JPH09325147A - 色素標識重合抗体およびその製造方法 - Google Patents

色素標識重合抗体およびその製造方法

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JPH09325147A
JPH09325147A JP9078104A JP7810497A JPH09325147A JP H09325147 A JPH09325147 A JP H09325147A JP 9078104 A JP9078104 A JP 9078104A JP 7810497 A JP7810497 A JP 7810497A JP H09325147 A JPH09325147 A JP H09325147A
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修行 重藤
Kimimasa Miyazaki
仁誠 宮崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多官能性試薬により抗体を重合し、この重合
抗体をシアニン系色素で標識することにより、高い感度
の色素標識重合抗体を提供する。 【解決手段】 PBS中で、DTSSPを用いて抗体
(マウスIgG等)を重合して重合抗体を調製し、これ
に、下記式(化1)で示されるシアニン系色素を加えて
撹拌することによって色素標識重合抗体が得られる。こ
の色素標識重合抗体は、抗原との反応部位が多数あるた
め、従来の色素標識抗体に比べ高感度である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアニン系色素で
標識された重合抗体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、色素標識抗体は、その反応特
異性を利用して免疫クロマトグラフィー等の分析に使用
されている。抗体を標識する色素としては、反応性に富
む官能基を有するシアニン系色素がしばしば使用されて
いる(Bioconjugate Chemistry
VOL.4 No.2 pp105−111 199
3)。このようなシアニン系色素は、その官能基が抗体
のアミノ基あるいはカルボキシル基と反応して共有結合
し、1分子の抗体に対して20〜50分子の前記色素が
結合する。このようにして作製された色素標識抗体は、
一般に視認性がよく、例えば、免疫クロマトグラフィー
に適用され、妊婦の尿中にのみ存在するヒト絨毛性ゴナ
ドトロピン(hCG)等の微量成分の検出が行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の色素標
識抗体では検出レベルに限界があり、検出対象物が低濃
度である場合は、その検出が困難であった。
【0004】したがって、本発明の目的は、検出対象物
が低濃度であっても、その検出が可能な高感度の色素標
識重合抗体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の色素標識重合抗体は、多官能性試薬により
抗体が重合され、この重合抗体がシアニン系色素により
標識されている。
【0006】すなわち、従来の色素標識抗体は、抗原に
結合する部位が2か所しかないため、その感度に限度が
あった。しかし、本発明の色素標識重合抗体は、抗体が
重合しているため、抗原に結合する部位も多数有し、感
度が極めて優れるものである。したがって、本発明の色
素標識重合抗体を、例えば、免疫クロマトグラフィーに
用いれば、低濃度であっても、分析対象物を高感度で検
出できる。また、その高感度から、本発明の色素標識重
合抗体は、バイオセンサーにも適用可能である。
【0007】本発明において用いる抗体は、特に制限さ
れず、その由来やサブクラス等に関係なく使用できる。
例えば、本発明に用いることができる抗体(イムノグロ
ブリン、Ig)としては、マウスIgG、マウスIg
M、マウスIgA、マウスIgE、ラットIgG、ラッ
トIgM、ラビットIgG、ラビットIgM、ヤギIg
G、ヤギIgM、ヒツジIgG,ヒツジIgM等があげ
られる。これらの抗体は、市販品として入手しても、直
接その動物から採取してもよい。
【0008】前記多官能性試薬としては、ジチオビス
(スルホスクシンイミジルプロピオネート)[DTSS
P]が好ましい。
【0009】前記シアニン系色素は、前記式(化1)で
示されるシアニン系色素が好ましい。この色素は、肉眼
で確認することが容易な赤色系統の色素だからである。
しかし、機械で確認するセンサー等の場合は、他の色系
統の色素であってもよい。
【0010】前記式(化1)において、Xで示されるハ
ロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素
があげられる。また、Mで示される金属としては、リチ
ウム、ナトリウム、カリウムがあげられる。
【0011】そして、本発明の色素標識重合抗体では、
重合抗体と前記式(化1)で示されるシアニン系色素の
色素骨格とが、共有結合により結合していることが好ま
しい。前記共有結合は、前記シアニン系色素のスクシン
イミジル基と抗体のアミノ基との反応による共有結合が
一般的である。
【0012】本発明の色素標識重合抗体において、抗体
の重合度は、通常、2〜50の範囲である。
【0013】つぎに、本発明の色素標識重合抗体の製造
方法は、pHが中性または弱アルカリ領域の緩衝液中で
多官能性試薬を用いて抗体を重合する工程と、この緩衝
液中にシアニン系色素を添加して前記重合された抗体を
標識する工程とを含む方法である。
【0014】前記緩衝液としては、リン酸緩衝液(PB
S)が好ましい。前記緩衝液のpHは、通常、7.0〜
8.0の範囲である。
【0015】
【発明の実施の形態】前記シアニン系色素は、例えば、
下記式(化2)で示されるカルボン酸誘導体を有機溶媒
中に溶解し、これにヒドロキシコハク酸イミドを加えて
撹拌することによって作製できる。
【0016】
【化2】
【0017】下記式(化3)に、前記式(化1)で示さ
れるシアニン系色素の合成経路の一例を示し、以下にそ
の各合成反応について説明する。
【0018】
【化3】
【0019】まず、下記式(化5)で示されるインドレ
ニウムスルホネートは、下記式(化4)で示されるヒド
ラジノベンゼンスルホン酸と0.5〜2モル比のイソプ
ロピルメチルケトンとを、酸性溶媒、例えば酢酸に溶解
し、約70〜130℃で1〜5時間加熱することによっ
て得ることができる。
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】下記式(化6)で示されるインドレニウム
スルホネートの金属塩は、例えば前記式(化5)で示さ
れるインドレニウムスルホネートのアルコール溶液、例
えばメタノール溶液に、例えば水酸化カリウム飽和のイ
ソプロピルアルコールを加えることによって、カリウム
塩として得ることができる。
【0023】
【化6】
【0024】下記式(化7)で示されるカルボキシアル
キルインドレニウムスルホネートの金属塩は、前記式
(化6)で示されるインドレニウムスルホネートの金属
塩、例えばカリウム塩の有機溶媒溶液、例えばオルトジ
クロルベンゼン溶液に、等モルのハロゲン化アルキル
酸、例えばヨードプロピオン酸を加え、約80〜130
℃で2〜12時間加熱することにより、カルボキシエチ
ルインドレニウムスルホネートカリウム塩として得るこ
とができる。ここでハロゲン化アルキル酸の炭素数は、
水に対しての溶解性を考え、1〜4が好ましい。特に炭
素数3のヨードプロピオン酸は、水溶性およびインドレ
ニンへの反応性に富んでいるため有用である。
【0025】
【化7】
【0026】前記式(化2)で示されるカルボン酸誘導
体は、前記式(化7)で示されるカルボキシアルキルイ
ンドレニウムスルホネートの金属塩、例えばカルボキシ
エチルインドレニウムスルホネートのカリウム塩と0.
5〜2モル比のオルトギ酸エチルとを塩基性有機溶媒、
例えばピリジンに溶解し、約80〜120℃で1〜3時
間加熱することによって、プロピオン酸誘導体として得
ることができる。
【0027】そして、前記式(化1)で示されるシアニ
ン系色素は、前記式(化2)で示されるカルボン酸誘導
体の有機溶媒溶液、例えばジメチルホルムアミド溶液中
に、0.5〜2モル比のヒドロキシコハク酸イミドと、
縮合剤として0.5〜2モル比のジシクロヘキシルカル
ボジイミドとを加えて、2〜12時間撹拌することによ
り得ることができる。
【0028】なお、前記式(化1)、前記式(化2)お
よび前記式(化7)で示される各化合物に含まれるハロ
ゲンとしては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素があ
げられる。また、前記式(化1)、前記式(化2)、前
記式(化6)および前記式(化7)で示される各化合物
に含まれる金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリ
ウム塩、カリウム塩などがあげられる。
【0029】つぎに、本発明において使用される多官能
性試薬は、タンパク質と結合可能な官能基(例えば、ス
クシンイミジルエステル基)を同一分子内に2つ以上有
する試薬があげられる。例えば、前記DTSSPの他
に、下記式(化8)に示すビス(スルホスクシンイミジ
ル)スベレート[BS3 ]、下記式(化9)に示すジス
クシンイミジルタートレート[DST]、下記式(化1
0)に示すエチレングリコールビス(スクシンイミジル
スクシネート)[EGS]、下記式(化11)に示すN
−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロ
ピレート[SPDP]などがあげられる。
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】このようなスクシンイミジルエステル基を
2つ以上有する試薬による抗体の重合のメカニズムを、
下記式(化12)から下記式(化15)に基づき説明す
る。
【0035】まず、下記式(化12)に示すように、抗
体に対し、スクシンイミジルエステル基を2つ以上有す
る試薬を配合すると、下記式(化13)に示すように、
前記試薬の一つのスクシンイミジルエステル基のエステ
ル結合部分に、抗体のアミノ基が接近する。
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】そして、下記式(化14)に示すように、
前記アミノ基と前記エステル結合部分とが反応し、前記
アミノ基から水素原子が一個奪われて前記スクシンイミ
ジルエステル基からスクシンイミドがヒドロキシスクシ
ンイミドとなって脱離する。これと同時に、前記スクシ
ンイミジルエステル基の残りの部分と前記水素原子が一
個奪われたアミノ基とがアミド結合を形成し、このアミ
ド結合によって前記試薬と前記抗体とが結合する。
【0039】
【化14】
【0040】そして、前記試薬の他のスクシンイミジル
エステル基においても前記と同様の反応が起き、下記式
(化15)に示すように、前記試薬と他の抗体とがアミ
ド結合により結合する。この反応を繰り返すことにより
抗体が重合される。
【0041】
【化15】
【0042】本発明の色素標識重合抗体は、例えば、P
BS中にマウスIgGを溶解させ、これに100等量モ
ルのDTSSPを加えて前記マウスIgGを重合し、こ
の溶液に、前記式(化1)で示されるシアニン系色素の
PBS溶液を加え、4〜30℃で一晩撹拌することによ
って得ることができる。
【0043】
【実施例】つぎに、本発明の実施例について説明する。
なお、この実施例での前記式(化1)、前記式(化
2)、前記式(化6)および前記式(化7)において、
Xはヨウ素、Mはカリウム、nは2である。また、抗体
としてマウスIgGを用いた。
【0044】(1) シアニン系色素の合成 まず、前記式(化3)に示す合成経路により前記式(化
1)に示すシアニン系色素を以下に示すようにして合成
した。
【0045】 (インドレニウムスルホネートの合
成) ヒドラジノベンゼンスルホン酸10g(53mmol)
とイソプロピルメチルケトン16.8ml(160mm
ol)を30mlの酢酸に溶解し、3時間還流した。反
応液を0℃に冷却し1時間放置した後、生じた固体を濾
過して取り出した。得られた固体をエーテルで2回洗浄
した後、減圧下で乾燥して11.8gのインドレニウム
スルホネートを得た。収率は93%であった。下記表1
に、インドレニウムスルホネートのジメチルスルフォオ
キシド(DMSO)中での核磁気共鳴(NMR)のケミ
カルシフトおよび各ピークの帰属を示す。
【0046】
【表1】
【0047】 (インドレニウムスルホネートカリウ
ム塩の合成) 前記で合成した11.8gのインドレニウムスルホネ
ート(49mmol)を120mlのメタノールに溶解
し、これに水酸化カリウム飽和のイソプロピルアルコー
ル約300mlを加えて撹拌した。生じた淡黄色の固体
を濾過して取り出し、イソプロピルアルコールで2回洗
浄した後、減圧下で乾燥して7.4gのインドレニウム
スルホネートカリウム塩を得た。収率は55%であっ
た。下記表2に、インドレニウムスルホネートカリウム
塩のDMSO中でのNMRのケミカルシフトおよび各ピ
ークの帰属を示す。
【0048】
【表2】
【0049】 (カルボキシエチルインドレニウムス
ルホネートカリウム塩の合成) 前記で合成した5.5g(20mmol)のインドレ
ニウムスルホネートカリウム塩と5g(25mmol)
のヨードプロピオン酸とを50mlのオルトジクロルベ
ンゼン中に懸濁し、アルゴン気流下、110℃で12時
間撹拌した。反応当初の懸濁液は加熱後、約30分で溶
解し溶液となった。12時間後、反応液を室温まで冷却
し上澄み液を取り除いた後、残った淡赤色の固体をイソ
プロピルアルコールで数回洗浄した。その後、エーテル
で2回洗浄して減圧下で乾燥し、8.9gのカルボキシ
エチルインドレニウムスルホネートカリウム塩を得た。
収率は93%であった。下記表3に、カルボキシエチル
インドレニウムスルホネートカリウム塩のDMSO中で
のNMRのケミカルシフトおよび各ピークの帰属を示
す。
【0050】
【表3】
【0051】 (カルボン酸誘導体の合成) 前記で合成した5g(11mmol)のカルボキシエ
チルインドレニウムスルホネートカリウム塩を20ml
のピリジンに溶解し、アルゴン気流下で還流しながら、
3.1g(21mmol)のオルトギ酸エチルを15分
間にわたってゆっくりと滴下した。滴下後、2時間還流
を続け、室温まで冷却した。反応液に80mlのエーテ
ルを加えて固化させた後、上澄み液を取り除いた。得ら
れた赤褐色の固体を10mlのメタノールに溶解し、こ
れに約200mlのエーテルを撹拌しながら加えて再び
固化させた。固体を濾過して取り出し、エーテルで洗浄
した後、減圧下で乾燥して2.5gのカルボン酸誘導体
を得た。収率は29%であった。下記表4に、カルボン
酸誘導体のDMSO中でのNMRのケミカルシフトおよ
び各ピークの帰属を示す。
【0052】
【表4】
【0053】 (シアニン系色素の合成) 前記で合成した1g(1.2mmol)のカルボン酸
誘導体と0.28g(2.4mmol)のヒドロキシコ
ハク酸イミドとを20mlのジメチルホルムアミドに溶
解し、0℃で撹拌しながら0.49g(2.4mmo
l)のジシクロヘキシルカルボジイミドのジメチルホル
ムアミド溶液5mlをゆっくりと滴下した。室温に戻し
て一晩撹拌した後、生じた沈殿を濾過して除いた。濾液
に約300mlのエーテルを加え、生じた赤褐色の固体
を濾過して取り出し、エーテルで2回洗浄した後、減圧
下で乾燥して0.68gの前記式(1)で示されるシア
ニン系色素(以下「IC3−OSu」という)を得た。
収率は55%であった。表5にDMSO中でのIC3−
OSuのNMRのケミカルシフトおよび各ピークの帰属
を示す。
【0054】
【表5】
【0055】(2) マウスIgGの重合 10mg(6.667×10-5mmol)のマウスIg
Gを1mlのPBSに溶解し、室温で撹拌しながら4.
057mg(0.006667mmol、100等量)
のDTSSP(ピアス社製)のPBS溶液0.1mlを
滴下した。35℃で30分間撹拌した後、セファデック
スG25Mカラム(ファルマシア社製)を用いてゲル濾
過し約6mlの多量化IgG(IgGagg.)のPB
S溶液を得た。得られた溶液の濃度を、つぎのようにし
て求めた。
【0056】得られた溶液を0.5ml取り、280n
mでの吸光度を測定した結果、吸光度は2.43であっ
た。観測された280nmの吸光はIgGに由来するも
のであるので、IgGの濃度[IgGagg.]は、下
記式(数1)に示すようにして求めることができる。た
だし、IgGの280nmにおけるモル吸光係数を2.
099×105 とした。 (数1)
【0057】(3) 重合抗体の色素標識 (1)で得られたIC3−OSuを0.2mlのPBS
に溶解し(総タンパク量の400倍等量)、色素溶液
(以下「SLIC3」という)27.5mgを調製し
た。そして、SLIC3を、(1)で得られたIgGa
gg.溶液(総抗体量を10mgとする)にゆっくりと
滴下した。その後、これを4℃で20時間静置した後、
未反応の色素分子を除くため20リットルのPBS・A
zに対して透析して、約6mlのSLIC3標識重合抗
体のPBS溶液を得た。
【0058】得られたSLIC3標識重合抗体の、Ig
G1分子あたりのSLIC3の分子数を、つぎのように
して求めた。まず、得られた溶液の280nm及び55
0nmにおける吸光度を測定した結果、吸光度はそれぞ
れ6.78および38.1であった。重合抗体は550n
mに吸収を持たないので、観測された吸光は結合したS
LIC3に由来するものである。したがって、SLIC
3の濃度[SLIC3]は、下記式(数2)に示す通り
である。ただし、SLIC3の550nmにおけるモル
吸光係数を8.55×104 とした。 (数2)
【0059】また、観測された280nmの吸光は重合
抗体に由来するものであるが、結合しているSLIC3
が280nmにも吸収を持つので、この影響を差し引い
て重合抗体の濃度[IgGagg.]を求めると下記式
(数3)および(数4)に示すようになる。ただし、重
合抗体に由来する280nmの吸光度をAb280,I
gGとし、SLIC3の280nmにおけるモル吸光係
数を9.8×103 、重合抗体の280nmにおけるモ
ル吸光係数を2.099×105 とする。 (数3) Ab280,IgG=6.78−(4.46×10-4×9.8×103 ) =2.41 (数4)
【0060】従って、IgG1分子当たりに結合したS
LIC3の分子数は、下記式(数5)に示すようにな
る。 (数5) [SLIC3]/[IgGagg.]=4.46×10-4/1.150×10-5 =25.8(個)
【0061】(4) 色素標識重合マウスIgGの評価 得られた色素標識重合マウスIgGを免疫クロマトセン
サーに用い、色素標識重合抗体の凝集による発色度(感
度)を550nmにおける吸光度の測定により調べた。
なお、比較例として、抗体を重合しなかった以外は、前
記と同様の方法により、色素標識抗体を作製し、これに
ついて、その凝集による発色度(感度)を550nmに
おける吸光度の測定により調べた。その結果、本発明の
実施例の色素標識重合抗体の吸光度は約0.8であり、
比較例の色素標識抗体の吸光度は約0.07であった。
この結果から、本発明の実施例の色素標識重合抗体の感
度は、比較例の感度の約10倍であるといえる。なお、
この評価において、免疫クロマトセンサーの構成および
前記吸光度の測定はつぎのとおりである。
【0062】(免疫クロマトセンサーの構成)免疫クロ
マトセンサーの構成の概略を、図1の斜視図に示す。図
示のように、この免疫クロマトセンサー1は、プラスチ
ック(例えば、ポリ塩化ビニル)製の板状支持体2の上
に、第1のガラスろ紙、ニトロセルロース製の抗体固定
用膜6、第2のガラスろ紙が、この順序で、配置されて
いる。そして、前記第1のガラスろ紙の前記抗体固定用
膜6に接しない側の端部(図において左側端部)が採水
部3であり、前記抗体固定用膜6に接する側の端部には
色素標識重合抗体を含浸させてあり、この部分が標識抗
体部4となっている。なお、比較例では、前記標識抗体
部4に、重合していない色素標識抗体を用いている。そ
して、前記抗体固定用膜6の所定の場所に、前記標識抗
体と同じ抗原と反応する抗体が吸着により固定化され抗
体固定化部5となっている。また、第2のガラスろ紙は
吸水部7となっている。
【0063】(吸光度の測定)この、センサー1を用い
ての吸光度の測定は、例えば、つぎのようにして行われ
る。採水部3に、尿等のサンプルを供給すると、クロマ
トグラフィーの原理により、同図中の矢印Aで示すよう
に、前記サンプルが、吸水部7に向かって移動する。そ
して、このサンプルの移動の際に、まず、標識抗体部4
において、サンプル中の抗原に標識抗体が結合する。そ
して、この標識抗体が結合した抗原は、サンプルととも
に抗体固定化部5に移動し、ここで固定化抗体と結合
し、ここに固定される。そして、前記抗体固定化部5
に、所定波長(例えば、550nm)の光L1を照射
し、その反射光L2を測定することにより、吸光度が測
定できる。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明の色素標識重合抗
体は、抗原との反応部位を多数有しているため、高感度
のものである。したがって、例えば、本発明の色素標識
重合抗体を免疫クロマトグラフィーを利用したセンサー
に導入することによって、従来法で作製した標識抗体を
用いたときよりも高感度のセンサーを作製することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における免疫クロマトセンサ
ーの構成の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 免疫クロマトセンサー 2 板状支持体 3 採水部 4 標識抗体部 5 抗体固定化部 6 抗体固定化用膜 7 吸水部 A サンプルの移動方向 L1 照射光 L2 反射光

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多官能性試薬により抗体が重合され、こ
    の重合抗体がシアニン系色素により標識された色素標識
    重合抗体。
  2. 【請求項2】 多官能性試薬が、ジチオビス(スルホス
    クシンイミジルプロピオネート)である請求項1記載の
    色素標識重合抗体。
  3. 【請求項3】 シアニン系色素が、下記式(化1)で示
    されるシアニン系色素である請求項1記載の色素標識重
    合抗体。 【化1】
  4. 【請求項4】 重合抗体とシアニン系色素の色素骨格と
    が共有結合により結合している請求項3記載の色素標識
    重合抗体。
  5. 【請求項5】 pHが中性または弱アルカリ性領域の緩
    衝液中で多官能性試薬を用いて抗体を重合する工程と、
    この緩衝液中にシアニン系色素を添加して前記重合され
    た抗体を標識する工程とを含む色素標識重合抗体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 多官能性試薬が、ジチオビス(スルホス
    クシンイミジルプロピオネート)である請求項5記載の
    色素標識重合抗体の製造方法。
  7. 【請求項7】 シアニン系色素が、前記式(化1)で示
    されるシアニン系色素である請求項5記載の色素標識重
    合抗体の製造方法。
  8. 【請求項8】 緩衝液がリン酸緩衝液である請求項5記
    載の色素標識重合抗体の製造方法。
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KR100332426B1 (ko) * 1998-05-14 2002-04-13 모리시타 요이찌 색소표식중합항체 및 그 제조방법

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