JPH0932536A - 通電加熱式触媒の電極構造及びその電極支持ホルダへの絶縁被膜形成方法 - Google Patents

通電加熱式触媒の電極構造及びその電極支持ホルダへの絶縁被膜形成方法

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JPH0932536A
JPH0932536A JP18006795A JP18006795A JPH0932536A JP H0932536 A JPH0932536 A JP H0932536A JP 18006795 A JP18006795 A JP 18006795A JP 18006795 A JP18006795 A JP 18006795A JP H0932536 A JPH0932536 A JP H0932536A
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electrode support
catalyst
shaped
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JP18006795A
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Kazuhiro Sakurai
計宏 桜井
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Nippon Steel Corp
Toyota Motor Corp
Soken Inc
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Nippon Soken Inc
Nippon Steel Corp
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通電加熱式触媒のケースを貫通する電極の構
造を簡素化して、電極及び電極支持ホルダの構成部品の
寸法精度を緩和し、低コスト化を実現する。 【解決手段】 排気通路内に、排気浄化触媒と触媒加熱
用電気ヒータとが配置され、電気ヒータに通電を行う棒
状電極20が排気通路の壁面に取り付けられた電極支持ホ
ルダ6を気密状態で貫通して外部に延設された通電加熱
式触媒の電極構造を、棒状電極20を中空パイプ状とし、
電極支持ホルダ6の棒状電極20に接する内周面には絶縁
被膜8を焼成によって形成し、棒状電極20を電極支持ホ
ルダ6に挿通した状態で、電極支持ホルダ6の両端部に
隣接する棒状電極20を拡管して棒状電極20を電極支持ホ
ルダ6に密着固定することにより構成する。この結果、
機関始動後の触媒の暖機が阻害されず、電極20及びホル
ダ6の各々の部品に細かい寸法精度が必要なく、低コス
ト化が計れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は通電加熱式触媒の電
極構造及びその電極支持ホルダへの絶縁被膜形成方法に
関し、特に、構造が簡素でコストを抑えることが可能な
通電加熱式触媒の電極構造、及びこの通電加熱式触媒の
電極構造に使用する電極支持ホルダへの精度を必要とし
ない絶縁被膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気通路に排気浄化触媒を設
け、排気中のHC、CO、NOX 等の有害成分を浄化す
る技術が知られている。また、排気浄化触媒を加熱する
電気ヒータを設け、機関始動時にヒータにより触媒を加
熱して排気浄化触媒を活性化温度まで昇温することによ
り、始動後短時間で触媒の排気浄化作用を開始させるよ
うにした通電加熱式触媒装置が開発されている。
【0003】この種の通電加熱式触媒装置の例として
は、例えば特開平4−203416号公報に記載された
ものがある。この公報に記載された通電加熱式触媒装置
は、表面に電気的絶縁層を形成した波板状と平板状の金
属箔(以下、それぞれ「波箔」、「平箔」という)を重
ねて中実棒状の中心電極の回りに巻回することによりハ
ニカム構造の渦巻状金属箔積層体を形成し、この渦巻状
金属箔積層体の金属箔表面に触媒を担持させた構成とな
っている。また、渦巻状金属箔積層体は円筒状のケーシ
ングに収納され、そのケーシングは排気通路に接続され
ている。機関の運転中は、排気ガスは渦巻状金属積層体
の波箔と平箔との間に形成された軸線方向の通路を通過
し、これらの金属箔表面に担持された排気浄化触媒と接
触することにより排気中のHC、CO、NOX 等の有害
成分が除去される。
【0004】前述の中心電極は渦巻状金属箔積層体の中
心部から軸線方向に延びた後に折り曲げられ、円筒状の
ケーシングの側面を絶縁部材を介して貫通して外部に取
り出され、ケーシング外部で電力供給用導線に接続され
る。さらに、渦巻状金属箔積層体の外周は、接地された
ケーシングに電気的に接続されており、機関始動時に前
述の中心電極とケーシングとの間に電圧を印加すること
により、金属箔積層体を構成する金属箔中に電流が流
れ、金属箔が発熱することにより、金属箔に担持された
排気浄化触媒が短時間で活性化温度に到達するようにな
っている。
【0005】ところで、以上のように構成された通電加
熱式触媒装置では、前述の中心電極を円筒状のケーシン
グの側面から取り出す際には、中心電極と円筒状ケーシ
ングとを絶縁すると共に、円筒状ケーシング内を流れる
排気ガスが外部に漏れないようにするガスシールが必要
となる。このガスシールの構造の一般的なものは、電極
を絶縁性の電極支持ホルダを介してケーシングにろう付
けにより固定するものである。しかしながら、車載用の
通電加熱式触媒装置における電極支持ホルダは、電極温
度が寒冷地における機関の冷間時には氷点下になり、機
関稼働中は500℃を越える高温となることや、車両の
振動を受けることから、その構造は温度と振動に対して
強いものでなければならない。
【0006】このような条件の下で、表面に絶縁材を被
覆した電極を、電極支持ホルダに対して圧入力または焼
き嵌めにて締まりばめ固定する電極支持ホルダの構造が
特開平6−108831号公報に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−108831号公報に記載の電極支持ホルダ構造で
は、締まり嵌め部分には電極(+側)と触媒の金属外筒
(−側)の電気絶縁の機能と排気ガスが外部に漏れない
ようにするガスシール機能の2つが要求されるので、圧
入または焼き嵌めにて電極と電極支持ホルダとを密着さ
せる場合には、電極及びホルダの各々の部品に細かい寸
法精度が必要であり、製造コストが高くなったり、ま
た、圧入による固定の場合には電極をホルダに挿入する
際に絶縁被膜が傷ついたり、剥離したりする恐れがあっ
た。また、前述の公報に記載の電極支持ホルダ構造で
は、電極が中実の金属棒から形成されているために熱容
量が大きく、触媒の暖機を悪化させる問題点もあった。
【0008】本発明は前記従来の通電加熱式触媒の電極
構造の有する課題を解消し、ヒータに接続される電極の
熱容量を低減して機関始動後の触媒の暖機を阻害せず、
また、電極と電極支持ホルダとを密着させる場合の電極
及びホルダの各々の部品に細かい寸法精度が必要なく、
更に、電極を電極支持ホルダに挿入する際におけるホル
ダ側の絶縁被膜に損傷がない通電加熱式触媒の電極構造
を低コストで提供することを目的としている。
【0009】また、本発明は、前述の通電加熱式触媒の
電極構造における電極支持ホルダへの絶縁被膜の形成を
低コストで確実に行なえる方法の提供を目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の通電加熱式触媒の電極構造は、排気通路内に、排気
浄化触媒と触媒加熱用電気ヒータとが配置され、前記電
気ヒータに通電を行う棒状電極が前記排気通路の壁面に
取り付けられた電極支持ホルダを気密状態で貫通して外
部に延設された通電加熱式触媒の電極構造であって、棒
状電極を中空パイプ状に形成し、電極支持ホルダの棒状
電極に接する内周面には絶縁被膜を施し、棒状電極を電
極支持ホルダに挿通した状態で、前記棒状電極における
前記電極支持ホルダに対応する部位を拡管して棒状電極
を電極支持ホルダに密着固定したことを特徴としてい
る。
【0011】この構造において、棒状電極の一方の端部
と、前記電極支持ホルダの内周面の両端部に、面取加工
処理を施しても良く、また、電極支持ホルダを円筒状部
材で形成し、その両端部は外側に折り曲げて湾曲部を形
成し、この一方の湾曲部を前記排気通路の壁面に固着す
るようにしても良い。また、前記目的を達成する本発明
の通電加熱式触媒の電極構造における電極支持ホルダへ
の絶縁被膜形成方法は、電極支持ホルダの外径よりも僅
かに大きな内径と、電極支持ホルダの両端間の長さより
も深い高さを備えた円形の穴を複数個備え、各穴の底面
には内径よりも径の小さい貫通孔が設けられ、熱膨張率
の小さな部材で形成された型を準備する段階と、各穴に
電極支持ホルダを挿入する段階と、この状態で型を酸化
雰囲気中で所定時間加熱して電極支持ホルダを焼成する
段階とを備えることを特徴としている。
【0012】本発明の通電加熱式触媒の電極構造によれ
ば、棒状電極を中空パイプ状に形成したので、ヒータに
接続される電極の熱容量が低減され、機関始動後の触媒
の暖機が阻害されない。また、内周面に絶縁被膜を施し
た電極支持ホルダに棒状電極を挿通した状態で、中空パ
イプ状の棒状電極の電極支持ホルダに対応する部位を拡
管して棒状電極を電極支持ホルダに密着固定したことに
より、電極と支持ホルダとを密着させる場合の電極及び
ホルダの各々の部品に細かい寸法精度が必要なく、更
に、電極を支持ホルダに挿入する際、及び中空パイプを
拡管する際におけるホルダ側の絶縁被膜に損傷がない。
更に、拡管によって中空パイプを電極支持ホルダに密着
固定するため、電極及びホルダの寸法に高精度が要求さ
れない。更にまた、棒状電極の一方の端部と電極支持ホ
ルダの内周面の両端部に面取加工処理を施したことによ
り、棒状電極を電極支持ホルダに挿入した時に、棒状電
極のの端部が電極支持ホルダの絶縁被膜部分に当たり難
いため、絶縁被膜に傷が付かない。
【0013】そして、電極支持ホルダを円筒状部材で形
成した場合には、ホルダ自体の熱容量が小さくなるの
で、触媒が保持された外筒からの熱を電極、ホルダの接
触部に伝え難くすることができると共に、湾曲部で形成
された空間によって放熱作用が行われるのでガスシール
部の耐久性が向上する。また、本発明の通電加熱式触媒
の電極構造における電極支持ホルダへの絶縁被膜形成方
法によれば、電極支持ホルダの外径よりも僅かに大きな
内径と、電極支持ホルダの両端間の長さよりも深い高さ
を備えた円形の穴を複数個備え、熱膨張率の小さな部材
で形成された型に電極支持ホルダを挿入し、この型を酸
化雰囲気中で所定時間加熱して電極支持ホルダを焼成す
るようにしたことにより、電極支持ホルダへの絶縁被膜
の形成が容易に且つ大量に行なえ、低コスト化が計れ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下添付図面を用いて本発明の通
電加熱式触媒の電極構造の実施例を説明するが、本発明
の電極構造の実施例を説明する前に、先ず図1から図4
を用いて本発明の電極構造が使用される通電加熱式触媒
の構造を説明する。なお、各実施例の説明において、同
一の部材は同一の参照符号を付して説明する。
【0015】図1は、通電加熱式触媒装置の全体を示す
断面図である。図1において、1は触媒装置全体、3は
触媒装置1のケーシングを示す。ケーシング3は円筒状
ケーシング部5と、この円筒状ケーシング部5と排気入
口フランジ7とを接続する拡管形状のコーン9、円筒状
ケーシング5と排気出口フランジ13とを接続する縮管
形状の出口管14とから構成される。
【0016】また、図1に15で示すのは、円筒状ケー
シング部5内に収納された比較的大容量の排気浄化触
媒、10で示すのは排気浄化触媒15の上流側のコーン
9内に収納されたヒータ付触媒である。また、図1にお
いて、20はヒータ付触媒10に電力を供給する電極で
ある。電極20は、ヒータ付触媒10の排気ガスの流れ
の下流側からコーン9の軸線に沿って延び、その後に折
り曲げられてコーン9の壁面を貫通して外部に取り出さ
れる。電極20がコーン9壁面を貫通する貫通部25で
は、電極20はコーン9の壁面とは電気的に絶縁され、
コーン9に保持されている。
【0017】また、コーン9の外部側の電極20の端部
30は図示しないバッテリのプラス端子に導線35、通
電制御回路(図示せず)を介して接続されている。図1
に36で示すのは、電極20と導線35との接続部を覆
う保護カバーである。一方、コーン9は図示しない接地
端子を介してバッテリのマイナス端子に接続されてい
る。
【0018】ヒータ付触媒10は、以下の実施例では後
述する渦巻状金属箔積層体に排気浄化触媒を担持した構
成とされ、その外周部はコーン9に、また中心部は電極
20にそれぞれ導通可能に接続されている。また、下流
側の触媒15は、金属またはセラミック等の円筒ハニカ
ム状担体に排気浄化触媒を担持させた公知の構造であ
り、ヒータ付触媒10は下流側触媒15に較べて容量は
かなり小さい。
【0019】機関始動時に通電制御回路が作動して電極
20とバッテリとが接続されると、ヒータ付触媒10内
を電極20からコーン9に向かう半径方向の電流が流
れ、ヒータ付触媒10は通電により発熱する。ヒータ付
触媒10は小容量であるため、この発熱により極めて短
時間で昇温し、担持された触媒が活性化温度に到達す
る。このため、ヒータ付触媒10では機関始動後短時間
で触媒作用が開始され、始動後の排気が浄化される。ま
た、機関始動時には、排気中に比較的多量の未燃HC成
分が含まれるため、これらの未燃HC成分はヒータ付触
媒10により酸化され、発生する酸化熱によりヒータ付
触媒10全体の温度が上昇するとともに、ヒータ付触媒
10で高温になった排気が下流側触媒15に流入する。
これにより、比較的短時間で大容量の下流側触媒15の
温度も上昇し、下流側触媒15でも排気浄化作用が開始
される。
【0020】図2から図4はヒータ付触媒の詳細を示す
図である。ヒータ付触媒10は図2に示すように、金属
製の波箔11と平箔12とが重ねられてそれぞれの長手
方向端部が電極20に接合された後、波箔11と平箔1
2とが重なった状態のまま電極20の周りに巻回され、
巻き締めた構造の渦巻状の金属箔積層体10として構成
されている。また、このように渦巻状金属箔積層体10
を形成した後、積層体10はコーン9内に挿入され、積
層体10の外周部はコーン9内周面に導通可能に接続さ
れる。
【0021】図3はこのように構成された渦巻状金属箔
積層体(ヒータ付触媒)10の、図1の矢印III-III 側
からみた端面(排気流れ方向上流側端面)を示すもので
ある。前述のように波箔11と平箔12とを重ねて中心
電極周りに巻回した結果、渦巻状積層体10は、図3に
示すように波箔11と平箔12との間の空隙により形成
された軸線方向の通路31が中心電極20の周りに渦巻
き状に配列した構成となっている。また、波箔11、平
箔12の表面には排気浄化触媒が担持されており、触媒
装置1のコーン9が内燃機関の排気系に接続されて排気
ガスが上記軸線方向通路31を通して流れることによ
り、排気中の有害成分が触媒と接触して排気ガスが浄化
される。
【0022】波箔11と平箔12とは一般に、アルミニ
ウムを含有する鉄系合金(例えば、20%Cr−5%A
l−75Fe)等の、厚さ50μm程度の箔材から構成
される。また、以下に説明する通電加熱式触媒装置で
は、これら波箔11と平箔12の表面には必要に応じて
予め、例えばアルミナ(Al2 3 )等の金属酸化物か
らなる厚さ1μm程度の電気的絶縁層が形成されてい
る。このアルミナ層は、電気的絶縁層として機能する
他、触媒を担持する担持層としての機能を有するため、
前述のアルミナ絶縁層を有していない金属箔(以下「生
箔」という)を使用して積層体を形成した場合には、積
層体形成後に全体を焼成することにより生箔表面に絶縁
層を形成することができる。このアルミナ層には、含浸
等により白金Pt、ロジウムRh、パラジウムPd等の
触媒成分が担持される。
【0023】また、以下の実施例では、渦巻状金属箔積
層体10の上流側端面では、波箔11と平箔12とは局
所的に電気的に接合され、これらの接合部により中心電
極20からコーン9に向かう放射状の電流路が形成され
ている。図3に黒塗りの点で示されるのは波箔11と平
箔12とが導通可能に接続された点であり、図3の例で
はこれらの接合部により中心電極から十字状に延びる電
流路32が形成されている。
【0024】図4は、図3の IV − IV 線に沿った断面
を示すものである。図4に示すように、波箔11と平箔
12との導通可能な接合部43は箔の幅方向全体には設
けられておらず、渦巻状金属箔積層体10の上流側端面
近傍(例えば、端面から3mm程度以下の深さ)にのみ
設けられている。これらの導通接合部43は、例えば、
金属箔積層体形成時にレーザ溶接等により、金属箔表面
の絶縁層を破壊して金属箔母材を接合することによって
形成される。また、導通接合部43を形成する部分の波
箔11と平箔12との間に、絶縁被膜(Al2 3 )を
構成する金属(アルミニウムAl)より還元性の強い金
属(例えば、ジルコニウムZr)を含むロウ材箔を巻き
込んで積層体を構成し、全体を加熱することにより酸化
被膜を還元しつつ波箔11と平箔12とをロウ付け接合
するようにしてもよい。
【0025】前述のように渦巻状金属箔積層体10に極
めて狭い断面積の電流路32を形成した結果、通電時に
は電流はこの電流路32に局部的に集中して流れるた
め、電流路32では短時間で温度が上昇し、担持された
触媒が活性化温度(例えば300から400℃)に到達
する。なお、このように電流路32を形成したため、通
電時には電流路32(正確には波箔11と平箔12との
導通接合部)のみが集中的に加熱され、他の部分より早
く触媒活性化温度に到達することになるが、これらの導
通接合部で触媒作用が開始されると、未燃HC等の酸化
により発生した熱が導通接合部の周囲に伝達され、周囲
の部分でも連鎖的に触媒が活性化して行くため、短時間
で渦巻状金属箔積層体10の全体が活性化温度に到達す
る。すなわち、電流路32を構成する波箔11と平箔1
2との導通接合部は、いわば火種としての機能を果たし
ている。
【0026】従って、短時間で全体の温度を上昇させる
ためには、金属箔積層体(ヒータ付触媒)10の熱容量
をできるだけ小さくすることが好ましい。ところが、従
来のように、電極20を中実の金属棒で構成している
と、積層体を構成する金属箔の熱容量に対して中心電極
の熱容量が大きくなるため、ヒータ付触媒の熱容量全体
が増大し、前述のようにヒータ付触媒全体の昇温に時間
を要する問題が生じる。そこで、本発明では電極20を
中空パイプ状に形成することにより、この問題点を解決
している。
【0027】図5は、本発明の電極構造を実施する通電
加熱式触媒装置の部位を拡大して示すものである。な
お、図5において、図1から図4で説明した部材と同じ
部材には同じ参照符号が付してある。図5に示すよう
に、本発明の電極構造に使用される電極20は中実金属
棒から形成されておらず、耐熱金属(例えば、ステンレ
ス鋼)製の中空パイプから形成されている。電極20
は、図1で説明したように、ヒータ付触媒10の下流側
で折り曲げられ、コーン9を貫通して外部に取り出され
ている。この電極20の貫通部25における構造が本発
明であり、後に詳述する。
【0028】このように中空パイプ状の電極を採用した
ことにより、中実の電極を使用した場合に較べて、電極
の曲げ剛性等の強度を高く維持しながら電極の熱容量を
大幅に低減することが可能となる。このため、機関始動
時にヒータ付電極10の導通接合部で発生した熱量のう
ち、電極の温度を上昇させるために消費される熱量の割
合が低減され、同一の発生熱量でも短時間でヒータ付電
極全体の温度を上昇させることが可能となる。これによ
り、機関始動後の排気性状の悪化を効果的に防止するこ
とが可能となる。また、従来の中実電極に較べて中空パ
イプ状電極を使用したことにより、電極の重量を低減す
ることができ、触媒装置全体の軽量化を図ることが可能
となる。
【0029】さらに、電極20を中空パイプ状に形成し
たことにより、電極の金属部質量に対する電極外周部面
積の比は中実棒状電極を使用した場合に較べて極めて大
きくなる。このため、貫通部25の外側で大気に接触し
ている電極20の部分では放熱が促進され、機関通常運
転時の電力供給導線接続部近傍の電極温度の上昇を抑制
することができ、電極20に接続される導線35の耐久
性を向上させることができる。
【0030】図5において、コーン9は、排気入口フラ
ンジ7が接続される入口部分9a、ヒータ付触媒10が
収納される円筒状部分9c及び入口部分9aと円筒状部
分9cとを接続する拡大管部分9b、円筒状部分9cと
下流側触媒15を収納する円筒状ケーシング5とを接続
する第2の拡大管部分9dとから構成されている。コー
ン9のこれらの部分9a〜9dは、従来は別々に製作さ
れて互いに溶接されていたが、図5の実施例ではコーン
9にステンレス管を使用し、ステンレス管を拡径及び縮
径加工することによりコーン9全体を一体に成形してい
る。即ち、図5に示したコーン9は、円筒状部分9cと
同じ径のステンレス素管を用いて、入口部分9a及び拡
大管部分9bに相当する部分を縮径加工により形成する
と共に、第2の拡大管部分9dに相当する部分を拡径加
工により形成している。
【0031】このように、コーン9をステンレス管の拡
縮加工で一体に形成したことにより、溶接部の数は円筒
状ケーシング5及び排気入口フランジ7とコーン9との
接続部のみに低減できるため、コーン9の製作工数を大
幅に低減することができると共に、各部分の寸法精度を
向上させることができる。また、図5に示した通電加熱
式触媒装置では、そのケーシング5の接地電極を別途溶
接せずに、排気入口フランジ7を接地電極として使用し
ている。すなわち、排気入口フランジ7を排気通路に取
り付けるフランジボルト52を利用して接地導線53の
端子54を共締めしている。これにより、接地電極を別
途設けることなくコーン9を接地することが可能となる
ため、溶接による歪が防止され、コーン9の周囲に取り
付ける保温材の均一な取付けを行うことができる他、コ
ーン9の製作及び組付け工数を低減することが可能とな
っている。
【0032】次に、電極20のコーン9の貫通部25に
おける本発明の実施例の構造について説明する。なお、
前述のように、貫通部25においては排気ガスの流れや
車両の振動に対して電極20をコーン9に堅固に固定す
るとともに、電極20とコーン9とを電気的に絶縁して
電極20とコーン9との間で短絡が生じることを防止す
る必要がある。また、貫通部から排気ガスが外部に洩れ
ることを防止するため、ガスシールの機能を備える必要
がある。
【0033】図6は本発明の通電加熱式触媒の電極構造
の第1の実施例の構造を示す図1の電極貫通部の部分拡
大断面図である。第1の実施例では、コーン9のパイプ
状電極(中心電極)20の貫通部25において、中空パ
イプ状電極20は円筒状の電極支持ホルダ6を介してコ
ーン9に貫通固定されている。電極支持ホルダ6は金属
製であり、その外周面がコーン9に開けられた貫通孔9
0に溶接Wによって固定されている。電極支持ホルダ6
には貫通孔6Hがあり、ホルダ6の上面6A、下面6
B、及び貫通孔6Hの内周面6Cには絶縁被膜8が形成
されている。また、電極支持ホルダ6の上面6Aと内周
面6Cの境界部、及び下面6Bと内周面6Cの境界部に
は面取り部6D,6Eがそれぞれ設けられている。面取
り部6D,6EはR面取りが望ましく、この面取り部6
D,6Eにより、電極支持ホルダ6の上面6A、下面6
B、及び内周面6Cに形成される絶縁被膜8の厚さが均
一になる。更に、この面取り部6D,6Eにより、電極
支持ホルダ6の絶縁被膜8の形成面に角部がないので、
絶縁被膜8の剥離を防止することができる。
【0034】パイプ状電極20は、絶縁被膜8が形成さ
れた電極支持ホルダ6の貫通孔6Hの内径よりも50〜
500μmだけ外径が小さいパイプから形成されてい
る。そして、パイプ状電極20は絶縁被膜8が上面6
A、下面6B、及び内周面6Cに形成された電極支持ホ
ルダ6に挿通された後、拡管成形されて電極支持ホルダ
6に密着固定される。なお、パイプ状電極20には、電
極支持ホルダ6の下面6Bと内周面6Cの境界部にある
面取り部6Eに係合する第1の拡径部21と、電極支持
ホルダ6の上面6Aと内周面6Cの境界部にある面取り
部6Dに係合する第2の拡径部22とがある。
【0035】また、パイプ状電極20は、電極支持ホル
ダ6に挿通する側の先端部23を先細状に形成してお
く。この形状により、パイプ状電極20を電極支持ホル
ダ6に挿入する時の挿入動作が行ない易くなり、また、
前述のパイプ状電極20と電極支持ホルダ6との間の隙
間により、パイプ状電極20の電極支持ホルダ6への挿
入時に、先端部23が電極支持ホルダ6に形成された絶
縁被膜8に当たり、膜を傷つけるのを防止することがで
きる。
【0036】そして、パイプ状電極20を拡管によって
電極支持ホルダ6の絶縁被膜8に密着させると、拡管時
にも絶縁層8を剥がすような力が作用せず、拡管後は絶
縁層8の剥離を防止するように作用する。また、拡管寸
法の自由度が大きいので、電極支持ホルダ6の内径寸法
に高い精度は必要がない。更に、拡管するとパイプ状電
極20は相手方の形状に倣うため、電極支持ホルダ6の
内周面に形成された絶縁被膜8の表面に凹凸があっても
完全に密着し、ガス漏れを防止することができる。
【0037】更にまた、電極支持ホルダ6の下面6Bと
内周面6Cの境界部にある面取り部6Eに係合する第1
の拡径部21と、電極支持ホルダ6の上面6Aと内周面
6Cの境界部にある面取り部6Dに係合する第2の拡径
部22とは、面取り部6D,6Eにそれぞれ倣う形状で
形成されるので、この第1、第2の拡径部21,22は
ガスシールの機能も持つが、パイプ状電極20に大きな
引抜き力や押さえ力が作用しても、パイプ電極20を電
極支持ホルダ6に固定するので、電極構造が強固なもの
となり、通電加熱式触媒の耐久性が向上する。
【0038】ここで、電極支持ホルダ6の上下に形成さ
れるパイプ状電極20の第1、第2の拡径部21,22
の作り方について、図8及び図9を用いて説明する。図
8(a) 〜(c) は中空のパイプ状電極20に第1の拡径部
を形成する手順を説明するものである。図8(a) は拡径
を行なう前の中空のパイプ状電極20の断面図であり、
符号L1で示す部位が拡径を行う場所であるとする。パ
イプ状電極20の拡径を行う場合は、まず、図8(b) に
示すように、パイプ状電極20に芯金材2を挿入すると
共に、拡管する部位L1の軸線方向の両側に押圧チャッ
ク4A,4Bを取り付けてパイプ状電極20を把持させ
る。そして、この状態で、押圧チャック4A,4Bに矢
印方向に圧力を加えて部位L1が局部的に圧縮されるよ
うにする。すると、パイプ状電極20の部位L1が外側
に膨らみ、その部分に第1の拡径部21が形成される。
【0039】次に、第1の拡径部21が形成されたパイ
プ状電極20に電極支持ホルダ6を挿通して、パイプ状
電極20に密着させる工程を図9を用いて説明する。図
9(a) は図8(c) の状態のパイプ状電極20に電極支持
ホルダ6を嵌め、パイプ状電極20に第2の拡径部22
を作ることによって、パイプ状電極20を電極支持ホル
ダ6に密着固定する工程を説明する説明図である。
【0040】パイプ状電極20の電極支持ホルダ6が挿
入されない側の先端部は、まず、芯金材2Aが突設され
たベース部材2Bの芯金材2Aに挿通される。この芯金
材2Aは、電極支持ホルダ6の先端部が芯金材2Aが突
設されたベース部材28に挿通された状態で、第1の拡
径部21の位置まで届く高さである。この状態で、パイ
プ状電極20の自由端側から、内周面に絶縁被覆8が形
成された電極支持ホルダ6が挿入される。電極支持ホル
ダ6はパイプ状電極20の第1の拡径部21の位置で止
まる。
【0041】この後、ベース部材2Bと第1の拡径部2
1との間のパイプ状電極20に押圧チャック4Cが取り
付けられ、押圧チャック2Dが電極支持ホルダ6の他端
部側の第2の拡径部22を作るパイプ状電極20の部位
L2の近傍に取り付けられる。また、パイプ状電極20
の自由端部には注入孔72のあるシールキャップ71が
取り付けられ、この注入孔72は注入管73を介して圧
送ポンプ70に接続される。
【0042】そして、この状態で、押圧チャック4C,
4Dに矢印方向に圧力を加えると共に、圧送ポンプ70
から溶液を圧送してパイプ状電極20の内部に液圧を引
加する。この結果、パイプ状電極20の部位L2には局
部的に軸線方向の圧縮力と、液圧による内圧が引加さ
れ、パイプ状電極20の部位L2が外側に膨らみ、その
部分に第2の拡径部22が形成される。また、液圧によ
ってパイプ状電極20は全体的に拡管され、電極支持ホ
ルダ6に密着する。
【0043】図9(b) はこの図9(a) の工程によって電
極支持ホルダ6に密着固定された中空のパイプ状電極2
0を示す断面図である。パイプ状電極20は拡管によっ
て電極支持ホルダ6の絶縁被膜8に密着し、しかも拡管
時には絶縁層8を剥がすような力は作用しないので、拡
管後は絶縁層8の剥離を防止するように作用する。ま
た、拡管するとパイプ状電極20の外周部は電極支持ホ
ルダ6の内周面の形状に倣うため、電極支持ホルダ6の
内周面に形成された絶縁被膜8の表面に凹凸があっても
完全に密着し、ガス漏れを防止することができる。更
に、パイプ状電極20の第1の拡径部21と第2の拡径
部22とは、パイプ状電極20の内部に注入された液体
の液圧で膨張するので、電極支持ホルダ6の面取り部6
D,6Eにそれぞれ倣う形状で形成されるので、この第
1、第2の拡径部21,22はガスシールの機能も持つ
と共にパイプ状電極20への引抜き力や押さえ力に対し
て、パイプ電極20と電極支持ホルダ6との固定を保持
する。
【0044】図10は本発明の通電加熱式触媒の電極構
造の第2の実施例の構造を示す図1の電極貫通部の部分
拡大断面図である。第2の実施例では、コーン9のパイ
プ状電極(中心電極)20の貫通部25において、中空
のパイプ状電極20は電極支持ホルダ60を介してコー
ン9に貫通固定されている。電極支持ホルダ60は第2
の実施例では貫通孔6Hの内径が中空のパイプ状電極2
0より僅かに大きい金属パイプで作られており、その両
端部が外側に湾曲させられて湾曲部61及び折り返し部
62が設けられている。この湾曲部61により電極支持
ホルダ60に面取り部が形成されると共に、電極支持ホ
ルダ60の剛性が高まる。また、湾曲部61により、熱
膨張、収縮時の応力が緩和される。
【0045】そして、第2の実施例では電極支持ホルダ
60の貫通孔6Hの内周面63と、電極支持ホルダ60
の湾曲部61の外周面とには第1の実施例の電極支持ホ
ルダ6と同様に絶縁被膜8が形成されており、電極支持
ホルダ60の折り返し部62の外周面がコーン9に開け
られた貫通孔90に溶接Wによって固定されている。。
このように折り返し部62の外周面をコーン9に溶接す
るのは、薄板に溶接した時の裏ビードによる絶縁被膜8
の破壊を防止するためである。
【0046】第2の実施例では電極支持ホルダ60の両
端部に湾曲部61があるので、電極支持ホルダ6の内周
面63と湾曲部61の外周面に形成される絶縁被膜8の
厚さが均一になる。更に、この湾曲部61により、電極
支持ホルダ60の絶縁被膜8の形成面に角部がないの
で、絶縁被膜8の剥離を防止することができる。パイプ
状電極20には第1の実施例と同じものを使用すれば良
く、パイプ状電極20は、絶縁被膜8が形成された電極
支持ホルダ6の貫通孔6Hの内径よりも50〜500μ
mだけ外径が小さいパイプから形成されている。そし
て、パイプ状電極20は、絶縁被膜8が内周面63と湾
曲部61の外周面に形成された電極支持ホルダ60に挿
通された後、拡管成形されて電極支持ホルダ60に密着
固定され、第1の実施例と同様に、第1の拡径部21と
第2の拡径部22とによって電極支持ホルダ60に係止
される。
【0047】従って、第2の実施例の電極支持ホルダ6
0によっても、パイプ状電極20の拡管時にも絶縁層8
を剥がすような力が作用せず、拡管後は絶縁層8の剥離
を防止するように作用する。また、拡管寸法の自由度が
大きいので、電極支持ホルダ60の内径寸法に高い精度
は必要がないことも同様である。更に、拡管するとパイ
プ状電極20は相手方の形状に倣うため、電極支持ホル
ダ60の内周面に形成された絶縁被膜8の表面に凹凸が
あっても完全に密着し、ガス漏れを防止することができ
る点と、パイプ状電極20の第1の拡径部21と第2の
拡径部22とにより、パイプ状電極20に大きな引抜き
力や押さえ力が作用しても、パイプ電極20を電極支持
ホルダ6に固定するので、電極構造が強固なものとな
り、通電加熱式触媒の耐久性が向上する点も第1の実施
例と同様である。
【0048】更にまた、第2の実施例では、電極支持ホ
ルダ60が金属性のパイプ材で形成され、湾曲部61と
折り返し部62とを備えているために、電極支持ホルダ
60の内周面63の裏側に空隙部64が存在することに
なり、この空隙部64によってコーン9の熱がガスシー
ル部に伝え難くなると共に、空隙部64によって放熱が
行なわれるので、ガスシール部の耐久性が高まる。
【0049】なお、第2の実施例における電極支持ホル
ダ60は、必ずしもパイプ材で形成する必要はなく、肉
厚を薄くした削り出し材を用いても、軽量性、冷却性の
向上を計ることができる。次に、以上説明した電極支持
ホルダ6、60に絶縁被膜8を形成する方法について図
11から図13を用いて説明する。
【0050】図11は電極支持ホルダ6、60に絶縁被
膜8を形成するための型70の構成を説明する一部切欠
斜視図である。型70は熱膨張率の小さい部材、例え
ば、厚さが均一のセラミックス板から構成されており、
この型70の上面71には複数個の円形の穴80が設け
られている。この穴80は、電極支持ホルダ6,60の
外径よりも僅かに大きな内径と、電極支持ホルダ6,6
0の両端間の長さよりも深い高さを備えており、この穴
の深さは型70の板圧よりも小さくなっている。そし
て、各穴80の底面81には、穴80の内径よりも径の
小さい貫通孔82が設けられている。穴80の内径は電
極支持ホルダ6,60の外径よりも大きいので、これら
の穴80に電極支持ホルダ6,60は容易に挿入するこ
とができる。
【0051】図12は図11に示した型70に電極支持
ホルダ6を挿入して絶縁被膜8を形成する方法を説明す
るものである。図12(a) は図11の型70に電極支持
ホルダ6を挿入して、電極支持ホルダ6をその底面81
に着座させた状態を示すものである。穴80の内径は電
極支持ホルダ6の外径よりも大きいので、常温において
は、穴80に電極支持ホルダ6は容易に挿入したり、取
り出したりすることができる。
【0052】図12(b) は図12(a) の状態で型70を
高温炉に入れ、酸化雰囲気中で所定時間加熱して電極支
持ホルダを焼成する工程を示すものである。セラミック
スよりも電極支持ホルダ6の熱膨張率が大きいため、高
温炉内で温度が上昇すると、電極支持ホルダ6は膨張し
てその外径が大きくなるが、穴80の内径は殆ど変わら
ない。この結果、高温炉内では穴80の内周面に電極支
持ホルダ6の外周面が密着し、その間に空気の層が無く
なる。この状態で温度を加えると、図12(c)に示すよ
うに、電極支持ホルダ6の上面6A、内周面6C、及び
下面6Bの空気に触れている部分に酸化膜が絶縁被膜8
として形成される。穴80の底面81に設けられた貫通
孔82は、この電極支持ホルダ6の下面6Bに空気が十
分に行き渡るように設けられているものである。
【0053】絶縁被膜8の形成方法としては、電極支持
ホルダ6をフェライト系SUS材、特に、SUS43
0、またはSUS430MT(この材料は高温酸化しに
くいので、この材料を使用する場合は表面に酸化助剤
(塩基剤)を使用した方が良い)で構成し、酸化雰囲気
中で高温焼成する。この高温焼成の条件は、例えば、温
度1000℃で5時間である。この条件で焼成を行なう
と、電極支持ホルダ6の表面に、図13に示すように、
100〜250μmの第1酸化膜層83と第2酸化膜層
84からなる2層の酸化被膜が得られる。第1酸化膜層
83はα(またはγ)Fe2 3 、FeCrO4 で形成
され、第2酸化膜層84はFe2 3 、Fe 3 4 で形
成される。
【0054】なお、絶縁被膜8の形成方法としては、こ
の方法の他に、アルミを含む耐熱鋼を酸化雰囲気中で高
温焼成して母材の表面にAl2 3 を析出させる方法、
CVD法等があるが、本発明の通電加熱式触媒の電極構
造にとっては、図11,図12に示した方法が適当であ
る。これは、以上説明した本発明の方法による絶縁被膜
8の形成は、特別な材料や設備を必要としないため、他
の方法に比べて非常に安価に電極支持ホルダ6に絶縁被
膜8を形成することができるからである。
【0055】なお、本発明の方法による電極支持ホルダ
6の表面への絶縁被膜8の形成では、絶縁被膜8の膜厚
のばらつきが50〜100μm程度と大きく、また、表
面が粗い。そして、この表面粗さを加工処理で修正しよ
うとしても、絶縁被膜8が脆いために加工処理は困難で
ある。従って、前述の方法によって作られた絶縁被膜8
を備えた電極支持ホルダ6に対しては、電極20を圧入
したり、焼き嵌めしたりすることは困難であり、図6,
図10で説明した本発明の通電加熱式触媒の電極構造に
対してのみ、採用することができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の通電加熱
式触媒の電極構造によれば、ヒータに接続される電極の
熱容量を低減して機関始動後の触媒の暖機が阻害され
ず、また、電極と電極支持ホルダとを密着させる場合の
電極及びホルダの各々の部品に細かい寸法精度が必要な
く、更に、電極を電極支持ホルダに挿入する際における
ホルダ側の絶縁被膜が損傷しないという効果がある。ま
た、ホルダを中空の円筒部材の上下部分の外側への折り
曲げによって形成すれば、ホルダ自体の熱容量が小さく
なるので、触媒が保持されたケースからの熱が電極、ホ
ルダの接触部に伝わり難くなると共に、ホルダからの放
熱作用も加わって、ガスシール部の耐久性が向上する。
【0057】一方、本発明の通電加熱式触媒の電極構造
における電極ホルダへの絶縁被膜形成方法によれば、電
極支持ホルダへの絶縁被膜の形成を低コストで大量に、
かつ確実に行なえるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】通電加熱式触媒装置の一般的構造を示す断面図
である。
【図2】通電加熱式触媒装置におけるヒータ付触媒の形
成方法を説明する図である。
【図3】図1の矢印III-III 線側の端面を示す図であ
る。
【図4】図3のIV-IV 線に沿った断面図である。
【図5】本発明の電極構造を適用する通電加熱式触媒装
置の要部の部分拡大断面図である。
【図6】本発明の通電加熱式触媒の電極構造の第1の実
施例の構造を示す図1の電極貫通部の部分拡大断面図で
ある。
【図7】図6の電極構造に使用する電極の構成の一例を
示す電極先端部の部分拡大断面図である。
【図8】中空のパイプ状電極に拡径部を形成する手順を
説明するものであり、(a) は拡径を行なう前の中空のパ
イプ状電極の断面図、(b) は中空のパイプ状電極に芯金
材を挿入すると共に、拡径する部位の両側に押圧チャッ
クを取り付け、中空のパイプ状電極の一部分に圧力をか
ける状態を示す断面図、(c) は(b) の工程によって形成
された拡径部を備えた中空のパイプ状電極の断面図であ
る。
【図9】(a) は図8(c) の状態の中空のパイプ状電極に
電極支持ホルダを嵌め、中空のパイプ状電極を拡径する
ことによって中空パイプ状電極を電極支持ホルダに密着
固定する工程を説明する説明図、(b) は(a) の工程によ
って電極支持ホルダに密着固定された中空のパイプ状電
極を示す断面図である。
【図10】本発明の通電加熱式触媒の電極構造の第2の
実施例の構造を示す図1の電極貫通部の部分拡大断面図
である。
【図11】本発明の通電加熱式触媒の電極構造に使用す
る電極支持ホルダに絶縁被膜を形成するための型の構成
を説明する一部切欠斜視図である。
【図12】本発明の通電加熱式触媒の電極構造に使用す
る電極支持ホルダに絶縁被膜を形成する方法を説明する
ものであり、(a) は図11の型に電極支持ホルダを装着
した状態を示す部分拡大断面図、(b) は(a) の状態で型
を酸化雰囲気中で所定時間加熱して電極支持ホルダを焼
成する工程を示す(a) と同じ部位の断面図、(c) は(b)
の工程により、電極支持ホルダの内周面に絶縁被膜が形
成された状態を示す同じ部位の断面図である。
【図13】図12に示した工程により電極支持ホルダの
表面に形成された絶縁被膜を拡大して示す部分拡大断面
図である。
【符号の説明】
1…触媒装置全体、 6…電極支持ホルダ 6A…上面 6B…下面 6C…内周面 6H…貫通孔 9…拡管形状のコーン 10…ヒータ付触媒(渦巻状金属箔積層体) 20…電極(中心電極) 21…第1の拡径部 22…第2の拡径部 25…コーンの壁面を貫通する部分(貫通部) 60…電極支持ホルダ 61…湾曲部 62…折り返し部 63…内周面 64…空隙部 70…型 80…穴 81…底面 82…貫通孔 83…第1酸化膜層 84…第2酸化膜層 90…貫通孔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気通路内に、排気浄化触媒と触媒加熱
    用電気ヒータとが配置され、前記電気ヒータに通電を行
    う棒状電極が前記排気通路の壁面に取り付けられた電極
    支持ホルダを気密状態で貫通して外部に延設された通電
    加熱式触媒の電極構造であって、 前記棒状電極を中空パイプ状に形成し、 前記電極支持ホルダの前記棒状電極に接する内周面には
    絶縁被膜を施し、 前記棒状電極を前記電極支持ホルダに挿通した状態で、
    前記棒状電極における前記電極支持ホルダに対応する部
    位を拡管して前記棒状電極を前記電極支持ホルダに密着
    固定したことを特徴とする通電加熱式触媒の電極構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の通電加熱式触媒の電極
    構造であって、 前記棒状電極の一方の端部と、前記電極支持ホルダの内
    周面の両端部に、面取加工処理を施したことを特徴とす
    るもの。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の通電加熱式触媒の電極
    構造であって、 前記電極支持ホルダを円筒状部材で形成し、その両端部
    は外側に折り曲げて湾曲部を形成し、この一方の湾曲部
    を前記排気通路の壁面に固着したことを特徴とするも
    の。
  4. 【請求項4】 請求項1から3の何れか1項に記載の電
    極支持ホルダの内周面に絶縁被膜を施す方法であって、 前記電極支持ホルダの外径よりも僅かに大きな内径と、
    前記電極支持ホルダの両端間の長さよりも深い高さを備
    えた円形の穴を複数個備え、各穴の底面には前記内径よ
    りも径の小さい貫通孔が設けられ、熱膨張率の小さな部
    材で形成された型を準備し、 前記各穴に前記電極支持ホルダを挿入し、 この状態で前記型を酸化雰囲気中で所定時間加熱し、前
    記電極支持ホルダを焼成することを特徴とするもの。
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