの電極の各々に２本のリード線の一方を接続し、パイプ形ツールにそれらリ ード線の他方を接続して、それら電極へ選択的に給電できるようにすることがで きる。また、パイプ形ツールに装備した少なくとも１つの電極の各々とそれら各 電極に対応した夫々リード線との間に配設した可撓性の電気接続構造を介して、 各電極とそれに対応したリード線とを変移可能に接続することによって、パイプ 形ツールの超音波振動を許容しつつ各電極へ給電できるようにすることが考えら れる。 複数の電極の各々をパイプ形ツールの外面に取付けることによって、それら電 極をパイプ形ツールに装備し、それら電極が、パイプ形ツールのハウジング側の 端部から先端部へ延在しているようにしてもよい。それら複数の電極の各々を別 の形態で取付け、即ち、パイプ形ツールの内面に取付けることによって、それら 電極をパイプ形ツールに装備し、それら電極が、パイプ形ツールのハウジング側 の端部から先端部へ延在している構成としてもよい。複数の電極の各々を互いに 異なった形態でパイプ形ツールに装備することも考えられ、即ち、それら電極の 少なくとも１つをパイプ形ツールの内面に、また少なくとも１つをパイプ形ツー ルの外面に取付け、それら電極が、パイプ形ツールのハウジング側の端部から先 端部へ延在している構成としてもよい。更に別の構成例として、複数の電極の各 々を流管の外面に取付けることによって、それら電極を流管に装備し、それら電 極が、流管のハウジングに支持された支持部から流管の先端部へ延在している構 成とする場合もある。またこれと逆に、複数の電極の各々を流管の内面に取付け ることによって、それら電極を流管に装備し、それら電極が、流管のハウジング に支持された支持部から流管の先端部へ延在している構成とすることも考えられ る。複数の電極の少なくとも１つを流管の内面に、また少なくとも１つを流管の 外面に取付けることによって、それら電極を流管に装備し、それら電極が、流管 のハウジングに支持された支持部から流管の先端部へ延在している構成としても よい。更に別の実施例として、複数の電極の少なくとも１つをパイプ形ツールの 内面に、また少なくとも１つをパイプ形ツールの外面に取付けることによって、 それら電極をパイプ形ツールに装備し、それら電極が、パイプ形ツールのハウジ ング側の端部から先端部へ延在している構成としてもよい。また、複数の電極を 夫々に流管の外面とパイプ形ツールの外面とに取付けることによって、それら電 極を流管及びパイプ形ツールに装備し、それら電極が、ハウジングから流管及び パイプ形ツールの夫々の先端部へ延在しているようにしてもよく、これによって また別の形態の、超音波振動を併用した双極形電気手術作用が得られる。 複数の電極の夫々を流管の内面とパイプ形ツールの内面とに取付けることによ って、それら電極を流管及びパイプ形ツールに装備し、それら電極が、それら流 管及びパイプ形ツールのハウジングに支持された夫々の支持部から夫々の先端部 へ延在している構成としてもよい。また、複数の電極の少なくとも１つを流管及 びパイプ形ツールの一方の内面に、また少なくとも１つを流管及びパイプ形ツー ルの他方の外面に支持取付けることによって、それら電極を流管及びパイプ形ツ ールに装備し、それら電極が、それら流管及びパイプ形ツールの夫々のハウジン グに支持された支持部から夫々の先端部へ延在している構成としてもよく、これ によって、流管及びパイプ形ツールの一方の外面と他方の内面との間に少なくと も双極形回路を形成することができる。 双極形超音波手術器の使用方法は、双極形電気手術用の高周波電力を供給する 電源に接続された、術医が操作するハンドピースを用いる方法である。その１つ のステップは、所定周波数で振動する超音波装置を用意するというステップであ る。使用中にハンドピースのハウジングを把持するというのも１つのステップで ある。リード線を、電気手術用高周波電力を供給する双極形電源に接続するとい うのも１つのステップである。超音波装置に取付けたパイプ形ツールを振動させ て、各々のパイプ形ツールが少なくとも１つの適当な周波数及び波長の近傍で振 動するようにするというのも１つのステップである。パイプ形ツールのハウジン グから離れた側の端部である先端部を、超音波手術作用または双極形電気手術作 用もしくはそれらを組合せた手術作用を提供し得る位置に配置するというのも１ つのステップである。流管を、パイプ形ツールに対して同軸的な位置に、ハウジ ングから片持式で延出する形で支持されるよう配設するというのも１つのステッ プである。パイプ形ツールまたは流管もしくはそれら両方に装備した２つないし それ以上の複数の電極にリード線を接続してそれら電極へ高周波電力を給電でき るようにするというのも１つのステップである。 図面の簡単な説明 図１は、超音波手術用ハンドピースの斜視図であり、そのハウジングの一部を 破断してその内部構造と内部に収容した部品とを示すと共に、その流管ないし超 音波パイプ形ツールに取付ける双極形電極に給電するためのリード線を示した図 である。 図２は、図１の２−２線に沿って切断した場合に観察される断面をもって表し た流管と、この流管の内部に配設されている細長い先細り形状のパイプ形ツール とを示した側面図であり、流管ないしパイプ形ツールに離して配設した双極形電 極を備えたところを示した図である。 図３Ａないし図３Ｊは、その各々が、図１ないし図２の３−３線に沿って切断 した場合に観察される断面をもって示した、この超音波手術用ハンドピースに採 用することのできる双極形電極の配置の様々な別実施例の１つずつを示した断面 図である。 図４は、流管に取付けた双極形電極へ電気手術用の高周波電力を給電するため に少なくとも１つ用いられる回路の回路図である。 発明の詳細な説明 これより双極形電気手術または超音波手術もしくはそれら両方を実施可能にす るための、超音波手術用ハンドピース１０、双極形電極を備えた流管、パイプ形 ツール、ないしは双極形超音波手術器の構造を具体例として取り上げ、図示し、 詳細に説明して行くが、ただし請求の範囲はそれらの構造に限定されない。請求 の範囲を解釈するに際しては、本発明以前の当業者の知識に基づいて補正ないし 考察される請求の範囲の文言によって規定される本発明の、その発明の時点以前 に存在していた当業者の知識に鑑みて解釈されねばならない。尚、本開示を通し て使用する基端ないし後端という用語は、操作者に近い側の端部を意味するもの であり、先端ないし前端とは患者に近い側をいう。また異なった図面の間でも、 同一の部材に対しては同一の参照符号を付してある。 図１は、超音波手術用ハンドピース１０を一部破断して示した斜視図である。 超音波手術用ハンドピース１０はハウジング１１を備えており、このハウジング １１の中に、トランスデューサ１２、電気コイル１３、及び連結部材１４が収容 されている。収容されているそれら部材は、ハウジング１１の中を軸心方向に、 即ち軸心Ａに沿って延在しており、この軸心Ａが超音波手術用ハンドピース１０ の長手方向を表す。ハウジング１１の前部にノーズコーン１５が取付けられてお り、このノーズコーン１５は、それがハウジング１１に取付けられている側の端 部から先端部分１６へ近付くにつれて先細りとなる形状であり、先端部分１６に は、そこから延出する流管１７が、このノーズコーン１５の周囲にかぶせるよう にして取付けられている。流管１７は、軸心方向に振動する金属製の破砕用ない し切開用のパイプ形ツール２４を囲繞しており、流管１７とパイプ形ツール２４ とは同軸的な位置で配設されている。この、軸心方向に振動する切開用パイプ形 ツール２４は、金属製とすることが好ましいが、ただしその他の材料を用いるこ とも可能であると考えられる。パイプ形ツール２４の先端部１８は、軸心Ａに沿 って長手方向に延在して流管１７から外へ突出している。 米国、コロラド州、Boulder、Longbow Drive、5920に所在のValleylab社が製 造している「CUSA System 200 with CEM」というシステムを使用して、ここに開 示している改良を加えた構成品を駆動することができる。このシステムは、１台 の装置で超音波手術と電気手術との両方に対応できるようにしたものであり、一 般向けに販売されている。電気手術に関しては、このシステムはこれまで、単極 形電気手術だけに用いられていた。本明細書の開示は、このシステムを、開腹手 術ないし腹腔鏡手術に適した双極形電気手術及び超音波手術用の手術器とするに はどうすべきかを教示するものである。 潅流液注入用及び吸引用の２本のチューブ２０及び２１を備えたマニホルド・ アセンブリ１９がハウジング１１の上部に取付けられており、ハウジング１１に 沿って軸心Ａに平行に延在している。チューブ２０は先端部分１６の近傍におい て流管１７に接続しており、滅菌した潅流用ないし冷却用の液をこの流管１７の 内部へ注入することによって、その液を流管１７を通して先端部１８へ向けて流 すことができる。連結部材１４を介して先端部１８へ伝達される振動によって音 波や応力が発生し、結果的に幾らかのエネルギが熱に変換される。吸引用チュー ブ２１は、少なくとも１個の前部吸入孔１８ａを介して液を吸入する（前部吸入 孔１８ａは小さな孔であるため、図２、図４、及び図５にしか示されていない。 後述するように、この前部吸入孔１８ａは、流管１７と中央孔２２との間の連通 路を成すものである。図３参照）。パイプ形ツール２４の中央孔２２は、先端部 １８から、チューブ２１との接続部２３まで延在している。 図２は、図１の２−２線に沿って切断した断面を示した場合に観察される流管 １７の断面を示した拡大側面図である。図１及び図２においては、腹腔鏡手術用 に長尺物とした流管１７を、その一部を切除して短縮して図示してある。このよ うにしたのは、長尺物として適当な長さの流管１７を１枚の図面に入れようとす ると、超音波手術用ハンドピース１０の断面が余りにも小さくなって細部が描け なくなってしまうか、或いは、長さ方向と径方向とで縮尺を変えねばならなくな るからであり、特に後者の場合には、ハンドピース１０、流管１７、及び切開作 用を有する先端部１８における相対寸法が理解できなくなるおそれがある。 使用時には先端部１８が、細長く中空で先細り形状で金属製のパイプ形ツール ２４の機能端部となる。パイプ形ツール２４は、高強度で、軽量で、連結部材と 比べて比重が小さく、また生体に対して不活性であるという性質を有するチタン 即ち 6.3ｍｍとし、内径を約 0.078インチ即ち 2ｍｍとすることが好ましい。こ のパイプ形ツール２４は、音響振動体の一部として機能する際に適当な周波数で 振動するように設計されており、例えば腹腔鏡手術に用いるための長尺のパイプ 形ツールとした実施例では、その適当な周波数は毎秒 23,000 サイクルであり、 またこの周波数で振動するときの、先端部１８の、軸心Ａに沿った長手方向の往 復振動の変移量即ちピーク・ツー・ピークの行程長さは、約 200μｍ（0.008 イ ンチ）である。チューブ２０から流入する潅流液は、流管１７と細長いパイプ形 ツール２４との間に画成された環状断面空間の中を流れ、その際にパイプ形ツー ル２４から熱を奪う。この潅流液は、先端部１８の近傍に形成されている図２に 示した前部吸入孔１８ａへ吸入され、そしてノーズコーン１５の近傍において接 続部２３からチューブ２１へ流入して環流する。従って、潅流液の流れは、冷却 を行いつつそれと同時に、破砕組織片や血液等の不要物の流動を促進する機能を 果たすことができ、それによってそれら不要物を手術部位から中央孔２２を介し て吸い上げて除去するのを助けることができる。先端部１８の長手方向の超音波 振動は、この先端部１８に接触する組織を破砕する機能を有する。この振動の変 移量即ち振幅と、周波数とは、電子回路によって維持するようにしており、後述 するようにある程度の調節が可能である。その調節によって振動を、ガウス関数 に従って高調波振動を発生させやすく設計したこの細長いパイプ形ツール２４の 形状に適合させることや、実施しようとしている手術の要件に適合させることが 可能になっている。また破損防止という観点から、この振動するパイプ形ツール ２４の一部分をガウス関数に従って断面積が変化する形状としてあり、それによ って、先端に近付くほど変移量が増大するにも関わらず応力の大きさがどこでも 略々一定になるようにしている。上に例示した寸法を採用したチタン合金製の腹 腔鏡手術用のパイプ形ツール２４では、周波数が 23 キロヘルツのときの軸方向 の波長が約 8.7インチになる。この場合、パイプ形ツール２４の全長を 5/4波長 の長さにするのであれば、その全長は約 12 インチになり、また 7/4波長の長さ にするのであれば、約 16 インチになる。 個々の機械的共振体の形状や、機械的共振体の組合せに関しては、これまでに 多くのものが理論的に取扱われ、また実際に使用されてきた。更に、共振体の形 状を適切に定めることによって、最大級の弾性応力を発生する軸心方向領域を拡 大してより大きな振幅が得られるようにするための、種々の試みがこれまでにな されてきた。これらについては米国特許第 2,984,154号を参照されたい。実際の 個々の用途は、共振体の４つの特性量である、入力の大きさ、ノードの配列、出 力部の断面積、及び伝達率によって制約されるため、結果的に様々な問題が生じ た場合の解決法としては、振動するパイプ形ツール２４のテーパ部分（先細り部 分）の断面積をガウス関数に従って変化させるという方法をとることになる。 チューブ２５及び２６は、図１に矢印で示したように超音波手術用ハンドピー ス１０に冷却液を循環させる機能を果たしている。既述の如くトランスデューサ １２が音響振動を発生することによって、電気エネルギが、軸心Ａに沿った方向 の縦振動である機械的振動に変換され、この機械的振動がパイプ形ツール２４の 中を伝播してこのパイプ形ツール２４の先端部１８へ伝達され、先端部１８を振 動させる。トランスデューサ１２の好適例は、磁界によって励振されるニッケル 合金の積層構造から成る音響振動体であり、その磁界を、電気コイル１３を流れ る振動電流によって発生させる。電気コイル１３は毎秒 23,000 サイクル（23キ ロヘルツ）の交流電流によって励振される。これによって発生する好適例のニッ ケル合金の積層構造の縦振動は、好適例の先細り形状のチタン合金製のパイプ形 ツール２４によって増幅され、このパイプ形ツール２４は、ノーズコーン１５の 先端から、振動する先端部１８の先端まで延在している。パイプ形ツール２４は そのネジ部２７によって、また連結部材１４を介して、トランスデューサ１２に 結合されている。延在しているチタン製のパイプ形ツール２４の先細りの形状と 壁部の厚さとは、毎秒 23,000 サイクルで振動する機械構造体となるように設計 されている。 図２に示した流管１７の実施例は複数の部品から構成されており、それら部品 は夫々に異なった材料で製作することが好ましく、なぜならば、流管１７の先端 付近は、軟らかく可撓性に富んだものにすることが望まれるからである。先ず本 体部材２８があり、これは中空で細長い形状の部品である。本体部材２８は、こ の本体部材２８の中に位置することになる長手方向の中心線である軸心Ａに沿っ て、しかもこの軸心Ａに対して同軸的な位置を維持して延在できるように、ある 程度の剛性を有する部品としてある。本体部材２８は、その基端には漏斗形拡径 部２９が形成され、その先端にはノズル部３０が形成されている。流管１７は、 弾性に富んだシリコンラバーを主材料とすることが好ましく、そうすれば、漏斗 形拡径部２９を超音波手術用ハンドピース１０のノーズコーン１５にかぶせたと きに、使用しているシリコンラバー材料の、そのラバーとしての弾性によって、 それらがきっちりと嵌合し、それらの間にガスケットと同様の液密性の密封接合 部３１が形成される。 インチ即ち約 29 ｃｍよりも短縮して図示してある。漏斗形拡径部２９に接続す る部分の直径から、流管１７がノズル部３０へ近付くにつれて、次第に先細りに なるようにしてある。本体部材２８は、その端から端まで中空である。補強用の 突条３２をノズル部３０の内周面に、長手方向に延在するように形成してある。 本体部材２８の外周面に、その外径を減少させた薄肉部３４を、基端側は漏斗形 拡径部２９から先端側はノズル部３０の先細り部に至るまでの範囲に亙って形成 するようにしてもよい。図示の実施例では、この薄肉部３４の外周に中空支持囲 繞円筒部材３５を嵌合することによって補強を図っている。容易に理解されるよ うに、流管１７は任意の長さにすることができ、長さが短い場合には補強は不要 である。同様にパイプ形ツールも様々な寸法にすることができ、また実際に様々 な寸法に製作されており、パイプ形ツール２４の長さ及び形状を決定する基本的 な基準は、その共振性能である。 材料の異なる部品を組合せて構成するようにしたこの高分子材料製の腹腔鏡手 術用の流管１７における、中空支持囲繞円筒部材３５の好適例は、ポリスルホン を押出成形してチューブの形状にしたものであり、また薄肉部３４の上に嵌合す ることによって、本体部材２８に加わる曲げ力に対する補強機能を発揮できる寸 法のものである。別法として、この本体部材２８を、より剛性の大きな構造物と して製作してもよく、それには、壁厚を大きくすることや、弾性係数の大きな材 料を併せて使用して同時押出成形するということが考えられる。ただし、そのよ うにして剛性を高めた成形品の断面がどのようなものかは容易に想像できないた め、そのような一体成形品とした構造は図には具体的に示さなかった。ただし当 業者にとっては、そのような製品を製作するのにどのようにすればよいかは周知 のことである。流管１７が短い場合には、その流管１７を、一種類の材料だけを 使用した一体成形品とすることができるのはいうまでもない。 漏斗形拡径部２９は、一般的には、軸心Ａを中心として、本体部材２８のうち の残りの部分よりも径を拡大させた形状になる。漏斗形拡径部２９は、その内側 と外側とを連通する液体連通口３６を備えている。この連通口３６は、チューブ ２０から流入する液を通過させるように構成されており、チューブ２０は、この 連通口３６に形成した段付き開口部３７の中に挿入することで接続され、連通口 ３６の基端側の端面３８から延出している。液は、チューブ２０から連通口３６ を通って流管１７の中へ流入し、より詳しくは、流管１７とパイプ形ツール２４ との間の環状断面空間３３の中へ流入する。補強用突条３２はノズル部３０を支 持しており（このノズル部３０の断面積は漏斗形拡径部２９や本体部材２８の断 面積より小さい）、このノズル部３０が、細長い先細り形状のチタン製の振動す るパイプ形ツール２４の、その振動する先端部１８近傍の部分に、対して同軸的 な位置関係を維持するようにしている。そのため先端部１８は、図１及び図２に 示すように、ノズル部３０に対する同軸的な位置関係をもってこのノズル部３０ の中を延在している。より重要なことは、通常、突条３２はその高さを非常に低 くして、パイプ形ツール２４を、従って振動する先端部１８を、押さえてしまう ことがないようにしつつ、しかも一方では、潅流及び冷却のための液の流れを区 画して、その液が層流状態でパイプ形ツール２４に沿って先端部１８へ流れるよ うにすべきだということである。従って冷却液は、２本の突条３２の間に画成さ れる流路に導かれて流れる。流管１７が短い場合には、突条３２を設けることは なく、従って流路を画成することもない。なぜならば、流管１７が片持式で支持 されるため、突条３２及びそれによって画成される流路が、撓みを防いだり強度 を増したりすることを補償するほど充分なものとはならないからである。 特に図１及び図２に最も明瞭に示したように、細長い先細り形状のパイプ形ツ ール２４は、その患者に接する側の先端が（破砕を行うために）振動する先端部 １８となっており、その基端側の先端が（連結するために）ネジ式取付部３９と なっている。ネジ部２７によって、図１に示すように、この細長い先細り形状の パイプ形ツール２４を連結部材１４に着脱可能に取付けられるようにしている。 図３は流管１７及びパイプ形ツール２４の断面図であり、両者がそれらの間の 好適な位置関係である同軸的位置関係にあるところを示した図である。流管１７ は、パイプ形ツール２４の外側に位置している。図示のいずれの実施例において も、電極には参照符号４２を付し、絶縁部材には参照符号４３を付して示してあ る。電極４２の材料には、任意の導電性材料を用いることができるが、ただし好 ましいのは金属材料である。絶縁部材４３の材料には、高い絶縁性を有する任意 の高電気抵抗材料を用いることができる。 超音波手術用ハンドピース１０はトランスデューサ１２と電気コイル１３とを 備えており、超音波手術器の回路によって駆動され、使用可能な超音波手術器と しては、例えば米国特許出願第 07/982,936 号（出願日：1992年11月30日、発明 の名称：ULTRASONIC SURGICAL HANDPIECE AND AN EGERGY INITIATOR（超音波手 術用ハンドピース及びエネルギ・イニシエータ））に開示されているものを使用 することができる。同米国特許出願は本願の譲受人に譲渡されており、同米国特 許出願の開示はこの言及をもって本願開示に包含され、本願開示の一部として取 扱われる。超音波手術器の回路は、周波数を維持するために振動する先端部１８ の予め設定された振動モードと直線運動とを確立して維持し、超音波手術用ハン ドピース１０のトランスデューサ１２を、様々に異なる負荷の下にあって、共振 特性が得られるように駆動する。発振回路４６は、トランスデューサ１２を所定 周波数で、好ましくは 23 キロヘルツで駆動する。この発振回路４６には、ユー ザが設定することのできる振幅制御回路４７が接続している。この振幅制御回路 ４７によって、超音波振動の振動レベルが手動設定可能になっている。振幅制御 回路４７と発振回路４６との間に周波数制御回路４８が接続している。この周波 数制御回路４８内に、周波数制御用フィードバック・ループを設けるようにして もよい。周波数制御用フードバック・ループは、使用中の超音波手術用ハンドピ ース１０の線形運動を、即ち振動しているパイプ形ツール２４の線形運動を、所 定周波数の近傍に維持する機能を果たすものである。 図１〜図４の好適例にかかる双極形超音波手術器は、電気手術用の高周波電力 を供給する双極形電源４９に接続された、術医が操作するハンドピース１０を備 えている。発振回路４６は、この超音波手術器を所定周波数で駆動する。超音波 駆動回路５０は、超音波振動の振動レベルを設定可能にしている。ハンドピース １０を把持するためのハウジング１1は、使用中にそのハウジング１１の基端部 を術医が把持するようにしたものである。電気手術用の高周波電力を供給する双 極形電源４９に、リード線５１及び５２が接続されており、それらリード線５１ 及び５２はハウジング１１に支持されている。 超音波エネルギを供給するトランスデューサ１２は、ハウジング１１内に収容 されている。このトランスデューサ１２は、ハウジングの軸心「Ａ」に沿って配 設されており、少なくとも１つの適当な周波数及び波長の近傍においてこの軸心 「Ａ」に沿って振動し、しかもその振動による変移が超音波手術作用を得るのに 充分な変移であるように選択されている。複数のパイプ形ツール２４の各々をト ランスデューサ１２に取付けて、その各々を少なくとも１つの適当な周波数及び 波長の近傍で振動させることができるようにしてある。また、各々のパイプ形ツ ール２４には中央孔２２が貫通形成されており、その中央孔２２は吸入源５３に 接続される。パイプ形ツール２４のハウジング１１から離れた側の端部を成して いる先端部１８が、超音波手術作用または双極形電気手術作用もしくはそれらを 組合せた手術作用を提供し得る位置に置かれている。 流管１７は、パイプ形ツール２４に対して同軸的な位置に配設されており、ハ ウジング１１から片持式で延出する形で支持されている。パイプ形ツール２４と 流管１７との間に画成された環状断面空間３３は、潅流液を流通させることがで きるようにした空間である。図３Ａ〜図３Ｊに示すように、２つないしそれ以上 の複数の電極４２を、パイプ形ツール２４または流管１７もしくはそれら両方に 装備するようにしており、それら電極４２にリード線５１ないし５２を接続して それら電極４２へ選択的に給電できるようにしている。 リード線５１及び５２には、夫々の電極４２へ選択的に給電し得るようにする スイッチ機構５３を付設してある。 それら複数の電極４２を、図３Ａ、図３Ｄ、図３Ｅ、及び図３Ｆに示した構成 においては、パイプ形ツール２４から絶縁してこのパイプ形ツール２４に装備し てあり、また、それら複数の電極４２の各々にリード線５１ないし５２を接続し て、それら電極４２へ選択的に給電できるようにしているが、この点は、図３Ａ 〜図３Ｊのどの図においても同じである。図３Ａ、図３Ｄ、図３Ｅ、及び図３Ｆ に示したものは更に、それら複数の電極４２とリード線５１及び５２との間に配 設した可撓性の電気接続構造５４を介してそれら電極４２の各々をそれらリード 線５１ないし５２に変移可能に接続することによって、パイプ形ツール２４の超 音波振動を許容しつつそれら電極４２へ給電できるようにしており、これについ ては図２を参照されたい。それらとは別の構成例として図３Ｂ及び図３Ｇに示し たものは、複数の電極４２の各々を流管１７に装備し、それら電極４２にリード 線５１ないし５２を接続して、それら電極４２へ選択的に給電できるようにした ものである。図３Ｃ及び図３１に示した実施例では、複数の電極４２の少なくと も１つを流管１７に、また少なくとも１つをパイプ形ツール２４に装備したもの である。そして、それら電極の各々にリード線５１ないし５２を接続して、それ ら電極４２へ選択的に給電できるようにしている。 図３Ａ、図３Ｄ、図３Ｅ、及び図３Ｆに示した各構成例では、図２に示したよ うに、パイプ形ツール２４に装備した少なくとも１つの電極４２の各々とそれら 各電極に対応した夫々のリード線５１ないし５２との間に配設した可撓性の電気 接続構造５４を介して、各電極とそれに対応したリード線５１ないし５２とを変 移可能に接続することによって、パイプ形ツール２４の超音波振動を許容しつつ 各電極４２へ給電できるようにしている。この場合、かかる少なくとも１つの電 極４２の各々を、例えば図３Ａ、図３Ｄ、図３Ｅ、及び図３Ｆに示したように、 パイプ形ツール２４から絶縁してこのパイプ形ツール２４に装備している。そし て、かかる少なくとも１つの電極の各々にリード線５１ないし５２の一方を接続 し、パイプ形ツール２４にそれらリード線５１ないし５２の他方を接続して、そ れら電極４２へ選択的に給電できるようにしている。また図２に示したように、 パイプ形ツール２４に装備した少なくとも１つの電極４２の各々とそれら各電極 に対応した夫々リード線との間に配設した可撓性の電気接続構造５４を介して、 各電極とそれに対応したリード線５１ないし５２とを変移可能に接続することに よって、パイプ形ツール２４の超音波振動を許容しつつ各電極４２へ給電できる ようにしている。 図３Ａに示したものは、複数の電極４２の各々をパイプ形ツール２４の外面に 取付けることによって、それら電極４２をパイプ形ツール２４に装備したもので あり、それら電極４２はパイプ形ツール２４のハウジング１１側の端部から先端 部１８へ延在している。図３Ｅに示したものは、それら複数の電極４２の各々を 図３Ａとは異なった形態で取付けてあり、即ち、パイプ形ツール２４の内面に取 付けることによって、それら電極４２をパイプ形ツール２４に装備してあり、そ れら電極４２はパイプ形ツール２４のハウジング１１側の端部から先端部１８へ 延在している。図３Ｆに示したものは、複数の電極４２の各々を互いに異なった 形態でパイプ形ツール２４に装備したものであり、即ち、それら電極４２の少な くとも１つをパイプ形ツール２４の内面に、また少なくとも１つをパイプ形ツー ル２４の外面に取付けてあり、それら電極４２はパイプ形ツール２４のハウジン グ１１側の端部から先端部１８へ延在している。図３Ｂに示した更に別の構成例 では、複数の電極４２の各々を流管１７の外面に取付けることによって、それら 電極を流管１７に装備してあり、それら電極４２は流管１７のハウジング１１に 支持された支持部から流管１７の先端部へ延在している。図３Ｇに示したものは これと逆に、複数の電極４２の各々を流管１７の内面に取付けることによって、 それら電極４２を流管１７に装備したものであり、それら電極４２は、流管１７ のハウジング１１に支持された支持部から流管１７の先端部へ延在している。図 ３Ｈの別実施例では、複数の電極４２の少なくとも１つを流管１７の内面に、ま た少なくとも１つを流管１７の外面に取付けることによって、それら電極４２を 流管１７に装備したものであり、それら電極４２は、流管１７のハウジング１１ に支持された支持部から流管１７の先端部へ延在している。 図３Ｆに示した更に別の実施例は、複数の電極４２の少なくとも１つをパイプ 形ツール２４の内面に、また少なくとも１つをパイプ形ツール２４の外面に取付 けることによって、それら電極４２をパイプ形ツール２４に装備してあり、それ ら電極４２は、パイプ形ツール２４のハウジング１１側の端部から先端部１８へ 延在している。図３Ｃに示したものは、複数の電極４２を夫々に流管１７の外面 とパイプ形ツール２４の外面とに取付けることによって、それら電極４２を流管 １７及びパイプ形ツール２４に装備したものであり、それら電極４２は、ハウジ ング１１から流管１７及びパイプ形ツール２４の夫々の先端部へ延在しており、 これによって、また別の形態の、超音波振動を併用した双極形電気手術作用が得 られる。 図３Ｉに示したものは、複数の電極４２の夫々を流管１７の内面とパイプ形ツ ール２４の内面とに取付けることによって、それら電極４２を流管１７及びパイ プ形ツール２４に装備したものであり、それら電極４２は、それら流管１７及び パイプ形ツール２６のハウジング１１に支持された夫々の支持部から夫々の先端 部へ延在している。図３Ｃ、図３Ｉ、及び図３Ｊに示したものはいずれも、複数 の電極４２の少なくとも１つを流管１７及びパイプ形ツール２４の一方の内面に 、また少なくとも１つを流管１７及びパイプ形ツール２４の他方の外面に支持取 付けることによって、それら電極４２を流管１７及びパイプ形ツール２４に装備 してあり、それら電極４２は、それら流管１７及びパイプ形ツール２４の夫々の ハウジング１１に支持された支持部から夫々の先端部へ延在しており、これによ って、流管１７及びパイプ形ツール２４の一方の外面と他方の内面との間に少な くとも双極形回路が形成されている。 双極形超音波手術器の使用方法は、双極形電気手術用の高周波電力を供給する 電源に接続された、術医が操作するハンドピースを用いる方法である。その１つ のステップは、双極形電気手術用の高周波電力を供給する電源を生成するステッ プである。発振回路４６によって、超音波手術器を所定周波数で駆動するという のも１つのステップである。超音波駆動回路５０によって超音波振動の振動レベ ルを設定するというのも１つのステップである。使用中にハンドピースのハウジ ング１１を把持するというのも１つのステップである。リード線５１ないし５２ を、電気手術用高周波電力を供給する双極形電源４９に接続するというのも１つ のステップである。トランスデューサ１２を、ハウジング１１に収容し、ハウジ ング１１の軸心に沿って配設し、このトランスデューサ１２が少なくとも１つの 適当な周波数及び波長の近傍においてその軸心に沿って振動できるようにし、そ の振動による運動が超音波手術を実施するのに充分な運動となるようにするとい うのも１つのステップである。トランスデューサ１２に取付けたパイプ形ツール ２４を振動させて、各々のパイプ形ツール２４が少なくとも１つの適当な周波数 及び波長の近傍で振動するようにするというのも１つのステップである。各々の パイプ形ツール２４に貫通形成されている中央孔２２を吸入源５３に接続すると いうのも１つのステップである。パイプ形ツール２４のハウジング１１から離れ た側の端部である先端部１８を、超音波手術または双極形電気手術もしくはそれ らを組合せた手術の効果を発揮し得る位置に配置するというのも１つのステップ である。流管１７を、パイプ形ツール２４に対して同軸的な位置に、ハウジング １１から片持式で延出する形で支持されるようにして配設するというのも１つの ステップである。パイプ形ツール２４と流管１７との間に画成された環状断面空 間３３に潅流液を流通させるというのも１つのステップである。パイプ形ツール ２４または流管１７もしくはそれら両方に備えられた２つないしそれ以上の複数 の電極４２に、それら電極４２へ高周波電力を給電できるようにリード線５１な いし５２を回路を成すように接続するというのも１つのステップである。 以上、様々な構成例を図面に示して説明したが、以下の請求の範囲は、超音波 手術及び双極形電気手術を任意の組合せで実施できるようにしその方法を可能に する全ての実施例を包含することを意図したものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．術医が操作するハンドピースを備えた双極形超音波手術器において、 電気手術用の高周波電力を供給する双極形電源４９と、 超音波手術器を所定周波数で駆動する発振回路４６と、 超音波振動の振動レベルを設定可能にする超音波駆動回路５０と、 前記ハンドピースを把持するためのハウジング１１であって使用中に術医がそ の基端部を把持するようにしたハウジング１１と、 電気手術用の高周波電力を供給する前記双極形電源４９に接続され、前記ハウ ジング１１に支持されたリード線５１ないし５２と、 前記ハウジング１１に収容され、該ハウジング１１の軸心に沿って配設されて おり、少なくとも１つの適当な周波数及び波長の近傍において該軸心に沿って振 動しその振動の変移が超音波手術作用を得るのに充分な変移であるように選択さ れているトランスデューサ１２と、 その各々を前記トランスデューサ１２に取付けて少なくとも１つの適当な周波 数及び波長の近傍で振動させることができるようにしてある、複数のパイプ形ツ ール２４と、 各々の前記パイプ形ツール２４に貫通形成されており、吸入源５３に接続され る中央孔２２と、 前記バイプ形ツール２４の前記ハウジング１１から離れた側の端部を成してい る先端部１８であって、超音波手術作用または双極形電気手術作用もしくはそれ らを組合せた手術作用を提供し得る位置に置かれている先端部１８と、 前記パイプ形ツール２４に対して同軸的な位置に配設され前記ハウジング１１ から片持式で延出する形で支持されている流管１７と、 前記パイプ形ツール２４と前記流管１７との間に画成された、潅流液を流通さ せる環状断面空間３３と、 前記パイプ形ツール２４または前記流管１７もしくはそれら両方に装備した２ つないしそれ以上の複数の電極４２であって、前記リード線５１ないし５２に接 続して高周波電力を給電可能にした複数の電極４２と、 を備えたことを特徴とする双極形超音波手術器。 ２．前記リード線５１ないし５２に、術医が前記電極４２への給電を選択的に 行えるようにするスイッチ機構を付設してあることを特徴とする請求項１記載の 双極形超音波手術器。 ３．前記超音波駆動回路５０が、前記発振回路４６に接続している振幅制御回 路４７と、それら振幅制御回路４７と発振回路４６との間に接続している周波数 制御回路４８と、該超音波手術器の線形運動を所定周波数の近傍に維持するため の前記周波数制御回路４８内の周波数制御用フィードバック・ループとを備えて いることを特徴とする請求項１記載の双極形超音波手術器。 ４．前記複数の電極４２の各々を、前記パイプ形ツール２４から絶縁して該パ イプ形ツール２４に装備し、それら電極４２に前記リード線５１ないし５２を接 続して、それら電極４２へ選択的に給電できるようにしてあることを特徴する請 求項１記載の双極形超音波手術器。 ５．前記複数の電極４２と前記リード線５１ないし５２との間に配設した摺動 式の電気接続構造５４を介してそれら電極４２の各々をそれらリード線５１ない し５２に変移可能に接続することによって、前記パイプ形ツール２４の超音波振 動を許容しつつそれら電極４２へ給電できるようにしてあることを特徴する請求 項４記載の双極形超音波手術器。 ６．前記複数の電極４２の各々を前記流管１７に装備し、それら電極４２に前 記リード線５１ないし５２を接続して、それら電極４２へ高周波電力を給電でき るようにしてあることを特徴する請求項１記載の双極形超音波手術器。 ７．前記複数の電極４２の少なくとも１つを前記流管１７に、また少なくとも １つを前記パイプ形ツール２４に装備し、それら電極４２に前記リード線５１な いし５２を接続して、それら電極４２へ高周波電力を給電できるようにしてある ことを特徴する請求項１記載の双極形超音波手術器。 ８．前記パイプ形ツール２４に装備した少なくとも１つの電極４２の各々とそ れら各電極に対応した夫々の前記リード線との間に配設した摺動式の電気接続構 造５４を介して各電極とそれに対応した前記リード線とを変移可能に接続するこ とによって、前記パイプ形ツール２４の超音波振動を許容しつつ各電極へ高周波 電力を給電できるようにしてあることを特徴する請求項７記載の双極形超音波手 術器。 ９．少なくとも１つの電極４２を、前記パイプ形ツール２４から絶縁して該パ イプ形ツール２４に装備し、該少なくとも１つの電極４２の各々に前記リード線 ５１ないし５２の一方を接続し、前記パイプ形ツール２４に前記リード線５１な いし５２の他方を接続して、術医が前記複数の電極４２へ高周波電力を給電でき るようにしてあることを特徴する請求項１記載の双極形超音波手術器。 １０．前記パイプ形ツール２４に装備した少なくとも１つの電極４２の各々と それら各電極に対応した夫々の前記リード線との間に配設した摺動式の電気接続 構造５４を介して各電極とそれに対応した前記リード線とを変移可能に接続する ことによって、前記パイプ形ツール２４の超音波振動を許容しつつ各電極へ高周 波電力を給電できるようにしてあることを特徴する請求項９記載の双極形超音波 手術器。 １１．前記複数の電極４２の各々を前記パイプ形ツール２４の外面に取付ける ことによって、それら電極４２を該パイプ形ツール２４に装備してあり、それら 電極４２が該パイプ形ツール２４の前記ハウジング１１側の端部から前記先端部 １８へ延在していることを特徴とする請求項４記載の双極形超音波手術器。 １２．前記複数の電極４２の各々を前記パイプ形ツール２４の内面に取付ける ことによって、それら電極４２を該パイプ形ツール２４に装備してあり、それら 電極４２が該パイプ形ツール２４の前記ハウジング１１側の端部から前記先端部 １８へ延在していることを特徴とする請求項４記載の双極形超音波手術器。 １３．前記複数の電極４２の少なくとも１つを前記パイプ形ツール２４の内面 に、また少なくとも１つを該パイプ形ツール２４の外面に取付けることによって 、それら電極４２を該パイプ形ツール２４に装備してあり、それら電極４２が該 パイプ形ツール２４の前記ハウジング１１側の端部から前記先端部１８へ延在し ていることを特徴とする請求項４記載の双極形超音波手術器。 １４．前記複数の電極４２の各々を前記流管１７の外面に取付けることによっ て、それら電極４２を該流管１７に装備してあり、それら電極４２が該流管１７ の前記ハウジング１１に支持された支持部から該流管１７の先端部へ延在してい ることを特徴とする請求項６記載の双極形超音波手術器。 １５．前記複数の電極４２の各々を前記流管１７の内面に取付けることによっ て、それら電極４２を該流管１７に装備してあり、それら電極４２が該流管１７ の前記ハウジング１１に支持された支持部から該流管１７の先端部へ延在してい ることを特徴とする請求項６記載の双極形超音波手術器。 １６．前記複数の電極４２の少なくとも１つを前記流管１７の内面に、また少 なくとも１つを該流管１７の外面に取付けることによって、それら電極４２を該 流管１７に装備してあり、それら電極４２が該流管１７の前記ハウジング１１に 支持された支持部から該流管１７の先端部へ延在していることを特徴とする請求 項６記載の双極形超音波手術器。 １７．前記複数の電極４２の少なくとも１つを前記パイプ形ツール２４の内面 に、また少なくとも１つを該パイプ形ツール２４の外面に取付けることによって 、それら電極４２を該パイプ形ツール２４に装備してあり、それら電極４２が該 パイプ形ツール２４の前記ハウジング１１側の端部から前記先端部１８へ延在し ていることを特徴とする請求項６記載の双極形超音波手術器。 １８．前記複数の電極４２を夫々に前記流管１７の外面と前記パイプ形ツール ２４の外面とに取付けることによって、それら電極４２を該流管１７及び該パイ プ形ツール２４に装備してあり、それら電極４２が前記ハウジング１１から該流 管１７及び該パイプ形ツール２４の夫々の先端部へ延在していることを特徴とす る請求項７記載の双極形超音波手術器。 １９．前記複数の電極４２を夫々に前記流管１７の内面に取付けることによっ て、それら電極４２を該流管１７に装備してあり、それら電極４２が該流管１７ の前記ハウジング１１に支持された支持部から該流管１７の先端部へ延在してい ることを特徴とする請求項７記載の双極形超音波手術器。 ２０．前記複数の電極４２の少なくとも１つを前記流管１７及び前記パイプ形 ツール２４の一方の内面に、また少なくとも１つを該流管１７及び該パイプ形ツ ール２４の他方の外面に取付けることによって、それら電極４２を該流管１７及 び該パイプ形ツール２４に装備してあり、それら電極４２が該流管１７及び該パ イプ形ツール２４の夫々の前記ハウジング１１に支持された支持部から夫々の先 端部へ延在しており、更に、該流管１７及び該パイプ形ツール２４の一方の外面 と他方の内面との間に少なくとも双極形回路が形成されていることを特徴とする 請求項７記載の双極形超音波手術器。 ２１．術医が操作するハンドピースを備えた双極形超音波手術器の使用方法に おいて、 双極形電気手術用の高周波電力を供給する電源を生成するステップと、 発振回路４６によって超音波手術器を所定周波数で駆動するステップと、 超音波駆動回路５０によって超音波振動の振動レベルを設定するステップと、 使用中に前記ハンドピースのハウジング１１を把持するステップと、 リード線５１ないし５２を、電気手術用高周波電力を供給する前記双極形電源 ４９に接続するステップと、 トランスデューサ１２を、前記ハウジング１１に収容し、該ハウジング１１の 軸心に沿わせて配設し、該トランスデューサ１２が少なくとも１つの適当な周波 数及び波長の近傍において該軸心に沿って振動しその振動の変移が超音波手術作 用を得るのに充分な変移となるようにするステップと、 前記トランスデューサ１２に装備したパイプ形ツール２４を振動させて、各々 のパイプ形ツール２４が少なくとも１つの適当な周波数及び波長の近傍で振動す るようにするステップと、 各々の前記パイプ形ツール２４に貫通形成されている中央孔２２を吸入源５３ に接続するステップと、 前記パイプ形ツール２４の前記ハウジング１１から離れた側の端部を成してい る先端部１８を、超音波手術作用または双極形電気手術作用もしくはそれらを組 合せた手術作用を提供し得る位置に配置するステップと、 流管１７を、前記パイプ形ツール２４に対して同軸的な位置に、前記ハウジン グ１１から片持式で延出する形で支持されるよう配設するステップと、 前記パイプ形ツール２４と前記流管１７との間に画成された環状断面空間３３ に潅流液を流通させるステップと、 前記パイプ形ツール２４または前記流管１７もしくはそれら両方に装備した２ つないしそれ以上の複数の電極４２に前記リード線５１ないし５２を接続してそ れら電極４２へ高周波電力を給電できるようにするステップと、 を含んでいることを特徴とする方法。