JP3404001B2 - 橙黄色メタルハライドランプ - Google Patents

橙黄色メタルハライドランプ

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JP3404001B2
JP3404001B2 JP2000147265A JP2000147265A JP3404001B2 JP 3404001 B2 JP3404001 B2 JP 3404001B2 JP 2000147265 A JP2000147265 A JP 2000147265A JP 2000147265 A JP2000147265 A JP 2000147265A JP 3404001 B2 JP3404001 B2 JP 3404001B2
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  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車前照灯用の
光源として用いられるメタルハライドランプに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】メタルハライドランプは、発光管内に希
ガスおよび水銀に加えて金属ハロゲン化物を封入するこ
とによって、発光効率および演色性を著しく改善し、小
型で発光量の多い放電管として、近年自動車前照灯用の
光源として用いられて注目されている。
【0003】一般にこの種メタルハライドランプ90
は、例えば図12に示すように、発光管91と、該発光
管91を包囲する透光性部材92と、自動車用前照灯
(図示は省略する)へ取り付けを行うためのソケット9
3などによって構成されている。このとき、発光管91
には内部に放電を行なわせるための空間として放電部9
4が設けられ、該放電部94内に適宜の間隔を空けて一
対の放電電極95が対峙して保持されていると共に、各
々の放電電極95にリード線96が接続されていて放電
電極95に対し外部からの給電が行なえるものとなって
いる。
【0004】そして、前記発光管91は略円筒形状の透
光性部材92によって覆われることによって、発光管9
1が外気などにより冷却されて適正な温度が保てなくな
り発光効率が低下するのを防止している。
【0005】また、発光管91内の放電部94には、キ
セノンガスなどの希ガスおよび水銀に加え、金属ハロゲ
ン化物が所定量封入されていて、放電電極95に外部か
ら給電が行なわれると、放電電極95間で放電が行なわ
れ、希ガスおよび金属ハロゲン化物が発光して4000
°Kを超える色温度の白色光で点灯し、ハロゲン電球な
どフィラメント方式の2800°K近傍の色温度のもの
に比較して優れた演色性が得られるものであり、自然光
に近い上、小型で高出力、高効率といった利点を生か
し、自動車前照灯用の光源として採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た従来のメタルハライドランプ90は、演色性に優れて
いる一方で短波長域の可視光成分が多いため、都市部や
高速道路などの交通量の多い場所で長時間人間の眼球が
この光にさらされると、短波長域の可視光成分の多さに
起因して青白くまぶしい眩惑光に感じてしまう問題があ
った。また、雪道走行時などは青白い光のため対向車に
とっても眩惑光となってしまう問題があり、こうした問
題の解決が課題とされるものとなっている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した従来の
課題を解決するための具体的手段として、少なくともヨ
ウ化ナトリウムを封入したメタルハライドランプの発光
管表面もしくは該発光管を包囲する透光性部材表面に、
光学膜厚が30〜200nmの範囲に設定された高屈折
率膜と低屈折率膜とが交互に複数層積層された層を含ん
でいて可視光域における青色短波長成分をカットし、そ
れ以外の長波長成分を透過する特性を有する光学式多層
膜を形成し、前記光学式多層膜の高屈折率膜のうち少な
くとも一層は600nm以下の波長の光を吸収する特性
を有するシリコン膜、Si(0<<1、0<
<1)膜、アモルファスシリコン膜もしくはポリシリコ
ン膜のいずれかからなる光吸収膜によって形成されてい
ることを特徴とす橙黄色メタルハライドランプを提供す
ることで課題を解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明を図に示す実施形態に
基づいて詳細に説明する。
【0009】図1は本発明に係るメタルハライドランプ
1の第一実施形態を示す断面図であり、従来例と同様に
メタルハライドランプ1は、発光管2と、該発光管2を
包囲する透光性部材3と、自動車用前照灯(図示は省略
する)へ取り付けを行うためのソケット4などによって
構成されている。このとき、発光管2には内部に放電を
行なわせるための空間として放電部5が設けられ、該放
電部5内に適宜の間隔を空けて一対の放電電極6が対峙
して保持されていると共に、各々の放電電極6にリード
線7が接続されていて放電電極6に対し外部からの給電
が行なえるものとなっている。
【0010】そして、前記発光管2は略円筒形状の透光
性部材3によって覆われることによって、発光管2が外
気などにより冷却されて適正な温度が保てなくなり発光
効率が低下するのを防止している。ここまでは従来例の
ものと同様である。
【0011】ここで、本発明においては、発光管2内の
放電部5には、キセノンガスなどの希ガスおよび水銀に
加え、金属ハロゲン化物としてヨウ化スカンジウム及び
ヨウ化ナトリウムが所定量封入されている。こうした金
属ハロゲン化物としてヨウ化スカンジウム及びヨウ化ナ
トリウムが封入されたメタルハライドランプ1の発光ス
ペクトルは、図2に示すように橙赤成分(600nm〜
750nm)のスペクトルが少ない特性を持っている。
【0012】また、本発明においては、発光管2を覆う
透光性部材3の表面には、全周にわたって光学式多層膜
8が形成されている。
【0013】図3は本発明に係る光学式多層膜8の第一
実施例の要部を示す断面図であり、透光性部材3の表面
に高屈折率膜8aと低屈折率膜8bとがそれぞれ目的と
する反射波長(以下設計波長という)λの1/4を光学
膜厚として交互に複数層積層されて構成され、放電管2
から発せれた光のうち設計波長λを中心とする波長領域
の光は、光の干渉によって反射されるようになり、この
波長領域以外の光が透過されるようになるものである。
なお、光学膜厚とはその層の物理的膜厚×屈折率の値で
ある。また、上記の成膜に当たっては、真空蒸着法、ス
パッタ法、ディップ法、イオンプレーティング法など適
宜な成膜法によって形成されるものである。
【0014】表1は、この光学式多層膜8の具体的な膜
構成を示すもので、高屈折率膜8aと低屈折率膜8bと
は、反射する光の中心波長λが350nmとなるよう
に、光学膜厚がλ/4=87.5nmに各々設定されて
いる。また、本実施例においては、高屈折率膜8aとし
て屈折率n=3.3のSi膜を用い、低屈折率膜8b
として屈折率n=1.46のSiO膜を用いてい
る。なお、表の中の層番号は透光性部材3の表面に近い
側から順番にふられており、図の符号は図3の符号に対
応している。
【表1】
【0015】ここで、透光性部材3表面に最も近い層番
号1の高屈折率膜8aの光学膜厚及び最も遠い最上層で
ある層番号7の高屈折率膜8aの光学膜厚はλ/8≒4
3.8nmとして形成されている。この構成は一般的に
LW(long wavepass)型と呼ばれ、これ
により膜全体の透過率特性の長波長側の部分をフラット
で且つ高い透過率特性とすることができる。
【0016】さらに、本実施例において高屈折率膜8a
の材料として用いたSi膜は、一般的に600nm以下
の短波長光を吸収する光吸収膜(Abs)としての特性
を有しているため、この高屈折率膜8aの材料として用
いたSi膜による短波長側の光の吸収と共に、高屈折率
膜8aとしてのSi膜と低屈折率膜8bとの多層膜によ
る光の反射とにより、600nm以下の短波長側の光の
透過を抑えることができる。
【0017】以上のような光学式多層膜8を形成するに
は、まず洗浄した透光性部材3を真空蒸着装置やプラズ
マCVD装置、スパッタ装置等の装置内に載置し、高屈
折率膜としてSi、低屈折率膜としてのSiOを蒸着
源として用いて、これらの装置によって各々周知の真空
蒸着法、プラズマCVD法、スパッタ法によって膜厚を
制御しながら交互に成膜する方法で得ることができる。
【0018】以下、本発明光学式多層膜8の具体的な成
膜方法を真空蒸着法を用いた例で説明する。
【0019】まず、洗浄した透光性部材3を真空蒸着装
置内の基板上に固定し、蒸着材料としてSiをるつぼに
載せ、装置内を真空に引いて、透光性部材3上にSi膜
を成膜する。ここで、透光性部材3を固定している基板
は、透光性部材3の円筒形状の中心軸を中心に回転する
ようになっており、透光性部材3の表面全体にむら無く
成膜できるようになっている。
【0020】このときSi膜の成膜条件は、基板温度
(透光性部材3の表面温度)を350℃、成膜速度3Å
/s、無酸素中、到達真空度1×10−4Paとして、
Si膜を透光性部材3上に成膜する。その後、このSi
膜が形成された透光性部材3に対し、同じく真空蒸着装
置内のるつぼに載せられた低屈折率膜8bとしてのSi
を蒸着させて成膜する。このときのSiOの成膜
条件は、基板温度350℃、成膜速度10Å/s、無酸
素中、到達真空度5×10−4Paとする。以後同じ条
件でSi膜とSiO膜とを交互に順番に蒸着させて積
層していく。
【0021】こうして実際に形成された光学式多層膜8
の透過率特性を示すものが図4であり、約480nm
(緑色光)の波長領域から徐々に透過し始め、黄色光、
橙色光、赤色光の波長領域になるに従って透過率は増加
している。
【0022】ここで、前記したように本発明のメタルハ
ライドランプ1においては、発光管2内の放電部5にキ
セノンガスなどの希ガスおよび水銀に加え、金属ハロゲ
ン化物としてヨウ化スカンジウム及びヨウ化ナトリウム
が所定量封入されているため、その発光スペクトルは図
2に示すように橙赤成分(600nm〜750nm)の
スペクトルが少ない特性を持っており、このメタルハラ
イドランプ1の発光スペクトル特性と上記光学式多層膜
8の透過率特性とを利用することによって、メタルハラ
イドランプ1全体として橙黄色の発光が得られるもので
ある。
【0023】図5は、こうして光学式多層膜8を成膜し
た状態のメタルハライドランプ1の発光スペクトルを示
すグラフであり、図2の成膜前の状態のメタルハライド
ランプ1の発光スペクトルと比較すると、光学式多層膜
8によって600nm以下の短波長側の光の透過が抑え
られた橙黄色の発光特性となっている。
【0024】このとき、橙黄色発光メタルハライドラン
プの光学式多層膜8の透過率特性としては、上記実施例
の480nm付近から徐々に透過し始める特性のものが
望ましいが、薄い橙黄色光、赤色がかった橙黄色光を透
過する特性のものを得たい場合には、400nm〜55
0nmの範囲内で透過し始めても良く、Si膜の光学膜
厚を30〜200nm、SiOの光学膜厚を50〜2
00nmの範囲内で適宜設定することによって得られる
ことが実験の結果確認されている。
【0025】図6は本発明に係る光学式多層膜8の第二
実施例を示す断面図であり、表2はその具体的な膜構成
を示すものである。膜材料としては第一実施例と同様に
高屈折率膜8aとして光吸収膜(Abs)である屈折率
=3.3のSiを用い、低屈折率膜8bとして屈折
率n=1.46のSiOを用いている。ここで、本
実施例においては、透光性部材3表面から最も遠い外側
の7層目の高屈折率膜8aとして金属酸化膜Mを用いて
いるものであり、金属酸化膜Mとして、n=2.1の
Taを用いている。これは、第一実施例の透光性
部材3表面が300℃以上の高温になった場合にSi膜
の酸化が起こり劣化が始まってしまい透過率特性が変わ
ってしまうため、その劣化を防止するために最も外側の
7層目に酸化の無い金属酸化膜Mを形成し保護したもの
である。
【表2】
【0026】なお、Ta膜の成膜条件としては、
透光性部材3の表面温度を350℃(常温〜500℃で
も良い)、成膜速度10Å/s(1〜10Å/sでも良
い)、O分圧0.03Pa雰囲気中(0.01〜0.
06Paでも良い)、到達真空度5×10−4Paとし
て透光性部材3上に成膜する。その他の膜の成膜条件に
ついては、上記第一実施例と同様であるのでここでは省
略する。
【0027】なお、高屈折率膜8aとしての金属酸化膜
Mとしては、上記Taのほか、TiO、ZrO
、Nb、CeO、Al等であっても良
い。
【0028】図7はこうして実際に形成された光学式多
層膜8の透過率特性を示すものであり、第一実施例と同
様に約480nm(緑色光)の波長領域から徐々に透過
し始め、黄色光、橙色光、赤色光の波長領域になるに従
って透過率は増加している。また、第一実施例の透過率
特性と比べて特に600〜700nmの範囲の橙色光の
透過率が高い膜が得られた。なお、Si膜の光学膜厚は
30〜200nm、Ta及びSiOの光学膜厚
を50〜200nmの範囲内で適宜設定することによっ
て同様の特性が得られる。
【0029】図8は本発明に係る光学式多層膜8の第三
実施例を示す断面図であり、表3はその具体的な膜構成
を示すものである。膜材料としては第一実施例、第二実
施例と同様に高屈折率膜8aとして光吸収膜(Abs)
である屈折率n=3.3のSiを用い、低屈折率膜8
bとして屈折率n=1.46のSiOを用いてい
る。ここで、本実施例においては、透光性部材3表面に
最も近い1層目と最も遠い外側の7層目の高屈折率膜8
aとして金属酸化膜Mを用いているものであり、金属酸
化膜Mとして、n=2.1のTaを用いてい
る。これにより、第二実施例よりも膜の劣化を防止する
効果を高めている。
【表3】
【0030】なお、Si膜、SiO膜、Ta
夫々の成膜条件については、第二実施例と同様であるの
でここでは省略する。また、高屈折率膜8aとしての金
属酸化膜Mとしては、第二実施例と同様にTa
ほか、TiO、ZrO、Nb、CeO、A
等であっても良い。
【0031】図9はこうして実際に形成された光学式多
層膜8の透過率特性を示すものであり、第一実施例と同
様に約480nm(緑色光)の波長領域から徐々に透過
し始め、黄色光、橙色光、赤色光の波長領域になるに従
って透過率は増加している。また、第一実施例、第二実
施例の透過率特性と比べ、さらに600〜700nmの
範囲の橙色光の透過率が高い膜を得ることができた。な
お、Si膜の光学膜厚は30〜200nm、Ta
及びSiOの光学膜厚は50〜200nmの範囲内で
適宜設定することによって同様の特性が得られる。
【0032】図10は本発明に係る光学式多層膜8の第
四実施例を示す断面図であり、表4はその具体的な膜構
成を示すものである。膜材料としては第一実施例と同様
に高屈折率膜8aとして光吸収膜(Abs)である屈折
率n=3.3のSiを用い、低屈折率膜8bとして屈
折率n=1.46のSiOを用いている。ここで、
本実施例においては、高屈折率膜8aのうち光吸収膜
(Abs)は真ん中の5層目のみとし、残りの高屈折率
膜8aは全て金属酸化膜Mを用いているものであり、金
属酸化膜Mとして、n=2.1のTaを用いて
いる。また、本実施例においては、層毎に光学膜厚を変
化させており、1層目、2層目、8層目、9層目は、光
学膜厚を150nmとし、設計波長λ=150×4=6
00nmを中心とする波長域の光を反射し、3層目、4
層目、6層目、7層目は、光学膜厚を75nmとし、設
計波長λ=75×4=300nmを中心とする波長域の
光を反射するように設定されている。
【表4】
【0033】なお、Si膜、SiO膜、Ta
夫々の成膜条件については、上記各実施例と同様である
のでここでは省略する。また、高屈折率膜8aとしての
金属酸化膜Mとしては、第二実施例と同様にTa
のほか、TiO、ZrO、Nb、CeO
Al等であっても良い。
【0034】図11はこうして実際に形成された光学式
多層膜8の透過率特性を示すものであり、他の実施例よ
りも全体としての透過率は低くなり光量は若干落ちる
が、上記のように光学膜厚を層毎に設定したことで、橙
黄色光の波長領域以外の光の透過率を抑え橙黄色の波長
領域の透過率が高い特性の膜が得られた。
【0035】なお、上記第一実施例〜第四実施例では、
光学式多層膜8の高屈折率膜8aの光吸収膜(Abs)
としてSi膜を用いたが、このSi膜に代えて屈折率n
=2.5のSi膜(0<x<1、0<y<1)
を用いても良い。
【0036】このとき、Si膜の成膜条件として
は、透光性部材3の表面温度を350℃(常温〜500
℃でも良い)、成膜速度3Å/s(1〜10Å/sでも
良い)、O分圧2×10−3Pa雰囲気中(3×10
−4〜5×10−2Paでも良い)、到達真空度1×1
−4Paとして透光性部材3上に成膜する等によって
得られる。なお、SiとOの組成比率は、x=0〜1、
y=1〜0であり、酸素分圧を上げるとOの比率yは増
え、O分圧が約1×10−2PaでSiOが成膜され
る。
【0037】こうして形成されたSi膜はSi膜
に比べて600nm以下の短波長光に対する吸収特性が
優れているため、この膜を光吸収膜(Abs)として用
いれば短波長側の光の透過率をさらに抑えて、橙黄色の
波長領域の透過率が高い光学式多層膜8を得ることがで
きる。
【0038】また、光学式多層膜8の高屈折率膜8aの
光吸収膜(Abs)としては、Si膜、Si膜以
外にもアモルファスシリコン(以下a−Siという)膜
やポリシリコン(以下poly−Siという)膜を用い
ても良い。
【0039】このときa−Si膜の成膜条件は、透光性
部材3の表面温度を350℃(常温〜500℃でも良
い)、成膜速度3Å/s(1〜10Å/sでも良い)、
水素雰囲気中3×10−4〜1×10−2Pa、到達真
空度1×10−4Paとして、a−Si膜を透光性部材
3上に成膜する。また、poly−si膜は同じ条件で
成膜したa−Si膜を透光性部材3の表面温度を700
℃に上げた状態で、大気中に4時間以上置くことによっ
て得られる。
【0040】a−Si膜やpoly−Si膜は、Si膜
やSi膜に比べ600nm以下の波長の光の吸収
特性がさらに優れているため、この膜を光吸収膜(Ab
s)として用いれば短波長側の光の透過率を抑えて、橙
黄色の波長領域の透過率が高い光学式多層膜8を得るこ
とができる。
【0041】また、前記実施例ではいずれも光吸収膜
(Abs)として、Si膜、Si 膜、a−Si
膜、poly−Si膜を用いたが、本発明はこれに限定
されず、他の光吸収膜として、600nm以下の波長の
光を吸収する特性を有する膜であれば良く、ITO膜や
ZnO膜、In、Fe等の金属酸化膜であ
っても良く、これらの膜はそれぞれ以下の条件で成膜す
ることで上記特性を有する光吸収膜となるものである。
【0042】まず、光吸収膜としてのITO膜は、基板
温度200℃(常温〜500℃の範囲内)、成膜速度5
Å/s(1〜10Å/sの範囲内)、無酸素中、到達真
空度1×10−3Paの条件で成膜することによって得
られ、ZnO膜、In膜も同じ条件によって得る
ことができる。また、Fe膜については、基板温
度200℃(常温〜500℃の範囲内)、成膜速度5Å
/s(1〜10Å/sの範囲内)、無酸素〜0.02P
a雰囲気中、到達真空度1×10−3Paの条件で成膜
することによってそれぞれ得られる。
【0043】なお、本発明の光学式多層膜8の各実施例
ではいずれも高屈折率膜8aとして用いる金属酸化膜M
の材料としてTaを用い、低屈折率膜としてSi
を用いているが、その他の金属酸化物等の材料を用
いて良く、ほぼ同様の特性が得られる。具体的に例を挙
げると、高屈折率膜としては、TiO、ZrO、Z
nS、Zi、Nb、CeO、Al
等あり、低屈折率膜としては、MgF、AlF等が
ある。
【0044】また、本実施形態では、光学式多層膜8を
発光管2を包囲する透光性部材3の表面に形成する例で
説明してきたが、発光管2の表面に直接形成しても良
い。
【0045】また、メタルハライドランプ1の封入物と
しては、ヨウ化スカンジウム及びヨウ化ナトリウムを封
入した例で説明してきたが、本発明はこれについても限
定されず、少なくともヨウ化ナトリウムが封入されてい
れば良く、ヨウ化ナトリウムとヨウ化ディスプロシウム
など他の希土類ヨウ化物との組み合わせや、ヨウ化タリ
ウム、ヨウ化インジウム等のアルカリ金属のヨウ化物と
の組み合わせであっても良い。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、少
なくともヨウ化ナトリウムを封入したメタルハライドラ
ンプの発光管表面もしくは該発光管を包囲する透光性部
材表面に、光学膜厚が30〜200nmの範囲に設定さ
れた高屈折率膜と低屈折率膜とが交互に複数層積層され
た層を含んでいて可視光域における青色短波長成分をカ
ットし、それ以外の長波長成分を透過する特性を有する
光学式多層膜を形成し、前記光学式多層膜の高屈折率膜
のうち少なくとも一層は600nm以下の波長の光を吸
収する特性を有するシリコン膜、Si(0<
1、0<<1)膜、アモルファスシリコン膜もしくは
ポリシリコン膜のいずれかからなる光吸収膜によって形
成されている橙黄色メタルハライドランプとしたこと
で、発光管内に少なくともヨウ化ナトリウムが所定量封
入されているため、その発光スペクトルは橙赤成分(6
00nm〜750nm)のスペクトルが少ない特性を持
っており、この発光スペクトル特性と光学式多層膜の透
過率特性即ち青色短波長成分をカットしそれ以外の長波
長成分を透過する特性とを利用することによって、小型
で高出力、高効率といった従来のメタルハライドランプ
特有の利点に加え、短波長域の可視光成分である青白い
光をカットして人間の眼球にも優しい橙黄色に発光する
従来にない新規のメタルハライドランプを実現するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタルハライドランプの第一実施
形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係るメタルハライドランプの光学式多
層膜成膜前の発光スペクトルを示すグラフである。
【図3】本発明に係る光学式多層膜の第一実施例を示す
断面図である。
【図4】本発明に係る光学式多層膜の第一実施例の透過
率特性を示すグラフである。
【図5】本発明に係るメタルハライドランプの光学式多
層膜成膜後の発光スペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明に係る光学式多層膜の第二実施例を示す
断面図である。
【図7】本発明に係る光学式多層膜の第二実施例の透過
率特性を示すグラフである。
【図8】本発明に係る光学式多層膜の第三実施例を示す
断面図である。
【図9】本発明に係る光学式多層膜の第三実施例の透過
率特性を示すグラフである。
【図10】本発明に係る光学式多層膜の第四実施例を示
す断面図である。
【図11】本発明に係る光学式多層膜の第四実施例の透
過率特性を示すグラフである。
【図12】従来例におけるメタルハライドランプを示す
断面図である。
【符号の説明】
1……メタルハライドランプ 2……発光管 3……透光性部材 4……ソケット 5……放電部 6……放電電極 7……リード線 8……光学式多層膜 8a……高屈折率膜 (Abs)……光吸収膜 (M)……金属酸化膜 8b……低屈折率膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平本 廣幸 神奈川県横浜市青葉区荏田西1−3−1 スタンレー電気株式会社 技術研究所 内 (56)参考文献 特開 平7−169441(JP,A) 特開 平7−307142(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 61/35 H01J 61/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともヨウ化ナトリウムを封入した
    メタルハライドランプの発光管表面もしくは該発光管を
    包囲する透光性部材表面に、光学膜厚が30〜200n
    mの範囲に設定された高屈折率膜と低屈折率膜とが交互
    に複数層積層された層を含んでいて可視光域における青
    色短波長成分をカットし、それ以外の長波長成分を透過
    する特性を有する光学式多層膜を形成し、前記光学式多
    層膜の高屈折率膜のうち少なくとも一層は600nm以
    下の波長の光を吸収する特性を有するシリコン膜、Si
    (0<<1、0<<1)膜、アモルファスシ
    リコン膜もしくはポリシリコン膜のいずれかからなる光
    吸収膜によって形成されていることを特徴とす橙黄色メ
    タルハライドランプ。
  2. 【請求項2】 少なくとも前記光学式多層膜の発光管も
    しくは透光性部材表面に最も遠い外側の層が金属酸化膜
    によって形成されていることを特徴とする請求項1記載
    の橙黄色メタルハライドランプ。
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