JP2851659B2 - 白熱電球 - Google Patents

白熱電球

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は白熱電球に関するものである。
従来の技術 まず、従来の多層干渉膜付き白熱電球の構造について
述べる。
第5図において、石英製のガラスバルブ1内にその中
心軸に平行に2つのフィラメント2a,2bが設けられてい
る。上側のフィラメント2aには対向車側に光があたらな
いようにするために、リード線3に接続された反射鏡4
が取り付けられている。フィラメント2aの一端部はリー
ド線5に接続され、同他端部は反射鏡4に接続されてい
る。また、フィラメント2bの両端部はリード線3,6に接
続されている。リード線3,5,6はステムガラス7で一体
化されている。
ガラスバルブ1の外面には、青色の光だけを遮断し黄
色の光を透過する多層干渉膜8が形成されている。ガラ
スバルブ1の端部には口金9が取り付けられている。な
お、ガラスバルブ1の頂部外面には遮光膜10が形成され
ている。
発明が解決しようとする課題 このような多層干渉膜付き白熱電球は、多層干渉膜8
によって青色光(波長400〜500nm)を遮断して白色光を
黄色に変えている。しかし、ガラスバルブ1の両端部付
近では、フィラメント2aから放出した光は、多層干渉膜
8に入射し、この入射角度が0゜〜60゜と変化するため
に、多層干渉膜8によって遮断される波長域が変化し
て、青色光が放出されることがあった。そのため、フィ
ラメント2aから放出され、多層干渉膜8を透過する光
は、完全には黄色光とならず、白熱電球の光に色むらを
生じるという問題があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされた
もので、色むらを解消した白熱電球を提供するものであ
る。
課題を解決するための手段 本発明の白熱電球は、内部にフィラメントを設け、か
つ頂部に遮光膜が形成された片側封止形バルブの前記頂
部以外の外面に第1層として青色吸収膜よりなる単一の
層を形成し、さらに第2層として、前記第1層の上に、
青色の光を遮断し黄色の光を透過する多層干渉膜を形成
したものである。
作用 青色吸収膜は、フィラメントから放出する光が入射す
る角度にかかわらず、青色光を吸収するので、多層干渉
膜により遮断されなかった青色光も吸収されるようにな
り、白熱電球の光が黄色光となり色むらがなくなる。
実施例 第1図は本発明の一実施例である自動車ヘッドライト
用ハロゲン電球を示す。
同図において、石英製のガラスバルブ1内にその中心
軸に平行に2つのフィラメント2a,2bが設けられてい
る。上側のフィラメント2aには対向車側に光があたらな
いようにするために、リード線3に接続された反射鏡4
が取り付けられている。フィラメント2aの一端部はリー
ド線5に接続され、同他端部は反射鏡4に接続されてい
る。また、フィラメント2bの両端部はリード線3,6に接
続されている。リード線3,5,6はステムガラス7で一体
化されている。
ガラスバルブ1の外面には、第2図に示すように、シ
リカ系塗布膜により形成した青色吸収膜よりなる第1の
層8が形成されている。この第1の層の上に青色の光だ
けを遮断し黄色の光を透過する多層干渉膜よりなる第2
の層9が形成されている。ガラスバルブ1の端部には口
金10が取り付けられている。なお、ガラスバルブ1の頂
部外面には遮光膜11が形成されている。
次に、本発明の白熱電球の製造方法について説明す
る。
ガラスバルブ内にフィラメント等を設け、さらに所定
のガスを封入し、バルブ端部を封止する。次に、エチル
シリケート[Si(OC2H5]をエタノールに溶かし、
さらに分解を促進するための希塩酸を加え、かくはんし
て均質な溶液とし、その後この溶液に遷移元素の硝酸塩
を加えてかくはんし完全に溶解する。遷移元素の硝酸塩
としては硝酸鉄[Fe(NO3・6H2O]、硝酸ニッケル
[Ni(NO3・3H2O]などがあげられる。前記溶液に
ガラスバルブを浸漬し、一定速度で引き上げ、乾燥・焼
成し第1の層の青色吸収膜を形成する。そして、この第
1の層の外面に、従来の方法により多層干渉膜よりなる
第2の層を形成する。
本発明にかかる青色吸収膜は、近紫外部に大きな吸収
がある。この吸収度は、青色吸収膜を形成する遷移元素
酸化物の添加量が増すにつれて大きくなり、可視部にま
で大きく張り出している。この吸収度を制御するのは膜
厚であり、これはガラスバルブの引き上げ速度と溶液の
濃度により管理される。
石英ガラスバルブの外面に青色吸収膜よりなる第1の
層を形成し、その上に多層干渉膜からなる第2の層を形
成した膜の分光透過率曲線を第3図に曲線Aとして、従
来の多層干渉膜の分光透過率曲線を第3図曲線Bとして
それぞれ示す。第3図から明らかなように、波長500nm
以下の透過率は小さくなり、この結果、青色光がカット
され黄色光になることがわかる。
次に、本発明の白熱電球を評価した結果について述べ
る。黄色光の色に対しては、国際連合ヨーロッパ経済委
員会内陸運輸委員会(ECE)規定No.20およびJISの規格
(D5500−1984)がある。光を分光測定し、XYZ表色系に
より色度座標を計算し(Z8724−1983)、その値がECEで
は第4図に示す領域J、JISでは同図に示す領域Iまた
はIIに入らなければならない。
第4図に本発明実施例の白熱電球の色度座標を示す
(◎印)。同図中、×は従来の多層干渉膜のみ塗布して
いる白熱電球のものである。第4図から明らかなよう
に、本発明実施例の白熱電球はECEおよびJISの規格を満
足していることがわかる。
発明の効果 以上説明したように、本発明は、バルブの頂部以外の
外面に形成した第1層として形成された単一の青色吸収
膜により青色光が吸収され、そして第2層として、第1
層の上に形成された、青色の光を遮断し黄色の光を透過
する多層干渉膜により、バルブ両端部付近から放出され
る光の色むらを解消することのできる白熱電球を提供す
ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例である白熱電球の正面図、第
2図は第1図のII−II線に沿って切断した拡大断面図、
第3図は分光透過率曲線図、第4図は白熱電球の色度座
標を示す図、第5図は従来の多層干渉膜付き白熱電球の
一部切欠正面図である。 2……フィラメント、8……青色吸収膜よりなる第1の
層、9……多層干渉膜よりなる第2の層。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部にフィラメントを設け、かつ頂部に遮
    光膜が形成された片側封止形バルブの前記頂部以外の外
    面に第1層として青色吸収膜よりなる単一の層を形成
    し、さらに第2層として、前記第1層の上に、青色の光
    を遮断し黄色の光を透過する多層干渉膜を形成したこと
    を特徴とする白熱電球。
  2. 【請求項2】青色吸収膜が遷移元素酸化物を含むシリカ
    系塗布膜からなることを特徴とする請求項1記載の白熱
    電球。
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