JPH0943324A - 磁場測定方法および磁場測定装置 - Google Patents
磁場測定方法および磁場測定装置Info
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- JPH0943324A JPH0943324A JP7195244A JP19524495A JPH0943324A JP H0943324 A JPH0943324 A JP H0943324A JP 7195244 A JP7195244 A JP 7195244A JP 19524495 A JP19524495 A JP 19524495A JP H0943324 A JPH0943324 A JP H0943324A
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Abstract
測定装置に関し、スピン偏極走査型トンネル顕微鏡の技
術を用いる新たな磁気測定方法を提供する。 【解決手段】 閃亜鉛構造の結晶構造を持つ化合物半導
体のセンサ領域を有する感磁性素子を準備する工程と、
前記センサ領域に円偏光を照射して、スピン偏極状態を
発生させる工程と、前記センサ領域のスピン偏極を測定
対象磁場中で緩和させる工程と、前記センサ領域のスピ
ン偏極の緩和の度合いを測定する測定工程と、得られた
緩和の度合いから磁場の強度を検出する工程とを含む。
Description
し、特に新規な原理に基づく磁場測定方法および磁場測
定装置に関する。
れている。検出すべき磁場の値としては、アナログ量が
必要なものと、バイナリのデジタル量で十分なものとが
ある。
広く用いられている。バイナリなデジタル情報が記録さ
れている場合、磁場検出手段はバイナリなデジタル磁気
情報を検出すれば足りる。
気ディスクが用いられている。磁気ディスクは、情報を
バイナリなデジタル情報として記録する。磁気ディスク
の情報読取手段としては、磁気抵抗効果を利用した磁気
抵抗ヘッドが知られている。
は、半導体薄層に印加される磁場Bの強度を VH =vB/d によって検出することができる。ここで、Bは検出すべ
き磁束密度であり、vはキャリアの走行速度であり、d
は検出素子の厚さである。これらの感磁性素子は、それ
ぞれ限界を有する。
態を検出することのできる走査型トンネル顕微鏡(ST
M)が開発されている。このSTMにスピンの片寄り状
態、すなわち、スピン偏極状態を検出する機能を付加し
たものが報告されている。この技術をスピン偏極走査型
トンネル顕微鏡(SP−STM)と呼ぶ。
ン偏極走査型トンネル顕微鏡の技術を用いる新たな磁気
測定方法を提供することである。
置を提供することである。
ば、閃亜鉛構造の結晶構造を持つ化合物半導体のセンサ
領域を有する感磁性素子を準備する工程と、前記センサ
領域に円偏光を照射して、スピン偏極状態を発生させる
工程と、前記センサ領域のスピン偏極を測定対象磁場中
で緩和させる工程と、前記センサ領域のスピン偏極の緩
和の度合いを測定する測定工程と、得られた緩和の度合
いから磁場の強度を検出する工程とを含む磁場測定方法
が提供される。
に円偏光を照射すると、スピン偏極状態が発生する。こ
のスピン偏極状態の緩和過程は、化合物半導体のおかれ
る磁場強度によって変化する。したがって、一定のスピ
ン偏極を発生させてから一定の時間経過後のスピン偏極
の緩和の度合いを測定することにより、磁場の強度を検
出することができる。
場測定方法を概略的に示す。図1(A)は、本発明の実
施例による磁場測定方法のフローチャートを示す。ステ
ップS1で、探針内にスピン偏極を生じさせる。探針は
閃亜鉛構造の結晶構造を有する化合物半導体、たとえば
GaAsで形成される。
する化合物半導体であるGaAsのバンド構造を概略的
に示す。伝導帯c.b.は、S1/2 の性格を有し、スピ
ンに関し、二重に縮退している。伝導帯のバンド底はΓ
6 である。価電子帯v.b.の上側のバンドは、P3/2
の性格を有し、重い正孔hhと軽い正孔lhがΓ8 で四
重に縮退している。また、下側のP1/2 のバンドは、ス
ピン−軌道相互作用によりスプリットし、Γ点において
Γ7 の性格を有する。Γ8 とΓ7 のエネルギ差Δは約
0.34eVであり、Γ8 とΓ6 のエネルギ差(バンド
ギャップ)は、約1.52eVである。
る円偏光励起の選択則を示す。スピンを含めたバンド端
の状態は、S1/2 において、mi =−1/2とmi =+
1/2の2つの状態となる。また、Γ8 は、mi =−3
/2、mi =−1/2、mi=+1/2、mi =+3/
2の4つの状態を含む。また、Γ7 はmi =−1/2、
mi =+1/2の状態を含む。
は、選択則の異なる右回り円偏光による励起と左回り円
偏光による励起を含む。図中、右回り円偏光による励起
を実線で示し、左回り円偏光による励起を点線で示す。
また、丸で囲んだ数字は、遷移確率の比率を示す。
遷移を禁止すると、Γ8 からΓ6 への遷移のみを生じさ
せることができる。このとき、右回り円偏光を入射すれ
ば、伝導帯のmi =−1/2の状態に3、mi =+1/
2の状態に1の比率で電子を比率することができる。同
様、左回り円偏光を入射すれば、mi =−1/2状態に
1、mi =+1/2の状態に3の比率で電子を励起する
ことができる。
導帯の電子は、スピン状態が偏り、スピン偏極を示す。
上向きスピンの電子の数をN1、下向きスピンの電子の
数をN2とすれば、スピン偏極の度合いPは、 P=(N1−N2)/(N1+N2) で表現することができる。
ぶ。右円偏光で励起した場合、GaAsの伝導帯は、−
50%のスピン偏極率を有し、左円偏光で励起した場合
には、+50%のスピン偏極率を有する。
スピン偏極は、一定の時間で緩和し、熱平衡状態に達す
る。磁場のない状態では、上向きスピンの数と下向きス
ピンの数は熱平衡状態において等しくなる。
ンの状態のエネルギと下向きスピンの状態のエネルギに
差が生じる。したがって、磁場強度に応じて上向きスピ
ンの数と下向きスピンの数の熱平衡状態における比が変
化する。スピン緩和時間は一定であり、熱平衡状態が変
化することにより、スピン緩和過程に差が生じる。
て、スピン偏極状態を発生した探針を、試料の発生する
磁場中に放置する。磁場中に放置された探針内のスピン
偏極は、磁場強度に応じた緩和過程を示す。
極状態を検出する。スピン緩和過程は、磁場に応じて変
化するため、探針内のスピン偏極状態を検出することに
より、間接的に磁場強度を検出することができる。
的に示す。図2(A)は、GaAsの探針1に左円偏光
2を照射した状態を示す。十分な強度の左円偏光を照射
することにより、上向きスピン3:下向きスピン1の割
合で伝導帯にスピン偏極した電子を励起することができ
る。
スピン偏極状態を示す。図2(B)は、磁場がない状態
でのスピン偏極状態の緩和状態を示す。左円偏光の照射
により、3:1のスピン偏極状態が発生したが、スピン
偏極状態は5:3まで緩和している(スピン偏極率+2
5%)。なお、熱平衡に達すれば、スピン偏極状態は
1:1になる。
磁場が存在する場合のスピン偏極状態の緩和を示す。図
2(C)においては、上向きスピンが安定状態となる外
部磁場が印加されている。このため、熱平衡状態は上向
きスピンが多い状態となり、t秒後のスピン偏極状態は
6:2となっている(スピン偏極率+50%)。図2
(D)においては、下向きスピンが安定状態となる外部
磁場が印加されている。このため、上向きスピンから下
向きスピンへの遷移がより多く生じ、スピン偏極状態は
4:4に達している(スピン偏極率0%)。このよう
に、一旦一定のスピン偏極を生じさせた後、一定時間経
過後、スピン偏極状態を測定することにより、間接的に
外部磁場の強度を検出することができる。
定により、外部磁場の強度を検出する測定方法を概略的
に示す。横軸は時間を示し、立て軸はスピン偏極率を示
す。実線は、外部磁場が存在しない時のスピン偏極の緩
和を示す。十分長い時間が経過した後には、スピン偏極
率は0に達する。
変化し、熱平衡状態におけるスピン偏極率が0ではなく
なる。上向きスピンが安定な状態となる外部磁場を印加
すると、熱平衡状態におけるスピン偏極率は+方向に移
動し、逆方向の外部磁場を印加すれば、熱平衡状態にお
けるスピン偏極率は−方向に変化する。
方向の磁場を印加した時には破線のようにスピン緩和が
進み、−方向の外部磁場を印加した時には、点線のよう
にスピン緩和が進行する。時間軸上の一点を取り、スピ
ン偏極率を求めれば、外部磁場に応じてスピン偏極率が
変化することが判るであろう。
スピン偏極率と、磁場強度の関係を概略的に示す。図
は、初期状態において、上向きスピンの数が下向きスピ
ンの数よりも多くなる(スピン偏極率が正の)励起を行
った場合を示す。下向きスピンの数が上向きスピンの数
よりも多くなる(スピン偏極率が負の)励起を行った場
合は、スピン偏極率と磁場強度との極性を反転させたも
のとなる。
を測定する方法を示す。図4(A)において、p型Ga
Asで形成されたセンサ領域1は、電極8を介し、電流
計9、電圧源+Vに接続されている。センサ領域1に対
し、数Åの距離で測定対象物3が配置される。測定対象
物3は接地されている。測定対象物3からは、一定の磁
場4が発生している。センサ領域1と測定対象物3の距
離が数Å程度であるため、測定対象物3とセンサ領域1
の間にトンネル電流5が流れる。このトンネル電流5を
電流計9によって検出する。
合、遷移後の状態が占有されている場合、パウリの排他
律により遷移は生じにくい。トンネル電流5は、測定対
象物3からセンサ領域1に遷移する。測定対象物が磁化
していると、その内部の電子は磁化に応じたスピンを有
する。この時センサ領域1内の電子の状態により、遷移
確率が変化する。トンネル電流は、遷移前のスピンと遷
移後のスピンが逆向きの時に流れやすく、同じ向きの時
に流れにくいことが知られている。センサ領域1内にス
ピン偏極状態を発生させておくと、スピン偏極状態に応
じたトンネル電流が流れる。
ンサ領域1にも凹部が形成されている。円偏光2をセン
サ領域1の先端部に入射すると、円偏光照射領域にスピ
ン偏極状態を発生させることができる。円偏光2を、右
回り偏光と左回り偏光に変化させれば、異なるスピン偏
極状態を発生させることができる。スピン偏極状態発生
後、一定時間経過後のトンネル電流を測定すれば、スピ
ン偏極状態を検出し、間接的に磁場4の強度を測定する
ことができる。このような構成により、感磁性素子MS
が構成される。
度の関係を概略的に示す。横軸はトンネル電流Itを示
し、縦軸は磁場強度を示す。測定対象物内の電子のスピ
ン方向と、センサ領域に発生させるスピン偏極状態の極
性に応じ、トンネル電流Itの変化の方向は逆転する。
状態を発生させた場合は、時間経過と共にスピン偏極状
態が緩和し、トンネル電流は次第に流れやすくなる。ス
ピン偏極状態を保持する方向の磁場が印加されると、実
線で示すように磁場強度が強いほど緩和は遅くなる。磁
場の極性が反転すれば、曲線は逆向きの勾配になる。
偏極状態を発生させた場合には、時間経過と共にトンネ
ル電流は次第に流れにくくなる。スピン偏極状態を保持
する方向の磁場が印加されると、破線で示すように磁場
強度が強いほど緩和が遅く、大きい電流が流れる。
って変化するので、トンネル電流を検出することによっ
て磁場の向き、強度を検出することができる。ところ
で、図4(A)に示すように、バルク状の半導体領域に
よりセンサ領域1を形成し、その一部に辺偏光を照射す
ると、円偏光2によって発生させたスピン偏極状態が拡
散により薄まりやすい。円偏光を吸収する領域をの領域
から分離することにより、測定感度を向上させることが
できる。また、センサ領域を小面積にすより、微小領域
の磁場測定が容易になる。
せることのできる感磁性素子MSの構成を示す。GaA
s基板11の表面上に、GaAsバッファ層12をエピ
タキシャルに成長し、その上に厚さ2〜3μmのAl
0.4 Ga0.6 As層13を成長し、その上に厚さ500
Å程度のGaAs層14をエピタキシャル成長する。
りも広いバンドギャップを有し、キャリアに対する電位
障壁を形成する。したがって、GaAs層14内のキャ
リアはその層内に閉じ込められる。
的に入射するため、GaAs基板11、GaAsバッフ
ァ層12を貫通して窓Wが形成されている。この窓Wを
通して下方よりGaAsギャップ波長に対応する波長の
円偏光を入射すれば、AlGaAs層13は透明であ
り、円偏光は効率的にGaAs層14に供給される。
子を励起するため、GaAs層14はp型にドープし、
このp型GaAs層14を通してトンネル電流を流すた
め、他の半導体領域もp型とする。基板11の下面上に
は電極8が形成される。図4(C)に示すような感磁性
素子を図4(A)の構成で用いることにより、トンネル
電流を効率的に測定することができる。
めるため、センサ領域を薄膜化した場合、薄膜の数を1
つに限る必要はない。図5は、積層構造を有する感磁性
素子MSの構成例を示す。図5(A)において、GaA
s基板11の図中下面の上に、広いバンドギャップを有
するAlGaAs層13とセンサ領域となるGaAs層
14が3対積層されている。AlGaAs層13は、G
aAsのギャップ波長の入射円偏光2に対して透明であ
る。円偏光はGaAs層14において吸収され、スピン
偏極状態を発生させる。接地された磁気ディスク3から
発生する磁場により、GaAs層14内でのスピン緩和
が変化する。スピン偏極状態に応じ、磁気ディスク3の
磁化領域から感磁性素子MSに流れるトンネル電流が変
化し、トンネル電流の大きさにより磁場強度を検出する
ことができる。
素子の製造工程を説明するための概略断面図である。図
5(B)に示すように、GaAs基板11の上に、まず
厚さ約10ÅのAlGaAs層14pを成長し、その上
に厚さ約200ÅのGaAs層13a、厚さ約50Åの
AlGaAs層14a、厚さ約50ÅのGaAs層13
b、厚さ約50ÅのAlGaAs層14b、厚さ約20
0ÅのGaAs層13cを順次成長する。なお、これら
の層の成長は約600℃でMBE法により行うことがで
きる。
1の表面上に、レジスト層PRを塗布し、中央に開口を
有するレジストパターンをホトリソグラフィにより形成
する。このレジストパターンをマスクとし、HF+H2
O2 +H2 Oをエッチング液とし、GaAs基板11の
一部厚さを残すように(たとえば基板11が200μm
厚の場合20μm程度を残すように)エッチングを行
う。次に、CCl2 F2+Heをエッチングガスとした
反応性イオンエッチングにより、GaAs基板11の残
り厚さをエッチングし、AlGaAs層14pでエッチ
ングをストップさせる。なお、後半のエッチング条件
は、たとえばCCl2 F2 の流量を10sccmとし、
Heの流量を80sccmとし、圧力を約4Paに保
ち、200Wの高周波電力を供給して行う。
作成し、下方から励起光が入射するセンサ領域以外の部
分をエッチングにより除去すれば、より高感度のセンサ
領域構造が得られる。
り、磁場の向き、強度を検出する場合を説明したが、ス
ピン偏極状態の測定はトンネル電流に限らない。図6
は、光吸収によりスピン偏極状態の測定を示す。
された探針1に、同じ向きの円偏光の2つのパルス2
a、2bを入射する。図6(B)は、最初の円偏光パル
ス2aが探針1によって吸収された状態を概略的に示
す。左回り円偏光の吸収に、探針1内の伝導帯に上向き
スピン3、下向きスピン1の比率でスピン偏極状態が励
起される。このスピン偏極状態を有する探針1に再び左
回り円偏光の2つ目のパルス2bが入射する。探針1内
では、スピン偏極状態の緩和が生じている。このスピン
緩和は、印加されている磁場の強度に応じて変化する。
2つ目の光パルスの透過光を概略的に示す。スピン緩和
が一定の割合で進向しているため、透過光T0 は、図に
示すような強度となるようなものとする。
るような外部磁場が印加されている場合を示す。下向き
スピンを安定化させる外部磁場が印加されると、上向き
スピンの消滅は速くなる。したがって、2つ目の左回り
円偏光2bの入射までにスピン緩和がより進行し、2つ
目の光パルスの吸収は強くなる。このため、透過孔T -
の強度は減少する。
る外部磁場が印加れさている場合を示す。この場合、発
生した上向きスピンが下向きスピンに変化しにくく、2
つ目の左回り円偏光2bが入射されるまでに上向きスピ
ンの減少は少ない。このため、2つ目の左回り円偏光の
吸収は弱くなり、透過孔T+ は大きくなる。このよう
に、2つの円偏光パルスを探針に入射し、2つ目の光パ
ルスの透過率(光吸収)を測定することにより、間接的
に磁場の向き、強度を測定することができる。
針1の光学定数を検出することができる。図6(F)
は、励起されたスピン偏極状態を光で検出する構成例を
示す。GaAs基板11の下側に3対のAlGaAs層
13とGaAs層14が積層されている。基板11に
は、入射光を通過させるための窓Wが開口されている。
基板11上方には、偏光ビームスプリッタ17とλ/4
板18が配置されている。
に偏光軸方向を有する直線偏光21が入射する。この直
線偏光21は、偏光ビームスプリッタ17を通過し、偏
光軸の方向に対して45°の角度に配置されたλ/4板
18を通過することにより、円偏光22に変化する。こ
の円偏光22は、感磁性素子MSの積層センサ領域に入
射し、スピン偏極状態を励起する。
に円偏光22を入射し、反射光23を得る。反射光23
はλ/4板18に入射する。λ/4板18を通過した反
射光は、90°偏光方向を回転させた直線偏光24とな
り、偏光ビームスプリッタ17により反射されて図中右
方に進み、ホトダイオードPDによって検出される。
が発生している場合、GaAs層14a、14b、14
c内でのスピン緩和は磁場強度によって変化する。2つ
の円偏光パルスを入射し、2つ目の円偏光パルスに対す
る光学定数を測定することにより、磁場4の向き、強度
を検出することができる。
加することにより、変調することができる。図7は、歪
を持たせたセンサ領域および量子ドットを形成したセン
サ領域を有する感磁性素子MSの構成例を示す。
1の上に、一旦厚さ3μm程度のp型GaAsP層16
をエピタキシャルに成長した後、厚さ約0.2μmのp
型GaAs層14をエピタキシャルに成長する。GaA
sPは、GaAsよりも小さな格子定数を有し、GaA
s層14に対し、格子不整合に基づく歪を与える。
のバンド構造を概略的に示す。伝導帯において、重いホ
ールのバンドhhに対し、軽いホールのバンドlhが相
対的に移動し、バンドギャップが伝導帯c.b.と軽い
ホールの価電子帯lhによって構成される。このよう
に、価電子帯の縮退を解けば、選択側が変化し、伝導帯
に上向きスピンのみまたは下向きスピンのみの電子を励
起することが可能となる。励起するスピン偏極状態がよ
り安全なものとなるため、測定精度を向上することが可
能となる。たとえ、縮退が完全に解けない場合でも、ス
ピン偏極率を大きくすることが可能となるため、測定精
度を向上することができる。
形成した感磁性素子の構成例を示す。p型GaAs基板
11の上に、GaAs層13で挟まれたAlGaAs層
14を形成した構成を示す。三層のGaAs層13a、
13b、13cの間に、二層のAlGaAs層14a、
14bが形成されている。各AlGaAs層14におい
ては、ほぼGaAsで形成された量子ドット19がAl
0.4 Ga0.6 As領域中に散点状に形成されている。
ンと下向きスピンの2つの電子状態しか許容されていな
い。このため、電子の遷移が簡単化され、選択則も簡単
化される。量子ドットに円偏光を照射すると、すべての
電子のスピンを上向きスピンにしたり、下向きスピンに
したりすることができる。遷移エネルギは、基底準位に
関して1.6eVである。波長選択性も向上し、S/N
比が大きくなる。
ギは約1.8eVであり、GaAsの遷移エネルギは約
1.6eVである。以上、AlGaAs領域にGaAs
量子ドットを形成する場合を説明したが、他の形態の量
子ドットを作成することもできる。たとえば、InGa
As領域において、In組成の高い量子ドットをIn組
成の低い領域内に作成することもできる。
す。図8(A)は、円錐形状を有するセンサ領域26を
示す。支持部分11の上に、バンドギャップの広いAl
GaAs等の領域13を介してバンドギャップの狭いG
aAs等のセンサ領域14が形成されている。感磁性素
子が円錐状に整形されており、その先端にセンサ領域が
配置されている。センサ領域を制限することにより、微
小領域の測定が容易になる。この場合、円偏向2はたと
えば側方より入射し、測定対象3から発生する磁場の水
平成分を測定する。
ル電流で行っても、光吸収で行ってもよい。図8(B)
(B′)は、四角錐状のセンサ領域27の構成例を示
す。感磁性素子の中央部分には入射光を導入するための
窓Wが開口されている。スピン偏極状態を発生させるた
めの円偏光は、上方より窓W内に入射する。センサ領域
27の先端は、測定対象物に近接して配置する。この場
合、測定対象物3から垂直に発生する磁場4を検出する
ことができる。なお、スピン偏極状態の緩和度の測定
は、たとえばトンネル電流によって行う。
るセンサ領域28の構成を示す。センサ領域28は、一
方向において楔型に収束する形状を有する。この楔をプ
リズム的に利用し、円偏光2を側方から入射し、測定対
象物3から発生する磁場4の水平成分を測定する。な
お、図8(A)、(C)において、図8(B)同様、上
方から円偏光を導入するための窓を設け、垂直方向に円
偏光を導入することもできる。
導体レーザ31は、センサ領域でスピン偏極状態を発生
させるのに適した波長の光を発生する。センサ領域がG
aAsの場合、半導体レーザ31は、たとえば、発振波
長830nmのチタンサファイヤレーザである。レーザ
31から発生したレーザ光は、レンズ32によって平衡
光束とされ、偏光方向スイッチング用のポッケルスセル
33を介してミラーM1、M2、M3を通り、λ/4板
35に入射する。
り、レンズ36を通って感磁性素子MSに入射する。感
磁性素子MSは、測定対象3の近傍に配置され、測定対
象3から発生する磁場の強度を検出する。
性素子MSの間に流れるトンネル電流を測定することに
より、測定対象3の発生する磁場強度を検出する。な
お、感磁性素子MSを置き換え、光吸収を測定すること
によってスピン偏極状態の緩和度を測定するものとする
こともできる。
構成を示す。図10(A)は、トンネル電流を高電子移
動度トランジスタ(HEMT)によって増幅する感磁性
素子を示す。半絶縁性GaAs基板40の上に、ノンド
ープのi型GaAs層41がエピタキシャルに成長さ
れ、さらにその上に広いバンドギャップを有し、n型に
ドープされたAlGaAs層42とn型にドープされた
GaAs層43が形成されている。
41の界面近傍に2次元電子ガス45が発生する。n型
GaAs層43の一部が除去され、n型AlGaAs層
42の表面上にショットキゲート電極47が形成されて
いる。この構成により、図中右側部分でHEMTが形成
される。なお、公知の他のHEMT構造を用いてもよ
い。HEMTの代わりにMESFET等を用いてもよ
い。
表面上にp型GaAsのセンサ領域46が形成されてい
る。このセンサ領域46は、測定対象物3の近傍に配置
される。測定対象物3とセンサ領域46との間の距離が
数Å程度に保持されると、その間にトンネル電流が流れ
る。トンネル電流は、HEMTのゲート電極47に接続
され、HEMTによって増幅される。なお、センサ領域
とHEMTの間は、i型GaAs層の途中まで達する溝
44によって分離されている。
成を示す。この構成においては、p型GaAsで形成さ
れたセンサ領域46が、直接ゲート電極を構成してい
る。また、AlGaAs層42およびGaAs層43は
p型にドープされ、p型HEMTを構成している。な
お、p型センサ領域46は、1018cm-3程度のキャリ
ア濃度を有することが好ましい。
イオードによって検出する構成例を示す。図11(A)
において、GaAs基板51の上にAlGaAs、In
GaPのように広いバンドギャップを有する層52が形
成され、その上にp型GaAsのセンサ領域53がエピ
タキシャルに形成されている。このセンサ領域53に、
円偏光2が入射される。センサ領域53は、プリズム的
に作用し、入射円偏光2を下方に屈曲させる。図中、右
方におかれたホトダイオードPDがセンサ領域53を通
過した円偏光の強度を検出する。一旦円偏光でスピン偏
極状態を発生させ、その後の緩和を透過光の強度を測定
することによって検出することにより、センサ領域53
の磁場の向き、強度を検出することができる。
いる場合を示す。センサ領域1の左方にレーザダイオー
ドLDが配置され、右方にホトダイオードPDが配置さ
れる。レーザダイオードLDから発生する直線偏光は、
λ/4板18を通って円偏光となり、センサ領域1に入
射する。センサ領域1を透過した光がホトダイオードP
Dによって検出される。測定対象物3から発生した磁場
の水平方向成分が検出される。
具体化した構成を示す。半導体絶縁生GaAs基板11
の上に、キャリア濃度5×1018cm-3、厚さ約200
nmのn型GaAs層55がエピタキシャルに成長さ
れ、その上に厚さ約300nmのノンドープi型In
0.2 Ga0.8 As層56、キャリア濃度約1×1018c
m -3、厚さ約200nmのp型GaAs層57がエピタ
キシャルに成長されている。p型GaAs層57とn型
GaAs層55の表面上に、それぞれオーミック接触す
る電極59、58が形成されている。
構成される。図中上方より、円偏光2がp型GaAs層
2、i型InGaAs層56に入射される。また、外部
磁場4がp型GaAs層57を通って印加される。円偏
光2によりp型GaAs層にスピン偏極状態を誘起する
と、スピン偏極状態に応じ、円偏光2の透過率が変化す
る。
変化すると、i型InGaAs層56に入射する円偏光
の光量が変化する。i型InGaAs層に入射した入射
光は、電子正孔対を発生させる。この電子正孔対によ
り、pinダイオードに逆方向電流が流れる。したがっ
て、逆方向電流の値はスピン偏極状態に応じて変化す
る。
電流発生機構を示す。p型領域57、n型領域55に挟
まれた狭いバンドギャップのi型領域56に十分なエネ
ルギを有する光が入射すると、電子正孔対が発生し、電
子はn型領域55に流れ、正孔はp型領域57に流れ
る。このようにして、光励起された電流が流れる。
型GaAs層57のスピン偏極状態に応じて変化するた
め、pinダイオードの逆方向電流によりp型GaAs
層の光透過率の変化を知ることができる。したがって、
関節的に外部磁場4の向き、強度を検出することができ
る。
を直接増幅することも可能である。図13(A)は、図
11(B)の他の構成例を示す。半絶縁性GaAs基板
11の上に、n型GaAs層61、i型InGaAs層
62、p型GaAs層63がエピタキシャルに積層され
ている。この構成は図12に示すものと同様である。本
構成においては、さらにp型GaAs層63の一部表面
上にn型GaAs層64が形成されている。n型GaA
s層61、64の表面上にオーミック電極66、67が
形成されている。このようにして、npinホトトラン
ジスタ構造が構成される。
造のバンド構造を概略的に示す。n型領域64、p型領
域63、i型領域62、n型領域61により、ヘテロバ
イポーラトランジスタ構造が形成されている。入射円偏
光2は、p型GaAs層63を透過してi型InGaA
s層62に入射する。i型InGaAs層62で入射光
2が吸収されると、電子正孔対が発生し、電子はn型G
aAs層61に流れ、正孔はp型GaAs層63に流れ
込む。
いないため、正孔はp型GaAs層63内に蓄積され
る。この正孔により、ベース領域となるp型GaAs層
63がバイアスされ、エミッタとなるn型GaAs層6
4からコレクタとなるn型GaAs層61に流れる電流
が変調される。i型InGaAs層62で吸収される光
量に応じて、コレクタ電流が増減する。
は、p型GaAs層63のスピン偏極状態に応じて変化
するため、ホトトランジスタ構造の電流を検出すること
により、p型GaAs層63のスピン偏極状態を検出す
ることができる。したがって、p型GaAs層63に印
加される外部磁場4の向き、強度を検出することができ
る。
等の化合物半導体に照射し、スピン偏極状態を発生さ
せ、その後の緩和過程を検出することにより、外部磁場
の向き、強さを検出することができる。スピン偏極状態
の検出を、光透過率によって行う場合は、測定対象とセ
ンサ領域と数Å程度の極近距離に配置する必要がなく、
制御が簡単になる。
構造を有する化合物半導体で形成することもできる。ま
た、GaAsを囲む比較的バンドギャップの広い領域
は、AlGaAsやInGaPによって構成することが
できる。たとえば、GaAsと格子整合する材料とし
て、Al0.3 Ga0.7 AsやIn0.5 Ga0.5 P等を用
いることができる。この場合、AlGaAsのバンドギ
ャップは約1.79eVであり、InGaPのバンドギ
ャップは約2.0eVとなり、十分な電位障壁が得られ
る。また、基板上に他の半導体素子やファイバ等を集積
化することも可能である。
本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、
種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者
に自明であろう。
トおよびバンドダイヤグラムである。
ある。
するためのグラフである。
スピン偏極率を測定する場合を説明するための概略断面
図およびグラフである。
感磁性素子の他の構成を示す断面図である。
説明するためのダイヤグラムおよび断面図である。
定する感磁性素子の構成を説明するための断面図および
ダイヤグラムである。
断面図である。
す概略断面図である。
する構成を示す概略断面図である。
図およびダイヤグラムである。
断面図およびダイヤグラムである。
Claims (22)
- 【請求項1】 閃亜鉛構造の結晶構造を持つ化合物半導
体のセンサ領域を有する感磁性素子を準備する工程と、 前記センサ領域に円偏光を照射して、スピン偏極状態を
発生させる工程と、 前記センサ領域のスピン偏極を測定対象磁場中で緩和さ
せる工程と、 前記センサ領域のスピン偏極の緩和の度合いを測定する
測定工程と、 得られた緩和の度合いから磁場の強度を検出する工程と
を含む磁場測定方法。 - 【請求項2】 前記測定対象磁場が測定対象物から発す
る磁場であり、前記測定工程が測定対象物と前記センサ
領域との間に流れるトンネル電流を測定する工程である
請求項1記載の磁場測定方法。 - 【請求項3】 前記測定工程が円偏光に対する前記セン
サ領域の光吸収を測定する工程である請求項1記載の磁
場測定方法。 - 【請求項4】 前記センサ領域が比較的バンドギャップ
の広い領域に囲まれた比較的バンドギャップの狭い領域
である請求項1〜3のいずれかに記載の磁場測定方法。 - 【請求項5】 前記センサ領域が歪を有する領域である
請求項1〜4のいずれかに記載の磁場測定方法。 - 【請求項6】 前記センサ領域が量子ドットを有する領
域である請求項1〜4のいずれかに記載の磁場測定方
法。 - 【請求項7】 前記センサ領域がIII族元素としてG
a、V族元素としてAsを含む化合物半導体で形成され
ている請求項1〜6のいずれかに記載の磁場測定方法。 - 【請求項8】 前記センサ領域がp型の導電性を有する
請求項1〜7のいずれかに記載の磁場測定方法。 - 【請求項9】 前記感磁性素子が先端に向かうに従って
断面積が小さくなる収束形状を有し、前記センサ領域が
その先端部に配置されている請求項1〜8のいずれかに
記載の磁場測定方法。 - 【請求項10】 前記センサ領域がpn接合構造を有す
るホトダイオード構造を有する請求項3記載の磁場測定
方法。 - 【請求項11】 前記pn接合構造がpin接合構造で
ある請求項10記載の磁場測定方法。 - 【請求項12】 前記センサ領域がpnp接合構造を有
するホトトランジスタ構造を有する請求項3記載の磁場
測定方法。 - 【請求項13】 閃亜鉛構造を有する結晶構造を持つ化
合物半導体のセンサ領域を有する感磁性素子と、 前記センサ領域に円偏光を照射する手段と、 前記センサ領域を透過した円偏向を検出する手段とを有
する磁気ヘッド装置。 - 【請求項14】 前記円偏光を照射する手段は、少なく
とも2つの光パルスを一定間隔で発生する請求項13記
載の磁気ヘッド装置。 - 【請求項15】 前記センサ領域が比較的バンドギャッ
プの広い領域に囲まれた比較的バンドギャップの狭い領
域である請求項14記載の磁気ヘッド装置。 - 【請求項16】 前記センサ領域が歪を有する領域であ
る請求項14記載の磁気ヘッド装置。 - 【請求項17】 前記センサ領域がIII族元素として
Ga、V族元素としてAsを含む化合物半導体で形成さ
れている請求項14記載の磁気ヘッド装置。 - 【請求項18】 前記センサ領域がp型の導電性を有す
る請求項14記載の磁気ヘッド装置。 - 【請求項19】 前記感磁性素子が先端に向かうに従っ
て断面積が小さくなる収束形状を有し、前記センサ領域
がその先端部に配置されている請求項14記載の磁気ヘ
ッド装置。 - 【請求項20】 前記センサ領域がpn接合構造を有す
るホトダイオード構造を有する請求項14記載の磁気ヘ
ッド装置。 - 【請求項21】 前記pn接合構造がpin接合構造で
ある請求項20記載の磁気ヘッド装置。 - 【請求項22】 前記センサ領域がpnp接合構造を有
するホトトランジスタ構造を有する請求項14記載の磁
気ヘッド装置。
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JP2009164447A (ja) * | 2008-01-09 | 2009-07-23 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 不揮発性光メモリ素子及びその動作方法 |
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1995
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