JPH0940988A - 金属の圧延加工用潤滑剤組成物 - Google Patents
金属の圧延加工用潤滑剤組成物Info
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- JPH0940988A JPH0940988A JP19564595A JP19564595A JPH0940988A JP H0940988 A JPH0940988 A JP H0940988A JP 19564595 A JP19564595 A JP 19564595A JP 19564595 A JP19564595 A JP 19564595A JP H0940988 A JPH0940988 A JP H0940988A
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- B21—MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
- B21B—ROLLING OF METAL
- B21B45/00—Devices for surface or other treatment of work, specially combined with or arranged in, or specially adapted for use in connection with, metal-rolling mills
- B21B45/02—Devices for surface or other treatment of work, specially combined with or arranged in, or specially adapted for use in connection with, metal-rolling mills for lubricating, cooling, or cleaning
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- B21B45/0242—Lubricants
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- Mechanical Engineering (AREA)
- Lubricants (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 組成物全重量に基づいて、(A) 塩基価150 mg
KOH/g 以上の高塩基性金属塩スルホネート5〜20重量%
と、(B) 平均粒子径10μm以下の黒鉛 0.1〜20重量%、
平均粒子径0.02〜5μmの炭酸カルシウム 0.1〜20重量
%、および酸価40mgKOH/g以下のホスホン酸エステル 0.
1〜30重量%よりなる群から選んだ1種もしくは2種以
上、とを含有し、残部が潤滑油基油からなる、金属の圧
延加工用潤滑剤組成物。 【効果】 安定性に優れ、軽負荷圧延にあっても圧延加
工時にスリップやかみ込み不良等の圧延トラブルを発生
せず、焼付き防止や圧延荷重低減、工具摩耗低減等の潤
滑効果を発揮する。
KOH/g 以上の高塩基性金属塩スルホネート5〜20重量%
と、(B) 平均粒子径10μm以下の黒鉛 0.1〜20重量%、
平均粒子径0.02〜5μmの炭酸カルシウム 0.1〜20重量
%、および酸価40mgKOH/g以下のホスホン酸エステル 0.
1〜30重量%よりなる群から選んだ1種もしくは2種以
上、とを含有し、残部が潤滑油基油からなる、金属の圧
延加工用潤滑剤組成物。 【効果】 安定性に優れ、軽負荷圧延にあっても圧延加
工時にスリップやかみ込み不良等の圧延トラブルを発生
せず、焼付き防止や圧延荷重低減、工具摩耗低減等の潤
滑効果を発揮する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延加工時にスリップ
やかみ込み不良等の圧延トラブルを発生することなく、
焼付き防止や圧延荷重低減、工具摩耗低減等の潤滑効果
を発揮し、該工具の研削頻度減少による作業性、生産性
向上や金属製品表面品質の向上を実現するための潤滑剤
安定性に優れた金属の圧延加工用潤滑剤組成物に関す
る。
やかみ込み不良等の圧延トラブルを発生することなく、
焼付き防止や圧延荷重低減、工具摩耗低減等の潤滑効果
を発揮し、該工具の研削頻度減少による作業性、生産性
向上や金属製品表面品質の向上を実現するための潤滑剤
安定性に優れた金属の圧延加工用潤滑剤組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各種金属を冷間あるいは熱間加工する際
に、圧延用ロールや鍛造用金型工具等の圧延加工用工具
(以後、これらを単に工具と総称する) の表面に該金属
が焼付くと、その後の加工において金属製品表面にも次
々とプリントされ、表面疵を発生する。
に、圧延用ロールや鍛造用金型工具等の圧延加工用工具
(以後、これらを単に工具と総称する) の表面に該金属
が焼付くと、その後の加工において金属製品表面にも次
々とプリントされ、表面疵を発生する。
【0003】この表面疵が発生した金属製品は研磨によ
り手入れをするが、疵発生の激しいものはスクラップに
せざるを得ないため、かなりのコスト高を招くことにな
る。また、焼付き疵が発生した工具についても表面を研
削して手入れを行うが、この工具表面の研削頻度の増加
は、作業性や生産性を阻害すると共に、工具寿命を著し
く低下させる原因にもなっている。
り手入れをするが、疵発生の激しいものはスクラップに
せざるを得ないため、かなりのコスト高を招くことにな
る。また、焼付き疵が発生した工具についても表面を研
削して手入れを行うが、この工具表面の研削頻度の増加
は、作業性や生産性を阻害すると共に、工具寿命を著し
く低下させる原因にもなっている。
【0004】このような焼付きに起因して発生する金属
製品表面の疵は、例えば、チタンおよびチタン合金、ア
ルミおよびアルミ合金、ステンレス鋼等の、表面に酸化
膜が形成され難いか又は薄い金属の冷間および熱間での
塑性加工 (板圧延、管圧延、条鋼圧延、線材圧延、押出
し、引抜き、鍛造等) 時に、特に問題となっている。
製品表面の疵は、例えば、チタンおよびチタン合金、ア
ルミおよびアルミ合金、ステンレス鋼等の、表面に酸化
膜が形成され難いか又は薄い金属の冷間および熱間での
塑性加工 (板圧延、管圧延、条鋼圧延、線材圧延、押出
し、引抜き、鍛造等) 時に、特に問題となっている。
【0005】例えば、ステンレス鋼は、一般に重量で13
%以上のCrを含有する化学組成をもち、鋼の表面に安定
なクロム酸化保護膜が生成して表面を不動態化すること
により優れた耐食性、耐酸化性を発揮する。しかし、こ
の表面酸化膜は炭素鋼のそれに比べると著しく薄く、し
かも熱間の変形抵抗が高い。したがって、熱間圧延時に
工具と金属間接触をおこし易く、その結果、焼付きが発
生して、肌荒れと鋼材表面疵を生じるのである。このよ
うにステンレス鋼材は、焼付きが起こり易い上、ステン
レス鋼製品には特に美麗な表面肌が要求されることもあ
って、工具との焼付きがステンレス鋼の熱間圧延で問題
になるのである。
%以上のCrを含有する化学組成をもち、鋼の表面に安定
なクロム酸化保護膜が生成して表面を不動態化すること
により優れた耐食性、耐酸化性を発揮する。しかし、こ
の表面酸化膜は炭素鋼のそれに比べると著しく薄く、し
かも熱間の変形抵抗が高い。したがって、熱間圧延時に
工具と金属間接触をおこし易く、その結果、焼付きが発
生して、肌荒れと鋼材表面疵を生じるのである。このよ
うにステンレス鋼材は、焼付きが起こり易い上、ステン
レス鋼製品には特に美麗な表面肌が要求されることもあ
って、工具との焼付きがステンレス鋼の熱間圧延で問題
になるのである。
【0006】しかし、この焼付きの問題は、何もステン
レス鋼の熱間圧延に限ったことではなく、全ての金属の
冷間〜熱間加工においても生じる。すなわち、近年の高
生産性、高品質化、低コスト化が指向される中、これま
で以上に高速、高圧下加工が実施されるようになり、負
荷が増大し、塑性加工時に焼付きを発生し易くなってい
るのである。さらに、最近では、スケジュールフリー圧
延や新加工方法、高炭素系ハイスロールや超硬工具に代
表されるような新耐摩耗工具の開発などにより、これま
で以上に焼付き防止が重要な問題となっている。
レス鋼の熱間圧延に限ったことではなく、全ての金属の
冷間〜熱間加工においても生じる。すなわち、近年の高
生産性、高品質化、低コスト化が指向される中、これま
で以上に高速、高圧下加工が実施されるようになり、負
荷が増大し、塑性加工時に焼付きを発生し易くなってい
るのである。さらに、最近では、スケジュールフリー圧
延や新加工方法、高炭素系ハイスロールや超硬工具に代
表されるような新耐摩耗工具の開発などにより、これま
で以上に焼付き防止が重要な問題となっている。
【0007】金属の圧延加工時の焼付き防止方法として
は、潤滑剤の使用、圧延用ロール、鍛造用金型工具の冷
却の最適化、加工負荷条件の見直し等が従来から実施さ
れている。特に、工具と被加工金属との間の摩擦力を低
減させ、工具の肌荒れ防止と摩耗低減により、圧延金属
製品の品質を向上させる目的で、工具に潤滑剤を供給す
ることが有効であるとされてきた。
は、潤滑剤の使用、圧延用ロール、鍛造用金型工具の冷
却の最適化、加工負荷条件の見直し等が従来から実施さ
れている。特に、工具と被加工金属との間の摩擦力を低
減させ、工具の肌荒れ防止と摩耗低減により、圧延金属
製品の品質を向上させる目的で、工具に潤滑剤を供給す
ることが有効であるとされてきた。
【0008】これに関して、本発明者は、特開平5−30
6397号公報、特開平5−306399号公報、および特開平7
−3279号公報において、高塩基性金属塩スルホネートや
高塩基性金属塩フェネートが熱間鋼材の圧延用ロールへ
の焼付き防止に顕著な効果を示すことを明らかにした。
6397号公報、特開平5−306399号公報、および特開平7
−3279号公報において、高塩基性金属塩スルホネートや
高塩基性金属塩フェネートが熱間鋼材の圧延用ロールへ
の焼付き防止に顕著な効果を示すことを明らかにした。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】高塩基性金属塩スルホ
ネートまたは高塩基性金属塩フェネートを主成分とする
潤滑剤組成物は、境界潤滑となりやすい厳しい負荷条件
下では、これらの高塩基性金属塩に含まれる20〜150 Å
という超微細な塩基性粒子 (例えば、CaCO3 などのアル
カリ土類金属またはアルカリ金属炭酸塩の超微細粒子)
が、金属間の直接接触を防止するため、焼付きを効果的
に防止できる。しかし、一方で流体潤滑のような比較的
軽い負荷条件下では、スリップやかみ込み不良の防止に
効果を発揮する超微細な塩基性粒子 (例、CaCO3)が、逆
に摩擦を高めに維持し、加工荷重低減効果が十分に得ら
れないという問題があり、この問題は特に塩基価が高い
高塩基性金属塩スルホネートに顕著であった。
ネートまたは高塩基性金属塩フェネートを主成分とする
潤滑剤組成物は、境界潤滑となりやすい厳しい負荷条件
下では、これらの高塩基性金属塩に含まれる20〜150 Å
という超微細な塩基性粒子 (例えば、CaCO3 などのアル
カリ土類金属またはアルカリ金属炭酸塩の超微細粒子)
が、金属間の直接接触を防止するため、焼付きを効果的
に防止できる。しかし、一方で流体潤滑のような比較的
軽い負荷条件下では、スリップやかみ込み不良の防止に
効果を発揮する超微細な塩基性粒子 (例、CaCO3)が、逆
に摩擦を高めに維持し、加工荷重低減効果が十分に得ら
れないという問題があり、この問題は特に塩基価が高い
高塩基性金属塩スルホネートに顕著であった。
【0010】本発明の課題は、高塩基性金属塩スルホネ
ートを使用した潤滑剤組成物に見られる上記の問題点を
解決することである。具体的には、本発明は、圧延加工
時にスリップやかみ込み不良等の圧延トラブルを発生さ
せることなく、焼付き防止や圧延荷重低減、工具摩耗低
減等の潤滑効果を発揮し、工具の研削頻度減少による作
業性、生産性向上や金属製品表面品質の向上を実現する
ための潤滑剤安定性に優れた金属の圧延加工用潤滑剤組
成物を提供することを目的とする。
ートを使用した潤滑剤組成物に見られる上記の問題点を
解決することである。具体的には、本発明は、圧延加工
時にスリップやかみ込み不良等の圧延トラブルを発生さ
せることなく、焼付き防止や圧延荷重低減、工具摩耗低
減等の潤滑効果を発揮し、工具の研削頻度減少による作
業性、生産性向上や金属製品表面品質の向上を実現する
ための潤滑剤安定性に優れた金属の圧延加工用潤滑剤組
成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる目的
を達成するために、高塩基性金属塩スルホネートの潤滑
挙動について鋭意検討した結果、下記の知見を突き止
め、本発明を完成するに至った。
を達成するために、高塩基性金属塩スルホネートの潤滑
挙動について鋭意検討した結果、下記の知見を突き止
め、本発明を完成するに至った。
【0012】(1) 高塩基性金属塩スルホネートの塩基価
を150 mgKOH/g 以上とし、これに炭酸カルシウム、黒
鉛、ホスホン酸エステルを単独または複合添加すること
により、高塩基性金属塩スルホネートの含有割合を低く
しても、焼付き防止効果等の優れた潤滑性を得ることが
できる。
を150 mgKOH/g 以上とし、これに炭酸カルシウム、黒
鉛、ホスホン酸エステルを単独または複合添加すること
により、高塩基性金属塩スルホネートの含有割合を低く
しても、焼付き防止効果等の優れた潤滑性を得ることが
できる。
【0013】(2) 炭酸カルシウムや黒鉛は、その粒径と
含有量とを適切に選定することにより、高塩基性金属塩
スルホネートによる潤滑剤組成物中でのそれらの均一分
散効果と加工界面への均一導入性が一層向上する。
含有量とを適切に選定することにより、高塩基性金属塩
スルホネートによる潤滑剤組成物中でのそれらの均一分
散効果と加工界面への均一導入性が一層向上する。
【0014】(3) ホスホン酸エステルは、加工界面が流
体潤滑状態であっても、高塩基性金属塩スルホネート中
に存在する固体微粒子炭酸塩による摩擦維持効果に勝っ
て、摩擦係数 (即ち、圧延荷重) をスリップ等の生じな
いレベルまで効果的に低減させる効果がある。さらに、
ホスホン酸エステルは、特に高温での耐分解性に優れ、
工具や被加工金属表面に対する付着性を大幅に改善する
働きがある。その酸価を40 mgKOH/g以下とすると、塩基
価200 mgKOH/g 以上の高塩基性金属塩スルホネートを使
用した場合にも性能劣化等がなく、潤滑剤組成物の安定
性が向上する。
体潤滑状態であっても、高塩基性金属塩スルホネート中
に存在する固体微粒子炭酸塩による摩擦維持効果に勝っ
て、摩擦係数 (即ち、圧延荷重) をスリップ等の生じな
いレベルまで効果的に低減させる効果がある。さらに、
ホスホン酸エステルは、特に高温での耐分解性に優れ、
工具や被加工金属表面に対する付着性を大幅に改善する
働きがある。その酸価を40 mgKOH/g以下とすると、塩基
価200 mgKOH/g 以上の高塩基性金属塩スルホネートを使
用した場合にも性能劣化等がなく、潤滑剤組成物の安定
性が向上する。
【0015】ここに本発明の要旨とするところは、組成
物全重量に基づいて、(A) 塩基価150 mgKOH/g 以上の高
塩基性金属塩スルホネート5〜20重量%と、(B) 平均粒
子径10μm以下の黒鉛 0.1〜20重量%、平均粒子径0.02
〜5μmの炭酸カルシウム 0.1〜20重量%、および酸価
40 mgKOH/g以下のホスホン酸エステル0.1〜30重量%よ
りなる群から選んだ1種もしくは2種以上、とを含有す
ることを特徴とする金属の圧延加工用潤滑剤組成物であ
る。
物全重量に基づいて、(A) 塩基価150 mgKOH/g 以上の高
塩基性金属塩スルホネート5〜20重量%と、(B) 平均粒
子径10μm以下の黒鉛 0.1〜20重量%、平均粒子径0.02
〜5μmの炭酸カルシウム 0.1〜20重量%、および酸価
40 mgKOH/g以下のホスホン酸エステル0.1〜30重量%よ
りなる群から選んだ1種もしくは2種以上、とを含有す
ることを特徴とする金属の圧延加工用潤滑剤組成物であ
る。
【0016】本発明の潤滑剤組成物は、金属の圧延加工
に必要な摩擦力を維持し、スリップやかみ込み不良を起
こすことなく圧延荷重を適正に低減し、工具に発生する
焼付き、かじりなどの表面疵を防止し、工具寿命を低減
し、工具寿命を大幅に延長することができ、その結果良
好な圧延製品表面品質を得ることができる。
に必要な摩擦力を維持し、スリップやかみ込み不良を起
こすことなく圧延荷重を適正に低減し、工具に発生する
焼付き、かじりなどの表面疵を防止し、工具寿命を低減
し、工具寿命を大幅に延長することができ、その結果良
好な圧延製品表面品質を得ることができる。
【0017】
【作用】本発明の潤滑剤組成物は、潤滑主剤として摩擦
低減と焼付き防止効果が高い高塩基性金属塩スルホネー
トを比較的少量配合し、これに微細な炭酸カルシウムお
よび黒鉛ならびに酸価40 mgKOH/g以下のホスホン酸エス
テルから選んだ1種もしくは2種以上を併用すること
で、高温時の潤滑性の改善と流体潤滑状態 (即ち、比較
的軽い負荷状態) においても摩擦低減効果を発揮するこ
とができる。
低減と焼付き防止効果が高い高塩基性金属塩スルホネー
トを比較的少量配合し、これに微細な炭酸カルシウムお
よび黒鉛ならびに酸価40 mgKOH/g以下のホスホン酸エス
テルから選んだ1種もしくは2種以上を併用すること
で、高温時の潤滑性の改善と流体潤滑状態 (即ち、比較
的軽い負荷状態) においても摩擦低減効果を発揮するこ
とができる。
【0018】以下、本発明について詳しく説明する。高塩基性金属塩スルホネート 本発明において潤滑主剤として用いる高塩基性金属塩ス
ルホネートは、前掲の特開平5−306397号公報に記載さ
れているものと同様でよい。高塩基性金属塩スルホネー
トは、長鎖アルキル芳香族のスルホン化物を金属化合物
で中和して得た金属塩スルホネート (正塩) を、溶液状
で炭酸ガスの存在下にさらにアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の炭酸塩または水酸化物と反応させることに
より製造される。この高塩基性金属塩スルホネート
(例、高塩基性Caスルホネート) は、正塩の金属塩スル
ホネート (例、中性Caスルホネート) に比べて、3〜15
倍もの多量の過剰金属 (例、Ca) を含有する。この過剰
金属塩は、主として炭酸塩 (例、CaCO3)の形で、粒径20
〜150 Å(0.002〜0.015 μm) 程度のコロイド状分散体
として油中に分散している。
ルホネートは、前掲の特開平5−306397号公報に記載さ
れているものと同様でよい。高塩基性金属塩スルホネー
トは、長鎖アルキル芳香族のスルホン化物を金属化合物
で中和して得た金属塩スルホネート (正塩) を、溶液状
で炭酸ガスの存在下にさらにアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の炭酸塩または水酸化物と反応させることに
より製造される。この高塩基性金属塩スルホネート
(例、高塩基性Caスルホネート) は、正塩の金属塩スル
ホネート (例、中性Caスルホネート) に比べて、3〜15
倍もの多量の過剰金属 (例、Ca) を含有する。この過剰
金属塩は、主として炭酸塩 (例、CaCO3)の形で、粒径20
〜150 Å(0.002〜0.015 μm) 程度のコロイド状分散体
として油中に分散している。
【0019】本発明で用いる高塩基性金属塩スルホネー
トの製造原料となる長鎖アルキル芳香族は、特に限定さ
れず、鉱油の潤滑油留分、合成系化合物 (例、アルキル
ベンゼン、ベンゼンをポリオレフィンでアルキル化した
生成物、ジノニルナフタリン等) のいずれも使用でき
る。
トの製造原料となる長鎖アルキル芳香族は、特に限定さ
れず、鉱油の潤滑油留分、合成系化合物 (例、アルキル
ベンゼン、ベンゼンをポリオレフィンでアルキル化した
生成物、ジノニルナフタリン等) のいずれも使用でき
る。
【0020】高塩基性金属塩スルホネートは、前述のよ
うに、製造過程で自然に析出した粒径20〜150 Å程度の
超微細粒炭酸塩 (例、CaCO3)を含んでおり、この炭酸塩
は油中ではコロイド状分散体を形成する。この炭酸塩の
固体微粒子は、高塩基性金属塩スルホネートの有する金
属やその酸化物に対する高い化学吸着作用による潤滑効
果を一層発揮し易くさせるため、高塩基性金属塩スルホ
ネートを摩擦界面に運ぶキャリアとしての作用を有して
いる。さらに、工具と被加工金属間に運ばれた金属塩微
粒子により、摩擦界面での金属間直接接触を阻害し、焼
付き、かじり等の表面疵を防止することができる。
うに、製造過程で自然に析出した粒径20〜150 Å程度の
超微細粒炭酸塩 (例、CaCO3)を含んでおり、この炭酸塩
は油中ではコロイド状分散体を形成する。この炭酸塩の
固体微粒子は、高塩基性金属塩スルホネートの有する金
属やその酸化物に対する高い化学吸着作用による潤滑効
果を一層発揮し易くさせるため、高塩基性金属塩スルホ
ネートを摩擦界面に運ぶキャリアとしての作用を有して
いる。さらに、工具と被加工金属間に運ばれた金属塩微
粒子により、摩擦界面での金属間直接接触を阻害し、焼
付き、かじり等の表面疵を防止することができる。
【0021】即ち、第1に金属表面に生成する酸化被膜
との反応性に富んだ高塩基性部としての高塩基性金属塩
スルホネートの存在と、第2にそれに含まれる逆ミセル
構造のコロイド状分散体を形成した粒径20〜150 Åの超
微細粒炭酸塩 (例、CaCO3)の存在が重要なのである。
との反応性に富んだ高塩基性部としての高塩基性金属塩
スルホネートの存在と、第2にそれに含まれる逆ミセル
構造のコロイド状分散体を形成した粒径20〜150 Åの超
微細粒炭酸塩 (例、CaCO3)の存在が重要なのである。
【0022】したがって、例えば特開平3−151101号公
報に見られるように、別途準備した粒径0.05〜0.50μm
の粗大な粉末炭酸カルシウムを油に混合分散させたもの
とは、その効果、作用が根本的に異なる。
報に見られるように、別途準備した粒径0.05〜0.50μm
の粗大な粉末炭酸カルシウムを油に混合分散させたもの
とは、その効果、作用が根本的に異なる。
【0023】高塩基性金属塩スルホネートの含有量は、
組成物全量に基づいて5〜20重量%とする。含有量が5
重量%未満では、工具への焼付き、かじりを充分に防止
できず、金属製品表面品質も劣化する。一方、20重量%
を超えると、圧延加工時の摩擦維持効果が顕著となり、
別途に添加する黒鉛、炭酸カルシウム、および/または
ホスホン酸エステルによっても十分な荷重低減が困難に
なる。高負荷時の焼付き防止効果の点で、高塩基性金属
塩スルホネートの好ましい含有量は8〜20重量%であ
る。
組成物全量に基づいて5〜20重量%とする。含有量が5
重量%未満では、工具への焼付き、かじりを充分に防止
できず、金属製品表面品質も劣化する。一方、20重量%
を超えると、圧延加工時の摩擦維持効果が顕著となり、
別途に添加する黒鉛、炭酸カルシウム、および/または
ホスホン酸エステルによっても十分な荷重低減が困難に
なる。高負荷時の焼付き防止効果の点で、高塩基性金属
塩スルホネートの好ましい含有量は8〜20重量%であ
る。
【0024】高塩基性金属塩スルホネートの塩基価は、
JIS K2501(電位差滴定法) により測定される。本発明で
用いる高塩基性金属塩スルホネートは、塩基価が150 mg
KOH/g 以上であればよい。
JIS K2501(電位差滴定法) により測定される。本発明で
用いる高塩基性金属塩スルホネートは、塩基価が150 mg
KOH/g 以上であればよい。
【0025】塩基価がこれより低いと、塩基性金属塩ス
ルホネート中に存在する固体微粒子である炭酸塩 (例、
CaCO3)の含有量が少ないため、工具と被加工金属間の直
接接触を物理的に防止するのに必要な炭酸塩の摩擦界面
への導入量が不足する。また、工具や被加工金属表面と
の化学反応性が低くなり、摩擦界面への高塩基性金属塩
スルホネートの導入性も低下する。その結果、加工時の
加工用工具の焼付きやかじりを安全に防止することがで
きず、製品表面品質も満足するレベルに達しない。塩基
価は好ましくは200 mgKOH/g 以上である。
ルホネート中に存在する固体微粒子である炭酸塩 (例、
CaCO3)の含有量が少ないため、工具と被加工金属間の直
接接触を物理的に防止するのに必要な炭酸塩の摩擦界面
への導入量が不足する。また、工具や被加工金属表面と
の化学反応性が低くなり、摩擦界面への高塩基性金属塩
スルホネートの導入性も低下する。その結果、加工時の
加工用工具の焼付きやかじりを安全に防止することがで
きず、製品表面品質も満足するレベルに達しない。塩基
価は好ましくは200 mgKOH/g 以上である。
【0026】塩基価の上限は特に制限されないが、現状
では塩基価が500 mgKOH/g を超えると、潤滑剤として適
切な粘度等の性質を有するものが製造できないので、上
限は500 mg-KOH/gとなる。ただし、製造技術上可能にな
れば、塩基価がより高いものも使用できる。
では塩基価が500 mgKOH/g を超えると、潤滑剤として適
切な粘度等の性質を有するものが製造できないので、上
限は500 mg-KOH/gとなる。ただし、製造技術上可能にな
れば、塩基価がより高いものも使用できる。
【0027】本発明の潤滑剤組成物中に含有させる高塩
基性金属塩スルホネートの金属は、Ca、Mg、Ba等のアル
カリ土類金属およびNa等のアルカリ金属から選択するこ
とができるが、好ましいのはアルカリ土類金属である。
中でも、高塩基性Caスルホネートおよび高塩基性Mgスル
ホネートが好ましく、特に高塩基性Caスルホネートが効
果の点で最適である。
基性金属塩スルホネートの金属は、Ca、Mg、Ba等のアル
カリ土類金属およびNa等のアルカリ金属から選択するこ
とができるが、好ましいのはアルカリ土類金属である。
中でも、高塩基性Caスルホネートおよび高塩基性Mgスル
ホネートが好ましく、特に高塩基性Caスルホネートが効
果の点で最適である。
【0028】また、所定量の高塩基性金属塩スルホネー
トが存在していれば、塩基価が150mgKOH/g 未満の低塩
基性金属塩スルホネートを併用することもできる。この
場合、それらの金属塩の塩基価の加重平均値 (それぞれ
の値を加味した平均値) が150 mgKOH/g 以上となること
が好ましい。
トが存在していれば、塩基価が150mgKOH/g 未満の低塩
基性金属塩スルホネートを併用することもできる。この
場合、それらの金属塩の塩基価の加重平均値 (それぞれ
の値を加味した平均値) が150 mgKOH/g 以上となること
が好ましい。
【0029】黒鉛 本発明で用いる黒鉛は、天然黒鉛、土状黒鉛、キッシュ
黒鉛等の一般的な種類のものから選択すればよい。黒鉛
は、高塩基性金属塩スルホネートの摩擦維持効果を緩和
し、摩擦を低減する効果を発揮する。
黒鉛等の一般的な種類のものから選択すればよい。黒鉛
は、高塩基性金属塩スルホネートの摩擦維持効果を緩和
し、摩擦を低減する効果を発揮する。
【0030】市販の黒鉛の平均粒子径は一般に 0.5〜25
0 μm程度であるが、本発明においては、平均粒子粒が
10μm以下の微粉末状のものを使用する。粒子径が10μ
mを超えると、潤滑剤組成物中での均一分散性が低下
し、所望の性能を発揮できなくなる。平均粒子径が0.5
μm未満の黒鉛は現状では製造困難であるが、製造可能
であれば利用できる。
0 μm程度であるが、本発明においては、平均粒子粒が
10μm以下の微粉末状のものを使用する。粒子径が10μ
mを超えると、潤滑剤組成物中での均一分散性が低下
し、所望の性能を発揮できなくなる。平均粒子径が0.5
μm未満の黒鉛は現状では製造困難であるが、製造可能
であれば利用できる。
【0031】黒鉛の含有量は、組成物全体の 0.1〜20重
量%である。その含有量が0.1 重量%未満では、高塩基
性金属塩スルホネートの焼付き防止効果を十分補うこと
ができなくなる他、摩擦低減効果を発揮できなくなる。
一方、黒鉛を20重量%を超えて添加すると、潤滑剤組成
物全体の粘度が高くなる上、潤滑剤組成物中での均一分
散性が低下する。黒鉛の好ましい含有量は 0.1〜15重量
%である。
量%である。その含有量が0.1 重量%未満では、高塩基
性金属塩スルホネートの焼付き防止効果を十分補うこと
ができなくなる他、摩擦低減効果を発揮できなくなる。
一方、黒鉛を20重量%を超えて添加すると、潤滑剤組成
物全体の粘度が高くなる上、潤滑剤組成物中での均一分
散性が低下する。黒鉛の好ましい含有量は 0.1〜15重量
%である。
【0032】炭酸カルシウム 本発明で用いる炭酸カルシウムは、高塩基性金属塩スル
ホネート中に存在する粒径20〜150 Å(0.002〜0.015 μ
m) の超微細炭酸塩(CaCO3等) とは別に添加されるもの
であり、一般に市販される平均粒子径0.02〜20μmの炭
酸カルシウムの中でも、特に平均粒子径が0.02〜5μm
の微細炭酸カルシウムを使用する。
ホネート中に存在する粒径20〜150 Å(0.002〜0.015 μ
m) の超微細炭酸塩(CaCO3等) とは別に添加されるもの
であり、一般に市販される平均粒子径0.02〜20μmの炭
酸カルシウムの中でも、特に平均粒子径が0.02〜5μm
の微細炭酸カルシウムを使用する。
【0033】高塩基性金属塩スルホネート中に存在する
超微細炭酸塩に比べれば粗大なこの炭酸カルシウムは、
高塩基性金属塩スルホネートの摩擦維持作用を緩和する
効果がある。平均粒子径が0.02μm未満の炭酸カルシウ
ムは、現状では単独に製造することが困難であり、また
このように超微粒子になると、高塩基性金属塩スルホネ
ートの摩擦維持作用を緩和する効果が低下する。一方、
炭酸カルシウムの平均粒子径が20μmを超えると、潤滑
剤組成物中での均一分散性が悪くなり、潤滑剤組成物の
焼付き防止効果を低下させてしまう。
超微細炭酸塩に比べれば粗大なこの炭酸カルシウムは、
高塩基性金属塩スルホネートの摩擦維持作用を緩和する
効果がある。平均粒子径が0.02μm未満の炭酸カルシウ
ムは、現状では単独に製造することが困難であり、また
このように超微粒子になると、高塩基性金属塩スルホネ
ートの摩擦維持作用を緩和する効果が低下する。一方、
炭酸カルシウムの平均粒子径が20μmを超えると、潤滑
剤組成物中での均一分散性が悪くなり、潤滑剤組成物の
焼付き防止効果を低下させてしまう。
【0034】炭酸カルシウムも、黒鉛と同様に 0.1〜20
重量%の量で含有させる。含有量が0.1 重量%未満で
は、上記効果が不足し、一方20重量%を超えると、潤滑
剤組成物全体の粘度が高くなる上、潤滑剤組成物中での
均一分散性が低下し、潤滑性が劣化する。好ましい含有
量は 0.1〜15重量%である。
重量%の量で含有させる。含有量が0.1 重量%未満で
は、上記効果が不足し、一方20重量%を超えると、潤滑
剤組成物全体の粘度が高くなる上、潤滑剤組成物中での
均一分散性が低下し、潤滑性が劣化する。好ましい含有
量は 0.1〜15重量%である。
【0035】ホスホン酸エステル ホスホン酸エステルは、農薬の原料中間体として開発さ
れたものであり、防錆防食効果があることから、水処理
や洗剤添加物、紙パルプ、写真等の分野で使用されてき
た。ホスホン酸エステルは、次式で示される有機ホスホ
ン酸のエステルである。
れたものであり、防錆防食効果があることから、水処理
や洗剤添加物、紙パルプ、写真等の分野で使用されてき
た。ホスホン酸エステルは、次式で示される有機ホスホ
ン酸のエステルである。
【0036】
【化1】
【0037】式中、R1 は置換基を有していてもよい炭
化水素基である。ホスホン酸エステルは、上記有機ホス
ホン酸の2個のOH基の1個のみがエステル化されたモ
ノエステルと、2個ともエステル化されたジエステルの
いずれでもよい。モノエステルの例は2−エチルヘキシ
ルホスホン酸モノ(2−エチルヘキシル) であり、ジエス
テルの例は2−エチルヘキシルホスホン酸ジ(2−エチル
ヘキシル) である。また、R1 基が置換基としてカルボ
ン酸などの酸基を有している場合には、トリエステル以
上のエステルとなることもある。そのような化合物の例
は、3−ホスホノプロピオン酸トリエステルである。但
し、本発明では、酸価が40 mgKOH/g以下のホスホン酸エ
ステルを使用する。
化水素基である。ホスホン酸エステルは、上記有機ホス
ホン酸の2個のOH基の1個のみがエステル化されたモ
ノエステルと、2個ともエステル化されたジエステルの
いずれでもよい。モノエステルの例は2−エチルヘキシ
ルホスホン酸モノ(2−エチルヘキシル) であり、ジエス
テルの例は2−エチルヘキシルホスホン酸ジ(2−エチル
ヘキシル) である。また、R1 基が置換基としてカルボ
ン酸などの酸基を有している場合には、トリエステル以
上のエステルとなることもある。そのような化合物の例
は、3−ホスホノプロピオン酸トリエステルである。但
し、本発明では、酸価が40 mgKOH/g以下のホスホン酸エ
ステルを使用する。
【0038】ホスホン酸エステルを高塩基性金属塩スル
ホネートと併用すると、工具への潤滑剤組成物の付着性
を飛躍的に向上させることができる他、流体潤滑状態の
ような比較的負荷の軽い条件下においても、スリップ等
の問題が生じない適正な荷重もしくは摩擦係数レベルに
改善することができる。さらに、焼付き、かじり等の表
面疵防止効果を高める効果もある。
ホネートと併用すると、工具への潤滑剤組成物の付着性
を飛躍的に向上させることができる他、流体潤滑状態の
ような比較的負荷の軽い条件下においても、スリップ等
の問題が生じない適正な荷重もしくは摩擦係数レベルに
改善することができる。さらに、焼付き、かじり等の表
面疵防止効果を高める効果もある。
【0039】酸価を40mgKOH/g 以下に制限することで、
高塩基性金属塩スルホネートと併用した場合に起こりう
る酸−塩基間の化学反応による妨害または潤滑剤組成物
の不安定化を排除でき、潤滑剤組成物の安定性が高ま
り、上記のホスホン酸エステルの併用添加の効果を十分
に得ることができる。
高塩基性金属塩スルホネートと併用した場合に起こりう
る酸−塩基間の化学反応による妨害または潤滑剤組成物
の不安定化を排除でき、潤滑剤組成物の安定性が高ま
り、上記のホスホン酸エステルの併用添加の効果を十分
に得ることができる。
【0040】酸基が残存したモノエステルは一般に酸価
が高いため、本発明では酸基をすべてエステル化したホ
スホン酸エステルを使用することが好ましい。また、有
機基R1 がヒドロキシル基を含有しているホスホン酸エ
ステルも、酸価が低いことから好ましい。かかるヒドロ
キシル基含有ホスホン酸エステルの例は、次式で示され
る構造を有するヒドロキシメチルホスホン酸ジ(2−エチ
ルヘキシル) である。この化合物は、酸価が5mgKOH/g
以下であり、特に高塩基性金属塩スルホネートとの混合
時の化学的安定性に優れているため、本発明の効果を最
大限に発揮することができる。
が高いため、本発明では酸基をすべてエステル化したホ
スホン酸エステルを使用することが好ましい。また、有
機基R1 がヒドロキシル基を含有しているホスホン酸エ
ステルも、酸価が低いことから好ましい。かかるヒドロ
キシル基含有ホスホン酸エステルの例は、次式で示され
る構造を有するヒドロキシメチルホスホン酸ジ(2−エチ
ルヘキシル) である。この化合物は、酸価が5mgKOH/g
以下であり、特に高塩基性金属塩スルホネートとの混合
時の化学的安定性に優れているため、本発明の効果を最
大限に発揮することができる。
【0041】
【化2】
【0042】ホスホン酸エステルの含有量は、組成物全
量に基づいて 0.1〜30重量%とする。この含有量が0.1
重量%以下では、前記効果が不足し、一方30重量%を超
えて含有させると前記効果が飽和する他、高塩基性金属
塩スルホネートとの併用による化学反応による性能劣化
が無視できなくなる。好ましい含有量は 0.1〜15重量%
である。
量に基づいて 0.1〜30重量%とする。この含有量が0.1
重量%以下では、前記効果が不足し、一方30重量%を超
えて含有させると前記効果が飽和する他、高塩基性金属
塩スルホネートとの併用による化学反応による性能劣化
が無視できなくなる。好ましい含有量は 0.1〜15重量%
である。
【0043】潤滑剤組成物 本発明の潤滑油組成物は、前述した(A) 高塩基性金属塩
スルホネートに、(B)黒鉛、炭酸カルシウムおよびホス
ホン酸エステルの1種もしくは2種以上を、それぞれ所
定の割合の範囲内で配合したものである。(B) の成分を
2種以上配合する場合、それぞれの含有量が所定範囲内
であれば、合計含有量は特に制限されないが、好ましく
は40重量%以下とする。残部は、圧延油等に通常使用さ
れる潤滑油基油である。即ち、上記成分(A) と(B) を潤
滑油基油に配合することにより、本発明の潤滑剤組成物
を調製することができる。
スルホネートに、(B)黒鉛、炭酸カルシウムおよびホス
ホン酸エステルの1種もしくは2種以上を、それぞれ所
定の割合の範囲内で配合したものである。(B) の成分を
2種以上配合する場合、それぞれの含有量が所定範囲内
であれば、合計含有量は特に制限されないが、好ましく
は40重量%以下とする。残部は、圧延油等に通常使用さ
れる潤滑油基油である。即ち、上記成分(A) と(B) を潤
滑油基油に配合することにより、本発明の潤滑剤組成物
を調製することができる。
【0044】潤滑油基油としては、例えば、鉱物油、合
成潤滑油、ナタネ油、ラードオイル等に油脂類、高級脂
肪酸およびそのエステル類等が使用できる。本発明の潤
滑剤組成物は、必要に応じて、他の固体潤滑剤、極圧添
加剤、酸化防止剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤等
の、潤滑油に添加可能な各種の添加剤の1種もしくは2
種以上をさらに含有することができる。
成潤滑油、ナタネ油、ラードオイル等に油脂類、高級脂
肪酸およびそのエステル類等が使用できる。本発明の潤
滑剤組成物は、必要に応じて、他の固体潤滑剤、極圧添
加剤、酸化防止剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤等
の、潤滑油に添加可能な各種の添加剤の1種もしくは2
種以上をさらに含有することができる。
【0045】固体潤滑剤の例としては、二硫化モリブデ
ン、窒化硼素、雲母、タルク等が挙げられる。極圧添加
剤の例としては、硫化油脂、硫化鉱油、ジノニルポリサ
ルファイド等の硫黄系極圧添加剤、トリクレジルホスフ
ェート、ジオレイルハイドロゼンホスファイト等のリン
系極圧添加剤が挙げられる。
ン、窒化硼素、雲母、タルク等が挙げられる。極圧添加
剤の例としては、硫化油脂、硫化鉱油、ジノニルポリサ
ルファイド等の硫黄系極圧添加剤、トリクレジルホスフ
ェート、ジオレイルハイドロゼンホスファイト等のリン
系極圧添加剤が挙げられる。
【0046】酸化防止剤の例としては、メチレン−4,4
−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール) 等のビスフ
ェノール類、ジ−tert−ブチルクレゾール等のアルキル
フェノール類、ナフチルアミン類等が挙げられる。
−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール) 等のビスフ
ェノール類、ジ−tert−ブチルクレゾール等のアルキル
フェノール類、ナフチルアミン類等が挙げられる。
【0047】流動点降下剤、粘度指数向上剤の例として
は、ポリメタクリレート、ポリオレフィン等が挙げられ
る。
は、ポリメタクリレート、ポリオレフィン等が挙げられ
る。
【0048】これらの任意添加剤を含有させる場合、他
の固体潤滑剤の添加量は約1〜10重量%程度、極圧添加
剤の添加量は約1〜15重量%程度、酸化防止剤の添加量
は約0.01〜1.0 重量%程度、流動点降下剤、粘度指数向
上剤の添加量は、それぞれ1〜5重量%程度である。
の固体潤滑剤の添加量は約1〜10重量%程度、極圧添加
剤の添加量は約1〜15重量%程度、酸化防止剤の添加量
は約0.01〜1.0 重量%程度、流動点降下剤、粘度指数向
上剤の添加量は、それぞれ1〜5重量%程度である。
【0049】本発明の潤滑剤組成物の供給手段は特に制
限されず、要求される粘度や濃度に応じて、圧縮空気と
混合して噴霧状にして供給するエアーアトマイズ法、水
と混合して供給するウォーターインジェクション法、さ
らに加熱蒸気で噴霧化して供給するスチームアトマイズ
法や、予め水に分散させ、エマルジョンとして供給する
方法等の適当な方法から選択すればよい。もちろん、原
液 (ニート) のまま供給する方法でも良いことは言うま
でもなく、その他の一般的な給油方式を使用しても良
い。原液で供給する場合には、必要に応じて本発明の潤
滑剤組成物を水溶性タイプにするなどして不燃性化して
用いてもよい。
限されず、要求される粘度や濃度に応じて、圧縮空気と
混合して噴霧状にして供給するエアーアトマイズ法、水
と混合して供給するウォーターインジェクション法、さ
らに加熱蒸気で噴霧化して供給するスチームアトマイズ
法や、予め水に分散させ、エマルジョンとして供給する
方法等の適当な方法から選択すればよい。もちろん、原
液 (ニート) のまま供給する方法でも良いことは言うま
でもなく、その他の一般的な給油方式を使用しても良
い。原液で供給する場合には、必要に応じて本発明の潤
滑剤組成物を水溶性タイプにするなどして不燃性化して
用いてもよい。
【0050】また、本発明の潤滑剤組成物を、圧延用ロ
ールや鍛造用金型等の工具や加工前の被加工金属表面に
上記方法で直接供給しても良いし、その補強工具 (例、
補強ロール) 等を介して間接的に供給しても、本発明の
効果に何等変わりはない。
ールや鍛造用金型等の工具や加工前の被加工金属表面に
上記方法で直接供給しても良いし、その補強工具 (例、
補強ロール) 等を介して間接的に供給しても、本発明の
効果に何等変わりはない。
【0051】さらに、高塩基性金属塩スルホネート、黒
鉛、炭酸カルシウム、ホスホン酸エステルは、いずれも
耐熱性に優れており、温間や熱間加工時において完全に
は燃焼・分解しないため、本発明の潤滑剤組成物は流体
か流体に近い状態に保持され、温間や熱間加工時におい
ても優れた潤滑性を示す。
鉛、炭酸カルシウム、ホスホン酸エステルは、いずれも
耐熱性に優れており、温間や熱間加工時において完全に
は燃焼・分解しないため、本発明の潤滑剤組成物は流体
か流体に近い状態に保持され、温間や熱間加工時におい
ても優れた潤滑性を示す。
【0052】したがって、本発明の潤滑剤組成物は、冷
間、温間、熱間での板圧延、管圧延、条鋼圧延、押出
し、引抜き、鍛造、矯正等のあらゆる圧延加工において
同様の効果を発揮することは言うまでもない。さらに、
加工用工具に関しても、冷間から熱間で使用される一般
的な工具材質なら同様の効果を得ることが可能である。
例えば、熱間圧延用ロール材質である高Cr鋳鉄、高合金
グレン鋳鉄、アダマイト、ダクタイル鋳鉄、高炭素系高
速度鋼 (ハイス) 、超硬合金等や、冷間圧延用ロール材
質であるSKD61 クラスの鍛鋼、セミハイス等や、SKD62
クラスの熱間金型材、さらにCrめっきなどの表面処理を
施したロールおよび工具など、さまざまな工具材料にお
いて使用できる。
間、温間、熱間での板圧延、管圧延、条鋼圧延、押出
し、引抜き、鍛造、矯正等のあらゆる圧延加工において
同様の効果を発揮することは言うまでもない。さらに、
加工用工具に関しても、冷間から熱間で使用される一般
的な工具材質なら同様の効果を得ることが可能である。
例えば、熱間圧延用ロール材質である高Cr鋳鉄、高合金
グレン鋳鉄、アダマイト、ダクタイル鋳鉄、高炭素系高
速度鋼 (ハイス) 、超硬合金等や、冷間圧延用ロール材
質であるSKD61 クラスの鍛鋼、セミハイス等や、SKD62
クラスの熱間金型材、さらにCrめっきなどの表面処理を
施したロールおよび工具など、さまざまな工具材料にお
いて使用できる。
【0053】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に例示す
る。実施例中、%は特に指定のない限り重量%である。
る。実施例中、%は特に指定のない限り重量%である。
【0054】
【調合例1】酸価が異なるホスホン酸エステル10重量%
と、塩基価が150 及び400 mgKOH/gの高塩基性金属塩ス
ルホネート (金属はCa) 30重量%と、残部 (60重量%)
潤滑油基油 (精製鉱物油) とを混合して本発明の潤滑剤
組成物を調合し、室温で24時間放置することにより、そ
の安定性を調査した。結果を表1に示す。
と、塩基価が150 及び400 mgKOH/gの高塩基性金属塩ス
ルホネート (金属はCa) 30重量%と、残部 (60重量%)
潤滑油基油 (精製鉱物油) とを混合して本発明の潤滑剤
組成物を調合し、室温で24時間放置することにより、そ
の安定性を調査した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】この結果から、ホスホン酸エステルの酸価
が40 mgKOH/g以下であれば、塩基価150 mgKOH/g 以上の
塩基性金属塩スルホネートと混合しても、安定性が高
く、潤滑性能が劣化しないことが確認された。
が40 mgKOH/g以下であれば、塩基価150 mgKOH/g 以上の
塩基性金属塩スルホネートと混合しても、安定性が高
く、潤滑性能が劣化しないことが確認された。
【0057】なお、使用したホスホン酸エステルは次の
通りであった。 酸価1mgKOH/g :ヒドロキシメチルホスホン酸ジ(2−
エチルヘキシル) 酸価10mgKOH/g :3−ホスホノプロピオン酸トリエス
テル 酸価40mgKOH/g :2−エチルヘキシルホスホン酸ジ(2
−エチルヘキシル) 酸価70mgKOH/g :との混合物。
通りであった。 酸価1mgKOH/g :ヒドロキシメチルホスホン酸ジ(2−
エチルヘキシル) 酸価10mgKOH/g :3−ホスホノプロピオン酸トリエス
テル 酸価40mgKOH/g :2−エチルヘキシルホスホン酸ジ(2
−エチルヘキシル) 酸価70mgKOH/g :との混合物。
【0058】酸価180mgKOH/g:2−エチルヘキシルホ
スホン酸モノ(2−エチルヘキシル) 。
スホン酸モノ(2−エチルヘキシル) 。
【0059】
【調合例2】表2に示すように、塩基価と金属塩が異な
る金属塩スルホネートA〜Fの1種もしくは2種以上
を、粒径の異なる人造黒鉛と炭酸カルシウム(平均粒子
径が黒鉛は5μmと15μm、炭酸カルシウムは2μmと
10μm) 、酸価の異なるホスホン酸エステルαおよびβ
の1種もしくは2種以上と共に、残部を構成する精製鉱
物油(ISO VG 46) 中に、ホモミキサーにより攪拌、調合
して、本発明例および比較例の潤滑剤組成物を調合し
た。
る金属塩スルホネートA〜Fの1種もしくは2種以上
を、粒径の異なる人造黒鉛と炭酸カルシウム(平均粒子
径が黒鉛は5μmと15μm、炭酸カルシウムは2μmと
10μm) 、酸価の異なるホスホン酸エステルαおよびβ
の1種もしくは2種以上と共に、残部を構成する精製鉱
物油(ISO VG 46) 中に、ホモミキサーにより攪拌、調合
して、本発明例および比較例の潤滑剤組成物を調合し
た。
【0060】各潤滑剤組成物を調合してから、室温で24
時間経過後の各潤滑剤組成物の状態を調べた結果、酸価
が40 mgKOH/g以下のホスホン酸エステルを含有する本発
明例の組成物ではいずれも性状、性能等に変化がなかっ
たのに対し、酸価が40 mgKOH/gを超えるホスホン酸エス
テルを含有する比較例の組成物 (No.19)は、化学反応が
進行し、粘度が増加し、後述するように性能の劣化が確
認された。
時間経過後の各潤滑剤組成物の状態を調べた結果、酸価
が40 mgKOH/g以下のホスホン酸エステルを含有する本発
明例の組成物ではいずれも性状、性能等に変化がなかっ
たのに対し、酸価が40 mgKOH/gを超えるホスホン酸エス
テルを含有する比較例の組成物 (No.19)は、化学反応が
進行し、粘度が増加し、後述するように性能の劣化が確
認された。
【0061】これらの潤滑剤組成物を、金属の熱間、温
間、冷間における圧延加工における潤滑剤として使用し
た実施例を以下に示す。なお、対照として、市販の圧延
油も同様の条件で潤滑剤として使用した。
間、冷間における圧延加工における潤滑剤として使用し
た実施例を以下に示す。なお、対照として、市販の圧延
油も同様の条件で潤滑剤として使用した。
【0062】
【実施例1】熱延仕上げタンデムミルによるステンレス鋼板 (SUS43
0) の圧延加工 各潤滑剤組成物は、ウォータインジェクション方式によ
り水中に強制的に分散させて、各圧延スタンドの圧延用
ロールに直接供給 (濃度0.5 %) した。圧延用ロール材
は、高炭素系ハイス (主要化学成分:1.0〜2.5%C-0.2〜
2.0%Si-2.0〜10%Mo-0.5〜8%V-0.5〜6%W、製法:遠心
鋳造法) を使用した。
0) の圧延加工 各潤滑剤組成物は、ウォータインジェクション方式によ
り水中に強制的に分散させて、各圧延スタンドの圧延用
ロールに直接供給 (濃度0.5 %) した。圧延用ロール材
は、高炭素系ハイス (主要化学成分:1.0〜2.5%C-0.2〜
2.0%Si-2.0〜10%Mo-0.5〜8%V-0.5〜6%W、製法:遠心
鋳造法) を使用した。
【0063】結果を表3に示す。耐摩耗性は、ステンレ
ス鋼を約500 トン圧延後の2号圧延機の上下圧延用ロー
ルの最大摩耗深さによって調べた。圧延終了後の圧延用
ロールやステンレス鋼板表面の状況については、目視観
察と表面疵発生部位の面積率によって調べた。
ス鋼を約500 トン圧延後の2号圧延機の上下圧延用ロー
ルの最大摩耗深さによって調べた。圧延終了後の圧延用
ロールやステンレス鋼板表面の状況については、目視観
察と表面疵発生部位の面積率によって調べた。
【0064】その結果、本発明例の潤滑剤組成物は、ス
リップ等の噛み込み不良を発生することなく、圧延用ロ
ールやステンレス鋼板表面の焼付き疵を防止もしくは大
幅に軽減することができることが明らかになった。ま
た、圧延用ロールの耐摩耗性も、比較例に比べて大幅に
改善されていることがわかる。
リップ等の噛み込み不良を発生することなく、圧延用ロ
ールやステンレス鋼板表面の焼付き疵を防止もしくは大
幅に軽減することができることが明らかになった。ま
た、圧延用ロールの耐摩耗性も、比較例に比べて大幅に
改善されていることがわかる。
【0065】
【実施例2】熱延仕上げタンデムミルによる炭素鋼板の圧延加工 各潤滑剤組成物は、ウォータインジェクション方式によ
り水中に強制的に分散させて各圧延スタンドの圧延用ロ
ールに直接供給 (濃度0.5 %) した。圧延用ロール材の
材質および製法は実施例1と同じであった。
り水中に強制的に分散させて各圧延スタンドの圧延用ロ
ールに直接供給 (濃度0.5 %) した。圧延用ロール材の
材質および製法は実施例1と同じであった。
【0066】本実施例は、負荷の軽い圧延加工に相当す
るものであるため、圧延用ロールや炭素鋼板表面の焼付
きはさほど問題がないため、圧延荷重の低減率と耐摩耗
性について調査した。荷重低減率は、2号圧延機におけ
る無潤滑時の圧延荷重を基準にした。その結果、本発明
例の潤滑剤組成物では、スリップ等の噛み込み不良を発
生することもなかった。
るものであるため、圧延用ロールや炭素鋼板表面の焼付
きはさほど問題がないため、圧延荷重の低減率と耐摩耗
性について調査した。荷重低減率は、2号圧延機におけ
る無潤滑時の圧延荷重を基準にした。その結果、本発明
例の潤滑剤組成物では、スリップ等の噛み込み不良を発
生することもなかった。
【0067】本発明例No.1〜12と比較例No.13 〜22との
比較から、高塩基性金属塩スルホネートを低い割合で含
有させ、かつ特定粒径、含有量の黒鉛、炭酸カルシウム
や特定塩基価のホスホン酸エステルを添加することによ
り、負荷が軽い、すなわち流体潤滑域でも圧延荷重をス
リップやかみ込み不良を生じない適正なレベルまで低減
することができ、しかも表面疵のない製品を得られるこ
とがわかった。また、ロール自身の耐摩耗性についても
大幅に改善されることが確認された。
比較から、高塩基性金属塩スルホネートを低い割合で含
有させ、かつ特定粒径、含有量の黒鉛、炭酸カルシウム
や特定塩基価のホスホン酸エステルを添加することによ
り、負荷が軽い、すなわち流体潤滑域でも圧延荷重をス
リップやかみ込み不良を生じない適正なレベルまで低減
することができ、しかも表面疵のない製品を得られるこ
とがわかった。また、ロール自身の耐摩耗性についても
大幅に改善されることが確認された。
【0068】
【実施例3】ピルガーミルによるステンレス鋼管(SUS304)の冷間圧延
加工 各潤滑剤は、原液のままロールとマンドレルに供給し
た。使用したロールダイスおよびマンドレルの主な化学
成分は、それぞれ1.0%C-1.7%Cr-0.3%Mo、および1.5%C
-12.0%Cr-1.0%Mo である。
加工 各潤滑剤は、原液のままロールとマンドレルに供給し
た。使用したロールダイスおよびマンドレルの主な化学
成分は、それぞれ1.0%C-1.7%Cr-0.3%Mo、および1.5%C
-12.0%Cr-1.0%Mo である。
【0069】表3の結果からわかるように、本発明例の
潤滑剤組成物は、工具およびステンレス鋼管の焼付き疵
を防止もしくは大幅に軽減できることが明らかになっ
た。
潤滑剤組成物は、工具およびステンレス鋼管の焼付き疵
を防止もしくは大幅に軽減できることが明らかになっ
た。
【0070】
【実施例4】センジミアミルによるチタン板の冷間圧延加工 各潤滑剤組成物は、予め水に分散させ、エマルジョン状
態 (濃度1.5 %) にして圧延用ロールに直接供給した。
チタン板 (JIS 2種の熱延焼鈍酸洗板、サイズは2.5 mm
厚×50mm幅×2000mm長さ) をセンジミアミル (小径多段
ロールを有した圧延機) にて1パス圧延 (圧下率25%)
した。
態 (濃度1.5 %) にして圧延用ロールに直接供給した。
チタン板 (JIS 2種の熱延焼鈍酸洗板、サイズは2.5 mm
厚×50mm幅×2000mm長さ) をセンジミアミル (小径多段
ロールを有した圧延機) にて1パス圧延 (圧下率25%)
した。
【0071】表3の結果からわかるように、本発明例の
潤滑剤組成物は、ロールおよびチタン板表面の焼付き疵
を防止もしくは大幅に軽減できることが明らかになっ
た。
潤滑剤組成物は、ロールおよびチタン板表面の焼付き疵
を防止もしくは大幅に軽減できることが明らかになっ
た。
【0072】
【実施例5】回転鍛造によるアルミニウム合金のホイール温間成形 特公平6−716393号公報に開示されるアルミホイール素
材の製造過程において、鍛造加工直前に 350〜400 ℃に
加熱された鍛造用金型表面に、準備した上記の各潤滑剤
組成物をマシン油と1:1の重量比で混合し、スプレー
ノズルにより供給した。鍛造加工終了後のアルミホイー
ル表面の焼付き発生有無、程度について調査した。鍛造
用金型表面の焼付き程度は、アルミホイール表面の焼付
き程度とほぼ一致していた。
材の製造過程において、鍛造加工直前に 350〜400 ℃に
加熱された鍛造用金型表面に、準備した上記の各潤滑剤
組成物をマシン油と1:1の重量比で混合し、スプレー
ノズルにより供給した。鍛造加工終了後のアルミホイー
ル表面の焼付き発生有無、程度について調査した。鍛造
用金型表面の焼付き程度は、アルミホイール表面の焼付
き程度とほぼ一致していた。
【0073】表3から、本発明の圧延加工用潤滑剤組成
物No.1〜12によれば、鍛造用金型工具およびアルミホイ
ールの表面疵 (焼付き) を防止もしくは大幅に軽減する
ことができ、作業性や生産性および製品品質を格段に向
上させうることが明らかとなった。
物No.1〜12によれば、鍛造用金型工具およびアルミホイ
ールの表面疵 (焼付き) を防止もしくは大幅に軽減する
ことができ、作業性や生産性および製品品質を格段に向
上させうることが明らかとなった。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】以上より、下記の点が明らかとなる。
【0077】(1) 本発明例No.1〜12の潤滑剤組成物と比
較例No.13 〜22の潤滑剤組成物との比較から、塩基価15
0 mgKOH/g 以上の高塩基性金属塩スルホネートの含有量
が5〜20重量%の範囲で、しかも粒子径0.5 〜10μmの
黒鉛を0.1 〜20重量%および/または粒子径0.02〜5μ
mの炭酸カルシウムを0.1 〜20重量%および/または酸
価 40mgKOH/g以下のホスホン酸エステルを 0.1〜30重量
%含有量する本発明の潤滑剤組成物は、スリップ等の圧
延不良や焼付きやかじりといった表面疵を発生すること
なく、圧延荷重低減やロール摩耗の低減などの潤滑性を
バランス良く改善することができる。
較例No.13 〜22の潤滑剤組成物との比較から、塩基価15
0 mgKOH/g 以上の高塩基性金属塩スルホネートの含有量
が5〜20重量%の範囲で、しかも粒子径0.5 〜10μmの
黒鉛を0.1 〜20重量%および/または粒子径0.02〜5μ
mの炭酸カルシウムを0.1 〜20重量%および/または酸
価 40mgKOH/g以下のホスホン酸エステルを 0.1〜30重量
%含有量する本発明の潤滑剤組成物は、スリップ等の圧
延不良や焼付きやかじりといった表面疵を発生すること
なく、圧延荷重低減やロール摩耗の低減などの潤滑性を
バランス良く改善することができる。
【0078】(2) 本発明例No.6とそれ以外の本発明例と
の比較から、塩基価150 mgKOH/g 以上の高塩基性金属塩
スルホネートの含有量が8〜20重量%のもの、黒鉛含有
量 0.1〜15重量%のもの、炭酸カルシウム含有量 0.1〜
15重量%のもの、ホスホン酸エステル含有量 0.1〜15.0
重量%のものが特に効果が高い。
の比較から、塩基価150 mgKOH/g 以上の高塩基性金属塩
スルホネートの含有量が8〜20重量%のもの、黒鉛含有
量 0.1〜15重量%のもの、炭酸カルシウム含有量 0.1〜
15重量%のもの、ホスホン酸エステル含有量 0.1〜15.0
重量%のものが特に効果が高い。
【0079】(3) 本発明例No.3とNo.9との比較により、
高塩基性金属塩スルホネートの金属塩がCa塩であるもの
が潤滑性能に優れる。
高塩基性金属塩スルホネートの金属塩がCa塩であるもの
が潤滑性能に優れる。
【0080】また、熱間加工の際には、本発明にかかる
圧延加工用潤滑剤組成物は工具の酸化抑制にも効果があ
るため、表面黒皮の剥離等を伴うような工具肌荒れを抑
制し、工具の交換寿命の延長をより一層向上させること
ができる。
圧延加工用潤滑剤組成物は工具の酸化抑制にも効果があ
るため、表面黒皮の剥離等を伴うような工具肌荒れを抑
制し、工具の交換寿命の延長をより一層向上させること
ができる。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、安定性に優れた本
発明の圧延加工用潤滑剤組成物によれば、流体潤滑状態
のような比較的負荷の軽い条件下でも圧延加工時にスリ
ップやかみ込み不良等の圧延トラブルを発生することな
く、焼付き防止や圧延荷重低減、工具摩耗低減等の潤滑
効果を発揮し、工具の研削頻度減少による作業性、生産
性向上や工具寿命の延長、金属製品表面品質の向上を実
現することができる。
発明の圧延加工用潤滑剤組成物によれば、流体潤滑状態
のような比較的負荷の軽い条件下でも圧延加工時にスリ
ップやかみ込み不良等の圧延トラブルを発生することな
く、焼付き防止や圧延荷重低減、工具摩耗低減等の潤滑
効果を発揮し、工具の研削頻度減少による作業性、生産
性向上や工具寿命の延長、金属製品表面品質の向上を実
現することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 125:10 137:04) C10N 20:00 30:06 30:08 40:24
Claims (1)
- 【請求項1】 組成物全重量に基づいて、(A) 塩基価15
0 mgKOH/g 以上の高塩基性金属塩スルホネート5〜20重
量%と、(B) 平均粒子径10μm以下の黒鉛 0.1〜20重量
%、平均粒子径0.02〜5μmの炭酸カルシウム 0.1〜20
重量%、および酸価40 mgKOH/g以下のホスホン酸エステ
ル0.1〜30重量%よりなる群から選んだ1種もしくは2
種以上、とを含有することを特徴とする金属の圧延加工
用潤滑剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19564595A JP3475983B2 (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 金属の圧延加工用潤滑剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19564595A JP3475983B2 (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 金属の圧延加工用潤滑剤組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0940988A true JPH0940988A (ja) | 1997-02-10 |
JP3475983B2 JP3475983B2 (ja) | 2003-12-10 |
Family
ID=16344626
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19564595A Expired - Fee Related JP3475983B2 (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 金属の圧延加工用潤滑剤組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3475983B2 (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000022058A1 (fr) * | 1998-10-14 | 2000-04-20 | Kawasaki Steel Corporation | Composition de revetement et feuilles metalliques lubrifiees |
JP2002241836A (ja) * | 2001-02-14 | 2002-08-28 | Nippon Seisen Co Ltd | ばね用ステンレス鋼細線 |
WO2005095563A1 (ja) * | 2004-03-31 | 2005-10-13 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | 塑性加工用潤滑剤組成物 |
WO2011048754A1 (ja) * | 2009-10-23 | 2011-04-28 | 三菱重工業株式会社 | 鍛造成型加工用潤滑油組成物および鍛造成型装置 |
US8114822B2 (en) | 2006-10-24 | 2012-02-14 | Chemtura Corporation | Soluble oil containing overbased sulfonate additives |
WO2016170707A1 (ja) * | 2015-04-24 | 2016-10-27 | Jxエネルギー株式会社 | 潤滑油組成物 |
JP2016204548A (ja) * | 2015-04-24 | 2016-12-08 | Jxエネルギー株式会社 | 潤滑油組成物 |
-
1995
- 1995-07-31 JP JP19564595A patent/JP3475983B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000022058A1 (fr) * | 1998-10-14 | 2000-04-20 | Kawasaki Steel Corporation | Composition de revetement et feuilles metalliques lubrifiees |
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WO2011048754A1 (ja) * | 2009-10-23 | 2011-04-28 | 三菱重工業株式会社 | 鍛造成型加工用潤滑油組成物および鍛造成型装置 |
JP2011089053A (ja) * | 2009-10-23 | 2011-05-06 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 鍛造成型加工用潤滑油組成物および鍛造成型装置 |
US9296035B2 (en) | 2009-10-23 | 2016-03-29 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Lubricating-oil composition for forging molding and forging molding apparatus |
WO2016170707A1 (ja) * | 2015-04-24 | 2016-10-27 | Jxエネルギー株式会社 | 潤滑油組成物 |
JP2016204548A (ja) * | 2015-04-24 | 2016-12-08 | Jxエネルギー株式会社 | 潤滑油組成物 |
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---|---|
JP3475983B2 (ja) | 2003-12-10 |
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