JPH0937720A - 低アレルゲン大豆蛋白及びその製造法 - Google Patents

低アレルゲン大豆蛋白及びその製造法

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JPH0937720A
JPH0937720A JP7195652A JP19565295A JPH0937720A JP H0937720 A JPH0937720 A JP H0937720A JP 7195652 A JP7195652 A JP 7195652A JP 19565295 A JP19565295 A JP 19565295A JP H0937720 A JPH0937720 A JP H0937720A
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soybean protein
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洋一 福田
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NORIN SUISANSYO TOHOKU NOGYO S
NORIN SUISANSYO TOHOKU NOGYO SHIKENJO
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NORIN SUISANSYO TOHOKU NOGYO S
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低アレルゲン化された大豆蛋白を製造する。ま
たこの大豆蛋白を用いた大豆アレルギー患者用の低アレ
ルゲン化食品乃至除去食を提供する。 【解決手段】α’サブユニット及び好ましくはαサブユ
ニットも欠失した大豆から抽出した蛋白質を、硫酸,酢
酸,又はクエン酸等のアニオンまたはこれらアニオン
と、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等の
カチオンとが存在するpH5以下の酸性水溶液で処理す
ることによりアレルゲンたん白であるGlym Iを選
択的に沈降性画分に濃縮させ、上清画分を採取する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は低アレルゲン大豆蛋白
及びその製造法並びに大豆アレルギー患者用低アレルゲ
ン食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年アトピー性皮膚炎患者等アレルギー
患者が増加している。食物の中では卵白、大豆、又は牛
乳に含まれる蛋白質が三大アレルゲンとして認識され、
それらの対症療法として所謂除去食が導入される。しか
し、上記アレルゲンの中でも大豆蛋白質は、豆腐,油揚
類,凍豆腐,湯葉といった日本の伝統的食品またはこれ
らを原料の一部として含む広い食品に含まれており、か
つ大豆蛋白の乳化性,ゲル形成性、製膜性、保水性、増
粘性、起泡性等といった機能性を利用した食品が旧来に
も増している近年の状況は、除去食療法における食品の
選択を容易ならざるものにしている。
【0003】小川らは、大豆に対するアトピー性疾患を
もつ患者から得たIgE抗体に対して反応性の高い大豆
蛋白質成分をGly m Bd 30kと同定し〔ただ
し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)で分子量約34kDaのバンドを示す画分であ
って、後に小川らによって「Gly mI」と再命名さ
れたので、この明細書では「Gly m I」または
「アレルゲン蛋白質」ということにする〕、また、この
アレルゲン蛋白質は、Than及びShibasaki(J. Agric. Fo
od Chem., 24巻1117─1121頁,1976 年) の方法で分画し
た11S画分とホエー画分には殆どなく、7S画分に多
いことを見出した(Biosci. Biotech. Biochem., 57巻,
1030頁,1993 年) 。
【0004】しかし7S画分からGly m Iの成分
を分離除去することは工業的に著しい困難があったとこ
ろ、本発明者の一部は、7S及び11S画分を分けるこ
となく、選択的にGly m Iを濃縮分離させ、低ア
レルゲン大豆蛋白を得ることに成功した( 特願平6─2
88425号、及び平成7年7月7日特許出願の「分画
大豆蛋白の製造法及びこれを用いた食品」)。
【0005】他方、アレルゲン蛋白質は7S画分に多い
ことが見出されたからといって、低7S蛋白の特殊な大
豆を出発原料としても低アレルゲンの大豆蛋白が得られ
る訳ではない。即ち通常の大豆においては7S画分が蛋
白質の約4割り程度含まれている(電気泳動による分
析)が、7S(β─コングリシニン)が20〜25%含
まれているにすぎない大豆、例えば、α’サブユニット
を欠失しαサブユニットも低い刈系434号から採取し
た蛋白質はアレルゲン蛋白質は低くなっていない。本発
明者の一部は、この刈系434号をγ線処理して突然変
異誘導によりα’及びαサブユニットの両方を欠失した
大豆を得ることに成功した(Breeding Sci
ence、第44巻、65─66頁(1994年)が、
やはりGly m I自体は多量に存在しており、低ア
レルゲン化された大豆蛋白は得られていない。
【0006】本発明者らはさらに研究を続ける中で、上
記の選択的にGly mIを濃縮分離させる方法を、上
記のα’又はさらにαサブユニットをも欠失した大豆に
適用すると、通常の大豆に適用した場合に比べてアレル
ゲン蛋白質の残存量は著しく低下させることができると
いう意外な効果を見出し、この発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
α’サブユニット欠失大豆を原料とし、Gly m I
を除去して得られた低アレルゲン大豆蛋白の発明、α’
サブユニット欠失大豆から抽出した蛋白質を、アニオン
又はアニオン及びカチオンが存在する酸性水溶液で処理
することによりGly m Iを選択的に沈降性画分に
濃縮させ、上清画分を採取することを特徴とする低アレ
ルゲン大豆蛋白の製造法の発明、並びに、このような大
豆蛋白を使用した大豆アレルギー患者用低アレルゲン食
品の発明である。
【0008】α’サブユニット欠失大豆は、しばしばα
サブユニットも低下しており、量的には、11S蛋白に
対し7S蛋白質の量を1/3以下しか含んでいないもの
がよい。好ましくは、α’及びαサブユニットが共に欠
失した大豆を用いるのがより完全な低アレルゲン大豆蛋
白を得るのによい。α’及びαサブユニットが共に欠失
した大豆といえどもGly m Iは多量に含まれてお
り、Glym Iを選択的に沈降性画分に濃縮させる方
法と組み合わせることにより、通常の大豆蛋白原料に比
して、アレルゲン蛋白質の残存を著しく低下させること
が可能となるのである。前記のように、α’サブユニッ
ト欠失、低αサブユニットである大豆として刈系434
号が例示され、α’,αサブユニット欠失大豆としてB
reeding Science、第44巻、65─6
6頁(1994年)に記載のものが例示されるが、α’
サブユニット欠失或いはさらにαサブユニットも欠失し
た大豆であれば、特にこれに限定されない。
【0009】原料大豆から抽出した蛋白質は、大豆また
は脱脂大豆から抽出した豆乳(オカラを除去した上清)
、またはこれを等電点pHに調節して沈澱分離した酸
沈澱大豆蛋白、それを中和した所謂分離蛋白などが例示
できるが、脱脂された、それも熱披瀝の少ない低変性の
蛋白質が、最終目的蛋白質を収率よく得るのに役立ち、
また収穫後ひねていない大豆の蛋白質である方が安定的
に良好な収率を得る上で好ましい。
【0010】ただしある程度熱披瀝を受けて蛋白質が変
性し、或いはいわゆるオールドクロップの原料蛋白質で
あっても、分画大豆蛋白を得る前に、還元剤例えば、亜
硫酸水素ナトリウム等の塩、システイン、その他のSS結
合開裂剤等の使用により、或いは大豆若しくは豆乳を電
気的還元状態で処理することにより、最終目的蛋白質を
収率よく若しくは安定した収率で得るのに役立つ。
【0011】上記の抽出した蛋白質は、アニオン又はア
ニオン及びカチオンが存在する酸性水溶液で処理するこ
とによりGly m Iを選択的に沈降性画分に濃縮さ
せる。アニオンやカチオンは、酸,アルカリ或いは塩の
形で供給することができ、これらが存在する酸性水溶液
による処理の態様は、例えば大豆蛋白質の水性抽出液
に、酸,アルカリ或いは塩を加えて沈降性画分を生じさ
せるものであってもよく、または水性抽出液から一旦酸
沈澱大豆蛋白を調製しこれを、酸,アルカリ或いは塩を
加えた水溶液で溶解性画分を抽出する、といった態様で
あってもよい。ここに選択的とは、7S蛋白(β─コン
グリシニン)や11S蛋白(グリシニン)の殆どを上清
画分に残したまま、Gly m Iを沈降性画分に濃縮
する状態をいう。
【0012】そして、「酸性下の処理」でないと、高重
力をかけても選択的な濃縮が起こりがたく、かつ、わず
かに沈澱画分が生じても上清中に多くのアレルゲン蛋白
質が残存する。概して酸性下におくpHが5より高い
と、塩類の溶解下に選択的にアレルゲン蛋白質の沈降性
を向上させる効果に乏しい。
【0013】酸性水溶液中に存在するアニオンは、所謂
ホーフマイスター系列(Hofmeister's series) の順と似
て、クエン酸イオン, 酒石酸イオン, 硫酸イオンといっ
た2価以上の多価酸イオン、次いで酢酸イオン, 次いで
塩素イオンが、この順にアレルゲン蛋白質の沈降性を強
める選択性が優れており、塩素イオンの場合に比べて、
2価以上の酸や酢酸のイオンの場合は、相対的に少量の
存在で足りる。例えば、アニオンを塩で供給する場合
は、同じナトリウム塩であっても、pH 3.5〜4.7 の領
域において、0.3 M (モル濃度) の硫酸塩を用いた場合
( イオン強度0.9)と、1M の塩化ナトリウム( イオン強
度1.0)を用いた場合とでは、イオン強度が略同程度であ
り、上清画分中の蛋白質含量も略同じであっても、硫酸
塩0.3 M を用いた方が、上清区分中の蛋白質からはアレ
ルゲン蛋白質がはるかに効率よく除去されているのであ
り、また4 Mの塩化ナトリウム( イオン強度4.0)を用い
た場合に比べてさえも、アレルゲン蛋白質の除去効果は
勝っている。
【0014】加えられるカチオンが実質的に存在する場
合は、ナトリウムまたはカリウムといったアルカリ金属
のイオンまたは、アルカリ土類金属イオンがよい。アル
カリ金属のイオンの場合はアニオンと同程度の濃度を用
いることができるが、アルカリ土類金属イオンの場合は
主要な貯蔵蛋白質と結合を起こしやすいので、200m
M程度以下好ましくは100mM程度以下の濃度で用い
るようにする。特にpH2〜4におけるアルカリ土類金
属イオンの濃度は30mM乃至60mM程度では収量が
よく、かつGly m Iも極めて良好に減少した低アレルゲ
ンの蛋白が得られるが、同0 mMや10mM程度では若
干収量が低いものの、11S及びGly m Iが殆ど検知さ
れず、かつ7Sのβサブユニットに富んだ特異な蛋白を
得ることができる。
【0015】上記イオン(塩で加える場合は塩)の濃度
は、高くなるにつれて、アレルゲン蛋白質の選択的沈降
性が増すが、ある程度以上の濃度になると主要貯蔵蛋白
質の沈降性も増して来て選択性が低下する(上清区分と
して得る低アレルゲン蛋白質の収率が低下する)から、
濃度はイオン強度で5 以下好ましくは4以下の範囲で実
施されるのがよい。
【0016】逆にイオンの濃度が低いと、主要貯蔵蛋白
質の等電点領域である場合即ちpHが3.5 〜5最も通常
には 3.8〜4.7 の酸性領域である場合には、主要貯蔵蛋
白質も沈澱してしまい、アレルゲン蛋白質を選択的に沈
降させることが困難であるので、この場合は、処理時の
これらイオン乃至塩の濃度が、酢酸若しくは多価酸のア
ニオン乃至塩の濃度で 90 mM以上、または塩素イオン
乃至塩化物の濃度で1200 mM以上であるのが好まし
く、より好ましくは前者で150 mM以上、後者で 2000
mM以上である。但し、酢酸塩若しくは多価の酸根を有
する塩と塩化物を併用するような場合には、それらを力
価的に按分した量を用い得るので上記下限量を下回って
もよい( 次項でも同じ) 。
【0017】また上記イオン乃至塩類の濃度が低下する
につれてアレルゲン蛋白質の選択的沈降性は低下するけ
れども、pH4以下より通常には3.8 以下といういわゆ
る貯蔵蛋白質の等電点より低いpH領域においては、主
要貯蔵蛋白質の沈澱性も低い( 溶解性が高い) ので、塩
類の使用量は上記濃度より低い範囲でもアレルゲン蛋白
質の選択的沈降性を発揮し得、脱塩の省略が可能である
といった好ましい効果を奏する。ただしpHがあまり低
いと蛋白が変性して目的によっては製品を使用しがたい
ので、酸処理はpH 2.0を下回らないのが一般によい
し、装置の耐酸腐食性等の観点から、pH3.5 〜5.0 、
より通常には 3.8〜4.7 を選択するのも自由である。酸
性下のpHが2〜4、より好ましくは2.5 〜3.8 である
場合において、酢酸若しくは多価酸のアニオン乃至その
塩の濃度で3 mM以上、または塩素イオン乃至塩化物の
濃度で 600mM以上の範囲が適しており、より好ましく
は前者で 20 mM以上、後者で 900mM以上である。
【0018】上記の酸性水溶液処理によって生じる沈降
性画分にアレルゲン蛋白Gly m Iを選択的に濃縮
させることができ、当該画分を沈降除去して得た上清区
分を目的の低アレルゲン大豆蛋白として採取する。この
画分は色・風味・ゲル形成能等にも優れている。この画
分はそのまま、豆腐,油揚類,凍豆腐,湯葉, 豆乳, 味
噌, 醤油,組織状大豆蛋白等の大豆加工食品の原料とし
て用いてもよく、また、目的に応じて中和、電気透析等
の脱塩、加熱殺菌、または凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾
燥、熱風乾燥といった乾燥等の処理を施し、場合によっ
ては、脱塩後( 塩の使用量が少量の場合は脱塩不要) に
等電点付近のpHに調整して脱ホエーをすることにより
所謂酸沈澱蛋白や分離大豆蛋白と同様の用途、例えば、
繊維状蛋白、膜状蛋白等への加工や、鳥獣魚介肉煉製品
への煉込み使用など、大豆蛋白使用食品を調製すること
ができる。そしてそれらは、大豆アレルギー患者用低ア
レルゲン食品乃至アレルゲン除去食として有用であるの
みならず、風味及び色調に優れた食品としても優れてい
る。
【0019】
【実施例】以下にこの発明の実施例を示す。
【0020】実施例1及び比較例 農水省東北農業試験場から得たα’,αサブユニット欠
失大豆を原料とする(本例)か、又は、アメリカ産大豆
I.O.M.を原料とする(比較例)かして、各々の原
料から常法により調製した低変性脱脂大豆100 g に水15
00mlの水を加え、1NのNaOHの添加によって、pH7.5 に
調整し、室温で3時間攪拌抽出を行ったのち遠心分離に
よりおから成分を除去した脱脂豆乳を得た。脱脂豆乳に
1Mの濃度になる様に、硫酸ナトリウムを加えて攪拌・
溶解させ、2Nの塩酸を加えてpHを4.5の酸性に調
整してから10,000 ×g 、10分の遠心分離を行い、得ら
れた上清画分中の蛋白質量はケルダール法で測定したと
ころ、脱脂大豆100gあたり本例の場合で24.4
g、比較例の場合で24.1g存在し、両者に殆ど差異
はなかった。
【0021】 また、豆乳及び上清画分のGly m
Iの含量を調べるために、SDS-PAGE電気泳動(12% ゲ
ル、巾1mm)を行った結果を図1(本例)及び図3(比較
例)に示した。またこのSDS-PAGEをニトロセルロース膜
(BIO RAD社製) に転写し、Gly mIのモノクロナー
ル抗体を用いるECL 法(Amersham 製) により検出( ペル
オキシダーゼによる蛍光発光をX線フィルムで感知)し
た結果であるイムノブロットを図2(本例)及び図4
(比較例)に示した。各図中に表示したアプライ量は、
SDS-PAGEサンプルバッファーで分離前の豆乳或いは上清
画分を10倍に稀釈したものをμl(マイクロリット
ル)であらわしたものである。
【0022】 図4からわかるように比較例において
も、上清画分アプライ量1.0μlのイムノブロットは
豆乳アプライ量0.1μlより低アレルゲン化している
からアレルゲン蛋白質の残存は検体あたり10分の1以
下になっているといえる。しかし図2からわかるように
本例において、上清画分アプライ量30μlのイムノブ
ロットですら、豆乳アプライ量0.1μlのイムノブロ
ットより低アレルゲン化しているから、アレルゲン蛋白
は300分の1以下に低減されたことになり、比較例と
の対比では同じ除去方法を適用するに30倍以上の除去
効果が示されたことになる。即ちイムノブロットから
は、大豆アレルゲン蛋白質の除去率(脱脂豆乳中に含ま
れていた量に対比した上清画分中の量)は、本例の場合
で99.6%以上であるのに対し比較例は90乃至97
%程度であると推定された。
【0023】実施例2 実施例1と同様に調整した脱脂豆乳に、クエン酸三ナト
リウム(1.0M)、酒石酸ナトリウム(1.5M)、硫酸ナトリウ
ム(1.5M,0.75M,0.5M,0.2M ) 、酢酸ナトリウム(3.0M)、
または食塩(3.0M)からなる群から選択される塩を、各々
カッコ内の濃度となるように加えて当該塩を溶解させた
後に、塩酸溶液を加えてpHを4.5に調整し、生じる
沈澱を10000g×10分の条件で遠心分離を行って、上清区
分及び沈澱画分に分離し、上清画分について、実施例1
と同様に測定したイムノブロットからは、いずれもアレ
ルゲン蛋白質が低減しているが、アレルゲン蛋白質の残
存の程度は、硫酸ナトリウム0.2Mの場合の上清区分と、
食塩3.0Mの場合の上清区分とで、略同程度であった。
【0024】実施例3 実施例1で得られた上清区分を水酸化ナトリウムでpH
7.0にした後、電気透析で脱塩後、凍結乾燥して、乾燥
した低アレルゲン分離大豆蛋白を得た。
【0025】実施例4 オールドクロップの大豆原料を用い、脱脂大豆からの抽
出液に還元剤として亜硫酸水素ナトリウムを10mMとな
るように添加するかまたは添加しない他は、実施例3と
同様にして乾燥した低アレルゲン分離大豆蛋白を得た。
【0026】実施例5 実施例1と同様に調整した原豆乳を塩酸によってpH
4.5にし、等電点沈澱させ、遠心分離によってホエー成
分を除き大豆酸沈澱蛋白を得た。このカード101gr( 水
分58%)に硫酸ナトリウム溶液を加えて1M 、5リットル
とし、攪拌し、溶出する画分を遠心分離で回収し、沈澱
物についてはこの操作をもう1回繰り返して溶出画分を
集め、水酸化ナトリウムで中和後、電気透析でイオン強
度を0.03程度まで低下させ、加熱殺菌、噴霧乾燥して低
アレルゲン分離大豆蛋白を調製した。
【0027】この分離大豆蛋白17%、食塩2%及び水か
らなるペーストを調製し、折り幅37mmのプラスチックケ
ーシングに充填し、80℃で30分加熱してゲルを調製した
ところ、色,風味に優れ、強いゲル形成能を示した。
【0028】実施例6 実施例5で得られたと同様の大豆酸沈澱蛋白のカード10
1 grに硫酸ナトリウム溶液を加え、塩酸を加えて、pH
3.0に調整したときの硫酸ナトリウム濃度を0.03M と
し、30分抽出後、5000×g 、10分の遠心分離によって沈
澱物を除き、その上清を5倍希釈してpH 4.5に調整し
て沈澱物を遠心分離によって集め、この沈澱物に水と1N
の水酸化ナトリウムを加えて中和し、加熱殺菌、噴霧乾
燥して低アレルゲン分離大豆蛋白を調製した。この分離
大豆蛋白も色,風味に優れ、強いゲル形成能を示した。
【0029】実施例7 実施例1と同様にして調製した脱脂豆乳に5mMの濃度
になる様、硫酸ナトリウム又はクエン酸三ナトリウムを
加え、塩酸によってpHを3.0 に調整後、5000×g 、10
分の遠心分離で沈澱性画分を除去した。上清画分はpH
4.5に水酸化ナトリウムで調整して所謂等電点沈澱さ
せ、遠心分離によってホエー成分を除きカードを得た。
このカードに加水、水酸化ナトリウムで中和後、加熱殺
菌、噴霧乾燥して低アレルゲン化分離大豆蛋白を調製し
た。
【0030】実施例8 実施例1と同様にして調製した脱脂豆乳に、塩化カルシ
ウムを0 mM,30 mM、または50mMとなるように添
加,溶解,攪拌し、2Nの硫酸によってpHを2.8に
調製し、10,000×g 、10分の遠心分離によって
上清画分を得た。この上清画分を3倍に稀釈後、pH
4.5に水酸化ナトリウムで調整して等電点沈澱させ、
遠心分離によってホエー蛋白質を除去した後の上清蛋白
質を、SDS-電気泳動法で各組成蛋白質に展開分離し、7
S, 11S, 及びGly m Iの3種の蛋白質について、CB
B 蛋白質染色後、デンシトメトリー測定によるピークエ
リアを求めた結果、塩化カルシウムを0 mM のもの
は、若干収量が低いものの、11S及びGly m Iが殆ど
検知されず、かつ7Sのβサブユニットに富んだ特異な
蛋白が得られたのに対し、塩化カルシウムを30mM、50
mMのものは、収量がよく、かつGly m Iも極めて良好
に減少した低アレルゲンの蛋白が得られた。
【0031】実施例9 実施例8と同様にして得た原豆乳に、30mMの濃度に
なるよう塩化カルシウムを添加,溶解,攪拌し、2Nの
硫酸よってpHを3.0に調整し、10,000×g 、
10分の遠心分離によって得られた上清画分を3倍に稀
釈後、pH4.5に水酸化ナトリウムで調整して等電点
沈澱させ、遠心分離によってカードを得た。このカード
に適度に加水し、水酸化ナトリウムで中和後、加熱殺
菌、噴霧乾燥して低アレルゲン分離大豆蛋白を調製し
た。
【0032】
【発明の効果】以上説明したとおり、本願発明は特定の
大豆原料の選択と特定の酸性水溶液処理とによって、収
率よく、且つ簡易な方法で、低アレルゲンの大豆蛋白を
製造することができる。この大豆蛋白は従来除去食療法
により蛋白質供給の困難であった大豆アレルギー患者用
に良質な蛋白質源として利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】)実施例1のSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動パターンを示す図面代用写真である。(
【図2】)実施例1のゲルをイムノブロッティングした
ものであって、蛍光発光をX線フィルムで感知した結果
を示す図である。(
【図3】)比較例のSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動パターンを示す図面代用写真である。(
【図4】)比較例のゲルをイムノブロッティングしたも
のであって、蛍光発光をX線フィルムで感知した結果を
示す図である。
【符号の説明】
α’,α及びβは7S蛋白のサブユニット、AS及びB
Sは11S蛋白のサブユニットである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/00 ABF A61K 37/02 ABF (72)発明者 福田 洋一 茨城県北相馬郡守谷町松前台4−2−3 B303 (72)発明者 中村 茂樹 秋田県仙北郡西仙北町刈和野字上の台荒屋 敷10 農試宿舎RC1−1

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α’サブユニット欠失大豆を原料とし、G
    ly m Iを除去して得られた低アレルゲン大豆蛋
    白。
  2. 【請求項2】原料大豆がαサブユニットをも欠失したも
    のである請求項1記載の低アレルゲン大豆蛋白。
  3. 【請求項3】α’サブユニット欠失大豆から抽出した蛋
    白質を、アニオン又はアニオン及びカチオンが存在する
    酸性水溶液で処理することによりGly m Iを選択
    的に沈降性画分に濃縮させ、上清画分を採取することを
    特徴とする低アレルゲン大豆蛋白の製造法。
  4. 【請求項4】アニオンが、多価酸イオン,酢酸イオン,
    若しくは塩素イオンであり、カチオンが実質的に存在す
    る場合には、アルカリ金属イオン若しくはアルカリ土類
    金属イオンである請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】酸性水溶液のpHが3.5〜5であり、ア
    ニオンが、多価酸若しくは酢酸のアニオンの濃度で90
    mM以上、または塩素イオンの濃度で1200mM以上
    である請求項4記載の製造法。
  6. 【請求項6】酸性水溶液のpHが2〜4であり、アニオ
    ンが、多価酸若しくは酢酸のアニオンの濃度で3mM以
    上、または塩素イオンの濃度で600mM以上である請
    求項4記載の製造法。
  7. 【請求項7】0〜200mM濃度のアルカリ土類金属の
    イオンが存在する請求項4乃至6記載の製造法。
  8. 【請求項8】アニオン又はアニオン及びカチオンが存在
    する酸性水溶液で処理する態様が、大豆蛋白質の水性抽
    出液に、酸,アルカリ或いは塩を加えて沈降性画分を生
    じさせるものであるか、または水性抽出液から一旦酸沈
    澱大豆蛋白を調製し、これを酸,アルカリ或いは塩を加
    えた水溶液で溶解性画分を抽出する、いずれかである請
    求項3〜7記載の製造法。
  9. 【請求項9】上清画分を採取する以前の工程において、
    大豆蛋白質が、還元剤または電気的還元下で処理される
    請求項3〜8記載の製造法。
  10. 【請求項10】採取した上清画分を、中和、脱塩、脱ホ
    エー、加熱殺菌もしくは乾燥する請求項3〜9記載の製
    造法。
  11. 【請求項11】請求項1記載の大豆蛋白を使用した大豆
    アレルギー患者用低アレルゲン食品。
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