JP3547284B2 - 色素標識重合抗体およびその製造方法 - Google Patents

色素標識重合抗体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シアニン系色素で標識された重合抗体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、色素標識抗体は、その反応特異性を利用して免疫クロマトグラフィー等の分析に使用されている。抗体を標識する色素としては、反応性に富む官能基を有するシアニン系色素がしばしば使用されている(Bioconjugate Chemistry VOL.4 No.2 pp105−111 1993)。このようなシアニン系色素は、その官能基が抗体のアミノ基あるいはカルボキシル基と反応して共有結合し、1分子の抗体に対して20〜50分子の前記色素が結合する。このようにして作製された色素標識抗体は、一般に視認性がよく、例えば、免疫クロマトグラフィーに適用され、妊婦の尿中にのみ存在するヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)等の微量成分の検出が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の色素標識抗体では検出レベルに限界があり、検出対象物が低濃度である場合は、その検出が困難であった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、検出対象物が低濃度であっても、その検出が可能な高感度の色素標識重合抗体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の色素標識重合抗体は、多官能性試薬により抗体が重合され、この重合抗体がシアニン系色素により標識されている。
【0006】
すなわち、従来の色素標識抗体は、抗原に結合する部位が2か所しかないため、その感度に限度があった。しかし、本発明の色素標識重合抗体は、抗体が重合しているため、抗原に結合する部位も多数有し、感度が極めて優れるものである。したがって、本発明の色素標識重合抗体を、例えば、免疫クロマトグラフィーに用いれば、低濃度であっても、分析対象物を高感度で検出できる。また、その高感度から、本発明の色素標識重合抗体は、バイオセンサーにも適用可能である。
【0007】
本発明において用いる抗体は、特に制限されず、その由来やサブクラス等に関係なく使用できる。例えば、本発明に用いることができる抗体(イムノグロブリン、Ig)としては、マウスIgG、マウスIgM、マウスIgA、マウスIgE、ラットIgG、ラットIgM、ラビットIgG、ラビットIgM、ヤギIgG、ヤギIgM、ヒツジIgG,ヒツジIgM等があげられる。これらの抗体は、市販品として入手しても、直接その動物から採取してもよい。
【0008】
前記多官能性試薬としては、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)[DTSSP]が好ましい。
【0009】
前記シアニン系色素は、前記式(化1)で示されるシアニン系色素が好ましい。この色素は、肉眼で確認することが容易な赤色系統の色素だからである。しかし、機械で確認するセンサー等の場合は、他の色系統の色素であってもよい。
【0010】
前記式(化1)において、Xで示されるハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。また、Mで示される金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムがあげられる。
【0011】
そして、本発明の色素標識重合抗体では、重合抗体と前記式(化1)で示されるシアニン系色素の色素骨格とが、共有結合により結合していることが好ましい。前記共有結合は、前記シアニン系色素のスクシンイミジル基と抗体のアミノ基との反応による共有結合が一般的である。
【0012】
本発明の色素標識重合抗体において、抗体の重合度は、通常、2〜50の範囲である。
【0013】
つぎに、本発明の色素標識重合抗体の製造方法は、pHが中性または弱アルカリ領域の緩衝液中で多官能性試薬を用いて抗体を重合する工程と、この緩衝液中にシアニン系色素を添加して前記重合された抗体を標識する工程とを含む方法である。
【0014】
前記緩衝液としては、リン酸緩衝液(PBS)が好ましい。前記緩衝液のpHは、通常、7.0〜8.0の範囲である。
【0015】
【発明の実施の形態】
前記シアニン系色素は、例えば、下記式(化2)で示されるカルボン酸誘導体を有機溶媒中に溶解し、これにヒドロキシコハク酸イミドを加えて撹拌することによって作製できる。
【0016】
【化2】
Figure 0003547284
【0017】
下記式(化3)に、前記式(化1)で示されるシアニン系色素の合成経路の一例を示し、以下にその各合成反応について説明する。
【0018】
【化3】
Figure 0003547284
【0019】
まず、下記式(化5)で示されるインドレニウムスルホネートは、下記式(化4)で示されるヒドラジノベンゼンスルホン酸と0.5〜2モル比のイソプロピルメチルケトンとを、酸性溶媒、例えば酢酸に溶解し、約70〜130℃で1〜5時間加熱することによって得ることができる。
【0020】
【化4】
Figure 0003547284
【0021】
【化5】
Figure 0003547284
【0022】
下記式(化6)で示されるインドレニウムスルホネートの金属塩は、例えば前記式(化5)で示されるインドレニウムスルホネートのアルコール溶液、例えばメタノール溶液に、例えば水酸化カリウム飽和のイソプロピルアルコールを加えることによって、カリウム塩として得ることができる。
【0023】
【化6】
Figure 0003547284
【0024】
下記式(化7)で示されるカルボキシアルキルインドレニウムスルホネートの金属塩は、前記式(化6)で示されるインドレニウムスルホネートの金属塩、例えばカリウム塩の有機溶媒溶液、例えばオルトジクロルベンゼン溶液に、等モルのハロゲン化アルキル酸、例えばヨードプロピオン酸を加え、約80〜130℃で2〜12時間加熱することにより、カルボキシエチルインドレニウムスルホネートカリウム塩として得ることができる。ここでハロゲン化アルキル酸の炭素数は、水に対しての溶解性を考え、1〜4が好ましい。特に炭素数3のヨードプロピオン酸は、水溶性およびインドレニンへの反応性に富んでいるため有用である。
【0025】
【化7】
Figure 0003547284
【0026】
前記式(化2)で示されるカルボン酸誘導体は、前記式(化7)で示されるカルボキシアルキルインドレニウムスルホネートの金属塩、例えばカルボキシエチルインドレニウムスルホネートのカリウム塩と0.5〜2モル比のオルトギ酸エチルとを塩基性有機溶媒、例えばピリジンに溶解し、約80〜120℃で1〜3時間加熱することによって、プロピオン酸誘導体として得ることができる。
【0027】
そして、前記式(化1)で示されるシアニン系色素は、前記式(化2)で示されるカルボン酸誘導体の有機溶媒溶液、例えばジメチルホルムアミド溶液中に、0.5〜2モル比のヒドロキシコハク酸イミドと、縮合剤として0.5〜2モル比のジシクロヘキシルカルボジイミドとを加えて、2〜12時間撹拌することにより得ることができる。
【0028】
なお、前記式(化1)、前記式(化2)および前記式(化7)で示される各化合物に含まれるハロゲンとしては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。また、前記式(化1)、前記式(化2)、前記式(化6)および前記式(化7)で示される各化合物に含まれる金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などがあげられる。
【0029】
つぎに、本発明において使用される多官能性試薬は、タンパク質と結合可能な官能基(例えば、スクシンイミジルエステル基)を同一分子内に2つ以上有する試薬があげられる。例えば、前記DTSSPの他に、下記式(化8)に示すビス(スルホスクシンイミジル)スベレート[BS]、下記式(化9)に示すジスクシンイミジルタートレート[DST]、下記式(化10)に示すエチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)[EGS]、下記式(化11)に示すN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピレート[SPDP]などがあげられる。
【0030】
【化8】
Figure 0003547284
【0031】
【化9】
Figure 0003547284
【0032】
【化10】
Figure 0003547284
【0033】
【化11】
Figure 0003547284
【0034】
このようなスクシンイミジルエステル基を2つ以上有する試薬による抗体の重合のメカニズムを、下記式(化12)から下記式(化15)に基づき説明する。
【0035】
まず、下記式(化12)に示すように、抗体に対し、スクシンイミジルエステル基を2つ以上有する試薬を配合すると、下記式(化13)に示すように、前記試薬の一つのスクシンイミジルエステル基のエステル結合部分に、抗体のアミノ基が接近する。
【0036】
【化12】
Figure 0003547284
【0037】
【化13】
Figure 0003547284
【0038】
そして、下記式(化14)に示すように、前記アミノ基と前記エステル結合部分とが反応し、前記アミノ基から水素原子が一個奪われて前記スクシンイミジルエステル基からスクシンイミドがヒドロキシスクシンイミドとなって脱離する。これと同時に、前記スクシンイミジルエステル基の残りの部分と前記水素原子が一個奪われたアミノ基とがアミド結合を形成し、このアミド結合によって前記試薬と前記抗体とが結合する。
【0039】
【化14】
Figure 0003547284
【0040】
そして、前記試薬の他のスクシンイミジルエステル基においても前記と同様の反応が起き、下記式(化15)に示すように、前記試薬と他の抗体とがアミド結合により結合する。この反応を繰り返すことにより抗体が重合される。
【0041】
【化15】
Figure 0003547284
【0042】
本発明の色素標識重合抗体は、例えば、PBS中にマウスIgGを溶解させ、これに100等量モルのDTSSPを加えて前記マウスIgGを重合し、この溶液に、前記式(化1)で示されるシアニン系色素のPBS溶液を加え、4〜30℃で一晩撹拌することによって得ることができる。
【0043】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例について説明する。なお、この実施例での前記式(化1)、前記式(化2)、前記式(化6)および前記式(化7)において、Xはヨウ素、Mはカリウム、nは2である。また、抗体としてマウスIgGを用いた。
【0044】
(1) シアニン系色素の合成
まず、前記式(化3)に示す合成経路により前記式(化1)に示すシアニン系色素を以下に示すようにして合成した。
【0045】
▲1▼ (インドレニウムスルホネートの合成)
ヒドラジノベンゼンスルホン酸10g(53mmol)とイソプロピルメチルケトン16.8ml(160mmol)を30mlの酢酸に溶解し、3時間還流した。反応液を0℃に冷却し1時間放置した後、生じた固体を濾過して取り出した。得られた固体をエーテルで2回洗浄した後、減圧下で乾燥して11.8gのインドレニウムスルホネートを得た。収率は93%であった。下記表1に、インドレニウムスルホネートのジメチルスルフォオキシド(DMSO)中での核磁気共鳴(NMR)のケミカルシフトおよび各ピークの帰属を示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003547284
【0047】
▲2▼ (インドレニウムスルホネートカリウム塩の合成)
前記▲1▼で合成した11.8gのインドレニウムスルホネート(49mmol)を120mlのメタノールに溶解し、これに水酸化カリウム飽和のイソプロピルアルコール約300mlを加えて撹拌した。生じた淡黄色の固体を濾過して取り出し、イソプロピルアルコールで2回洗浄した後、減圧下で乾燥して7.4gのインドレニウムスルホネートカリウム塩を得た。収率は55%であった。下記表2に、インドレニウムスルホネートカリウム塩のDMSO中でのNMRのケミカルシフトおよび各ピークの帰属を示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003547284
【0049】
▲3▼ (カルボキシエチルインドレニウムスルホネートカリウム塩の合成)
前記▲2▼で合成した5.5g(20mmol)のインドレニウムスルホネートカリウム塩と5g(25mmol)のヨードプロピオン酸とを50mlのオルトジクロルベンゼン中に懸濁し、アルゴン気流下、110℃で12時間撹拌した。反応当初の懸濁液は加熱後、約30分で溶解し溶液となった。12時間後、反応液を室温まで冷却し上澄み液を取り除いた後、残った淡赤色の固体をイソプロピルアルコールで数回洗浄した。その後、エーテルで2回洗浄して減圧下で乾燥し、8.9gのカルボキシエチルインドレニウムスルホネートカリウム塩を得た。収率は93%であった。下記表3に、カルボキシエチルインドレニウムスルホネートカリウム塩のDMSO中でのNMRのケミカルシフトおよび各ピークの帰属を示す。
【0050】
【表3】
Figure 0003547284
【0051】
▲4▼ (カルボン酸誘導体の合成)
前記▲3▼で合成した5g(11mmol)のカルボキシエチルインドレニウムスルホネートカリウム塩を20mlのピリジンに溶解し、アルゴン気流下で還流しながら、3.1g(21mmol)のオルトギ酸エチルを15分間にわたってゆっくりと滴下した。滴下後、2時間還流を続け、室温まで冷却した。反応液に80mlのエーテルを加えて固化させた後、上澄み液を取り除いた。得られた赤褐色の固体を10mlのメタノールに溶解し、これに約200mlのエーテルを撹拌しながら加えて再び固化させた。固体を濾過して取り出し、エーテルで洗浄した後、減圧下で乾燥して2.5gのカルボン酸誘導体を得た。収率は29%であった。下記表4に、カルボン酸誘導体のDMSO中でのNMRのケミカルシフトおよび各ピークの帰属を示す。
【0052】
【表4】
Figure 0003547284
【0053】
▲5▼ (シアニン系色素の合成)
前記▲4▼で合成した1g(1.2mmol)のカルボン酸誘導体と0.28g(2.4mmol)のヒドロキシコハク酸イミドとを20mlのジメチルホルムアミドに溶解し、0℃で撹拌しながら0.49g(2.4mmol)のジシクロヘキシルカルボジイミドのジメチルホルムアミド溶液5mlをゆっくりと滴下した。室温に戻して一晩撹拌した後、生じた沈殿を濾過して除いた。濾液に約300mlのエーテルを加え、生じた赤褐色の固体を濾過して取り出し、エーテルで2回洗浄した後、減圧下で乾燥して0.68gの前記式(1)で示されるシアニン系色素(以下「IC3−OSu」という)を得た。収率は55%であった。表5にDMSO中でのIC3−OSuのNMRのケミカルシフトおよび各ピークの帰属を示す。
【0054】
【表5】
Figure 0003547284
【0055】
(2) マウスIgGの重合
10mg(6.667×10−5mmol)のマウスIgGを1mlのPBSに溶解し、室温で撹拌しながら4.057mg(0.006667mmol、100等量)のDTSSP(ピアス社製)のPBS溶液0.1mlを滴下した。35℃で30分間撹拌した後、セファデックスG25Mカラム(ファルマシア社製)を用いてゲル濾過し約6mlの多量化IgG(IgGagg.)のPBS溶液を得た。得られた溶液の濃度を、つぎのようにして求めた。
【0056】
得られた溶液を0.5ml取り、280nmでの吸光度を測定した結果、吸光度は2.43であった。観測された280nmの吸光はIgGに由来するものであるので、IgGの濃度[IgGagg.]は、下記式(数1)に示すようにして求めることができる。ただし、IgGの280nmにおけるモル吸光係数を2.099×10とした。
Figure 0003547284
【0057】
(3) 重合抗体の色素標識
(1)で得られたIC3−OSuを0.2mlのPBSに溶解し(総タンパク量の400倍等量)、色素溶液(以下「SLIC3」という)27.5mgを調製した。そして、SLIC3を、(1)で得られたIgGagg.溶液(総抗体量を10mgとする)にゆっくりと滴下した。その後、これを4℃で20時間静置した後、未反応の色素分子を除くため20リットルのPBS・Azに対して透析して、約6mlのSLIC3標識重合抗体のPBS溶液を得た。
【0058】
得られたSLIC3標識重合抗体の、IgG1分子あたりのSLIC3の分子数を、つぎのようにして求めた。まず、得られた溶液の280nm及び550nmにおける吸光度を測定した結果、吸光度はそれぞれ6.78および38.1であった。重合抗体は550nmに吸収を持たないので、観測された吸光は結合したSLIC3に由来するものである。したがって、SLIC3の濃度[SLIC3]は、下記式(数2)に示す通りである。ただし、SLIC3の550nmにおけるモル吸光係数を8.55×10とした。
Figure 0003547284
【0059】
また、観測された280nmの吸光は重合抗体に由来するものであるが、結合しているSLIC3が280nmにも吸収を持つので、この影響を差し引いて重合抗体の濃度[IgGagg.]を求めると下記式(数3)および(数4)に示すようになる。ただし、重合抗体に由来する280nmの吸光度をAb280,IgGとし、SLIC3の280nmにおけるモル吸光係数を9.8×10、重合抗体の280nmにおけるモル吸光係数を2.099×10とする。
Figure 0003547284
【0060】
従って、IgG1分子当たりに結合したSLIC3の分子数は、下記式(数5)に示すようになる。
Figure 0003547284
【0061】
(4) 色素標識重合マウスIgGの評価
得られた色素標識重合マウスIgGを免疫クロマトセンサーに用い、色素標識重合抗体の凝集による発色度(感度)を550nmにおける吸光度の測定により調べた。なお、比較例として、抗体を重合しなかった以外は、前記と同様の方法により、色素標識抗体を作製し、これについて、その凝集による発色度(感度)を550nmにおける吸光度の測定により調べた。その結果、本発明の実施例の色素標識重合抗体の吸光度は約0.8であり、比較例の色素標識抗体の吸光度は約0.07であった。この結果から、本発明の実施例の色素標識重合抗体の感度は、比較例の感度の約10倍であるといえる。なお、この評価において、免疫クロマトセンサーの構成および前記吸光度の測定はつぎのとおりである。
【0062】
(免疫クロマトセンサーの構成)
免疫クロマトセンサーの構成の概略を、図1の斜視図に示す。図示のように、この免疫クロマトセンサー1は、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル)製の板状支持体2の上に、第1のガラスろ紙、ニトロセルロース製の抗体固定用膜6、第2のガラスろ紙が、この順序で、配置されている。そして、前記第1のガラスろ紙の前記抗体固定用膜6に接しない側の端部(図において左側端部)が採水部3であり、前記抗体固定用膜6に接する側の端部には色素標識重合抗体を含浸させてあり、この部分が標識抗体部4となっている。なお、比較例では、前記標識抗体部4に、重合していない色素標識抗体を用いている。そして、前記抗体固定用膜6の所定の場所に、前記標識抗体と同じ抗原と反応する抗体が吸着により固定化され抗体固定化部5となっている。また、第2のガラスろ紙は吸水部7となっている。
【0063】
(吸光度の測定)
この、センサー1を用いての吸光度の測定は、例えば、つぎのようにして行われる。採水部3に、尿等のサンプルを供給すると、クロマトグラフィーの原理により、同図中の矢印Aで示すように、前記サンプルが、吸水部7に向かって移動する。そして、このサンプルの移動の際に、まず、標識抗体部4において、サンプル中の抗原に標識抗体が結合する。そして、この標識抗体が結合した抗原は、サンプルとともに抗体固定化部5に移動し、ここで固定化抗体と結合し、ここに固定される。そして、前記抗体固定化部5に、所定波長(例えば、550nm)の光L1を照射し、その反射光L2を測定することにより、吸光度が測定できる。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明の色素標識重合抗体は、抗原との反応部位を多数有しているため、高感度のものである。したがって、例えば、本発明の色素標識重合抗体を免疫クロマトグラフィーを利用したセンサーに導入することによって、従来法で作製した標識抗体を用いたときよりも高感度のセンサーを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における免疫クロマトセンサーの構成の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 免疫クロマトセンサー
2 板状支持体
3 採水部
4 標識抗体部
5 抗体固定化部
6 抗体固定化用膜
7 吸水部
A サンプルの移動方向
L1 照射光
L2 反射光

Claims (8)

  1. 多官能性試薬により抗体が重合され、この重合抗体がシアニン系色素により標識された色素標識重合抗体。
  2. 多官能性試薬が、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)である請求項1記載の色素標識重合抗体。
  3. シアニン系色素が、下記式(化1)で示されるシアニン系色素である請求項1記載の色素標識重合抗体。
    Figure 0003547284
  4. 重合抗体とシアニン系色素の色素骨格とが共有結合により結合している請求項3記載の色素標識重合抗体。
  5. pHが中性または弱アルカリ性領域の緩衝液中で多官能性試薬を用いて抗体を重合する工程と、この緩衝液中にシアニン系色素を添加して前記重合された抗体を標識する工程とを含む色素標識重合抗体の製造方法。
  6. 多官能性試薬が、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)である請求項5記載の色素標識重合抗体の製造方法。
  7. シアニン系色素が、前記式(化1)で示されるシアニン系色素である請求項5記載の色素標識重合抗体の製造方法。
  8. 緩衝液がリン酸緩衝液である請求項5記載の色素標識重合抗体の製造方法。
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