JPH0942161A - 小型ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、複数のポンプ室を構成するダイ
ヤフラム部を用いたポンプでダイヤフラム部と一体に形
成された弁体部の振動音抑制するようにした小型ポンプ
を提供することを目的としている。 【構成】 本発明の小型ポンプは複数のポンプ室を構
成するダイヤフラム部と円筒状の弁体部とを一体とした
ダイヤフラム本体を備え、弁体部の各ポンプ室と共通の
弁室とを連通する付近にリブを設けて振動音の発生を防
止している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、夫々ポンプ室を形
成する複数のダイヤフラム部と共通した弁室内に配置さ
れた弁体とを一体に構成したダイヤフラム本体を備えた
ポンプで、弁体の構造を改良した小型ポンプに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来の複数のダイヤフラム部を有する小
型ポンプは、例えば図３乃至図８に示す通りである。

【０００３】これら図において図３（Ａ）は要部断面正
面図、図３（Ｂ）はそのＢーＢ線断面図、図４はその平
面図である。又図５は図４のＡーＡ線で切断した図であ
る。

【０００４】これらの図において、１は小型直流モー
タ、２はモータ１の出力軸、３はモータ１とほぼ同径の
カップ形に形成され底面がねじ４によりモータ１出力軸
側の面に取付けられたケース、５は出力軸２に固定され
たカラー、６は出力軸２に対して所定角度傾斜し、かつ
その先端が出力軸２の中心軸上に存在するようにカラー
５に固定された駆動軸、７は円板形に形成され１２０度
間隔に設けられた３個の穴８を有する駆動体、９は駆動
体７の中心に下方に伸びて一体に形成された筒形の支持
部、１０は駆動軸６と駆動体７の間の摩擦を小さくする
ためのスチールボールである。支持部９は駆動部６にゆ
るくはめ込まれており、出力軸２が回転すると駆動軸６
が傾斜した状態で回転するため、駆動体７は中心に対し
て穴８のある周辺部が順次上下動し、いわゆる皿回し運
動をする。

【０００５】１１はカップ形に形成され、底面（第１図
では上面になっている）に１２０度間隔で３個の筒形の
穴１２が形成され、その開口辺がケース３の開口辺に螺
合されているケースであり、図５にその平面を示すよう
に、各穴１２の中間の位置に３個のねじ孔１３が形成さ
れている。

【０００６】１４は柔らかいゴムからなる円板状に形成
されたダイヤフラム本体で、その平面を図６に、底面を
図７に示す。１５は１２０度間隔で本体から下方に伸び
て一体に形成されたつり鐘形の３個のダイヤフラム部、
１６はその中心の駆動部、１７は駆動部１６の先端に細
い頚部を介して形成された頭部、１８は本体の中心部か
ら上方に伸びて一体に形成された円筒形の弁体部であ
る。頭部１７は駆動体７の穴８を貫通して駆動体７の下
面側に突出ており、これによって駆動部１６は駆動体７
に保持されている。ダイヤフラム本体１４の各ダイヤフ
ラム部１５の中間の位置にはねじを通すための３個の穴
１９が形成されている。

【０００７】上記のようなダイヤフラム本体１４は、三
つのダイヤフラム部１５、弁体部１８等を一体に構成し
たものでゴム等の弾性材料にて形成されている。尚図示
する従来例は三つのダイヤフラム部を有するが、三つに
限らず一般には複数設けられている。

【０００８】２０は１２０度間隔で底面に３個形成され
た円形の凹部２１を有する蓋体で、その底面図を図８に
示す。２２は凹部２１の中心に形成された孔、２３は孔
２２の周囲に各６個形成された吸気孔、２４は蓋体２０
の中心部に上方に向かって形成された弁室部、２５は弁
室部２４の先端が細くなって形成された排気孔である。
なお、図４、図８に示された２６は各孔２２の中間の位
置にねじを通すために３個形成された孔である。２７は
孔２６、穴１９を貫通してねじ孔１３にねじ込まれるね
じである。このねじ込みによって、蓋体２０はダイヤフ
ラム本体１４を挟んでケース１１に固定され、蓋体２０
の凹部２１とダイヤフラム部１５とによって３個のポン
プ室２８が形成される。蓋体２０は弁室部２４内に共通
室２９が形成され、各凹部２１は内方（蓋体の中心の方
向）に切欠き状の溝部３０が形成されてそれぞれ共通室
２９につながっている。従って、各ポンプ室２８は共通
室２９に中心部で共通に連通されていることになる。な
お、弁体部１８は弁室部２４の内周面に接触しており、
この連通路を塞ぐようになっている。

【０００９】３１は柔らかいゴムからなる傘形の弁体、
３２は弁体３１の中心に上方に伸びて一体に形成された
支持柱、３３は支持柱３２の先端に形成されたこれより
太い頭部である。弁体３１は吸気孔２３を十分に覆うよ
うな大きさに形成されており、支持柱３２が孔２２を貫
通して頭部３３が外側に出て蓋体２０に抜けないように
取り付けられている。

【００１０】次に、このように構成された小型ポンプの
動作について説明する。モータ１が通電されて出力軸２
が回転すると駆動軸６も回転し、これにより駆動体７が
皿まわし運動をして各ダイヤフラム部１５の駆動部１６
は１２０度の位相差で上下方向に振動する。このダイヤ
フラム部のピストン運動で、ポンプ室２８は容積が周期
的に変化する。駆動部１６が下方に移動して容積が増え
るときは、ポンプ室２８は減圧されて弁体部１８は弁室
部２４に密着して閉じ、反対に弁体３１は開いて吸気孔
２３から空気が流入する。次に、駆動部１６が上方に移
動して容積が減るときは、ポンプ室２８は増圧されて弁
体３１は蓋体２０に密着して閉じ、反対に弁体部１８は
このポンプ室２８の溝部３０を塞いでいる部分が開いて
ポンプ室２８の空気は溝部３０、共通室２９を通って排
気孔２５から排出される。

【００１１】この小型ポンプは、三つのダイヤフラム部
が一定の位相差をもって夫々上記の運動を繰り返すこと
により夫々別々の吸気孔２３より空気を吸入し、共通の
弁室２９を通り排出口２５より排出され、これによりポ
ンプ作用をする。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来の小型
ポンプは、弁体部１８の弁の働きを良くし、ポンプ作用
による空気吐出時における空気量増大のため図３の
（Ｂ）に示すように複数個例えば１２０度毎の三か所に
スリットを設けて三分割する等の手段がとられている。

【００１３】しかし、このような構成の弁体部は、空気
吐出時に振動し振動音が発生し、この振動音は、ある程
度以下に減少させることは出来ない。

【００１４】本発明は、複数のダイヤフラム部を用いた
小型ポンプで、ダイヤフラム部と一体に形成された円筒
状でスリットを設けた弁体部における振動を押え振動音
を除去した構成にした小型ポンプを提供するものであ
る。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明の小型ポンプは、
夫々ポンプ室を形成する複数のダイヤフラム部とこれら
ダイヤフラム部の中央部に位置する円筒状の弁体部とを
一体に形成した弾性材料よりなるダイヤフラム本体を有
していて、ダイヤフラム本体がケースおよび吐出口へ通
ずる共通の弁室を有する蓋体とにて形成されている空間
内に収納され、蓋体には各ダイヤフラム部の各ポンプ室
と共通の弁室とを夫々連通する溝を有しており、又弁体
部には溝を挟んで形成されたスリットを有し、弁体部の
各スリット間にリブを設けたことを特徴とするものであ
って、このリブにより、ポンプ運転の際に、弁体部の弁
を構成する部分等での振動の発生を抑制して振動音の発
生を防止している。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明の小型ポンプの実施の形態
について説明する。本発明の小型ポンプの基本構成は図
１に示す通りで、（Ａ）は全体の構成を示し、この構成
は図３（Ａ）に示す従来の小型ポンプと基本的に同じ又
は類似のものであって、この従来の小型ポンプのうちの
図３の（Ａ）に示す円筒状の弁体部の形状を図１の
（Ａ）のようにしたことを特徴としている。

【００１７】即ち、本発明の小型ポンプは、図１に示す
ような構成で、その弁体部１８には図１（Ｂ）に示す通
りスリット４１とリブ４２とが形成されている。図２は
この弁体部１８の一部分を拡大して示した斜視図であ
る。この図２に示すようにこの弁体部１８は、三つのス
リット４１が形成されこの三つのスリットにより分割さ
れた部分１８ａ，１８ｂ，１８ｃが各ダイヤフラム部１
２により構成される各ポンプ室と弁室２４とを連通する
溝３０を塞ぎ又弁の作用を有している。又弁体部１８の
各スリット４１間の部分１８ａ，１８ｂ，１８ｃの中央
付近には、スリット４１とほぼ平行に伸びるリブ４２を
有している。

【００１８】本発明の小型ポンプは、図３等に示す従来
の小型ポンプと全体としては、実質上同じ構成である。
したがってポンプとしての作用は、前記の従来例と同じ
である。即ち、モーター１の駆動によって駆動体７が皿
まわし運動を行ない、これにより各ダイヤフラム部１５
の駆動部１６が一定の位相差を有しながら上下動してピ
ストン運動を行なう。これにより吸気孔２３より吸気さ
れ又ポンプ室２８内の空気は溝３０を通って弁室部２４
内の共通室、更に排気口２５より排気される。

【００１９】上記のようなポンプ作用において、弁体部
１８のスリット４１にて挟まれた各部分１８ａ，１８
ｂ，１８ｃは夫々逆止弁の働きをなし開閉を繰り返す
が、リブ４２が形成されていることによってほとんど振
動することなく、したがって振動音も発生しない。

【００２０】このポンプにおいては、図２に示すよう
に、リブ４２が両スリット４１の中間に一つスリットと
平行に伸びた形状に形成されているがこれに限ることは
ない。

【００２１】ケーシングの蓋部分に形成されている弁室
と各ダイヤフラム部の構成する各ポンプ室とを連通する
溝は、十分な量の流通と確実な弁の作用を実現するため
に比較的細かい溝を複数本例えば２本設けることが望ま
しい。例えば図９に示すように比較的幅の広い溝３０に
突出片３０ａを形成して２本の溝とする等が考えられ
る。このように各ポンプ室と共通の弁室とを連通する溝
として図９のような夫々細かい溝を２本設けた構造のポ
ンプを想定した場合、図２に示すような形状の弁体部の
構造であれば、リブ４２が前記の各ポンプ室と共通の弁
室とを結ぶ溝（２本の溝）の夫々中央（例えば図９の突
出片３０ａ）に位置することになり、少ないリブで弁体
部の弁の作用に全く支障がなくしかも本発明の効果（振
動音の発生防止）が十分に得られることになる。

【００２２】したがって、ポンプの構成特に弁体部が溝
と接触する付近の形状、構成により弁体部に設けるリブ
の本数や形状等を適宜選択することが最も望ましい。

【００２３】

【発明の効果】本発明は、ダイヤフラム本体の弁体部に
リブを設けると言う簡単な構成によりほぼ完全に振動音
の発生を防止し得るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例を示す図

【図２】 上記実施例の弁体部の一部を拡大した斜視
図

【図３】 従来のダイヤフラムを用いた小型ポンプの
構成を示す図

【図４】 上記従来例の平面図

【図５】 上記従来例のケースの平面図

【図６】 上記従来例のダイヤフラム本体の平面図

【図７】 上記従来例のダイヤフラム本体の底面図

【図８】 上記従来例の蓋体の底面図

【図９】 ポンプ室と弁室部とを結ぶ溝の一例を示す
図

【符号の説明】

１８ 弁体部 ４１ スリット ４２ リブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円周に沿って等間隔に配置されている
   ポンプ室を形成する複数のダイヤフラム部と、前記複数
   のダイヤフラム部の中央に位置する円筒状の弁体部とを
   一体に形成したダイヤフラム本体を有し、前記ダイヤフ
   ラム本体がケースおよび吐出口へ通ずる共通の弁室を有
   する蓋体とにて形成される空間内に収納され、前記蓋体
   には各ダイヤフラム部の各ポンプ室と前記弁室部とを弁
   体を介して連通する溝を有して、前記各ダイヤフラム部
   を駆動部により一定位相差をもって駆動することによる
   ポンプ作用により前記溝、弁体部、弁室部を介して空気
   を吐出口より送り出すポンプにおいて、前記円筒状弁体
   に各溝部を挟んで夫々スリットを設け更に該スリット間
   に夫々リブを形成したことを特徴とするダイヤフラムポ
   ンプ。
2. 【請求項２】 前記リブが前記スリットにほぼ平行に伸
   びることを特徴とする請求項１の小型ポンプ。