JPH0938819A - 正面フライス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽金属をカッタ本体の素材とする正面フラ
イスを使用して、良好な加工面が得られるようにする。 【解決手段】 鋼製の支持部材３に具備されたクランプ
機構に組込まれる切れ刃チップ７を、少なくとも１枚の
仕上げ刃チップ７ａと粗刃チップ７ｂとにより構成す
る。このとき、仕上げ刃チップ７ａの正面切れ刃１１は
粗刃チップ７ｂより僅かに正面方向に突出し、直径方向
には中心側に引っ込むようにする。仕上げ刃チップ７ａ
によるさらい効果によって、軽量化された正面フライス
において良好な加工面が得られるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カッタ本体がアルミ
ニウム合金などの軽金属からなる正面フライスに関し、
たとえばエンジンのアルミニウム合金製シリンダーブロ
ックの合せ面切削などにおいて、良好な加工面が得られ
るようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】切削幅の広い加工物に対する正面フライ
ス加工において、この切削幅に合った外径の大きな正面
フライスにより切削することは、切削が一度に行なえる
ので加工時間を短縮できたり、場合によっては、所定の
加工寸法や加工面あらさ、平坦度などが得られやすくな
る。しかしながら、鋼材をカッタ本体とする外径の大き
な正面フライスは、マシニングセンタなどの工作機械の
取付け許容重量を超えたり、回転時の動バランスの悪化
による振動の発生、工作機械への着脱時に重量が重いこ
とによる取り扱い性の低下を招いたりすることになる。
これらを解決するための従来の手段の一つに、カッタ本
体に軽金属を使用して軽量化を図る方法があり、たとえ
ば特公昭６３−６５４５２号公報に開示されている。

【０００３】軽金属製のカッタ本体は外力によって変形
を受けやすいために、前記公報に限らず、この種の従来
技術の多くはカッタ本体の変形を如何に少なくするかと
いう点にあった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】カッタ本体の変形を如
何に抑制できたとしても、軽金属製の正面フライスの使
用領域には限界があり、主に軽金属あるいは鋳鉄の一部
などの比較的被削性の良い材料が加工対象となる。その
代表例としてエンジンのアルミニウム合金製シリンダー
ブロックがあげられる。そしてその合せ面は機密性が維
持されるような平坦で良好な加工面であることが求めら
れる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の如き
課題に鑑みなされたもので、アルミニウム合金などの軽
金属からなる環状体を呈するカッタ本体の外周縁には、
円周に沿って切欠き段部が並設されて鋼製の支持部材が
埋設され、この支持部材にはクランプ機構が具備されて
切れ刃チップが装着されるように構成された正面フライ
スにおいて、前記切れ刃チップは、少なくとも１枚の仕
上げ刃チップと粗刃チップとにより構成され、仕上げ刃
チップの正面切れ刃が粗刃チップより正面方向に僅かに
突出するように形成されていることを特徴とする。好ま
しくは、仕上げ刃チップの正面切れ刃は、正面方向には
粗刃チップに対して０．０４〜０．１ｍｍだけ突出し、
直径方向には粗刃チップ７ｂより１刃当りの切削送り以
上に引っ込むように形成された正面フライスとする。

【０００６】

【作用】この発明において、軽金属を素材としたカッタ
本体は正面フライスの軽量化を狙ったものであり、埋設
された支持部材は、チップのクランプ時の押圧力による
カッタ本体の変形を抑制するためのものである。切れ刃
チップには粗刃チップと少なくとも１枚の仕上げ刃チッ
プとが組込まれ、粗刃チップにて切削された加工面を、
粗刃チップより正面方向に突出させた仕上げ刃チップ
が、微小切込みによるさらい加工を行なう。このとき、
各粗刃チップの組込みの一般的な振れ精度±０．０３ｍ
ｍの中央値より仕上げ刃チップを最小でも０．０４ｍｍ
突出させてさらい加工が必ず行なわれるようにし、一
方、仕上げ刃チップに過大な負担が掛からないように、
０．１ｍｍを最大突出量とすることが好ましい。直径方
向に関しては、仕上げ刃チップを粗刃チップより中心寄
りに引っ込めて負担を軽減させる。その量を１刃当りの
切削送り以上にすれば、仕上げ刃チップは外径方向の切
削には全く関与しなくなるので、正面切れ刃のみによる
さらい加工が行なわれるようになる。

【０００７】

【実施例】次に、この発明の一実施例について、図を参
照しながら説明する。図１ないし図３において、カッタ
本体１は環状を呈し、素材には、軽量化を目的としてア
ルミニウム合金などの軽金属が使用されたものである。
その外周縁には周円に沿って切欠き段部２が並設され、
切欠き段部２には鋼製の支持部材３が埋設されて、ボル
ト４により締付け固定される。支持部材３に使用される
鋼材は焼き入れ処理されているので、下記に例示するよ
うなクランプ機構が支持部材３に具備されることによっ
ても、切れ刃チップの押圧力や切削力によるカッタ本体
１の変形、切りくず擦過による摩滅などが抑制される。

【０００８】この実施例において、支持部材３には軸方
向支持面５および直径方向支持面６が形成され、正方形
平板をなす切れ刃チップ７が当接して位置決めがなされ
る。切れ刃チップ７の背面には袋溝８が形成されて楔部
品９が組込まれ、支持部材３と楔部品９との両方に螺合
させた左右ねじ１０の旋回操作により、楔部品９を沈め
たり浮上させたりできるようになっている。切れ刃チッ
プ７は、楔部品９を沈み込ませたときに、楔部品９の前
後面の押圧作用によって固定される。

【０００９】切れ刃チップ７には仕上げ刃チップ７ａと
粗刃チップ７ｂの２種類が組込まれ、仕上げ刃チップ７
ａは少なくとも１枚組込まれるようにする。このとき、
図４に示すように、仕上げ刃チップ７ａは正面方向に粗
刃チップより僅かに突出するようにして、粗刃チップが
切削した表面を微小切込みによるさらい加工する。その
ために、仕上げ刃チップ７ａは一般にチャンファタイプ
とし、正面切れ刃１１の刃長を切削の１回転当りの送り
より大きくとってさらい残しがないようにする。正面切
れ刃１１は、仕上げ効果を一層向上させるために、大径
の円弧とすることもある。

【００１０】仕上げ刃チップ７ａの正面切れ刃１１は、
粗刃チップ７ｂの正面方向先端より常に突出している必
要がある。粗刃チップ７ｂの正面側の組込み振れ精度が
一般的に±０．０３ｍｍ以内に納まるとすれば、正面切
れ刃１１は振れ精度の中央値より０．０４ｍｍ以上突出
する必要がある。一方、突出量が大き過ぎると正面切れ
刃１１の負荷が大きくなって、所定の加工面や加工精度
が得られなくなったり、振動が発生したり、切れ刃の摩
耗損傷を早めたりすることになるので、突出量は０．１
ｍｍを超えないようにするのが好ましい。

【００１１】仕上げ刃チップ７ａの直径方向組込みに関
しては、粗刃チップ７ｂより中心側に引っ込めて、外周
切削の負担を軽減させる。切削時の１刃当りの切削送り
以上に引っ込めれば、仕上げ刃チップ７ａは外周切削に
全く関与しなくなる。

【００１２】

【発明の効果】この発明は、以上のような構成とするこ
とにより、カッタ本体に軽金属を使用して軽量化された
正面フライスがもつ特長であるところの大径カッタの実
現、取り扱い性の改善、加工効率の向上、バランスのと
れた切削などが得られるほか、軽量化正面フライスの主
な利用分野における加工物に要求される基本性能である
ところの所定加工寸法や加工面粗さが容易に得られるよ
うになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図４】図３の切れ刃チップ先端部の構成を説明するた
めの図である。

【符号の説明】

１ カッタ本体 ３ 支持部材 ７ 切れ刃チップ ７ａ 仕上げ刃チップ ７ｂ 粗刃チップ １０ 楔部品 １１ 正面切れ刃

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミニウム合金などの軽金属からなる
   環状体を呈するカッタ本体１の外周縁には、円周に沿っ
   て切欠き段部２が並設されて鋼製の支持部材３が埋設さ
   れ、この支持部材３にはクランプ機構が具備されて切れ
   刃チップ７が装着されるように構成された正面フライス
   において、 前記切れ刃チップ７は、少なくとも１枚の仕上げ刃チッ
   プ７ａと粗刃チップ７ｂとにより構成され、仕上げ刃チ
   ップ７ａの正面切れ刃１１が粗刃チップ７ｂより正面方
   向に僅かに突出するように形成されていることを特徴と
   する正面フライス。
2. 【請求項２】 仕上げ刃チップ７ａは、その正面切れ刃
   １１が粗刃チップ７ｂより０．０４〜０．１ｍｍだけ突
   出し、直径方向には粗刃チップ７ｂより１刃当りの切削
   送り以上に引っ込むように形成された請求項１に記載の
   正面フライス。