JPH0949922A - 紫外線カットフィルタおよびランプならびに照明装置 - Google Patents

紫外線カットフィルタおよびランプならびに照明装置

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JPH0949922A
JPH0949922A JP20465095A JP20465095A JPH0949922A JP H0949922 A JPH0949922 A JP H0949922A JP 20465095 A JP20465095 A JP 20465095A JP 20465095 A JP20465095 A JP 20465095A JP H0949922 A JPH0949922 A JP H0949922A
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JP
Japan
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light
bulb
zinc oxide
lamp
film
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JP20465095A
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English (en)
Inventor
Akira Kawakatsu
晃 川勝
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長波長領域までの広い範囲の紫外線遮断(カ
ット)ができる紫外線カットフィルタおよびランプなら
びに照明装置を提供する。 【解決手段】 透明基板1(またはガラスバルブ3ある
いは制光体9、S3)の表面に酸化亜鉛を主成分としこ
れにインジウムを添加した材料で形成された紫外線遮断
(カット)被膜2を備えた紫外線カットフィルタF(ま
たはランプD、RDあるいは照明装置S)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紫外線を遮断(カッ
ト)する紫外線カットフィルタおよびガラスバルブを透
過して放射される紫外線の遮断(カット)ができるラン
プならびにランプから放射される紫外線の遮断(カッ
ト)ができる照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ビルや自動車などの窓ガラス
あるいはメガネには外部自然光中などに含まれる紫外線
を遮断(カット)するために紫外線遮断(カット)フィ
ルタが形成されているものがある。また、美術館や博物
館などにおいて美術品や陳列品の展示物は、展示物を本
来の自然色のまま見せるためおよび紫外線や赤外線によ
って展示物が劣化しないような照明が要求され、高演色
性でかつ紫外線による退色劣化のない特別なランプや照
明器具が用いられてきている。
【0003】そして、これら紫外線の遮断(カット)手
段としては、(1)ガラス組成中に紫外線を吸収する元
素を混入した紫外線カットガラスを用いる、(2)高低
異なる屈折率を有する物質からなる誘電体薄膜を交互に
複数層積層して多重干渉膜を形成する、(3)透明性を
有する紫外線の遮断作用のある薄膜を形成することなど
が知られている。これらのうちで、量産作業性、経済性
や遮断(カット)特性等を考慮すると(3)の方法がよ
く、ガラス板やランプのガラスバルブの表面に酸化亜鉛
を主体とする紫外線遮断(カット)被膜の形成やフィル
ムを被覆することが行われている。
【0004】この紫外線遮断(カット)被膜(以下、U
Vカットフィルタと称する。)としてZnO(酸化亜
鉛)からなる材料を用いることは、たとえば特開平1−
245201号公報に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記Zn
O(酸化亜鉛)被膜を形成したものは、紫外線遮断(カ
ット)の作用を有するが、その遮断(カット)領域は3
80nm以下を主体として紫外線の長波長領域での遮断
(カット)には不足で、光学機器や理化学装置において
精度低下を招いたり、メガネなどにおいては安全衛生上
に問題があったり、また、照明分野では被照射物の紫外
線劣化防止には不十分なところがあった。
【0006】そこで、本発明者は380〜400nmの
紫外線の長波長領域での遮断(カット)について試行錯
誤の結果、ZnO(酸化亜鉛)にIn(インジウム)を
添加ドープすることによってさらに効果のあることを見
出だした。
【0007】なお、ZnO(酸化亜鉛)、TiO2 (酸
化チタン)やIn2 3 (酸化インジウム)は特開昭5
1−141244号公報に記載されているように紫外線
遮断(カット)膜としては公知に属する。しかし、この
公報の場合は農業用ハウスに用いるプラスチックフィル
ムやシートに紫外線遮断(カット)被膜を形成したもの
で、特にZnO(酸化亜鉛)とIn2 3 (酸化インジ
ウム)とを混合した材料を用いる記載はなく、In2
3 (酸化インジウム)を用いる場合は安定性に乏しいと
ころから別途に保護被膜を形成する必要がある旨の記載
があり、この公報には両者を適量混合することの記載や
示唆はない。
【0008】また、ZnO(酸化亜鉛)とIn2
3 (酸化インジウム)とを混合した材料を用い透光性導
電膜(特開平4−270143号公報に記載)や断熱被
膜(特開昭58−181635号公報に記載)あるいは
配線パターン(特開昭57−23416号公報に記載)
を形成することも知られているが、これらは紫外線遮断
(カット)に対しての開示は何等なされていない。
【0009】本発明の請求項1および請求項2に記載の
発明は、長波長領域までの広い範囲の紫外線遮断(カッ
ト)ができる紫外線カットフィルタを提供することを目
的としたものである。
【0010】また、本発明の請求項3ないし請求項8に
記載の発明は、長波長領域までの広い範囲の紫外線遮断
(カット)ができるランプを提供することを目的とした
ものである。
【0011】また、本発明の請求項9および請求項10
に記載の発明は、長波長領域までの広い範囲の紫外線遮
断(カット)ができる照明装置を提供することを目的と
したものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の紫外線カットフィルタは、透明基板と、この基板の表
面に酸化亜鉛を主成分としこれにインジウムを添加した
材料で形成された被膜とを具備したことを特徴としてい
る。
【0013】上記のインジウムの添加によって、380
〜400nmの長波長領域の紫外線を多く遮断(カッ
ト)する作用を奏する。また、この被膜は導電性を持っ
た紫外線カットフィルタとして用いることができ、高周
波ノイズの遮蔽などの作用も奏する。
【0014】また、本発明の請求項2に記載の紫外線カ
ットフィルタは、酸化亜鉛に添加されるインジウム量を
In2 3 に換算して2〜12モル%の範囲としたこと
を特徴としている。
【0015】上記インジウムの添加量が2モル%を下回
ると、380〜400nmの長波長領域での紫外線の遮
断(カット)が低下し、未だ紫外線照射による支障があ
る。また、添加量が12モル%を越えると飽和状態とな
り、かつ、400nm以上の可視光領域での光透過率の
低下が起こり、発光特性を低下するなどの支障を生じ
る。
【0016】また、本発明の請求項3に記載のランプ
は、密封されたガラスバルブと、このバルブ内に封装さ
れた発光構体と、上記バルブの内外両表面のうちの少な
くとも一方の面に酸化亜鉛を主成分としこれにインジウ
ムを添加した材料で形成された紫外線カットフィルタ被
膜とを具備したことを特徴としている。
【0017】上記のインジウムの添加によって、380
〜400nmの長波長領域の紫外線を多く遮断(カッ
ト)する作用を奏し、被照射物の脆化や退色などを長期
に亘り防止できる。また、この被膜は導電性を有するの
で、ランプからの高周波ノイズの発生を抑制する作用も
有する。また、この被膜は紫外線遮断(カット)と併せ
熱線遮断(カット)の機能をも有し、ランプから放出さ
れる赤外線量を低減できる。
【0018】また、本発明の請求項4に記載のランプ
は、密封されたガラスバルブと、このバルブ内に封装さ
れた発光構体と、上記バルブの内外両表面のうちの少な
くとも一方の面側に高屈折率層および低屈折率層を交互
に重層して形成された光干渉膜と、上記光干渉膜が形成
されるバルブの表面または光干渉膜面上に酸化亜鉛を主
成分としこれにインジウムを添加した材料で形成された
紫外線カットフィルタ被膜とを具備したことを特徴とし
ている。
【0019】可視光透過赤外線反射膜や可視光反射赤外
線透過膜などの光干渉膜と協同して所定波長を透過ある
いは反射させることができ、ランプから所望波長領域の
光線のみを照射できる作用を奏する。
【0020】また、本発明の請求項5に記載のランプ
は、反射鏡と、この反射鏡内に直接または密封されたガ
ラスバルブの内部に封装された発光構体と、上記反射鏡
の前面開口部を覆うよう配設された制光体と、この制光
体の表面に酸化亜鉛を主成分としこれにインジウムを添
加した材料で形成された紫外線カットフィルタ被膜とを
具備していることを特徴としている。
【0021】前面レンズなどの制光体に紫外線カットフ
ィルタ被膜を形成することにより、ランプから発した光
線のうちレンズ外から所望波長領域の光線のみを照射さ
せることができる作用を奏する。また、この被膜は導電
性を有するので、ランプからの高周波ノイズの発生を抑
制する作用も有する。また、この被膜は紫外線遮断(カ
ット)と併せ熱線遮断(カット)の機能をも有し、たと
えばシールドビーム形ランプなどにおいて、前面ガラス
の表面に熱線遮断(カット)のために形成された酸化錫
(SnO)に変えて本フィルタ被膜を形成すればランプ
から放出される紫外線量および赤外線量を低減すること
ができる。
【0022】また、本発明の請求項6に記載のランプ
は、紫外線カットフィルタ被膜が、酸化亜鉛に添加され
るインジウム量をIn2 3 に換算して2〜12モル%
の範囲としたことを特徴としている。
【0023】上記請求項3ないし請求項5のランプにお
いて、インジウムの添加量を規制することによって、上
記請求項2に記載したと同様の作用を奏することができ
る。また、本発明の請求項7に記載のランプは、発光構
体がフィラメントであることを特徴としている。
【0024】すなわち、ランプが電球で、フィラメント
から発した光線のうちの紫外線を幅広い範囲領域におい
て、ランプから照射することを阻止できる作用を奏す
る。
【0025】また、本発明の請求項8に記載のランプ
は、発光構体が放電電極であることを特徴としている。
【0026】すなわち、ランプが蛍光ランプや高圧放電
ランプなどで、放電電極間に発生した光線のうちの紫外
線を幅広い範囲領域において、ランプから照射すること
を阻止できる作用を奏する。
【0027】また、本発明の請求項9に記載の照明装置
は、筐体と、この筐体または筐体内に配設された反射体
に取付けられたランプと、上記筐体の前面開口部を覆う
よう配設された制光体と、この制光体の表面に酸化亜鉛
を主成分としこれにインジウムを添加した材料で形成さ
れた紫外線カットフィルタ被膜とを具備していることを
特徴としている。
【0028】散光板や透光性保護板などの制光体に紫外
線カットフィルタ被膜を形成することにより、ランプか
ら発した光線のうち制光体外に所望波長領域の光線のみ
を照射させることができる作用を奏する。また、この被
膜は導電性を有するので、照明装置からの高周波ノイズ
の発生を抑制する作用も有する。また、この被膜は紫外
線遮断(カット)と併せ熱線遮断(カット)の機能をも
有し、たとえば透光性カバーの表面に被膜を形成すれば
照明装置から放出される紫外線量および赤外線量を低減
することができる。
【0029】さらに、本発明の請求項10に記載の照明
装置は、紫外線カットフィルタ被膜が、酸化亜鉛に添加
されるインジウム量をIn2 3 に換算して2〜12モ
ル%の範囲としたことを特徴としている。
【0030】上記請求項9の照明装置において、インジ
ウムの添加量を規制することによって、上記請求項2や
請求項6に記載したと同様の作用を奏することができ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照して説明する。この対象物は光学用フィルタFのほ
か、建造物や車両用の窓ガラスなどへのフィルタの形成
に適用できるが、図1では光学用の紫外線カットフィル
タFを実施例として説明する。図1(a)は正面図、図
1(b)は図1(a)中の矢視A−A線に沿って切断し
て部分の側面断面図、図2は波長と光透過率とを対比し
たグラフである。
【0032】図中1はパイレックス(商品名)ガラスか
らなる透明基板で、この基板1の表裏両面にはZnO
(酸化亜鉛)を主成分としこれにIn2 3 (酸化イン
ジウム)を混合して形成したたとえば約1000オング
ストロームの被膜厚の紫外線遮断(カット)被膜2、2
が設けられ紫外線カットフィルタFを構成している。
【0033】この紫外線遮断(カット)被膜2、2(以
下、UVカット被膜と称する。)の形成は、酢酸亜鉛
(Zn(CH3 COO)2 )とこの酢酸亜鉛(Zn(C
3 COO)2 )に対してインジウム量をIn2 3
換算して約5モル%とした硝酸インジウム(In(No
3 3 )をドープしたものをエタノール液に溶解して混
合液をつくり、この混合液中に透明基板1を浸漬して引
上げるかまたは混合液を透明基板1の両表面(片面でも
よい)に塗布して、乾燥させた後約600℃の窒素雰囲
気中で10分間焼成することによって行われる。
【0034】たとえば、UVカット被膜2の被膜厚さを
約500、約1000、約1500オングストロームで
形成したものの光透過率特性は図2に示すとうりであっ
た。図2は横軸に波長(nm)を、縦軸に光透過率
(%)が記してあり、可視光領域に入る約397nmに
おいて光透過率が50%(ZnO(酸化亜鉛)単独の被
膜では約375nmにおいて光透過率が約50%であっ
た。)となり、長波長紫外線領域での照射量の低減がで
きた。
【0035】すなわち、本発明に係わるZnO(酸化亜
鉛)にIn2 3 (酸化インジウム)を添加混合した被
膜2は、公知のZnO(酸化亜鉛)単独の被膜に対し全
体として長波長側へとシフトし、400nm付近までの
光透過率が低い(カット率が高い)とともに400nm
以上の可視光領域での光透過率が高く良好な紫外線遮断
(カット)を呈している。また、被膜2の形成に当たり
原因は不明であるが上記のような浸漬により行った場
合、400nm以上の可視光領域での光透過率が高く9
0%以上の平坦な透過特性が得られた。
【0036】また、このZnO(酸化亜鉛)にIn2
3 (酸化インジウム)を添加混合した被膜2は、導電性
を有し高周波ノイズの遮蔽を持った紫外線カットフィル
タとして用いることができる。
【0037】なお、この紫外線の長波長領域での照射量
はIn2 3 (酸化インジウム)の添加量により変り、
インジウム量がIn2 3 に換算して2モル%を下回る
と400nmにおいて光透過率が50%以下となり、長
波長紫外線領域での照射量が多く好ましくない。また、
逆にインジウム量をIn2 3 に換算して12モル%以
上添加すると飽和状態となり、かつ、400nm以上の
領域での光透過率が低下して好ましくない。
【0038】よって、In2 3 (酸化インジウム)の
添加量は、In2 3 に換算して2モル%ないし12モ
ル%の範囲がよく、用途に応じ添加量を決める必要があ
るがばらつきなどを考慮すると3ないし10モル%の範
囲が好ましかった。
【0039】なお、本発明者の実験ではZnO(酸化亜
鉛)にIn2 3 (酸化インジウム)を添加したほか、
Al2 3 (酸化アルミニウム)、B2 3 (酸化ほう
素)、SnO2 (酸化すず)などの他の種々の材料を添
加することも検討した。そして、このうちのAl2 3
(酸化アルミニウム)、B2 O(酸化ほう素)、SnO
2 (酸化すず)を添加した場合の、紫外線遮断(カッ
ト)特性はZnO(酸化亜鉛)単独とあまり変わらなか
ったり、逆に紫外線遮断(カット)特性が低下したりす
る結果で、In2 3 (酸化インジウム)を添加した場
合のみがよかった。
【0040】また、図3は本発明の第二の実施例を示す
ランプで、たとえば展示品照明用の定格が100V10
0Wの片口金形のハロゲン電球Dの一部断面正面図、図
4はガラスバルブの表面に形成したUVカットフィルタ
および光干渉膜の構成説明図である。
【0041】図中3は石英ガラスからなる外径が約11
mmの直管状をなすバルブ、4はこのバルブ3の内外両
面のうち少なくとも一方の表面、たとえば外表面上に形
成された可視光を透過し赤外線を反射する光干渉膜、2
はこの光干渉膜4の表面上に形成された上記第一の実施
例で説明したものと同じUVカット被膜2である。31
はバルブ1の端部に形成された圧潰封止部、51、51
はこの封止部31内に気密に封止されたモリブデン箔等
からなる金属箔、52、52はこの金属箔51、51の
一端に接続された内部リード線、6はバルブ3の中心軸
上に沿って配置してこの内部リード線52、52間に継
線された二重コイルのフィラメントからなる発光構体で
ある。
【0042】なお、7はバルブ3端部の封止部31を覆
って接合された口金で、この口金7には上記金属箔3
1、31の他端に接続して延在した外部リード線(図示
していない。)が接続されている。また、上記バルブ3
内にはBr(臭素)、Cl(塩素)、I(よう素)やF
(ふっ素)等の少なくとも一種のハロゲンおよびAr
(アルゴン)等の不活性ガスが封入してある。
【0043】また、上記のバルブ3の外表面上に形成さ
れた可視光透過赤外線反射をする光干渉膜4は、酸化チ
タン(TiO2 )を主成分とした高屈折率層H…と、酸
化けい素(SiO2 )を主成分とした低屈折率層L…と
を交互にたとえば21層重層して構成されたものであ
る。
【0044】この実施例において、上記光干渉膜4を形
成するには、図示しない反応容器に、Ti(チタン)の
アルコキシドを仕込み、エタノールを加えて均一に混合
した後、室温下で攪拌しながらアシル化剤またはキレー
ト化剤を添加し、加温して環流した後に保持して反応を
行った。得られた反応液に、ガラス質形成剤およびエタ
ノールを添加し、複合酸化物に換算した濃度が4.5重
量%の複合酸化物薄膜形成用組成物塗布液をつくる。
(この塗布液は、有機溶剤可溶性の無機または有機のリ
ン化合物、硼素化合物等のガラス質形成剤を含有してい
てもよい。) 次に、上記塗布液を上記バルブ1に均一な厚さに塗布す
る。すなわち、上記塗布液に上記バルブ3を浸漬し、こ
の後一定速度で上記バルブ3を引上げ、大気中400〜
900℃で10分間焼成することにより高屈折率層Hを
構成するTiO2 (酸化チタン)膜H1を形成する。
【0045】ついで、上記低屈折率層Lを形成するには
有機けい素化合物、例えばテトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テト
ラブトキシシラン、ジエトキシジイソプロポキトシラ
ン、ジクロルジメトキシシラン等のシランアルコキシド
/またはこれらの加水分解縮合体を含有する溶液を調整
する。この溶液中に上記TiO2 (酸化チタン)膜から
なる高屈折率層H1が形成されたバルブ3を浸漬し、こ
の後一定速度で引上げ、上記と同様に大気中400〜9
00℃で10分間焼成することにより低屈折率層Lを構
成するSiO2 (酸化けい素)膜L1を形成する。そし
て、この工程を複数回繰り返して、バルブ3の外表面に
複数層の高屈折率層H…と低屈折率層L…とを交互に形
成する。そして、石英ガラスからなるバルブ3の外表面
の奇数層目にはTiO2 (酸化チタン)膜からなる高屈
折率層H1〜H21を、偶数層目にはSiO2 (酸化け
い素)からなる低屈折率層L2〜L20を交互に浸漬方
式により重層して全部で例えば21層形成してある。
【0046】そして、上述の実施例と同様にZn(CH
3 COO)2 )(酢酸亜鉛)とIn(No3 3 (硝酸
インジウム)とをエタノール液に溶解した混合液中に光
干渉膜4を形成したバルブ3を浸漬して引上げるかまた
は混合液をバルブ3の最外の高屈折率層H21上に塗布
し、乾燥させた後焼成することによってUVカット被膜
2を形成する。
【0047】このような構成の電球Dを点灯すると、バ
ルブ3の中心軸上に配設したフィラメント6は発熱して
可視光とともに大量の赤外線を放射し、フィラメント6
から放射した光のうち可視光はバルブ3および光干渉膜
4ならびにUVカット被膜2を透過してバルブ3外方へ
と放射される。また、フィラメント6から放射した赤外
線は光干渉膜4で反射されてバルブ3の外方へは放射さ
れずにフィラメント6に戻り、フィラメント6を加熱し
て発光をより高くし、この結果フィラメント6からの可
視光放射が増して、発光効率を向上できる。
【0048】また、上記のUVカット被膜2は導電性を
有するので、電球Dからの高周波ノイズの発生を抑制す
る作用も有する。また、この被膜2は紫外線遮断(カッ
ト)と併せ熱線遮断(カット)の機能をも有し、電球D
から放出される赤外線量を低減できる。
【0049】また、バルブ3および光干渉膜4を透過し
た紫外線はUVカット被膜2によって遮断(カット)さ
れ、特にこのIn2 3 (酸化インジウム)を含有した
ZnO(酸化亜鉛)被膜2は400nm以下の紫外線を
もよく遮断(カット)するので紫外線総量を少なくする
ことができる。なお、In2 3 (酸化インジウム)の
添加量が12モル%以上になると飽和状態となり、か
つ、400nm以上の可視光領域での光透過率が低下
し、発光特性が下がるので12モル%以上の添加は好ま
しくない。
【0050】したがって、この電球Dはバルブ3外へ可
視光は放射するが紫外線および赤外線の放射は極めて少
なく、美術品や陳列品などの展示物を本来の自然色のま
ま見せることができるとともに展示物を紫外線や赤外線
照射に起因する脆化や退色などの早期劣化を防ぐことが
でき長期に亘り安定した光照射ができる。
【0051】また、上記第二の実施例ではガラスバルブ
3の外表面に可視光透過赤外線反射膜からなる光干渉膜
4を形成したハロゲン電球Dについて説明したが、本発
明は特に光干渉膜4を形成したハロゲン電球Dに限ら
ず、光干渉膜4を形成しない上述したIn2 3 (酸化
インジウム)を含有したZnO(酸化亜鉛)被膜2から
なるUVカット被膜2のみをガラスバルブ3の内外表面
の少なくとも一方に形成した場合にももちろん適用で
き、この場合も400nm以下の紫外線をもよく遮断
(カット)するので紫外線総量を少なくすることができ
る。
【0052】また、図5は本発明の第三の実施例を示す
反射鏡付ハロゲン電球DRで、上記図3と同一部分には
同一の符号を付してその説明は省略する。
【0053】この実施例の反射鏡付きの電球DRは、内
表面にアルミニウムなどの全光反射膜や光干渉膜からな
るダイクロイック膜などの反射面81が形成された反射
鏡8内にハロゲン電球Dが組込まれ使用される。この反
射鏡付電球DRは、反射鏡8の焦点付近にハロゲン電球
Dのフィラメント6が位置するよう、電球Dの封止部3
1を背面側に形成した収容孔82内に接着剤83などを
介して接合固定している。そして、反射鏡8の前面開口
部84にはガラスやプラスチック製などの配光制御用や
保護用のレンズなどからなる制光体9が取付けられてい
て、この制光体9の表裏表面の少なくとも一方、たとえ
ば図5では内表面側に上述したIn2 3 (酸化インジ
ウム)を含有したZnO(酸化亜鉛)被膜2からなるU
Vカット被膜2が塗布形成されている。
【0054】このような構成とすることによって、電球
Dのフィラメント6から直接に制光体9に向かう直射光
も、反射鏡8の反射膜81で反射して制光体9に向かっ
た反射光も、制光体9の内表面側に形成したUVカット
被膜2によって、400nm以上の可視光はよく透過さ
れるが、400nm以下の紫外線は遮断(カット)され
るので、制光体9の外方へ照射される紫外線総量を少な
く抑制することができる。また、この被膜は導電性を有
するので、ランプからの高周波ノイズの発生を抑制する
作用も有する。また、上記UVカット被膜2は紫外線遮
断(カット)と併せ熱線遮断(カット)の機能をも有
し、上記反射鏡付電球DRや投光用のシールドビーム形
ランプなどにおいて、制光体9を構成するレンズなどの
前面ガラスの表面に熱線遮断(カット)のために形成さ
れた酸化錫(SnO)などに変えて、本UVカット被膜
2を形成すれば電球DRから放出される紫外線量および
赤外線量を低減させることができる。
【0055】したがって、この反射鏡付電球DRも上記
第二の実施例の電球Dと同様に、被照射物である展示物
などを電球Dからの紫外線に起因する脆化や退色などの
早期劣化を防ぐことができる。因みに、ダイクロイック
膜を形成した前面レンズ9の内面に被膜厚さ1500オ
ームストロングの本発明に係わるUVカット被膜2と、
従来のZnO(酸化亜鉛)からなるUVカット被膜を形
成して、380nm以下の紫外線量を比較したところ、
本発明品は従来品に比べて紫外線量(mW/cm2 )が
約10%低下した。なお、このとき可視光(Lm)は約
1%の低下に止まった。
【0056】また、上記図6は本発明の第四の実施例を
示すたとえば投光用の照明装置Sで、筐体S1内にアル
ミニウムなどで反射面を形成した反射体S2とソケット
あるいはソケットのみが設けられていて、このソケット
に高圧水銀ランプDLや図3に示すようなハロゲン電球
Dなどが装着され、この筐体S1や反射体S2の前面開
口部にはガラス製のカバー部材などの制光体S3が取付
けられている。そして、この制光体S3の内外表面の少
なくとも一方の面、たとえば内表面には上述したIn2
3 (酸化インジウム)を含有したZnO(酸化亜鉛)
被膜2からなるUVカット被膜2が塗布形成されてい
る。
【0057】このような構成の照明装置Sも、電球Dや
DRのフィラメント6から直接に制光体S3に向かう直
射光も、反射体S2から制光体S3に向かった反射光
も、制光体S3の内表面側に形成したUVカット被膜2
によって、400nm以上の可視光はよく透過される
が、400nm以下の紫外線は遮断(カット)されるの
で、上述した実施例と同様に制光体S3の外方へ照射さ
れる紫外線総量を少なく抑制することができる。
【0058】また、このUVカット被膜2は導電性を有
するので、照明装置Sからの高周波ノイズの発生を抑制
する作用も有する。また、この被膜2は紫外線遮断(カ
ット)と併せ熱線遮断(カット)の機能をも有し、カバ
ー部材などの制光体S3の表面に形成された被膜2は、
照明装置Sから放出される紫外線量および赤外線量を低
減させることができる。
【0059】なお,本発明は上記実施例に限定されな
い。たとえば、ランプは発光構体としてフィラメントを
封入した片口金形のハロゲン電球に限らず、ハロゲンを
封入しない他の電球であってもよく、電球に限らず電球
より紫外線放射の多い蛍光ランプや高圧水銀放電ランプ
などの放電ランプにももちろん適用でき、放電ランプの
場合の発光構体は放電電極がこれに当たる。
【0060】また、ランプは図に示す片端口金形のもの
に限らず、バルブの両端に封止部および口金が形成され
る両端口金形のランプであってもよい。
【0061】また、紫外線遮断(カット)被膜はガラス
バルブの表裏両面の少なくとも一方の表面に形成してあ
ればよく、また、第二の実施例のように光干渉膜など他
の被膜が形成されるランプの場合は、同一面側に重層し
ても夫々異なる面側に形成しても、また、特に光学的や
熱処理温度などに支障がなければ下層であっても上層で
あっても差支えない。
【0062】また、被膜の形成は浸漬方法に限らず、真
空蒸着、PVD、CVD、イオンプレーティングなどの
方法によるものであってもよい。
【0063】さらに、ランプが装着して使用される照明
装置は、投光用器具に限らず、光・熱反射膜やダイクロ
イック膜などの可視光反射赤外線透過膜が形成された反
射鏡内や各種の照明器具、灯具であっても差支えない。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の請求項1お
よび請求項2に記載の構成によれば、理化学用や光学用
のフィルタに適用して測定精度の向上がはかれ、また、
建物用や車両用の窓ガラスに適用して、紫外線の長波長
領域(380〜400nm)における放射を従来より抑
制して少なくすることができ、窓辺の物品の紫外線劣化
を防ぎ、また、人体の皮膚障害防止などに貢献すること
ができる。また、このフィルタは高周波ノイズの遮蔽や
赤外線を遮断する効果をも有し、物品の熱的劣化あるい
は電波障害などの低減に役立つ。
【0065】また、請求項3に記載の構成によれば、ラ
ンプから長波長領域(380〜400nm)を含む広い
範囲の紫外線放射総量を従来より抑制して少なくするこ
とができ、被照射物の脆化や退色などの紫外線劣化を低
減することが可能な照明用のランプを提供できる。ま
た、このフィルタが紫外線抑制効果のほか、高周波ノイ
ズの遮蔽や赤外線を遮断する効果をも併せて有し、物品
の熱的劣化あるいは電波障害などの低減に役立つランプ
を提供することができる。
【0066】また、請求項4に記載の構成によれば、可
視光透過赤外線反射膜や可視光反射赤外線透過膜などの
光干渉被膜と協同して、ランプから長波長領域(380
〜400nm)を含む広い範囲の紫外線および赤外線の
放射されるのを低減でき、被照射物の脆化や退色などの
紫外線ならびに熱的な劣化を低減することが可能な照明
用のランプを提供できる。
【0067】また、請求項5に記載の構成によれば、反
射鏡付きのランプに適用して上記請求項3の記載と同様
の効果を奏する。
【0068】また、請求項6に記載の構成によれば、ラ
ンプから長波長領域(380〜400nm)を含む広い
範囲の紫外線放射総量を従来より抑制して少なくするこ
とができ、被照射物の脆化や退色などの紫外線劣化を低
減することが可能な照明用のランプを提供できる。
【0069】また、請求項7に記載の構成によれば、フ
ィラメントを備えた電球に適用して上記請求項3ないし
請求項6の記載と同様の効果を奏する。
【0070】また、請求項8に記載の構成によれば、放
電電極を備えた放電ランプに適用して上記請求項3ない
し請求項6の記載と同様の効果を奏する。
【0071】さらに、請求項9および請求項10に記載
の構成によれば、ランプを装着した筐体前面の制光体の
表面に紫外線遮断(カット)被膜を形成することによ
り、ランプから長波長領域(380〜400nm)を含
む広い範囲の紫外線放射総量を従来より抑制して少なく
することができ、被照射物の脆化や退色などの紫外線劣
化を低減することが可能な照明用装置を提供できる。さ
らにまた、上記紫外線遮断(カット)被膜は紫外線抑制
効果のほか、高周波ノイズの遮蔽や赤外線を遮断する効
果をも併せて有し、物品の熱的劣化あるいは電波障害な
どの低減に役立つ照明器具などの照明装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(a)は本発明の第一実施例を示す紫外線カ
ットフィルタの正面図、図(b)は図(a)の矢視A−
A線に沿って切断した部分の側面断面図である。
【図2】図1に示す紫外線カットフィルタの波長と光透
過率とを対比して示すグラフである。
【図3】本発明の第二実施例を示すハロゲン電球の一部
断面正面図である。
【図4】図3における要部の拡大断面図である。
【図5】本発明の第三実施例を示す反射鏡付電球の正面
断面図である。
【図6】本発明の第四実施例を示す照明装置の斜視図で
ある。
【符号の説明】
F:紫外線カットフィルタ D:電球(ランプ) DR:反射鏡付電球(ランプ) S:照明装置 1:透明基体 2:紫外線カット被膜 3:ガラスバルブ 4:光干渉膜 H…:高屈折率層 L…:低屈折率層 31:封止部 6:フィラメント(発光構体) 8:反射鏡 9、S3:制光体

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と;この基板の表面に酸化亜鉛
    を主成分としこれにインジウムを添加した材料で形成さ
    れた被膜と;を具備したことを特徴とする紫外線カット
    フィルタ。
  2. 【請求項2】 酸化亜鉛に添加されるインジウム量はI
    2 3 に換算して2〜12モル%の範囲のであること
    を特徴とする請求項1に記載の紫外線カットフィルタ。
  3. 【請求項3】 密封されたガラスバルブと;このバルブ
    内に封装された発光構体と;上記バルブの内外両表面の
    うちの少なくとも一方の面に酸化亜鉛を主成分としこれ
    にインジウムを添加した材料で形成された紫外線カット
    フィルタ被膜と;を具備したことを特徴とするランプ。
  4. 【請求項4】 密封されたガラスバルブと;このバルブ
    内に封装された発光構体と;上記バルブの内外両表面の
    うちの少なくとも一方の面側に高屈折率層および低屈折
    率層を交互に重層して形成された光干渉膜と;上記光干
    渉膜が形成されるバルブの表面または光干渉膜面上に酸
    化亜鉛を主成分としこれにインジウムを添加した材料で
    形成された紫外線カットフィルタ被膜と;を具備したこ
    とを特徴とするランプ。
  5. 【請求項5】 反射鏡と;この反射鏡内に直接または密
    封されたガラスバルブの内部に封装された発光構体と;
    上記反射鏡の前面開口部を覆うよう配設された制光体
    と;この制光体の表面に酸化亜鉛を主成分としこれにイ
    ンジウムを添加した材料で形成された紫外線カットフィ
    ルタ被膜と;を具備していることを特徴とするランプ。
  6. 【請求項6】 紫外線カットフィルタ被膜は、酸化亜鉛
    に添加されるインジウム量がIn2 3 に換算して2〜
    12モル%の範囲のであることを特徴とする請求項3な
    いし請求項5の一に記載のランプ。
  7. 【請求項7】 上記発光構体がフィラメントであること
    を特徴とする請求項3ないし請求項5の一に記載のラン
    プ。
  8. 【請求項8】 上記発光構体が放電電極であることを特
    徴とする請求項3ないし請求項5の一に記載のランプ。
  9. 【請求項9】 筐体と;この筐体または筐体内に配設さ
    れた反射体に取付けられたランプと;上記筐体の前面開
    口部を覆うよう配設された制光体と;この制光体の表面
    に酸化亜鉛を主成分としこれにインジウムを添加した材
    料で形成された紫外線カットフィルタ被膜と;を具備し
    ていることを特徴とする照明装置。
  10. 【請求項10】 紫外線カットフィルタ被膜は、酸化亜
    鉛に添加されるインジウム量がIn2 3 に換算して2
    〜12モル%の範囲のであることを特徴とする請求項9
    に記載の照明装置。
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