JPH0935248A - 研磨剤及びそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

研磨剤及びそれを用いた磁気記録媒体

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JPH0935248A
JPH0935248A JP7185722A JP18572295A JPH0935248A JP H0935248 A JPH0935248 A JP H0935248A JP 7185722 A JP7185722 A JP 7185722A JP 18572295 A JP18572295 A JP 18572295A JP H0935248 A JPH0935248 A JP H0935248A
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JP
Japan
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powder
magnetic
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untreated
polishing
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Application number
JP7185722A
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Inventor
Eiji Ota
栄治 太田
Makoto Inoue
誠 井上
Akiko Watanabe
晶子 渡辺
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた特性を有する研磨剤を提供し、繰り返
し走行、或いは長時間走行における研磨力の低下による
走行耐久性の劣化を抑え、優れた記録再生特性を維持す
ることが可能な磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 研磨剤として、Ga,In,Y,La,
Pr,Nd,Sm,Gdのうち少なくとも1種から選ば
れる元素Mにより修飾され焼成された無機質粉末を使用
する。上記無機質粉末としては、Al2 3 粉末、或い
はα−Fe2 3 粉末などが使用可能である。また、こ
れらAl2 3 粉末、或いはα−Fe23 粉末に対す
る上記元素Mの使用量はM/Al(Fe)=0.1〜
5.0原子%の範囲とされる。上記研磨剤は、磁性粉末
や結合剤等とともに磁性塗料とされ、その塗膜が磁気記
録媒体の磁性層とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨剤の改良に関
するものであり、さらには非磁性支持体上に磁性粉末と
結合剤から構成されてなる磁性層を有する塗布型の磁気
記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野、特にVTR(ビデオテ
ープレコーダ)等においては、高画質化を図るために、
より一層の高密度記録化が要求されている。この高画質
化に伴い、従来より磁気記録媒体等に用いられる磁性粉
末を微粒子化することが行われている。
【0003】ところが、この磁性粉末の微粒子化が進め
られるに従って、磁性層の表面性の向上による磁気ヘッ
ドとの摩擦が増大し、磁性層への負荷が大きくなりやす
くなる傾向がある。磁性層への負荷が増すと、機械的強
度の弱い一部分の磁性粉末或いは/及び結合剤樹脂等が
欠落し、走行耐久性が劣化する。更に、磁性粉末或いは
/及び結合剤樹脂等の欠落物が磁気ヘッドの表面上に付
着し、記録再生特性の低下を招く虞が生ずる。
【0004】一方、記録再生特性の向上を図るために、
従来より使用された酸化鉄系材料に代わり、鉄又は鉄を
主体とする金属材料が用いられるようになってきてい
る。これら鉄又は鉄を主体とする金属材料から構成され
る強磁性金属微粒子は、従来の酸化鉄やFe3 4
いはそのCo修飾磁性粉末等よりも優れた磁気特性を有
しているものの、これら酸化鉄系材料と比較して硬度が
低く、走行耐久性はより劣化しやすい傾向にある。
【0005】この問題に対して、例えば磁性層中に研磨
剤として硬度の高いAl2 3 やα−Fe2 3 、Cr
2 3 、ダイヤモンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を添
加し、磁性層の表面性を粗くしてテープ摺動時の摩擦を
低下させるとともに、ヘッド表面への付着物の除去を行
う方法等が提案されている。
【0006】しかしながら、上記研磨剤のうちダイヤモ
ンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素等は粒度分布が悪いた
め、磁性塗料中での分散性を十分に確保することができ
ない。このため、得られる磁性層の表面性が悪化し、そ
の結果記録再生特性の劣化を招いてしまう。また、これ
ら研磨剤は高価であり、テープ材料としては汎用されて
はいない。
【0007】これに対して、Al2 3 やα−Fe2
3 は粒度分布が均一であり、また安価であることから、
テープ材料として最も汎用されている。
【0008】ところが、Al2 3 やα−Fe2 3
磁性層に含む磁気テープ等において、繰り返し走行によ
る研磨力の維持性は、十分である初期の研磨力が次第に
低下していく状態である。このため、磁気ヘッドへの付
着物の除去効果は低下し、記録再生特性の低下が起こ
る。
【0009】このように、研磨剤としてAl2 3 及び
α−Fe2 3 を使用した場合、磁気記録媒体の繰り返
し走行、或いは長時間走行における研磨力の低下により
走行耐久性が低下するのを改善することが必要であり、
この点に関して従来の方法では満足な結果が得られてい
ないのが実状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、こ
のような実情に鑑みて提案されたものであって、繰り返
し走行、或いは長時間走行における研磨力の低下による
走行耐久性の劣化を抑え、優れた記録再生特性を維持す
ることが可能な磁気記録媒体を提供する事を目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究の結果、磁性層中に研磨剤
としてGa,In,Y,La,Pr,Nd,Sm,Gd
のうち少なくとも1種を所定の割合で修飾し焼成したA
2 3 又はα−Fe2 3 を添加することにより、繰
り返し走行時や長時間走行時における走行耐久性の低下
を抑え、記録再生特性の低下を防止することができるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】即ち、本発明の研磨剤は、無機質粉末の表
面がGa,In,Y,La,Pr,Nd,Sm,Gdの
うち少なくとも1種から選ばれる元素Mにより修飾され
焼成されてなることを特徴とするものである。
【0013】また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に磁性粉末と結合剤とを主体とする磁性塗料の塗
膜からなる磁性層が形成されてなる磁気記録媒体におい
て、上記磁性層中に上記研磨剤が添加されてなることを
特徴とするものである。
【0014】本発明において研磨剤として使用される無
機質粉末としては、例えばAl2 3 、α−Fe2 3
等が挙げられる。
【0015】ここで、上記Al2 3 としては、α−A
2 3 、β−Al2 3 、γ−Al2 3 、或いはこ
れらAl2 3 の中間体等がいずれも使用可能であり、
特に限定されない。
【0016】また、上記α−Fe2 3 としては、α−
Fe2 3 、γ−Fe2 3 、Fe3 4 、或いはこれ
ら酸化鉄の中間体に上記元素Mを修飾し焼成することに
よりα−Fe2 3 に変化させうるものであればその出
発原料はなんら限定されず、いずれも使用可能である。
【0017】これらAl2 3 、α−Fe2 3 におい
て、主成分以外の元素が含まれる場合には、主成分が9
0%以上であり、該主成分以外の元素によって修飾され
るのであれば効果にかわりはない。但し、上記Al2
3 においては、特に硬度の高いα−Al2 3 が上記主
成分以外の元素により修飾されることが好ましい。
【0018】これらAl2 3 、α−Fe2 3 の粒子
形状は、球状、針状、不定形等いずれであっても良く、
特に限定されない。
【0019】該Al2 3 、α−Fe2 3 の粒子の大
きさは、0.01〜2μmが好ましいが、必要に応じて
粒子の大きさの異なるものを組み合わせたり、単独の研
磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果を持たせるよう
にしたりしても良い。
【0020】上記Al2 3 の水分量は0.1〜5重量
%、pHは6〜11、比表面積は1〜40m2 /gであ
ることが好ましい。
【0021】また、上記α−Fe2 3 の出発原料とし
て用いられるα−Fe2 3 、γ−Fe2 3 、Fe3
4 、或いはこれら酸化鉄の中間体、又はα−FeOO
H、γ−FeOOHなどのオキシ水酸化鉄の水分量、p
H、比表面積は、上記元素Mによる修飾、及び焼成を経
た後に水分量0.1〜5重量%、pH4〜11、比表面
積1〜60m2 /gのα−Fe2 3 が得られるのであ
ればなんら限定されない。
【0022】このようなAl2 3 、α−Fe2 3
γ−Fe2 3 、Fe3 4 、或いはこれら酸化鉄の中
間体、又はα−FeOOH、γ−FeOOHなどのオキ
シ水酸化鉄を修飾する元素Mとしては、Ga,In,
Y,La,Pr,Nd,Sm,Gdが挙げられる。
【0023】これら元素Mは、その硝酸塩Mn+(NO
3 n ・mH2 O、或いは塩素化金属Mn+Cln ・m
2 O、炭酸塩Mn+(CO3 n ・mH2 O、酢酸塩
Mn+(CH3 COO)n 、燐酸塩、硫化物等の上記元
素Mを含み上記Al2 3 、α−Fe2 3 、γ−Fe
2 3 、Fe3 4 、或いはこれら酸化鉄の中間体、又
はα−FeOOH、γ−FeOOHなどのオキシ水酸化
鉄を修飾できるものであればいずれも使用可能である。
【0024】これら元素Mにより上記Al2 3 、α−
Fe2 3 、γ−Fe2 3 、Fe3 4 、或いはこれ
ら酸化鉄の中間体、又はα−FeOOH、γ−FeOO
Hなどのオキシ水酸化鉄を修飾する際の該元素Mの修飾
量は、上記Al2 3 に対してM/Al=0.1〜5.
0原子%、最終的に得られるα−Fe2 3 に対してM
/Fe=0.1〜5.0原子%とされる。この修飾に用
いる元素Mの修飾量が0.1原子%よりも少ないと、該
元素Mにより修飾の効果が十分に得られず、逆に5.0
原子%よりも多いと、後述する修飾処理においてAl2
3 、若しくは最終的に得られるα−Fe2 3 同士の
焼結剤として作用し、粒径分布の悪化による分散性の低
下やテープ化した場合に粗大突起を形成して記録再生特
性の劣化をもたらす虞がある。
【0025】これら元素Mにより修飾され焼成された上
記Al2 3 、α−Fe2 3 を得る方法としては、例
えば修飾するべきAl2 3 、α−Fe2 3 、γ−F
23 、Fe3 4 、或いはこれら酸化鉄の中間体、
又はα−FeOOH、γ−FeOOHなどのオキシ水酸
化鉄を硝酸塩Mn+(NO3 n ・mH2 O等の上述し
たものの水溶液に投入し攪拌した後、乾燥し、次いで所
定の焼成条件にて焼成処理する方法などが挙げられる。
【0026】この時、上記硝酸塩Mn+(NO3 n
mH2 O等の上述の水溶液の濃度は、焼成後の上記元素
Mの修飾量が上記範囲内となるように調製されれば良
い。また、該元素Mの入った水溶液においては、修飾す
るべき上記Al2 3 、α−Fe2 3 、γ−Fe2
3 、Fe3 4 、或いはこれら酸化鉄の中間体、又はα
−FeOOH、γ−FeOOHなどのオキシ水酸化鉄へ
の修飾元素Mの吸着がしやすいように塩基性或いは酸性
にpH調製が行われても良い。
【0027】上記焼成処理を行う際の焼成条件として
は、上記元素Mにより修飾された上記Al2 3 を使用
する場合では、焼成温度600〜1500℃、焼成時間
15分〜10時間とされることが好ましい。また、上記
α−Fe2 3 を使用する場合は、焼成温度400〜8
00℃、焼成時間15分〜10時間とされることが好ま
しい。また、この焼成処理時の雰囲気は、酸素元素の存
在下であれば良く、例えば大気中でもなんら問題はな
い。
【0028】本発明が適用される磁気記録媒体として
は、磁性塗料を非磁性支持体表面に塗布することにより
磁性塗膜が磁性層として形成される、いわゆる塗布型の
磁気記録媒体が挙げられる。
【0029】上記塗布型の磁気記録媒体において、上記
非磁性支持体や磁性塗膜を構成する磁性粉末等は従来公
知のものがいずれも使用可能であり、なんら限定される
ものではない。
【0030】具体的に例示するならば、磁性粉末として
はγ−Fe2 3 ,Fe3 4 ,γ−Fe2 3 とFe
3 4 とのベルトライド化合物,Co含有γ−Fe2
3 ,Co含有Fe3 4 ,Coを含有するγ−Fe2
3 とFe3 4 とのベルトライド化合物, CrO2mに1
種又はそれ以上の金属元素(例えばTe,Sb,Fe,
Bi等)を含有させた酸化物、Fe,Co,Ni等の金
属、Fe−Co,Fe−Ni,Fe−Al,Fe−Ni
−Al,Fe−Al−P,Fe−Ni−Si−Al,F
e−Ni−Si−Al−Mn,Fe−Mn−Zn、Fe
−Ni−Zn,Co−Ni,Co−P,Fe−Co−N
i,Fe−Co−Ni−Cr,Fe−Co−Ni−P,
Fe−Co−B,Fe−Co−Cr−B,Mn−Bi,
Mn−Al,Fe−Co−V等の合金、窒化鉄、炭化鉄
等が挙げられる。
【0031】勿論、還元時の焼結防止又は形状維持等の
目的で添加させるAl,Si,P,B等の軽金属元素が
適当量含有されたとしても、本発明の効果を妨げるもの
ではない。
【0032】上記樹脂結合剤として熱可塑性樹脂として
は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩
化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル
共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重
合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、
メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタ
クリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸
エステル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビ
ニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、セル
ロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セル
ロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セ
ルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレ
ンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、合成ゴム等
が挙げられる。
【0033】熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0034】磁性層におけるこれら結合剤樹脂の使用量
は、上記磁性粉末100重量部に対して1〜200重量
部、好ましくは1〜50重量部である。該結合剤樹脂の
使用量が多すぎると、相対的に磁性粉末の磁性層に占め
る割合が低下し出力の低下をもたらす。逆に、上記結合
剤樹脂の使用量が少なすぎると、磁性層の力学的強度が
低下し、磁気媒体の走行耐久性が低下する。
【0035】本発明においては、必要に応じて潤滑剤、
非磁性補強粒子、導電性粒子、界面活性剤等を上記磁性
層に含有させることができ、その配合比等も通常の磁気
記録媒体の場合に準じて設定される。
【0036】上記潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブ
デン、シリコーンオイイル、炭素数10〜22までの脂
肪酸、ならびにこれと炭素数2〜26までのアルコール
からなる脂肪酸エステル、テルペン系化合物、ならびに
これらのオリゴマー等が使用可能である。
【0037】上記非磁性補強粒子としては、酸化アルミ
ニウム、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネ
ット、エメリー、窒化ホウ素などが挙げられ、本発明に
て必須である上記修飾元素Mにて修飾し焼成されたAl
2 3 の作用を阻害しない限り併用することが可能であ
る。
【0038】この非磁性補強粒子の使用量は、上記磁性
粉末100重量部に対して20重量部、好ましくは10
重量部以下である。また、この非磁性補強粒子の平均粒
径は、1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下であ
る。
【0039】上記導電性粒子としては、カーボンブラッ
ク、黒鉛、その他金属粒子等が使用可能である。
【0040】上記界面活性剤としては、ノニオン系、ア
ニオン系、カチオン系等、両性のものが使用可能であ
る。
【0041】また、上記非磁性支持体としては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオ
レフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジ
アセテート等のセルロース類、ビイル系樹脂、ポリイミ
ド類、ポリカーボネート類に代表されるような高分子材
料、或いは金属、ガラス、セラミクス等により形成され
る支持体等が挙げられる。
【0042】これら非磁性支持体上に磁性層を形成する
には、上述の磁性層構成材料を塗料化し、これを上記非
磁性支持体上に塗布し乾燥して形成されるが、この塗料
化に際し、使用される溶剤としては、例えばアセトン、
メトルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノー
ル、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、
エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエ
タノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素系溶媒、メチレンクロライド、四塩化炭素、クロ
ロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶
媒等が使用可能である。
【0043】また、上記塗料を調製するための分散・混
練には、例えばロールミル、ボールミル、サンドミル、
アジター、ニーダー、エクストルーダー、ホモジナイザ
ー、超音波分散機等が用いられる。
【0044】更に、このように調製された塗料を上記非
磁性支持体上に塗布するには、グラビアコーター、ナイ
フコーター、ワイヤーバーコーター、ドクターブレード
コーター、リバースロールコーター、ディッピングコー
ター、エアナイフコーター、ダイコーター等が用いられ
る。
【0045】Al2 3 、又はα−Fe2 3 ,γ−F
2 3 ,Fe3 4 等の各種酸化鉄或いは/及びα−
FeOOH,γ−FeOOH等の各種オキシ水酸化鉄を
Ga,In,Y,La,Pr,Nd,Sm,Gdから少
なくとも1種以上選ばれる元素Mにより修飾することに
より、上記Al2 3 、又はα−Fe2 3 ,γ−Fe
2 3 ,Fe3 4 等の各種酸化鉄或いはα−FeOO
H,γ−FeOOH等の各種オキシ水酸化鉄の表面に上
記元素Mの酸化物層或いはAl2 3 又はα−Fe2
3 との中間体が形成される。そして、得られたAl2
3 又はα−Fe2 3 に焼成処理を施すことによりAl
2 3 又はα−Fe2 3 の結晶の歪みが再配列されて
結晶性が増大し、該Al2 3 又はα−Fe2 3 自体
の硬度が向上する。
【0046】従って、上記元素Mにより修飾され焼成さ
れたAl2 3 又はα−Fe2 3を磁性層中に研磨剤
として含有せしめることにより、良好な研磨効果が持続
され、走行耐久性の劣化が抑えられる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明がこの実施例に限定されるものでないこと
は言うまでもない。
【0048】実施例1−1 先ず、磁性層の形成に先だって、研磨剤として使用する
Yにより修飾され焼成されたAl2 3 粉末の合成を行
った。
【0049】<Al2 3 粉末の合成>出発材料として
市販のα−Al2 3 粉末を準備した。このα−Al2
3 粉末の粉体特性は、次の通りである。
【0050】平均粒径=210nm 比表面積=12.3m2 /g pH=9(−) Y/Al=0.0原子% なお、平均粒径は、透過形電子顕微鏡観察で無作為に選
んだ100点の平均値を採用した。
【0051】比表面積は、BET一点法(島津製作所社
製)で測定した。pHは上記α−Al2 3 粉末を純水
100mlに投入し、大気に遮蔽しつつ1時間超音波振
動攪拌を行った後、東亜電波工業社製のpHメーターで
測定した。
【0052】Yの修飾量Y/Alは、理学電気社製の蛍
光X線にて定量した。
【0053】次に、硝酸イットリウム・6水和物Y(N
3 3 ・6H2 Oを用い、上記α−Al2 3 粉末に
対するYの修飾処理を行った。
【0054】即ち、上記α−Al2 3 粉末500g
を、上記硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3 3
6H2 O115gを溶解した10lの水溶液中に投入
し、約2時間攪拌し、20時間静置後に上澄み液を捨
て、約60℃にて加熱、乾燥した。
【0055】次いで、この修飾Al2 3 粉末の乾燥ケ
ーキを微粉砕機を用いて粉砕し、温度1000℃の高温
炉にて約2時間焼成した。
【0056】そして、得られた修飾Al2 3 粉末の焼
成品を再度微粉砕機により粉砕した。この時、少量採取
した上記修飾Al2 3 粉末の粉体特性は、次の通りで
あった。
【0057】平均粒径=230nm 比表面積=12.6m2 /g pH=9.3(−) Y/Al=3.1原子% この修飾Al2 3 粉末と出発原料として用いた上記α
−Al2 3 粉末におけるYの修飾量Y/Alの変化量
から、YによりAl2 3 粉末が修飾されたことが確認
できた。また、Yの修飾処理により平均粒径が増加し、
修飾Al2 3粉末の表面に凹凸が形成されて比表面積
が増加したものと推定される。
【0058】そこで、この修飾Al2 3 粉末と結合剤
樹脂を用い、以下の塗料組成にて混合、混練、分散工程
を経て塗料化を行った。
【0059】 <塗料組成> 修飾Al2 3 粉末(平均粒径 230nm) 100重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(−SO3 Na含有) 10重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(−OSO3 K含有) 10重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 このようにして得られた塗料に、更に硬化剤としてイソ
シアネート化合物(商品名;コロネートL、日本ポリウ
レタン社製)を4重量部添加して調製した後、この塗料
を14μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)
フィルム上に乾燥後の塗膜厚が3μmとなるように塗布
し、乾燥した。
【0060】その後、表面処理工程としてカレンダー処
理を行い、硬化促進のために温度60℃の硬化炉にて2
4時間硬化させてサンプルテープを得た。
【0061】以上のようにして作製した修飾Al2 3
粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープについて、鋼
球研磨試験を行った。
【0062】鋼球研磨試験は、新東科学社製HEIDO
Nを用い、上記修飾Al2 3 粉末含有磁性粉末無配合
のサンプルテープに対して鋼球を10パス、25パス、
50パス摺動させた時の上記鋼球の研磨された部分を顕
微鏡(ニコン社製)にて観察し、該研磨された部分の面
積より上記鋼球に対する研磨深さを計算し、この結果に
より評価を行った。この結果を下記表1に示す。
【0063】次に、上記修飾Al2 3 粉末、磁性粉
末、結合剤樹脂及び添加剤としてカーボンを用い、以下
の磁性塗料組成にて混合、混練、分散工程を経て塗料化
を行った。
【0064】 <磁性塗料組成> 強磁性金属粉末 100重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(−SO3 Na含有) 10重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(−OSO3 K含有) 10重量部 修飾Al2 3 粉末(平均粒径 230nm) 5重量部 カーボン(平均粒径 20nm) 3重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 このようにして得られた磁性塗料に、更に硬化剤として
イソシアネート化合物(商品名;コロネートL、日本ポ
リウレタン社製)を4重量部添加して調製した後、この
磁性塗料を14μm厚のPET(ポリエチレンテレフタ
レート)フィルム上に乾燥後の塗膜厚が3μmとなるよ
うに塗布し、ソレノイド(600mT)にて配向、乾燥
した。
【0065】その後、表面処理工程としてカレンダー処
理を行い、硬化促進のために温度60℃の硬化炉にて2
4時間硬化させてサンプルテープを得た。
【0066】以上のようにして作製した修飾Al2 3
粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープについて、電磁
変換特性(記録再生特性)、耐久性をそれぞれ調べた。
【0067】電磁変換特性は、ソニー社製のHi8ビデ
オデッキ(商品名:EVS−9000)にて測定した。
この測定に際し、再生出力は7MHz(波長λ=0.4
9μm)の信号を記録、再生した時に得られる出力をオ
シロスコープにて測定し、C/Nは7MHz(波長λ=
0.49μm)の信号を記録、再生した時の6MHz
(波長λ=0.57μm)で生ずる信号の出力(ノイ
ズ)を測定し、7MHzの信号に対する6MHzの信号
の比で表した。
【0068】耐久性は、上述の記録再生特性の評価、1
00パス後の出力低下を測定し、ヘッド表面への付着物
により汚れを評価した。この際、評価方法は次の3段階
にて表した通りである。
【0069】 ○:磁気ヘッドへの粉落ちが目視にて見られない。 △:磁気ヘッドへの粉落ちが目視にて僅かに見られる。 ×:磁気ヘッドへの粉落ちが目視にて明らかに見られ
る。
【0070】また同時に、ソニー社製のHi8ビデオデ
ッキ(商品名:EVS−9000)を用い、温度20
℃、湿度70%の環境にて7MHz(波長λ=0.49
μm)の信号をスチルモードにて記録、再生した場合
に、7MHz(波長λ=0.49μm)の出力が3dB
低下した時間にてスチル耐久性を評価した。この際、最
長200分まで測定した。ここで、摺動時間が長い方が
サンプルテープからの磁性粉末或いは結合剤樹脂等の脱
離したものの磁気ヘッドへの付着に対する研磨性(除去
効果)が高く、耐久性に優れていることを示す。この結
果を下記表2に示す。
【0071】実施例1−2〜1−8 上記実施例1−1の修飾Al3 粉末の合成方法に
おいて使用した硝酸イットリウム・6水和物Y(N
3 3 ・6H2 Oを硝酸ガリウム水和物Ga(N
3 3 ・nH2 O(n=7〜9)125g、また硝酸
インジウム・3水和物In(NO3 3 ・3H2 O90
g、硝酸ランタン・6水和物La(NO3 3 ・6H2
O130g、硝酸プロセオジム・6水和物Pr(N
3 3 ・6H2 O130g、硝酸ネオジウム・6水和
物Nd(NO3 3 ・6H2 O130g、硝酸サマリウ
ム・6水和物Sm(NO3 3 ・6H2 O130g、及
び硝酸ガドリウム・6水和物Gd(NO3 3 ・6H2
O135gにそれぞれ変え、その他は実施例1−1と同
工程にて修飾処理を行った。
【0072】得られた修飾Al2 3 粉末の粉体特性
は、下記表1に併せて示す通りである。
【0073】続いて、これら修飾Al2 3 粉末に変え
た以外は上記実施例1−1と同組成、同工程で修飾Al
2 3 粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び修
飾Al2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープを
それぞれ作製した。
【0074】そして、これら修飾Al2 3 粉末含有磁
性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特性
を調べ、下記表1、表2に併せて示した。
【0075】実施例1−9〜1−12 上記実施例1−1の修飾Al2 3 粉末の合成方法にお
ける硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3 3 ・6H
2 Oの水溶液への溶解量を4g、20g,60g,16
0gにそれぞれ変え、その他は実施例1−1と同工程に
て修飾処理を行った。
【0076】得られた修飾Al2 3 粉末の粉体特性
は、下記表1に併せて示す通りである。
【0077】続いて、この修飾Al2 3 粉末に変えた
以外は上記実施例1−1と同組成、同工程で修飾Al2
3 粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び修飾
Al2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープをそ
れぞれ作製した。
【0078】そして、これら修飾Al2 3 粉末含有磁
性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特性
を調べ、下記表1、表2に併せて示した。
【0079】比較例1−1 上記実施例1−1において出発原料として使用したα−
Al2 3 粉末に対して何の処理も施さず、この無処理
Al2 3 粉末に変えた以外は上記実施例1−1と同組
成、同工程で無処理Al2 3 粉末含有磁性粉末無配合
のサンプルテープ及び無処理Al2 3 粉末含有磁性粉
末配合のサンプルテープをそれぞれ作製した。
【0080】そして、これら無処理Al2 3 粉末含有
磁性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特
性を調べ、下記表1、表2に併せて示した。
【0081】なお、上記無処理Al2 3 粉末の粉体特
性は、下記表1に併せて示す通りである。
【0082】比較例1−2 上記実施例1−1の修飾Al2 3 粉末の合成方法にお
ける硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3 3 ・6H
2 Oによる修飾処理を行わない以外は実施例1−1と同
工程にて焼成処理を行った。
【0083】この焼成処理工程を経た無処理Al2 3
粉末の粉体特性は、下記表1に併せて示す通りである。
【0084】続いて、この焼成処理工程を経た無処理A
2 3 粉末に変えた以外は上記実施例1−1と同組
成、同工程で焼成処理工程を経た無処理Al2 3 粉末
含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び焼成処理工程
を経た無処理Al2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプ
ルテープをそれぞれ作製した。
【0085】そして、これら焼成処理工程を経た無処理
Al2 3 粉末含有磁性粉末無配合、磁性粉末配合のサ
ンプルテープの諸特性を調べ、下記表1、表2に併せて
示した。
【0086】比較例1−3,1−4 上記実施例1−1の修飾Al2 3 粉末の合成方法にお
ける硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3 3 ・6H
2 Oの水溶液への溶解量を2g、320gにそれぞれ変
え、その他は実施例1−1と同工程にて修飾処理を行っ
た。
【0087】得られた修飾Al2 3 粉末の粉体特性
は、下記表1に併せて示す通りである。
【0088】続いて、この修飾Al2 3 粉末に変えた
以外は上記実施例1−1と同組成、同工程で修飾Al2
3 粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び修飾
Al2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープをそ
れぞれ作製した。
【0089】そして、これら修飾Al2 3 粉末含有磁
性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特性
を調べ、下記表1、表2に併せて示した。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】以上の結果に基づき、先ず上記修飾Al2
3 粉末含有磁性粉末無配合サンプルテープの鋼球研磨
試験の研磨パス回数増加による研磨深さ(表1)につい
て、比較例1−1の無処理Al2 3 粉末、比較例1−
2の焼成処理工程を経た無処理Al2 3 粉末、及び実
施例1−1〜1−8のY,Ga,In,La,Pr,N
d,Sm,Gdによる修飾処理を施した修飾Al2 3
粉末を比較し、これを図1に示した。
【0093】図1に示すように、上記無処理Al2 3
粉末及び焼成工程を経た無処理Al2 3 粉末では、パ
ス回数が10パスから50パスに増加しても研磨深さが
僅かに増加しただけであり、パス回数が増加した時に研
磨力が摺動初期ほど期待できないことが判った。
【0094】これに対して、実施例1−1〜1−8の
Y,Ga,In,La,Pr,Nd,Sm,Gdによる
修飾処理を施した修飾Al2 3 粉末では、パス回数が
増加するのに伴い、研磨深さも増加し、上記無処理Al
2 3 粉末及び焼成工程を経た無処理Al2 3 粉末の
ように研磨力が次第に低下することが起こりにくいこと
が判った。
【0095】このことから、実施例1−1〜1−8の各
修飾Al2 3 粉末では、上記出発原料であるα−Al
2 3 粉末の表面に修飾元素の酸化物層或いは/及びA
23 との中間体が形成され、これに焼成処理が施さ
れることによってAl2 3の結晶の歪みが再配列され
て結晶性が増し、その結果得られた修飾Al2 3 粉末
自体の硬度が増大したものと考えられる。
【0096】従って、研磨剤としてY,Ga,In,L
a,Pr,Nd,Sm,Gdによる修飾処理を施した修
飾Al2 3 粉末を使用することにより、多数回摺動時
における研磨力の減衰が改善されることが判った。
【0097】また、これら修飾Al2 3 粉末を使用し
た磁気テープの電磁変換特性及び100パス後の出力低
下とヘッド汚れ、スチル耐久性の結果(表2)より、上
記無処理Al2 3 粉末及び焼成工程を経た無処理Al
2 3 粉末を用いた場合では、100パス後の初期出力
からの出力低下が大きく、ヘッド汚れも悪いのに対し
て、実施例1−1〜1−8のY,Ga,In,La,P
r,Nd,Sm,Gdによる修飾処理を施した修飾Al
2 3 粉末を用いた場合では、電磁変換特性の初期出力
を損なうことなく、100パス後の初期出力からの出力
低下及びヘッド汚れ、スチル耐久性が改善されているの
が判った。
【0098】これは、上記修飾Al2 3 粉末を使用す
ることにより、上記無処理Al2 3 粉末を使用した場
合と比較して磁気ヘッド上への磁気テープからの磁性粉
末或いは/及び結合剤樹脂などの付着物が除去されやす
く、そのため100パス後の出力低下及びスチル耐久性
が改善されたものと考えられる。故に、テープ化した場
合においても、多数回摺動時での研磨力の減衰による出
力低下、スチル耐久性が改善されることが判った。
【0099】更に、比較例1−1〜1−4と実施例1−
1及び実施例1−9〜1−12より、修飾元素の処理量
による出力と100パス後の出力低下を比較し、これを
図2に示した。
【0100】図2に示すように、出力は、上記修飾元素
の処理量がY/Al=5原子%を越えると減衰し始め、
出力低下は0.1原子%以上もあれば改善されていくの
が判った。従って、初期の出力が高く、且つ初期からの
出力低下を少なくするには、上記修飾元素の処理量Y/
Alを0.1〜5原子%にする必要があることが判っ
た。
【0101】このことから、Y,Ga,In,La,P
r,Nd,Sm,Gdによる修飾処理を施した修飾Al
2 3 粉末において、各種修飾元素の処理量を0.1〜
5原子%にすることにより、初期出力を損なうことな
く、初期出力からの低下を抑えることが可能となること
が判った。
【0102】実施例2−1 先ず、磁性層の形成に先だって、研磨剤として使用する
Yにより修飾され焼成されたFe3 粉末の合成を
行った。
【0103】<Fe2 3 粉末の合成>出発材料として
市販のα−Fe2 3 粉末を準備した。このα−Fe2
3 粉末の粉体特性は、次の通りである。
【0104】平均粒径=460nm 比表面積=8.0m2 /g pH=7.5(−) Y/Fe=0.0原子% なお、平均粒径は、透過形電子顕微鏡観察で無作為に選
んだ100点の平均値を採用した。
【0105】比表面積は、BET一点法(島津製作所社
製)で測定した。pHは上記α−Fe2 3 粉末を純水
100ml(pH=5.5)に投入し、大気に遮蔽しつ
つ1時間超音波振動攪拌を行った後、東亜電波工業社製
のpHメーターで測定した。
【0106】Yの修飾量Y/Feは、理学電気社製の蛍
光X線にて定量した。
【0107】次に、硝酸イットリウム・6水和物Y(N
3 3 ・6H2 Oを用い、上記α−Fe2 3 粉末に
対するYの修飾処理を行った。
【0108】即ち、上記α−Fe2 3 粉末500g
を、上記硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3 3
6H2 O115gを溶解した10lの水溶液中に投入
し、約2時間攪拌し、20時間静置後に上澄み液を捨
て、約60℃にて加熱、乾燥した。
【0109】次いで、この修飾Fe2 3 粉末の乾燥ケ
ーキを微粉砕機を用いて粉砕し、温度600℃の高温炉
にて約2時間焼成した。
【0110】そして、得られた修飾Fe2 3 粉末の焼
成品を再度微粉砕機により粉砕した。この時、少量採取
した上記修飾Fe2 3 粉末の粉体特性は、次の通りで
あった。
【0111】平均粒径=470nm 比表面積=8.3m2 /g pH=8.2(−) Y/Fe=3.0原子% この修飾Fe2 3 粉末と出発原料として用いた上記α
−Fe2 3 粉末におけるYの修飾量Y/Feの変化量
から、YによりFe2 3 粉末が修飾されたことが確認
できた。また、Yの修飾処理により平均粒径が増加し、
修飾Fe2 3粉末の表面に凹凸が形成されて比表面積
が増加したものと推定される。
【0112】そこで、この修飾Fe2 3 粉末と結合剤
樹脂を用い、以下の塗料組成にて混合、混練、分散工程
を経て塗料化を行った。
【0113】 <塗料組成> 修飾Fe2 3 粉末(平均粒径 470nm) 100重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(−SO3 Na含有) 10重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(−OSO3 K含有) 10重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 このようにして得られた塗料に、更に硬化剤としてイソ
シアネート化合物(商品名;コロネートL、日本ポリウ
レタン社製)を4重量部添加して調製した後、この塗料
を14μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)
フィルム上に乾燥後の塗膜厚が3μmとなるように塗布
し、乾燥した。
【0114】その後、表面処理工程としてカレンダー処
理を行い、硬化促進のために温度60℃の硬化炉にて2
4時間硬化させてサンプルテープを得た。
【0115】以上のようにして作製した修飾Fe2 3
粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープについて、鋼
球研磨試験を行った。
【0116】鋼球研磨試験は、新東科学社製HEIDO
Nを用い、上記修飾Fe2 3 粉末含有磁性粉末無配合
のサンプルテープに対して鋼球を10パス、25パス、
50パス摺動させた時の上記鋼球の研磨された部分を顕
微鏡(ニコン社製)にて観察し、該研磨された部分の面
積より上記鋼球に対する研磨深さを計算し、この結果に
より評価を行った。この結果を下記表3に示す。
【0117】次に、上記修飾Fe2 3 粉末、磁性粉
末、結合剤樹脂及び添加剤としてカーボンを用い、以下
の磁性塗料組成にて混合、混練、分散工程を経て塗料化
を行った。
【0118】 <磁性塗料組成> 強磁性金属粉末 100重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(−SO3 Na含有) 10重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(−OSO3 K含有) 10重量部 修飾Fe2 3 粉末(平均粒径 470nm) 5重量部 カーボン(平均粒径 20nm) 3重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 このようにして得られた磁性塗料に、更に硬化剤として
イソシアネート化合物(商品名;コロネートL、日本ポ
リウレタン社製)を4重量部添加して調製した後、この
磁性塗料を14μm厚のPET(ポリエチレンテレフタ
レート)フィルム上に乾燥後の塗膜厚が3μmとなるよ
うに塗布し、ソレノイド(600mT)にて配向、乾燥
した。
【0119】その後、表面処理工程としてカレンダー処
理を行い、硬化促進のために温度60℃の硬化炉にて2
4時間硬化させてサンプルテープを得た。
【0120】以上のようにして作製した修飾Fe2 3
粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープについて、電磁
変換特性(記録再生特性)、耐久性をそれぞれ調べた。
【0121】電磁変換特性は、ソニー社製のHi8ビデ
オデッキ(商品名:EVS−9000)にて測定した。
この測定に際し、再生出力は7MHz(波長λ=0.4
9μm)の信号を記録、再生した時に得られる出力をオ
シロスコープにて測定し、C/Nは7MHz(波長λ=
0.49μm)の信号を記録、再生した時の6MHz
(波長λ=0.57μm)で生ずる信号の出力(ノイ
ズ)を、7MHzの信号に対する6MHzのノイズとし
て測定した。
【0122】耐久性は、上述の記録再生特性の評価、1
00パス後の出力低下を測定し、ヘッド表面への付着物
により汚れを評価した。この際、評価方法は次の3段階
にて表した通りである。
【0123】 ○:磁気ヘッドへの粉落ちが目視にて見られない。 △:磁気ヘッドへの粉落ちが目視にて僅かに見られる。 ×:磁気ヘッドへの粉落ちが目視にて明らかに見られ
る。
【0124】また同時に、ソニー社製のHi8ビデオデ
ッキ(商品名:EVS−9000)を用い、温度20
℃、湿度70%の環境にて7MHz(波長λ=0.49
μm)の信号をスチルモードにて記録、再生した場合
に、7MHz(波長λ=0.49μm)の出力が3dB
低下した時間にてスチル耐久性を評価した。この際、最
長200分まで測定した。ここで、摺動時間が長い方が
サンプルテープからの磁性粉末或いは結合剤樹脂等の脱
離したものの磁気ヘッドへの付着に対する研磨性(除去
効果)が高く、耐久性に優れていることを示す。この結
果を下記表5に示す。
【0125】実施例2−2,2−3 上記実施例2−1の修飾Fe3 粉末の合成方法に
おいて、出発原料として使用したα−Fe2 3 粉末を
平均粒径=70nmのα−Fe2 3 粉末、平均粒径=
40nmのFe3 4 粉末にそれぞれ変え、その他は実
施例2−1と同工程にて修飾処理を行った。
【0126】得られた修飾Fe2 3 粉末の粉体特性
は、下記表3に併せて示す通りである。
【0127】続いて、これら修飾Fe2 3 粉末に変え
た以外は上記実施例2−1と同組成、同工程で修飾Fe
2 3 粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び修
飾Fe2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープを
それぞれ作製した。
【0128】そして、これら修飾Fe2 3 粉末含有磁
性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特性
を調べ、下記表3、表5に併せて示した。
【0129】実施例2−4〜2−10 上記実施例2−1の修飾Fe2 3 粉末の合成方法にお
いて使用した硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3
3 ・6H2 Oを硝酸ガリウム水和物Ga(NO3 3
nH2 O(n=7〜9)125g、また硝酸インジウム
・3水和物In(NO3 3 ・3H2 O90g、硝酸ラ
ンタン・6水和物La(NO3 3 ・6H2 O130
g、硝酸プロセオジム・6水和物Pr(NO3 3 ・6
2 O130g、硝酸ネオジウム・6水和物Nd(NO
3 3 ・6H2 O130g、硝酸サマリウム・6水和物
Sm(NO3 3 ・6H2 O130g、及び硝酸ガドリ
ウム・6水和物Gd(NO3 3 ・6H2 O135gに
それぞれ変え、その他は実施例2−1と同工程にて修飾
処理を行った。
【0130】得られた修飾Fe2 3 粉末の粉体特性
は、下記表3に併せて示す通りである。
【0131】続いて、これら修飾Fe2 3 粉末に変え
た以外は上記実施例2−1と同組成、同工程で修飾Fe
2 3 粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び修
飾Fe2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープを
それぞれ作製した。
【0132】そして、これら修飾Fe2 3 粉末含有磁
性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特性
を調べ、下記表3、表5に併せて示した。
【0133】実施例2−11〜2−14 上記実施例2−1の修飾Fe2 3 粉末の合成方法にお
ける硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3 3 ・6H
2 Oの水溶液への溶解量を4g、20g,60g,16
0gにそれぞれ変え、その他は実施例2−1と同工程に
て修飾処理を行った。
【0134】得られた修飾Fe2 3 粉末の粉体特性
は、下記表3あるいは表4に併せて示す通りである。
【0135】続いて、この修飾Fe2 3 粉末に変えた
以外は上記実施例2−1と同組成、同工程で修飾Fe2
3 粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び修飾
Fe2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープをそ
れぞれ作製した。
【0136】そして、これら修飾Fe2 3 粉末含有磁
性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特性
を調べ、下記表3あるいは表4、表5あるいは表6に併
せて示した。
【0137】比較例2−1 上記実施例2−1において出発原料として使用したα−
Fe2 3 粉末に対して何の処理も施さず、この無処理
Fe2 3 粉末に変えた以外は上記実施例2−1と同組
成、同工程で無処理Fe2 3 粉末含有磁性粉末無配合
のサンプルテープ及び無処理Fe2 3 粉末含有磁性粉
末配合のサンプルテープをそれぞれ作製した。
【0138】そして、これら無処理Fe2 3 粉末含有
磁性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特
性を調べ、下記表4、表6に併せて示した。
【0139】なお、上記無処理Fe2 3 粉末の粉体特
性は、下記表4に併せて示す通りである。
【0140】比較例2−2 上記実施例2−1の修飾Fe2 3 粉末の合成方法にお
ける硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3 3 ・6H
2 Oによる修飾処理を行わない以外は実施例2−1と同
工程にて焼成処理を行った。
【0141】この焼成処理工程を経た無処理Fe2 3
粉末の粉体特性は、下記表4に併せて示す通りである。
【0142】続いて、この焼成処理工程を経た無処理F
2 3 粉末に変えた以外は上記実施例2−1と同組
成、同工程で焼成処理工程を経た無処理Fe2 3 粉末
含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び焼成処理工程
を経た無処理Fe2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプ
ルテープをそれぞれ作製した。
【0143】そして、これら焼成処理工程を経た無処理
Fe2 3 粉末含有磁性粉末無配合、磁性粉末配合のサ
ンプルテープの諸特性を調べ、下記表4、表6に併せて
示した。
【0144】比較例2−3,2−4 上記実施例2−2,2−3において出発原料としてそれ
ぞれ使用した平均粒径=70nmのα−Fe2 3
末、平均粒径=40nmのFe3 4 粉末に対して何の
処理も施さず、この無処理Fe2 3 粉末に変えた以外
は上記実施例2−1と同組成、同工程で無処理Fe2
3 粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び無処理
Fe2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープをそ
れぞれ作製した。
【0145】そして、これら無処理Fe2 3 粉末含有
磁性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特
性を調べ、下記表4、表6に併せて示した。
【0146】なお、上記無処理Fe2 3 粉末の粉体特
性は、下記表4に併せて示す通りである。
【0147】比較例2−5,2−6 上記実施例2−2,2−3の修飾Fe2 3 粉末の合成
方法における硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3
3 ・6H2 Oによる修飾処理を行わない以外は実施例2
−1と同工程にて焼成処理を行った。
【0148】この焼成処理工程を経た無処理Fe2 3
粉末の粉体特性は、下記表4に併せて示す通りである。
【0149】続いて、この焼成処理工程を経た無処理F
2 3 粉末に変えた以外は上記実施例2−1と同組
成、同工程で焼成処理工程を経た無処理Fe2 3 粉末
含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び焼成処理工程
を経た無処理Fe2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプ
ルテープをそれぞれ作製した。
【0150】そして、これら焼成処理工程を経た無処理
Fe2 3 粉末含有磁性粉末無配合、磁性粉末配合のサ
ンプルテープの諸特性を調べ、下記表4、表6に併せて
示した。
【0151】比較例2−7,2−8 上記実施例2−1においての修飾Fe2 3 粉末の合成
方法における硝酸イットリウム・6水和物Y(NO3
3 ・6H2 Oの水溶液への溶解量を2g、320gにそ
れぞれ変え、その他は実施例2−1と同工程にて修飾処
理を行った。
【0152】得られた修飾Fe2 3 粉末の粉体特性
は、下記表4に併せて示す通りである。
【0153】続いて、この修飾Fe2 3 粉末に変えた
以外は上記実施例2−1と同組成、同工程で修飾Fe2
3 粉末含有磁性粉末無配合のサンプルテープ及び修飾
Fe2 3 粉末含有磁性粉末配合のサンプルテープをそ
れぞれ作製した。
【0154】そして、これら修飾Fe2 3 粉末含有磁
性粉末無配合、磁性粉末配合のサンプルテープの諸特性
を調べ、下記表4、表6に併せて示した。
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
【表5】
【0158】
【表6】
【0159】以上の結果に基づき、先ず上記修飾Fe2
3 粉末含有磁性粉末無配合サンプルテープの鋼球研磨
試験の研磨パス回数増加による研磨深さ(表3,表4)
について、比較例2−1,2−3,2−4の無処理のα
−Fe2 3 粉末(平均粒径=470nm),α−Fe
2 3 粉末(平均粒径=70nm),Fe3 4 粉末
(平均粒径=40nm)と、比較例2−2,2−5,2
−6の焼成処理工程を経た無処理のα−Fe2 3 粉末
(平均粒径=470nm),α−Fe2 3 粉末(平均
粒径=70nm),Fe3 4 粉末(平均粒径=40n
m)と、及び実施例2−1〜2−3のα−Fe2 3
末(平均粒径=470nm),α−Fe23 粉末(平
均粒径=70nm),Fe3 4 粉末(平均粒径=40
nm)をYにて修飾し焼成して得た修飾Fe2 3 粉末
を比較し、これを図3に示した。
【0160】図3に示すように、上記無処理Fe2 3
粉末及び焼成工程を経た無処理Fe2 3 粉末では、パ
ス回数が10パスから50パスに増加しても研磨深さが
僅かに増加しただけであり、パス回数が増加した時に研
磨力が摺動初期ほど期待できないことが判った。
【0161】これに対して、実施例2−1〜2−3のY
による修飾処理及び焼成処理を経て得られた修飾Fe2
3 粉末では、パス回数が増加するのに伴い、研磨深さ
も増加し、上記無処理Fe2 3 粉末及び焼成工程を経
た無処理Fe2 3 粉末のように研磨力が次第に低下す
ることが起こりにくいことが判った。
【0162】同様に、実施例2−4〜2−10のGa,
In,La,Pr,Nd,Sm,Gdによる修飾処理及
び焼成処理を経てそれぞれ得られた修飾Fe2 3
末、比較例2−1の無処理α−Fe2 3 粉末(平均粒
径=470nm)及び比較例2−2の焼成処理工程を経
た無処理のα−Fe2 3 粉末(平均粒径=470n
m)を比較し、これを図4に示した。
【0163】図4に示すように、上記無処理α−Fe2
3 粉末及び上記焼成処理工程を経た無処理α−Fe2
3 粉末(ともに平均粒径=470nm)は、パス回数
が10パスから50パスに増加しても研磨深さが僅かに
増加しただけであり、パス回数が増加したときに研磨力
が摺動初期ほど期待できなかった。
【0164】これに対して、実施例2−4〜2−10の
Ga,In,La,Pr,Nd,Sm,Gdによる修飾
処理及び焼成処理を経てそれぞれ得られた修飾Fe2
3 粉末では、パス回数が増加するのに伴い、研磨深さも
増加し、上記無処理Fe2 3 粉末及び焼成工程を経た
無処理Fe2 3 粉末のように研磨力が次第に低下する
ことが起こりにくいことが判った。
【0165】このことから、実施例2−4〜2−10の
各修飾Fe2 3 粉末では、上記出発原料であるα−F
2 3 粉末の表面に修飾元素の酸化物層或いは/及び
Fe2 3 との中間体が形成され、これに焼成処理が施
されることによってFe2 3 の結晶の歪みが再配列さ
れて結晶性が増し、その結果得られた修飾Fe2 3
末自体の硬度が増大したものと考えられる。
【0166】従って、研磨剤としてY,Ga,In,L
a,Pr,Nd,Sm,Gdによる修飾処理を施した修
飾Fe2 3 粉末を使用することにより、多数回摺動時
における研磨力の減衰が改善されることが判った。
【0167】また、これら修飾Fe2 3 粉末を使用し
た磁気テープの電磁変換特性及び100パス後の出力低
下とヘッド汚れ、スチル耐久性の結果(表5,表6)よ
り、上記無処理Fe2 3 粉末及び焼成工程を経た無処
理Fe2 3 粉末を用いた場合では、100パス後の初
期出力からの出力低下が大きく、ヘッド汚れも悪いのに
対して、上記Y,Ga,In,La,Pr,Nd,S
m,Gdによる修飾処理を施した修飾Fe2 3 粉末を
用いた場合では、電磁変換特性の初期出力を損なうこと
なく、100パス後の初期出力からの出力低下及びヘッ
ド汚れ、スチル耐久性が改善されているのが判った。
【0168】これは、上記修飾Fe2 3 粉末を使用す
ることにより、上記無処理Fe2 3 粉末を使用した場
合と比較して磁気ヘッド上への磁気テープからの磁性粉
末或いは/及び結合剤樹脂などの付着物が除去されやす
く、そのため100パス後の出力低下及びスチル耐久性
が改善されたものと考えられる。故に、テープ化した場
合においても、多数回摺動時での研磨力の減衰による出
力低下、スチル耐久性が改善されることが判った。
【0169】更に、比較例2−1及び比較例2−6〜2
−8と、実施例2−1及び実施例2−11〜2−14よ
り、修飾元素の処理量による出力と100パス後の出力
低下を比較し、これを図5に示した。
【0170】図5に示すように、出力は、上記修飾元素
の処理量がY/Fe=5原子%を越えると減衰し始め、
出力低下は0.1原子%以上もあれば改善されていくの
が判った。従って、初期の出力が高く、且つ初期からの
出力低下を少なくするには、上記修飾元素の処理量Y/
Feを0.1〜5原子%にする必要があることが判っ
た。
【0171】このことから、Y,Ga,In,La,P
r,Nd,Sm,Gdによる修飾処理を施した修飾Fe
2 3 粉末において、各種修飾元素の処理量を0.1〜
5原子%にすることにより、初期出力を損なうことな
く、初期出力からの低下を抑えることが可能となること
が判った。
【0172】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
では、研磨剤としてY,Ga,In,La,Pr,N
d,Sm,Gdにより修飾処理し、これを焼成すること
により得られるAl2 3 粉末やFe2 3 粉末を用い
ているので、十分な硬度が確保され、優れた研磨効果が
維持できる。
【0173】また、本発明では、このような各種修飾元
素により修飾され焼成されたAl23 粉末、或いはF
2 3 粉末を塗布型の磁気記録媒体の磁性層中に含有
せしめているので、多数回摺動時における磁気ヘッドへ
の磁性粉末或いは/及び結合材樹脂などの付着物の研磨
性に優れ、電磁変換特性を損なうことなく、繰り返し使
用時の出力低下を抑えることができるとともに、磁気ヘ
ッドのクリーニング性の向上を図ることが可能となる。
【0174】従って、本発明によれば、高密度記録に好
適な塗布型の磁気記録媒体を提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼球研磨試験におけるパス回数と無処理α−A
2 3 粉末及び各種修飾元素にて修飾し焼成して得た
修飾Al2 3 粉末を用いた磁気テープの研磨深さの関
係を示す特性図である。
【図2】修飾Al2 3 粉末におけるYの処理量と出
力、初期出力からの出力低下の関係を示す特性図であ
る。
【図3】鋼球研磨試験におけるパス回数と無処理α−F
2 3 粉末、無処理Fe3 4 粉末及びYにて修飾し
焼成して得た修飾Fe2 3 粉末を用いた磁気テープの
研磨深さの関係を示す特性図である。
【図4】鋼球研磨試験におけるパス回数と無処理α−F
2 3 粉末及び各種修飾元素にて修飾し焼成して得た
修飾Fe2 3 粉末を用いた磁気テープの研磨深さの関
係を示す特性図である。
【図5】修飾Fe2 3 粉末におけるYの処理量と出
力、初期出力からの出力低下の関係を示す特性図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C01G 15/00 C01G 15/00 B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機質粉末の表面がGa,In,Y,L
    a,Pr,Nd,Sm,Gdのうち少なくとも1種から
    選ばれる元素Mにより修飾され焼成されてなることを特
    徴とする研磨剤。
  2. 【請求項2】 無機質粉末がAl2 3 であり、且つ該
    Al2 3 に対する上記元素Mの比率M/Alが0.1
    〜5.0原子%であることを特徴とする請求項1記載の
    研磨剤。
  3. 【請求項3】 無機質粉末がα−Fe2 3 であり、且
    つ該α−Fe2 3 に対する上記元素Mの比率M/Fe
    が0.1〜5.0原子%であることを特徴とする請求項
    1記載の研磨剤。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に磁性粉末と結合剤とを
    主体とする磁性塗料の塗膜からなる磁性層が形成されて
    なる磁気記録媒体において、上記磁性層中に無機質粉末
    の表面がGa,In,Y,La,Pr,Nd,Sm,G
    dのうち少なくとも1種から選ばれる元素Mにより修飾
    され焼成されてなる研磨剤が添加されてなることを特徴
    とする磁気記録媒体。
JP7185722A 1995-07-21 1995-07-21 研磨剤及びそれを用いた磁気記録媒体 Withdrawn JPH0935248A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100465153B1 (ko) * 1997-12-17 2005-02-28 에스케이씨 주식회사 자기헤드클리닝용비디오테이프

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