JPH09330731A - 燃料電池発電における炭酸ガス、窒素ガス及びアルゴンガスの回収、固定方法 - Google Patents

燃料電池発電における炭酸ガス、窒素ガス及びアルゴンガスの回収、固定方法

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JPH09330731A
JPH09330731A JP8166449A JP16644996A JPH09330731A JP H09330731 A JPH09330731 A JP H09330731A JP 8166449 A JP8166449 A JP 8166449A JP 16644996 A JP16644996 A JP 16644996A JP H09330731 A JPH09330731 A JP H09330731A
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carbon dioxide
oxygen
nitrogen
fuel cell
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JP8166449A
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Akira Hosonuma
明 細沼
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、現在最高の発電効率を持つ燃料電
池発電技術を使用し、最少の炭酸ガス発生で発電した
上、発生炭酸ガスを全量回収し、同時に窒素ガス、アル
ゴンガスも高純度に分離、回収する手段及び回収炭酸ガ
ス処理の1方法を提供する。 【解決手段】 燃料電池発電は、火力発電と異なり燃料
と空気の混合燃焼反応を伴わず、改質された燃料と空気
が、別々に燃料電池の電極に導入されて電力を発生させ
る。この特徴を利用し、空気極側出口の窒素濃縮ガスか
ら残存酸素を分離して高純度窒素ガスを製造し、燃料極
出口の未反応燃料をその分離した酸素により燃料改質器
で酸素富化燃焼させて熱源とし、その結果得られる炭酸
ガスとアルゴンの混合物から全炭酸ガスを固定すると共
に、高純度アルゴンガス製品をも製造する。また回収炭
酸ガスを高純度窒素ガスと共にアンモニア、尿素工場で
尿素として合成活用する例も紹介する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地球温暖化物質の
主体である炭酸ガスの分離、回収、固定技術に属する
が、それだけにとどまらず、有用なエネルギーまた物質
製造に関して、それらの製造工業において、同一価値の
産出をより少ない炭酸ガス発生で行う省エネルギー技術
分野にも属する。有用なエネルギーまた物質をより少な
いエネルギー使用(最大効率)で製造することにより、
その工程で発生する炭酸ガスを極力少量に抑えた上で、
かつ発生する炭酸ガスをより少ないエネルギー使用(最
大効率)で分離、固定し、炭酸ガス固定に要する費用を
最小化し、経済的に成立し得る工業としての目的を達成
しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】炭酸ガスを分離し固定する技術として
は、大きく分類すれば生産設備の中で行うか、または空
気中に拡散してから行うかに分かれるが、後者の手段は
数百PPM程度に濃度が減少するから実用的でない。従
って、炭酸ガスを発生する装置、設備中で最も効率的な
方法で分離、回収するのが望ましく、特に発電設備、化
学工場等の大容量の設備で行うのがよい。これらの工場
で炭酸ガスを分離し固定する技術として従来考えられて
おり、現在も技術的検討が行われている技術としては、 .吸収分離技術(化学的または物理的吸収) .吸着分離技術(ゼオライト、活性炭等による吸着) .膜分離技術 (非多孔質膜、多孔質膜、液膜等) .深冷分離技術(蒸留等の液化) .晶析分離技術(ドライアイス、クラスレート等) などがあり、すべて発生源に於ける処理方法である。
【0003】しかし、通常の炭酸ガス発生源である炭化
水素燃料の燃焼工程から得られる炭酸ガス濃度は10%
程度であり、これらの技術で分離、固定するのは容易で
はない。一方、如何に炭酸ガスの発生を抑えるかを目的
とする省エネルギー技術も従来から色々と考えられてい
るが、例えば熱機関を使う火力発電所等では理論上の効
率上限があり、工場内でのエネルギーの損失を極力最小
化する以上には特に方法がない。また、省エネルギー技
術として太陽熱、風力、波等の自然エネルギーを使用す
る案は、現在のところ経済上は到底成立し得ない状況に
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】産業革命以来、人類は
人工的にエネルギーを産出しその産出エネルギーを使用
して、さまざまな有用物質を製造し文化を発展させてき
た。しかし、その代償として地球地下に埋蔵された化石
燃料資源を大量に採掘し、これらをエネルギー産出のた
め主として燃焼反応に使用したため、化石燃料中の炭素
分をすべて炭酸ガスとして大気中に放出することとなっ
た。その結果として、炭酸ガスの温室効果により、もし
何も対策を講じなかった場合、西暦2100年には地球
的規模の平均気温は約2℃の上昇、および海面は約50
cmの上昇が予想されている(国際機関「気候変動に関
する政府間パネル」(IPCC)の1995年末報告
書)。また、1992年ブラジルで結ばれた地球温暖化
防止条約で、「2000年に温室効果ガスの排出量を1
990年レベルで安定化する」ことになっているが、そ
の達成は危ぶまれている。
【0005】この課題を解決するには以下の事を考える
必要がある。 1.如何にして炭酸ガスの発生量を減らすか。 2.発生してしまった炭酸ガスを如何にして分離、回収
するか。 3.分離、回収された炭酸ガスを如何に処理するか。 第1項は、いわゆる省エネルギー技術でありこれだけで
課題を解決できるなら理想的である。第2項は、第1項
での努力がなされた上で、発生した炭酸ガスをその発生
源で分離、回収、固定しこれを地球大気圏に拡散させな
いための技術である。第3項は第2項で固定された炭酸
ガスの処理方法に関する技術であり、再び大気圏に拡散
させないためには、地球環境に悪影響がないように廃棄
するか、または固定された炭酸ガスを有用物質に変換す
るかを考えなければならない。
【0006】本発明では、上記の第1項と第2項及び第
3項を経済条件も考慮にいれながら解決するのが課題で
ある。なお、上記第3項の炭酸ガスの処理に関する技術
は未だ研究途上にあり、地球環境に悪影響がない様に廃
棄する方法として、深度地下廃棄、また2000m以上
の海底にクラスレートの形で廃棄して拡散しないように
する方法、また電解生成水素との反応により炭酸ガスを
メタノール燃料に変換する方法等が検討されている。し
かしいずれにしろ、発生した炭酸ガスがその発生源で分
離、回収、固定されていなければこれらの処理技術を適
用することができない。従って、上記の第1項と第2項
を解決するのがまずは先決であり、もしすでに固定され
て貯蔵されている炭酸ガスを安全に廃棄する方法が発見
できればそれを適用しながら、有用物質に変換する経済
的手段を模索するのが順序である。本発明では、炭酸ガ
スの効率的固定を主目的としているが、その工程で炭酸
ガスの他、高純度窒素ガス及び高純度アルゴンガスが製
造できるから、これをアンモニア合成の原料としてアン
モニアプラントへ導入し、合成されたアンモニアで固定
された炭酸ガスを尿素として回収することもできる。こ
れは上記第3項の炭酸ガス処理の一方法である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、発電プラン
トに関して、前記第1項と第2項の課題を解決するた
め、燃料電池発電による最大の省エネルギー発電、及び
その発電方法の特徴を最大に利用して、使用された化石
燃料中の炭素分をすべて炭酸ガスとして分離、固定し、
またその過程で副産する高純度窒素ガス、高純度アルゴ
ンガスを付加製品として回収し、発電コストを引き下げ
ると共に、高純度炭酸ガス、高純度窒素ガス、高純度ア
ルゴンガスをそれぞれ単独に製造する従来の方法に比較
して、全体的に地球環境に放出される炭酸ガスを減少さ
せようとする。
【0008】このようにして、本発明では炭酸ガスの分
離、固定という目標を達成するだけにとどまらず、有用
な工業製品をそれぞれ個別に製造する従来のやり方に比
較して、炭酸ガスの発生量を抑制し、しかもできるだけ
その目標達成にかかわるコストの引き下げ、すなわち全
体的費用を最小化する手段を提供する。また本発明によ
り固定された炭酸ガスの一処理手段として、本発明で同
時に得られる高純度窒素ガスと共に、アンモニア合成を
経て尿素として回収処理し、アンモニアプラント側の合
理化と炭酸ガス処理を同時に行う方法も提供する。
【0009】まず、燃料電池発電方式には、燐酸型燃料
電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体電解質型燃料電池の
3種類が考えられているが、このうち燐酸型燃料電池は
実用の域にあり、現在でも最大11MWの発電プラント
を含め、種々のプラントが稼働している。ただ現状で
は、プラント建設費の高さによる電力コストの高さが一
般の火力発電方式や原子力発電方式と対等に競争できな
い原因となっている。しかし、この発電方式では、一般
の熱機関を使用する発電方式が約38%程度の熱効率を
限度とするのに比べて、それより数%高い42%〜45
%程度の熱効率を達成できる。しかも燃料電池本体で電
力に変換されなかった自由エネルギーは、たとえば燐酸
型燃料電池では、約200℃の温水または水蒸気の形で
取り出し発電所近傍の暖房または冷房等に利用できる。
このような排熱利用ができれば全体の熱効率は現状でも
約80%に達する。従って、この発電方式で最大に排熱
利用するなら、例えば火力発電方式に比較して、同一の
エネルギー需要に対して約半分の炭酸ガス発生ですむこ
とになる。また燃料電池発電方式では理論上の効率制限
は存在しないから、将来の技術進歩による発電効率の向
上を期待することもできる。
【0010】次に、燃料電池発電方式の特徴は、燃料の
空気による混合燃焼反応を伴わずに発電することにあ
り、燃料を水蒸気改質してできる炭酸ガスを含む水素主
体ガスと、別に導入された空気を燃料電池本体に電解質
で隔てられたそれぞれ別々の電極に流し、水素イオンの
みを空気極側に拡散させ、空気中の酸素イオンとの反応
により、その自由エネルギー変化を電力として取り出す
ことにある。従って、燃焼反応の様に燃料と空気が直接
混合せず、空気極側は電池を出ると酸素のみを消費して
窒素が濃縮されたガスとなり、一方改質ガスは電池の燃
料極側を出ると水素のみを消費して炭酸ガスが濃縮され
たガスとなる。
【0011】例えば、空気による燃焼反応では、LNG
気化ガス(メタン)を理論酸素量で反応させても、その
炭酸ガスドライ濃度は約11%(残りは窒素)であるの
に対して、燃料電池燃料極出口の改質ガスではその炭酸
ガスドライ濃度は約54%である(残りはドライ濃度で
約34%水素、8%メタン、4%CO)。このように、
燃料電池では酸化剤としての空気が直接混合しないた
め、炭酸ガス濃度は燃焼反応ガスに比べて約5倍以上で
あり、このガスから炭酸ガスを分離するとしてもその必
要エネルギーは、燃焼ガスから分離する場合よりはるか
に少なくてすむ。しかも、このガスは燃料改質器での未
改質メタン、一酸化炭素ガス転化反応器での未転化CO
および電池での未反応水素を含むため、燃料改質器での
加熱用燃料として使用できる。
【0012】一方燃料電池空気極出口の空気は、燃料極
側から移動した水素イオンと当量の酸素イオンだけが電
力発生のために消費され、空気から酸素分のみを取り除
いた窒素が濃縮された空気になる。通常の空気組成が、
ドライ濃度で78%N2、21%O2、1%Ar であるのに
対し、燃料電池空気極出口の空気では、ドライ濃度で8
9%N2、10%O2、1%Ar であり、酸素分は約11%
分離され、逆に窒素分は約11%濃縮されている。
【0013】一般に混合ガスから純成分を分離するには
外部からの仕事が必要であり、これは理論的には分離前
と分離後の自由エネルギー(エクセルギー)の差となる
が、実際の分離にはこの理論値の5倍から10倍のエネ
ルギーを要する。ガス混合による混合ガス1モル当たり
の自由エネルギー変化は、RT0Σ(Xi*lnXi) で表
される。ここに、Rはガス定数(1.986)、T0
標準温度(298.15゜K)、Xiはモル分率、lnX
iはモル分率の自然対数である。燃料電池発電の場合
は、このエネルギーを別途供給することなしに、発電と
同時に酸素分と水素分のみが消費される。
【0014】現在炭酸ガス固定の一手段として、火力発
電方式に於いてボイラー燃料を、空気から分離した純酸
素で当量燃焼させる方法が検討されている。この場合に
は、たとえばメタン1モルを当量燃焼させるのに2モル
の酸素を必要とするから、約10モルの空気からこれを
分離しなければならない。火力発電方式ではこの燃焼熱
で熱機関を駆動して発電するが、このモデルを化学式を
使って書くと以下のようになる。 燃焼反応 CH4+2O2=CO2+2H2O+191.76KCAL (25℃) 本発明による炭酸ガスの分離、固定方法は燃料電池発電
方式の特徴を利用して、この酸素燃焼を効率良く行うこ
とにある。
【0015】燃料電池発電では、メタンガスを水蒸気で
改質し、水蒸気から取得した約2モルの水素とメタン中
の水素(合計約4モル)を、空気中の酸素と燃料電池反
応させて電力を発生する。メタンの水蒸気改質反応は吸
熱反応であり外部から熱を供給しなければならないが、
この必要熱量はメタン1モルの燃焼熱の約1/5であ
る。このモデルを化学式を使ってかくと以下のようにな
る。 水蒸気改質反応 CH4+2H2O+35.46KCAL=CO2+4H2(25℃) 燃料電池反応 4H2+2O2=4H2O+218.52KCAL (25℃) (自由エネルギー変化) 但し、実際には水蒸気改質反応の達成度は約90%程度
であり、燃料電池反応では生成した3.6モルの水素中
の約85%程度が上記反応に関与し、開放される自由エ
ネルギーの内約50%が電力として取り出され、残りの
50%は内部抵抗、分極等のため熱となる。この排熱の
一部を利用して水蒸気改質反応の水蒸気がプロセス内で
作られる。
【0016】このように燃料電池発電方式では、改質器
で酸素燃焼させるのに必要な酸素量は、火力発電方式で
同じ事を行う場合の約1/5ですむから、この酸素を空
気から分離するとしても必要空気量は約1/5の2モル
(必要酸素量0.4モル)ですむ。混合ガスからの純成
分分離に必要なエネルギーは、当然分離される成分の量
に比例するから、この酸素取得に使うエネルギーも約1
/5になる。しかも、燃料電池発電の効率は火力発電に
比較して現在でも数%高いから、固定すべき炭酸ガス量
もそれだけ少ない。この様に、燃料電池発電に於いて改
質器に酸素燃焼により熱供給して炭酸ガスを固定し、そ
のための酸素必要量を火力発電方式の約1/5ですませ
ることと、発電効率の高さによる固定炭酸ガス量の減少
の相乗効果を利用するのが本発明の特徴である。
【0017】 21%から10%まですでに酸素が
消費された空気から、別の分離装置により酸素分10%
を分離し、これを前記した濃度54%まですでに炭酸ガ
スが濃縮された、燃料極出口ガス中の未反応燃料分と当
量燃焼させると、この燃焼生成ガスは炭酸ガスと水分し
か含まないことになる。このように、燃料電池による発
電が、燃焼反応を伴う通常の火力発電と原理的に異なる
ことを利用して、現状では最大効率の発電を行いながら
空気中の酸素を消費し、発電廃棄物である炭酸ガスの濃
縮を同時に達成し、分離装置で電池空気極出口に約1/
2残っている酸素分を分離して、これを燃料改質器で酸
素富化燃焼させて熱源とし、全炭酸ガスを分離、固定す
るのが本発明の一つの特徴である。さらに、燃料電池に
よる発電では、空気から約1/2の酸素分を分離するた
めの装置とそれに要するエネルギー、及び火力発電の燃
焼排ガスの5倍以上に炭酸ガス分を濃縮するための装置
とそれに要するエネルギーを、両方とも必要としないこ
とを利用して全炭酸ガスを固定するのが、本発明の省エ
ネルギーとしてのもう一つの特徴である。また改質器で
の燃焼反応はわずかの窒素しか含まない酸素による燃焼
であり、発電は水素と酸素の電池反応であるから、この
発電システムからはほとんどNOXを発生しないことも
特徴の一つである。
【0018】本発明では、燃料電池空気極出口の約1/
2相当の酸素分を分離する装置を付加するだけで、全炭
酸ガスの分離、固定を行うことができる。約10%まで
酸素が分離された空気から酸素分をさらに分離するため
には、既存の種々の技術が使用可能であり、例えば圧力
スウィング分離法(PSA法)、膜分離法及び空気の深
冷液化法等があるが、本発明のプロセスにはPSA法が
適している。それはPSA法では、圧力スウィングの比
が約3.5あれば可能であるのに対して、膜分離法及び
空気液化法は、より高圧が必要なことがあげられる。燃
料電池発電プロセスでは、ある程度の圧力で電池本体を
運転する方がより効率がよいため、その圧力まで圧縮さ
れた空気を導入する必要があるが、通常の電池空気極出
口の空気圧力を圧力スウィング比3.5でPSAシステ
ムを運転するのにそのまま使用することができる。空気
からPSA方式により酸素を分離し、その酸素を火力発
電のボイラー燃焼に使用する場合は、大きな設備と空気
圧縮動力が別途必要であるが、本発明では燃料電池発電
設備に本来必要な電池運転圧力を利用して燃料電池排空
気からの酸素分離を行うので、付加PSA装置用には大
きな動力を必要としない。
【0019】PSA方式ガス分離では、空気液化法のよ
うに各成分に完全に分離することはできず、注目成分の
回収率と純度に制限がある。また、PSAには窒素を吸
着する酸素PSAと、逆に酸素を吸着する窒素PSAが
あるが、吸着剤として合成ゼオライト等を使う酸素PS
Aでの一例をあげると、この吸着剤はアルゴンを吸着し
ないため、例えば酸素回収率52%、酸素純度88%で
空気極出口から酸素を分離した場合、酸素製品側は約8
8%O2、10%Ar、2%N2 のようにアルゴンも濃縮さ
れる。同時に、圧力スウィングの低圧側で脱着された空
気は、ドライ濃度で約95%N2 となり窒素が濃縮され
た製品となる。この製品は一般化学工場で可燃性ガス置
換等に使用される不活性ガスとしての価値もあるが、さ
らにアンモニア製造工業での窒素源としても最適であ
る。また、もしこれを更に窒素PSAにかけて濃縮すれ
ば非常に小さい装置で純度99.9%以上の純粋窒素ガ
ス製品を得ることができる。酸素PSA方式ガス分離で
は酸素回収率50%程度、酸素純度90%程度が普通で
あるから、もしこの酸素を空気から得る場合は酸素分離
後の排空気は窒素純度90%以下であり、通常は廃棄さ
れている。本発明ではすでに窒素分が濃縮されている流
体からさらに酸素分を分離することで、分離残流体も使
用価値のあるものとしている。いずれにしろ、脱着側流
体は商品価値のある製品として取り出すことが可能であ
り、燃料電池発電設備側からみれば電力コストの引き下
げに寄与する。
【0020】本発明の特徴の1つは、前記分離された酸
素を燃料改質器において電池燃料極出口ガスの酸素燃焼
に使う点にある。電池燃料極出口ガスの炭酸ガス濃度
は、すでに54%まで濃縮されており、残りは水素、メ
タン、COであるから、前記酸素PSAで得られた酸素
で燃焼させれば燃焼生成ガスとしてドライ濃度93%の
炭酸ガス、5%アルゴン、残りの2%が窒素と酸素のガ
スが得られる。ところで、PSA方式でガス成分を分離
するには色々な組み合わせが考えられる。上記の方法で
は10%まで分離された空気極出口の酸素を主体に分離
したが、この方式はPSA1系列ですむかわりに、90
%分の窒素を吸着するため吸着塔のサイズが大きくな
る。また、排気側の窒素純度は95〜96%程度であ
り、より高純度を要求する場合は別途窒素PSAを設置
(サイズは小さくてすむ)する必要がある。そこで同じ
10%酸素空気を、先に窒素PSAで処理すると、窒素
分はすでに90%まで濃縮されているため、99.9%
純度以上の窒素製品を得ることができる。この排気側は
10%から約15%まで酸素分が濃縮されるため、次に
この排気を真空型の酸素PSAにかけて酸素を回収する
ことができる。
【0021】窒素PSAはプロセスの圧力で運転され、
酸素PSAは常圧から真空の圧力スウィングで運転され
る。もし酸素燃焼に必要な酸素量が不足する場合は、不
足分の酸素量を電池空気極を経由して供給するか、また
は不足分だけ空気を補給することになる。この燃焼用酸
素を得るのに空気そのものを使用することも出来るが、
電池排空気を使う理由は、電池排空気には、必要な酸素
を空気によるPSAで作る場合の約2倍のアルゴンが含
まれているからであり、酸素燃焼後このアルゴン分を回
収できる。酸素を分離するための上記2方法のどちらを
採用するかは、設備建設費を含めた経済性の問題であ
り、設計により選択は自由である。通常、燃料電池発電
プラントは、プラント全体がコンピューター制御による
無人で運転されるから、燃料改質器をわずかの酸素過剰
率で運転する制御は可能である。なお、電池燃料極出口
中の可燃性成分と当量の酸素に相当する流量を、酸素と
窒素を分離せずに、電池空気極出口空気から分岐して改
質器バーナーに供給する場合でも、排出される全炭酸ガ
スを固定することができる。但し、この場合は、電池排
空気の約30%の窒素と酸素は回収されず、混合ガスと
して大気中へ放出される。また、改質器燃焼排ガスは、
炭酸ガス、アルゴンの他に大量の窒素分を含むから、こ
の排ガスから炭酸ガスのみを分離するプロセスが困難に
なる。(炭酸ガス濃度は、約15%程度であり、仮に液
化分離するにしても大量の冷凍必要熱量が窒素の冷却に
使用されてしまう。)
【0022】燃料改質器の使用管材料には運転温度に制
限があるから、排ガスとして排出される炭酸ガスの一部
を送風機で燃焼温度制御用に循環し、理論燃焼火炎温度
で通常、約1800℃程度にコントロールする必要があ
る。また、燃料改質器での燃焼排ガスがもつエネルギー
回収については、改質器への原料フイードとの熱交換で
十分に回収できる。ドライ濃度93%の炭酸ガス、5%
アルゴンの混合ガスから炭酸ガスだけを分離するには、
炭酸ガスの液化や炭酸ガスPSA等種々の方法がある。
簡単な方法は炭酸ガスの液化であり、この混合ガスを3
0気圧程度に圧縮し、これを自由膨張させることで容易
に液体炭酸ガスが得られ、また液体炭酸ガスを常圧に噴
射し、スノー化した粉末をプレスすればドライアイスが
得られる。液体炭酸ガスまたはドライアイスとして固定
された炭酸ガスは、現在商品として販売されている物と
同一であり、燃料電池発電プラントの副産物として前記
窒素ガスと同様に発電コストの引き下げに役立つ。燃料
電池発電プラントがLNGを直接発電原料とする場合
は、LNGの持つ冷凍エネルギーを使用して炭酸ガスの
液化を行える。
【0023】後で説明するように、燃料改質器を約65
0℃で出た燃焼排ガスを順次改質器フィードガスと熱交
換させ、水分を除去後、約35気圧まで圧縮してLNG
と熱交換させると、約0℃の液体炭酸ガス及び約0℃の
LNG気化メタンガスが得られる。この場合では、エネ
ルギーの損失は全くなくLNGの冷熱をすべて使用して
燃焼排ガス中の炭酸ガスを液化分離、固定したことにな
る。通常の火力発電プラントではLNGは海水等でガス
化されその冷熱は利用されていないが、本発明ではLN
G製造プラントでメタン液化のために消費された動力
は、すべて燃料電池排出炭酸ガスの液化用に回収され
る。燃焼排ガスから炭酸ガスを液化分離した後には、ア
ルゴンガスが残り、その純度は、アルゴン78%、窒素
18%、酸素4%程度であり、酸素分だけ除去すれば溶
接等の用途にはこのままで使用できる。もし、純粋アル
ゴンを得たい場合は更に蒸留工程をつけ加えるか、また
はアルゴンPSAにかけることになるが、この段階では
すでにアルゴン、窒素、酸素だけのごく少量であるか
ら、その設備は非常に小さくてすむ。
【0024】分離、固定された炭酸ガスを如何に処理す
るかは、本発明の主要課題ではなく別の課題となる。地
下または深海底等へ廃棄処理するか、また何らかの有用
物質への転換等現在種々の方法が考えられているが、い
ずれにしても炭酸ガスが大気へ拡散する前に分離、固定
する実用手段が絶対必要になる。発電設備から排出され
る炭酸ガスについて本発明はこの手段を提供する。ま
た、関連する種々の工業製品の製造プロセスをインテグ
レートすれば、全体的な炭酸ガス発生を抑制する事がで
きる。
【0025】現在でも有用な炭酸ガス固定方法として、
たとえば肥料または合成樹脂の原料となる尿素の合成原
料として使用する方法がある。尿素は、アンモニアと炭
酸ガスから合成されるが、炭酸ガス1モルを固定するの
にアンモニア2モル、したがって窒素1モルと水素3モ
ルが必要である。本発明では、固定すべき炭酸ガス(後
で説明する例では51KGMOL/H)と、副製品とし
て多量の高純度窒素ガスが得られるから、これらを既存
のアンモニア、尿素製造プロセスと結合することが考え
られる。
【0026】現在のアンモニア製造プロセスでは、窒素
源供給のためプロセス内に空気が導入されているが、こ
の方法は、同伴された酸素分をプロセス内でメタン、水
素等の部分燃焼で消費するエネルギー的に無駄の多いプ
ロセスとなっている。本来、アンモニアの製造には水素
と窒素があればよいわけだから、窒素源として本発明の
PSA出口の空気を用いることは合理的である。この排
空気は、後で説明する例では前記の窒素PSA使用で
は、窒素PSAから99.9%窒素191KGMOL/
H、酸素PSAから92%(ドライ濃度)窒素308K
GMOL/Hが得られる。99.9%窒素は不活性ガス
として使用するとして、92%窒素をアンモニア合成原
料として使用すれば、酸素分は8%しか含まないから部
分燃焼による損失はより少なくてすむ。従って、アンモ
ニア製造工場側で得られる水素の1/3容量の窒素と、
1/3容量の炭酸ガスが、トータルとして得られるよう
に本発明のプロセスとアンモニア、尿素製造プロセスを
インテグレートすれば、現在のアンモニア製造プロセス
のエネルギー上の無駄を省き、トータルとして炭酸ガス
発生を最小にできる上、全体的に最大の省エネルギー化
が達成される。
【0027】後で説明する例では、アンモニアを495
KGMOL/H(202T/D)合成でき、尿素を24
8KGMOL/H(357T/D)生産するのに、アン
モニア側の改質器生成炭酸ガスの他に49KGMOL/
Hの炭酸ガスを固定でき、これはほぼ燃料電池側から排
出される炭酸ガス量と同量であるから、この結合プロセ
ス全体からはほとんど炭酸ガスの排出はないことにな
る。(但し、アンモニア側の改質器から燃焼で生成され
る炭酸ガスは別である) この場合、アンモニアプロセス側では部分燃焼のための
第二改質器をほとんど不要とするほか、アンモニア側生
成炭酸ガスの固定、分離(通常溶液吸収法が使われ炭酸
ガス吸収後加熱によりストリップする)に要するエネル
ギーを最小化出来る等の色々のメリットが生まれる。ま
たアンモニア工場側では、燃料電池プロセスから発生す
る電力とアルゴンガスは副製品として経費を控除できる
し、窒素ガスに含まれて送られるアルゴン分はアンモニ
ア合成プロセス中の合成ループパージ処理により液化で
きる。なお、電池燃料極出口ガスを水素源とし、空気極
出口空気を窒素源としてアンモニア工場側に送り、本発
明の燃料改質器熱源は別の燃料による空気燃焼とするこ
とも可能であり、全体的な炭酸ガス発生の最少化には色
々な変形プロセスが考えられる。このように、既存のア
ンモニア、尿素工業プロセスとインテグレートされた省
エネルギー、かつ環境配慮型の新しいプロセスを開発で
きる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。図1は、LNG(液化メタン)を燃料電池発電の原
料とした場合の簡単なプロセスフロー図である。図1で
は、燐酸型燃料電池を使用、酸素分離には酸素PSA装
置、炭酸ガス分離にはLNG冷熱による液化を利用して
いる。また、図1のPSAシステムが、先に窒素PSA
により99.9%純度の高純度窒素を取り出し、次ぎに
その排気側からさらに酸素PSAにより必要な酸素分を
取り出す別法についても説明する。但し、本発明は燃料
電池発電を利用した炭酸ガスの分離、固定を主目的とし
ており、酸素濃度10%まで分離された燃料電池排空気
からの酸素の分離法、及び炭酸ガス濃度92%まで濃縮
された燃料改質器からの炭酸ガスの液化法または固定法
には限定されない。
【0029】燃料改質器は、炭化水素原料を改質して水
素を製造する装置であり、燃料電池排熱によりプロセス
内で自給される水蒸気と炭化水素原料を混合、加熱し、
炭化水素原料を一酸化炭素と水素に改質する。この反応
は、吸熱反応で改質管の外側から加熱しなければならな
い。改質器の燃焼側は、プロセス内熱交換により昇温さ
れている電池の排燃料とPSAからの酸素を使用して燃
焼加熱し、酸素過剰率は理論量よりわずか多いように
(約0.5%過剰)設定する。また、バーナーでの燃焼
温度を制御するため、排出炭酸ガスの一部をリサイクル
する(ストリーム12)。改質反応は、700℃程度で
反応平衡するように通常800℃位まで加熱されるが、
改質器内部の熱回収により外部には500〜600℃程
度で取り出す(ストリーム2)。
【0030】一酸化炭素転化反応器(シフト反応器)
は、燃料改質器出口のCO成分を水蒸気と反応させ、水
素に転換する装置であり、通常使用触媒の種類から高温
と低温の2種類を直列に使用する。低温シフト反応器を
出た後、プロセス内流体で冷却、残留水分を分離し、ス
トリーム4で燃料電池燃料極に導入される。一方、燃料
電池空気極には約2.5気圧(ゲージ)まで圧縮された
空気が圧縮機から200℃程度で導入される(ストリー
ム7)。ストリーム4の水素分は約85%が電池内部で
反応し、ストリーム7の空気中酸素分を約60%消費し
て、電池空気極排空気中に水蒸気として排出される。こ
の反応の内、約50%が自由エネルギー変化として電力
に変換されるが、残りの約50%は電池内部で熱に変わ
る。この熱量は両極の間に設置されている熱回収機構に
より水蒸気のエンタルピーとして回収され、その一部が
燃料改質器の添加用水蒸気となる。
【0031】燃料電池は、温度約190℃、圧力2.5
気圧(ゲージ)で運転され、電池空気極排出空気は、こ
の圧力を使ってPSA装置で比3.5の圧力スウィング
を行う。電池を出た排燃料(ストリーム5)及び排空気
(ストリーム8)は、冷却して水分を分離後(ストリー
ム6と9)、それぞれ改質器燃焼バーナー及びPSA酸
素分離装置に導入される。酸素分離装置としてのPSA
システムには色々な変形があり、図1では標準的なモデ
ルを使用しているが、これに限定されるものではない。
酸素PSAでは、通常吸着剤として合成ゼオライト等が
使用され、加圧過程で窒素分を吸着する。吸着窒素分
は、常圧または真空まで減圧して脱着するが、この様な
吸着、脱着操作を短いサイクル(1分程度)で繰り返し
全体的には連続的に運転される。燃料電池プロセスは、
全コンピューター制御の無人運転が普通であるから、こ
れとインテグレートされたPSAシステムの制御は、燃
料電池プロセス内のコンピューター制御系に取り込むこ
とができる。
【0032】酸素PSAの吸着剤は、アルゴンガスをほ
とんど吸着しないため、取り出される酸素製品には酸素
とほぼ同一の回収率でアルゴンが濃縮される。加圧、減
圧の圧力スウィング比は通常3.5程度でよく、この圧
力は燃料電池プラント側から与えられる。加圧過程で取
り出される酸素流がストリーム10、減圧過程で取り出
される窒素流がストリーム11に示される。燃料電池で
電力発生時に行われた酸素分離は、ドライ濃度で78%
2、21%O2、1%Ar の空気1モルが、89%N2
10%O2、1%Arの混合ガス0.88モル、酸素0.
12モルに分離したことに相当し、これは空気1モル中
の各純成分分離に必要な最小仕事中の約半分が電池内部
で行われたことに相当する。従って、大気中から酸素を
分離する一般のPSAに対して、燃料電池と結合された
本発明でのPSAシステムでは、約半分のエネルギー使
用量ですむことになる。PSAを出た窒素製品は、加圧
し外部へ供給するか、またはさらに窒素PSAにかけて
99.9%以上の純度にして外部へ供給され、酸素側は
燃料電池の排燃料と共にプロセス内部で熱交換し、昇温
後改質器のバーナーに導入される。図1の方法とは別に
先に99.9%純度の窒素を得てこれを製品とし、次に
この排気側に含まれる酸素分を酸素PSA等で回収し酸
素燃焼用に使用することもできる。図1でPSAシステ
ムと表示されている部分が、先に窒素PSAにより高純
度窒素を取りだし、次ぎにその排気側からさらに酸素P
SAにより必要な酸素分を取り出すことになる。
【0033】燃料改質器の加熱側では、水分離された電
池燃料極出口流体(すでに炭酸ガスは54%まで濃縮さ
れたストリーム6)を、PSAシステムの酸素側流体
(ストリーム10)を酸化剤としてほぼ理論燃焼させ
る。但し、燃焼火炎温度制御のため燃焼排ガスの一部が
改質器バーナーにリサイクルされる(ストリーム1
2)。この排ガスの炭酸ガス濃度は、すでにドライベ−
スで約92%あり、アルゴンガスは約5%に濃縮されて
いるから、前記したように炭酸ガスを尿素合成の原料と
して使用するような用途には、このままで品質的には十
分であり、尿素及びアンモニア合成工場にPSA出口窒
素と共に供給することができる。このように本発明で
は、燃料電池プロセス内にある単位操作を合理的に組み
合わせることにより、最少の酸素分離動力と設備だけ
で、発電のために発生した全炭酸ガスの分離、固定がで
きる。
【0034】次に上記のように固定された炭酸ガスの処
理方法の1例として、これを尿素の合成原料として処理
する方法を説明する。図5は、燃料電池による炭酸ガス
の分離、固定を既存のアンモニア、尿素プロセスと結合
した簡単なフロー図である。図5は、先に、窒素PSA
により99.9%純度の窒素ガスを取り出した後の排気
から、次の酸素PSAで必要酸素を取り出し、その排空
気の92%窒素分をアンモニアの原料とする例である。
92%窒素ガスはアンモニアプロセスの第一改質器後に
導入されてアンモニア合成の窒素源となり、これに伴う
約8%の酸素分だけがアンモニアプロセスで部分酸化す
る。合成されたアンモニアは尿素工場に送られ尿素とな
るが、アンモニアプロセスの改質器で生成した炭酸ガス
と、燃料電池側で固定された炭酸ガスの合計をほぼすべ
て尿素として固定処理可能である。この場合、アンモニ
アプロセスの改質器加熱側で使用された燃料から出る炭
酸ガス以外は一切排出されず、すべての炭酸ガスが尿素
として処理されたことになる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。 実施例1 図2は、燃料改質器燃焼排ガスの熱量回収方法を示し、
表1は、実施例1の物質収支である。表1で、横欄は図
1に示された各ラインの番号を表し、縦欄はその物質を
構成する各分子を表す。各流量単位はKGMOL/Hで
あり、番号0から7までが各分子名、番号8がその合計
量、番号9がそのラインの温度(℃)、番号10が圧力
(KG/CM2G)、番号11から18までが各分子の
モル組成(%)、番号19がそのラインのエンタルピー
(MMKCAL/H)、番号20がそのラインのエクセ
ルギー(MMKCAL/H)、番号21が標準状態(0
℃、1気圧)での合計流量(NM3 /H)を表す。ここ
で、熱量単位としてのMMKCALはKCALの百万倍
を表す。
【0036】本実施例1では、燐酸型燃料電池で500
0KWの発電を行い、酸素分離には酸素PSA装置、炭
酸ガス分離にはLNG冷熱による液化を利用し、その他
以下の様な条件を基礎としている。 燃料電池 電力転化率 49.6% 水素利用率 85.4% 酸素利用率 59.8% 燃料改質器 メタン転化率 88.6% 水蒸気/メタン比 4.0 メタンガス導入温度 455.0℃ 反応平衡温度 700.0℃ 改質ガス出口温度 550.0℃ 燃焼側酸素過剰率 0.5% 燃焼側排空気導入温度 320.0℃ 燃焼側排燃料導入温度 510.0℃ 燃焼側炭酸ガス循環率 45.0% 一酸化炭素ガス転化器 一酸化炭素残濃度 1.0%(低温転化器出口) 酸素PSA装置 酸素回収率 52.0% 回収酸素純度 88.0%
【0037】メタンガスは、図2に示す様に約190℃
の水蒸気と混合されて455℃で燃料改質器に導入され
る(ストリーム1)。改質器の燃焼側は、プロセス内熱
交換により、それぞれ510℃、320℃に昇温されて
いる電池の排燃料とPSAからの酸素を使用して燃焼加
熱し、酸素過剰率は理論量よりわずか多い様に(本例で
は0.5%過剰)設定する。燃焼加熱側から2.45M
MKCAL/Hの熱量を供給するが、この熱量は改質生
成物の増加エンタルピーとして取り出される。また、バ
ーナーでの燃焼温度を制御するため、図2に示す様に排
ガス処理系から炭酸ガスの45%をリサイクルし、改質
器バーナー理論燃焼温度を1790℃にコントロールす
る。
【0038】一酸化炭素転化反応器(シフト反応器)で
は、低温シフト反応器出口(ストリーム3)で未反応C
O分を1%まで転化させる。低温シフト反応器を出た
後、プロセス内流体で冷却、残留水分を分離し、ストリ
ーム4で燃料電池燃料極に導入される。一方、燃料電池
空気極には、2.5気圧(ゲージ)まで圧縮された空気
が圧縮機から200℃程度で導入される(ストリーム
7)。ストリーム4の水素分は、85.4%が電池内部
で反応し、ストリーム7の空気中酸素分を59.8%消
費して、電池空気極排空気中に水蒸気として排出され
る。この反応の内49.6%が自由エネルギー変化とし
て電力に変換されるが、残りの50.4%は電池内部で
熱に変わる。この熱量は、両極の間に設置されている熱
回収機構により水蒸気のエンタルピーとして回収され、
その一部が燃料改質器の添加用水蒸気となる。電池全体
では、5000KWの電力発生以外に、約4.3MMK
CAL/Hの熱量が放出されるが、この内2.4MMK
CAL/Hが燃料改質器の添加用水蒸気発生に使用さ
れ、1.9MMKCAL/Hが本プラント外部へ供給可
能な約200℃レベルのエネルギーとなる(水蒸気でも
温水でも外部へ供給可能)。
【0039】燃料電池は、温度約190℃、圧力2.5
気圧(ゲージ)で運転され、電池空気極排出空気は、こ
の圧力を使ってPSA装置で比3.5の圧力スウィング
を行う。電池を出た排燃料(ストリーム5)及び排空気
(ストリーム8)は、冷却して水分を分離後(ストリー
ム6と9)、それぞれ改質器燃焼バーナー及びPSA酸
素分離装置に導入される。PSAシステムの組み方では
種々の仕様が考えられるが、本実施例では酸素回収率5
2%、酸素純度88%である。本実施例では酸素側は8
8%、同時に脱着窒素側は95%まで濃縮されるが、脱
着窒素としてすべての窒素回収を必要としない場合は、
窒素側純度はより高くできる。
【0040】燃料改質器の加熱側では、水分離された電
池燃料極出口流体(すでに炭酸ガスは54%まで濃縮さ
れたストリーム6)を、PSAシステムの酸素側流体
(ストリーム10)を酸化剤としてほぼ理論燃焼させ
る。ストリーム6中の可燃物質は理論火炎温度約179
0℃で燃焼し、2.4MMKCAL/Hの改質反応必要
熱量を供給し、649℃で改質器加熱側を出る(ストリ
ーム14)。この排ガスの炭酸ガス濃度は、すでにドラ
イベースで約92%あり、アルゴンガスは、約5%に濃
縮されている。メタンガスを空気で理論燃焼させた場合
の生成ガスから同量の炭酸ガス(ドライ濃度11%、5
1KGMOL/H)を分離するには、理論最小仕事で約
110KW(実際には600〜1000KW)と大容量
設備を要し、さらにその設備を製作するために大量の炭
酸ガスが放出される。これに対して本発明では、すでに
1/2が燃料電池で分離された残りの1/2の酸素をP
SAシステムで分離し、その酸素で燃料改質器を酸素富
化燃焼させるだけであるから、この他には新たな仕事も
設備も不要である。
【0041】本例では、炭酸ガスをLNGの冷凍熱を利
用して液化分離し、この温度では液化しないアルゴンと
分離する。これを図2で説明する。燃料改質器燃焼排ガ
ス(ストリーム14)は649℃で改質器を出、ループ
/フイード熱交換器に入り、改質器原料フイードガス
(ストリーム1)と熱交換するが、改質器燃焼理論温度
を1790℃に制御するための炭酸ガスリサイクル温度
を340℃とすると、改質器原料フイードガスは本熱交
換器に220℃で入らなければならない。 (熱交換量:0.570MMKCAL/H) 次に、340℃で炭酸ガスリサイクルを分岐した後の改
質器燃焼排ガス(ストリーム15)は、排ガス/フイー
ド熱交換器に入り、メタンガスと燃料電池から回収され
た水蒸気との混合ガス(温度191℃)と熱交換させ、
このガス温度を前記220℃まで上げるために267℃
まで降温する。 (熱交換量:0.068MMKCAL/H)
【0042】前記267℃で排ガス/フイード熱交換器
を出た改質器燃焼排ガスは、LNGが気化したメタンガ
スを25℃の常温から前記191℃まで上げるため、排
ガス/メタン熱交換器に入り165℃まで降温する。 (熱交換量:0.092MMKCAL/H) 次に、前記165℃で排ガス/メタン熱交換器を出た改
質器燃焼排ガスは、排ガス/冷却水熱交換器に入り、冷
却水により常温(25℃)まで冷やされ大部分の水蒸気
をドレンとして分離するが、同時にメタン蒸発器で気化
したメタンガスを約0℃から25℃まで昇温する。 (熱交換量:0.538MMKCAL/H) 排ガス/冷却水熱交換器で水分を分離した前記25℃の
改質器燃焼排ガス(ストリーム16)は、活性炭等を充
填した脱湿器で残りの水分を除去し、圧縮機で34.2
気圧程度まで昇圧後、25℃に冷却してメタン蒸発器に
導入される。一方メタン蒸発器には、常圧で−160℃
程度のLNGをポンプで改質器必要圧(3.6気圧ゲー
ジ)まで加圧して導入し、この冷熱を使って25℃、3
4.2気圧の炭酸ガスを液化する。この状態では、炭酸
ガスは約0℃で液化し、同時に液体で導入されたLNG
は、蒸発して同温度(0℃)でメタン蒸発器を出る。 (熱交換量:0.170MMKCAL/H) 炭酸ガス側は約0℃で液化しメタン蒸発器を出るが、こ
れを気液分離器にかけて液体炭酸ガス製品(ストリーム
18)とガス状のアルゴンガス(ストリーム17)に分
離する。
【0043】本例のように、LNGを燃料電池発電燃料
とする場合には、LNG冷熱で改質器出口の全炭酸ガス
を液化することができるが、そのためには炭酸ガスを圧
縮する工程が必要になる。これは、LNGの蒸発による
熱吸収量が、全炭酸ガスを低圧で液化するには多少不足
するからであるが、もし全炭酸ガスを低圧で液化、分離
せず一部だけとする場合は、この必要はない。例えば、
全炭酸ガス中の30%を大気へ放出し、残りの70%だ
けを液化分離したい場合にはほとんど圧縮の必要がな
い。
【0044】実施例1による実際的な効果として、LN
G原料と空気を使って燃料電池発電プラントを構成し、
5000KW発電した場合、 使用LNG原料 約20トン/日 使用空気 約13,700NM3/H 使用LNG中の炭素原子 約15トン/日は約54トン/日の液体炭酸ガ スとしてすべて回収、固定され、 使用空気中の窒素原子 約10,500NM3/Hは約12,000NM 3/Hの95%窒素ガスとして回収され、 使用空気中のアルゴン原子 約126NM3/Hは約84NM3/Hの78% アルゴンガスとして回収され、 5000KWの直流電力と、約200℃レベルで暖冷房
に使用可能な余剰熱量を約3.6MMKCAL/H取り
出すことができる。全システムの熱効率は、メタンの燃
焼熱基準で発電効率43.9%、発電と余剰熱量の合計
では63.4%となる。
【0045】もし、電池空気極排出空気を先に窒素PS
Aにかけて高純度窒素を得る場合には、窒素PSAを窒
素回収率40%程度、純度99.9%以上で燃料電池プ
ロセス圧力で運転し、次にこの常圧排空気を使用し、酸
素PSAを酸素回収率52%程度、酸素純度92%程度
で真空脱着にて運転する。(もし酸素分が不足する場合
は不足分だけ空気を補給する) このケースでは、まず窒素PSAから99.9%純度窒
素が約4300NM3/H得られ、次の酸素PSAで必
要酸素分を分離後、その排気として92%(ドライ濃
度)窒素を約7400NM3/H(約7%の水分を含
む)得られる。この92%純度、約7400NM3/H
の窒素ガスは、アンモニア合成の窒素原料として使用で
きる。このPSAシステム組み合わせとした場合、 使用空気中の窒素原子 約10,500NM3/Hは約4,300NM3/H の99.9%窒素ガスと、約7,400NM3/H の92%(ドライ濃度)窒素ガスして回収され 、 使用空気中のアルゴン原子 約126NM3/時は約55NM3/Hの72%ア ルゴンガスとして回収される。 (ただしこの場合は、酸素PSA用の動力として別に約320KWを消費す る)
【0046】本プロセスでは、発電のために使用された
地球資源はLNGだけであるが、燃料電池発電プロセス
の特徴を最大限利用して、この内の炭素分は液体炭酸ガ
スとしてすべて固定し、また使用された空気からは窒素
とアルゴンガスを副産物として相応の純度で外部に取り
出すことができる。液体炭酸ガス、窒素ガス及びアルゴ
ンガスは、燃料電池発電プラントに大きな経済性を与
え、またこれらを単独に製造する場合より工業全体とし
て、より少ない炭酸ガス発生におさえることができる。
【0047】もし、通常の火力発電設備で、ボイラーの
燃料燃焼に酸素を使う目的で空気からPSAシステムに
より酸素を分離する場合には、以下のことが言える。 ・発電効率が燃料電池発電に比べて低いため使用メタン
原料が多く、たとえば上記の例での使用量が51KGM
OL/Hに対して、59KGMOL/Hとなる。 ・暖冷房用の熱量を供給できない。 ・通常のボックス型ボイラーでは、コンパクトな燃料電
池専用改質器のように純酸素による理論燃焼を行うこと
は困難であり、最低でも5%程度の酸素過剰率を必要と
する。 ・すでに炭酸ガスが濃縮されている燃料電池排燃料を、
燃料電池排空気中の残留酸素(約26KGMOL/H)
で理論燃焼させる本発明のシステムに対して、ボイラー
システムでは、前記59KGMOL/Hの全メタンガス
を5%以上の酸素過剰率で燃焼させるため、約124K
GMOL/Hの酸素を必要とする。 ・したがって、必要な酸素量は本発明のシステムに比べ
て約5倍を要し、その酸素全量を空気から分離するPS
Aシステムは巨大なものとなる。 主に上記のような理由から、通常の火力発電設備では、
ボイラーの燃料燃焼に酸素を使うシステムは経済的に適
用が難しく、いまだに実現していない。
【0048】次に、本発明のシステムと同様な工業製品
を現在の工業でそれぞれ単独に生産する場合、たとえば
電力は通常の火力発電設備、液体炭酸ガスまたはドライ
アイスは種々の炭酸ガス源からの冷凍システムによる生
産、窒素およびアルゴンガスは空気の冷凍液化、暖冷房
用の熱量は燃料の燃焼で行うときの大気への炭酸ガス放
出量は以下のようになる。 ・火力発電設備からの炭酸ガス放出量は、59KGMO
L/H(約62トン/日) ・炭酸ガス冷凍システムからの炭酸ガス放出量は、液体
炭酸ガス1トンあたりの電力原単位を200KWH/ト
ンとして、54トン/日の液体炭酸ガス生産のために4
50KW消費し、火力発電設備から約6トン/日 ・空気の深冷液化システムからの炭酸ガス放出量は、取
得酸素ガス1NM3 あたりの電力原単位を0.5KWH
/NM3 として、2800NM3 /Hの酸素取得のため
に1400KW消費し、火力発電設備から約17トン/
日 ・輸出熱量1.9MMKCAL/Hを、たとえば燃料の
燃焼で行う時の炭酸ガス放出量は、約8トン/日 ・この場合、液体酸素製品が別途得られるが、1850
KWの電力消費の代償として合計93トン/日の炭酸ガ
スが発電所から大気中に放出される。 ・その上、これらの工業製品を生産する設備を独立して
建設するため、その設備生産のために別途の炭酸ガスが
大気中に放出される。
【0049】これに対して、本発明のシステムで消費さ
れるエネルギーは、主として燃料電池導入空気用圧縮機
と炭酸ガス液化用圧縮機に使用される電力だけである。
前者は約960KW、後者は約180KWであるが、前
記したように後者は発生炭酸ガスの内30%程度を大気
放出する場合はほとんど不要である。炭酸ガスのすべて
を固定した場合でも、合計1140KWの電力消費であ
り、これは火力発電設備からの炭酸ガス放出量約14ト
ン/日に相当する。したがって、現在の各製品単独生産
に比べて85%、約79トン/日の炭酸ガスが大気中へ
放出されるのを防ぐことができる。
【0050】次に、参考として経済的価値(年間)の一
例をあげれば以下のようになる。 電力 10円/KWH; 5000KWH/H 4.4億円 余剰熱量 1円/1000KCAL; 1.9MMKCAL/H 0.2億円 液体炭酸ガス 70円/KG; 54トン/日 13.8億円 窒素ガス(95%) 3円/NM3; 12,000NM3 /H 3.2億円 アルゴンガス(78%)200円/KG; 2.8トン/日 2.0億円 LNG 17円/KG; 19.6トン/日 −1.2億円 消費電力 10円/KWH; 1140KWH/H −1.0億円 合計 21.4億円 もし別法のPSAシステム組み合わせとするなら、
【0051】 電力 10円/KWH; 5000KWH/H 4.4億円 余剰熱量 1円/1000KCAL; 1.9MMKCAL/H 0.2億円 液体炭酸ガス 70円/KG; 54トン/日 13.8億円 窒素ガス(99.9%) 7円/NM3 ; 4,300NM3 /H 2.6億円 窒素ガス(92%) 3円/NM3 ; 7,400NM3 /H 1.9億円 アルゴンガス(72%)200円/KG; 1.7トン/日 1.2億円 LNG 17円/KG; 19.6トン/日 −1.2億円 消費電力 10円/KWH; 1460KWH/H −1.3億円 合計 21.6億円
【0052】実施例2 図5は、燃料電池発電による発生炭酸ガスを分離、固定
した後、これを既存のアンモニア、尿素プロセスと結合
して処理する簡単なフロー図である。図5は、窒素PS
Aを先に行うPSAシステム組み合わせにより窒素分を
分離する場合であり、アンモニア原料としては酸素PS
Aの排気を使用する例である。左側のブロックは燃料電
池発電プロセスであり、右側のブロックは既存のアンモ
ニア及び尿素プロセスを表し、上からアンモニア側改質
器、シフト反応器、炭酸ガス除去、メタネータ、アンモ
ニア合成器、そして最後のブロックが尿素合成のプロセ
スである。
【0053】燃料電池発電側は、実施例1と同様に51
KMOL/Hのメタンと610.5KMOL/Hの空気
を使い5000KWの発電を行う。この際、51KMO
L/Hの炭酸ガスと1.76KMOL/Hのアルゴンが
本発明により分離、固定され、同時に酸素PSAから9
2%(ドライ濃度)窒素として、281.85KMOL
/Hの窒素、24.25KMOL/Hの酸素、及び1.
61KMOL/Hのアルゴンが排出される。これは窒素
濃度が低いため普通は廃棄されるが、本例のようにアン
モニアプロセスと結合すれば有効に処理でき、これを窒
素源としてアンモニアプロセスの第一改質器後に導入す
る。通常のアンモニアプロセスは窒素源に空気が使用さ
れるため、本例のように281.85KMOL/Hの窒
素を使う場合には、この約1/4の酸素(75.8KM
OL/H)が導入されてしまうが、この結合プロセスで
は24.25KMOL/Hの酸素ですむ。この酸素分は
次の第二改質器で部分燃焼に使用され炭酸ガスを生成す
るため、通常のアンモニアプロセスでは尿素合成に必要
な炭酸ガスより過剰な炭酸ガスが生産されてしまう。 (もしコンビナートがアンモニア合成プラントしか持た
ない場合は、この炭酸ガスは高いコストで分離されなが
ら廃棄、つまり大気放出されることになる。) 本例ではこのような損失を最小にできるから、燃料電池
発電プロセス側で固定された炭酸ガスも含めてすべてを
尿素として処理できる。
【0054】この窒素分を使って本例では495.28
KMOL/H(202T/D)のアンモニアが合成さ
れ、同時にアンモニア側の改質器から198.46KM
OL/Hの炭酸ガスが生成するが、上記アンモニア生産
量では247.64KMOL/H(357T/D)の尿
素を合成でき、そのためには他から49.18KMOL
/Hの炭酸ガスを輸入できる。燃料電池発電側で分離、
固定された炭酸ガスは51KMOL/Hであるから、こ
の様にインテグレートすることによりすべての炭酸ガス
を尿素として固定、処理できる。(ただし、アンモニア
側の改質器加熱側から出る炭酸ガスは別である) また、上記の酸素PSAから排出される空気には、燃料
電池への送入空気に含まれる一部のアルゴン(1.61
KMOL/H)が濃縮されているが、このアルゴン分は
アンモニア側の合成ループパージ処理で液体アルゴンと
して回収されるメリットもある。
【0055】
【発明の効果】本発明では、地球温暖化の中心物質であ
る炭酸ガスを発電所の発生源から効率的に分離し、これ
を炭酸ガス製品として固定して炭酸ガスの大気中放出を
減少させることができると同時に、高純度窒素ガス、高
純度アルゴンガスのような有用工業製品を副産物として
生産することができるので、本プロセスの具体的実施に
対する経済的基盤も十分に付与される。また、この高純
度窒素ガスをアンモニア合成の原料として、アンモニア
プロセスを改良すると共に、合成されたアンモニアを本
発明で分離、固定された炭酸ガスを使って尿素として処
理できる。この場合、すべての発生炭酸ガスは尿素とし
て固定、処理され、アンモニアプロセスの改質器加熱側
から出る炭酸ガス以外は大気中に排出されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】LNG(液化メタン)を燃料電池発電原料とし
た場合の簡単なプロセスフローを示す図である。
【図2】図1についての燃料改質器排ガスの熱量回収方
法の一例であり、図1の左下にある排ガス処理システム
内部を示す図である。なお、各ラインの中間にある四角
形の内部にある数字はそのラインのストリーム番号を表
し、図3及び図4で参照されている。
【図3】図1のプロセスフロー図の物質収支の表であ
る。
【図4】図3のつづきの表である。
【図5】燃料電池発電プロセスとアンモニア、尿素合成
プロセスを結合して、燃料電池発電側及びアンモニア、
尿素合成プロセス側の両方から排出される全ての炭酸ガ
スを固定、処理する1方法を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年3月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 燃料電池発電における炭酸ガス、窒素
ガス及びアルゴンガスの回収、固定方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料を改質器によって水素主体ガスに改
    質し、この水素主体混合ガスと、別に導入された空気を
    別々の電極に導入することによって、空気中の酸素分と
    改質ガス中の水素分のみを反応させて電力を発生させる
    燃料電池発電において、電力発生と同時に得られる空気
    極側流体である窒素濃縮ガスを分離装置に導入して酸素
    と窒素を分離し、一方、前記燃料電池で電力発生と同時
    に得られる燃料極側流体である濃縮炭酸ガス中の未反応
    燃料と、前記空気極出口流体から分離された酸素とを酸
    素富化燃焼させて改質器の熱源とし、該酸素富化燃焼生
    成物として、炭酸ガス、水蒸気、アルゴンガス及び少量
    の窒素の混合ガスを得、この混合ガスから水蒸気分を冷
    却、除去して、炭酸ガスとアルゴンガス及び少量の窒素
    の混合ガスをとりだし、この混合ガスから炭酸ガスのみ
    を液化叉は分離する方法により炭酸ガスを固定し、同時
    に高純度アルゴンガスを分離する燃料電池発電における
    炭酸ガス、窒素ガス及びアルゴンガスの分離、固定方
    法。
  2. 【請求項2】 空気極側流体である窒素濃縮ガスの分離
    装置が圧力スウィング分離法(PSA方式分離法)であ
    る請求項1記載の炭酸ガス、窒素ガス及びアルゴンガス
    の分離、固定方法。
  3. 【請求項3】 空気極側流体である窒素濃縮ガスの分離
    を酸素PSA法で行う請求項2記載の炭酸ガス、窒素ガ
    ス及びアルゴンガスの分離、固定方法。
  4. 【請求項4】 空気極側流体である窒素濃縮ガスの分離
    を窒素PSA法で行う請求項2記載の炭酸ガス、窒素ガ
    ス及びアルゴンガスの分離、固定方法。
  5. 【請求項5】 空気極側流体である窒素濃縮ガスの分離
    を窒素PSA法で高純度窒素を得、分離された酸素を含
    むガスをさらに酸素PSA法で酸素分離する請求項4記
    載の炭酸ガス、窒素ガス及びアルゴンガスの分離固定方
    法。
  6. 【請求項6】 空気極側流体である窒素濃縮ガスに別途
    空気を加えた後、窒素と酸素の分離を行う請求項1〜5
    いずれか記載の炭酸ガス、窒素ガス及びアルゴンガスの
    分離、固定方法。
  7. 【請求項7】 燃料を改質器によって水素主体ガスに改
    質し、この水素主体混合ガスと、別に導入された空気を
    別々の電極に導入することによって、空気中の酸素分と
    改質ガス中の水素分のみを反応させて電力を発生させる
    燃料電池発電において、電力発生と同時に得られる空気
    極側流体である窒素濃縮ガスを分離装置に導入して酸素
    と窒素を分離し、分離された窒素分は高純度窒素製品と
    して取り出し、一方、前記燃料電池で電力発生と同時に
    得られる燃料極側流体である濃縮炭酸ガス中の未反応燃
    料と、前記空気極出口流体から分離された酸素を含むガ
    スと空気から分離された酸素とを酸素富化燃焼させて改
    質器の熱源とし、該酸素富化燃焼生成物として、炭酸ガ
    ス、水蒸気、アルゴンガス及び少量の窒素の混合ガスを
    得、この混合ガスから水蒸気分を冷却、除去して、炭酸
    ガスとアルゴンガス及び少量の窒素の混合ガスをとりだ
    し、前記分離された高純度窒素分はアンモニア合成工場
    でアンモニア合成原料として使用し、前記分離、固定さ
    れた炭酸ガスを前記合成アンモニアと共に尿素工場に送
    り、アンモニア工場の改質器生成炭酸ガスと燃料電池側
    で固定された炭酸ガスを尿素として固定する、燃料電池
    発電における炭酸ガスの固定方法。
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