JP3365329B2 - 光−電圧変換型半導体受光素子、光信号処理装置および光集積素子 - Google Patents

光−電圧変換型半導体受光素子、光信号処理装置および光集積素子

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JP3365329B2
JP3365329B2 JP01494299A JP1494299A JP3365329B2 JP 3365329 B2 JP3365329 B2 JP 3365329B2 JP 01494299 A JP01494299 A JP 01494299A JP 1494299 A JP1494299 A JP 1494299A JP 3365329 B2 JP3365329 B2 JP 3365329B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光−電圧変換型半
導体受光素子、光信号処理装置および光集積素子に関
し、特に高速信号光を効率よく電圧信号に変換すること
が可能な光−電圧変換型半導体受光素子、それを搭載し
た光信号処理装置および光集積素子に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信・計測技術において高速大容量化
は必須であり、特に光信号を電気信号に変換する受信機
においては、半導体を用いた受光素子が従来より開発さ
れている。ここで光通信・計測技術では、一般には信号
光を信号電流に変換するタイプの受光素子が適用されて
おり、PINフォトダイオード(例えば、1984年エ
レクトロニクス・レターズ(Electron. Le
tt.)のVol.20,No.16,第654頁参
照)さらには、内部利得効果を有するアバランシェ・フ
ォトダイオード(APD)(例えば、1984年エレク
トロニクス・レターズのVol.20,No.16,第
653頁参照)等がある。
【0003】これらの素子では、空乏化された光吸収層
内で光吸収により光キャリアが発生し、外部電界により
ドリフト走行させ、電極より電流信号として取り出すこ
とにより信号認識が可能となる。また他に、空乏層内で
発生した光キャリアによる素子の伝導率変化を利用した
光伝導型素子(例えば、1984年アプライド・フィジ
ックス・レターズ(Appl. Phys. Let
t.)のVol44,No.12,第1142頁参照)
がある。
【0004】一方、特開平9−213985号公報に開
示された技術においては、少なくとも20nm以下に近
接したn型高濃度デルタドープ層とp型高濃度デルタド
ープ層とからなるドーピングダイポール構造を、光照射
を受けるアンドープ層に周期的に形成することが開示さ
れている。この特開平9−213985号公報に開示さ
れた技術では、光吸収層に鋸歯状のバンド構造が形成さ
れることにより、高速かつ高感度な光伝導素子が実現で
きるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の半導体
受光素子においては、特に高速応答と効率に注目すると
以下のような課題があった。すなわち、従来のPINフ
ォトダイオード及びAPDにおいて高速応答を支配する
要因としては、素子自体が有する容量及び抵抗によるC
R回路時定数制限および、空乏化された光吸収層内を光
キャリアが走行することにより生じる走行時間制限があ
る。
【0006】ここで、前者に対してはpn接合径の低減
による容量低減、電極最適化によるコンタクト抵抗低減
等の改善により対処が可能である。後者に対しては、高
速化のためには光吸収層を薄膜化し走行時間を短縮する
ことが原則となる。しかしながら、この場合光−電流変
換効率(量子効率)は光吸収層厚に依存し、薄膜になる
にしたがい低下する。このため、高速応答性と高い量子
効率を両立することは、難しいとされている。
【0007】また、上記光伝型導素子においても、発生
キャリアを高速に電極に引き抜くことが高速化の基本と
なる。そのために、高移動度キャリアを有する高純度層
を適用し光キャリアの引き抜きを早くする。光吸収層と
して高キャリア濃度層あるいは多くの再結合センターを
導入し、光キャリアの寿命を引き抜き時間より短縮する
ことにより実効的に高速化する等が提案されている。
【0008】特に後者の場合、キャリアの走行時間によ
らないため、前者よりさらに高速化が期待でき、例えば
特開昭第63−96969号公報等に従来技術が例示さ
れている。ところが、後者の場合は結晶品質を犠牲にし
てキャリア寿命低減を図っており、このために光吸収−
光キャリア発生の過程に影響を与え、効率劣化等の問題
を結果的に生じる。
【0009】さらに、上記特開平9−213985号公
報に開示された技術においては、この素子は光伝導素子
とされている。従って、この素子により電圧信号を取り
出すには外部電源が必要であった。
【0010】本発明は上記課題にかんがみてなされたも
のであり、技術的課題の一つは、高速応答かつ高効率な
特性を両立することにより、信号電圧を素子内で発生さ
せて外部電源の必要でない半導体受光素子を提供するこ
とにある。さらに、他の技術的課題として半導体受光素
子を同一基板上に配した光集積素子、さらにはそれらを
搭載した光通信・計測装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1にかかる発明は、少なくとも20nm以下
に近接したn型高濃度デルタドープ層とp型高濃度デル
タドープ層とからなるドーピングダイポール構造を、光
照射を受けるアンドープ層に周期的に形成することによ
り鋸歯状のバンド構造を呈する光吸収と、上記アンド
ープ層に光を照射することによって生じる光キャリアが
鋸歯状のバンド構造によりドリフトして、上記ドーピン
グダイポール構造領域に集まって光起電力を生じさせる
電圧発生部と、再結合を介して高速に光キャリアを消滅
させる光キャリア消滅部とを具備する構成としてある。
【0012】また、請求項2にかかる発明は、前記電圧
発生部で発生した光起電力を、外部に電圧信号として出
力する電力出力部を具備した構成としてある。
【0013】光吸収においてはアンドープ層に少なく
とも20nm以下に近接したn型高濃度デルタドープ層
とp型高濃度デルタドープ層とからなるドーピングダイ
ポール構造が周期的に形成されている。つまり、光照射
を受ける為のある程度の長さを有したアンドープ層,n
型高濃度デルタドープ層,20nm以下のアンドープ
層,p型高濃度デルタドープ層という順番で層をなす。
【0014】ここで、ある層にn型領域とp型領域とを
形成すると、層内でフェルミレベルが同一になるように
両層のエネルギーバンドが決定される。従って、両層の
電子の、あるエネルギーに対する電子の分布確率が同一
となるのでp型領域の伝導帯の底のエネルギー値よりn
型領域の伝導帯の底のエネルギー値の方が低くなる。荷
電子帯の上端も同様である。
【0015】このため、上記のようにアンドープ層にn
型高濃度デルタドープ層とp型高濃度デルタドープ層と
を周期的に形成すると、光照射を受けるためのアンドー
プ層ではp型高濃度デルタドープ層からn型高濃度デル
タドープ層に向かって伝導帯の底及び荷電子帯が徐々に
低くなる。さらに、このn型高濃度デルタドープ層と次
のp型高濃度デルタドープ層とは非常に近接しているの
で、n型高濃度デルタドープ層からp型高濃度デルタド
ープ層に向けて伝導帯の底及び荷電子帯の上端のエネル
ギー値が急激に高くなり、このバンド構造が周期的に表
れることにより鋸歯状のバンド構造が形成される。
【0016】ここで、光照射を受けるためのアンドープ
層に光を照射することは、すなわち、p型高濃度デルタ
ドープ層からn型高濃度デルタドープ層に向かって伝導
帯の底及び荷電子帯が徐々に低くなるバンド構造を有す
る位置に光を照射することである。従って、光照射によ
ると、この領域で電子が励起されて伝導帯の底付近に電
子を生じ、荷電子帯の上端付近でホールを生じて光キャ
リアが発生する。この発生した光キャリアは、鋸歯状の
バンド構造に基づく分極電界によってドリフトして、電
子はn型高濃度デルタドープ層方向へ、ホールはp型高
濃度デルタドープ層方向へ移動する。
【0017】すなわち、n型高濃度デルタドープ層とp
型高濃度デルタドープ層とは20nm以下に近接してい
るので、移動してきた電子とホールは空間的に非常に近
接することになって、これらの光キャリアは直接再結合
による消滅が促される。また、n型高濃度デルタドープ
層とp型高濃度デルタドープ層とは高濃度デルタドープ
層であるので再結合中心を多く有しており、この再結合
中心を介して間接再結合による消滅が促される。つま
り、これらの過程を通じて光キャリアは急速に消滅され
る。
【0018】このように、光キャリアの発生領域と消滅
領域とは空間的に別領域であり、光吸収層内で効率的に
光キャリア発生及び消滅が行われる。また、素子応答
は、高々数十nmのアンドープ層域のドリフト走行時間
とサブpsオーダーの再結合による消滅で決定されるた
め、超高速応答が可能となる。
【0019】また、一つのドーピングダイポール領域で
の発生電圧は、基本的には上述のようにpn接合での光
起電効果を考えればよく、最大でもバンドキャップ程度
の電圧である。しかしながら、本発明ではドーピングダ
イポールが周期構造となっているので、電圧発生源が
直列に連なっているのと同様の効果を奏する。従って、
ドーピングダイポール構造及び繰り返し周期数の最適化
等により、光キャリアを効率よくドーピングダイポール
領域に集めることが可能で、バンドギャップ以上の高い
信号電圧(〜数V程度)の発生が原理的に可能となる。
従って、信号を取り出すための外部電源を繋ぐことな
く、光信号を電圧信号に変換することができる。
【0020】さらに、高速性はあくまでも1周期内での
光キャリアの発生・消滅過程に依存するので、応答劣化
を伴うことはない。これにより、従来の受光素子におい
て課題であった効率と高速性のトレードオフを回避した
超高速・高効率の光−電圧変換素子としての動作が可能
となる。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】このような光−電圧変換型半導体受光素子
は大きな動作電圧を、外部電源によらずに出力できるの
で、様々な用途があり、その好適な例として請求項
かかる発明は、光信号を電圧に変換して出力する素子と
して請求項1又は2に記載の光−電圧変換型半導体受光
素子を使用して、光計測,光通信等を行う構成としてあ
る。
【0026】すなわち、例えば、光通信において受信光
信号を電気信号に変換する機構に本発明による光−電圧
変換型半導体受光素子を使用したとき、この光−電圧変
換型半導体受光素子は大きい電圧を出力する。従って、
外部電源やアンプ等を使用する必要がなく、光信号処理
装置を簡易な構成とすることができる。
【0027】さらに、この光−電圧変換型半導体受光素
子を便利なデバイスとして構成するために、請求項
かかる発明は、半導体基板内に形成する二個以上の半導
体光・電子素子の一つとして、上記請求項1又は2に
載の光−電圧変換型半導体受光素子を搭載する構成とし
てある。
【0028】すなわち、光クロック抽出などの機能を行
うための集積回路に、所定の機能を行わせるための半導
体光・電子素子を集積し、光信号受光素子として光−電
圧変換型半導体受光素子も集積する。この結果、所定の
機能が一つのチップにより実現される。
【0029】さらに、このような光集積素子を使用して
好適な例として、請求項にかかる発明は、光信号を電
圧に変換して出力する素子として上記請求項に記載の
光集積素子を使用して、光計測,光通信等を行う構成と
してある。
【0030】すなわち、光計測,光通信等を行う光信号
処理装置に、光信号−電圧信号変換を含む一つの機能が
集約されたチップを使用すると、より簡単にこの光信号
処理装置が構成される。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面にもとづいて本発明の
実施形態を説明する。図1は、本発明の第一の実施形態
にかかる光−電圧変換型半導体受光素子の断面を示して
いる。図において、光−電圧変換型半導体受光素子はn
+−InP基板110上に積層される。すなわち、n+
−InP基板110上にはn+−InPバッファ層12
0が100nm積層されており、その上にInGaAs
光吸収層130が800nm積層されている。
【0032】このInGaAs光吸収層130の上に
は、さらにn+−InPキャップ層140が10nm積
層されており、このn+−InPキャップ層140の上
部とn+−InP基板110の下部とにそれぞれn型A
uGeNi電極150,160が設けられている。そし
て、このn型AuGeNi電極150,160を介して
InGaAs光吸収層130にて発生した電気信号を取
り出せるようになっており、この意味において、n型A
uGeNi電極150,160が上記電力出力を構成
する。
【0033】図2(a)は、InGaAs光吸収層13
0の拡大図、図2(b)はそのバンド構造を示してい
る。図2(a)において、一周期は50nmのアンドー
プ層133,10nmのp型高濃度デルタドープ層13
1,10nmのアンドープスペーサ134および10n
mのn型高濃度デルタドープ層132とからなってい
る。従って、一周期は80nmであり、これが十周期繰
り返されてInGaAs光吸収層130が800nmと
なっている。
【0034】ここで、p型高濃度デルタドープ層131
には、ホールが1立方センチメートル当たり1.0×1
19個の密度になるようドーピングされており、n型高
濃度デルタドープ層132には、電子が1立方センチメ
ートル当たり1.0×1019個の密度になるようドーピ
ングされている。
【0035】また、このようにInGaAs光吸収層1
30は、p型高濃度デルタドープ層131とn型高濃度
デルタドープ層132とが形成されており、同一層内で
はフェルミレベルが同一になるように両層のエネルギー
バンドが決定されるので、p型高濃度デルタドープ層の
伝導帯の底のエネルギー値よりn型高濃度デルタドープ
層の伝導帯の底のエネルギー値の方が低くなる。荷電子
帯の上端も同様である。
【0036】このため、図2(b)に示すように、p型
高濃度デルタドープ層131からn型高濃度デルタドー
プ層132に向けて、伝導帯の底のエネルギー値および
荷電子帯の上端のエネルギー値が小さくなっていくバン
ド構造を取る。ここで、アンドープ層133は50n
m,アンドープスペーサ134は10nmであるので、
伝導帯の底のエネルギー値および荷電子帯の上端のエネ
ルギー値の変化は、p型高濃度デルタドープ層からアン
ドープ層方向には緩やかに変化して、アンドープスペー
サ方向には急激に変化する。従って、バンド構造は図2
(b)に示すように、鋸歯状となる。この意味におい
て、InGaAs光吸収層130が上記光吸収を構成
する。
【0037】上記のような構成において、図1に示すよ
うに積層面に垂直に信号光17を照射すると、アンドー
プ層133にて図2(b)の1に示す過程により電子が
励起される。この結果、伝導帯の底付近に電子を生じ、
荷電子帯の上端付近でホールを生じて光キャリアが発生
する。そして、発生した光キャリアは鋸歯状のバンド構
造に基づく分極電界によってドリフトして、図2(b)
の2で示すように電子はn型高濃度デルタドープ層方向
へ、ホールはp型高濃度デルタドープ層方向へ移動す
る。
【0038】ここで、n型高濃度デルタドープ層とp型
高濃度デルタドープ層とはアンドープスペーサ134の
距離である10nmしか離れていないので、両デルタド
ープ層に移動してきた電子とホールとは非常に近接す
る。従って、これらの光キャリアは直接再結合により容
易に消滅する。また、n型高濃度デルタドープ層方向と
p型高濃度デルタドープ層とは高濃度デルタドープ層で
あるので再結合中心を多く有しており、この再結合中心
を介して間接再結合により容易に消滅する。従って、こ
れらの直接再結合および間接再結合過程を通じて光キャ
リアは急速に消滅する。
【0039】このように、光キャリアの発生領域と消滅
領域とは空間的に別領域であるので、InGaAs光吸
収層内では非常に効率的に光キャリア発生及び消滅が行
われる。また、素子応答は、たかだか数十nmのアンド
ープ層域のドリフト走行時間とサブpsオーダーの再結
合による消滅で決定されるため、超高速応答が可能とな
る。
【0040】また、一周期での発生電圧は、基本的には
上述のようにpn接合での光起電効果であり、最大でも
バンドキャップ程度の電圧である。しかしながら、この
層構造が十周期繰り返すことにより、電圧発生源が直列
に連なっているのと同様の効果を奏する。従って、バン
ドギャップ以上の高い信号電圧の発生が可能となり、信
号を取り出すための外部電源を繋ぐことなく、光信号を
電圧信号に変換することができる。
【0041】図3は図1の実施形態において、信号光1
7として波長1.55μmの信号光を照射したときに得
られる出力信号電圧を示しており、縦軸はログスケール
による出力信号電圧(mV)であり、横軸はログスケー
ルによる入力信号のパワー(mV)である。図におい
て、信号光の入力パワーを増加させると出力信号も増加
し、入力信号1mWにおいて3V程度の大きな出力信号
が発生している。
【0042】図4は、本発明の第二の実施形態にかかる
光−電圧変換型半導体受光素子の斜視図を示している。
図において、光−電圧変換型半導体受光素子はn+−I
nP基板210上に積層される。すなわち、n+−In
P基板210上にはn+−InPクラッド層220が1
00nm積層されており、その上にInGaAs光導波
・吸収層230が800nm積層されている。
【0043】このInGaAs光導波・吸収層230の
上には、さらにn+−InPクラッド層240が10n
m積層されており、このn+−InPクラッド層240
の上部とn+−InP基板210の下部とにそれぞれn
型AuGeNi電極250,260が設けられている。
そして、このn型AuGeNi電極250,260を介
してInGaAs光導波・吸収層230にて発生した電
気信号を取り出せるようになっている。
【0044】上記構成における、InGaAs光導波・
吸収層230は、上記第一の実施例におけるInGaA
s光吸収層130と同様の構造となっており、このIn
GaAs光導波・吸収層230はn+−InPクラッド
層220,240に挟まれている。従って、信号光27
0を半導体層面に対して水平方向に入射したときには、
InGaAs光導波・吸収層230は導波管として働く
ので、信号光270が吸収されつつ伝導する。このとき
上述の第一の実施例と同様の機構により光信号が電圧に
変換されて、n型AuGeNi電極250および260
から出力される。
【0045】上述の光−電圧変換型半導体受光素子は、
外部電源なしで光信号を電圧信号に変換できるので様々
な用途が考えられ、特に好適な例として超高速光信号処
理において重要な光クロック抽出技術に関するものを図
5に基づいて説明する。通常40Gbps以上の超高速
信号では、送信側及び受信側で時分割多重処理を行う場
合が多く、この場合、受信側では10Gbps信号列分
を選択抽出し、電気信号に変換する必要がある。
【0046】このためには、10GHz光クロック列3
10を発生させ、この10GHz光クロック列310を
光−電圧変換型半導体受光素子330に入射する。この
光−電圧変換型半導体受光素子330は半導体吸収型光
変調器340に接続されており、また、この半導体吸収
型光変調器340には40Gbps光データ列320が
入力される。
【0047】ここで、10GHz光クロック列310を
光−電圧変換型半導体受光素子330に入力することに
よって、高速電圧パルスが発生して半導体吸収型光変調
器340に入力される。この半導体吸収型光変調器34
0においては、高速電圧パルスで変調器を駆動して、4
0Gbps光データ列320と同期させる。この結果、
半導体吸収型光変調器340は所望の10Gbps信号
列を抽出,出力する。
【0048】この場合、光クロック抽出を行うことのメ
リットは、アンプ等の電子回路を用いないことによる帯
域制限が少ないということ、さらには光の短パルス性を
活用してデューティの低いクロックパルスが生成できる
こと等により、高感度化が可能になる点にある。
【0049】ここで、半導体吸収型光変調器の動作電圧
は通常2V程度であり、半導体受光素子としては極力低
信号入力パワーで直接に半導体吸収型光変調器を駆動す
ることが理想的である。これまで、この装置形態に関し
ては、半導体受光素子として光−電流変換型のフォトダ
イオードを適用した例(例えば1998年電子情報通信
学会総合大会講演論文集B−10−142参照)がある
が、この場合変調器駆動用の電圧を発生させるために数
十mW程度の高入力光を必要としていた背景がある。
【0050】しかし、本実施例では、本発明にかかる光
−電圧変換型半導体受光素子をクロックパルス発生部に
適用することに特徴があり、この光−電圧変換型半導体
受光素子は高々1mW程度の光パワーで3V程度のクロ
ック電圧パルス発生が可能である。従って、同期用の半
導体吸収型光変調器をより低い光パワーで外部電源を必
要とせず直接動作させることが可能となり、また、特に
高入力光も必要しない。このため、よりシンプルな構成
で光クロック抽出が実現できる。
【0051】同様に、上述の実施例に限らず他の光通信
・計測装置に対しても、簡便でかつ効率的に高速電圧パ
ルスが発生可能な、本発明による光−電圧変換型の半導
体受光素子を適用することにより、装置の構成をよりシ
ンプルにすることが可能になる。
【0052】図6は、本発明にかかる導波路型の光−電
圧変換型半導体受光素子を基板上に集積して構成した場
合の実施例を示している。図において、光集積基板47
0に集積された回路は、光クロック抽出の機能を有して
おり、動作原理は図5と同様である。すなわち、10G
Hz光クロック列410を光導波路460aを介して導
波路型の光−電圧変換型半導体受光素子430で受光、
クロック電圧に変換する。そして、直接に、集積化され
た半導体吸収型光変調器440で、光導波路460bを
介して入力する40Gbps光データ列420と同期さ
せることにより、光クロック抽出が実現できる。
【0053】この場合、同一の光集積基板470上に、
導波路型の光−電圧変換型半導体受光素子430と半導
体吸収型光変調器440を形成することにより、機能が
簡便にかつ低コストで実現できる。また、光−電圧変換
型半導体受光素子を備えた集積回路を使用した実施形態
は上述の形態に限られず、多機能を有する光集積素子に
おいても、簡便でかつ効率的に高速電圧パルスが発生可
能な本発明による光−電圧変換型の半導体受光素子を形
成させることにより、よりシンプルな構成でかつ低価格
で実現が可能となる。
【0054】このように、本発明では、少なくとも20
nm以下に近接したn型高濃度デルタドープ層とp型高
濃度デルタドープ層とからなるドーピングダイポール構
造を、光照射を受けるアンドープ層に周期的に形成する
ことにより光吸収層のバンド構造を鋸歯状にする。従っ
て、アンドープ層に光を照射すると光キャリアが鋸歯状
のバンド構造によりドリフトして、上記ドーピングダイ
ポール構造領域に集まって直接再結合および間接再結合
されることにより大きな起電力を生じる。この結果、高
速応答かつ高効率な特性を両立でき、信号電圧を素子内
で発生させて外部電源の必要でない半導体受光素子を提
供することができる。さらに、半導体受光素子を同一基
板上に配した光集積素子、さらにはそれらを搭載した光
通信・計測装置を提供することができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、高速応答
かつ高効率な特性を両立でき、信号電圧を素子内で発生
させて外部電源の必要でない半導体受光素子を提供する
ことができる。さらに、請求項にかかる発明によれ
ば、簡易な構成の光信号処理装置を提供することができ
る。さらに、請求項にかかる発明によれば、所望の機
能を有した基板に本発明にかかる光−電圧変換型半導体
受光素子を集積化できて便利である。さらに、請求項
にかかる発明によれば、簡易な構成の光信号処理装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる光−電圧変換
型半導体受光素子の断面図である。
【図2】InGaAs光吸収層の拡大図およびそのバン
ド構造を示す図である。
【図3】信号光として波長1.55μmの光を照射した
ときに得られる出力信号電圧を示す図である。
【図4】本発明の第二の実施形態にかかる光−電圧変換
型半導体受光素子の斜視を示す図である。
【図5】超高速光信号処理における光クロック抽出技術
の構成の概略ブロック図である。
【図6】本発明にかかる導波路型の光−電圧変換型半導
体受光素子を基板上に集積して構成して光クロック抽出
を行う構成の概略ブロック図である。
【符号の説明】
110 n+−InP基板 120 n+−InPバッファ層 130 InGaAs光吸収層 131 p型高濃度デルタドープ層 132 n型高濃度デルタドープ層 133 アンドープ層 134 アンドープスペーサ 140 n+−InPキャップ層 150,160 n型AuGeNi電極

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも20nm以下に近接したn型
    高濃度デルタドープ層とp型高濃度デルタドープ層とか
    らなるドーピングダイポール構造を、光照射を受けるア
    ンドープ層に周期的に形成することにより鋸歯状のバン
    ド構造を呈する光吸収と、 上記アンドープ層に光を照射することによって生じる光
    キャリアが鋸歯状のバンド構造によりドリフトし、上記
    ドーピングダイポール構造領域に集まって光起電力を生
    じさせる電圧発生部と、再結合を介して高速に光キャリ
    アを消滅させる光キャリア消滅部とを具備することを特
    徴とする光−電圧変換型半導体受光素子。
  2. 【請求項2】 前記電圧発生部で発生した光起電力を、
    外部に電圧信号として出力する電力出力部を具備した
    求項1に記載の光−電圧変換型半導体受光素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の光−電圧変換型
    半導体受光素子を使用して、光計測,光通信等を行うこ
    とを特徴とする光信号処理装置。
  4. 【請求項4】 半導体基板内に形成する二個以上の半導
    体光・電子素子の一つとして、上記請求項1又は2に
    載の光−電圧変換型半導体受光素子を搭載することを特
    徴とする光集積素子。
  5. 【請求項5】 光信号を電圧に変換して出力する素子と
    して上記請求項に記載の光集積素子を使用して、光計
    測,光通信等を行うことを特徴とする光信号処理装置。
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