JP2014082273A - 量子ドット型赤外線検出器、赤外線検出装置、及び赤外線検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】量子ドットを埋め込む中間層に広バンドギャップの半導体材質を用いた場合において、光電流の低減を抑制する。
【解決手段】量子ドット型赤外線検出器は、光検出部13と、光検出部13とモノリシックに形成された発光部11とを備える。光検出部13は、少なくとも一層の量子ドット層31と、量子ドット層31を内包する中間層30とを備える。光検出部13は、量子ドット層31の量子ドットにおけるキャリア51の検出対象赤外線によるサブバンド間遷移に基づいて光電流を出力する。サブバンド間遷移において、キャリアが量子ドットの基底準位33から励起準位34へ遷移する。発光部11の発光エネルギーは、励起準位34と中間層30の伝導帯端とのエネルギー差以上である。発光部11は、サブバンド間遷移により励起準位34に遷移したキャリア52を中間層30の伝導帯に励起する光子41を出力する。
【選択図】図1
【解決手段】量子ドット型赤外線検出器は、光検出部13と、光検出部13とモノリシックに形成された発光部11とを備える。光検出部13は、少なくとも一層の量子ドット層31と、量子ドット層31を内包する中間層30とを備える。光検出部13は、量子ドット層31の量子ドットにおけるキャリア51の検出対象赤外線によるサブバンド間遷移に基づいて光電流を出力する。サブバンド間遷移において、キャリアが量子ドットの基底準位33から励起準位34へ遷移する。発光部11の発光エネルギーは、励起準位34と中間層30の伝導帯端とのエネルギー差以上である。発光部11は、サブバンド間遷移により励起準位34に遷移したキャリア52を中間層30の伝導帯に励起する光子41を出力する。
【選択図】図1
Description
本発明は量子ドット型赤外線検出器、赤外線検出装置、及び赤外線検出方法に関する。
波長が10 μm程度の遠赤外線は、室温付近の黒体輻射スペクトルのピークに相当するため、この波長帯における高性能な検出器が暗視装置やリモートセンシング応用の面から強く望まれている。従来の冷却型赤外線検出器としては、HgCdTe系の材料を用いた直接遷移型赤外線検出装置が主に使われてきた。しかしながらその材料には、大面積基板の均質性が乏しく加工プロセスも困難であるという課題があり、それが赤外線検出器の価格を押し上げる要因となっていた。一方で、近年の半導体結晶成長技術の進展と成熟に伴い、特にGaAs等のIII−V族半導体では均質性の高い大面積基板が低価格で提供されるようになり、これを用いた赤外線検出器(例えば量子井戸型赤外線検出器)が開発されてきた。
このようなIII−V族半導体赤外線検出器の中でも、光吸収層として量子ドットを用いた量子ドット型赤外線検出器が近年頓に注目を集めている。以下に、量子ドットと、それを用いた量子ドット型赤外線検出器の動作原理について簡単に説明する。
量子ドットは、直径がナノメートルサイズの3次元的な微小構造であり、ここでは異なる組成の半導体結晶の接合界面における格子定数の違いによる歪みを解消するために自然に形成される(Stranski−Krastanov(S−K)モード)ものを指す。この様なS−Kモードで形成される半導体量子ドットはS−K量子ドットと呼ばれている。S−K量子ドットは、周囲の半導体材質のバンドギャップに比べて狭いバンドギャップを有する半導体材質で作製される。従って、そのヘテロ界面では伝導帯や荷電子帯に不連続で急峻なギャップが生じ、量子ドットにポテンシャルの井戸が形成される。そのため、量子ドット内には複数個の電子や正孔を保持することができる。量子ドット中のキャリア(電子や正孔)は、それらのド・ブロイ波長より小さな微小空間に3次元的に閉じ込められる。従って、量子ドット中のキャリアは、ちょうど水素原子の電子状態のように、離散化したエネルギー準位を持つ。量子ドットを含む量子ドット層に入射した赤外線は、基底準位(上記離散化エネルギー準位のうち、最もエネルギーの低い準位)に保持されていたキャリア(電子または正孔)を、量子ドット内の高次の離散化準位(励起準位)に励起する。ここで、基底準位は、基底状態に対応する。励起準位は、励起状態に対応する。この遷移はサブバンド間遷移又はサブバンド間励起と呼ばれる場合がある。赤外線によりサブバンド間励起されたキャリア(光キャリア)を、何らかの形でコンタクト電極まで到達させて電気信号(光電流)として測定することで赤外線を検出することができる。
半導体量子ドット型赤外線検出器は、前述した閉じ込めポテンシャル(ポテンシャルの井戸)と離散化エネルギー準位に起因してキャリアの熱励起が強く抑制されるために熱雑音特性に優れ、信号・雑音比の高い赤外線検出が可能である。更に、量子井戸型赤外線検出器ではキャリアが3次元的に閉じ込められていないが、量子ドット型赤外線検出器ではキャリアが3次元的に閉じ込められている。そのため、量子ドット型赤外線検出器では、基板に垂直方向の入射光に対しても感度を有するという利点もある。
赤外線検出器の性能は、おおまかには、入射した赤外線に対応して出力される信号(光電流)と、赤外線とは無関係に出力される雑音(暗電流)の比率で表現される。そのため、赤外線検出器の性能を向上させる方法として、光電流を増加させる方法と、暗電流を低減させる方法とがある。
特許文献1は、量子ドット型赤外線検出器において暗電流を低減する方法の一例を開示している。この例では、電極層を形成する半導体材質よりも広いバンドギャップを有する半導体材質を用いて量子ドットを埋め込む中間層が形成される。具体的には、量子ドットにInAsを用い、量子ドットを埋め込む中間層にAlGaAsを用い、電極層にGaAsを用いる。
上述のように、特許文献1では、電極層(コンタクト層)にGaAsが用いられるのに対して、GaAsよりバンドギャップが広いAlGaAsが中間層に用いられている。この方法によれば、伝導帯(あるいは荷電子帯)の中間層と電極層の界面にエネルギー障壁が形成されるため、バイアス電圧印加に伴う暗電流の低減が期待される。しかしながら、広バンドギャップの中間層を用いると、一般に量子ドットにおける励起準位と中間層における伝導帯端とのエネルギー差も大きくなってしまう。ここで、伝導帯は、電子の連続状態に対応する。そのため、赤外線を吸収して量子ドットの励起準位に遷移した光キャリアが低バイアス側の電極層に抜けにくくなり、結果的に信号(光電流)強度が損なわれるという問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、中間層に広バンドギャップの半導体材質を用いた場合において、光電流の低減を抑制することができる量子ドット型赤外線検出器、赤外線検出装置、及び赤外線検出方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる量子ドット型赤外線検出器は、少なくとも一層の量子ドット層と、前記量子ドット層を内包する中間層とを備えた光検出部と、前記光検出部とモノリシックに形成された発光部とを具備する。前記光検出部は、前記量子ドット層の量子ドットにおけるキャリアの検出対象赤外線によるサブバンド間遷移に基づいて光電流を出力する。前記サブバンド間遷移において、前記キャリアが前記量子ドットの基底準位から励起準位へ遷移する。前記発光部の発光エネルギーは、前記励起準位と前記中間層の伝導帯端とのエネルギー差以上である。前記発光部は、前記サブバンド間遷移により前記励起準位に遷移した前記キャリアを前記中間層の伝導帯に励起する光子を出力する。
本発明にかかる赤外線検出装置は、上記量子ドット型赤外線検出器と、前記光検出部に光検出部バイアス電圧を印加する光検出部用電圧源と、前記発光部に発光部バイアス電圧を印加する発光部用電圧源とを具備する。
本発明にかかる赤外線検出方法は、少なくとも一層の量子ドット層と、前記量子ドット層を内包する中間層とを備えた光検出部に光検出部バイアス電圧を印加するステップと、前記光検出部とモノリシックに形成された発光部に印加される発光部バイアス電圧に基づいて、前記発光部が光子を出力するステップと、前記光検出部に入射した検出対象赤外線により、前記量子ドット層の量子ドットにおいてキャリアが前記量子ドットの基底準位から励起準位へサブバンド間遷移するステップと、前記励起準位に遷移した前記キャリアが前記光子により前記中間層の伝導帯に励起するステップと、前記中間層の前記伝導帯に励起した前記キャリアに基づいて、前記光検出部が光電流を出力するステップとを具備する。前記発光部の発光エネルギーは、前記励起準位と前記中間層の伝導帯端とのエネルギー差以上である。
本発明により、中間層に広バンドギャップの半導体材質を用いた場合において、光電流の低減を抑制することができる量子ドット型赤外線検出器、赤外線検出装置、及び赤外線検出方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態にかかる量子ドット型赤外線検出器において、赤外線による励起に用いられるキャリアは電子であっても正孔であっても構わないが、以下の説明ではキャリアが電子であるとして説明を行う。また、異なる図面においても同一の対象に対しては同一の符号を用いることにする。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器の概略構造を示す。実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器は、半導体の母材10と、発光部11と、共通コンタクト層12と、光検出部13とを備える。母材10、発光部11、共通コンタクト層12、及び光検出部13は、母材10、発光部11、共通コンタクト層12、及び光検出部13の順番でZ方向に配列される。光検出部11と発光部13がモノリシックに形成されているため、実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器が小型化される。
図1は、実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器の概略構造を示す。実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器は、半導体の母材10と、発光部11と、共通コンタクト層12と、光検出部13とを備える。母材10、発光部11、共通コンタクト層12、及び光検出部13は、母材10、発光部11、共通コンタクト層12、及び光検出部13の順番でZ方向に配列される。光検出部11と発光部13がモノリシックに形成されているため、実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器が小型化される。
図2は、発光部11の断面(図2上部)と発光部11における伝導帯(図2下部)を示す。ここで、伝導帯は、電子の連続状態(連続エネルギー状態)に対応する。図2上部に示すように、発光部11は、下部コンタクト層20と、一のクラッド層23と、半導体反射鏡21と、量子井戸層22と、他のクラッド層23とを備える。母材10、下部コンタクト層20、一のクラッド層23、半導体反射鏡21、量子井戸層22、他のクラッド層23、及び共通コンタクト層12は、母材10、下部コンタクト層20、一のクラッド層23、半導体反射鏡21、量子井戸層22、他のクラッド層23、及び共通コンタクト層12の順番でZ方向に配列される。量子井戸層22は、クラッド層23で挟まれている。下部コンタクト層20及び共通コンタクト層12は、発光部11に発光部バイアス電圧を印加するために用いられる。量子井戸層22は、発光部11に印加される発光部バイアス電圧に基づいて光子を発生する光子発生部として機能する。半導体反射鏡21は、量子井戸層22で発生した光子を光検出部13に向けて反射する。量子井戸層22は、光検出部13と半導体反射鏡21の間に配置される。図2下部に、伝導帯端及び量子井戸中の離散準位を示す。
半導体反射鏡21は、例えば分布ブラッグ反射鏡を用いることができる。分布ブラッグ反射鏡とは、第1の半導体材質で形成された半導体膜と、それとは屈折率(組成)の異なる第2の半導体材質で形成された半導体膜が交互に積層された多層膜周期構造を指す。第1の半導体材質で形成された半導体膜の膜厚は、発光部11の発光エネルギーを持つ光の第1の半導体材質中における波長の4分の1に設定されている。第2の半導体材質で形成された半導体膜の膜厚は、発光部11の発光エネルギーを持つ光の第2の半導体材質中における波長の4分の1に設定されている。この条件は、下記式で表される。
ここで、iは半導体材質のラベル、diは第iの半導体膜の膜厚、hはプランク定数、cは光速、Eは発光部11の発光エネルギー、niは第iの半導体材質の屈折率である。多層膜周期構造に含まれる膜数が多いほど反射率が1に近づく(完全反射)。現実的には、20〜30対以上の膜数が好ましい。なお、図2下部の伝導帯端を示す曲線では、図面の簡略化のために多層膜周期構造に対応した表現を省略している。
量子井戸層22は、電荷注入層24と活性層25を1対として、これらが30対程Z方向に配列した構造を有する。ただし、図2では、図面の簡略化のため、電荷注入層24と活性層25の1対と、隣の対の電荷注入層24のみを図示している。量子井戸層22において、電荷注入層24と活性層25とがZ方向に積層されている。電荷注入層24は、例えばInGaAs/InAlAsのダブルヘテロ構造を有する量子井戸が少なくとも10組程度Z方向に配列した構造を有する。(ただし図2下部では、図面の簡略化のため一つの電荷注入層24に対して3組の量子井戸のみが示されている。)同一組成同一膜厚の量子井戸が配列されると、個々の井戸の基底準位から周期的ポテンシャル構造を反映したミニバンドが形成される。活性層25は、電荷注入層24とは組成・膜厚のどちらかあるいは両方が異なった少なくとも1つの量子井戸を含む。量子井戸の基底準位は基底状態に対応する。後述するように、活性層25中の2準位系(基底準位26と励起準位27)での電子の緩和に伴い発光が起きるので、発光部バイアス電圧印加時に活性層25の励起準位27は電荷注入層24のミニバンドのエネルギー準位以下であることが要求される。ここで、基底準位26は、電子の基底状態に対応する。励起準位27は、電子の励起状態に対応する。
図3は、光検出部13の断面(図3上部)と光検出部13における伝導帯(図3下部)を示す。ここで、伝導帯は、電子の連続状態(連続エネルギー状態)に対応する。図3上部に示すように、光検出部13は、少なくとも一層の量子ドット層31と、量子ドット層31を内包する中間層30と、上部コンタクト層32とを備える。共通コンタクト層12、中間層30及び量子ドット層31の積層体、及び上部コンタクト層32は、共通コンタクト層12、中間層30及び量子ドット層31の積層体、及び上部コンタクト層32の順番でZ方向に配列される。上部コンタクト層32及び共通コンタクト層12は、光検出部13に光検出部バイアス電圧を印加するために用いられる。量子ドット層31の量子ドットとしては、例えばInAsのS−K量子ドットを用いる。InAsのS−K量子ドットは、一般的には例えばGaAs基板上にGaAsよりも格子定数の長いInAsから形成される数原子層程度の薄い層(濡れ層)を積むことで自然に形成される。実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器の感度を向上させるために2層以上の量子ドット層31を積層する場合は、第1の量子ドット層31の上に50 nm程度の中間層30を積層した上で第2の量子ドット層31を積層する。第3の量子ドット層31以降についても同様に積層する。複数の量子ドット層31は、Z方向に積層される。図3では図面の簡略化のため、光検出部13が3層の量子ドット層31を含む例を示している。図3下部に、伝導帯端及び量子ドット中の離散準位を示す。伝導帯端を示す曲線は、3層の量子ドット層31を反映している。光検出部13の量子ドットにおける基底準位33と励起準位34とのエネルギー差が、検出対象の赤外線のエネルギーと略一致するように光検出部13が形成されている。ここで、基底準位33は、電子の基底状態に対応する。励起準位34は、電子の励起状態に対応する。
実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器では、光検出部13へのバイアス電圧印加に起因する暗電流を低減する目的で、上部コンタクト層32および共通コンタクト層12を形成する半導体材質よりもバンドギャップが広い半導体材質で中間層30が形成されている。例えば、上部コンタクト層32及び共通コンタクト層12がn−GaAsで形成され、中間層30がGaAsよりバンドギャップが広いAlGaAsで形成される。
図4は、実施の形態1にかかる赤外線検出装置を模式的に示している。実施の形態1にかかる赤外線検出装置は、上述の量子ドット型赤外線検出器と、発光部11に発光部バイアス電圧を印加する発光部用電圧源80と、光検出部13に光検出部バイアス電圧を印加する光検出部用電圧源81と、光検出部13が出力する出力電流を検出する電流検出器79とを備える。発光部用電圧源80及び光検出部用電圧源81は、それぞれ直流電圧源である。発光部用電圧源80の正極が下部コンタクト層20に接続され、発光部用電圧源80の負極が共通コンタクト層12に接続される。光検出部用電圧源81の正極が上部コンタクト層32に接続され、光検出部用電圧源81の負極が共通コンタクト層12に接続される。電流検出器79は、例えば、光検出部13の出力電流を電圧信号に変換してもよい。光検出部13の出力電流は、光検出部13に入射した赤外線に対応する光電流(信号)を含む。
実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器は、共通コンタクト層12と上部コンタクト層32との間に光検出部バイアス電圧を印加して光電流を検出する縦バイアス印加型の赤外線検出器である。光検出部13に光検出部バイアス電圧を印加した状態で、共通コンタクト層12と下部コンタクト層20との間にも独立に発光部バイアス電圧を印加して発光部11を発光させる。その光の一部を光検出部13で受けることで、光電流を補償する(光電流の低減を抑制する)。
以下に説明する実施形態1にかかる赤外線検出方法において、光電流の補償(光電流の低減抑制)について述べる。
図5を参照して、発光部11に発光部バイアス電圧を印加したときの作用を説明する。図5に、発光部11に発光部バイアス電圧を印加したときの発光部11における伝導帯端及び量子井戸中の離散準位を示す。以下に説明するように、発光部バイアス電圧に基づいて量子移井戸層22が光子41を出力する。共通コンタクト層12にグラウンド電位を供給し、下部コンタクト層20に正電位を供給して、発光部11に発光部バイアス電圧を印加する。すると、共通コンタクト層12から共通コンタクト層12に最近接の電荷注入層24のミニバンド40に電子50が供給される。続いて、ミニバンド40から活性層25の励起準位27へ共鳴トンネリングにより電子50が注入される。活性層25において励起準位27から基底準位26へ電子50が緩和する際に、励起準位27と基底準位26のエネルギー差(発光エネルギー)に対応する光子41が放出される。このエネルギー差が、光検出部13の量子ドットにおける励起準位34と中間層30における伝導帯端とのエネルギー差以上となるように、より好ましくは略一致するように、活性層25の組成や膜厚が設計されている。活性層基底準位26へ緩和した電子50は、LO(longitudinal optical)フォノンを介して次の対の電荷注入層24に速やかに排出される。これにより、活性層25の2準位系に反転分布が形成される。引き続き次の電荷注入層24と活性層25の組でも同様にして光子が放出される。図示しない共振器構造によって光強度が再帰的に増幅され、誘導放出を起こすことで量子井戸層22がレーザ発振する。このようなレーザを量子カスケードレーザ又は量子井戸型のカスケードレーザと呼ぶ。このようにして発光した光子の一部は光検出部13に向かって出力する。発光した光子の他の一部は光検出部13の反対方向に出力して量子井戸層22の下側に存在する半導体反射鏡21によってZ方向に(光検出部13に向かって)反射され、光検出部13に照射される。半導体反射鏡21により、発生した光子のうち光検出部13に到達する光子の割合が増加する。
次に、光検出部13に光検出部バイアス電圧を印加した時の作用について説明する。発光部11とは独立に光検出部13にバイアス電圧を印加するため、共通コンタクト層12にグラウンド電位を供給し、光検出部13の上部コンタクト層32に正電位を供給する。
実施の形態1にかかる光検出部13に光検出部バイアス電圧を印加したときの作用の理解を容易にするため、はじめに、比較例にかかる光検出部13に光検出部バイアス電圧を印加した時の作用を説明する。比較例にかかる光検出部13は、中間層30を形成する半導体材質のバンドギャップが上部コンタクト32及び共通コンタクト層12を形成する半導体材質のバンドギャップと同程度である点が実施の形態1にかかる光検出部13と異なる。
図6は、比較例にかかる光検出部13に光検出部バイアス電圧を印加したときの量子ドット近傍におけるポテンシャルを示す。図6は、量子ドット近傍における伝導帯端及び量子ドット中の離散準位を示す。検出対象の赤外線を受けると、量子ドット基底準位33の電子51が励起準位34に励起される。中間層30を形成する半導体材質のバンドギャップが上部コンタクト層32及び共通コンタクト層12を形成する半導体材質のバンドギャップと同程度である場合、量子ドットの形成時に量子ドットのエネルギー準位をうまく調整すると、図6に示すようにバイアス電圧印加の際に中間層30の伝導帯端と量子ドットとの間に形成される三角ポテンシャルが、量子ドットの励起準位34近傍に存在するような状況を実現できる。従って、赤外線によって励起準位34に励起された電子51は、中間層30と量子ドットとの間に形成された三角ポテンシャルをトンネリングすることによって、容易に低バイアス側(正電位側)に移動することができる。
この条件を簡単な不等式で表わしておく。中間層30が複数の量子ドット層31を内包する場合を仮定する(量子ドット層数をmとする)。量子ドット層31間の中間層30における電圧降下は、光検出部13に印加されたバイアス電圧をVとすると、V/(m+1)で近似される。ここで、量子ドット層31の膜厚を無視する近似を行った。従って、量子ドットにおける励起準位34近傍に三角ポテンシャルが存在するためには、下記不等式を満足すればよい。
ここで、ΔEは量子ドットにおける励起準位34と中間層30における伝導帯端とのエネルギー差である。
図7は、実施の形態1にかかる光検出部13に光検出部バイアス電圧を印加したときの量子ドット近傍におけるポテンシャルを示す。図7は、量子ドット近傍における伝導帯端及び量子ドット中の離散準位を示す。実施の形態1にかかる光検出部13では、バイアス電圧印加に起因する暗電流を低減する目的で、上部コンタクト層32及び共通コンタクト層12を形成する半導体材質よりバンドギャップの広い半導体材質で中間層30が形成されている。そのため、図7に示すように、量子ドットにおける励起準位34と中間層30における伝導帯端とのエネルギー差が大きいため、三角ポテンシャルは励起準位34近傍に形成されない。この条件は、下記不等式で表わされる。
この場合、光検出部13に入射した検出対象の赤外線によって基底準位33から励起準位34に電子52が励起(サブバンド間遷移)しても、電子52が励起準位34からトンネリングで低バイアス側に抜け出すことが困難になり、光電流が抑制されてしまう。そこで、その光電流を補償するために発光部11からの光子41が光検出部13に照射される。先述したように、光子41の発光エネルギーは、光検出部13の量子ドットの励起準位34と中間層30の伝導帯端とのエネルギー差以上である。
従って、図7に示すように、赤外線によって量子ドット励起準位34に励起された電子52が基底準位33に緩和する前に発光部11からの光子41を受けると、中間層30の伝導帯に遷移(励起)することができる。このように、光子41により電子50が励起準位34から中間層30の伝導帯に励起することを光アシストと呼ぶ。中間層30の伝導帯まで遷移した電子50は、そのまま低バイアス側に流れて光電流として光検出部13から出力される。光電流は、電流検出器79によって観測される。
上記の効果を奏する上では、光子41の発光エネルギーが量子ドットにおける励起準位34と中間層30における伝導帯端とのエネルギー差以上であることが重要である。一方で発光エネルギーが大きすぎると、光検出部13の量子ドットにおける基底準位33の電子を中間層30における伝導帯に励起してしまう等の想定外の悪影響が増加する。光検出部13の量子ドットにおける基底準位33の電子を中間層30における伝導帯に励起してしまうことを抑制するため、発光エネルギーは量子ドットにおける基底準位33と中間層30における伝導帯端とのエネルギー差より小さいことが好ましい。その他の想定外の悪影響を抑制することを考えると、発光エネルギーは、量子ドットにおける励起準位34と中間層30における伝導帯端とのエネルギー差に略等しいことが最も好ましい。
以上の説明のように、実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器によれば、中間層30に広バンドギャップの半導体材質を用いて暗電流を低減した場合において、広バンドギャップの半導体材質に起因する光電流の取り出し効率の低下を光アシストによって補償することができる。言い換えると、広バンドギャップの半導体材質に起因する光電流の低減を光アシストによって抑制することができる。
次に、実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器及び赤外線検出装置の製造方法について説明する。
図1を参照して、発光部11と光検出部13は、分子線エピタキシー法や有機金属気相成長法によってモノリシックな半導体基板(半導体ウエハ)として成長される。ここで、Z方向は基板成長軸方向に一致している。発光部11と光検出部13はどちらが先に成長されても構わないが、ここでは発光部11、共通コンタクト層12、光検出部13の順番に成長されたものとする。すなわち、図1の上側(基板最表面側)に光検出部13が位置するものとする。バルク半導体としての母材10としては、例えばIII−V族半導体のn−GaAsが好適である。
図2を参照して、発光部11の作製方法を説明する。バルクのGaAs基板としての母材10の上に、厚さ数100 nmの下部コンタクト層20が成長される。下部コンタクト層20は、n型コンタクト層である。下部コンタクト層20は、GaAsにSi等のn型不純物を適当な濃度(例えば2×1018 cm−3)だけ添加することで作製される。次に、クラッド層23が成長される。クラッド層23の材質としては例えばInPが用いられる。次に、分布ブラッグ反射鏡の多層膜21が成長される。多層膜21の第1の半導体材質と第2の半導体材質の組み合わせは、屈折率が異なるものであれば特に限定されないが、例えばGaAsとAlAsの組み合わせを用いることができる。その後、量子井戸層22が成長される。前述したように、量子井戸層22において電荷供給層24と活性層25の対が30対程積層方向(Z方向)に配列している。個々の電荷供給層24において、InGaAs/InAlAsのダブルヘテロ構造を有する量子井戸が少なくとも10組程度配列している。量子井戸層22の上側及び下側(図の左側及び右側)には、InGaAsの導波層(図示されず)が積層されていてもよい。最後に、再びInPのクラッド層23が積層される。
続いて、厚さ数100 nm程度の共通コンタクト層12が積層される。共通コンタクト層12も、下部コンタクト層20と同様にGaAsにSi等のn型不純物を適当な濃度(例えば2×1018 cm−3)だけ添加することで作製される。次に光検出部13が作製される。
図3を参照して、光検出部13の作製方法を説明する。まずi-GaAs緩衝層(図示されず)が100 nmほど積層される。続いて、AlGaAsの中間層30が積層される。AlGaAs中間層30は、少なくとも1層のS−K量子ドット層31を内包する。検出器としての感度を向上させるために、好ましくは複数層の量子ドット層31を内包する。その場合、量子ドットサイズの均一化のため、隣り合う量子ドット層30は50nm程間隔を空けることが望ましい。量子ドットは、成長温度や成長時間や原料供給速度等の様々な成長条件によって、そのサイズや面密度等の特性が変わる。量子ドット中の電子のエネルギー状態は、主に量子ドットのサイズと組成によって決まる。光検出部13の量子ドット中の基底状態33と励起状態34とのエネルギー差が、検出対象の赤外線のエネルギーと略一致するように成長条件を調整する。次に、上部コンタクト層32が積層される。上部コンタクト層32は、n-GaAs層である。
図8は、上述した半導体ウエハに対して微細加工を施して作製した検出器構造の断面図を示す。図8を参照して、検出器構造の作製方法を説明する。まず紫外線または電子線リソグラフィーによってレジストパターンを形成した後に、金属蒸着とリフトオフによりn型コンタクトとしての上部コンタクト電極70を作製する。上部コンタクト電極70は、上部コンタクト層32の上に形成される。上部コンタクト電極70の金属材料としては、例えばAuGe/Ni/Auが好適である。続いて、リソグラフィーによって作製されたレジストパターンをマスクにして、ウエットエッチングを行う。このウエットエッチングによって画素分離のためのメサ構造60が切り出される。メサ構造60は、光検出部13と、上部コンタクト電極70とを含む。ウエットエッチングは、共通コンタクト層12の上面が露出するまで行われる。続いて、上部コンタクト電極70と同様にして共通コンタクト電極71が形成される。共通コンタクト電極71は共通コンタクト層12の上に形成される。その後、上部コンタクト電極70と上部コンタクト層32の間および共通コンタクト電極71と共通コンタクト層12の間のオーミック接続をとるため、アニール処理を行う。アニール処理条件は、水素ガスを流した還元雰囲気中で400℃程度の基板温度という条件下で行われる。最後に、半導体ウエハから複数の画素(メサ構造60)を含む適当な範囲の半導体チップが切り出される。この半導体チップは、実施の形態1にかかる量子ドット型赤外線検出器を含んでいる。
上記のように作製された半導体チップを、適当な支持基材上に銀ペースト等の導電性の接着剤を用いて固定する。支持基材としては、例えば導電性セラミックスを用いることができる。これにより、支持基材をいわば下部コンタクト電極として用い、導電性接着剤を介してn−GaAs基板としの母材10および下部コンタクト層20に基板背面からバイアス電圧を印加することができる。その後、上部コンタクト電極70と共通コンタクト電極71、及び下部コンタクト電極(支持基材)に対してワイヤーボンディングにより電気配線(典型的には直径数10 μmの金線)を結線する。それぞれの電極からの配線は、バイアス電圧印加のための電圧源80及び81や信号読み出し用のIC回路(電流検出器79)等に接続される。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法を以下に説明する。
実施の形態1では、発光部11に直流の、すなわち時間的に変動しない、バイアス電圧を印加する場合を説明した。もちろん、この場合も所定の効果を奏するが、実施の形態2では、検出精度を高めるために発光部11に交流のバイアス電圧を印加し、ロックイン検波系を用いて光電流を検出する。実施の形態2にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法は、以下に説明する点が実施の形態1にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法から変更されている。
次に、実施の形態2にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法を以下に説明する。
実施の形態1では、発光部11に直流の、すなわち時間的に変動しない、バイアス電圧を印加する場合を説明した。もちろん、この場合も所定の効果を奏するが、実施の形態2では、検出精度を高めるために発光部11に交流のバイアス電圧を印加し、ロックイン検波系を用いて光電流を検出する。実施の形態2にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法は、以下に説明する点が実施の形態1にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法から変更されている。
図9を参照して、実施の形態2にかかる赤外線検出装置は、上述の赤外線検出器と、発光部用電圧源80と、光検出部用電圧源81と、カレントアンプ82と、ロックインアンプ83と、交流電圧源84とを備える。光検出部用電圧源80は、共通コンタクト層12と、光検出部13の上部コンタクト層32とに接続される。光検出部13は、カレントアンプ82を介してロックインアンプ83に接続される。発光部用電圧源80は、共通コンタクト層12と、発光部11の下部コンタクト層20とに接続される。交流電圧源84は、ロックインアンプ84の参照信号入力端子に接続される。発光部用電源80及び交流電圧源84は互いに接続される。発光部用電圧源80は、発光部11に交流の発光部バイアス電圧を印加する交流電圧源である。ここで発光部バイアス電圧とは、例えば、0Vと数Vの2値を周期的に繰り返す矩形波のバイアス電圧である。これによって発光部11は周期的に駆動されるため、その出力はパルス状のレーザ光となる。一方で、直流電圧源である光検出部用電圧源81は、光検出部13に直流の光検出部バイアス電圧を印加する。光検出部13では、発光部11からのパルスレーザの光アシストを受けて光電流が流れるため、光検出部13からの光電流出力もパルスレーザ光に同期した交流信号になる。ここで、光検出部13から出力される光検出部出力電流91は、この光電流出力と、暗電流とを含む。
光検出部13は、カレントアンプ82を介してロックインアンプ83へ光検出部出力電流91を出力する。カレントアンプ82は光検出部出力電流91を増幅する。発光部11を駆動する発光部用電圧源80は、発光部バイアス電圧の周波数及び位相に対応した参照信号92を交流電圧源84に出力する。交流電圧源84は、参照信号92に同期した、適当な振幅と波形の交流電圧をロックインアンプ83に出力する。この交流電圧は、発光部バイアス電圧の周波数及び位相を反映している。ロックインアンプ83は、交流電圧源84から供給される交流電圧に基づいて、増幅された光検出部出力電流91から発光部バイアス電圧の周波数及び位相に対応する成分を抽出する。上述したロックイン検波系によれば、光検出部13が出力した光検出部出力電流91から暗電流等の直流成分や発光部11の駆動周波数とは無関係な交流ノイズ電流成分を取り除いて、光アシストされた光電流のみを効率よく取り出すことができる。したがって、実施の形態2にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法の検出精度が高くなる。
尚、発光部による光アシストがされない赤外線検出器にロックイン検波系を適用する場合は、その赤外線検出器に光チョッパーを介して赤外線を入力するか、その赤外線検出器の量子ドットへ印加されるバイアス電圧を交流にする必要がある。光チョッパーを用いると、その赤外線検出器の外部に機械的な可動部を設けることになる。そのため、その赤外線検出器及び光チョッパーを含む検出システムの全体サイズの増大、その検出システムのコストの上昇、及び、機械的な可動部の耐久性といった問題が発生する。更に、量子ドット型赤外線検出器は、検出器としての特性自体にバイアス電圧依存性があるため、交流のバイアス電圧を印加すると測定の正確さが低下するという問題が発生する。
実施の形態2によれば、光検出部13には直流のバイアス電圧を印加しつつ、発光部11に交流のバイアス電圧を印加する。更に、光チョッパーのような機械的な可動部が不要である。したがって、上記の問題を発生させることなく、ロックイン検波系による高精度検出を実現することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる赤外線検出器を説明する。実施の形態3にかかる赤外線検出器は、以下に説明する点が実施の形態1にかかる赤外線検出器から変更されている。尚、実施の形態3にかかる赤外線検出器を実施の形態1及び2にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法に適用してもよい。
次に、実施の形態3にかかる赤外線検出器を説明する。実施の形態3にかかる赤外線検出器は、以下に説明する点が実施の形態1にかかる赤外線検出器から変更されている。尚、実施の形態3にかかる赤外線検出器を実施の形態1及び2にかかる赤外線検出装置及び赤外線検出方法に適用してもよい。
図10を参照して、実施の形態3にかかる赤外線検出器の光検出部13は、中間層30と量子ドット層31の積層体と上部コンタクト層32との間に配置された半導体反射鏡29を備える。半導体反射鏡29は、上部コンタクト層32に最近接の中間層30と上部コンタクト層32との間に配置される。中間層30及び量子ドット層31の積層体は、半導体反射鏡29と発光部11の間に配置される。半導体反射鏡29は、発光部11に設けられる半導体反射鏡21と同様に作製される。実施の形態3によれば、発光層11から光検出部13に向けて照射された光のうち、光アシスト過程で吸収されなかった光が半導体反射鏡29により再度量子ドット層31に向けて反射される。そのため、光アシスト過程の効率が向上する。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態にかかる量子ドット型赤外線検出器の薄膜を形成する半導体材質は、上記のものに限定されない。半導体反射鏡21を設けなくてもよい。
11…発光部
13…光検出部
21、29…半導体反射鏡
22…量子井戸層
30…中間層
31…量子ドット層
33…量子ドット基底準位
34…量子ドット励起準位
41…光子
50、51、52…電子
80…発光部用電圧源
81…光検出部用電圧源
83…ロックインアンプ
91…光検出部出力電流
13…光検出部
21、29…半導体反射鏡
22…量子井戸層
30…中間層
31…量子ドット層
33…量子ドット基底準位
34…量子ドット励起準位
41…光子
50、51、52…電子
80…発光部用電圧源
81…光検出部用電圧源
83…ロックインアンプ
91…光検出部出力電流
Claims (10)
- 少なくとも一層の量子ドット層と、前記量子ドット層を内包する中間層とを備えた光検出部と、
前記光検出部とモノリシックに形成された発光部と
を具備し、
前記光検出部は、前記量子ドット層の量子ドットにおけるキャリアの検出対象赤外線によるサブバンド間遷移に基づいて光電流を出力し、
前記サブバンド間遷移において、前記キャリアが前記量子ドットの基底準位から励起準位へ遷移し、
前記発光部の発光エネルギーは、前記励起準位と前記中間層の伝導帯端とのエネルギー差以上であり、
前記発光部は、前記サブバンド間遷移により前記励起準位に遷移した前記キャリアを前記中間層の伝導帯に励起する光子を出力する
量子ドット型赤外線検出器。 - 請求項1に記載の量子ドット型赤外線検出器であって、
前記発光エネルギーは、前記基底準位と前記伝導帯端とのエネルギー差より小さい
量子ドット型赤外線検出器。 - 請求項1又は2に記載の量子ドット型赤外線検出器であって、
前記発光エネルギーは、前記励起準位と前記伝導帯端とのエネルギー差に略等しい
量子ドット型赤外線検出器。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の量子ドット型赤外線検出器であって、
前記発光部は、量子井戸型のカスケードレーザである
量子ドット型赤外線検出器。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の量子ドット型赤外線検出器であって、
前記発光部は、
光子を発生する量子井戸層と、
前記量子井戸層で発生した前記光子を前記光検出部に向けて反射する第1半導体反射鏡と
を備え、
前記量子井戸層は、前記光検出部と前記第1半導体反射鏡の間に配置される
量子ドット型赤外線検出器。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の量子ドット型赤外線検出器であって、
前記光検出部は、前記発光部が出力した光子を前記量子ドット層に向けて反射する第2半導体反射鏡を更に備え、
前記量子ドット層及び前記中間層は、前記第2半導体反射鏡と前記発光部の間に配置される
量子ドット型赤外線検出器。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の量子ドット型赤外線検出器と、
前記光検出部に光検出部バイアス電圧を印加する光検出部用電圧源と、
前記発光部に発光部バイアス電圧を印加する発光部用電圧源と
を具備する
赤外線検出装置。 - 請求項7に記載の赤外線検出装置であって、
前記光検出部バイアス電圧は直流電圧であり、
前記発光部バイアス電圧は交流電圧であり、
前記光検出部の出力から前記発光部バイアス電圧の周波数及び位相に対応する成分を抽出するロックインアンプを更に具備する
赤外線検出装置。 - 少なくとも一層の量子ドット層と、前記量子ドット層を内包する中間層とを備えた光検出部に光検出部バイアス電圧を印加するステップと、
前記光検出部とモノリシックに形成された発光部に印加される発光部バイアス電圧に基づいて、前記発光部が光子を出力するステップと、
前記光検出部に入射した検出対象赤外線により、前記量子ドット層の量子ドットにおいてキャリアが前記量子ドットの基底準位から励起準位へサブバンド間遷移するステップと、
前記励起準位に遷移した前記キャリアが前記光子により前記中間層の伝導帯に励起するステップと、
前記中間層の前記伝導帯に励起した前記キャリアに基づいて、前記光検出部が光電流を出力するステップと
を具備し、
前記発光部の発光エネルギーは、前記励起準位と前記中間層の伝導帯端とのエネルギー差以上である
赤外線検出方法。 - 請求項9に記載の赤外線検出方法であって、
前記光検出部バイアス電圧は直流電圧であり、
発光部バイアス電圧は交流電圧であり、
前記光検出部の出力から前記発光部用バイアス電圧の周波数及び位相に対応する成分を抽出するステップを更に具備する
赤外線検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012228198A JP2014082273A (ja) | 2012-10-15 | 2012-10-15 | 量子ドット型赤外線検出器、赤外線検出装置、及び赤外線検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012228198A JP2014082273A (ja) | 2012-10-15 | 2012-10-15 | 量子ドット型赤外線検出器、赤外線検出装置、及び赤外線検出方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2014082273A true JP2014082273A (ja) | 2014-05-08 |
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ID=50786227
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JP2012228198A Pending JP2014082273A (ja) | 2012-10-15 | 2012-10-15 | 量子ドット型赤外線検出器、赤外線検出装置、及び赤外線検出方法 |
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JP (1) | JP2014082273A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018533049A (ja) * | 2015-09-02 | 2018-11-08 | アイウェイ ビジョン リミテッドEyeWay Vision Ltd. | 目投影システム及び方法 |
-
2012
- 2012-10-15 JP JP2012228198A patent/JP2014082273A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018533049A (ja) * | 2015-09-02 | 2018-11-08 | アイウェイ ビジョン リミテッドEyeWay Vision Ltd. | 目投影システム及び方法 |
US11079601B2 (en) | 2015-09-02 | 2021-08-03 | Eyeway Vision Ltd. | Eye projection system and method |
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