【発明の詳細な説明】
改善された粒子パッキング特性を有するコーヒー製品の製造
発明の分野
本発明は改善された粒子パッキング特性を有する粒状コーヒー製品の製造に関
する。
発明の背景
焙煎(roast) 及び粉砕されたコーヒー製品はしばしば嵩密度に関して、例えば
低又は高密度コーヒーに分類される。低密度コーヒーは、コーヒー重量が標準コ
ーヒー缶に充填する上で少くてすむため、製造コストがたいてい安くなる。逆に
、高密度コーヒーはたいていもっと高価であり、“徐焙煎フレーバー及び芳香”
のある“伝統的”コーヒーとして市販されている。
歴史的に、コーヒー嵩密度(例えば、タンプド(tamped)嵩密度)は主に緑色豆
焙煎の速度及び程度によりコントロールされてきた。例えば、高い嵩密度はコー
ヒー豆をより褐色になるまで焙煎するか又は豆をより長い焙煎時間に付すことに
より達成できる。逆に、低い嵩密度は豆をより薄いロースト色に焙煎するか又は
豆をより速い焙煎時間に付すことにより得られる。
しかしながら、焙煎をコントロールすることで嵩密度をコントロールすると、
望ましくないか又は妥協した結果を招くことがある。フレーバー及び芳香発生に
とり最適の緑色豆焙煎条件は、特定の目標嵩密度に達する上で、たいてい最適の
焙煎条件と相関しない。例えば高密度コーヒーを得るためには、より褐色のロー
スト色が目標とされるが、褐色に焙煎された豆はしばしば強すぎるか又は焼けた
フレーバーを有する。もっとゆっくりした焙煎時間も用いてよいが、これは製造
コストを増加させる傾向がある。
非焙煎手段により嵩密度をコントロールする1つの方法は、The Procter & Ga
mble Companyに譲渡され、1993年7月13日付で発行された、Lepplaらの米
国特許第5,227,188号明細書で開示されている。開示された方法では大
きな及び小さな直径のコーヒー粒子を限られた重量比で一緒に混合してコンパク
ト化する。小さな方の粒子は大きな粒子の間でよりぴったりと適合するため、嵩
密度を増加させる。特許プロセスにおける混合及びコンパクト化ステップは、特
定の目標嵩密度を得るために必要な程度に応じて変えることができる。
非焙煎手段により嵩密度をコントロールする追加プロセスを提供する必要性が
続いている。したがって、本発明の目的は、コンパクト力によりコーヒー細粒の
粒子形態を変えて、それらの粒子パッキング特性を改善することにより、このよ
うなプロセスを提供することである。本発明の他の目的は、独特で、しかも改善
された粒子パッキング特性を示す粒状コーヒー製品を提供することである。
発明の要旨
そのプロセス面において、本発明は改善された粒子パッキング特性を有する粒
状コーヒー製品の製造方法に関する。その方法の第一ステップでは、約600μ
m以下の粒径を有するコーヒー細粒が得られる。第二ステップにおいて、細粒は
コンパクト力に付される。コンパクト化中に、嵩密度は約0.40〜約0.70
g/ccに少くとも約0.05g/cc増加する。これらのコーヒー細粒は粒状コーヒー
製品でより効率的にパッキングできる。これらのコンパクト化粒子は、嵩密度を
増加又はコントロールする手段として、焙煎及び粉砕されたコーヒーのような他
のコーヒー製品とミックスすることができる。
その製品面において、本発明は約600μm以下の平均粒径と約0.40〜約
0.70g/ccのコンパクト化嵩密度を有するコーヒー細粒を含んでいる。その製
品は図1及び2で各々示されたようなその独特な等密度及び等抽出(isobrew) 固
形分特性に関して更に特徴付けられ、抽出固形分及び嵩密度の双方はその中にお
けるコンパクト化細粒のパーセンテージ増加に従い増える。
図面の簡単な説明
本明細書におけるすべての図面が三元グラフである。このようなグラフはF.P.
Hall及びH.Insley,Phase Diagrams for Ceramists,pg.9-10(1947) で一般的に記
載されており、これは参考のため本明細書に組み込まれる。各三元軸は三元粒子
混合物のコーヒー粒子フラクション(粒子サイズに基づく)を表す。グラフに表
された3種の粒子フラクションは1)20メッシュに残るU.S.標準シーブス
クリーンフラクション、2)20メッシュを通過して30メッシュに残るU.S
.標準シーブスクリーンフラクション、及び3)30メッシュを通過するU.S
.標準シーブスクリーンフラクション(本明細書では“コーヒー細粒”と呼ばれ
る)である。グラフにおいて、ポイント“A”は20メッシュに残る粒子100
%からなる粒子混合物を表し、ポイント“B”は20メッシュを通過して30メ
ッシュに残る粒子100%からなる粒子混合物を表し、ポイント“C”は30メ
ッシュを通過する粒子100%からなる粒子混合物を表す。三元軸内には一定嵩
密度の領域を地図化した等密度等高線がある。図2及び8では、等密度線が等抽
出固形分線に代わっている。各グラフが作られた三元粒子混合物は、各グラフに
おいて単一の強調点(●)で表されている。
図1及び2は各々等密度及び等抽出固形分三元グラフである。これらのグラフ
は本発明のコーヒー製品の等密度及び等抽出固形分特性について示している。
図3は従来の13オンス(約370g)焙煎及び粉砕コーヒーに関する等密度
三元グラフである。
図4は25%非コンパクト化細粒と75%焙煎及び粉砕コーヒーの混合物から
なるコーヒー製品に関する等密度三元グラフである。混合物中の25%細粒は0
.38g/ccの嵩密度を有する。
図5は25%コンパクト化細粒と75%焙煎及び粉砕コーヒーの混合物からな
るコーヒー製品に関する等密度三元グラフである。25%細粒は別にコンパクト
化されて、約0.52g/ccのコンパクト化密度を有する。
図6は25%コンパクト化細粒と75%焙煎及び粉砕コーヒーの混合物からな
るコーヒー製品に関する等密度三元グラフである。25%細粒は別にコンパクト
化されて、0.58g/ccのコンパクト化密度を有する。
図7は25%コンパクト化細粒と75%焙煎及び粉砕コーヒーの混合物からな
る本発明のコーヒー製品に関する等密度三元グラフである。25%細粒は別にコ
ンパクト化されて、0.64g/ccのコンパクト化密度を有する。
図8は図7の等密度三元グラフを作るために用いられたコーヒー製品に関する
等抽出固形分三元グラフである。
図9は25%細粒と75%焙煎及び粉砕コーヒーの混合物に関する等密度三元
グラフである。混合物は0.46g/ccの密度までコンパクト化されていた。
図10は図9のグラフを作るために用いられたコーヒー製品に関する等密度三
元グラフであるが、コンパクト化された30メッシュに残る粒子フラクションは
同様のサイズの非コンパクト化粒子に置き換えられている。
図11は図9のグラフを作るために用いられたコーヒー製品に関する等密度三
元グラフであるが、コンパクト化された細粒フラクションは非コンパクト化細粒
に置き換えられている。
発明の具体的な説明
本発明のコーヒー製品の製造ではそれらの粒子形態を変えるためにコーヒー細
粒をコンパクト化する。変化させた細粒は改善された粒子パッキング特性を有し
、例えば粒子はそれら自体及び他のコーヒー粒子の中でより効率的に適合し、し
かも流動性を維持している。これらの変化させた細粒は、コーヒー混合物の嵩密
度を増加又はコントロールする手段として、他の粒状コーヒー製品と混合される
ことが好ましい。本発明のコーヒー製品はその等密度及び等抽出固形分特性に関
し
て特徴付けることができる。これらの特性は図1及び2において等密度及び等抽
出固形分三元グラフで示されている。
本発明で用いられる固形コーヒー抽出物を含めたすべてのコーヒー物質及び製
品は粒状形であり、他で指摘されないかぎり焙煎された緑色コーヒー豆から誘導
されている。
本明細書で用いられる“密度”という用語は嵩密度を意味する。本明細書にお
ける密度又は嵩密度値はタンプド(tamped)嵩密度値として慣用的手段により測定
することができる。
本明細書で用いられる“抽出固形分値”とは、自動ドリップコーヒーメーカー
で19.2gの焙煎コーヒー製品から抽出された10カップのコーヒーから得ら
れた抽出固形分に関する。
本明細書で言及されるすべての粒子スクリーンはU.S.標準シーブスクリー
ンシリーズに基づいている。
本明細書で用いられる“コンパクト化細粒”とは、約600μm以下の平均粒
径、約0.40〜約0.70g/ccの嵩密度を有し、粒子の形態が変化するような
コンパクト化プロセスに付されたコーヒー物質を意味する。
本明細書で用いられる“等密度”とは、一定嵩密度値の領域を地図化した図1
、3〜7及び9〜11における三元グラフの嵩密度等高線を意味する。
本明細書で用いられる“等抽出固形分”とは、一定の到達しうる抽出固形分値
の領域を地図化した図2及び8における三元グラフの抽出固形分等高線を意味す
る。
本明細書におけるすべての比率及びパーセンテージは、他で指摘されないかぎ
り重量に基づく。
本発明のコーヒー製品の製造については以下で詳細に記載されている。
A.等密度及び等抽出固形分三元グラフ
本発明のコーヒー製品はその等密度及び等抽出固形分特性に関して特徴付ける
ことができる。これらの特性は図1及び2で各々表された等密度及び等抽出固形
分三元グラフで示されている。本明細書におけるすべての等密度及び等抽出固形
分三元グラフは、以下で記載されたStandish及びYu回帰分析法により作成された
。
等密度三元グラフは、様々な多粒子コーヒー混合物に関する嵩密度を実験的に
測定してプロットすることにより作成できる。これは高度に困難な方法である。
結果的に、数学的方法がこれらの三元グラフを地図化して粒子パッキング挙動を
予測する上で好ましい。コーヒー粒子混合物の場合、好ましい数学的方法はN.St
andish及びA.Yu,Porosity Calculat1ons of Ternary Mixtures of Particles,49
Power Technology,249-253(1987) で紹介された統計的方法(回帰分析)であり
、これは参考のため本明細書に組み込まれる。更に、この方法では三元グラフに
関するデータポイントを作成する上で7回の実験測定を要するだけである。
表1で示されたように、この数学的方法で予測された嵩密度値は測定された嵩
密度とよく相関している。表1では図4〜7の等密度三元グラフからとられたデ
ータがまとめられている。表1のデータを作成するために用いられた4種のコー
ヒー製品の各々は、25%コーヒー細粒フラクションと75%焙煎及び粉砕コー
ヒーフラクションからなっていた。75%焙煎及び粉砕コーヒーフラクションは
通例的な量の粉砕細粒も含有していた(したがって、全細粒は25%以上である
)。コンパクト化又は非コンパクト化された25%コーヒー細粒フラクションの
嵩密度は製品毎に異なる。欄I〜Vのデータは4種のコーヒー製品の実験測定値
である。欄VIは等密度三元グラフからとられた予想嵩密度値を含んでいる。欄V
の値(実測密度)とそれに対応する欄VIの値(予想密度)は互いに約2%以内で
ある。
Standish及びYu数学的回帰法が本発明で等密度三元グラフを作成するために採
択して用いられた。等密度三元グラフは本発明のコーヒー製品を規定する上で役
立つ。これらのグラフは様々なコーヒー粒子混合物の嵩密度を予想するためにも
使用でき、各混合物はその粒度分布により規定される。これらのグラフに関する
データポイントを作成する上で、粒状コーヒー製品は3種の粒子フラクション、
即ち1)20メッシュに残るU.S.標準シーブスクリーン、2)20メッシュ
を通過して30メッシュに残るU.S.標準シーブスクリーン、及び3)30メ
ッシュを通過するU.S.標準シーブスクリーン(コーヒー細粒)に篩分けられ
る。次いでタンプド嵩密度測定が各篩分け粒子フラクション、フラクションの5
0/50混合物と、全フラクションの均等混合物に関して慣用的技術により行わ
れる。こうして全部で7回の嵩密度測定が各コーヒー製品に関して行われる。次
いで三元グラフで等密度線を示すデータポイント(嵩密度値)がStandish及び
Yu統計法により計算される。この方法は図2及び8で等抽出固形分三元グラフを
作成するためにも用いられた。
B.コーヒー細粒
本発明のコーヒー製品は下記のコンパクト力に付されたコーヒー細粒を含んで
いる。これら細粒は、コンパクト化前に、焙煎されたコーヒー豆を粉砕、ミル化
又はフレーク化するような公知の慣用的な手段により供給できる。
本発明で使用のコーヒー細粒は約600μm以下の平均粒径を有する。これら
の細粒は30メッシュU.S.標準シーブスクリーンを通過しうるものとしても
特徴付けできる。本発明で使用に適したコーヒー細粒には、焙煎コーヒー豆から
誘導されたコーヒーフレーク、粉砕コーヒー、フレークドコーヒー細粒、固形コ
ーヒー抽出物(例えば、可溶性コーヒー粉末)及びそれらの混合物がある。食品
細粒、例えばチコリーと他のコーヒー添加物又は代替物も本発明で使用できる。
C.コンパクト化
本プロセスの必須ステップにおいて、コーヒー細粒は細粒の粒子形態を変える
コンパクト力に付され、こうしてそれらの粒子パッキング効力を改善している。
特に、選択されたコーヒー細粒は少くとも約0.05g/cc、典型的には少くと
も約0.05〜約0.2g/ccまでそれらの嵩密度を増加させるために十分なコン
パクト力に付される。このような増加の程度は勿論コンパクト化前におけるコー
ヒー細粒の嵩密度と望まれるコンパクト化目標密度に依存している。コンパクト
化前のコーヒー細粒は、典型的には約0.30〜約0.39g/ccの嵩密度を有す
る。したがって、コンパクト化された細粒は約0.40〜約0.70g/cc、好ま
しくは約0.50〜約0.70g/cc、最も好ましくは約0.60〜約0.70g/
ccの嵩密度を有する。
適切なタイプのコンパクト力は、粒子内の細胞壁を実質上ゆがめることなく細
粒の嵩密度を増加させる力である。コーヒーミル化及びフレーク化操作では、例
えば、典型的には実質的に細胞壁をゆがめるか又は破壊する力をコーヒー粒子で
働かせる。このような力は本発明で使用上望ましくない。
上記のように嵩密度を増加させて粒子形態を変化させる上で必要な力を加えう
るいかなるコンパクト化装置も使用できる。適切な装置には、典型的には強いミ
キシングに用いられるものがある。これらの装置は高い粒子‐粒子相互作用の形
態で高剪断ミキシングを行う。適切な装置の例にはツイン及びシングルローター
ミキサー、例えばテレダイン(Teledyne)製造のリードコ・ミキサー(Readco Mixe
r)がある。これらのミキサーは固定シェル内にパドルが設置された少くとも1つ
の回転シャフトを含んでいる。ツイン回転スクリュー、例えばツインスクリュー
押出機も回転シャフト/パドルの代わりに固定シェル内で用いてよい。
コンパクト化時間は、典型的には約30秒間〜約3分間、更に典型的には約3
0秒間〜約1分間の範囲内である。それより長い時間も用いてよいが、通常は不
要である。コンパクト化時間は、過剰の熱がコンパクト化中にコーヒー内で発生
しないようにコントロールされるべきである。コンパクト化熱は異臭発生を起こ
すことがある。それは粒子内でコーヒー油も溶融させ、その後コンパクト化装置
に付着してそこでのプロセスを中断させる粘稠な凝集物を生じることがある。コ
ンパクト化熱は、コンパクト化時間をコントロールして、冷却コンパクト化環境
(例えば、ほぼ環境温度以下)を維持することにより最少にできる。冷却コンパ
クト化温度は低温媒体又は環境で装置をジャケット化することにより維持できる
。通常、約10〜約20℃の温度が用いられる。
コーヒー細粒は単独で又は他のコーヒー粒子と組合せてコンパクト化できる。
コンパクト化操作には単独コンパクト化ステップ又は一連のコンパクト化ステッ
プがある。初期コンパクト化ステップにおいて、コーヒー細粒は他のコーヒー粒
子タイプから分けて単独でコンパクト化されることが好ましい。初期コンパクト
化の後に、分離された細粒は望ましい目標密度にするために焙煎及び粉砕コーヒ
ーとミックスできるか、又は好ましくは混合物は目標密度にするため更にコンパ
クト化できる。その後(例えば、初期コンパクト化後)のコンパクト化操作に要
するコンパクト化時間は、典型的には0秒間〜約1分間、更に典型的には20〜
約30秒間である。コンパクト化中に生じうる焙煎コーヒーの芳香喪失を最少に
抑えるか又は避けるためには、これら後のコンパクト化時間を最少にすることが
重要である。後のコンパクト化に付される粒子混合物には典型的にはもっと大き
なコーヒー粒子(例えば、30メッシュスクリーンに残る)を含み、これはコン
パクト化誘導性芳香喪失をコーヒー細粒よりもうけやすい。コンパクト化熱はそ
の混合物内に大きな粒子でみられるコーヒー揮発性物質を容易に破壊するか又は
追い出してしまうことがある。コーヒー細粒は典型的にはほとんど又は全く芳香
を有していないため、それらをコンパクト化してもほとんど又は全く芳香喪失を
起こさない。後のコンパクト化時間は最大密度、例えば0.50〜0.70g/cc
にコンパクト化されたコーヒー細粒を利用することにより最少化又は削除できる
。同様に、後のコンパクト化時間はコーヒー製品中で高レベルのコンパクト化細
粒を利用することにより最少化又は削除してもよい。
コンパクト化細粒と焙煎及び粉砕されたコーヒーからなる混合物の後コンパク
ト化では、更に粒子パッキング効力を改善することができる。このような混合物
、特にコンパクト化細粒中における粒子の形態は、コーヒー粒子を更に一層効率
的に一緒にパッキングしうるように、更に変えることができる。粒子形態を変え
ること以外に、後コンパクト化操作はコンパクト化細粒を他の焙煎及び粉砕コー
ヒー粒子とミックスしてそれらの間に位置させるように作用することができる。
こうしてより高い嵩密度が達成でき、より低レベルのコンパクト化細粒が目標密
度に達する上で用いられる。
コーヒー細粒のコンパクト化密度を最大にする利点は、図4〜7で等密度三元
グラフを比較して明らかにすることができる。これらのグラフは、25%コーヒ
ー細粒フラクションと75%通例的焙煎及び粉砕コーヒーフラクションからなる
焙煎及び粉砕コーヒー製品から作成された。75%フラクションは通例的な量の
粉砕コーヒー細粒(約20%)も含有していた。図4のグラフを作成するために
用いられたコーヒー製品中の25%コーヒー細粒フラクションはコンパクト化さ
れておらず、0.38g/ccの嵩密度を有していた。他のコーヒー製品において、
細粒は各々0.52g/cc(図5)、0.58g/cc(図6)および0.64g/cc(
図7)の嵩密度まで別にコンパクト化されて、その後75%焙煎及び粉砕フラク
ションと混合された。25%コーヒー細粒フラクションがコンパクト化されて、
コンパクト化密度が増加するに従い、等密度線の大きさも増加することが、これ
ら4つのグラフからわかる。結果的に、目標密度に達する上で必要なコンパクト
化細粒のフラクションは、コンパクト化コーヒー細粒の密度が増加するに従い減
少することがわかる。
下記表2は、図4〜8の等密度三元グラフからとられたデータを含んでいる。
表2は、細粒が最初に0.64g/ccの密度にコンパクト化された固形コーヒー抽
出物である、25%コーヒー細粒フラクションを含んだコーヒー製品に関するデ
ータも示している。
例えば0.46g/ccの目標密度に達する上で必要なコンパクト化細粒のフラク
ションは細粒のコンパクト化密度が増加するに従い減少することが、表2の欄II
I からわかる。本コーヒー製品の後コンパクト化は目標密度に達するために必要
なコンパクト化細粒のレベルを減少させる上で特に有用であることも、欄Vから
わかる。例えば、0.64g/cc密度を有するコンパクト化細粒で0.46g/cc目
標密度に達するためには、コーヒー製品は44〜52%のコンパクト化細粒を含
有しなければならない。後で約1分間にわたりコーヒー製品をコンパクト化する
ことにより、0.46g/cc目標密度に達するために必要なコンパクト化細粒のレ
ベルは15〜18%に減少する。後のコンパクト化は、コンパクト化細粒が固形
コーヒー抽出物からなる場合に更に一層有用である。例えば、0.66g/ccにコ
ンパクト化されたコーヒー抽出物で0.46g/cc目標密度に達するためには、
コーヒー製品は49〜63%のコンパクト化抽出物を含有しなければならない。
コンパクト化細粒で作られたコーヒー製品を後で1分間コンパクト化することに
より、0.46g/cc目標密度に達するために必要なコンパクト化抽出物のレベル
は10〜16%に減少する。
好ましくは、本コーヒー製品は目標密度に達する上で必要な最少レベルのコン
パクト化細粒を含有している。コンパクト化細粒のレベルを最少にすることで製
品の外観及び流動性を改善でき、例えばそれは従来の焙煎及び粉砕コーヒーにず
っと近く見えて流動する。このようなレベルを最少にすれば、結果的に非コンパ
クト化又はそれより大きな30メッシュに残るコーヒー粒子のレベルも製品中で
増加させることができる。非コンパクト化又はそれより大きなコーヒー粒子はコ
ーヒー製品により強い芳香を付与する傾向がある。
D.コーヒー製品
本発明のコーヒー製品は本明細書で記載されたコンパクト化細粒を含んでおり
、図1及び2で各々記載された等密度及び等抽出固形分特性を示す。
コーヒー製品は他のコーヒー粒子タイプ、例えば焙煎及び粉砕コーヒー、フレ
ークドコーヒー、フレークドコーヒー細粒、凝集コーヒー、固形コーヒー抽出物
及びそれらの混合物を更に含んでいることが好ましい。他のコーヒー粒子タイプ
はコンパクト化されていても又はコンパクト化されていなくてもよい。コンパク
ト化細粒と他の任意コーヒータイプは、望ましい目標密度に達する上で公知の又
は慣用的な手段により一緒にミックスすることができる。これ以上のコンパクト
化操作はほとんど又は全く不要である。
本発明の重要な面は、粒状コーヒー製品の嵩密度がこのような製品でこれらの
コンパクト化細粒を用いることによりコントロール又は増加できることである。
目標嵩密度は、コーヒー製品に加えられるコンパクト化された又はそうではない
細粒の量及び密度を調節することによりコントロールできる。このため、こうし
て細粒の量及び密度をコントロールすることにより、目標嵩密度は嵩密度をコン
トロールする上で緑色豆焙煎に全面的に依存することなく達成できる。
好ましくは、コンパクト化された細粒と焙煎及び粉砕コーヒー、更に好ましく
は非コンパクト化焙煎及び粉砕コーヒーとコンパクト化細粒は、約1〜約99%
、更に好ましくは約15〜約60%、最も好ましくは約20〜約40%のコンパ
クト化細粒と、約1〜約99%、更に好ましくは約40〜約85%、最も好まし
くは約60〜約80%の焙煎及び粉砕コーヒーからなる。非コンパクト化焙煎及
び粉砕コーヒーを含んだ混合物は、慣用的なガスクロマトグラフィー技術で測定
したところ、より強い缶ヘッドスペース芳香を示す。
本発明のコンパクト化細粒は、米国特許第5,227,188号明細書で記載
されたコンパクト化プロセスで利用することもできる。その特許プロセスでは本
明細書で記載されたような同様の又は類似したコンパクト化装置を用いる。この
特許プロセスを利用するとき、コンパクト化細粒は焙煎及び粉砕コーヒーと限ら
れた重量比で混合され、その後その特許プロセスに従い高密度化される。
本コーヒー製品におけるコンパクト化細粒は、改善された粒子パッキング特性
を示す。即ち、コンパクト化細粒は粒子流動性を維持しながらそれ自体と他の粒
子タイプの中でより効率的に適合する。本明細書で記載されたコンパクト化は、
おそらく鋭い粒子突出部を丸くすることにより、粒子形態に影響を与えていると
考えられる。丸くなった細粒はもっと効率的に一緒に適合し合う。大きなコーヒ
ー粒子がコンパクト力に付されても、それらは類似した形態的変化、即ち丸形化
を示す。しかしながら、細粒に対する形態的変化とは異なり、大きな粒子に対す
る変化は意外にも嵩密度にほとんど影響を与えない。改善された粒子パッキング
特性を示すのはコーヒー細粒の単なるコンパクト化ではなく、変化した粒子形態
であることに注目することが重要である。コンパクト化細粒間に空間を設けるた
めにコンパクト化細粒を軽くミキシングしても、それらの粒子パッキング特性を
減少させず、即ち粒子はなお同様の改善された粒子パッキング特性を示す。
本コーヒー製品のもう1つの意外な面は、その嵩密度とコンパクト化コーヒー
細粒フラクションとの関係である。焙煎及び粉砕コーヒー中のコーヒー細粒フラ
クションが増加するに従い、コーヒーの嵩密度が減少することは周知である。粉
砕されたコーヒー細粒が嵩密度を減少させるだけの軽い粉末であることも周知で
ある。逆に、コンパクト化コーヒー細粒フラクションが本コーヒー製品中で増加
するに従い、嵩密度は現実に増加する。
本コーヒー製品の更にもう1つの意外な面は、その嵩密度、コンパクト化細粒
のフラクションと、抽出収量の関係である。抽出収量は、コーヒー細粒フラクシ
ョンが増加して、嵩密度が減少するに従い、増加することは周知である。コーヒ
ー細粒は典型的には抽出固形分(及びひいては抽出収量)を増加させ、しかも嵩
密度減少に関与する。しかしながら、本発明のコンパクト化細粒は抽出固形分を
増加させ、しかも嵩密度を増加させる。そうするとき、例外的に高い嵩密度と抽
出収量を有する焙煎及び粉砕コーヒー製品が製造できる。
本コーヒー製品を規定する目的から、図1の等密度三元グラフで規定している
特徴は、コーヒー製品における嵩密度とコーヒー細粒のフラクションとの関係で
ある。コーヒー細粒のフラクションが増加すると、嵩密度も増加する。図1にお
いて、嵩密度は等密度線D1からDx(xは等密度線の数である)に増加してい
る。コーヒー製品におけるコーヒー細粒のフラクションも等密度線D1からDx
に増加している。これら等密度線の正確な数及び位置は、本コーヒー製品を規定
する上で重要でない。
本コーヒー製品の等密度特性は、従来の焙煎及び粉砕コーヒーの等密度特性と
著しく異なる。図3は市販13オンス焙煎及び粉砕コーヒーの等密度特性につい
て示す。逆に、図7は約25%コンパクト化細粒(コンパクト化密度0.64g/
cc)と約75%非コンパクト化焙煎及び粉砕コーヒーからなる本発明のコーヒー
製品の等密度特性について示す。本コーヒー製品の嵩密度がコンパクト化細粒の
フラクション増加に従い増加することは、図7の三元グラフからわかる。逆に、
図3グラフの嵩密度値(従来の13オンスコーヒー)はコーヒー細粒フラクショ
ン増加に従い必ずしも増加していない。
本コーヒー製品を規定する目的から、図2の抽出固形分三元グラフで規定して
いる特徴は、抽出固形分とコーヒー細粒フラクションとの関係である。コンパク
ト化細粒のフラクションが増加すると、到達しうるに抽出固形分と嵩密度も増加
する。図2において、到達しうるに抽出固形分は等抽出固形分線B1からBx(
xは等抽出固形分線の数である)に増加している。これら等抽出固形分線の正確
な数及び位置は、本コーヒー製品を規定する上で重要でない。従来の焙煎及び粉
砕コーヒー製品とは異なり、本コーヒー製品は嵩密度増加とコーヒー細粒フラク
ション増加に従い到達しうる抽出固形分の増加を示す。
例
本発明のコーヒー製品の製造は下記例で説明されている。
例1
第一バッチの焙煎コーヒー豆は、約55%のコーヒーが20メッシュU.S.
標準シーブスクリーンを通過できるようにガンプ(Gump)グラインダーで粉砕する
(典型的にはレギュラーグラインドとして記載される)。粉砕されたコーヒーの
嵩密度は約0.38g/ccである。第二バッチの焙煎コーヒー豆は、約98%のコ
ーヒーが30メッシュU.S.標準シーブスクリーンを通過できるようにガンプ
グラインダーで細かく粉砕する(典型的にはファイングラインドとして記載され
る)。細かく粉砕されたコーヒーの嵩密度は約0.35g/ccである。
細かく粉砕されたコーヒーは、シグマ(Sigma) ブレードミキシング装置を有す
るブラベンダー(Brabender) ファリノグラフでコンパクト力に付す。ファリノグ
ラフとは作業インプット及びブレード回転を測定するためにドウ形成で典型的に
用いられる分析装置である。コンパクト化後に、細粒は0.64g/ccの嵩密度を
有する。コンパクト化細粒及び非コンパクト化コーヒー(第一バッチから)を1
:3比の細粒対非コンパクト化コーヒーで一緒にミックスする。更にコンパクト
化せずに、混合物は約0.44g/ccの嵩密度を有する。等密度及び等抽出固形分
三元グラフはStandish及びYu回帰分析法によりその混合物から作成する。この方
法で要求される7つの実験測定値を得るために、嵩密度値はタンプド嵩密度とし
て常法により測定される。抽出固形分は自動ドリップコーヒーメーカーで19.
2gのコーヒー混合物から抽出された10カップのコーヒーから測定する。
得られた等密度及び等抽出固形分三元グラフは図7及び8で各々示されている
。
例2
目標密度約0.44g/ccのコーヒー製品を例1のように作る。次いでそれをコ
ンパクト力(例1で記載されたとおり)に約1分間付す。得られたコンパクト化
コーヒー製品は約0.49g/ccの嵩密度を有する。
例3
コーヒー製品を例2のように作るが、但しコンパクト化細粒は粉砕されたコー
ヒー細粒ではなくむしろコンパクト化された固形コーヒー抽出物である。得られ
たコンパクト化コーヒー製品は約0.56g/ccの嵩密度を有する。
例4
下記操作は、粒子混合物中のコンパクト化コーヒー細粒が嵩密度をコントロー
ルすることを示すように行った。逆に言えば、下記操作はコンパクト力に付され
た他のコーヒー粒子(30メッシュに残る粒子)が意外にも嵩密度にほとんど効
果を有しないことも示している。
(a)2つのコーヒー粒子フラクション、25%コーヒー細粒と75%焙煎及
び粉砕コーヒー(20メッシュU.S.標準スクリーンを通過するもの55%)
を慣用的手段で一緒にミックスする。コンパクト化せずに、その混合物は
約0.39g/ccの嵩密度を有する。次いで混合物を0.46g/ccの嵩密度までコ
ンパクト化する。コンパクト化装置及びプロセスパラメーターは例1で記載され
た場合と同様である。等密度三元グラフをこのコンパクト化製品から作成する。
グラフは図9で示されている。その等密度特性は、コーヒー細粒フラクションが
増加するに従い嵩密度値も増加するような特性である。
(b)コンパクト化混合物中における30メッシュU.S.標準シーブスクリ
ーンに残る粒子フラクションを非コンパクト化の30メッシュに残るコーヒー粒
子と置き換えた、第二の等密度三元グラフを作成する。そのグラフは図10で示
されている。その等密度特性は、図9の場合から、嵩密度値がコーヒー細粒フラ
クション増加に従いなお増加するような程度まで、未変化のままである。
(c)コーヒー細粒を非コンパクト化細粒と置き換えた、第三の等密度三元グ
ラフを作成する。そのグラフは図11で示されている。コンパクト化細粒をなく
すことにより、等密度特性は実質上変化した。嵩密度値はコーヒー細粒フラクシ
ョン増加に従いもはや必ずしも増加しない。等密度特性は、コンパクト化された
30メッシュに残る粒子をなお含有していても、(a)の場合とはそれ自体変化
している。したがって、コンパクト化された30メッシュに残る粒子の存在は嵩
密度にほとんど効果を有しなかった。むしろ、嵩密度をコントロールするのは、
コンパクト化された30メッシュを通過する粒子(コーヒー細粒)の存在である
。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
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R,KZ,LK,LV,MD,MG,MN,MW,NO
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TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ザッヘンハイム,リヒャルト ジョゼフ
アメリカ合衆国オハイオ州、ハミルトン、
ウッドリッジ、ドライブ、1431