JP4429019B2 - ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、内部に光源を配置した光透過ランプ容器を具えたランプに関するものであり、
このランプは、可視範囲内の波長λtrでスペクトル遷移を示す光吸収媒体を具えて、
前記ランプ容器の少なくとも一部分に、干渉フィルムを設けている。
こうしたランプは、例えば(ハロゲン)ヘッドランプとして自動車用途に用いられ、このヘッドランプは、動作中に、指示器(車両信号ランプとも称する)のアンバー色光源として黄色光を発するか、あるいはブレーキランプの赤色光源として赤色光を発する。こうしたランプは、一般的な照明目的にも使用される。このランプはさらに、交通及び方向標識、輪郭照明、交通信号機、投射照明、及び光ファイバ照明に使用される。こうしたランプの代替例は、光吸収コーティングと干渉フィルムとの適切な組み合わせによって色温度が増加するランプを含む。
欧州特許EP 00204105.1 冒頭段落に記載した種類のランプは、未公開の欧州特許EP 00204105.1(PHNL000646)より既知である。既知のランプは、可視範囲内でスペクトル遷移を示す光吸収媒体を、可視スペクトルのより広い範囲にわたって比較的高い反射率を有する中性色の干渉フィルムと組み合わせて具えている。既知のランプは、透過モードで色付光を発して、オフ状態ではほぼ中性色に見える。 既知のランプの欠点は、ランプの発光出力が比較的低いことである。
本発明の目的は、上述した欠点に対抗する手段を提供することにある。本発明によれば、冒頭段落に記載した種類のランプが、この目的のために、
0.95×λtr≦λ≦1.2×λtrの波長範囲では、前記干渉フィルムの反射率Rが、0.60≦R≦0.95から0.40≦R≦0.65まで、0.2≦ΔR≦0.45なる範囲のΔRのステップで変化することを特徴とする。
波長λtrにおけるスペクトル遷移の周辺及びその上の領域内で、干渉フィルムの反射レベルを、より(少し)低いレベルまで低下させることによって、オフ状態でのランプの外見をほぼ中性色に保ちつつ、ランプの発光出力が改善される。光吸収媒体のスペクトル遷移の可視範囲内の位置が、ランプの光出力の色を規定する(例えば、アンバー色光用はλtr〜550nmであり、赤色光用はλtr〜600nmである)。λ≦λtrの波長範囲では、前記光吸収媒体が可視光の一部を吸収する。この波長範囲では、前記干渉フィルムの反射率Rが相対的に高い(λ<ほぼλtrについては、0.60≦R≦0.95)。前記光吸収媒体を透過する光の大部分は、前記干渉フィルムによって光源の向きに反射して、前記光吸収媒体を再び通過する。前記光吸収媒体は、この反射光の一部を吸収する。残りの非吸収光の一部は、前記光吸収媒体によって吸収されるか、あるいは前記干渉フィルムによって再び反射される。従って、光源から出る光は吸収層を2回以上通過し、また前記干渉フィルムによって何回も反射する。この多数回の吸収及び反射の過程の結果として、前記吸収層の厚さは、反射性の干渉フィルムなしで吸収フィルムを具えたランプに比べて、相対的に薄くすることができる。
既知のランプでは、前記光吸収媒体がもはや有効でない波長範囲(即ちλ>λtrなる波長範囲)でも、前記干渉フィルムによって光が反射する。この波長範囲では、前記光吸収媒体はもはや(ほとんど)光を吸収しない。この波長範囲での、前記干渉フィルムによる光の多数回の反射により、反射光の一部はやはり、ランプ内での吸収現象によって失われる。例えば、ランプのベース部及び他の部分(例えば光源)において、光が吸収され、かつ/あるいは失われる。こうした不所望な効果が、既知のランプの光出力にかなりの損失を生じさせる。他の欠点は、放出光の不所望な多数回の反射が、光源(例えばフィラメント)の多重像の出現を誘発し、かつ/あるいは、吸収層のみを具えたランプに比べて相対的に高いヘーズ(曇り)レベルをもたらす。
本発明によれば、前記光吸収媒体が有効な波長範囲内では、前記干渉フィルムの反射レベルが相対的に高く(λ<λtrについて0.60≦R≦0.95)、前記光吸収媒体のスペクトル遷移の(周辺及びその)上の領域では、前記干渉フィルムの反射レベルが(少し)低いレベルであり(λ>λtrについて0.40≦R≦0.65)、この領域では、前記光吸収媒体の有効性が(次第に)低下する。反射率が相対的に高い所の反射レベルと、前記光吸収媒体がもはや有効でない所の反射レベルとの間のステップΔRは、0.2≦ΔR≦0.45の範囲である。
前記光吸収媒体のスペクトル遷移より上の波長範囲(λ>λtr)では、干渉フィルムの反射レベルが相対的に低いことにより、干渉フィルムの反射率が大きく低下する。これに加えて、低い反射率における有効な反射数の減少が、散乱の寄与分の低下をもたらす。さらなる利点は、不所望な吸収現象もより低いレベルになる、ということである。
前記光吸収媒体のスペクトル遷移において尖鋭な遷移を有する(いわゆるステップフィルタ)干渉フィルムを付加することが提言されている。ここで「ステップフィルタ」とは、比較的狭い波長範囲(≦20nm)内で反射スペクトルが比較的尖鋭なスペクトル遷移(R≒100%からR≦10%まで)を示すことを意味する。このステップフィルタのスペクトル遷移の位置決めは、プロセスの変動に対して非常に敏感である。小さい変動が直ちにスペクトル遷移の移動を生じさせて、その結果、ランプがもはや法定の要求に合わなくなる。こうしたランプでは、関連するスペクトル範囲内で比較的高い反射率を有する干渉フィルムを付加することも必要であり、従って、比較的多数の光学層の積層が必要になる。こうした高い反射率値は、比較的薄い前記光吸収媒体の比較的小さい効果を十分に増強するために必要である。これに加えて、こうしたランプの前記干渉フィルム内の光学層は、ステップフィルタの高い反射率値を実現するために、少なくともほとんど無吸収性でなければならない。この設計の追加的な欠点は、ランプの位置の関数としての色変化、及びオフ状態でのランプの有色の外見であり、このことは、前記光吸収媒体が有効であるスペクトル部分における「ゼロ」反射率(R≦10%)によるものである。
本発明による干渉フィルムは、比較的少数の光学層での比較的簡単なフィルタ設計で実現することができる。これに加えて、反射率のジャンプの位置は非常に厳密ではない。
0.95×λtr≦λ≦1.1×λtrなる波長範囲で、反射率Rが0.70≦R≦0.80から0.45≦R≦0.55まで、0.2≦ΔR≦0.3なるステップΔRで変化することが好ましい。非常に適した干渉フィルムは、前記光吸収媒体が有効である波長範囲(λ<λtr)では約0.75の反射レベルを有し、前記光吸収媒体がもはや有効でない波長範囲(λ>λtr)では約0.5の反射レベルを有する。
本発明の効果を説明するために、多数回の反射のある干渉フィルムを設けた無吸収性のランプについての状況を考える。反射回数の関数としての放出光の割合は容易に計算することができる。m回の光の反射について、前記干渉フィルムを透過する光量Tは、前記干渉フィルムの反射レベルRの関数として次の公式で与えられ、この公式は当業者に知られている:
T=1−Rm+1
表1に、m回の反射後の放出光の合計割合を、上記公式に従い、干渉フィルムの反射レベルの関数として示す。

表1 干渉フィルムの反射レベルの関数としての、m回の反射後の放出光の合計割合
Figure 0004429019

表1は、従来のR=0.75の干渉フィルムについては、4回の反射後でも、76%の光しかランプを出ないことを示し、R=0.5の干渉フィルムについては、1回の反射後でも同じことが成り立つことを示す。本発明ではこの差を、前記光吸収媒体が有効である波長範囲のみに干渉フィルムの鏡面効果が存在する、という点で有利に利用している。
干渉フィルムと組み合わせたランプ内のある箇所の吸収率をAとすれば、次の公式を用いて透過光を計算することができる:
Figure 0004429019

R=0.75の干渉フィルムと組み合わせた有効吸収率Aを4%とすれば、無吸収の状況と比較した透過率は約78%である。反射率をR=0.5まで低下させれば、透過率が約89%になる。このモデルによれば、ルーメン(光束)損失は20%から約10%まで低減される。
前記干渉フィルムは、金属的な、銀色の、あるいは灰色(グレー)の外見を有することが好ましい。こうした干渉フィルムを設けたランプは、自動車用途の指示器ランプとして非常に好適に用いることができる。こうした指示器ランプが発する光の、当業者に知られている1931 C.I.E.色三角形内での色点の範囲は、法令規制によって規定されている。光吸収媒体と、ランプ容器の外表面に付加する干渉フィルムとの適切な組み合わせは、ランプの外見の変化を可能にする。このことは特に、オフ状態のランプの外見と、動作中にランプが発する光の色とを区別することを可能にする。この目的は特に、動作中に特定色を発するランプ、例えばいわゆるアンバー色または赤色のランプを提供することにあり、オフ状態では、このランプは少なくとも中性色の外見を有する。
車両には、美観上の理由で、中性色の外見を有する指示器ランプ及びブレーキランプを設けることが望ましい。ランプを動作させた際のみに、ランプが所望の色を示して、これにより、ランプが発する光の色点が法令規制に合う。さらに、車両では、アンバー色の指示器ランプを、独立した反射器内に収容する代わりに、ヘッドランプと同じ反射器(リフレクタ)内に収容する傾向がある。これに加えて、照明器具を車両に使用することが目的であり、これらの照明器具はいわゆる「クリア(透明)カバー」を設けて、即ち車外にいる観測者が照明器具内の指示器ランプまたはブレーキランプを直接見られるようにする。安全上の理由で、中性色の外見とは別に、こうした指示器ランプは、ランプに(不用意に)入射する光の反射光の着色が少なくともほとんどないことが重要である。例えば、日光あるいは対向車両から出る光が、車両の、指示器ランプを具えたヘッドランプに入射した場合には、このヘッドランプの反射による外見が少なくともほとんど無色であるか、あるいはこのランプが少なくともほどんど色を発しないべきである。さもなければ、道路の利用者を混乱させて、不安全及び/または不所望な状況を生じさせ得る。
本発明によるランプの反射のスペクトル特性は、透過のスペクトル特性とは異なる。透過においては、ランプが発する光が色点に関する法令規制に適合し、反射においては、ランプが中性色であり、ランプの外見は、例えば銀色または灰色である。本発明は特に、車両の指示器ランプまたはブレーキランプに適する。
光吸収媒体と、ランプに中性色の外見を与える干渉フィルムとの組み合わせを具えたランプを用いれば、相乗効果が達成される。これに加えて、干渉フィルムの存在は、この干渉フィルムが前記光吸収媒体用の酸素バリア(障壁)として作用する点で、光吸収媒体の安定性を増加させる。さらに、前記干渉フィルムは、例えば適切な材料の選定、適切なバンドギャップの選定(例えばTiO2)によって、あるいは前記干渉フィルムがUV光も反射することの結果として、UV(紫外)光の影響下での前記光吸収媒体の色の損失に対抗することができる。ランプのランプ容器上への、前記光吸収媒体と前記干渉フィルムとの組み合わせの接着は満足なものであり、寿命期間中に変化が全く、あるいはほとんど生じないことが、実験によって示されている。本発明によるランプの寿命期間中には、加えたコーティングの目に見える剥離は検出されない。
光吸収媒体と干渉フィルムとの組み合わせを具えて、ランプに中性色の外見を与えたランプの応用のさらなる利点は、光吸収層のスペクトル特性が、この光吸収媒体におけるスペクトル遷移の位置の変化に対して、より敏感でなくなるということである。このことは、光吸収層のスペクトル特性が、前記光吸収媒体の厚さ及び/または密度の変化に対して、より敏感でなくなることを暗に意味する。
本発明によるランプの好適例は、ランプ容器の壁面が光吸収媒体を具えていることを特徴とする。光吸収媒体は、例えば石英ガラスまたは硬質ガラスのようなガラス製、あるいは半透明のセラミック材料のランプ容器の壁面内に容易に一体化することができる。この好適例では、前記干渉フィルムは、ランプ容器の壁面の、光源から離れた側に直接付加することが好ましい。前記光吸収媒体をランプ容器及び前記干渉フィルムの壁面内に設けるので、前記干渉フィルムによって反射された光が前記光吸収媒体を2回通過して、これにより吸収プロセスの有効性がさらに改善される。これに加えて、ランプ容器の両側にある前記干渉フィルムによって反射されてこれらの間を往復する光は、反射する毎に前記光吸収媒体を2回通過する。
本発明によるランプの代案の好適例は、前記光吸収媒体が、ランプ容器と前記干渉フィルムとの間に位置する光吸収層から成ることを特徴とする。前記光吸収媒体を、ランプ容器の外表面と前記干渉フィルムとの間に配置しているので、前記干渉フィルムによって反射された光が前記光吸収媒体を2回通過して、これにより、吸収プロセスの有効性がさらに改善される。これに加えて、ランプ容器の両側にある干渉フィルムによって反射されてこれらの間を往復する光は、反射する毎に前記光吸収層を2回通過する。
前記光吸収層の厚さtabsは、5nm≦tabs≦5000nmの範囲内にあることが好ましい。前記光吸収層の厚さが5nmより小さければ、吸収がほとんど行われず、意図した色温度の移動が十分に達成されない。この層の厚さが5μmを超えれば、光が吸収され過ぎて、ランプのルーメン出力に逆効果を及ぼす。所望の層の厚さは、光吸収コーティング中のピグメント(顔料)の密度によっても実質的に増加する。
ランプの好適例は、前記光吸収媒体がアンバー色または赤色の透過性を有することを特徴とする。動作中にアンバー色光を発するランプは、車両の指示器ランプとして特に好適に用いることができる。動作中に赤色光を発するランプは、車両のブレーキランプに特に適している。
本発明によれば、選択的な光吸収層の選定は、前記光吸収媒体のスペクトル(分光)透過率の変化の急峻さが満足すべき要求によって限定される。前記選択的な光吸収層の選定は、こうした光吸収層が満足すべき熱的な要求によってさらに限定される。この熱的な要求は、前記光吸収媒体の寿命期間中の耐久性、及びランプ容器の温度変化に対する耐性を含む。
前記光吸収媒体がアンバー色の透過性を有することが好ましい。特に好適な光吸収媒体はクロモフタル・イエローであり、その化学式はC2261842であり、C.I.(Color Index:色指数)は56280である。この有機染料は、「C.I.-110イエロー・ピグメント」、「C.I.イエロー・ピグメント137」、あるいはBis[4,5,6,7-テトラクロロ-3-オキソイソインドリン-1-イリド]-1,4-フェニレンジアミンとも称する。アンバー色の透過性を有する光吸収媒体の代案はイエロー・アントラキノンであり、その化学式はC372154であり、C.I.は60645である。この有機染料は、「フィレスター・イエロー2648A」あるいは「フィレスター・イエローRN」とも称し、その化学式は1,1’-[(6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2,4ジル)ジイミノ]bis-である。
この代案の好適例では、前記光吸収媒体が赤色の透過性を有して、例えば「クロモフタル・レッドA2B」を含み、そのC.I.は65300である。この有機染料は、「ピグメント・レッド 177」、「ジアントラキノニル・レッド」、あるいは[1,1’-ビアントラセン]-9,9’,10,10’-テトロン,4,4’-ジアミノ-(TSCA,DSL)とも称する。
本発明によるランプの好適例は、前記干渉フィルムが複数の層から成り、これら複数の層が、比較的低い屈折率を有する材料の第1層と、比較的高い屈折率を有する材料の第2層とを具えて、これらの第1層と第2層とを交互に積層させることが好ましい。2つの材料の使用は、干渉フィルムの提供を簡略化する。代案の好適例では、少なくとも、前記第1層の屈折率と前記第2層の屈折率の間の屈折率を有する材料の第3層を加える。
本発明によるランプの好適例は、前記干渉フィルムの前記第1層が主に酸化シリコンから成り、前記第2層が主に、酸化シリコンの屈折率に比べて屈折率が高い材料から成ることを特徴とする。酸化シリコンの層は、種々の堆積技法を用いて容易に設けることができる。
前記干渉フィルムの前記第2層は、酸化チタニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、酸化ハフニウム、チッ化シリコン、及びこれらの材料の組み合わせから成るグループから選択した材料を含むことが好ましい。
前記干渉フィルムは、Nb2O5/SiO2型フィルム、Ta25/SiO2型フィルム、TiO2/SiO2型フィルム、ZrO2/SiO2型フィルム、あるいはこれらの混合物であることが好ましく、そして少なくとも5層、最大でも約25層から成ることが好ましい。比較的少数の層の結果として、こうした干渉フィルムの製造コストが比較的低くなる。
ランプの光源は、例えばハロゲンを含むガス中の白熱体とするか、あるいは、イオン化可能なガス中の電極対とすることができ、このイオン化可能なガスは例えば、メタルハライドを有する不活性ガスであり、バッファガスとして例えば水銀があり得る。この光源は、最内部の気密外被(エンベロープ)によって包囲することができる。あるいはまた、最外部の外被がランプ容器を包囲することも可能である。
前記干渉フィルム及び前記光吸収層は通常の方法で設けることができ、例えば蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition:物理蒸着)によって、あるいは(DC)(反応性)スパッタリングによって、あるいはディップ・コーティングまたは噴霧プロセスによって、あるいはLP−CVD(Low-Pressure Chemical Vapor Deposition:低圧化学蒸着)、PE−CVD(Plasma-Enhanced CVD:プラズマCVD)、PI−CVD(Plasma Impulse CVD:プラズマインパルスCVD)によって行う。ランプ容器の外壁上の前記光吸収層は、噴霧によって付加することが好ましい。前記光吸収媒体がランプ容器の壁面の一部を形成する場合には一般に、この媒体は、ランプ容器の製造工程中に壁面中に設ける。
本発明によるランプの、前記光吸収媒体と前記干渉フィルムとの組み合わせは、ランプの寿命全体を通して、ランプの初期の特性を保つことが判明している。
本発明のこれら及び他の態様は、以下の図面を参照した実施例の説明よりあきらかになる。これらの図面は純然たる図式的なものであり、一定寸法比で描いたものではない。明確にするために、一部の寸法は大幅に誇張してある。各図面中では、等価な構成要素には可能な限り同一の参照番号を与えている。
図1Aに、本発明によるランプの実施例の断面図を示す。このランプは、光透過性、例えばガラス製のランプ容器1を有して、ランプ容器1は密封(気密に封止)され、電気素子2を収容して、電気素子2は、この図では(螺旋形の)タングステン体であり、電流導体3に接続されて、電流導体3はランプ容器1から外部に出ている。図に示すランプは、PY21W(12V、21W)とも称され、不活性ガス、例えばAr/N2混合気体を充填され、約1bar(105Pa)の充填圧を有する。
図1Aに示すランプでは、光吸収媒体を、光吸収コーティング6の形態で、ランプ容器1の外部(ランプ容器1の壁面上)に設けて、干渉フィルム5を、この光吸収コーティング6の上に設けている(図1Bも参照)。光吸収コーティング6は、この場合には、例えば2μmの層厚の、例えばクロモフタル・イエローと称するピグメント(顔料)の層から成る。こうした光吸収媒体を設けたランプは、動作中にアンバー色の光を放出する。こうしたランプは、指示器ランプ、例えば車両の指示器として用いられ、その動作寿命は少なくともほぼ1200時間である。コーティングの代案の具体例では、光吸収コーティング6が、例えば2μmの層厚を有するクロモフタル・レッドA2Bの層から成る。こうしたクロモフタル・レッドA2Bの層を設けたランプは、動作中に赤色光を放出する。こうしたランプは、車両のブレーキランプとして用いられ、その動作寿命は少なくともほぼ1200時間である。
図1Bに示すランプの代案実施例では、ランプ容器の壁面が光吸収媒体を具えている。
図1Bは、本発明による白熱ランプの代案実施例の側面図である。このランプは、石英ガラスのランプ容器11を具えて、ランプ容器11は、白熱体を光源として収容する。電流導体13はこの光源に接続されて、ランプ容器11から外部に出ている。ランプ容器11には、ハロゲン含有ガス、例えば臭化ハロゲンを充填する。ランプ容器11の少なくとも一部は、光吸収コーティングの形態の光吸収媒体16で覆われて、光吸収媒体16は、例えばこの例では、約2μmの層厚の、(MTMSマトリクスを含む)クロモフタル・イエローまたはクロモフタル・レッドA2Bによって形成される。
図1Aでは、ランプ容器1(「基板」)の壁面に付加した光吸収媒体に干渉フィルム5を付加して、干渉フィルム5は、比較的高屈折率の材料の層と、主に酸化シリコン(平均屈折率1.46)の層とを交互に具えて、前記比較的高屈折率の層は例えば、酸化チタニウム(TiO2の平均屈折率は約2.4〜2.8)、酸化ニオビウム(Nb25の平均屈折率は約2.34)、酸化タンタル(Ta25の平均屈折率は約2.18)、あるいは酸化ジルコニウム(ZrO2の平均屈折率は約1.46)である。TiO2/SiO2、Nb25/SiO2、Ta25/SiO2、またはZrO2/SiO2の干渉フィルムは、少数の層から成ることが好ましい。
図1Bに示す例では、干渉フィルム15を光吸収媒体16に付加して、干渉フィルム15は、主に酸化ジルコニウムの層と酸化シリコンの層とを交互に具えている。ZrO2/SiO2の干渉フィルムは、少数の層のみから成ることが好ましい。
図1Bのランプ容器11は外球14内に実装されて、外球14はランプキャップ17によって支持されて、ランプキャップ17には電流導体13が電気的に接続されている。図に示すランプは60Wの幹線電圧ランプであり、少なくとも2500時間の動作寿命を有する。
この干渉フィルム15は、少なくとも5層、最大でも25層から成ることが好ましいことが、実験によって示されている。例えば、アンバー色の光吸収層にとって必要なスペクトル特性(アンバー色光用のスペクトル遷移λtr〜550nm)を有する干渉フィルムは、表2に示す18層のZrO2/SiO2層から成るフィルタ設計を有する。

表2 アンバー色の光吸収媒体のスペクトル遷移に整合する光干渉フィルムの設計
Figure 0004429019
図2Aに、アンバー色光の光吸収媒体のスペクトル遷移に整合するZrO2/SiO2干渉フィルムの反射スペクトル(R)の計算値を、波長λ(nm)の関数として示す。この干渉フィルムの設計は、表2に従ったものである。図2Aより、400nmから約550nmまでの波長範囲(アンバー色光の光吸収媒体が有効である範囲)では、前記干渉フィルムの反射率が約0.75であるのに対し、約550nm以上の(可視)波長範囲(アンバー色光の光吸収媒体がもはや有効でない範囲)では、前記干渉フィルムの反射率が約0.50(ΔR≒0.25)であることがわかる。
図2Aに示す干渉フィルムは、灰色(グレー)の外観を有する中性色に近く、その色座標はx=0.2770、y=0.3203、z=0.4027であり、これに対し(D65照明についての)白色点の色座標はx=0.3127、y=0.3291、z=0.3582である。図2Aに示す干渉フィルムは散乱レベルの低下を示し、約550nm以上の範囲(前記光吸収媒体がもはや有効でない範囲)でのルーメン損失は約50%低減されている。
代案の実施例では、前記干渉フィルムを、赤色光の光吸収層に要求されるスペクトル特性(赤色光用のスペクトル遷移λtr〜600nm)に整合するように設計する。このフィルタは、表3に示す19層のZrO2/SiO2から成る。
Figure 0004429019

表3 赤色光の光吸収媒体のスペクトル遷移に整合する光干渉フィルムの設計
図2Bに、赤色光の光吸収媒体のスペクトル遷移に整合するZrO2/SiO2干渉フィルムの反射スペクトル(R)の計算値を、波長λ(nm)の関数として示す。前記干渉フィルムの設計は、表3に従ったものである。図2Bより、400nmから約600nmまでの波長範囲(赤色光の光吸収媒体が有効である範囲)では、前記干渉フィルムの反射率が約0.75であるのに対し、約600nm以上の(可視)波長範囲(赤色光の光吸収媒体がもはや有効でない範囲)では、前記干渉フィルムの反射率が約0.50(ΔR≒0.25)であることがわかる。
図3Aに示す干渉フィルムは、灰色の外観を示す中性色に近く、その色座標はx=0.2968、y=0.3305、z=0.3726であり、これに対し(D65照明についての)白色点の色座標はx=0.3127、y=0.3291、z=0.3582である。図2Bに示す干渉フィルムは、散乱レベルの低下を示し、約550nm以上の範囲(前記光吸収媒体がもはや有効でない範囲)でのルーメン損失は約50%低減されている。
本発明の範囲内で多数の変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。
本発明の保護範囲は、本明細書に記載の例に限定されない。本発明は、新規の特徴の各々、及びこれらの特徴の組み合わせの各々について具体化することができる。「具えている」という動詞及びその活用形は、請求項中に記載した要素以外の要素の存在を排除するものではない。
本発明によるランプの実施例の断面図である。 本発明によるランプの代案実施例の側面図である。 アンバー色光の光吸収媒体のスペクトル遷移と整合する、ZrO2/SiO2干渉フィルムの反射スペクトルを波長の関数として示す図である。 赤色光の光吸収媒体のスペクトル遷移と整合する、ZrO2/SiO2干渉フィルムの反射スペクトルを波長の関数として示す図である。

Claims (12)

  1. 内部に光源を配置した光透過性のランプ容器を具えたランプであって、
    前記ランプが、可視範囲内の波長λtrにおいてスペクトル遷移を示す光吸収媒体を具えて、
    前記ランプ容器の少なくとも一部分に干渉フィルムを設けたランプにおいて、
    0.95×λtr≦λ≦1.2×λtrなる波長λの範囲では、前記干渉フィルムの反射率Rが、0.60≦R≦0.95から0.40≦R≦0.65まで、0.2≦ΔR≦0.45なるステップΔRで変化する、 ことを特徴とするランプ。
  2. 0.95×λtr≦λ≦1.1×λtrなる波長λの範囲では、前記反射率Rが、0.70≦R≦0.80から0.45≦R≦0.55まで、0.2≦ΔR≦0.3なるステップΔRで変化する、
    請求項1に記載のランプ。
  3. 前記ランプ容器の壁面が、光吸収媒体を具えている、
    請求項1または2に記載のランプ。
  4. 前記光吸収媒体が、前記ランプ容器と前記干渉フィルムとの間に位置する光吸収コーティングから成る、
    請求項1または2に記載のランプ。
  5. 前記光吸収媒体の厚さtabsが、5nm≦tabs≦5μmなる範囲内にある、
    請求項4に記載のランプ。
  6. 前記ランプが、動作中には有色光を放出して、オフ状態には少なくともほとんど中性色の外観を有する、
    請求項1または2に記載のランプ。
  7. 前記光吸収媒体が、アンバー色または赤色の透過性を有する、
    請求項1または2に記載のランプ。
  8. 前記アンバー色の透過性を有する光吸収媒体がクロモフタル・イエローであり、その化学式がC2261842であり、そのC.I.が56280であるか、あるいは、
    前記アンバー色の透過性を有する光吸収媒体が、イエロー・アントラキノンであり、その化学式がC372154であり、そのC.I.が60645である、
    請求項7に記載のランプ。
  9. 前記赤色の透過性を有する光吸収媒体がクロモフタル・レッドであり、その化学式がC281624であり、そのC.I.が65300である、
    請求項に記載のランプ。
  10. 前記干渉フィルムが複数の層から成り、前記複数の層が、比較的低い屈折率を有する材料の第1層と、比較的高い屈折率を有する材料の第2層とを具えて、前記第1層と前記第2層とを交互に積層させた、
    請求項1または2に記載のランプ。
  11. 前記干渉フィルムの前記第1層が、主に酸化シリコンから成り、前記第2層が主に、酸化シリコンの屈折率に比べて屈折率が高い材料から成る、
    特徴とする請求項10に記載のランプ。
  12. 前記干渉フィルムの前記第2層が、酸化チタニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、酸化ハフニウム、チッ化シリコン、及びこれらの材料の組み合わせから成るグループから選択した材料を含む、
    請求項11に記載のランプ。
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