JPH09331083A - 熱電変換素子 - Google Patents
熱電変換素子Info
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- JPH09331083A JPH09331083A JP8149529A JP14952996A JPH09331083A JP H09331083 A JPH09331083 A JP H09331083A JP 8149529 A JP8149529 A JP 8149529A JP 14952996 A JP14952996 A JP 14952996A JP H09331083 A JPH09331083 A JP H09331083A
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Abstract
に熱電変換素子のエネルギー変換効率を高める。 【解決手段】 合金組成が互いに異なる2種類の熱電変
換用合金のそれぞれからなる薄膜1,2を交互に積層し
てなり、薄膜1,2と直交する方向の端部に電位差もし
くは温度差を与えるように構成してなる。
Description
た場合に電位差を発生させ、逆に電位差が与えられた場
合に温度差を発生させる熱電変換素子に関する。
に代表されるようにゼーベック効果を利用したもの、ペ
ルチェ素子に代表されるようにペルチェ効果を利用した
もの、トムソン効果を利用したものなどが知られてい
る。これらのうち、熱電変換用合金のみで構成された熱
電変換素子(例えば、Bi 1-xSbx、ここでxは正の
数)は、無次元性能指数値Z=α2σT/κ(ここで、
αは熱電能、σは電気伝導率、Tは温度、κは熱伝導率
である)で特徴づけられるエネルギー変換効率を有して
おり、前記Zの値が大きい熱電変換用合金を用いて熱電
変換素子を作成することにより、エネルギー変換(例え
ば、冷却、発電)の効率を高めることができる。
効率は、熱電変換用合金を構成する金属の種類、組成比
によって一義に定まるのであるから、エネルギー変換効
率を高めようとすれば、前記値Zが大きい金属の種類、
組成比を模索しなければなならない。そして、このよう
な模索は一般に多大な労力と長い時間を必要とするの
で、簡単には所期のエネルギー変換効率を有する熱電変
換素子を得ることができない。
有する熱電変換素子が得られたとしても、エネルギー変
換効率をそれ以上に高めることは、金属の種類、組成比
の模索以外の方法では到底不可能であると思われてい
る。
たものであり、金属の種類、組成比の模索以外の方法で
簡単にエネルギー変換効率を高めることができる新規な
熱電変換素子を提供することを目的としている。
は、合金組成が互いに異なる2種類の熱電変換用合金の
それぞれからなる薄膜を交互に積層してなり、薄膜と直
交する方向の端部に電位差もしくは温度差を与えるよう
に構成してなるものである。請求項2の熱電変換素子
は、熱電変換用合金がBi1-xSbxであり、一方の熱電
変換用合金の組成がx=0.095〜0.12であり、
他方の熱電変換用合金の組成がx=0.13〜0.15
であるものである。
換用合金からなる薄膜の厚さが10〜50μmであり、
他方の熱電変換用合金からなる薄膜の厚さが0.05〜
0.1μmであるものである。
互いに異なる2種類の熱電変換用合金のそれぞれからな
る薄膜を交互に積層してなり、薄膜と直交する方向の端
部に電位差もしくは温度差を与えるように構成してなる
のであるから、2種類の薄膜のうち、一方の薄膜が電子
の流れに関してバリア(障壁)として機能し、一方の薄
膜がバリアとして機能することに起因して、積層構造を
採用しない場合と比較してエネルギー変換効率を簡単に
高めることができる。
換用合金がBi1-xSbxであり、一方の熱電変換用合金
の組成がx=0.095〜0.12であり、他方の熱電
変換用合金の組成がx=0.13〜0.15であるの
で、Bi1-xSbxからなる熱電変換用合金を用いた熱電
変換素子のエネルギー変換効率を、Bi1-xSbx単体の
エネルギー変換効率と比較して著しく高めることができ
る。
熱電変換用合金からなる薄膜の厚さが10〜50μmで
あり、他方の熱電変換用合金からなる薄膜の厚さが0.
05〜0.1μmであるので、エネルギー変換効率をさ
らに高めることができる。さらに詳細に説明する。熱電
半導体(熱電変換用合金を含む)のエネルギー変換効率
は前記無次元性能指数値Z=α2σT/κで特徴づけら
れる。ここで、電気伝導率と熱伝導率(電子成分に起因
する熱伝導率)との間には、Wiedeman−Fra
nz則によりκ/σT=L0の関係が成立することが知
られている。このL0は物質の性質に直接には関係のな
い数(ローレンツ数と呼ばれる数)である。
とが共に熱伝導に寄与しているのであるが、前記Wie
deman−Franz則は電子成分のみに適用される
法則であり、また、この法則は熱電半導体に対しては厳
密には成立していない。しかし、ローレンツ数L0の定
数からのズレ(変化)が小さいので、L0に代えてそれ
を若干修正した値Lを採用すればよい。
an−Franz則κ/σT=Lを採用し、熱伝導率の
格子成分の寄与を無視する(格子成分が電子成分より十
分小さい物質を対象としているので、この仮定は妥当な
ものである)と、無次元性能指数値は、数1で表され
る。
られる。
l potentialと呼ばれるエネルギーの基準値
(すなわち、エネルギーεの電子はε−μの熱エネルギ
ーを実際に運ぶことになる)、f(ε)はFermi分
布関数(エネルギーεに電子が存在している確率/割合
を表す関数)、σ(ε)は微分電気伝導率といわれる両
で、エネルギーεを持つ電子が電気伝導率に寄与する割
合を表しており、これを利用して電気伝導率σは数3の
ように表される。この数3は各エネルギーからの寄与を
足し合わせることにより全体の伝導率が得られることを
示している。
数値Zを微分電気伝導率σ(ε)の汎関数とみなすこと
ができる。また、合金組成が互いに異なる2種類の熱電
変換用合金のそれぞれからなる薄膜を交互に積層するこ
とにより、大きさがεBのバリアが形成された場合に
は、バリアはエネルギーがεB以下の電子の通過を阻止
する。したがって、微分電気伝導率σ(ε)は数4とな
る。
いく。バリアによって微分電気伝導率がσ(ε)→σ
(ε)+δσ(ε)と変化したとき、無次元性能指数値
もZ→Z+δZと変化する。これらを数式で表すと数
5、数6となる。
に代入すると、最終的に無次元性能指数値を数7のよう
に表すことができる。
は、バリアを形成した場合に無次元性能指数値の変化が
正でなければならない。数8では、σ、σ(ε)、数9
は正の量であり、αは電子が伝導を担う場合には負とな
るので、(ε−μ)/eT+αが負であれば無次元性能
指数値の変化は必ず正になる。したがって、バリアを作
成することに伴って無次元性能指数値の変化が正になる
ための条件は数8で与えられる。
数値の変化を最大にするバリアの大きさである。すなわ
ち、バリアの大きさがεBよりも大きい場合には、εB
よりも大きい部分からの無次元性能指数値の変化への寄
与(数7中での寄与)が負になり、バリアの大きさがε
Bよりも小さい場合には、積分する範囲が小さくななる
ので無次元性能指数値の変化が小さくなる。したがっ
て、バリアの大きさがεBの場合に無次元性能指数値が
最も増大することが分かる。
の実施の態様を詳細に説明する。図1はこの発明の熱電
変換素子の一実施態様を示す概略図である。この熱電変
換素子は、全体がBi1-xSbxからなるものであり、し
かも、0.08≦x<0.13に設定した第1の薄膜1
と、0.13≦x≦0.25に設定した第2の薄膜2と
を交互に積層してなるものである。ここで、Bi1-xS
bxの電子帯構造の組成依存性は図2に示すとおりであ
り、積層構造を採用しない場合には、x=0.12に設
定することによりエネルギー変換効率を最大にすること
ができる。
ルギーギャップの空間変化を示す図であり、図2の組成
依存性を参照することにより得られる。図4は薄膜の積
層構造を採用していない熱電変換素子における発電効率
を説明する図であり、熱電変換素子の両端に温度差が与
えられた場合には、以下のようにして電圧が発生し、発
電が行われる。
ない熱エネルギーを受け取るだけであるから、電子の持
つエネルギーが低い(電子は低エネルギー部分に多く存
在する)。これに対して高温側に存在する電子は多い熱
エネルギーを受け取るのであるから、電子の持つエネル
ギーが高い(電子は高エネルギー部分に多く存在す
る)。そして、これらの電子はそれぞれ熱電変換素子の
他方の端部に向かって移動することになるが、高温側か
ら低温側への電子の流れが低温側から高温側への電子の
流れよりも優勢になり、熱電変換素子の低温側に電子が
溜まり易くなる。
より多く溜まり、帯電して熱電変換素子中に電場(電
圧)が発生する。この電場は、高温側から低温側への電
子の流れを抑制するので、高温側から低温側への電子の
流れと低温側から高温側への電子の流れとがバランスを
回復し、一定の状態に落ち着く。したがって、熱電変換
素子の両端に温度差を与えることにより、熱電変換素子
に電圧が発生する。すなわち、発電を行うことができ
る。
成した熱電変換素子における発電効率を説明する図であ
る。この構成の熱電変換素子の両端に温度差を与えた場
合には、図4の場合と同様に、低温側に存在する電子の
持つエネルギーが低く、高温側に存在する電子の持つエ
ネルギーが高い。そして、これらの電子はそれぞれ熱電
変換素子の他方の端部に向かって移動することになる
が、エネルギーが低い電子(エネルギーがバリアの高さ
よりも低い電子)はバリアによってそれ以上の移動が阻
止され、熱電変換素子の低温側に一層多くの電子が溜ま
り易くなり、図4の場合と比較して、より大きな電圧が
発生する。すなわち、発電効率を高めることができる。
をreduced chemical potenti
al η=μ/κBTの関数として示す図であり、上述
の説明が首肯できることが分かる。なお、図6におい
て、黒丸はイオン化不純物散乱の音響型格子散乱に対す
る比rが0の場合を、上向き黒三角はrが1の場合を、
黒菱形はrが10の場合を、下向き黒三角はrが100
の場合をそれぞれ示している。
とにより高エネルギーのキャリアの流れを作り出すこと
にある。このためバリア間の距離が長くなりすぎた場
合、バリア間でキャリアが音響型格子散乱によりエネル
ギーを失い、バリアがない場合のエネルギーの平均値と
変わらなくなり、性能指数改善の効果が失われる可能性
がある。このため、バリア間の距離は、バリアを通過し
たキャリアの持つエネルギーが、音響型格子散乱により
エネルギーを失い、バリアがない場合の平均値に緩和し
てしまう距離(エネルギー緩和長lε)よりも短くなく
てはならない。さらに、バリア間でのキャリアの伝導が
全体の輸送特性を特徴づけるためにバリア間の距離はバ
リアの厚みよりも厚くなくてはならない。
フィルターするだけの役割を担うと考えているため、キ
ャリアがバリア領域を通過する際に、この領域で格子振
動により多数回散乱を受けると、本発明の性能改善効果
が失われる可能性がある。このため、バリアの厚さは平
均自由行程(キャリアが散乱を受けないで進める平均距
離)よりも短くなくてはならない。ただし、バリアを薄
くしすぎると量子力学的トンネリング効果によりバリア
内部をキャリアが横ぎるようになり、バリアとしての役
割をなさなくなるため、0.05μmよりも厚いことが
好ましい。
レクトロン理論を用いてエネルギー緩和長lεと平均自
由行程lmとの比をreduced chemical
potential ηの関数として計算した。この
結果が図7から図9に示してある。なお、図7は温度T
=100Kの場合、図8はT=200Kの場合、図9は
T=300Kの場合をそれぞれ示している。これらの図
中の黒三角、黒菱形は図6におけるのと同様である。ね
つでん変換に用いられる材料がnarrowgap s
emiconductorであることから、ηは0の近
傍であると考えられる。このため、これらの図から、エ
ネルギー緩和長lεは平均自由行程lmの100〜10
00倍程度であることが分かる。
均自由行程lmが0.1μm程度であることから、第1
の薄膜1の厚さを10〜50μm、第2の薄膜2の厚さ
を0.05〜0.1μmに設定することが好ましいこと
が分かる。ただし、xの範囲は、第1の薄膜1について
x=0.095〜0.12に設定し、第2の薄膜2につ
いてx=0.13〜0.15に設定することが好まし
い。これは、現在知られているBi1-xSbxの最適組成
を基本的な輸送特性を決定する薄膜1に採用し、図2の
電子帯構造、数8および熱電能が120μV/K程度で
ある事実を用いて最適となるバリアの高さに相当する薄
膜2の組成を決定したことに相当する。
が、熱電変換素子の吸熱に関しても、吸熱効果を表す性
能指数は発電の場合と全く同じであるので、バリアを作
成することによって吸熱効率を高めることができる。な
お、以上には、Bi1-xSbxのみを例示しているが、他
の熱電変換用合金(ビスマス・テルル合金など)にも適
用できることはもちろんである。
ち、一方の薄膜が電子の流れに関してバリア(障壁)と
して機能し、一方の薄膜がバリアとして機能することに
起因して、積層構造を採用しない場合と比較してエネル
ギー変換効率を簡単に高めることができるという特有の
効果を奏する。
熱電変換用合金を用いた熱電変換素子のエネルギー変換
効率を、Bi1-xSbx単体のエネルギー変換効率と比較
して著しく高めることができるという特有の効果を奏す
る。請求項3の発明は、エネルギー変換効率をさらに高
めることができるという特有の効果を奏する。
略図である。
図である。
ップの空間変化を示す図である。
における発電効率を説明する図である。
変換素子における発電効率を説明する図である。
ced chemical potential μ/
κBTの関数として示す図である。
ら平均エネルギーになるまでの距離lεの平均自由行程
lmに対する比をreduced chemical
potential η=μ/κBTの関数として示す
図である。
ら平均エネルギーになるまでの距離lεの平均自由行程
lmに対する比をreduced chemical
potential η=μ/κBTの関数として示す
図である。
ら平均エネルギーになるまでの距離lεの平均自由行程
lmに対する比をreduced chemical
potential η=μ/κBTの関数として示す
図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 合金組成が互いに異なる2種類の熱電変
換用合金のそれぞれからなる薄膜(1)(2)を交互に
積層してなり、薄膜(1)(2)と直交する方向の端部
に電位差もしくは温度差を与えるように構成してなるこ
とを特徴とする熱電変換素子。 - 【請求項2】 熱電変換用合金がBi1-xSbxであり、
一方の熱電変換用合金の組成がx=0.095〜0.1
2であり、他方の熱電変換用合金の組成がx=0.13
〜0.15である請求項1に記載の熱電変換素子。 - 【請求項3】 一方の熱電変換用合金からなる薄膜
(1)の厚さが10〜50μmであり、他方の熱電変換
用合金からなる薄膜(2)の厚さが0.05〜0.1μ
mである請求項2に記載の熱電変換素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14952996A JP3582233B2 (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | 熱電変換素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14952996A JP3582233B2 (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | 熱電変換素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09331083A true JPH09331083A (ja) | 1997-12-22 |
JP3582233B2 JP3582233B2 (ja) | 2004-10-27 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14952996A Expired - Fee Related JP3582233B2 (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | 熱電変換素子 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006521698A (ja) * | 2003-03-13 | 2006-09-21 | エネコ インコーポレイテッド | 固体エネルギー変換器 |
JP2018174273A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | トヨタ自動車株式会社 | 熱電変換材料及びその製造方法 |
-
1996
- 1996-06-11 JP JP14952996A patent/JP3582233B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006521698A (ja) * | 2003-03-13 | 2006-09-21 | エネコ インコーポレイテッド | 固体エネルギー変換器 |
JP2018174273A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | トヨタ自動車株式会社 | 熱電変換材料及びその製造方法 |
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---|---|
JP3582233B2 (ja) | 2004-10-27 |
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