JPH0940515A - ナス科植物の土壌病害防除剤および防除方法 - Google Patents

ナス科植物の土壌病害防除剤および防除方法

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JPH0940515A
JPH0940515A JP7194839A JP19483995A JPH0940515A JP H0940515 A JPH0940515 A JP H0940515A JP 7194839 A JP7194839 A JP 7194839A JP 19483995 A JP19483995 A JP 19483995A JP H0940515 A JPH0940515 A JP H0940515A
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plant
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disease
tobacco
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Hidenori Hara
秀 紀 原
Kazuharu Koga
賀 一 治 古
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Japan Tobacco Inc
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Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タバコ立枯病およびナス科植物青枯病などの
ナス科植物の土壌病害の発生を防止する性質を有するア
グロバクテリウム・ラジオバクターに属する新規な微生
物およびそれを用いた植物の生長に悪影響を与えず、か
つ安全な植物の土壌病害防除剤。 【解決手段】 アグロバクテリウム・ラジオバクターH
3501菌株または同TBR27菌株を有効成分として
含んでなる、植物の土壌病害防除剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、タバコ立枯病およびナス科植物青枯病などの
ナス科植物の土壌病害防除剤に関する。
【0002】背景技術 植物病原細菌の一種であるシュードモナス・ソラナセア
ラム(Pseudomonas solanacearum)の寄生に起因するタ
バコ立枯病およびナス科植物青枯病は、作物病害の中で
も難防除病害の一つとされており、タバコ、トマト、ナ
ス、ピーマン等多くの作物において被害がみられる(な
お、本明細書において、タバコ立枯病あるいはナス科植
物青枯病を単に「立枯病」と、またシュードモナス・ソ
ラナセアラムを単に「立枯病菌」ということがある)。
この立枯病菌は土壌中で長期間容易に生存し、いったん
植物体に感染すると増殖が速いことから、その防除は極
めて困難である。
【0003】現在、立枯病防除のために講じられている
対策としては、土壌くん蒸剤(例えばクロルピクリン、
臭化メチル)等の薬剤を利用する方法のほか、抵抗性品
種・台木の利用、有機物施用、排水促進、太陽熱利用に
よる病原細菌密度の低減が挙げられる。
【0004】土壌くん蒸剤を利用する方法は、環境に与
える影響を考慮して今後使用が制約される可能性があ
る。また、くん蒸剤は立枯病菌だけでなく有用な微生物
まで死滅させてしまう点でも不利である。しかしなが
ら、他の薬剤を用いない防除方法については、それらは
被害を減少させるための補足的な手段であり安定した効
果を示さないことも多い。従って、土壌くん蒸剤を用い
ることなしに被害を回避することができないのが現状で
あるといえる。
【0005】一方で、自然の土壌中には、立枯病菌に対
し拮抗作用を示す微生物が多数存在することが明らかに
なってきている。そして、これらの拮抗性の微生物を用
いて安全かつ効果的に立枯病を防除する試みが行われて
いる。このような試みとしては、例えば、シュードモナ
ス・プチーダ(Pseudomonas putida)を用いる方法(日
本植物病理学会報(1990)vol.56,404 )、シュードモナ
ス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens )を
用いる方法(Revista de Microbiologia(1989)vol.2
0,18-26)、弱病原性のシュードモナス・ソラナセアラ
ム バクテリオシン産生菌株(Pseudomonas solanacear
um)を用いる方法(特開平1-16579 号公報)等が挙げら
れる。以上の拮抗細菌は、培地上で立枯病菌であるシュ
ードモナス・ソラナセアラムに対して抗菌活性を示すこ
とから、発病抑制機構の一つとして抗菌物質の関与が示
唆される。
【0006】これらの内、シュードモナス・プチーダま
たはシュードモナス・フルオレッセンスには、温室内の
短期実験において立枯病の発病抑制効果が認められた。
しかしこれらは実際の汚染畑では防除効果が認められな
かったり、栽培後期に防除効果が著しく低下したとする
報告がほとんどであった。すなわち、栽培期間の長いナ
ス科植物に使用され、栽培後期まで満足な防除効果が得
られたとする報告はない。
【0007】また、弱病原性のシュードモナス・ソラナ
セアラム バクテリオシン産生菌OM2菌株について
は、OM2菌株が根部へ定着するためには18℃以上の
温度条件が必要なことが明らかにされている(日本植物
病理学会報(1989)55巻,511)。一方で、タバコ畑の移
植時は4月であることから、このような温度条件を一般
には満たせない。よって、OM2菌株が施されても菌数
の減少により立枯病の防除効果が低下しまたは不安定に
なることが考えられる。
【0008】他方で、立枯病菌に対して抗菌活性のない
細菌であるオルスロバクター属細菌(Orthrobacter s
p.)R−2菌株が、水耕栽培のトマト青枯病に対して抑
制効果を示すことが報告されている(日本植物病理学会
報(1994)60巻,372)。
【0009】また、オーストラリアで分離されたアグロ
バクテリウム・ラジオバクターの一系統であるストレイ
ン84を用いて、アグロバクテリウム・ツメファシエン
スが引き起こす果樹類の根頭がんしゅ病を防除する技術
が開示されている(Plant disease (1980)64:25〜3
0)。しかし、この微生物は本発明者等の実験によれ
ば、立枯病の防除効果は認められなかった。
【0010】またさらに、本発明者等の知る限りでは、
アグロバクテリウム(Agrobacterium )属に属する微生
物が立枯病の防除に有用であるとの報告はなされていな
い。
【0011】
【発明の概要】今般、本発明者らは、タバコ根部から分
離したアグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobact
erium radiobacter )に属する微生物が、培地上では立
枯病菌に抗菌活性を有しないにもかかわらず、立枯病の
発生を栽培後期に至るまで効果的に抑制し、植物体の成
長には悪影響を及ぼさないとの知見を得た。本発明はか
かる知見に基づくものである。
【0012】従って、本発明は、ナス科植物の土壌病害
を防除する土壌病害防除剤およびそれを用いたナス科植
物の土壌病害の防除方法の提供をその目的としている。
【0013】また、本発明による土壌病害防除剤は、ナ
ス科植物の根部またはその近傍に存在させることでタバ
コ立枯病またはナス科植物青枯病の発生を防止する性質
を有するアグロバクテリウム属に属する微生物および/
またはその培養物を含んでなるもの、である。
【0014】さらに、本発明によるナス科植物の土壌病
害防除法は、上記の本発明による土壌病害防除剤をナス
科植物の根部近傍の土壌に導入する工程を含んでなるも
の、である。
【0015】
【発明の具体的説明】微生物の寄託 本発明による微生物の具体例であるH3501菌株は福
島県西白河郡泉崎村のタバコ(みちのく1号)の根部か
ら分離されたものである。また、本発明による微生物の
別の具体例であるTBR27菌株は栃木県小山市のタバ
コ(BY4)の根部から分離されたものである。これら
の菌株は後記する細菌学的性質をもとに、Bergey's Man
ual of Systematic Bacteriology volume 1(1984) を参
考に同定したところ、アグロバクテリウム・ラジオバク
ターに属する新菌株と判断された。これらのアグロバク
テリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacte
r)H3501株(以下、「H3501」という)およ
び同TBR27菌株(以下、「TBR27」という)は
それぞれ受託番号FERM BP−5058およびFE
RM BP−5059のもと工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託されている。
【0016】H3501菌株の細菌学的性質 本発明に用いられるH3501株の細菌学的性質は以下
の第1表に示される通りであった。
【表1】 また、本菌株は、立枯病菌に対して培地上では抗菌活性
を示さなかった。
【0017】TRB27株の細菌学的性質 本発明に用いられるTRB27株の細菌学的性質は以下
の第2表に示される通りあった。
【表2】 また、本菌株は、立枯病菌に対して培地上では抗菌活性
を示さなかった。
【0018】培養 本発明に用いられる上記微生物の培養は、培地の種類お
よび培養条件を含めて合目的的な任意のものでありう
る。例えば、肉エキス培地など一般的な培地の他、好ま
しくはM523培地(Phytopathology(1970)vol.60,9
69−976 )、キングB培地(J. Lab. Clin. Med.(195
4)vol.44,301−307 )などが挙げられる。また、液体
培地以外に寒天入りの斜面培地および平板培地等の固体
培地を用いてもよい。そして、それら培養によって増殖
させて、所望の菌体量を得ることができる。
【0019】培地の炭素源としては、上記菌株が同化し
うるあらゆるものが利用可能である。具体的にはグルコ
ース、ガラクトース、ラクトース、アラビノース、マン
ノース、麦芽エキス澱粉加水分解物などの糖の外に、該
菌株が利用し得る各種の合成または天然炭素源がある。
【0020】窒素源としても同様に、ペプトン、肉エキ
ス、酵母エキスなどの有機窒素含有物をはじめ、該菌株
が利用し得る各種の合成又は天然物が利用可能である。
【0021】微生物培養の常法に従って、食塩、リン酸
塩などの無機塩類、カルシウム、マグネシウム、鉄など
の金属の塩類、ビタミン、アミノ酸などの微量栄養源も
必要に応じて添加することができる。
【0022】培養は、振盪培養、通気培養などの好気的
条件下で行なうことができる。培養温度は20〜30
℃、好ましくは25〜30℃、pHは5〜8、好ましく
は6〜7、培養期間は1〜4日、好ましくは2〜3日が
適当である。
【0023】土壌病害の防除 本発明に用いられるアグロバクテリウム・ラジオバクタ
ーに属する微生物は、微生物をナス科植物の根部、栽培
地、またはその土壌に存在させることでタバコ立枯病ま
たはナス科植物青枯病の発生を防止する性質を有する。
さらに、アグロバクテリウム・ラジオバクターに属する
微生物がこのような性質を有するとの知見に基づけば当
業者は、アグロバクテリウム属に属する微生物であっ
て、ナス科植物の根部近傍に存在させることで立枯病の
発生を防止する性質を有する微生物の存在を予測でき、
かつそれを容易に選択することが可能となったと解され
る。
【0024】従って、本発明の別の態様によれば、ナス
科植物の根部、栽培地、またはその土壌に存在させるこ
とでナス科植物の土壌病害、例えばタバコ立枯病または
ナス科植物青枯病、の発生を防止する性質を有するアグ
ロバクテリウム属に属する微生物および/またはその培
養物を含んでなる植物の土壌病害防除剤が提供される。
また、その防除剤を用いたナス科植物の土壌病害を防除
する方法が提供される。
【0025】アグロバクテリウム属に属する微生物の好
ましい具体例としては、アグロバクテリウム・ラジオバ
クターに属する微生物、より具体的にはアグロバクテリ
ウム・ラジオバクターH3501菌株、FERM BP
−5058、アグロバクテリウム・ラジオバクターTB
R27、およびFERM BP−5059が挙げられ
る。微生物は、単一の菌株を用いても、また上記性質を
有する複数の菌株を混合して用いられてもよい。
【0026】本明細書中において「防除」とは病気の予
防のみならず、除去をも含む意味で用いるものとする。
また、「根部」とは、植物を栽培した場合に土壌中また
は水耕液中にあって水分や栄養分の吸収を行なう部分を
いうものとする。
【0027】以下の記述によって本発明が限定的に解釈
されないことを前提として、上記微生物によってナス科
植物の土壌病害が防除出来る理由は、上記微生物が植物
根に定着し、立枯病菌の植物体への侵入を防ぐととも
に、植物体に立枯病菌に対する抵抗性を誘導するのでは
ないかと考えられる。また、上記微生物は上記したよう
に立枯病菌に抗菌活性を有しないことから、立枯病菌に
耐性株が出現しない点でも有利と考えられる。
【0028】また、本発明による土壌病害防除剤が適用
可能なナス科の植物としては、例えば、タバコ、ナス、
トマト、ジャガイモ、ピーマン、トウガラシ、ペピーノ
などが挙げられる。
【0029】本発明による土壌病害防除剤において微生
物が生菌として適用される場合、108 〜1010個/m
lの濃度で、苗を本畑へ移植する7日前から移植の後1
カ月までの間に植物体の根部に1回〜複数回、浸漬処
理、灌注処理、または灌流処理等することによって適用
されるのが好ましい。浸漬処理による場合には、浸漬時
間は30分〜3時間、好ましくは約1時間である。ま
た、灌注または灌流処理による場合には、移植前は苗1
株当たり5〜20ml、移植後は一株あたり50〜20
0mlを適用するのが好ましい。
【0030】また、微生物の培養物として適用される場
合、好ましくは菌体を依然として含んだものとして適用
されるのが好ましく、その適用時期および適用量は上記
生菌の場合に準じて適宜決定されてよい。
【0031】さらに本発明の好ましい態様によれば、上
記微生物またはその培養物を土壌に混和した後、ナス科
植物を移植してもよい。この場合の、混和の時期および
その量は、移植の1ケ月前から直前までの間に土壌1g
当り菌体105 個以上となるように混和するのが好まし
い。
【0032】さらに、本発明による土壌病害防除剤はい
わゆる担体と組み合わされて農薬組成物とされてもよ
い。好ましい担体の例としては、所望によりpH緩衝液
を加えた水溶性溶媒、スキムミルクなどの保護剤ととも
に凍結乾燥後タルクなどの助剤を加えた粉末剤、顆粒
剤、ならびにバーミキュライトなどの多孔質体などが挙
げられる。防除剤として処方された際の微生物および/
またはその培養物の量、さらには適用時期および適用量
は上記生菌の場合に準じて適宜決定されてよい。
【0033】
【実施例】本発明を以下の実施例によってさらに説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0034】実施例1:菌株の取得 全国のタバコ畑から健全なタバコ根部を掘り取り、ハサ
ミで根部を切り離し、付着している土壌を振り落とし
た。約1cmの長さに切断した根を10mlの滅菌水中
に入れ、ミキサーで攪拌した。得られた懸濁液を1白金
耳取り、M523培地(シュークローズ10.0g、カ
ゼイン酵素分解物8.0g、イーストエクストラクト
4.0g、リン酸二カリウム2.0g、硫酸マグネシウ
ム・7水化物0.3g、蒸留水1,000ml、寒天1
5.0g:Phytopathology(1970)vol.60:969-976)、ま
たはキングB培地(プロテオースペプトンNo.3 2
0g、リン酸二カリウム1.5g、硫酸マグネシウム
1.5g、グリセリン10ml、蒸留水1,000m
l:J. Lab. Clin. Med.(1954) vol.44:301-307 )上に
画線した。28℃で3日間培養した後、得られた単一の
コロニーを−80℃のフリーザーで保存した。その結
果、根面に良く定着すると考えられる細菌株約2,00
0株を得た。
【0035】温室または圃場において、これら菌株の植
物体への影響および効果を次のように評価した。すなわ
ち、播種後40日目の9〜10葉期のタバコ苗(品種:
BY4)を供試し、細菌株をキングB液体培地で28
℃、120rpm、2日間培養した。その後、培養液1
0mlをタバコの株元周囲に落下させ灌注することによ
り、根部に導入した後、温室肥土を入れた4寸鉢に移植
した。2週間後に立枯病菌の懸濁液(約107 /ml)
を株当り10mlずつ灌注接種したのち、30℃に設定
した温室内で定期的にタバコの生育や立枯病の発生につ
いて調査し、有用な細菌株を選抜した。
【0036】次に、選抜した有用菌株を、キングB液体
培地で上記と同様に培養した後、10,000×gで1
5分間遠心して集菌した。菌体を滅菌水中に109 /m
lの濃度で懸濁した後、9〜10葉期のタバコ苗(品
種:BY4)の根部に灌注処理し、立枯病菌の汚染畑
(立枯病菌:約102 /g乾土)へ移植した。その後、
タバコ栽培の後期まで発病調査を続け、栽培後期まで効
果が持続する菌株のみを最終的に選抜した。
【0037】その結果、福島県西白河郡泉崎村のタバコ
(みちのく1号)の根部から有用菌株としてH3501
菌株が、さらに栃木県小山市のタバコ(BY4)の根部
から有用菌株としてTBR27菌株が分離された。
【0038】なお、これら菌株が立枯病菌に対する抗菌
活性を有するかどうか調べたが、いずれも培地上では立
枯病菌に対する抗菌活性は認められなかった。
【0039】実施例2:H3501菌株の植物の生長へ
の影響 H3501菌株をキングB液体培地で25℃、120r
pm、3日間振盪培養した後、遠心集菌(10,000
×g,15分間)し、滅菌水中に約109 /mlの濃度
で懸濁した。これを9〜10葉期のタバコ苗(品種:B
Y4)の根部に株当り10mlずつ灌注し、約3時間放
置した。その後、畑に移植した。移植時期は3月30日
であった。同時に、滅菌蒸留水を同様に処理した苗を対
照無処理区として移植した。6月10日にタバコの幹径
(地際部の茎部直径)および草丈を調査し、t−検定に
より統計処理を行った。その結果は第3表に示される通
りであった。
【0040】
【表3】
【0041】H3501菌株の処理区では、無処理区と
同様にタバコの生育が旺盛で斉一であった。6月10日
の調査でも幹径および草丈ともに無処理区に比べ、有意
差が認められなかった。
【0042】実施例3:H3501菌株による立枯病防
除試験(その1) 実施例2と同様の方法でH3501菌株をタバコ苗根部
に処理し、立枯病の汚染畑(立枯病菌:約102 /g乾
土)に移植した。移植時期は3月30日であった。同時
に、滅菌蒸留水で処理した苗を対照無処理区として移植
した。移植後は、定期的に発病状況を観察し、タバコ栽
培の収穫終了時である8月5日に最終調査を行い防除率
を算出した。防除率は、下記式により算出した。 防除率=(1−処理区発病率/無処理区発病率)×10
【0043】その結果は、次の第4表に示される通りで
あった。
【表4】
【0044】本試験では、ウイルス病による被害のため
に最終調査時に両試験区で欠株を生じた。無処理区で
は、移植後早期に本病の初発生が認められ、以後の病勢
の進展も速く最終的に約70%の発病が認められた。一
方、H3501菌株処理区では、初発時期が極めて遅く
なり、以後の発生の増加も少なかった。最終調査時の発
病率は約5%と極めて低く、後期まで安定した防除効果
を示した。
【0045】実施例4:H3501菌株による立枯病防
除試験(その2) 実施例3と同様の方法でH3501菌株をタバコ苗に処
理し、3月30日に立枯病の汚染畑に移植した。同時に
実施例2と同様に対照無処理区を設置した。移植後は、
定期的に発病状況を観察し、タバコ栽培の収穫終了時で
ある8月5日に最終調査を行い、実施例3と同様の方法
で防除率を算出した。
【0046】その結果は、次の第5表に示される通りで
あった。
【表5】
【0047】本実施例でも、ウイルス病による被害のた
めに最終調査時に両試験区でわずかに欠株を生じた。無
処理区では、移植後の初発生の時期が早く、最終的に約
70%の株で発病が認められた。一方、H3501菌株
の処理区では、調査期間を通して発病株が認められず、
高い防除効果を示した。
【0048】実施例5:TRB27菌株による立枯病防
除試験 TRB27菌株をキングB液体培地で30℃、100r
pm、3日間振盪培養した後、遠心集菌(10,000
×g,15分間)した。得られた菌体を滅菌水中に約1
9 /mlの濃度で懸濁した。これを以下の試験区で9
〜10葉期のタバコ苗(品種:BY4)の根部に株元灌
注した。タバコ苗は、4月14日に立枯病の汚染畑(立
枯病菌:102 /g乾土)に移植した。 TRB27移植前処理:移植1日前に菌懸濁液を株
当り10ml株元灌注した。 TRB27移植前処理+1か月後処理:と同様に
TRB27菌株を処理し、本畑移植の1か月後に、と
同量の懸濁液を100mlにうすめて株元灌注した。 無処理区:移植1日前に蒸留水を株当り10ml株
元灌注した。
【0049】移植後は、定期的に発病状況を観察し、タ
バコ栽培の収穫終了時である8月19日に最終調査を行
い、実施例3と同様の方法で防除率を算出した。
【0050】
【表6】
【0051】無処理区では、立枯病の発生がやや遅く、
以後の病勢の進展もやや緩慢であり、最終調査時の発病
率は、44.3%であった。一方、TRB27菌株の移
植前処理区では、初発生の時期が著しく遅くなり、収穫
の後半に入って発病株が散在する程度であり、最終発病
率は16.4%と防除効果が高かった。さらに、移植前
と1か月後の2回処理では、防除効果が最も高かった。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナス科植物の根部、栽培地、またはその土
    壌に存在させることでナス科植物の土壌病害の発生を防
    止する性質を有するアグロバクテリウム属に属する微生
    物および/またはその培養物を含んでなる、植物の土壌
    病害防除剤。
  2. 【請求項2】アグロバクテリウム属に属する微生物がア
    グロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium ra
    diobacter )H3501菌株である、請求項1記載の植
    物の土壌病害防除剤。
  3. 【請求項3】アグロバクテリウム属に属する微生物がア
    グロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium ra
    diobacter )TBR27菌株である、請求項1記載の植
    物の土壌病害防除剤。
  4. 【請求項4】土壌病害がシュードモナス・ソラナセアラ
    ムが原因で起こるタバコ立枯病またはナス科植物青枯病
    である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物の土
    壌病害防除剤。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか一項に記載の植物
    の土壌病害防除剤をナス科植物の根部、栽培地、または
    その土壌に導入する工程を含んでなる、ナス科植物の土
    壌病害の防除方法。
  6. 【請求項6】土壌病害がシュードモナス・ソラナセアラ
    ムが原因で起こるタバコ立枯病またはナス科植物青枯病
    である、請求項5記載の防除方法。
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Cited By (1)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7549426B2 (en) 2005-03-31 2009-06-23 Japan Tobacco Inc. Method of reducing nitrite and/or nitrosamine in tobacco leaves using microorganism having denitrifying ability

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7549426B2 (en) 2005-03-31 2009-06-23 Japan Tobacco Inc. Method of reducing nitrite and/or nitrosamine in tobacco leaves using microorganism having denitrifying ability

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