JPH0935258A - 磁気ディスク用基板、該基板の製造方法、及び、磁気ディスク - Google Patents

磁気ディスク用基板、該基板の製造方法、及び、磁気ディスク

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JPH0935258A
JPH0935258A JP17602095A JP17602095A JPH0935258A JP H0935258 A JPH0935258 A JP H0935258A JP 17602095 A JP17602095 A JP 17602095A JP 17602095 A JP17602095 A JP 17602095A JP H0935258 A JPH0935258 A JP H0935258A
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JP
Japan
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substrate
magnetic disk
area
region
texture treatment
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JP17602095A
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English (en)
Inventor
Akira Noda
章 野田
Yuji Tanaka
裕二 田中
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ディスク用基板のテクスチャー処理によ
り、磁気ヘッドとのとの吸着現象の防止、記録密度向上
のための低浮上量化、段差によるヘッドクラッシュ防止
を比較的低コストで可能にする。 【解決手段】 表面研磨されたアモルファスカーボン基
板1の表面のうち、磁気ディスク装置の起動及び停止時
に磁気ヘッドとの接触が生じる領域を含む一部の領域
に、パウダービーム加工により、すなわちノズル3によ
り平均粒径 0.5〜6μmの微粒子を噴射して、テクスチ
ャー処理を施し、その表面粗さを、中心線平均粗さRa
で8〜30Å、最大高さRpで40〜 200Åとする。また、
他の領域に、軽度の微粒子噴射によるテクスチャー処理
を施し、その表面粗さを、中心線平均粗さRaで5〜15
Å、最大高さRpで15〜90Åとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクに
代表される磁気ディスク用の基板、該基板の製造方法、
及び、磁気ディスクに関する。特には、磁気ヘッドと磁
気ディスクとの間に吸着現象が発生することを防止する
ために行う磁気ディスク用基板のテクスチャー(Textu
re)処理の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気ディスクは、基板上に磁
性膜を形成して構成されている。そして、磁気ディスク
装置(ドライブ)においては、磁気ディスク上に浮揚型
磁気ヘッドを配置し、停止時に磁気ヘッドと磁気ディス
クとは接触状態にあるが、起動時に磁気ヘッドが回転す
る磁気ディスク上を浮上するというコンタクト・スター
ト・ストップ(CSS)方式が採用されている。
【0003】しかしながら、磁気ディスク装置の停止中
において磁気ヘッド浮揚面と磁気ディスク表面との間に
吸着を生じる場合がある。この吸着現象は、磁気ヘッド
浮揚面及び磁気ディスク表面が極めて平滑であって双方
が微小間隔で対面しているときに、その間隙がO2 、N
2 、又はH2 O等の分子により埋め尽くされて、界面張
力により大きな吸着力が発生することに起因する。この
ような吸着現象が発生すると、磁気ディスク駆動用モー
タの起動時に多大の電力を消費するという不都合を招来
する。
【0004】そこで、上述の吸着現象を防止するため、
磁気ディスク用基板においては、磁性膜を被着するに先
立ち、基板の表面を一旦鏡面仕上げした後、テクスチャ
ー処理(表面加工)を施すことにより、その表面粗さを
調整している。このテクスチャー処理方法としては、テ
ープテクスチャー、スパッタテクスチャーなどがある。
【0005】テープテクスチャーでは、基板を回転させ
た状態で、この基板に研磨テープをローラで押し付けて
接触させつつ、研磨テープを基板の半径方向に移動させ
ることにより、磁気ディスク用基板の表面に同心円状の
条痕を付し、条痕が円周方向に配向した粗面を得ること
ができる。スパッタテクスチャーでは、基板の表面に、
Al、Si、Al−Si等のターゲットをスパッタし、
金属結晶を成長させて、凹凸を形成する。
【0006】しかしながら、従来にあっては、磁気ディ
スク用基板の全表面に一様にテクスチャー処理を施して
いたため、磁気ヘッドの浮上高さ(グライドハイト;G
HT)が大きくなり、書込み時及び読出し時の磁気ヘッ
ドと磁気ディスクとの距離が大きくなることから、吸着
現象防止のためのテクスチャー処理が高記録密度化の支
障になっていた。
【0007】そこで、表面研磨された磁気ディスク用基
板の表面のうち、磁気ディスク装置の起動及び停止時に
磁気ヘッドとの接触が生じる領域を含む一部の領域(例
えば内周側の領域)にのみ、テクスチャー処理(いわゆ
るゾーンテクスチャー)を施すことにより、磁気ヘッド
との吸着現象を防止しつつ、低浮上量化により記録密度
の向上を図ることが考えられている。
【0008】しかしながら、磁気ディスク装置の起動及
び停止時に磁気ヘッドとの接触が生じる領域を含む一部
の領域にのみテープテクスチャーあるいはスパッタテク
スチャーを施すと、テクスチャー処理を行った領域とテ
クスチャー処理を行わなかった領域との間に段差を生
じ、この段差で磁気ヘッドの滑らかな動きが妨げられ、
いわゆるヘッドクラッシュを生じる恐れがある。
【0009】そこで、特開平6−290452号公報に
よれば、磁気ディスク装置の起動及び停止時に磁気ヘッ
ドとの接触が生じる領域を含む一部の領域にのみ、パル
スレーザーの離散的又は連続的な照射により多数の孔
(凹部)を形成して、ゾーンテクスチャーを行ってい
る。これによれば、孔間隔の設定により、段差の心配は
なくなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報に記載のパルスレーザーによるテクスチャー処理で
は、パルスレーザーの生成及び制御のために、精密で高
価な装置を使う必要があり、高コストになるという問題
点があった。また、磁気ディスク装置の起動及び停止時
に磁気ヘッドとの接触が生じる領域を含む一部の領域に
選択的に吸着現象防止のための凹凸を形成する場合、他
の領域にも適当な凹凸を形成することが必要であるが、
パルスレーザーによるテクスチャー処理ではこれが困難
である。
【0011】先ず他の領域にも適当な凹凸を形成するこ
とが必要な理由を述べる。磁気ディスクの凹凸の形成さ
れていない領域上に磁気ヘッドが位置している場合、通
常は磁気ヘッドが浮上しており、この状態のまま磁気デ
ィスクの回転が停止することはない。しかし、例えば停
電等の理由で、磁気ヘッドが磁気ディスクの凹凸の形成
されていない領域に着地すると、磁気ヘッドと磁気ディ
スクとが吸着し、動作しなくなる。このため、これを防
ぐ機構を持ったドライブでないと、この磁気ディスクは
使用できない。
【0012】従って、磁気ディスク装置の起動及び停止
時に磁気ヘッドとの接触が生じる領域以外の他の領域に
適当な凹凸を形成することが必要であるが、パルスレー
ザーによるテクスチャー処理では、他の領域に適当な凹
凸を形成するのに困難が伴う。なぜならば、パルスレー
ザーによるテクスチャー処理はコストが高く、全面に適
用しずらいからである。また、他の領域の凹凸は、接触
領域の凹凸に比べて、比較的小さな凹凸でなければなら
ないが、レーザー加工では実質的に困難であるからであ
る。
【0013】更に、磁気ディスク装置の起動及び停止時
に磁気ヘッドとの接触が生じる領域を含む一部の領域に
比較的大きな凹凸を形成し、他の領域に比較的小さな凹
凸を形成するための方法について考える。このための方
法としては、2つの領域で異なるテクスチャー処理(方
式そのものを変えるか、テクスチャー条件を変える)を
施す必要がある。
【0014】ところが、例えばスパッタテクスチャーで
は、その方式上、基板全面が同時に加工されるため、実
施しにくい。また、例えばテープテクスチャーや、その
研磨テープに代えてダイヤスラリーとバフテープとを用
いるスラリーテクスチャーでは、2つの領域で異なるテ
クスチャー処理を施すことは可能であるが、その方式
上、2つの領域の加工それぞれに、別の加工装置(機
構)を用意しなければならず効率が悪い。2つの領域の
加工を1つの加工装置で兼用しようとすると、更に効率
は悪くなる。このため、高価な加工になるという問題点
が残される。
【0015】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、第1には、磁気ヘッドとの吸着現象の防止、記録密
度向上のための低浮上量化、段差によるヘッドクラッシ
ュ防止を比較的低コストで可能にすることを目的とす
る。第2には、2つの領域に異なるテクスチャー処理を
施すのを容易にすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、表
面研磨された磁気ディスク用基板の表面のうち、磁気デ
ィスク装置の起動及び停止時に磁気ヘッドとの接触が生
じる領域を含む一部の領域に、微粒子を噴射してテクス
チャー処理を施し、テクスチャー処理後の前記一部の領
域の表面粗さを、中心線平均粗さRaで8〜30Å、最大
高さRp(=R max )で40〜 200Åとしたことを特徴と
する磁気ディスク用基板を提供する(請求項1)。
【0017】また、本発明は、表面研磨された磁気ディ
スク用基板の表面のうち、磁気ディスク装置の起動及び
停止時に磁気ヘッドとの接触が生じる領域を含む一部の
領域に、平均粒径 0.5〜6μmの微粒子を噴射してテク
スチャー処理を施し、テクスチャー処理後の前記一部の
領域の表面粗さを、中心線平均粗さRaで8〜30Å、最
大高さRpで40〜 200Åとしたことを特徴とする磁気デ
ィスク用基板の製造方法を提供する(請求項4)。
【0018】また、本発明は、表面研磨された磁気ディ
スク用基板の表面のうち、磁気ディスク装置の起動及び
停止時に磁気ヘッドとの接触が生じる領域を含む一部の
領域に、微粒子を噴射してテクスチャー処理を施し、テ
クスチャー処理後の前記一部の領域の表面粗さを、中心
線平均粗さRaで8〜30Å、最大高さRpで40〜 200Å
とし、この基板上に、少なくとも磁性膜及び保護膜を形
成してなることを特徴とする磁気ディスクを提供する
(請求項11)。
【0019】被加工物の表面に微粒子を噴射して加工す
る方法は、例えばパウダービーム加工方法と呼ばれ、平
均粒径数ミクロン以下の微粒子を、気体と共に噴射し
て、被加工物の表面に衝突させる加工方法である。この
方法で、被加工物の表面に微小な凹凸を形成したり、あ
るいは被加工物を削ることで形状を変えることができ
る。
【0020】本発明者らは、磁気ヘッドとの吸着現象防
止のために、磁気ディスク用基板の表面に適切な凹凸を
形成するためのテクスチャー処理方法として、パウダー
ビーム加工方法が適切であることを見出したのである。
パウダービーム加工によるテクスチャー処理の際、使用
される微粒子の材質はこの加工方法に不適当な大きさ、
硬さ、または形状を持つものでなければ、何でも構わな
い。例えば、研磨砥粒として一般的に用いられているダ
イヤモンドなどの無機粒子、金属酸化物、セラミック粒
子、金属粒子等を用いることができる。好ましくは、炭
化ケイ素系砥粒、アルミナ系砥粒を使用する。また、研
磨砥粒に限らず、適当な大きさ、硬さ、または形状を持
つものであれば、自由に用いることができる。
【0021】尚、微粒子の粒径は任意に選べるが、請求
項1の表面性状を実現するためには、請求項4のごとく
平均粒径 0.5〜6μmの微粒子を用いると容易な加工条
件の制御により実現できるので好ましい。パウダービー
ム加工によるテクスチャー処理を用いることで、磁気ヘ
ッドとの接触が生じる領域を含む一部の領域にのみ選択
的にテクスチャー処理を施しても、テクスチャー処理を
行った領域と行わなかった領域との境界部に段差ができ
なくなる。なぜなら、ノズルから微粒子を噴射させて基
板に衝突させることにより凹凸を形成するので、ノズル
から噴射された微粒子は、ノズル出口で広がりながら進
み、基板に衝突する。このため2つの領域の境界部は、
凹凸の大きい部分から小さい部分になだらかに粗さが変
化するからである。尚、この境界部の幅は、加工条件
(ノズルからの微粒子の噴射速度、ノズルと基板との距
離など)により、任意にコントロールできる。
【0022】本発明では、更に、前記一部の領域以外の
他の領域に、前記一部の領域のテクスチャー処理より軽
度の微粒子噴射によるテクスチャー処理を施し、テクス
チャー処理後の前記他の領域の表面粗さを、中心線平均
粗さRaで5〜15Å(但し前記一部の領域のRaより
小)、最大高さRpで15〜90Å(但し前記一部の領域の
Rpより小)とすることを、より好ましいこととして提
案する(請求項2,5,12)。
【0023】更にまた、前記一部の領域の表面粗さは、
スキューネスRsk: 0.4〜2.0 、トガリRku: 3.0
〜8.0 の範囲になることが好ましい。この範囲である
と、良好なCSS特性が安定的に得られる。パウダービ
ーム加工によるテクスチャー処理を用いて、2つの領域
に粗さの異なる凹凸を工業的に簡便に形成する方法とし
ては、次の2つの方法を挙げることができる。
【0024】第1の方法は、前記一部の領域のテクスチ
ャー処理を、前記他の領域のテクスチャー処理より、微
粒子の衝突時間を大きくする(請求項6)。衝突時間が
長いほど、大きな凹凸が形成されるからであり、前記一
部の領域では大きな凹凸を形成するために衝突時間を長
く、前記他の領域では比較的小さな凹凸を形成するため
に衝突時間を短くする。
【0025】より具体的な例の1つとしては、基板の表
面に微粒子噴射用のノズルを対向させ、ノズルと基板と
を該基板の処理を施す部分の全面に微粒子が衝突するよ
うに相対移動させて、テクスチャー処理を行い、前記一
部の領域と前記他の領域とで微粒子の衝突時間を変更す
るために、前記一部の領域と前記他の領域とでノズルと
基板との相対移動速度を変更すればよい(請求項7)。
【0026】ノズルと基板との相対移動速度が遅いほ
ど、あるいは一時的に停止させるほど、衝突時間が長く
なって、大きな凹凸が形成されるからである。このと
き、ノズルと基板とを相対移動させるために、ノズルを
動かしても、基板を動かしてもよいが、望ましくは基板
を動かした方がよい。なぜならば、ノズルを動かすと、
微粒子をノズルまで送る配管の状態が変わり、微粒子の
噴射状態が変化する場合があるからである。
【0027】第2の方法は、前記一部の領域のテクスチ
ャー処理を、前記他の領域のテクスチャー処理より、微
粒子の衝突速度を大きくする(請求項8)。衝突速度が
大きいほど、大きな凹凸が形成されるからであり、前記
一部の領域では大きな凹凸を形成するために衝突速度を
大きく、前記他の領域では比較的小さな凹凸を形成する
ために衝突速度を小さくする。
【0028】より具体的な例の1つとしては、基板の表
面に微粒子噴射用のノズルを対向させ、ノズルと基板と
を該基板の処理を施す部分の全面に微粒子が衝突するよ
うに相対移動させて、テクスチャー処理を行い、前記一
部の領域と前記他の領域とで微粒子の衝突速度を変更す
るために、前記一部の領域と前記他の領域とでノズルと
基板との距離を変更すればよい(請求項9)。
【0029】ノズルと基板との距離が短いほど、衝突速
度が大きくなって、大きな凹凸が形成されるからであ
る。このとき、ノズルと基板との距離を変更するため
に、ノズルを動かしても、基板を動かしてもよいが、望
ましくは基板を動かした方がよい。なぜならば、ノズル
を動かすと、微粒子をノズルまで送る配管の状態が変わ
り、微粒子の噴射状態が変化する場合があるからであ
る。
【0030】このようにパウダービーム加工によるテク
スチャー処理を用いれば、磁気ヘッドとの接触が生じる
領域を含む一部の領域に比較的大きな凹凸を形成し、他
の領域に比較的小さな凹凸を形成することが容易にでき
る。つまり、1つの加工装置(機構)で簡便に実施でき
る。1つの加工ヘッドを用いて加工中に上記の具体的方
法を採ることは極めて容易であり、効率良く安価に実施
できるからである。
【0031】尚、上記に掲げた具体的方法以外の方法
で、例えば2つの領域で使用する微粒子の平均粒径を変
えたり、あるいは微粒子の基板への衝突速度を変えるた
めに微粒子を噴射するエアの圧力を変えることにより、
凹凸をコントロールしてもかまわない。但し、微粒子の
粒径や微粒子噴射用エアの圧力を変えようとすると、条
件の変更に時間がかかり、効率が悪くなることがあるの
で注意を要する。
【0032】本発明では、更に、前記基板として、アモ
ルファスカーボン基板を用いることを、より好ましいこ
ととして提案する(請求項3,10,13)。アモルファス
カーボン基板は、軽量かつ高硬度であると共に、耐熱性
及び表面精度が優れていて、Al基板等に比して磁気デ
ィスクの記録密度を向上させることができるものであ
る。
【0033】また、アモルファスカーボン基板は、さま
ざまな原料及び方法で作られているが、このパウダービ
ーム加工によるテクスチャー処理はその全てに適用する
ことができる。例えば、原料となる樹脂は、フラン樹脂
系、フェノールホルムアルデヒド樹脂系、ポリカルボシ
イミド樹脂系、フェノールフラン樹脂系等のいずれであ
っても構わないし、また、これらの樹脂に限られるもの
でもない。アモルファスカーボン基板焼成時のHIP処
理(静水圧加圧処理)については、その有無を問わず、
この処理を施した基板にも、施さなかった基板にも、パ
ウダービーム加工によるテクスチャー処理を適用可能で
ある。
【0034】アモルファスカーボン以外の基板、例えば
Ni−PメッキしたAl基板やガラス基板でもパウダー
ビームによってテクスチャー処理が可能であるが、アモ
ルファスカーボン基板との組合わせにおいて極めて優れ
た微細な凹凸形成が達成され、しかも、Ni−Pメッキ
したAl基板等と比べ、アモルファスカーボン基板は、
弾性限界が高いため、テクスチャー加工時に基板表面に
高速で衝突した微粒子が基板表面に食い込むことが少な
く、エラー発生が少ない。また、ガラス基板等と比べる
と、基板表面の強度が高いので、加工時に微細なクラッ
クが発生することがなく、スパッタ製膜時に耐食性が低
下することが少ない。
【0035】このように、アモルファスカーボン基板を
用いた場合は、極めて優れた生産性を有しているので、
好ましい。パウダービーム加工によるテクスチャー処理
を施した磁気ディスク用基板(特にはアモルファスカー
ボン基板)については、テクスチャー処理後、洗浄を行
い、加工時に基板の表面に付着した微粒子を取り除いて
から、基板上に、磁性膜、保護膜及び潤滑層を形成する
ことにより、磁気ディスクを構成する。
【0036】この場合は、磁性膜、保護膜及び潤滑層に
は特別なものを必要とせず、特にその種類を規定する必
要はない。例えば、磁性膜は、Co系、CoCrTa
系、CoCrPt系等のいずれの系でも構わないし、ま
た、これらの系に限るものでもない。さらに保護膜に関
しては、結晶性カーボン系、アモルファスカーボン系、
炭化ケイ素系など、更にはこれらがカーボン以外の元素
を含んだもの等のいずれの系でも構わないし、また、こ
れらに限るものでもない。また、磁性膜や保護膜の製造
時(スパッタ時)にガスを導入してもよい。
【0037】さらに潤滑剤に関しては、パーフロロアル
キルポリエーテル系等が用いられるが、これらの系に限
るものでもない。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態(実施
例)を説明する。図1はテクスチャー処理のためのパウ
ダービーム装置の概略図である。被加工物である磁気デ
ィスク用基板1は、回転する駆動軸2の端部に固定され
ており、一定の回転数で、あるいはノズル3の位置に合
わせて回転数をコントロールされながら、回転する。
【0039】ノズル3は、その噴出口が、基板1に対向
すると共に、基板1の半径方向に細長い形状をしてお
り、装置本体から供給される微粒子を基板1の表面に向
けて噴射する。そして、ノズル3は、微粒子の噴射方向
と直角方向に、基板1の半径方向に移動することで、基
板1の全面に微粒子を衝突させる。但し、ノズル3の基
板1の半径方向への移動速度は変化させることができ
る。
【0040】この処理は表と裏で繰り返すが、ノズル3
を2個設けて、表と裏を同時に加工しても構わない。実
施例1〜5及び比較例1〜4では、表1に示すように、
基板として、アモルファスカーボン基板、特にガラス状
カーボン(Glass-like Cabon;以下「GC」という)基
板、又は、Ni−Pメッキを施したAl基板を用い、図
1のパウダービーム装置により、表1の条件で、基板の
内周部及び外周部にパウダービーム加工によるテクスチ
ャー処理(但し、比較例4ではテープテクスチャー処
理)を施した。ここでは、内周部が磁気ディスク装置の
起動及び停止時に磁気ヘッドとの接触が生じる領域を含
む一部の領域であり、外周部が他の領域である。
【0041】
【表1】
【0042】尚、パウダービーム加工によるテクスチャ
ー処理において、微粒子平均粒径は表1の通りである
が、微粒子噴射圧力、微粒子噴射量は、下記のごとく一
定とした。 微粒子噴射圧力: 1Kg/cm2 微粒子噴射量 : 10g/分 また、表1の加工時間(微粒子衝突時間)は、基板の各
部ごとに、ノズルから噴射する微粒子が当たり始めてか
ら、ノズルが通り過ぎて当たらなくなるまでの時間であ
る。すなわち、今回の実験では、基板の上をその半径方
向にノズルを移動させており、図2において、ある半径
r上の位置での加工時間は、ノズルが図示実線の位置
(3)から図示点線の位置(3’)まで動くのにかかっ
た時間と定義する。
【0043】また、基板の回転数は 500rpmとした。
尚、比較例5でのテープテクスチャー処理は、下記の条
件で、内周部のみ行った。 研磨テープ:WA#6000 回転数 :50rpm テープ送り: 400m
m/分 ロール硬度:60ブリネル硬度 ロール押し付け圧:
0.8Kgf そして、実施例1〜5及び比較例1〜4の処理条件でテ
クスチャー処理を施した基板の表面粗さを測定し、ま
た、それらの基板上に磁性膜、保護膜及び潤滑層を形成
するなどして磁気ディスクとして製造後に、CSSテス
ト、GHTテストなどで評価した。
【0044】その結果を表2及び表3に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】尚、テクスチャー処理後の表面粗さの測定
は、触針式粗さ計により、下記の条件で行った(テクス
チャー処理前の表面粗さの測定についても同様)。 触針径: 0.6μm 触針押し付け圧力:7mg 測定長: 250μm トレース速度: 2.5μm/秒 カットオフ:1.25μm(ローパスフィルタ) また、磁気ディスクの製造条件は以下の通りである。
【0048】テクスチャー処理後の基板上に、磁性膜と
保護膜とを形成した。磁性膜としては、CoCrPt層
40nm、Cr層60nm、Ti層50nmの3層をスパッタ
により形成した。保護膜としては、カーボン層15nmを
スパッタにより形成した。磁性膜及び保護膜のスパッタ
による形成後、バーニッシュ加工により、すなわち回転
する基板に研磨テープをゴムロールで押し付けることに
より、下記の条件で、スパッタによる異常突起を除去し
た。
【0049】研磨テープ:WA#10000 回転数 : 500rpm 時間:1秒 ロール硬度:25ショア硬度 ロール押し付け圧:
0.8Kgf バーニッシュ加工後、潤滑層として、パーフロロアルキ
ルポリエーテル系潤滑剤を約20Åの厚みで塗布した。
【0050】また、評価方法であるCSSテスト、GH
Tテスト及びエラー評価の内容は以下の通りである。C
SSテストは、下記の条件で、磁気ディスクの駆動のO
N/OFFを2万回サイクル繰り返し、2万回サイクル
終了時の磁気ヘッドとの動摩擦係数μdを測定し、この
値で評価する。
【0051】ON/OFF時間:5秒/5秒 ヘッド:50%アルチックスライダー ヘッド荷重:
3.5g 回転数:4500rpm 測定半径:12mm ヘッド浮上高さ: 2.8μインチ GHTテストは、下記の条件で、ヘッド浮上高さを測定
し、判定基準を 1.3μインチにおいて、OK(合格)/
NG(不合格)を判定する。
【0052】測定装置:PROQUIP社製 MG−1
50 評価装置 ヘッド:50%スライダー(Glide light社) ヘッド
荷重: 9.5g エラー評価は、PROQUIP社製のMG150T装置
を用い、また50%スライダーヘッド(ヤマハ社製)を用
いて、トラックピッチ 7.7μm、記録条件50kfciに
て、エラー発生数を測定した。
【0053】〔実施例と比較例との比較〕実施例1〜5
と比較例1〜4との比較により、実施例1〜5のパウダ
ービーム加工によるゾーンテクスチャーにより、CSS
耐久性を確保した上で、全面のGHT高さを低くして、
エラー低減を図り得ることがわかる。更に、実施例1〜
4と実施例5とを比較すると、実施例1〜4の方がエラ
ー発生数が少ないことからわかるように、基板としては
アモルファスカーボン基板を用いるのがより好ましいこ
とがわかる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、パ
ウダービーム加工によるゾーンテクスチャー処理によ
り、磁気ヘッドとの吸着現象の防止、記録密度向上のた
めの低浮上量化、段差によるヘッドクラッシュ防止を比
較的低コストで実現できるという効果が得られる。
【0055】また、本発明によれば、他の領域に軽度の
微粒子噴射によるテクスチャー処理を施して、2つの領
域に粗さの異なる凹凸を形成することを容易に実施でき
るという効果が得られる。特に、微粒子の衝突時間を変
更することで、より具体的にはノズルと基板との相対移
動速度を変更することで、容易に実施できるし、また、
微粒子の衝突速度を変更することで、より具体的にはノ
ズルと基板との距離を変更することで、容易に実施でき
る。
【0056】更に本発明によれば、基板として、アモル
ファスカーボン基板を用いることで、その特性を生かし
て、極めて優れた微細な凹凸形成を達成できるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パウダービーム装置の概略図
【図2】 パウダービーム加工時間の説明図
【符号の説明】
1 基板 2 駆動軸 3 ノズル

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面研磨された磁気ディスク用基板の表面
    のうち、磁気ディスク装置の起動及び停止時に磁気ヘッ
    ドとの接触が生じる領域を含む一部の領域に、微粒子を
    噴射してテクスチャー処理を施し、テクスチャー処理後
    の前記一部の領域の表面粗さを、中心線平均粗さRaで
    8〜30Å、最大高さRpで40〜 200Åとしたことを特徴
    とする磁気ディスク用基板。
  2. 【請求項2】前記一部の領域以外の他の領域に、前記一
    部の領域のテクスチャー処理より軽度の微粒子噴射によ
    るテクスチャー処理を施し、テクスチャー処理後の前記
    他の領域の表面粗さを、中心線平均粗さRaで5〜15Å
    (但し前記一部の領域のRaより小)、最大高さRpで
    15〜90Å(但し前記一部の領域のRpより小)としたこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用基板。
  3. 【請求項3】前記基板はアモルファスカーボン基板であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気デ
    ィスク用基板。
  4. 【請求項4】表面研磨された磁気ディスク用基板の表面
    のうち、磁気ディスク装置の起動及び停止時に磁気ヘッ
    ドとの接触が生じる領域を含む一部の領域に、平均粒径
    0.5〜6μmの微粒子を噴射してテクスチャー処理を施
    し、テクスチャー処理後の前記一部の領域の表面粗さ
    を、中心線平均粗さRaで8〜30Å、最大高さRpで40
    〜 200Åとしたことを特徴とする磁気ディスク用基板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】前記一部の領域以外の他の領域に、前記一
    部の領域のテクスチャー処理より軽度の微粒子噴射によ
    るテクスチャー処理を施し、テクスチャー処理後の前記
    他の領域の表面粗さを、中心線平均粗さRaで5〜15Å
    (但し前記一部の領域のRaより小)、最大高さRpで
    15〜90Å(但し前記一部の領域のRpより小)としたこ
    とを特徴とする請求項4記載の磁気ディスク用基板の製
    造方法。
  6. 【請求項6】前記一部の領域のテクスチャー処理は、前
    記他の領域のテクスチャー処理より、微粒子の衝突時間
    を大きくしたことを特徴とする請求項5記載の磁気ディ
    スク用基板の製造方法。
  7. 【請求項7】基板の表面に微粒子噴射用のノズルを対向
    させ、ノズルと基板とを該基板の処理を施す部分の全面
    に微粒子が衝突するように相対移動させて、テクスチャ
    ー処理を行い、前記一部の領域と前記他の領域とで微粒
    子の衝突時間を変更するために、前記一部の領域と前記
    他の領域とでノズルと基板との相対移動速度を変更する
    ようにしたことを特徴とする請求項6記載の磁気ディス
    ク用基板の製造方法。
  8. 【請求項8】前記一部の領域のテクスチャー処理は、前
    記他の領域のテクスチャー処理より、微粒子の衝突速度
    を大きくしたことを特徴とする請求項5記載の磁気ディ
    スク用基板の製造方法。
  9. 【請求項9】基板の表面に微粒子噴射用のノズルを対向
    させ、ノズルと基板とを該基板の処理を施す部分の全面
    に微粒子が衝突するように相対移動させて、テクスチャ
    ー処理を行い、前記一部の領域と前記他の領域とで微粒
    子の衝突速度を変更するために、前記一部の領域と前記
    他の領域とでノズルと基板との距離を変更するようにし
    たことを特徴とする請求項8記載の磁気ディスク用基板
    の製造方法。
  10. 【請求項10】前記基板はアモルファスカーボン基板であ
    ることを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか1つ
    に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。
  11. 【請求項11】表面研磨された磁気ディスク用基板の表面
    のうち、磁気ディスク装置の起動及び停止時に磁気ヘッ
    ドとの接触が生じる領域を含む一部の領域に、微粒子を
    噴射してテクスチャー処理を施し、テクスチャー処理後
    の前記一部の領域の表面粗さを、中心線平均粗さRaで
    8〜30Å、最大高さRpで40〜 200Åとし、この基板上
    に、少なくとも磁性膜及び保護膜を形成してなることを
    特徴とする磁気ディスク。
  12. 【請求項12】前記一部の領域以外の他の領域に、前記一
    部の領域のテクスチャー処理より軽度の微粒子噴射によ
    るテクスチャー処理を施し、テクスチャー処理後の前記
    他の領域の表面粗さを、中心線平均粗さRaで5〜15Å
    (但し前記一部の領域のRaより小)、最大高さRpで
    15〜90Å(但し前記一部の領域のRpより小)としたこ
    とを特徴とする請求項11記載の磁気ディスク。
  13. 【請求項13】前記基板はアモルファスカーボン基板であ
    ることを特徴とする請求項11又は請求項12記載の磁気デ
    ィスク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7423842B2 (en) 2004-02-26 2008-09-09 Tdk Corporation Magnetic recording medium having servo and data track regions with different arithmetical mean deviations

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