JPH0945316A - アルカリ蓄電池用焼結式カドミウム負極及びその製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用焼結式カドミウム負極及びその製造方法

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JPH0945316A
JPH0945316A JP7192124A JP19212495A JPH0945316A JP H0945316 A JPH0945316 A JP H0945316A JP 7192124 A JP7192124 A JP 7192124A JP 19212495 A JP19212495 A JP 19212495A JP H0945316 A JPH0945316 A JP H0945316A
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cadmium
pvp
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battery
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Hiroyuki Inoue
博之 井上
Takashi Yamaguchi
貴志 山口
Etsuya Fujisaka
悦也 藤阪
Hironori Honda
浩則 本田
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属Cdによる負極活物質の閉塞を抑えると
共に酸素ガス吸収能力も向上させることにより、アルカ
リ蓄電池の高容量化と、急速充電時における酸素ガス吸
収能力の向上と、負極の閉塞化抑制とを共に実現するこ
とが可能であって、且つ簡単な工程で作製できる焼結式
カドミウム負極及びその製造方法を提供することを目的
とする。 【解決手段】 ニッケル焼結基板に、化学含浸法によっ
て所定量のカドミウム活物質を充填する。この活物質が
充填された極板を、アルカリ水溶液中で極板を充放電す
ることによって化成し、所定量のプレチャージを行った
後、水洗、乾燥させる。次に、水にポリビニルピロリド
ンを溶解した溶液に、極板を浸漬し乾燥させる。続い
て、水にフッ素樹脂を分散させた分散液に浸漬し乾燥さ
せる。この製法に従って作製したカドミウム極板は、ベ
ース負極の表面にポリビニルピロリドンと、その外側に
ポリテトラフルオロエチレンとが配されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ蓄電池用
焼結式カドミウム負極及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結式ニッケル−カドミウム蓄電池は、
その優れた導電性能により高率充放電特性が良好であ
り、その負極容量を正極容量よりも大きくとることによ
って密閉化が可能であるため、種々のポータブル機器に
利用されている。そして、最近のアルカリ蓄電池の市場
では、特に(1)短時間充電が可能,(2)高容量,
(3)長寿命という3つの条件を満たすことが要求さ
れ、これらの要求を満たすニッケル−カドミウム電池を
開発するために多くの研究がなされている。
【0003】(1)の短時間充電を可能とするために、
一般に、過充電時に正極から発生する酸素ガスを、負極
で下式,で示される酸素消費反応によって効率よく
消費させる工夫がなされている。 2Cd+O2+2H2O → 2Cd(OH)2──
化学的消費反応 2H2O+O2+4e- → 4OH-── 電気化学的
消費反応 式の化学的消費反応は、発生した酸素が充電状態にお
ける負極の金属Cdと接触することにより起こるので、
例えば正極に対する負極の容量比を大きくとってこの反
応を促進させる工夫がなされている。
【0004】また、式の電気化学的消費反応は、活物
質保持体であるニッケル焼結基板上で起こるので、例え
ば極板を薄く長く設計して、正極と負極の対向面積を大
きくとり、この反応を促進させる工夫がなされている。
しかし、このように極板の外形状を調整することによっ
て過充電性能を向上させた場合、正極又は負極の活物質
の充填量が減少してしまうため、(2)の高容量化に対
しては不利である。
【0005】これに対して、次のように負極の性質を変
えて、式の電気化学的消費反応を向上させる方法が提
案されている。例えば、特開昭59−112571号公
報では、負極表面にテフロン被膜を形成することによっ
て、負極活性物質及びニッケル焼結体,電解液,酸素ガ
スからなる気相,液相,固相の三相界面を存在しやすく
し、電気化学的消費反応方法を促進する方法が開示され
ている。また、POWER SOURCE 7(1979
年米国)の149頁には、負極板の表面にニッケルメッ
キを施すことにより、電気化学的消費反応を促進させる
方法が開示されている。またこの他に、負極を希酸に浸
漬して表面を溶解させる方法等も実施されている。
【0006】これらの方法によれば、(1)の短時間充
電と(2)の高容量化との両方に対して有利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法においても、各々次のような問題がある。上記
のニッケルメッキを行う方法では、ニッケルメッキのた
めに多大な工数を必要とするため、このようなカドミウ
ム負極を生産するには、複雑な工程が必要になるという
問題がある。
【0008】また希酸に浸漬して表面を溶解させる方法
は、簡単な操作で行え一連の工程で極板を作製すること
が可能ではあるが、酸が極板中に残存する可能性があ
り、酸が残存すると電池性能に悪影響を及ぼす。また溶
解によって極板強度や容量の低下が起こる点で好ましく
なく、本発明者等は、容量低下が生じない程度の希酸浸
漬では過充電性能の向上効果は少ないことを実験で確認
している。
【0009】また上記のテフロン被膜を形成する方法
は、(3)の長寿命化に対して有利であるとはいえな
い。即ち、急速充放電のサイクル進行時において、充電
状態の金属カドミウムの表面が放電状態の水酸化カドミ
ウムで緻密に被覆される、いわゆる負極活物質の閉塞化
が生じて、その内部に放電不能な金属カドミウムが蓄積
することによって、電池寿命に達してしまうという問題
点が残っている。
【0010】負極活物質の閉塞を防止する技術について
見れば、例えば、特開平1−105471号公報には、
重合度320以上のメチルセルロース,デンプン,ヒド
ロキシプロピルセルロース等の多糖類を焼結式カドミウ
ム負極に含浸等で添加する技術が開示されている。これ
は、添加された多糖類が負極板の表面に膜を形成するこ
とにより、負極活物質の閉塞を防止するものであり、ま
た、用いる多糖類の重合度が320以上であるため、少
ない添加量で効果が得られる。
【0011】しかし、この電池の場合は、多糖類の膜に
よって酸素ガスの流通が遮断され負極の酸素ガス吸収能
力がある程度低下することは避けられないので、(1)
の短時間充電に対しては有利であるとはいえない。本発
明はこのような状況のもとでなされたものであって、金
属Cdによる負極活物質の閉塞を抑えると共に酸素ガス
吸収能力も向上させることにより、アルカリ蓄電池の高
容量化と、急速充電時における酸素ガス吸収能力の向上
と、負極の閉塞化抑制とを共に実現することが可能であ
って、且つ、簡単な工程で作製できる焼結式カドミウム
負極及びその製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、アルカリ
蓄電池中の焼結式カドミウム負極における、負極活物質
が閉塞化して放電不能な金属カドミウムが蓄積する問題
や、酸素ガス吸収能力の問題、及びその解決策について
研究を重ねる中で、糊料の添加によって金属Cdによる
負極活物質の閉塞を防止する場合、高分子糊料の中でも
特にポリビニルピロリドン(以下PVPと記載する)は
その効果が大きいことを見いだした。
【0013】また、PVPをベース負極の表面に配した
場合、電池中でこのPVPが表面に気密性の膜を形成す
るが、更にフッ素樹脂をその外側に配することによっ
て、膜に通気性を付与し酸素ガス吸収能力を向上するこ
とも見いだした。このようにフッ素樹脂をPVPの外側
に配することによって、フッ素樹脂だけを付着させた場
合よりも酸素ガス吸収能力を向上させる効果が大きいと
いう事実も見い出した。この理由については定かではな
いが、PVPがフッ素樹脂と共存すると、PVPがフッ
素樹脂を負極表面に保持する作用をなし、フッ素樹脂に
よる酸素ガス吸収能力の向上が持続しやすいためと考え
られる。
【0014】また、フッ素樹脂とPVPとを配する形態
としては、PVPを配した上にフッ素樹脂を配すること
によって、特に酸素ガス吸収能力を向上させる効果が大
きいことができることを見いだした。請求項1記載の発
明は、カドミウム活物質がニッケル焼結基板に充填され
てなるベース負極を含むアルカリ蓄電池用焼結式カドミ
ウム負極おいて、ベース負極の表面には、PVPと、そ
の外側にフッ素樹脂とが配されていることを特徴として
いる。
【0015】この発明によれば、ベース負極の表面に、
高分子糊料であるPVPと、その外側に溌水性を有する
フッ素樹脂と配されているので、この負極がアルカリ蓄
電池に組み込まれた状態では、PVP層がベース負極の
表面を覆い、急速充放電サイクル進行時に発生しやすい
負極活物質の閉塞化により放電不能な金属カドミウムが
蓄積するのを防止する。また、溌水性を有するフッ素樹
脂も配されていることにより、負極活物質性及びニッケ
ル焼結体,電解液,酸素ガスの三相界面の生成が容易と
なり、負極の酸素ガス吸収能力が向上する。また、糊料
であるPVPは、フッ素樹脂をベース負極表面に保持す
る作用もなし、酸素ガス吸収能力の向上効果が持続する
ものと考えられる。更に、PVPの外側にフッ素樹脂が
配されているため、特に酸素ガス吸収能力が高いものと
なる。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明に対して、アルカリ蓄電池用焼結式カドミウム負極に
は、カドミウム活物質の重量1gに対して、フッ素樹脂
が0.5〜20mg、PVPが0.6〜10mg含有さ
れていることを特徴としている。酸素ガス吸収能力の向
上,高容量化,負極活物質の閉塞抑制の観点から、フッ
素樹脂及びPVPの含有量はこの範囲が好ましい。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明に対して、フッ素樹脂は、その数平均分子量が300
万以下であることを特徴としている。この範囲の低分子
量のフッ素樹脂は、繊維化されにくいため、負極表面に
均一的に付着されやすく、負極の酸素ガス吸収能力を向
上させる効果が良好である。請求項4記載のアルカリ蓄
電池用焼結式カドミウム負極の製造方法は、カドミウム
活物質がニッケル焼結基板に充填されたベース負極を、
PVPを含む溶液に浸漬する第1の浸漬工程と、第1の
浸漬工程を行ったベース負極を、フッ素樹脂を含む溶液
に浸漬する第2の浸漬工程と、を備えることを特徴とし
ている。
【0018】この製造方法によれば、第1の浸漬工程に
おいて、ベース負極の表面にPVPが配され、第2の浸
漬工程において、ベース負極の表面に配されたPVPの
外側に更にフッ素樹脂が配される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例及びその効
果を確かめる実験について詳述する。 (実施例1)図1は、本発明の一実施例に係る焼結式カ
ドミウム極板の製造工程を示す図である。
【0020】公知のニッケル焼結基板(多孔度約80
%)に、化学含浸法によって所定量のカドミウム活物質
を充填する。即ち、焼結極板を硝酸カドミウムを含浸し
た後アルカリ処理を行って水酸化カドミウムを生成する
という工程を数回繰り返すことによって、所定量のカド
ミウム活物質(水酸化カドミウム)を充填する。この活
物質が充填された極板を、アルカリ水溶液中で極板を充
放電することによって化成し、部分充電により所定量の
予備充電量を確保(プレチャージ)した後、水洗、乾燥
させベース負極を作製する。
【0021】このようにして作製したベース負極を、水
100重量部に対してPVPを12重量部溶解した溶液
に15秒間浸漬し、80℃で乾燥させる。本実施例で
は、PVPとしてBASF(株)製のものを用いる。こ
の工程によってベース負極の表面にPVPが配される。
その後、水100重量部に対してポリテトラフルオロエ
チレン(以下PTFEと記載する)を15重量部分散さ
せた分散液に15秒間浸漬し、80℃で乾燥させる。本
実施例では、PTFEの水性懸濁液(商品名:ルブロ
ン,数平均分子量10万,ダイキン工業(株)製)を用
いてこの分散液を作製する。この工程によって、ベース
負極の表面に配されたPVPの外側に更にPTFEが配
される。
【0022】このような製法に従って作製したカドミウ
ム極板aの表面には、PVP層と、その外側にPTFE
層とが形成されていると考えられる。カドミウム極板a
中のPVPの含有量及びPTFEの含有量を、下記の方
法で分析したところ、PVPは、カドミウム活物質1g
当り4mg、PTFEはカドミウム活物質1g当り5m
gであった。
【0023】PVP含有量の定量分析は、カドミウム極
板を水性溶液で洗い流し、洗い流した溶液を取り、その
溶液中に含まれるPVPの量を可視吸光分析法によって
測定する。そして、その測定値に基づいてカドミウム極
板a中のPVPの含有量を算出する。また、PTFE含
有量の定量分析は、カドミウム極板を、酸性水に浸漬し
て、ニッケル基板,活物質,PVPを溶解する。そし
て、溶解せずに残ったものを分取して、その重量を測定
し、この測定値をカドミウム極板a中のPTFEの含有
量とする。
【0024】(比較例1)本比較例のカドミウム極板の
製法は、実施例1のカドミウム極板aの製法と同様であ
るが、PTFEの分散液に浸漬する工程は行わない点が
異なっている。このように作製したカドミウム極板bの
表面にはPVPの層が形成されているものと考えられ
る。
【0025】このカドミウム極板bに含まれているPV
Pの含有量を分析したところ、カドミウム活物質1g当
り4mgのPVPが含まれていた。 (比較例2)本比較例のカドミウム極板の製法は、実施
例1のカドミウム極板aの製法と同様であるが、PVP
の溶液に浸漬する工程は行わない点が異なっている。
【0026】このように作製したカドミウム極板cの表
面には、PTFEが付着され、PTFEの層が形成され
ているものと考えられる。このカドミウム極板cに含ま
れているPTFEの含有量を分析したところ、カドミウ
ム活物質1g当り5mgのPTFEが含まれていた。 (比較例3)本比較例のカドミウム極板の製法は、実施
例1のカドミウム極板aの製法と同様であるが、PVP
の溶液に浸漬する工程及びPTFEの分散液に浸漬する
工程を行わない点が異なっている。
【0027】このように作製されたカドミウム極板dに
は、PVPもPTFEも付着されていない。 (比較例4)本比較例のカドミウム極板は、実施例1と
同様にして作製したベース負極を用いて、水100重量
部に対してPVPを12重量部溶解し、PTFEを15
重量部分散させた分散溶液に、15秒間浸漬し、80℃
で乾燥させて作製する。
【0028】このように作製したカドミウム極板eは、
ベース負極の表面にPVPとPTFEとが混合された状
態で付着していると考えられる。カドミウム極板e中の
PVPの含有量及びPTFEの含有量を分析したとこ
ろ、PVPは、カドミウム活物質1g当り4mg、PT
FEはカドミウム活物質1g当り5mgであった。
【0029】(実験1)上記の実施例1及び比較例1,
2,3,4のカドミウム極板a,b,c,d,eについ
て、化学含浸法によって作製した共通の焼結式ニッケル
正極板と水酸化カリウム水溶液とを組合せて、公称容量
1700mAhの密閉式円筒形ニッケル−カドミウム電
池A,B,C,D,Eを試作した。
【0030】図2は、作製したニッケル−カドミウム電
池の構成を示す図である。このニッケル−カドミウム電
池は、焼結式ニッケル極板からなる正極1とカドミウム
極板からなる負極2とがセパレータ3を介して積層され
渦巻状に巻かれてなる電極群4と、アルカリ電解液(図
示しない)と、これらを収容する円筒状の外装缶6等か
ら構成されている。そして負極2は、負極集電体5によ
り外装缶6の底辺部に電気的に接続されている。
【0031】外装缶6上端の円形の開口部には、ガスケ
ット11を介在させて、中央部が開口された封口板12
が配設され、この封口板12に正極端子13が装着され
ている。この封口板12には弁板8、おさえ板9が載置
され、おさえ板9はコイルスプリング10で押圧する構
造となっている。また、正極端子13と正極1は正極集
電体7及び封口板12を介して接続されている。
【0032】そして、弁板8、おさえ板9、コイルスプ
リング10は、電池内圧が上昇したときに矢印A方向に
押圧されて、弁板部に間隙が生じ、内部のガスが大気中
に放出されるようになっている。このように作製した電
池A,B,C,D,Eを用いて、以下のように電池の特
性実験を行った。
【0033】(1)電池内部ガス圧テスト:25℃中で、
8.5Aで充電を行いながら、電池内の内部ガス圧力の
変化を測定した。130%充電時における電池内部ガス
圧を下記表1に示す。 (2)急速充放電サイクルテスト:8.5Aで充電−休止
1hr.−8.5Aで放電−休止1hr.というサイク
ルで充放電サイクルを行い、電池容量が公称容量の50
%に低下した時点までのサイクル数をサイクル寿命と判
定する。その結果を下記表1に示す。
【0034】
【表1】 表1に示した電池内部ガス圧の試験結果について考察す
る。PTFEが付着されている電池A,C,Eは、PT
FEが付着されていない電池B,Dと比べて、明らかに
低いガス圧値を示している。これは、PTFEがベース
負極表面に付着されることによって酸素ガス消費能力が
向上することを示している。
【0035】電池Cは電極Dより内部ガス圧が低いこと
から、PVPが付着されていない場合でも、PTFEの
溌水作用によってベース負極表面に三相界面を形成しや
すくするものと推測される。PVPだけが付着している
電池Bのガス圧は、何も付着しない電池Dのガス圧と比
べて若干高くなっているが、これは、PVPが負極表面
に気密性の膜を形成することによって負極の酸素ガス吸
収を妨げるためと考えられる。
【0036】PVPとPTFEとが付着されている電池
A,Eでは、電池B,Dよりガス圧が低くなっている
が、これは、電極表面を覆うPVP層に対してPTFE
が通気性を付与し、三相界面が形成されやすくなったた
めと考えられる。PTFEだけが付着されている電池C
と比べて、PVPも付着されている電池A,Eは、ガス
圧が若干低くなっており、酸素ガス吸収能力がより大き
いことを示している。このように、PTFEと共にPV
Pが存在すると、酸素ガス吸収能力が若干向上するの
は、PVPがPTFEをベース負極の表面に保持する作
用があるためと推測される。
【0037】また、PVPとPTFEとが付着されてい
る点で共通点を持つ電池Aと電池Eとを比較して見る
と、PVPが付着した外側にPTFEが付着している電
池Aは、PVPとPTFEとが混合された状態で付着し
ている電池Eよりもガス圧が低くなっている。これは、
PVPを配した上にPTFEを配することにより、酸素
ガス吸収能力の向上効果がより大きくなること、即ち少
ない量のPTFEで効果が得られることを示している。
【0038】次に表1に示した急速充放電サイクル寿命
の結果について考察する。表1に示されるように電池
A,C,Eは、電池B,Dと比べてサイクル寿命が大き
く向上している。電池B,Dの寿命が比較的短いのは、
共にPTFEが配されていないので、負極の酸素吸収能
力が低く、比較的早い時期で、充電時に正極で生成され
る酸素によって内部の圧力が上昇し、安全弁が作動して
電解液が電池系外に飛散し、電解液が涸渇する、いわゆ
るドライアウトに到ったためと考えられる。
【0039】なお電池Bと電池Dとを比較すると、電池
Dは電池Bよりサイクル寿命が短いが、これは電池Dに
PVPが配されていないので、PVPが配されている電
池Bと比べて、負極活物質の閉塞化による放電不能な金
属Cdの蓄積がより速く進んだためと考えられる。一
方、電池A,C,Eのサイクル寿命が比較的長いのは、
共にPTFEがベース負極表面に付着されているので、
負極の酸素吸収能力が高く保たれているためと考えられ
る。この電池A,C,Eにおいては、サイクル寿命に達
した直接的な原因は、充放電サイクルに伴って負極活物
質が閉塞化し放電不能な金属Cdが蓄積したことが考え
られる。即ちこの閉塞によって、負極の充電リザーブが
小さくなり、負極で水素ガスが生成されて内部の圧力が
上昇し、安全弁が作動して電解液が電池系外に飛散し、
ドライアウトに到ったと考えられる。
【0040】電池Aと電池Cを比較すると、電池Aは電
池Cよりもサイクル寿命が長い。これは、電池Aにおい
ては、PVPによってベース負極表面が覆われているた
め、金属Cdによる負極活物質の閉塞が抑制されたため
と考えられる。電池Aと電池Eとを比較すると、電池A
は電池Eよりもサイクル寿命が長いのは、電池Aの方が
酸素ガス吸収能力の向上効果が大きいことによると考え
られる。
【0041】以上説明したように、電池Aの効果として
は、ベース負極表面にPVP層が形成されていることに
よって、負極活物質の閉塞化による放電不能な金属Cd
の蓄積を抑制し、PVP層の外側に形成されたPTFE
が酸素吸収能力を向上させ、更に、PTFE層の内側に
PVP層が存在することで酸素ガス吸収能力の向上効果
をより高め、その結果、電池のサイクル寿命が相乗的に
向上したものと見ることができる。
【0042】(実施例2)本実施例のカドミウム極板の
構成及び製法は、実施例1のカドミウム極板aの構成及
び製法と同様であるが、ベース負極をPTFEの分散液
に浸漬する工程において、分散液中のPTFEの濃度を
様々に変化させて調整することにより、製作されたカド
ミウム極板におけるPTFEの含有量が、様々な値(活
物質1g当り0.5mg,1mg,2mg,5mg,1
0mg,15mg,20mg,22mg,25mg)に
変化している点が異なっている。
【0043】ここで、分散液中のPTFEの濃度と作製
されたカドミウム極板に含まれるPTFEの量との関係
をあらかじめ測定しておけば、これに基づいて分散液中
のPTFEの濃度を調整することによって、所望のPT
FEの含有量にコントロールすることができる。なお、
カドミウム極板に含まれるPVPの含有量は、実施例1
と同様の5mg/活物質1gである。
【0044】このように作製したカドミウム極板を用い
て、上記実験と同様にニッケル−カドミウム電池を試作
し、電池内部ガス圧テストと、電池容量の測定を行っ
た。その結果は、図3,図4のグラフで示す。図3は電
池内部ガス圧テストの結果であって、PTFEの含有量
と電池の内部圧力との関係を示すグラフである。図に示
されるように、PTFEの含有量が0.5mg/活物質
1g以上の範囲では内部圧力が低い値を示している。こ
れは、この範囲において、酸素ガス消費能力の向上効果
が大きいことを示している。
【0045】また、図4は電池容量測定の結果であっ
て、PTFEの含有量と電池容量との関係を示すグラフ
である。図に示されるように、PTFEの含有量が20
mg/活物質1gを越える範囲では電池容量の低下が顕
著に見られる。これは、この範囲においては、PTFE
が充放電反応を阻害するため、電池容量が低下するもの
と考えられる。
【0046】これらの試験結果より、PTFEの含有量
としては、0.5〜20mg/活物質1gの範囲が好ま
しいことがわかる。 (実施例3)本実施例のカドミウム極板の構成及び製法
は、実施例1のカドミウム極板aの構成及び製法と同様
であるが、ベース負極をPVP溶液に浸漬する工程にお
いて、溶液中のPVPの濃度を変化させて調整すること
により、製作されたカドミウム極板に含まれるPVPの
含有量が、様々な値(活物質1g当り0.2mg,0.
4mg,0.6mg,0.8mg,1mg,2mg,4
mg,6mg,8mg,10mg,11mg,12m
g)に変化している点が異なっている。
【0047】ここで、溶液中のPVPの濃度と作製され
たカドミウム極板に含まれるPVPの含有量との関係を
あらかじめ測定しておけば、これに基づいて溶液中のP
VPの濃度を調整することによって、所望のPVPの含
有量にコントロールすることができる。なお、カドミウ
ム極板に含まれるPTFEの含有量は、実施例1と同様
に4mg/活物質1gである。
【0048】このように作製したカドミウム極板を用い
て、上記実験と同様にニッケル−カドミウム電池を試作
し、電池容量の測定と、急速充放電サイクルテストとを
行った。その結果は、図5,図6のグラフで示す。図5
は急速充放電サイクルテストの結果であって、PVPの
含有量とサイクル寿命との関係を示すグラフである。図
に示されるように、PVPの含有量が0.6mg/活物
質1g以上の範囲ではサイクル寿命が600サイクル程
度の高い値を示している。これは、この範囲において、
PVPが負極活物質の閉塞化による放電不能な金属Cd
の蓄積を抑制する効果が大きいことを示している。
【0049】また、図6は電池容量測定の結果であっ
て、PVPの含有量と電池容量との関係を示すグラフで
ある。図に示されるように、PVPの含有量が10mg
/活物質1gを越える範囲では電池容量の低下が顕著に
見られる。これは、PVPの添加量が高すぎる場合、充
放電反応を阻害するためと考えられる。これらの試験結
果より、PVPの含有量としては、0.6〜10mg/
活物質1gの範囲が好ましいことがわかる。
【0050】(実施例4)本実施例のカドミウム極板の
構成及び製法は、実施例1のカドミウム極板aの構成及
び製法と同様であるが、ベース負極をPTFEの分散液
に浸漬する工程において、分散液に用いるPTFEの平
均分子量を、様々な値(数平均分子量:10万,100
万,300万,500万,1000万)のものに代える
ことにより、製作されたカドミウム極板に含まれるPT
FEの分子量もそれに伴って代わっている点が異なって
いる。
【0051】このように作製したカドミウム極板を用い
て、実施例1と同様にニッケル−カドミウム電池を試作
し、実施例1と同様の電池内部ガス圧テストを行った。
その結果は、表2に示す。
【0052】
【表2】 表2に示す結果では、数平均分子量が300万を越える
範囲では、電池内部圧の低下が見られる。これは、PT
FEの分子量が300万以上の範囲では、PTFEの分
散液を作製するときにPTFEの繊維化が起こり、ベー
ス負極をこの分散液に浸漬する工程において、その表面
にPTFEが均一に付着せず、その結果、酸素ガス吸収
能力の向上効果が発揮できないためと考えられる。
【0053】この試験結果より、用いるPTFEとして
は、数平均分子量が300万以下のものが好ましいこと
がわかる。なお上記実施例では、フッ素樹脂としてPT
FEを用いる例を示したが、本発明で用いるフッ素樹脂
はPTFEに限られず、例えば、テトラフルオロエチレ
ンとエチレンの共重合体やテトラフルオロエチレンとヘ
キサフルオロプロピレンの共重合体を用いても同様に実
施することができる。
【0054】
【発明の効果】このように、本発明による焼結式カドミ
ウム負極は、ベース負極の表面にPVPと、その外側に
フッ素樹脂とが配されているので、電池に組み込まれた
とき、負極表面に形成されるPVP層が、負極活物質の
閉塞化による放電不能な金属Cdの蓄積を抑制し、PV
P層の外側に形成されたフッ素樹脂が酸素吸収能力を向
上させ、フッ素樹脂層の内側にPVP層が存在すること
で酸素ガス吸収能力の向上効果をより高め、その結果、
電池のサイクル寿命を相乗的に向上させることができ
る。
【0055】また、本発明の製造方法によれば、ベース
負極をPVP溶液に浸漬する工程と、フッ素樹脂の分散
溶液に浸漬する工程とを通して、このような焼結式カド
ミウム負極を簡単に作製することができる。このよう
に、本発明は、焼結式カドミウム負極を用いたアルカリ
蓄電池において、急速充電性能の向上と高容量化と長寿
命化とを共に達成する上で価値ある技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る焼結式カドミウム極板
の製造工程を示す図である。
【図2】実施例のカドミウム極板を用いて、実験のため
に作製したニッケル−カドミウム電池の構成を示す図で
ある。
【図3】実施例2のカドミウム極板を用いて作製した電
池で電池内部ガス圧テスト結果を示すグラフである。
【図4】実施例2のカドミウム極板を用いて作製した電
池で電池容量の測定を行った結果を示すグラフである。
【図5】実施例3のカドミウム極板を用いて作製した電
池で急速充放電サイクルテストを行った結果を示すグラ
フである。
【図6】実施例3のカドミウム極板を用いて作製した電
池で電池容量測定を行った結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電極群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 浩則 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カドミウム活物質がニッケル焼結基板に
    充填されてなるベース負極を含むアルカリ蓄電池用焼結
    式カドミウム負極おいて、 前記ベース負極の表面には、 ポリビニルピロリドンと、その外側にフッ素樹脂とが配
    されていることを特徴とするアルカリ蓄電池用焼結式カ
    ドミウム負極。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ蓄電池用焼結式カドミウム
    負極には、 カドミウム活物質の重量1gに対して、フッ素樹脂が
    0.5〜20mg、ポリビニルピロリドンが0.6〜1
    0mg含有されていることを特徴とする請求項1記載の
    アルカリ蓄電池用焼結式カドミウム負極。
  3. 【請求項3】 前記フッ素樹脂は、その数平均分子量が
    300万以下であることを特徴とする請求項1記載のア
    ルカリ蓄電池用焼結式カドミウム負極。
  4. 【請求項4】 カドミウム活物質がニッケル焼結基板に
    充填されたベース負極を、ポリビニルピロリドンを含む
    溶液に浸漬する第1の浸漬工程と、 第1の浸漬工程を行ったベース負極を、フッ素樹脂を含
    む溶液に浸漬する第2の浸漬工程と、 を備えることを特徴とするアルカリ蓄電池用焼結式カド
    ミウム負極の製造方法。
JP7192124A 1995-07-27 1995-07-27 アルカリ蓄電池用焼結式カドミウム負極及びその製造方法 Pending JPH0945316A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024034674A1 (ja) * 2022-08-10 2024-02-15 ダイキン工業株式会社 電気化学デバイス用バインダー用ポリテトラフルオロエチレン、電気化学デバイス用バインダー、電極合剤、電極、及び、二次電池

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WO2024034674A1 (ja) * 2022-08-10 2024-02-15 ダイキン工業株式会社 電気化学デバイス用バインダー用ポリテトラフルオロエチレン、電気化学デバイス用バインダー、電極合剤、電極、及び、二次電池

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