JPH0949837A - ヒト血清アミロイドaの免疫学的測定試薬 - Google Patents
ヒト血清アミロイドaの免疫学的測定試薬Info
- Publication number
- JPH0949837A JPH0949837A JP7224825A JP22482595A JPH0949837A JP H0949837 A JPH0949837 A JP H0949837A JP 7224825 A JP7224825 A JP 7224825A JP 22482595 A JP22482595 A JP 22482595A JP H0949837 A JPH0949837 A JP H0949837A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- human serum
- saa
- serum amyloid
- rsaa
- antibody
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、炎症等のマーカーとなるヒト
血清アミロイドA(SAA)の免疫学的測定試薬を遺伝
子操作によって供給することである。 【解決手段】本発明は、SAAをコードする遺伝子を微
生物を宿主とする発現系で発現させて得られたSAAの
組み換え体(rSAA)を用いたSAAの免疫学的な測
定試薬および測定方法である。本発明におけるrSAA
は標準物質として、あるいは抗体調製用の免疫原として
用いる。 【効果】本発明は、試薬原料であるSAAを、安全かつ
安価に、安定して供給する。本発明のrSAAは、遺伝
子発現産物であるにもかかわらず天然のSAAとほぼ同
一の免疫学的性状を備えている。
血清アミロイドA(SAA)の免疫学的測定試薬を遺伝
子操作によって供給することである。 【解決手段】本発明は、SAAをコードする遺伝子を微
生物を宿主とする発現系で発現させて得られたSAAの
組み換え体(rSAA)を用いたSAAの免疫学的な測
定試薬および測定方法である。本発明におけるrSAA
は標準物質として、あるいは抗体調製用の免疫原として
用いる。 【効果】本発明は、試薬原料であるSAAを、安全かつ
安価に、安定して供給する。本発明のrSAAは、遺伝
子発現産物であるにもかかわらず天然のSAAとほぼ同
一の免疫学的性状を備えている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト血清中のアミロイ
ドA(以下、SAAと省略する)に関するものである。
具体的には、遺伝子操作によって得られるSAAの免疫
学的な分析操作への応用に関するものである。SAAは
ある種のアミロイドーシスにおいて組織に沈着するアミ
ロイド蛋白A(以下、AA蛋白と省略する)の前駆体蛋
白とされる、分子量約12000の血清蛋白である。
(J.Clin.Invest.53:1054-1061,1974)近年になって、
このSAAの血清値がアミロイドーシス以外の炎症性疾
患で上昇することが明らかにされ、鋭敏な炎症マーカー
として評価されている。(臨床検査32:2,P168,1988)S
AAの定量値を医療現場で有効に活用するには、SAA
の分析用試薬の供給が望まれる。そして試薬の供給にあ
たっては、標準や免疫測定用の抗体を作成するためのS
AAが必要となる。
ドA(以下、SAAと省略する)に関するものである。
具体的には、遺伝子操作によって得られるSAAの免疫
学的な分析操作への応用に関するものである。SAAは
ある種のアミロイドーシスにおいて組織に沈着するアミ
ロイド蛋白A(以下、AA蛋白と省略する)の前駆体蛋
白とされる、分子量約12000の血清蛋白である。
(J.Clin.Invest.53:1054-1061,1974)近年になって、
このSAAの血清値がアミロイドーシス以外の炎症性疾
患で上昇することが明らかにされ、鋭敏な炎症マーカー
として評価されている。(臨床検査32:2,P168,1988)S
AAの定量値を医療現場で有効に活用するには、SAA
の分析用試薬の供給が望まれる。そして試薬の供給にあ
たっては、標準や免疫測定用の抗体を作成するためのS
AAが必要となる。
【0002】
【従来技術の問題点】標準品や試薬の調製に必要なSA
Aは、現在ヒト血清あるいは血漿から精製している。一
般的なSAAの精製操作によれば、SAAは血清の高比
重リポ蛋白質(以下HDLと省略する)分画から精製さ
れる。SAAはHDLとの親和性が強いので、このよう
な精製方法ではSAA精製物にHDLを構成している他
の蛋白質が混入してしまう可能性を否定できない。混入
した蛋白質は免疫動物に対して免疫抗原として作用し、
結果的に非特異的な抗体の産生につながる可能性が有
る。HDLを構成している他の蛋白質は血清の中にもと
もと含まれている成分なので、これに対する抗体が試薬
に含まれているとSAAの測定を妨害する恐れが有る。
あらかじめHDL分画による吸収を行えば測定値への影
響を避けることができるが、製造工程が増えるので好ま
しくない。
Aは、現在ヒト血清あるいは血漿から精製している。一
般的なSAAの精製操作によれば、SAAは血清の高比
重リポ蛋白質(以下HDLと省略する)分画から精製さ
れる。SAAはHDLとの親和性が強いので、このよう
な精製方法ではSAA精製物にHDLを構成している他
の蛋白質が混入してしまう可能性を否定できない。混入
した蛋白質は免疫動物に対して免疫抗原として作用し、
結果的に非特異的な抗体の産生につながる可能性が有
る。HDLを構成している他の蛋白質は血清の中にもと
もと含まれている成分なので、これに対する抗体が試薬
に含まれているとSAAの測定を妨害する恐れが有る。
あらかじめHDL分画による吸収を行えば測定値への影
響を避けることができるが、製造工程が増えるので好ま
しくない。
【0003】更にヒト血液をSAAの供給原料とするこ
との最大の問題は、安定供給が困難なことである。SA
Aは炎症症状に伴って出現する血漿蛋白であるため、原
料となるヒト血液には安定した供給を望むことができな
い。このような、いわゆる希少蛋白質については、遺伝
子操作によって安定的な供給を実現することが試みられ
る。
との最大の問題は、安定供給が困難なことである。SA
Aは炎症症状に伴って出現する血漿蛋白であるため、原
料となるヒト血液には安定した供給を望むことができな
い。このような、いわゆる希少蛋白質については、遺伝
子操作によって安定的な供給を実現することが試みられ
る。
【0004】遺伝子操作によってSAAを得る試みの一
つに、インビトロ発現系の利用が知られている(Biochem
istry.24,2931-2936;1984)。インビトロ発現系において
は蛋白生産に細胞が介在しないことから、発現ベクター
と宿主の選択などを検討するまでもなく簡単に発現産物
を得ることができる。しかしこの発現系はあくまでも実
験室レベルのものであり、量的にもコスト面でも商用ベ
ースへの応用は現実的でない。
つに、インビトロ発現系の利用が知られている(Biochem
istry.24,2931-2936;1984)。インビトロ発現系において
は蛋白生産に細胞が介在しないことから、発現ベクター
と宿主の選択などを検討するまでもなく簡単に発現産物
を得ることができる。しかしこの発現系はあくまでも実
験室レベルのものであり、量的にもコスト面でも商用ベ
ースへの応用は現実的でない。
【0005】SAAについては、動物細胞を宿主として
発現させた報告(J.Biol,Chem.262/32,15790-15795, 198
7)がある。しかし動物細胞の培養は微生物の培養に比べ
て厳しい条件を要求するため、大量生産には不向きであ
る。また培養系に動物血清の添加が必須となることが多
く、培養コストの上昇につながりやすい。
発現させた報告(J.Biol,Chem.262/32,15790-15795, 198
7)がある。しかし動物細胞の培養は微生物の培養に比べ
て厳しい条件を要求するため、大量生産には不向きであ
る。また培養系に動物血清の添加が必須となることが多
く、培養コストの上昇につながりやすい。
【0006】これらの不利益を解決する手段として有望
なのが、細菌や酵母のような微生物を宿主とする発現系
である。SAA遺伝子の細菌を宿主とする発現系には、
大腸菌ファージT7プロモーターを持つベクターを基礎
とするものが知られている(Biochim.Biophysica.Acta.1
226,323-329;1994)。この報告では細菌宿主によってS
AAをコードする遺伝子の発現に成功しているが、得ら
れた発現生成物については繊維素形成という生理学的な
活性を確認しているのみである。
なのが、細菌や酵母のような微生物を宿主とする発現系
である。SAA遺伝子の細菌を宿主とする発現系には、
大腸菌ファージT7プロモーターを持つベクターを基礎
とするものが知られている(Biochim.Biophysica.Acta.1
226,323-329;1994)。この報告では細菌宿主によってS
AAをコードする遺伝子の発現に成功しているが、得ら
れた発現生成物については繊維素形成という生理学的な
活性を確認しているのみである。
【0007】微生物宿主によるSAAの発現系には、更
に重要な課題が有る。すなわち、得られる発現産物の物
性の問題である。一般に遺伝子操作によって得られる蛋
白質は、アミノ酸配列こそ目的とする蛋白質と同一とな
るものの、この分子を修飾する脂質や糖鎖については完
全な模倣は困難である。このため、各種生理活性や物理
化学的な性状に天然の蛋白質との違いが観察されること
が少なくない。SAAにおいてはいずれの発現系におい
ても、その発現生成物が物理化学的な性状の面で標準品
や試薬原料としての実用性を備えているのかどうかにつ
いて情報が無いという基本的な問題が存在する。前述の
とおり、SAAについては動物細胞による発現生成物お
いても情報が不足しているのが現状であり、遺伝子組み
換え生成物による試薬の供給については、まったく見通
しがたっていないといえる。
に重要な課題が有る。すなわち、得られる発現産物の物
性の問題である。一般に遺伝子操作によって得られる蛋
白質は、アミノ酸配列こそ目的とする蛋白質と同一とな
るものの、この分子を修飾する脂質や糖鎖については完
全な模倣は困難である。このため、各種生理活性や物理
化学的な性状に天然の蛋白質との違いが観察されること
が少なくない。SAAにおいてはいずれの発現系におい
ても、その発現生成物が物理化学的な性状の面で標準品
や試薬原料としての実用性を備えているのかどうかにつ
いて情報が無いという基本的な問題が存在する。前述の
とおり、SAAについては動物細胞による発現生成物お
いても情報が不足しているのが現状であり、遺伝子組み
換え生成物による試薬の供給については、まったく見通
しがたっていないといえる。
【0008】先に述べたとおり、SAAの定量を行うた
めには標準や免疫原としてのSAAが必要である。SA
Aの標準品には、少なくとも各種の分析操作において天
然のSAAと同じ挙動を示すことが要求される。また免
疫原としてのSAAにおいては、特異性に優れる高力価
な抗体を産生しうることが要求される。しかしSAAに
ついては、いまだに試薬原料の供給を可能とする微生物
による安定した発現系は提供されていないのである。こ
のような背景から、各種試薬原料として利用可能な物理
化学的性状を持つ新しいSAAの提供が望まれているの
である。
めには標準や免疫原としてのSAAが必要である。SA
Aの標準品には、少なくとも各種の分析操作において天
然のSAAと同じ挙動を示すことが要求される。また免
疫原としてのSAAにおいては、特異性に優れる高力価
な抗体を産生しうることが要求される。しかしSAAに
ついては、いまだに試薬原料の供給を可能とする微生物
による安定した発現系は提供されていないのである。こ
のような背景から、各種試薬原料として利用可能な物理
化学的性状を持つ新しいSAAの提供が望まれているの
である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、免疫学的な
測定を可能とするSAAの標準物質や免疫原を遺伝子操
作によって提供することを課題としている。
測定を可能とするSAAの標準物質や免疫原を遺伝子操
作によって提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、遺伝子
操作によって得られたSAAを免疫原、あるいは標準物
質として利用したSAAの免疫学的測定試薬、そして免
疫学的な測定方法によって達成される。
操作によって得られたSAAを免疫原、あるいは標準物
質として利用したSAAの免疫学的測定試薬、そして免
疫学的な測定方法によって達成される。
【0011】本発明の遺伝子操作によって得られたSA
Aは、SAAのアミノ酸配列をコードする遺伝子をクロ
ーニングし、適当な宿主−ベクター系に組み込んで発現
させることによって得たものである。宿主としては、培
養が容易なこと、形質が安定していること、そして培養
コストをできるだけ低く抑えられること等の利点を期待
できることから、微生物細胞が好ましい。微生物には酵
母や細菌が一般に利用されている。本発明においては細
菌、特に大腸菌がベクターの供給の点で有利である。一
方SAAをコードする遺伝子を組み込むベクターについ
ては、宿主に対して毒性の強い蛋白の発現に有用なpE
T21等が好ましい。これらのベクターに公知の方法(B
iochemistry 24:2931-2936,1985)でクローニングしたS
AAのアミノ酸配列をコードする遺伝子を組み込みこん
で大腸菌に導入すれば、SAAのアミノ酸配列を持つ蛋
白を発現可能である。
Aは、SAAのアミノ酸配列をコードする遺伝子をクロ
ーニングし、適当な宿主−ベクター系に組み込んで発現
させることによって得たものである。宿主としては、培
養が容易なこと、形質が安定していること、そして培養
コストをできるだけ低く抑えられること等の利点を期待
できることから、微生物細胞が好ましい。微生物には酵
母や細菌が一般に利用されている。本発明においては細
菌、特に大腸菌がベクターの供給の点で有利である。一
方SAAをコードする遺伝子を組み込むベクターについ
ては、宿主に対して毒性の強い蛋白の発現に有用なpE
T21等が好ましい。これらのベクターに公知の方法(B
iochemistry 24:2931-2936,1985)でクローニングしたS
AAのアミノ酸配列をコードする遺伝子を組み込みこん
で大腸菌に導入すれば、SAAのアミノ酸配列を持つ蛋
白を発現可能である。
【0012】培養物中に蓄積した発現産物は、必要に応
じて細胞構造を超音波処理等によって破壊し、更にグア
ニジンや尿素のような可溶化剤の助けを借りて溶解する
ことで上清として回収できる。この上清を透析し、更に
イムノアフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過、イ
オン交換クロマトグラフィー等による精製を行えば本発
明による新規なSAAを高度に純粋な形で回収すること
ができる。回収した遺伝子発現産物としてのSAA(以
下rSAAと省略する)は、当然のことながら血清から
精製したSAAと同じアミノ酸配列(配列1)を持って
いる。無論発現時にイニシエーションコドンであるATG
に対応するメチオニンがプロセシングされないでN末端
に残ることがあるが、このようなメチオニン残基の付加
は同一とみなすものとする。
じて細胞構造を超音波処理等によって破壊し、更にグア
ニジンや尿素のような可溶化剤の助けを借りて溶解する
ことで上清として回収できる。この上清を透析し、更に
イムノアフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過、イ
オン交換クロマトグラフィー等による精製を行えば本発
明による新規なSAAを高度に純粋な形で回収すること
ができる。回収した遺伝子発現産物としてのSAA(以
下rSAAと省略する)は、当然のことながら血清から
精製したSAAと同じアミノ酸配列(配列1)を持って
いる。無論発現時にイニシエーションコドンであるATG
に対応するメチオニンがプロセシングされないでN末端
に残ることがあるが、このようなメチオニン残基の付加
は同一とみなすものとする。
【0013】そして本発明のrSAAはアミノ酸配列が
同じであるのみならず、天然のSAAを免疫することに
よって得た従来の抗体と十分な反応性を備え、標準品と
して利用することができる。標準品とする時には、本発
明のrSAAを適当な界面活性剤に溶解することによっ
て濃度を調節して提供することができる。界面活性剤水
溶液とすることにより、血清中のSAA濃度を調整した
従来の標準品よりもはるかに容易に供給することが可能
なうえ、ヒト血液によって媒介される感染症のチェック
や不活化が不要な安全な組成物とすることができる。
同じであるのみならず、天然のSAAを免疫することに
よって得た従来の抗体と十分な反応性を備え、標準品と
して利用することができる。標準品とする時には、本発
明のrSAAを適当な界面活性剤に溶解することによっ
て濃度を調節して提供することができる。界面活性剤水
溶液とすることにより、血清中のSAA濃度を調整した
従来の標準品よりもはるかに容易に供給することが可能
なうえ、ヒト血液によって媒介される感染症のチェック
や不活化が不要な安全な組成物とすることができる。
【0014】ところでSAAの大部分は、血清中でHD
Lと会合した状態で存在していることが知られている。
したがって界面活性剤水溶液の状態では血清中での存在
形体と異なっていることになる。にもかかわらず、本発
明によるrSAAは、実施例で確認するとおりHDLの
有無にかかわらず天然のSAAとほぼ同等の反応性を示
す。この特徴によって、本発明は界面活性剤溶液による
標準品の提供を可能としている。同時にHDLを構成す
る他の蛋白質を実質的に含まない状態で精製することが
容易なため、免疫原として用いたときにHDLを構成す
る他の蛋白質に対する抗体を誘導する恐れが無く、特異
性の高い抗体の調製に貢献するものである。
Lと会合した状態で存在していることが知られている。
したがって界面活性剤水溶液の状態では血清中での存在
形体と異なっていることになる。にもかかわらず、本発
明によるrSAAは、実施例で確認するとおりHDLの
有無にかかわらず天然のSAAとほぼ同等の反応性を示
す。この特徴によって、本発明は界面活性剤溶液による
標準品の提供を可能としている。同時にHDLを構成す
る他の蛋白質を実質的に含まない状態で精製することが
容易なため、免疫原として用いたときにHDLを構成す
る他の蛋白質に対する抗体を誘導する恐れが無く、特異
性の高い抗体の調製に貢献するものである。
【0015】あるいはもしも血清中での存在形体と条件
を揃える必要が有れば、本発明によるrSAAを必要に
応じて精製HDLやHDLを含有する血清と混合してや
れば良い。このときのHDL、あるいはHDL含有血清
は、ヒトに由来するものでなくてもよい。すなわちウサ
ギ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、あるいはウシ等に由来するも
のであってもなんら支障は無い。動物血清を用いれば、
経済的に有利であるし、ヒト血液を材料とする場合に比
べてヒトの感染性病原体が混入する可能性も低い。
を揃える必要が有れば、本発明によるrSAAを必要に
応じて精製HDLやHDLを含有する血清と混合してや
れば良い。このときのHDL、あるいはHDL含有血清
は、ヒトに由来するものでなくてもよい。すなわちウサ
ギ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、あるいはウシ等に由来するも
のであってもなんら支障は無い。動物血清を用いれば、
経済的に有利であるし、ヒト血液を材料とする場合に比
べてヒトの感染性病原体が混入する可能性も低い。
【0016】本発明のrSAAを標準物質としてSAA
を免疫学的に測定するには、まずあらかじめ濃度のわか
っているrSAAを測定して得られる測定値を基に検量
線を用意しておく。そして同じ反応条件で濃度が未知で
ある試料の測定を行って得られる測定値を、このあらか
じめ用意した検量線にあてはめて濃度を求める。なお標
準物質とするrSAAの濃度は、公知の一次標準(特開
平4−254760)を基準として検定しておくと良
い。
を免疫学的に測定するには、まずあらかじめ濃度のわか
っているrSAAを測定して得られる測定値を基に検量
線を用意しておく。そして同じ反応条件で濃度が未知で
ある試料の測定を行って得られる測定値を、このあらか
じめ用意した検量線にあてはめて濃度を求める。なお標
準物質とするrSAAの濃度は、公知の一次標準(特開
平4−254760)を基準として検定しておくと良
い。
【0017】本発明によるrSAAは、標準品としての
利用の他、免疫原に応用した場合にも天然のSAAとほ
ぼ同様の結果を与える。したがって本発明によるrSA
Aは、自身が標準としての用途を持つのみならず、免疫
原として応用することによってSAAの免疫学的な測定
試薬のための抗体を提供するものである。こうして得ら
れる抗体は、酵素標識や固相に結合させることによって
ELISA用の試薬となり、また適当な増感剤と組合せ
ることによって免疫比濁分析(TIA)用の試薬とする
こともできる。更にラテックスのような不活性粒子担体
に感作することによって、免疫学的粒子凝集反応用試薬
とすることが可能である。
利用の他、免疫原に応用した場合にも天然のSAAとほ
ぼ同様の結果を与える。したがって本発明によるrSA
Aは、自身が標準としての用途を持つのみならず、免疫
原として応用することによってSAAの免疫学的な測定
試薬のための抗体を提供するものである。こうして得ら
れる抗体は、酵素標識や固相に結合させることによって
ELISA用の試薬となり、また適当な増感剤と組合せ
ることによって免疫比濁分析(TIA)用の試薬とする
こともできる。更にラテックスのような不活性粒子担体
に感作することによって、免疫学的粒子凝集反応用試薬
とすることが可能である。
【0018】本発明のrSAAを免疫原とするときに、
その抗原性を高めるために様々な技術を応用することが
できる。フロイントのコンプリート・アジュバント(以
下、FCAと省略する)は免疫原性を高めるために必要
な成分の一つである。このほか人型結核菌と混合して免
疫原とする、あるいは百日咳トキソイドやこれを含む3
混ワクチン等と組み合せて免疫原とする方法を併用する
のが有効である。本発明の免疫原によって、ポリクロー
ナル抗体のみならずモノクローナル抗体を提供できるこ
とは言うまでもない。
その抗原性を高めるために様々な技術を応用することが
できる。フロイントのコンプリート・アジュバント(以
下、FCAと省略する)は免疫原性を高めるために必要
な成分の一つである。このほか人型結核菌と混合して免
疫原とする、あるいは百日咳トキソイドやこれを含む3
混ワクチン等と組み合せて免疫原とする方法を併用する
のが有効である。本発明の免疫原によって、ポリクロー
ナル抗体のみならずモノクローナル抗体を提供できるこ
とは言うまでもない。
【0019】
【発明の効果】本発明によって、従来はヒト血液を原料
とせざるをえなかったSAAを、遺伝子組み換えによっ
て容易に得ることができる。遺伝子組み換え技術を採用
したことにより、安全性の高いSAAを安定して供給す
ることができる。本発明の最大の利点は、遺伝子操作に
よって得たrSAAであるのにもかかわらず、血液から
精製した天然のSAAとほぼ等しい物理化学的性状を備
えていることである。この特徴によって、本発明による
rSAAは、標準品や各種試薬原料等としての幅広い用
途に応用することが可能となったのである。しかも血清
から精製したもののようにHDLを構成している他の蛋
白質が混入する恐れが無く、免疫原として用いたときに
特異性の向上に貢献する。以下実施例により本発明を更
に詳細に説明する。
とせざるをえなかったSAAを、遺伝子組み換えによっ
て容易に得ることができる。遺伝子組み換え技術を採用
したことにより、安全性の高いSAAを安定して供給す
ることができる。本発明の最大の利点は、遺伝子操作に
よって得たrSAAであるのにもかかわらず、血液から
精製した天然のSAAとほぼ等しい物理化学的性状を備
えていることである。この特徴によって、本発明による
rSAAは、標準品や各種試薬原料等としての幅広い用
途に応用することが可能となったのである。しかも血清
から精製したもののようにHDLを構成している他の蛋
白質が混入する恐れが無く、免疫原として用いたときに
特異性の向上に貢献する。以下実施例により本発明を更
に詳細に説明する。
【0020】
1.SAA発現株の樹立 1−1.PCR用プライマーの合成 SAAをコードする遺伝子をPCR増幅するために、次
の配列を持つプライマーを固相ホスファイト法で合成し
た。なおベクターのクローニングサイトに合わせてプラ
イマーの5’側にはNdeIサイトを、同じく3’側にはBa
mHIサイトを導入してあり、それぞれの認識配列を[]で
囲んだ。 5’側プライマー: 5’−GTAGTTCAGGT[CATATG]CGAAGCTTCTTTTCGTTCCTTG−
3’ 3’側プライマー: 5’−GACA[GGATCC]GAGGAAGCTCAGTATTTCTCAG−3’
の配列を持つプライマーを固相ホスファイト法で合成し
た。なおベクターのクローニングサイトに合わせてプラ
イマーの5’側にはNdeIサイトを、同じく3’側にはBa
mHIサイトを導入してあり、それぞれの認識配列を[]で
囲んだ。 5’側プライマー: 5’−GTAGTTCAGGT[CATATG]CGAAGCTTCTTTTCGTTCCTTG−
3’ 3’側プライマー: 5’−GACA[GGATCC]GAGGAAGCTCAGTATTTCTCAG−3’
【0021】1−2.PCR増幅 SAAをコードするcDNAを増幅するために、1−1
に示したプライマーと、ヒト肝組織のcDNAライブラ
リーのテンプレートとを用いて、94℃1分、63℃1
分、72℃1分のサイクルで30サイクルPCR増幅し
た。増幅されたDNA断片は、2%アガロースゲル電気
泳動によりおよそ350bpであることが確認され、さら
に各制限酵素によるマッピングを試みたところ、公知の
ヒトSAAをコードするDNA配列(J.Biol.Chem.262:
15790-15795(1987))と一致することが確認された。
に示したプライマーと、ヒト肝組織のcDNAライブラ
リーのテンプレートとを用いて、94℃1分、63℃1
分、72℃1分のサイクルで30サイクルPCR増幅し
た。増幅されたDNA断片は、2%アガロースゲル電気
泳動によりおよそ350bpであることが確認され、さら
に各制限酵素によるマッピングを試みたところ、公知の
ヒトSAAをコードするDNA配列(J.Biol.Chem.262:
15790-15795(1987))と一致することが確認された。
【0022】1−3.ヒトSAA蛋白発現ベクターの構
築 1−2で増幅したDNA断片をNdeI、BamHI(宝酒造
製)で消化後、アンピシリン耐性遺伝子を有するプラス
ミドベクターpET21−a(+)のNdeI/BamHIサイト
に連結した。
築 1−2で増幅したDNA断片をNdeI、BamHI(宝酒造
製)で消化後、アンピシリン耐性遺伝子を有するプラス
ミドベクターpET21−a(+)のNdeI/BamHIサイト
に連結した。
【0023】1−4.発現株の樹立 得られたプラスミドベクターを、塩化ルビジウム法によ
りコンピテント化した大腸菌BL21(DE3)pLy
sS に導入し形質転換させた。アンピシリン(125
μg/ml)を含むLB寒天培地に培養することにより形質
転換された菌を選択後、プラスミドを精製しpET21
よりも高分子量のプラスミドを持つ菌株を選別し、さら
に抗SAA抗体と反応する分子量12000の蛋白を発
現する株を選択した。発現蛋白のアミノ酸配列を調べ、
公知のSAA1−αのN末に開始コドン由来のメチオニ
ンが1残基付加された配列番号1に示す配列を持つこと
を確認した。発現樹立株(PET−SAA1−BL2
1)は、特許寄託センターに受託番号FERM P−1
4778として寄託されている。なお本明細書において
は次のようなアミノ酸の略号を利用する。 アラニン A or Ala アルギニン R or Arg アスパラギン N or Asn アスパラギン酸 D or Asp システイン C or Cys グルタミン Q or Gln グルタミン酸 E or Glu グリシン G or Gly ヒスチジン H or His イソロイシン I or Ile ロイシン L or Leu リジン K or Lys メチオニン M or Met フェニルアラニン F or Phe プロリン P or Pro セリン S or Ser トレオニン T or Thr トリプトファン W or Trp チロシン Y or Tyr バリン V or Val
りコンピテント化した大腸菌BL21(DE3)pLy
sS に導入し形質転換させた。アンピシリン(125
μg/ml)を含むLB寒天培地に培養することにより形質
転換された菌を選択後、プラスミドを精製しpET21
よりも高分子量のプラスミドを持つ菌株を選別し、さら
に抗SAA抗体と反応する分子量12000の蛋白を発
現する株を選択した。発現蛋白のアミノ酸配列を調べ、
公知のSAA1−αのN末に開始コドン由来のメチオニ
ンが1残基付加された配列番号1に示す配列を持つこと
を確認した。発現樹立株(PET−SAA1−BL2
1)は、特許寄託センターに受託番号FERM P−1
4778として寄託されている。なお本明細書において
は次のようなアミノ酸の略号を利用する。 アラニン A or Ala アルギニン R or Arg アスパラギン N or Asn アスパラギン酸 D or Asp システイン C or Cys グルタミン Q or Gln グルタミン酸 E or Glu グリシン G or Gly ヒスチジン H or His イソロイシン I or Ile ロイシン L or Leu リジン K or Lys メチオニン M or Met フェニルアラニン F or Phe プロリン P or Pro セリン S or Ser トレオニン T or Thr トリプトファン W or Trp チロシン Y or Tyr バリン V or Val
【0024】ここで用いたpET21はT7ファージプ
ロモーターを含む形質転換用ベクターで、宿主大腸菌に
より供給されるT7RNAポリメラーゼにより組み込ん
だ遺伝子の転写が開始される。T7RNAポリメラーゼ
遺伝子は、 Isopropyl β-D-thiogalactopyranoside
(IPTG)を培養液に添加することで初めて誘導され
るので、遺伝子の転写をIPTGにより制御することが
できる。SAAのように難溶性の物質の発現は宿主に対
して毒性を示すため一般的には十分な発現量を期待でき
ないが、このように遺伝子の転写をコントロールすれば
菌体量が十分に増えた段階で発現を誘導できるので結果
として発現産物が増加する。
ロモーターを含む形質転換用ベクターで、宿主大腸菌に
より供給されるT7RNAポリメラーゼにより組み込ん
だ遺伝子の転写が開始される。T7RNAポリメラーゼ
遺伝子は、 Isopropyl β-D-thiogalactopyranoside
(IPTG)を培養液に添加することで初めて誘導され
るので、遺伝子の転写をIPTGにより制御することが
できる。SAAのように難溶性の物質の発現は宿主に対
して毒性を示すため一般的には十分な発現量を期待でき
ないが、このように遺伝子の転写をコントロールすれば
菌体量が十分に増えた段階で発現を誘導できるので結果
として発現産物が増加する。
【0025】1−5.rSAAの発現 1−4で得た大腸菌PET−SAA1−BL21株をカ
ルベニシリン(500μg/ml)を含む300mlのLB培
地に接種し37℃で培養した。600nmにおける吸光
度が0.6〜0.9の時点で、1mMとなるようにIP
TGを加えてさらに30分後、200μg/mlになるよう
にリファンピシンを加え、3時間から6時間培養後、遠
心により沈殿物として回収した。またリファンピシン添
加により、発現SAAが宿主に及ぼす溶菌作用を押さえ
ることができ、リファンピシン無添加に比べ回収量は著
しく増大している。
ルベニシリン(500μg/ml)を含む300mlのLB培
地に接種し37℃で培養した。600nmにおける吸光
度が0.6〜0.9の時点で、1mMとなるようにIP
TGを加えてさらに30分後、200μg/mlになるよう
にリファンピシンを加え、3時間から6時間培養後、遠
心により沈殿物として回収した。またリファンピシン添
加により、発現SAAが宿主に及ぼす溶菌作用を押さえ
ることができ、リファンピシン無添加に比べ回収量は著
しく増大している。
【0026】1−6.精製 沈殿物をグアニジン緩衝液(4M塩酸グアニジン、0.
025mMトリス−塩酸、pH8.6)に分散後超音波処
理により菌体の破砕とrSAAの可溶化を行った。可溶
化したサンプルはアフィニティーバッファー(0.5M
NaCl、2mMEDTA、0.01M トリス塩酸・
pH8.2、0.1% Tween20)に透析し、遠
心分離により上清を分取後、抗SAA抗体を吸着させた
セファロース4Bアフィニティーカラムに通し吸着後、
溶出緩衝液(0.5M NaCl、2mM EDTA、
0.01M トリス塩酸・pH8.2、0.1% Twe
en20、3M KSCN)で溶出させ、溶出分画をグ
アニジン緩衝液で透析後Sephacryl S−300カラムに
アプライし分子量の違いで分離した。分離した分画につ
いてディスク電気泳動を行ったところほぼ純粋な状態で
分離されていることが確認された。最終的に、300ml
の培養物からおよそ2mgのrSAAを回収した。
025mMトリス−塩酸、pH8.6)に分散後超音波処
理により菌体の破砕とrSAAの可溶化を行った。可溶
化したサンプルはアフィニティーバッファー(0.5M
NaCl、2mMEDTA、0.01M トリス塩酸・
pH8.2、0.1% Tween20)に透析し、遠
心分離により上清を分取後、抗SAA抗体を吸着させた
セファロース4Bアフィニティーカラムに通し吸着後、
溶出緩衝液(0.5M NaCl、2mM EDTA、
0.01M トリス塩酸・pH8.2、0.1% Twe
en20、3M KSCN)で溶出させ、溶出分画をグ
アニジン緩衝液で透析後Sephacryl S−300カラムに
アプライし分子量の違いで分離した。分離した分画につ
いてディスク電気泳動を行ったところほぼ純粋な状態で
分離されていることが確認された。最終的に、300ml
の培養物からおよそ2mgのrSAAを回収した。
【0027】2.抗体 1で得たrSAA(2mg/ml生理食塩水)をヒト型結核
死菌4mg/mlを加えたFCAと等量混合し、じゅうぶん
に乳化させた後に1mlを家兎の四肢に免疫した。同時に
百日咳ワクチンを後足基部に筋注した。免疫は2週間ご
とに行った。4ヶ月後に一部採血して得られる抗血清に
ついて、rSAAに対する反応性をオクテロニー法によ
って確認した。高い抗体価が確認された個体の抗血清を
40%硫安分画してIgGを回収し、PBSに対して透
析し本発明による抗SAA抗体(10mg/ml)を得た。
死菌4mg/mlを加えたFCAと等量混合し、じゅうぶん
に乳化させた後に1mlを家兎の四肢に免疫した。同時に
百日咳ワクチンを後足基部に筋注した。免疫は2週間ご
とに行った。4ヶ月後に一部採血して得られる抗血清に
ついて、rSAAに対する反応性をオクテロニー法によ
って確認した。高い抗体価が確認された個体の抗血清を
40%硫安分画してIgGを回収し、PBSに対して透
析し本発明による抗SAA抗体(10mg/ml)を得た。
【0028】3.抗体による試薬の調製 2で得た抗SAA抗体(10mg/ml)をポリスチレンラ
テックス(平均粒径0.109μm)に37℃で1時間
物理吸着させた後、0.1MのHEPES緩衝液で洗浄
し、最終的にラテックス濃度0.4%となるように分散
媒(1%BSAを含む0.1MのHEPES緩衝液、pH
7.4)に懸濁させてSAAラテックス凝集反応用試薬
(以下単に乳液と呼ぶ)を得た。比較のため、HDL分
画から公知の方法により精製したSAAで免疫して得ら
れた従来の抗SAA抗体(特開平4−254760)に
ついても同じ操作によって試薬(乳液B)を調製した。
テックス(平均粒径0.109μm)に37℃で1時間
物理吸着させた後、0.1MのHEPES緩衝液で洗浄
し、最終的にラテックス濃度0.4%となるように分散
媒(1%BSAを含む0.1MのHEPES緩衝液、pH
7.4)に懸濁させてSAAラテックス凝集反応用試薬
(以下単に乳液と呼ぶ)を得た。比較のため、HDL分
画から公知の方法により精製したSAAで免疫して得ら
れた従来の抗SAA抗体(特開平4−254760)に
ついても同じ操作によって試薬(乳液B)を調製した。
【0029】4.試薬と各種SAAとの反応性 3で得た乳液Aと乳液Bを、各種SAAと混合して反応
性を比較した。SAAとしては、SAA濃度既知のヒト
血清、このヒト血清と同じSAA濃度としたヒト血清か
ら精製したSAA(正常血清で希釈)、そして本発明の
rSAA(正常血清で希釈)を用意した。操作は次のと
おりである。試料50μlに試薬を300μl加えて37
℃で約3分間反応させた。この間の免疫学的凝集反応に
基づく585nmにおける吸光度変化量を測定した。
性を比較した。SAAとしては、SAA濃度既知のヒト
血清、このヒト血清と同じSAA濃度としたヒト血清か
ら精製したSAA(正常血清で希釈)、そして本発明の
rSAA(正常血清で希釈)を用意した。操作は次のと
おりである。試料50μlに試薬を300μl加えて37
℃で約3分間反応させた。この間の免疫学的凝集反応に
基づく585nmにおける吸光度変化量を測定した。
【0030】その結果、乳液Aに対する各種SAAの反
応性はほぼ同一であり、本発明によるrSAAを原料と
する免疫学的測定試薬が天然のSAAに対しても同じ様
に反応していることが確認された。一方従来の方法によ
って得られた乳液Bに対しても、ほぼ同じ測定値を得る
ことができ従来の技術で得られた試薬に対して本発明の
rSAAが天然のSAAと同じ反応性を示すことを確認
した。
応性はほぼ同一であり、本発明によるrSAAを原料と
する免疫学的測定試薬が天然のSAAに対しても同じ様
に反応していることが確認された。一方従来の方法によ
って得られた乳液Bに対しても、ほぼ同じ測定値を得る
ことができ従来の技術で得られた試薬に対して本発明の
rSAAが天然のSAAと同じ反応性を示すことを確認
した。
【0031】5.rSAAによる標準品 本発明のrSAAを血清ではなく界面活性剤溶液とし、
標準品として利用できることを確認した。本発明のrS
AAを0.002%の非イオン系界面活性剤ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル(旭電化工業製「アデカトー
ルSO−145」、商品名)を含むHEPES緩衝液に
溶解した。同じ緩衝液で段階希釈したものを試料とし、
先に調製した乳液A、ならびに乳液Bとの反応性を観察
した。対照として同じSAA濃度を持つ血清、およびr
SAAを正常ヒト血清に添加したものを用いた。結果は
図1−4に示した。本発明によるrSAAと血清、ある
いはrSAAを血清に添加したものでは、傾きが若干相
違するもののパラレルな反応性を示すことが確認され
た。希釈曲線が異なる形を示す場合には標準とすること
が困難であるが、傾きの相違は標準品としての性能には
影響しない。したがって本発明のrSAAが標準品とし
て有用であることが立証された。
標準品として利用できることを確認した。本発明のrS
AAを0.002%の非イオン系界面活性剤ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル(旭電化工業製「アデカトー
ルSO−145」、商品名)を含むHEPES緩衝液に
溶解した。同じ緩衝液で段階希釈したものを試料とし、
先に調製した乳液A、ならびに乳液Bとの反応性を観察
した。対照として同じSAA濃度を持つ血清、およびr
SAAを正常ヒト血清に添加したものを用いた。結果は
図1−4に示した。本発明によるrSAAと血清、ある
いはrSAAを血清に添加したものでは、傾きが若干相
違するもののパラレルな反応性を示すことが確認され
た。希釈曲線が異なる形を示す場合には標準とすること
が困難であるが、傾きの相違は標準品としての性能には
影響しない。したがって本発明のrSAAが標準品とし
て有用であることが立証された。
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:105 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源:ヒト 他の情報:ヒト血清アミロイドA 配列 Met Arg Ser Phe Phe Ser Phe Leu Gly Glu Ala Phe Asp Gly Ala 1 5 10 15 Arg Asp Met Trp Arg Ala Tyr Ser Asp Met Arg Glu Ala Asn Tyr 20 25 30 Ile Gly Ser Asp Lys Tyr Phe His Ala Arg Gly Asn Tyr Asp Ala 35 40 45 Ala Lys Arg Gly Pro Gly Gly Val Trp Ala Ala Glu Ala Ile Ser 50 55 60 Asp Ala Arg Glu Asn Ile Gln Arg Phe Phe Gly His Gly Ala Glu 65 70 75 Asp Ser Leu Ala Asp Gln Ala Ala Asn Glu Trp Gly Arg Ser Gly 80 85 90 Lys Asp Pro Asn His Phe Arg Pro Ala Gly Leu Pro Glu Lys Tyr 95 100 105
【図1】乳液Aによって得た標準曲線。●はrSAA添
加正常ヒト血清、○はSAA含有ヒト血清による標準で
ある。図中、縦軸は660nmにおける散乱光変化量、横
軸はSAA濃度(μg/ml)を示す。
加正常ヒト血清、○はSAA含有ヒト血清による標準で
ある。図中、縦軸は660nmにおける散乱光変化量、横
軸はSAA濃度(μg/ml)を示す。
【図2】乳液Aによって得た標準曲線。●はrSAA界
面活性剤溶液、○はSAA含有ヒト血清による標準であ
る。図中、縦軸は660nmにおける散乱光変化量、横軸
はSAA濃度(μg/ml)を示す。
面活性剤溶液、○はSAA含有ヒト血清による標準であ
る。図中、縦軸は660nmにおける散乱光変化量、横軸
はSAA濃度(μg/ml)を示す。
【図3】乳液Bによって得た標準曲線。●はrSAA添
加正常ヒト血清、○はSAA含有ヒト血清による標準で
ある。図中、縦軸は660nmにおける散乱光変化量、横
軸はSAA濃度(μg/ml)を示す。
加正常ヒト血清、○はSAA含有ヒト血清による標準で
ある。図中、縦軸は660nmにおける散乱光変化量、横
軸はSAA濃度(μg/ml)を示す。
【図4】乳液Bによって得た標準曲線。●はrSAA界
面活性剤溶液、○はSAA含有ヒト血清による標準であ
る。図中、縦軸は660nmにおける散乱光変化量、横軸
はSAA濃度(μg/ml)を示す。
面活性剤溶液、○はSAA含有ヒト血清による標準であ
る。図中、縦軸は660nmにおける散乱光変化量、横軸
はSAA濃度(μg/ml)を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)
Claims (15)
- 【請求項1】抗体として、遺伝子組み換えによって得ら
れたヒト血清アミロイドAを免疫原に用いて調製した抗
体を含む、ヒト血清アミロイドAの免疫学的測定試薬 - 【請求項2】抗体が、遺伝子組み換えによって得られた
ヒト血清アミロイドにアジュバントとして結核菌菌体と
百日咳毒素を組み合わせて免疫したものである請求項1
の免疫学的測定試薬 - 【請求項3】抗体が不溶性担体粒子に感作されたもので
ある請求項1の免疫学的測定用試薬 - 【請求項4】抗体が遊離の状態で存在し、かつ免疫学的
な反応の場に免疫複合体形成に基づく不溶性沈降物の生
成を促進する反応増強剤を供給する試薬と組み合わされ
ている請求項1の免疫学的測定用試薬 - 【請求項5】標準物質として遺伝子組み換えによって得
られたヒト血清アミロイドAを含む、ヒト血清アミロイ
ドAの免疫学的測定試薬 - 【請求項6】標準物質が、更に高比重リポ蛋白質を含む
請求項5の免疫学的測定試薬 - 【請求項7】標準物質が、ヒト血清アミロイドAと高比
重リポ蛋白質の他に血清成分を含まないものである請求
項5または6の免疫学的測定試薬 - 【請求項8】標準物質が、界面活性剤と緩衝成分を含む
請求項5−7のいずれかの免疫学的測定試薬 - 【請求項9】標準物質が、血清を媒質とするものである
請求項5または6の免疫学的測定試薬 - 【請求項10】遺伝子組み換えによって得られたヒト血
清アミロイドAが、ヒト血清アミロイドAをコードする
DNAを、大腸菌ファージT7プロモーター、およびプ
ロモーター活性の調節が可能なオペレーターまたはその
機能性部分と結合した血清アミロイドA発現ベクターの
発現生成物である請求項1に記載の免疫学的測定試薬 - 【請求項11】ベクターが受託番号FERM P−14
778として特許寄託センターに寄託された大腸菌が保
有するプラスミドである請求項10の免疫学的測定試薬 - 【請求項12】抗体として、遺伝子組み換えによって得
られたヒト血清アミロイドAを免疫原に用いて調製した
抗体を利用する、ヒト血清アミロイドAの免疫学的測定
方法 - 【請求項13】免疫学的測定方法が、免疫学的粒子凝集
法または免疫比濁法である請求項12の免疫学的測定方
法 - 【請求項14】標準物質として遺伝子組み換えによって
得られたヒト血清アミロイドAを用いる、ヒト血清アミ
ロイドAの免疫学的測定方法 - 【請求項15】遺伝子組み換えによって得られたヒト血
清アミロイドAからなる、ヒト血清アミロイドAの抗体
調製用免疫原
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7224825A JPH0949837A (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | ヒト血清アミロイドaの免疫学的測定試薬 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7224825A JPH0949837A (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | ヒト血清アミロイドaの免疫学的測定試薬 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0949837A true JPH0949837A (ja) | 1997-02-18 |
Family
ID=16819793
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7224825A Pending JPH0949837A (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | ヒト血清アミロイドaの免疫学的測定試薬 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0949837A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107860929A (zh) * | 2017-11-10 | 2018-03-30 | 苏州康和顺医疗技术有限公司 | 一种血清淀粉样蛋白a的免疫比浊检测试剂和方法 |
CN112014576A (zh) * | 2020-09-03 | 2020-12-01 | 北京安图生物工程有限公司 | 检测人血清淀粉样蛋白a的试剂及其制备方法 |
CN113219181A (zh) * | 2020-12-31 | 2021-08-06 | 重庆中元汇吉生物技术有限公司 | 定量检测血清淀粉样蛋白a的试剂盒及其制备方法 |
CN114470160A (zh) * | 2022-03-18 | 2022-05-13 | 山东农业大学 | 病毒复制抑制剂及其应用 |
WO2022215341A1 (ja) * | 2021-04-05 | 2022-10-13 | 株式会社島津製作所 | 検量線の作成方法およびアミロイドβ関連ペプチドの測定方法 |
-
1995
- 1995-08-08 JP JP7224825A patent/JPH0949837A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107860929A (zh) * | 2017-11-10 | 2018-03-30 | 苏州康和顺医疗技术有限公司 | 一种血清淀粉样蛋白a的免疫比浊检测试剂和方法 |
CN112014576A (zh) * | 2020-09-03 | 2020-12-01 | 北京安图生物工程有限公司 | 检测人血清淀粉样蛋白a的试剂及其制备方法 |
CN113219181A (zh) * | 2020-12-31 | 2021-08-06 | 重庆中元汇吉生物技术有限公司 | 定量检测血清淀粉样蛋白a的试剂盒及其制备方法 |
WO2022215341A1 (ja) * | 2021-04-05 | 2022-10-13 | 株式会社島津製作所 | 検量線の作成方法およびアミロイドβ関連ペプチドの測定方法 |
CN114470160A (zh) * | 2022-03-18 | 2022-05-13 | 山东农业大学 | 病毒复制抑制剂及其应用 |
CN114470160B (zh) * | 2022-03-18 | 2023-08-25 | 山东农业大学 | 病毒复制抑制剂及其应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10527609B2 (en) | Peptide tag systems that spontaneously form an irreversible link to protein partners via isopeptide bonds | |
Tobkes et al. | Secondary structure and assembly mechanism of an oligomeric channel protein | |
JP2018521640A (ja) | 融合タンパク質を合成するための方法および製品 | |
JP2020502104A (ja) | ゲノム的に再コードした生物におけるセレノ−生物製剤の製造 | |
JPS60222429A (ja) | 形質転換宿主細胞中にハイブリッド・ポリペプチドを発現させるdna発現ベクター | |
JP2022525160A (ja) | ペプチドタグパートナーとの自発的イソペプチド結合形成速度を高めたポリペプチド及びその使用 | |
Girvin et al. | Organization of the F0 sector of Escherichia coli proton-ATPase: the polar loop region of subunit c extends from the cytoplasmic face of the membrane | |
Morgan et al. | Effects of HIV-1 Nef on human N-myristoyltransferase 1 | |
US7247712B2 (en) | Complex of hepatitis B virus-specific antigenic peptides associated with heat shock proteins and the application thereof | |
JP2003501064A (ja) | シャペロンポリペプチドのフラグメントを含む融合タンパク質 | |
JP2023011689A (ja) | 生体高分子の精製のための超分子高アフィニティタンパク質結合系 | |
US6492492B1 (en) | Circularly permuted biotin binding proteins | |
JPH0949837A (ja) | ヒト血清アミロイドaの免疫学的測定試薬 | |
US7101695B2 (en) | Method of producing transglutaminase having broad substrate activity | |
JP5042237B2 (ja) | 血小板抗原特異抗体の結合を中和するペプチドアプタマー並びにそれを含む診断及び治療への応用 | |
US20230106353A1 (en) | System for covalently linking proteins | |
JP2002508839A (ja) | 共有結合したトロポニン複合体 | |
JPH09104699A (ja) | 血清アミロイドaを認識する抗体 | |
EP1719520A1 (en) | Antigen epitopes of the regulatory protein of virulence factor in staphylococcus aureus and their mimotopes and use | |
WO1997006184A1 (fr) | Anticorps reconnaissant l'amyloide a serique | |
US7485438B2 (en) | Method of producing polyvalent antigens | |
CN112442496A (zh) | 精氨酸脱亚胺酶突变体及其应用 | |
JPWO2005003155A1 (ja) | ブロッキング効率の向上したタンパク質 | |
Rahman et al. | Expression of apolipoprotein (a) kringle IV type 9 in Escherichia coli: demonstration of a specific interaction between kringle IV type 9 and apolipoproteinB-100. | |
JP2004000143A (ja) | 組換え発光蛋白質およびその複合体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040426 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041109 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050329 |