JP4255514B2 - 疎水性の立体配座制限的微細環境を提供する部分によって強化された重合フルオロホア - Google Patents

疎水性の立体配座制限的微細環境を提供する部分によって強化された重合フルオロホア Download PDF

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Description

発明の背景
1.発明の分野
本発明は、種々のアッセイに有用な蛍光染料、より特定的には、疎水性の立体配座制限的微細環境を提供する部分がフルオロホア部分の少なくとも一部のホストとなることによって蛍光が増強された蛍光性ポリマー染料に関する。
2.従来技術の説明
化学的及び生化学的混合物の定量的及び定性的分析には種々のアッセイ技術が使用されている。“蛍光アッセイ”と呼ばれる1つのアッセイ技術は多くの生化学的研究に有用である。このアッセイ技術は、ある種の分子を標識し、標識分子を非標識の同様の分子から識別するために蛍光性化学物質を使用する。化学物質が所与の波長(“励起”波長)で光を吸収し、より長い別の波長(“発光”波長)で光を放出するとき、この物質は蛍光性であると考えられる。この種のアッセイに有用な蛍光性化学物質はしばしば蛍光染料と呼ばれる。
蛍光アッセイで使用される蛍光染料を検出するための多くの光学技術が存在する。このような技術の1つがフローサイトメトリーである。フローサイトメトリーは蛍光アッセイにおいて、特定の分子または細胞を同定しこれらの分子または細胞を混合物から分離または識別するために使用されている。典型的なフローサイトメトリーの手順では、蛍光染料を抗体に結合させる。抗体は、検出対象となる特定分子の抗原または特定細胞の細胞表面分子に特異的である。抗体と蛍光染料との結合を“接合(conjugation)”と呼び、抗体−蛍光染料複合体を“コンジュゲート”と呼ぶ。
適当な抗体と適当な染料との結合によってコンジュゲートを形成した後、検出対象である抗原または細胞表面分子を含むと予測される混合物にコンジュゲートを添加する。コンジュゲートを混合物に添加し適正条件に維持すると、コンジュゲートの抗体が抗原または細胞表面分子に結合する。コンジュゲートが添加された抗原または細胞表面分子を含む全混合物に、特定蛍光染料の励起波長のレーザービームを照射する。この波長のレーザービームによって、抗体−蛍光染料コンジュゲートに結合した分子または細胞が蛍光を発生する。結合した分子または細胞によって散乱されたレーザー光の量をフローサイトメーターで測定及び検出し、この測定によって、検出された抗原または細胞表面分子の定量、定性及びその他の測定値が得られる。
検出精度を改善するために蛍光染料の強度を増加する処置が必要であると一般に考えられている。いくつかの強度増加手段が使用されてきた。しかしながら、これらの手段の有効性を損なう重大な制約が存在している。
所与の波長の蛍光染料の強度増加手段の1つでは、蛍光エネルギー転移メカニズムを利用する。このメカニズムによれば、励起状態のエネルギーがドナー分子からアクセプター分子に転移される。通常は、1つのフルオロホアを別のフルオロホアに近接して配置することによって転移が達成される。本文中で使用した“フルオロホア”なる用語は、蛍光のキャリヤーを意味する。
互いに近接して配置されたフルオロホアのうちの一方のフルオロホアを所与の波長の光によって励起する。励起されたフルオロホアはより長い波長の光を放出することなく第二のフルオロホアにエネルギーを転移させる。この転移エネルギーが第二のフルオロホアを励起する。第二のフルオロホアは第一のフルオロホアの発光波長よりも長い波長の光を発生する。このようなエネルギー転移方式の一例ではフィコビリタンパク質−シアニン染料コンジュゲートが使用されている。このコンジュゲートに約488nmのレーザー光を照射するとフィコビリタンパク質が励起される。このとき、フィコビリタンパク質はそれ自体が発光しないで、フィコビリタンパク質の発光波長に一致する約580nmのシアニンの励起波長でシアニンフルオロホアにエネルギーを転移させる。その結果、シアニンフルオロホアが励起され、約680nmの発光波長の光を放出する。この種のエネルギー転移システムはしばしば“タンデムエネルギー転移システム”と呼ばれている。
エネルギー転移は幾つかの理由から極めて簡単な蛍光増強手段ではない。エネルギー転移における2つの基本的な要件は、ドナー分子とアクセプター分子とが適正な相対空間距離関係を維持していること、及び、2つの分子の吸収・発光双極子が適正な相対角関係を維持していることである。これらの基本的関係を成立させこれを維持することは多くの状況下で不可能ではないにしても極めて難しい。更に、ドナーの吸収スペクトルとアクセプターの吸収スペクトルとのオーバーラップ、フルオロホアの安定度、接合による蛍光特性値の変化、転移の量子効率、他の化合物に対するフルオロホアの非特異的結合、などの他の多くの要件が存在する。これらの要件を満たすという配慮が不要になれば、当該技術の改善が達成されるであろう。
蛍光染料の蛍光強度を増加させる別の手段では、1つのポリマーに多数のフルオロホアを結合させ、ポリマーを抗体に結合させる。この方式では、ポリマーに結合したフルオロホアの各々がレーザー光によって励起され、その発光波長で光を放出する。しかしながらこの目的で使用される場合、ポリマーの使用効率は概してよくない。このようなポリマーの使用に伴う主要な問題は、多数のフルオロホアを単一ポリマーにランダムに配置したとき、フルオロホア間の信号消衰が生じることである。更に、多数のフルオロホアの存在によってポリマー/抗体コンジュゲートが放出する光の累積量は増加するかもしれないが、発光波長は特定のフルオロホアに対応する波長だけである。従来技術のフルオロホアでは励起波長と発光波長との間の波長差の範囲が小さい。多数のフルオロホアが消衰を生じることなく結合できるポリマー、及び、励起波長よりもはるかに高い波長で光を放出する蛍光染料が要望されている。このような重合体構造及び波長範囲を得ることによってより正確な検出が可能になるであろう。
蛍光染料の強度を増加させる更に別の手段では、シクロデキストリンを使用する。シクロデキストリンは、中央に疎水性空洞をもち周縁に親水性領域をもつ公知の水溶性環状オリゴ糖である。一般に、シクロデキストリン分子の形状は実質的に円筒状であり、円筒の一端は他端よりも広い開口を有している。狭いほうの開口は第一リムとして知られており、広いほうの開口は第二リムとして知られている。シクロデキストリン分子の2つの開口の間に空洞が存在しており、小分子は広い第二リムから空洞に侵入できる。シクロデキストリン分子のこの空洞は、水性系中で低分子量の疎水性分子と複合体を形成し得る疎水性微細環境を提供する。シクロデキストリン分子は低分子量疎水性分子、即ちゲストに対するホストとして作用する。
フルオロホアに付随する蛍光を増加させる目的で重合シクロデキストリンを形成することも研究されてきた。複数のシクロデキストリン分子が互いに極めて近接しているとゲスト分子がシクロデキストリン分子の空洞に侵入する確率が高くなるので、複数のシクロデキストリン分子を互いに極めて近接させて配置することによって単一のシクロデキストリン分子の複合体形成特性を強化することは理論的には可能である。この理論によれば、重合シクロデキストリン分子が形成されれば、この分子は複数のゲスト分子のホストとなり得るであろう。更に、ゲスト分子が信号発生基である場合には互いに極めて近接した複数のフルオロホアが存在することになり、ポリマーに付随する蛍光は単一フルオロホアの蛍光よりも大きいであろう。従って、理論によれば、複数のフルオロホアを含む重合シクロデキストリンによってコンジュゲートを形成した場合、ポリマーの蛍光は単一のフルオロホアを含むコンジュゲートの蛍光よりも多い筈である。
この理論が正しいことを立証するために複数の重合シクロデキストリンを製造した。しかしながら、これらのポリマーにはその有効性を制限するいくつかの重大な問題がある。重合シクロデキストリンは、シクロデキストリンモノマーの第一及び第二のリムが複数の反応性基を含み、モノマーが第一及び第二のリムを介して反応し、また、それらの複数の反応性基を介して複数の反応が生じるように修飾されたシクロデキストリンモノマーから合成される。シクロデキストリン分子の第二リムで結合が生じると、疎水性空洞の広い開口の妨害になる。その結果、ゲスト分子はシクロデキストリン分子の空洞に侵入し難くなり、シクロデキストリンのホスト機能の効率が低下する。更に、多数の反応性基を有するシクロデキストリンモノマーから誘導されたポリマーは架橋度が高い。架橋が生じると、第二リムで結合が生じているシクロデキストリン分子が上述の問題を生じるだけでなく、シクロデキストリンのマトクリックスが形成される。その結果、重合されるシクロデキストリンモノマーの数が制限され、重合したシクロデキストリンモノマーの多くはマトクリックスに埋込まれる。多数のシクロデキストリン分子が極めて近接していても、侵入可能な第二開口をもつ分子は殆ど存在しないのでゲスト/ホスト複合体も殆ど形成されない。
蛍光染料の強度を増加させる別の手段では、選択対象になり得る多くの蛍光染料のうちから適当な染料を適切に選択する。蛍光試験には天然産出物質を蛍光染料として使用するのが慣例なっている。常用の天然産出染料は、フィコエリトリンのようなフィコビリタンパク質である。エネルギー転移の説明で前述したように、フィコビリタンパク質はいくつかのタンデムエネルギー転移システムでいまだに使用されている。しかしながら、フィコビリタンパク質の使用にはいくつかの問題がある。フィコビリタンパク質の特に重大な問題はその不安定性である。光の照射またはその他の環境の作用で光漂白が生じ、蛍光アッセイに不利な影響がある。
近年、多数の合成蛍光染料が製造され蛍光アッセイに使用されている。公知の蛍光染料のクラスはシアニン染料である。これらの染料は−N−(−C=C−C)n=N−部分を含むポリメチン染料である。
シアニン蛍光染料も、フローサイトメトリーのような蛍光性生物試験手順で使用されるときにいくつか問題がある。例えば、これらの染料の多くは、使用するには高価で製造も難しい。更に、多くのシアニン染料の励起波長と発光波長との差、即ちストークスシフトは、別のフルオロホアによるエネルギー転移を利用しないで効果的な蛍光検出ができるほど十分に大きくない。励起波長と発光波長との差が十分に大きい染料はしばしば環境感受性である。
生物試験手順に使用できると考えられた別のクラスの蛍光染料はアミノスチリルピリジニウム染料である。これらの染料は環境感受性であるため、フローサイトメトリーのような蛍光標識法には適していないと考えられていた。アミノスチリルピリジニウム染料の環境感受性は十分に研究されており、Anthony C.Stevensら,“タンパク質反応性(アミノスチリル)ピリジニウム染料の合成(Synthesis of Protein−Reactive(Aminostyryl)pyridinium Dyes”Bioconjugate Chem.1993,4,19−24によって記載されている。
エネルギー転移の必要性を排除し同時に環境感受性に付随する問題を解決する蛍光染料の開発が要望されている。
発明の概要
1つの特徴によれば、本発明は、複数の合成信号発生基が結合された基幹ポリマー(polymeric entity)から成るポリマー染料に関する。ポリマー染料は好ましくは、最適化された高蛍光性ポリマーである。ポリマー染料は合成によって得られる。ポリマー染料が更に、基幹ポリマーに共有結合しているかまたは基幹ポリマーに極めて近接しているホスト形成部分を含むのが好ましい。
信号発生基は、複素環に少なくとも1つの窒素原子を含む複素環部分にエチレン不飽和連結基によって結合された少なくとも1つのアニリノ部分を有する染料に由来する。基幹ポリマーが求核性のとき、信号発生基は求電子性でなければならない。基幹ポリマーが求電子性のとき、信号発生基は求核性でなければならない。基幹ポリマーが求核性のとき、基幹ポリマーは、アクリルアミドヒドラジド、ヒドラジド及びリシンからなるグループから選択された反復単位を含み得る。基幹ポリマーが求電子性のとき、基幹ポリマーは、アクリル酸基、グルタミン酸基、アスパラギン酸基、スチレンスルホン酸基から成るグループから選択された反復単位を含み得る。信号発生基が求電子性のとき、信号発生基はカルボキシル基を含み得る。信号発生基が求核性のとき、信号発生基はアミン基、ヒドラジド基、または、アミン基とヒドラジド基との双方を含み得る。
ホスト形成部分は基幹ポリマーに共有結合し得るが、基幹ポリマーに必ずしも共有結合しなくてもよい。ホスト形成部分は基幹ポリマーと合成信号発生基との結合形態とは異なる結合形態で基幹ポリマーに結合し得る。ホスト形成部分は疎水性の立体配座制限部分である。ホスト形成部分は好ましくはシクロデキストリンであり、より好ましくはβ−シクロデキストリンアルデヒドの誘導体である。信号発生基は、正常環境中でタンパク質、核酸、巨大分子、脂質に感受性であるが、疎水性の立体配座制限的微細細環境中ではこれらの物質に対して実質的に感受性でない。
ポリマー染料の信号発生部分は好ましくはピリジニウムアニリノ誘導体である。ピリジニウムアニリノ誘導体は、式:
Figure 0004255514
〔式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜3の整数(両端値を含む)を表し、X-は負電荷の対イオンを表す〕のピリジニウムアニリノ誘導体から成り得る。
別の実施態様では、ポリマー染料の信号発生部分は、式:
Figure 0004255514
〔式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜3の整数(両端値を含む)を表し、X-は負電荷の対イオンを表す〕のベンゾチアゾリウムアニリン誘導体である。
別の特徴によれば、本発明は、抗体と該抗体に接合した少なくとも1種類の本発明のポリマー染料とから成るコンジュゲートに関する。
本発明は多数の用途に使用でき、その非限定例としては、多色蛍光イムノアッセイによる多重化を含む多重化アッセイ、フローサイトメトリー、イムノ−フェノタイピングアッセイ、造影法、免疫染色、蛍光鏡検法、イムノクロマトグラフィー染色、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、蛍光現場ハイブリダイゼーション(FISH)、分析物の蛍光検出、などがある。本発明はフローサイトメトリー法に特に有効である。しかしながら、本発明はこれらの用途に限定されることなく、実際には、蛍光の検査または検出を用いるが従来技術に関して前述したような問題を含んでいる多くの用途に好適である。
本発明は、フィコビリタンパク質の不安定性及び生物学的接合適性(バイオコンジュガビリティ、bio−conjugability)に伴う典型的な問題及びエネルギー転移プロセスにタンデム系を用いることに伴う問題を軽減し得る。更に、本発明で好適に使用し得る信号発生基の多くは合成基である。合成の信号発生基は通常は天然産生フルオロホアよりも安定である。
本発明は、適切な望ましい微細環境を染料に与えることによって上記及びその他の染料の環境感受性を低減させる。染料をこのような微細環境で安定させることによって、染料の蛍光発光特性の効果が巨大環境、接合またはその他の要因による有意な影響を受け難い。
【図面の簡単な説明】
図1は、励起波長488nm及び発光波長614nmの染料1、ポリマー染料11B及びポリマー染料11Dの蛍光強度の比較である。
図2は、ポリマー染料11Bとポリマー染料11Dとの蛍光発生の比較である。
図3は、ポリマー染料11Dの蛍光信号の応答をポリマーの濃度の関数として示す。図3はまた、580nmの発光波長におけるポリマー染料11Bとポリマー染料11Dとの蛍光を比較する。
図4は、シクロデキストリン非含有及び基幹ポリマーに共有結合していないシクロデキストリン存在下のポリマー染料12Bの蛍光信号応答を示す。
図5は、0.25mg/mlという等しいシクロデキストリン濃度を用い、シクロデキストリンで修飾した場合、修飾しない場合、基幹ポリマーに共有結合していないシクロデキストリンを添加した場合のポリマー染料17Bの蛍光スペクトルの比較を表す。
図6は、ポリマー染料17Dの蛍光応答をポリマー染料17Dの濃度の関数として表す。図6はまた、ポリマー染料17Bの蛍光応答をポリマー染料17Bの濃度の関数として表し、0.25mg/mlの希釈度のシクロデキストリン原液中のポリマー染料17Bの蛍光応答をポリマー染料17Bの濃度の関数として表す。
図7は、488nmの励起波長における精製ポリマー染料13Bの蛍光とシクロデキストリンアミンで修飾した精製ポリマー染料13Bの蛍光との比較を表す。
図8は、488nmの励起波長における天然フィコビリタンパク質フィコエリトリンとポリマー染料14Dとの蛍光をモル対モルベースで比較する。
図9A及び9Bは、室内光に16時間露光後のポリマー染料14Dの安定度と同じ室内光に16時間露光後のフィコエリトリンの安定度との比較を表す。
図10A及び10Bは、フローサイトメトリーアッセイにおけるポリマー染料11DとIgG抗体とのコンジュゲートの有効性を示す。双方のアッセイでは、1マイクログラムのコンジュゲート及び希釈剤中の10mMの硫酸デキストランを使用した。
図11A及び11Bは、フローサイトメトリーアッセイにおけるポリマー染料11DとIgG抗体とのコンジュゲートの有効性を示す。双方のアッセイでは、1マイクログラムのコンジュゲート及び希釈剤中の10mMの硫酸デキストランを使用した。
図12A及び12Bは、フローサイトメトリーアッセイにおけるポリマー染料11DとIgG抗体とのコンジュゲートの有効性を示す。双方のアッセイでは、1マイクログラムのコンジュゲート及び希釈剤中の10mMの硫酸デキストランを使用した。
図13A及び13Bは、フローサイトメトリーのリンパ球染色における、抗−CD8抗体とフィコエリトリン−シアニン染料(Dako)から成る市販の抗−CD8−フィコエリトリン−シアニンタンデムコンジュゲートと、抗−CD8抗体とポリマー染料12Dとから成るコンジュゲートとの性能の比較を表す。
図14は、アルファ(γ)、ベータ(β)及びガンマ(γ)シクロデキストリンとその内部のブドウ糖単位の番号系を表す。
発明の詳細な説明
本文中の用語を以下に定義する。
本文中で使用された“分析物”なる用語は、検出すべき化合物または組成物を意味する。分析物は少なくとも1つのエピトープまたは結合部位を有している。分析物は、対応する天然産生の結合相手が存在するかまたは結合相手の合成が可能な任意の物質を意味する。分析物の非限定例は、毒素、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、ヒトまたは動物の血液中の細胞、細胞表面抗原、核酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬物(治療薬及び使用禁止薬の双方を含む)、ウイルス粒子、及び、上記の物質のいずれかの代謝産物または抗体である。分析物の代表例としては、フェリチン、クレアチニンキナーゼMIB(CK−MB)、ジゴキシン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、テオフィリン、バルプロ酸、キニジン、黄体形成ホルモン(LH)、濾胞刺激ホルモン(FSH)、エストラジオール、プロゲステロン、IgE抗体、ビタミンB2ミクログロブリン、グリコヘモグロビン(Gly.Hb)、コルチゾール、ジギトキシン、N−アセチルブロカインアミド(NAPA)、プロカインアミド、風疹IgG及び風疹IgMのような風疹抗体、トキソプラズマ症IgG(Toxo−IgG)及びトキソプラズマ症IgM(Toxo−IgM)のようなトキソプラズマ症抗体、テストステロン、サリチル酸塩、アセトアミノフェン、肝炎B型ウイルス表面抗原(HBsAg)、肝炎Bコア抗原IgG及びIgMのような肝炎Bコア抗原(Anti−HBc)に対する抗体、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV)及び2(HTLV)、肝炎Be抗原(HBeAg)、肝炎Be抗原に対する抗体(Anti−HBe)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、チロキシン(T4)、遊離トリヨードチロニン(Free T3)、癌胎児性抗原(CEA)、アルファ胎児タンパク質(AFP)、並びに、規制対象となる乱用性薬物があり、その非限定例は例えば、アンフェタミン;メタアンフェタミン;アモバルビタール、セコバルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール及びバルビタールのようなバルビツール酸塩;リブリウム及びバリウムのようなベンゾジアゼピン;ハシシュ及びマリファナのようなカンナビノイド;コカイン;フェンタニル;LSD;メタクアロン;ヘロイン、モルヒネ、コデイン、ヒドロモルヒネ、ヒドロコドン、メタドン、オキシコドン、オキシモルヒネ及びアヘンのようなアヘン剤;フェンシクリジン;及びプロポキシフェンである。“分析物”なる用語は、任意の抗原性物質、ハプテン、抗体、巨大分子及びその組合わせを意味する。
本文中で使用された“シクロデキストリン”なる用語は、1つだけを特定する記載がない限り、α、βまたはγシクロデキストリンを集合的に意味する。
本文中で使用された“最適化された高蛍光性ポリマー”なる表現は、複数の信号発生基が固定化された基幹ポリマーを意味する。固定化された信号発生基は、信号発生基から発生される信号が最大になりかつ複数の信号発生基の過度の相互接近に伴う消衰効果が最小になるように基幹ポリマーに結合している。
本文中で使用された“一次試薬”なる表現は、分析物に特異的に結合する試薬を意味する。一次試薬は分析物とコンジュゲートとの間のブリッジとして使用され、分析物に一次試薬が結合し、次いで一次試薬にコンジュゲートが結合する。
本文中で使用された“信号発生基”なる表現は、エネルギーを吸収し、光または蛍光を発生し得る蛍光性部分(ときにはフルオロホアと呼ばれる)を意味する。信号発生基を提供する親染料の代表例は、アミノスチリルピリジニウム染料、ベンゾチアゾールアニリノジエン、ベンゾチアゾールピリジニウムトリエン、フルオレセイン、カスケードブルー、テキサスレッド(登録商標)、p−フタロシアニン、シアニン染料、チアゾール、ダンシル、ナフタレン、p−トルイジニルナフタレンスルホン酸、クマリン及びフィコエリトリン、アロフィコシアニンである。親染料から信号発生基を誘導する方法は平均的な当業者に公知である。
本文中で使用された“特異的結合因子”なる表現は、特異的結合対の構成因子を意味する。1つの結合対は別々の異なる2つの分子から成り、一方の分子が化学的または物理的手段によって他方の分子に特異的に結合する。抗原と抗体のような特異的結合対に加えて、他の特異的結合対の非限定例としては、アビジンとビオチン、糖質とレクチン、相補性ヌクレオチド配列、相補性ペプチド配列、エフェクター分子とレセプター分子、酵素の補因子または基質と酵素、酵素阻害物質と酵素、重合性酸と塩基、染料とタンパク質結合因子、ペプチドと特異的タンパク質結合因子(例えば、リボヌクレアーゼ、S−ペプチド及びリボヌクレアーゼS−タンパク質)、などである。更に、結合対は、出発結合因子の類似体である因子も包含し得る。例えば、組換え技術または分子工学によって作製された分析物の類似物または結合因子も包含される。結合因子が免疫反応物質の場合、結合因子は例えば、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、組換えタンパク質もしくは組換え抗体、キメラ抗体、またはこれらの(1種または複数の)混合物もしくは(1つまたは複数の)フラグメントでもよい。
本文中で使用された“試験サンプル”なる表現は、分析物を含むと予測される物質を意味する。ソースから採取したサンプルを試験サンプルとして直接使用してもよく、または、サンプルの特性を修飾するために前処理した後で使用してもよい。試験サンプルは、生理的流体のような任意の生物ソースから得られる。その非限定例は、血液、唾液、眼球水晶体の周囲流体(ocular lens fluid)、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑液、腹膜液、羊水、などである。また、発酵ブイヨン、細胞培養物、化学反応混合物などである。血液から血漿を調製する、粘性流体を希釈する、などの方法で試験サンプルを使用前に予め処理してもよい。処理方法には、濾過、蒸留、濃縮、妨害成分の不活性化、試薬の添加、などがある。生物的または生理的流体以外の他の種類の液体サンプルも使用できる。この種の液体サンプルの代表例は、環境アッセイまたは食品製造アッセイなどを行うための水、食品などである。更に、分析物を含むと予測される固体物質も試験サンプルとして使用できる。いくつかの場合には、固体試験サンプルを処理して液体媒体を形成させるかまたは分析物を抽出するのが有利であろう。
1つの特徴によれば、本発明は、
(1)基幹ポリマーと、
(2)該基幹ポリマーに結合した複数の信号発生基と、
から成るポリマー染料を提供する。
好ましくは、ポリマー染料が更に、信号発生基に対する複数のホスト形成部分を含み、このホスト形成部分は基幹ポリマーに共有結合するかまたは基幹ポリマーに極めて近接して存在している。本文中で使用された“極めて近接”なる表現は、典型的には平均で100オングストローム以下、好ましくは平均で10〜20オングストロームを意味する。
基幹ポリマー
信号発生基は基幹ポリマーに結合している。基幹ポリマーはポリマー染料の生物学的接合(バイオコンジュゲーション、bioconjugation)及び溶解を助ける。更に、基幹ポリマーは単一の細胞または分子に対する複数の信号発生基の結合を可能にする。
本発明の好ましい実施態様によれば、基幹ポリマーは、信号発生基を共有結合によって結合し得る官能基を有する水溶性ポリマーである。好ましくは、基幹ポリマーは、例えば−C(O)−NH−NH2、−NH2、−NHRのようなアミン官能基を含む。式中のRは、炭素原子1〜3(両端値を含む)のアルキル基、イソプロピル、−(CH22CO2 -、−(CH22SO3 -、−(CH22NH3 +、−(CH22NH2 +(CH22SO3 -、−(CH22O(CH22O(CH22OH及び−(CHOH)4CH2OHから選択された基を表す。基幹ポリマーはまた、上記アミン官能基の組合わせを含んでいてもよい。基幹ポリマーは、カルボキシル基、スルホニルクロリド基及び活性化エステル基のような求電子性官能基を含み得る。好ましくは、基幹ポリマーは約5,000〜約500,000、より好ましくは約100,000〜約250,000、最も好ましくは約150,000〜約200,000の重量平均分子量または数平均分子量を有している。
信号発生基を共有結合によって基幹ポリマーに結合させる場合、基幹ポリマーのアミン官能基と共有結合を形成する適当な反応性基を有する親染料を信号発生基の前駆物質として使用するのが好ましい。このような反応を生じ得る親染料の非限定例は、スクシニミジル活性エステル基、酸ハライド基、スルホニルハライド基、アルデヒド基、ヨードアセチル基、またはマレイミド基を有する染料である。上記官能基を有し得る親染料のクラスの非限定例は、ヘミシアニン染料、例えばピリジニウムアニリン染料、キノリニウムアニリン染料、アクリジニウムアニリン染料、ベンゾチアゾリウムアニリン染料、ベンズオキサゾリウムアニリン染料、ベンズイミジゾリウムアニリン染料、ナフタチアゾリウムアニリン染料、ナフトインドリウムアニリン染料、ナフトオキサゾリウムアニリン染料、ナフトイミジゾリウムアニリン染料及びインドリウムアニリン染料である。
前述のように、複数の信号発生基が互いに極めて近接して単一の基幹ポリマーにランダムに共有結合しているときには信号消衰が生じる。基幹ポリマーに共有結合している信号発生基の数を最適にすることによって消衰を実質的に抑制し得る。最適な数の信号発生基を基幹ポリマーに共有結合させることによって本発明のコンジュゲートがフローサイトメーターのような検出装置によって高い精度で検出され得る信号を放出し得る。
信号発生基
信号発生基は励起光の波長に比べて十分に長い波長を有する光を放出し、このため、エネルギー転移メカニズムが不要になり、これに付随する問題も解消する。本文中で使用された“十分に長い”という表現は、典型的には少なくとも50ナノメーター、より好ましくは少なくとも100ナノメーター、最も好ましくは少なくとも200ナノメーターを意味する。複数の信号発生基を基幹ポリマーに結合できる。信号発生基自体が環境感受性であり、その結果として不安定であり、そのために生物学的接合適性が制限されるなどの問題があっても、ホスト形成部分で強化することによって信号発生基が適当な微細環境に固定され、これによって信号発生基の有効性が維持される。
様々な種類の信号発生基を本発明に使用できる。高いストークスシフトを示す信号発生基が特に有効である。本文中で使用された高いストークスシフトという表現は、約50〜約200ナノメーターの範囲を意味する。
信号発生基は、複素環に少なくとも1つの窒素原子を含む複素環部分にエチレン不飽和連結基を介して結合された少なくとも1つのアニリノ部分を有する親染料に由来する。
基幹ポリマーが求核性のとき、信号発生基は求電子性でなければならない。基幹ポリマーが求電子性のとき、信号発生基は求核性でなければならない。基幹ポリマーが求核性のとき、基幹ポリマーは例えば、アクリルアミドヒドラジド、ヒドラジド及びリシンから成るグループから選択された反復単位を含有し得る。基幹ポリマーが求電子性のとき、該基幹ポリマーは例えばアクリル酸基、グルタミン酸基、アスパラギン酸基、スチレンスルホン酸基から成るグループから選択された反復単位を含み得る。信号発生基が求電子性のとき、該信号発生基はカルボキシル基を含有し得る。信号発生基が求核性のとき、該信号発生基はアミン基またはヒドラジド基またはアミン基とヒドラジド基との双方を含有し得る。
本発明に好適な信号発生基の代表的なクラスは、ヘミシアニン染料、例えば、ピリジニウムアニリン染料、キノリニウムアニリン染料、アクリジニウムアニリン染料、ベンゾチアゾリウムアニリン染料、ベンズオキサゾリウムアニリン染料、ベンズイミジゾリウムアニリン染料、ナフタチアゾリウムアニリン染料、ナフトインドリウムアニリン染料、ナフトオキサゾリウムアニリン染料、ナフトイミジゾリウムアニリン染料、及び、インドリウムアニリン染料である。
一般に、本発明に好適な信号発生基の親染料は式:
A−L−B
によって示すことができ、式中の、
Aは複素環基を表し、
Lは連結基を表し、
Bはアニリノ基を表す。
基Aは1〜3個の環を含むのが好ましい。複素環基に2つ以上の環が含まれているとき、これらは融合環であるのが好ましい。複素環に存在し得る炭素原子以外の原子は好ましくは窒素、酸素及びイオウの原子である。環原子は水素以外の置換基を含有できる。しかしながらこれらの置換基が信号発生基とホスト形成部分との相互作用に不利な影響を与えてはならない。
基Bは式:
Figure 0004255514
〔式中、R1は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表し、R2は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表す〕を有しているのが好ましい。
Bの環原子は水素以外の置換基を含有し得る。しかしながらこれらの置換基が信号発生基とホスト形成部分との相互作用に不利な影響を与えてはならない。Lは式:
−(−CH=CH−)n-
〔式中、nは1、2または3を表す〕を有しているのが好ましい。
多くの信号発生基を本発明に使用し得るが、好ましい信号発生基は、合成アミノスチリルピリジニウム、アミノスチリルベンゾチアゾリウム、キノリニウム及びアクリジニウム染料である。これらの染料及びその合成は平均的な当業者によく知られている。例えば、Anthony C.Stevensら,“タンパク質反応性(アミノスチリル)ピリジニウム染料の合成(Synthesis of Protein−Reactive(Aminostyryl)pyridinium Dyes”,Bioconjugate Chem.,1993,4,19−24を参照するとよい。この文献の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。好ましいピリジニウムアニリノ染料は式:
Figure 0004255514
〔式中、式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜3の整数(両端値を含む)を表し、X-は負電荷の対イオンを表す〕を有するアミノスチリルフルオロジェン単量体である。
n=1のとき、この染料の励起波長は約488nmであり、発光波長は約580nmである。n=2のとき、この染料の励起波長は約488nmであり、発光波長は約680nmである。n=3のとき、この染料の励起波長は約544nmであり、発光波長は約790nmである。この特定の染料またはそのアミンもしくはカルボキシル誘導体は、本発明のポリマー染料の信号発生基の前駆物質として使用され得る。この染料に由来する信号発生基はフローサイトメトリー法で卓越した蛍光発光効果を示す。
上述のように、アミノスチリルピリジニウム染料は、環境感受性であり水溶液中の発光強度が極めて弱いので、フローサイトメトリー及びその他の蛍光プロセスのような多くの蛍光アッセイに適しているとは考えられていなかった。
信号発生基として使用されたときに卓越した蛍光発光特性を有することが判明した別の染料は、構造式:
Figure 0004255514
〔式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜3の整数(両端値を含む)を表し、X-は負電荷の対イオンを表す〕
を有するベンゾチアゾリウムアニリノ染料である。
β−シクロデキストリンアルデヒドの共有結合によって強化されたポリマー中のフルオロホアとして染料を使用した場合、n=1のとき、この染料の励起波長は約488nmであり、発光波長は約580nmである。β−シクロデキストリンアルデヒドの共有結合によって強化されたポリマー中のフルオロホアとして染料を使用した場合、n=2のとき、この染料の励起波長は約488nmであり、発光波長は約680nmである。β−シクロデキストリンアルデヒドの共有結合によって強化されたポリマー中のフルオロホアとして染料を使用した場合、n=3のとき、この染料の励起波長は約488nmであり、発光波長は約750nmである。これらのアニリノ染料のいくつかの類似体も卓越した蛍光発光効果性を示すであろう。これらの類似体の非限定例として以下の染料を例示する。式中、nは1〜3の整数(両端値を含む)を表し、X-は負電荷の対イオンを表す。
Figure 0004255514
Figure 0004255514
Figure 0004255514
Figure 0004255514
Figure 0004255514
Figure 0004255514
親染料は置換されていても未置換でもよい。即ち、親染料の複素環部分は水素以外の置換基を含有し得る。更に、染料のアニリノ部分は水素以外の置換基を含有し得る。任意に存在し得るこれらの置換基は特定の置換基に限定されない。しかしながら、これらの置換基は信号発生基とホスト形成部分との相互作用に不利な影響を与えてはならない。染料の複素環部分または染料のアニリノ部分に好適な置換基の非限定例は、アルキル、アルケニル、アミノ、メトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヒドロキシ及びニトロである。
信号発生基を基幹ポリマーに結合する方法はポリマーのローディングと呼ばれている。しかしながら、基幹ポリマーに信号発生基を単にローディングするだけでは、達成可能な最大量の蛍光を放出するポリマー染料を得ることはできない。基幹ポリマーがオーバーローディングされると、消衰が生じるであろう。基幹ポリマーがアンダーローディングされると、消衰を生じることなく付加できた筈の信号発生基が残り、その結果、蛍光発光のレベルは達成可能な最高レベルよりも低い。従って、最高レベルの蛍光を放出し得るポリマーを得るためには、最適な数の信号発生基を基幹ポリマーに結合させるのが好ましい。
基幹ポリマーに結合させる信号発生基の最適数を知るためには、一連のローディングを実施して、最高レベルの信号を発生するポリマー染料を生じるローディングレベルを決定する。この手順では一般に、種々の濃度の信号発生基を一定量の基幹ポリマーに組合わせるローディング試験パネルを作製する。ローディングされた基幹ポリマーを次に、沈殿、等電点電気泳動または好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーのような平均的な当業者に公知の種々の方法によって未反応の材料から分離する。次に、分離したポリマーの信号発生能力を試験し、どのローディング濃度が最高レベルの信号を発生するポリマー染料を生じたかを判定する。典型的には、最高レベルの信号を発生するポリマー染料が最適にローディングされたのであるから、大規模な量の基幹ポリマーを最適にローディングするためにこのローディング濃度を用いる。本文中で使用された“最適にローディング”なる用語は、消衰を生じたりまたは生物学的接合適性に不利な影響を与えたりすることなく最大数の信号発生基が基幹ポリマーに結合された状態を意味する。
特定の基幹ポリマーに結合させる信号発生基の最適数を決定する好ましい方法は、以下の段階を含む。
(1)選択された基幹ポリマーの分子量を計算する。
(2)基幹ポリマー上に存在する反応性基、例えばアミン官能基の総モル量を測定する。
(3)各々が異なる濃度の信号発生基を含む一連の原液から成るパネルを作製する。
(4)反応性基、例えばアミン官能基との反応を介して基幹ポリマーに信号発生基をローディングする。
(5)ローディングされたポリマーを未反応材料から精製(分離)する。
(6)ポリマー染料の信号発生能力を分析する。
(7)大規模な量に拡大する。
原液は、信号発生基を有する染料をジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルスルホキシド(DMSO)のような適当な溶媒に種々の濃度で溶解することによって調製する。パネルを構成するために使用される基幹ポリマーの反応性基、典型的にはアミン官能基に対する信号発生基のモルローディング比は、5%、10%、15%、20%、40%、75%、100%、140%及び200%から成る。パネル濃度は好ましくは十分に大きいモルローディング比を含むように選択される。その結果、消衰が生じるかまたは染料が最大にローディングされるので、基幹ポリマーの最適ローディング濃度が正確に判断できる。パネルの作製後、パネルの構成員の各々を基幹ポリマーの個々の等モル溶液に添加する。
次に、ローディングされたポリマー溶液の各々を、平均的な当業者に公知の技術によって未反応の基幹ポリマーから及び/または信号発生基をもつ染料から分離できる。このようにしてポリマーを分離した後、その信号発生能力を分析し、得られたデータを利用して大規模な量のポリマーを製造し得る。
最適ローディング濃度をより正確に決定するために追加の最適化パネルを作製してもよい。勿論、ポリマーの最適化方法が本文に記載の方法に限定されないこと、同様に好適な他の方法も使用できることを理解されたい。
ポリマー染料は平均的な当業者に公知の種々の技術によって特異的結合因子に結合され得る。ポリマー染料を抗体のFc部分またはその近傍に共有結合によって結合させ、コンジュゲートを形成するのが好ましい。他の理論の可能性を否定はしないが、このようにしてポリマーが抗体に結合すると、抗体のFc部分の立体障害が生じ、例えばある種の細胞集団の表面に存在するFcレセプターに対する結合が阻止されると推測される。更に、部位特異的結合では、抗体の結合可能領域は予定の標的に結合できるように阻害されずに維持される。勿論、特異的結合因子とポリマー染料との結合方法は本文中に記載の方法に限定されないこと、平均的な当業者に公知の他の方法も使用できることを理解されたい。
抗体のFc領域を酸化し次いで酸化抗体と本文中に記載の種類のポリマー染料とを反応させることによってポリマー染料が抗体に結合してコンジュゲートを形成し得る。好ましくは、約1.0mg/ml〜約20.0mg/ml、より好ましくは約1.0mg/ml〜約10.0mg/ml、最も好ましくは約2.0mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度で抗体を酸化する。抗体がこれらの範囲以外の濃度で得られるとき、抗体を平均的な当業者に公知の方法で濃縮してもよくまたは適当なバッファで希釈してもよい。抗体は好ましくは、pH約6.5〜約8.0、より好ましくは約7.0〜約8.0、最も好ましくは約7.5〜約8.0を有するバッファ中で酸化される。抗体のFc領域の酸化は、平均的な当業者に公知の酸化剤によって惹起され得る。このような酸化剤の非限定例は、過ヨウ素酸ナトリウム、臭素などである。酸化剤を含有する溶液は典型的には、約100mM〜約250mM、好ましくは約175mM〜約200mMの酸化剤濃度を有している。抗体の酸化は約2℃〜約30℃の温度で生じる。好ましくは、約2℃〜約8℃の温度で約15分〜約5時間、好ましくは約1時間〜約2時間酸化させる。抗体を酸化させた後、当業界で公知の方法で精製し、好ましくは約3〜約6、より好ましくは約4〜約5の範囲のpHを有する適当なバッファに導入する。酸化した抗体を次にポリマー染料に結合させる。勿論、抗体の酸化方法が本文中に記載の方法に限定されないこと、当業界で公知の他の方法も使用できることを理解されたい。
酸化抗体をポリマー染料と反応させるとき、ポリマー染料の濃度は適当なバッファ中で約1.0mg/ml〜約20.0mg/ml、好ましくは約2.0mg/ml〜約5.0mg/mlの範囲とする。この反応に好適なバッファは好ましくは約4.0〜約7.0、より好ましくは約4.0〜約5.0の範囲のpHを有している。反応に好適なバッファの非限定例はトリエタノールアミンホスフェートである。酸化抗体に添加されるポリマー染料の量は、抗体の分子量及びポリマー染料の推定分子量を基準として、抗体1当量に対してポリマー染料約1.0〜約20当量の範囲である。酸化抗体とポリマー染料との反応は、遮光容器内で約2℃〜約30℃、好ましくは約2℃〜約8℃の温度で惹起する。反応を約2時間〜約48時間、好ましくは約12時間〜約15時間継続させる。反応の終了後、平均的な当業者に公知の分離方法でコンジュゲートを反応混合物の未反応成分から分離する。
第一級または第二級のアミン官能基を有するポリマー染料が共有結合によって特異的結合因子に結合している場合、追加の段階が好ましい。抗体とポリマー染料との初期反応の結果としてシッフ塩基が形成されるので、NaCNBH3のような適当な還元剤を約0.25mg/ml〜約2.0mg/mlの範囲の濃度で使用する平均的な当業者に公知の方法によってシッフ塩基を還元する。還元したコンジュゲートを次に、平均的な当業者に公知の分離技術によって余剰の反応体から分離できる。勿論、シッフ塩基の還元方法は本文中に記載の方法に限定されないこと、他の方法も使用できることを理解されたい。
基幹ポリマーに共有結合した信号発生基は基幹ポリマーに共有結合した分子をホストとしてこの分子の疎水性空洞に受容されるのが好ましい。この好ましい実施態様において、信号発生基はいかなる反応性基も有する必要がない。しかしながら平均的な当業者に理解されるように、信号発生基は、使用されている特定のホスト形成部分に受容され得る基でなければならない。
ホスト形成部分
ホスト形成部分は疎水性の立体配座制限的微細環境を提供しなければならない。疎水性を有することによってホスト形成部分が信号発生基と適合性になり得る。立体配座制限性は信号発生基の蛍光発光性を改善すると考えられている。小分子であることを特徴とするホスト形成部分の代表例は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;カルセランド;カリキシラン;分子クレフト;ククルビテリル;及びシクロファンである。カルセランドは、J.−M.Lehn,Struct.Bonding(Berlin)16(1973)1;J.−M.Lehn,Acc.Chem.Res.11(1948)49;P.G.Potvin,J.−M.Lehn in R.M.Izatt,J.J.Christensen(Eds.):大環の合成:選択的錯形成剤の設計(Synthesis of Macrocycles:The Design of Selective Complexing Agents)(Progress in Macrocycle Chemistry,Vol.3),Wiley,New York 1987,p.167;D.J.Cram,Angew.Chem.98(1986)1041;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.25(1986)1039;B.Dietrich,J.Chem.Ed.62(1985)954;及びD.J.Cram,K.N.Trueblood,Top.Curr.Chem.98(1981)43に記載されている。カリキシランは、
B.Xu & T.Swager,“ホスト−ゲスト中間相:ボウル状カラム相の協同的安定化(Host−Guest Mesomorphism:Cooperative Stabilization of a Bowlic Columnar Phase)”,J.Am.Chem.Soc.1995,117,5011−5012に記載されている。分子クレフトは、J.Rebek,Jr.,Acc.Chem Res.17(1984)258及びScience 235(1987)1478に記載されている。ククルビテリルはMock,W.L.,Shih,N.Y.,J.Org.Chem.,1983,48(20),3618−3619に記載されている。シクロファンは、F.Diederich,M.R.Heester,M.A.Uyeki,Angew.Chem.1988,100,1775;Angew Chem.Int.Ed.Engl,1988,27,1705に記載されている。
本文中に記載のポリマー染料の信号発生基によって発生する信号の増強は、シクロデキストリン、好ましくはβ−シクロデキストリンを基幹ポリマー、好ましくは最適化した高蛍光性ポリマーの主鎖に共有結合的に結合させることによって達成するのが好ましい。あるいは、シクロデキストリンを基幹ポリマーに共有結合させる必要はなく、基幹ポリマーに極めて近接させるだけでもよい。
以下の記載では、最適化された高蛍光性ポリマーがシクロデキストリンアルデヒドとの共有結合によって増強されることを示す。シクロデキストリンによって得られる増強と実質的に同様にして、最適化された高蛍光性ポリマーは代替的なホスト形成部分の1つによって増強される。シクロデキストリンアルデヒドを共有結合によってポリマー染料の基幹ポリマーに結合するのが好ましいが、その理由は、共有結合した場合に蛍光が最大に増強されることが判明したからである。シクロデキストリン分子の第一リムに単一の反応性基を選択的に取込ませることによって、シクロデキストリン分子はその第一リムを介して基幹ポリマーに結合し得る。従って、第二リムは阻止されない状態に維持され、疎水性空洞にゲスト分子がアクセスし得る。シクロデキストリン分子の第一リムとアミン官能基を有する基幹ポリマーとを結合させるためには、シクロデキストリン分子の第一リムの単一アルデヒド基を変換し次いでこの基を基幹ポリマー上に存在するアミン基と反応させる。これによって、シクロデキストリン分子が単一共有結合を介して基幹ポリマーに結合する。シクロデキストリン分子の第一リムの上記のような単一アルデヒド基は、平均的な当業者に公知の方法で得られる。例えば、Dess−Martinのペルヨードナン試薬を用いてシクロデキストリンの第一リムにアルデヒドを生成させ得る。D.B.Dessら,J.Org.Chem.48,4155−4156(1983)。この場合、化学量論的量のDess−Martin試薬とシクロデキストリンとをテトラヒドロフラン(THF)に溶解した不均一系中で反応を惹起し得る。6−シクロデキストリンモノアルデヒドが生成されるが、Dess−Martin試薬は爆発の可能性があり、市販製品として容易に入手できなくなっている。他のモノアルデヒド生成経路は3〜4段階を要し、この間に爆発性の有毒な中間体が生成する可能性がある。
代替方法として、危険な中間体が生成されない6−シクロデキストリンモノアルデヒドの製造方法が知見された。この方法は容易に入手できる市販商品を材料として使用する。一般に方法は2段階から成り、以下の反応スキーム1に従って行われる。
Figure 0004255514
方法の第一段階では、シクロデキストリンをそのモノトシレート誘導体に変換する。次いで、トシレート誘導体を酸化してシクロデキストリンモノアルデヒドを得る。
シクロデキストリンをそのモノトシレート誘導体に変換するために複数の方法が存在する。L.D.Meltonら,Carbohydrate Research,18,1971,29−37またはR.C.Petterら,J.Am.Chem.Soc.1990,112,3360−3368参照。これらの文献の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。モノトシレートを形成させた後、平均的な当業者に公知の方法、好ましくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって反応混合物から分離する。次いで、溶解シクロデキストリンモノトシレートを含有する溶液から平均的な当業者に公知の方法で溶媒を除去することによって固体モノトシレートを回収し得る。次に、固体シクロデキストリンモノアルデヒドを使用して方法の第二段階を行う。
方法の酸化段階は、種々の方法で行うことができる。典型的には酸化段階は、塩基の添加によって触媒され得るジメチルスルホキシド(DMSO)媒介反応を含む。モノトシレート誘導体をDMSO中で約75℃〜約85℃の温度に加熱すると、トシレート誘導体がゆっくりとモノアルデヒドに変換(約1〜3日)することが判明した。
DMSO媒介反応に塩基を添加すると、モノトシレートからモノアルデヒドへの変換速度が促進される。例えば、反応を促進するために微量の水酸化ナトリウム(NaOH)を使用し得る。方法のこの段階で使用される好ましい塩基は、ジイソプロピルアミン、N−メチルモルフォリン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、などのヒンダードアミン塩基である。ジイソプロピルアミン(Hunigの塩基としても知られる)は特に好ましいヒンダードアミン塩基である。モノトシレートからモノアルデヒドへの変換は、モノトシレートが溶液中に約0.5〜約20重量%、より好ましくは約1〜約15重量%、最も好ましくは約2〜約10重量%の濃度で存在するときに好ましく進行する。変換に使用されるヒンダードアミン塩基の好適量は溶液中のモノトシレートの約0.1〜約1.0モル当量、好ましくは溶液中のモノトシレートの約0.3〜約0.7モル当量の範囲でよい。このようにして形成されたシクロデキストリンモノアルデヒドを平均的な当業者に公知の方法で未反応材料から完全に分離し、アミン官能性ポリマーと反応させ得る。あるいは、最終反応混合物をアミン官能性ポリマーと直接反応させてもよい。
本発明で提供されるシクロデキストリンモノアルデヒドは平均的な当業者に公知の標準共有結合化学法によってアミンまたはヒドラジン官能基をもつ化合物に容易に結合し得る。このようなアミン官能基の非限定例は、−C(O)−NH−NH2、−NH2、−NHRであり、式中のRは、炭素原子1〜3(両端値を含む)のアルキル基、イソプロピル、−(CH22CO2 -、−(CH22SO3 -、−(CH22NH3 +、−(CH22NH2 +(CH22SO3 -、−(CH22O(CH22O(CH22OH及び−(CHOH)4CH2OHから成るグループから選択された基を表す。これらのアミン官能基を有する化合物の非限定例は、ポリアクリルアミドヒドラジドのようなアミン官能性ポリマー、及び、アミノ化微粒子のようなアミン官能性固相である。
第一級または第二級のアミン官能性化合物をシクロデキストリンモノアルデヒドと反応させて共有結合を形成させる場合、追加の段階が好ましい。化合物とモノアルデヒドとの間の初期反応の結果としてシッフ塩基が形成されるので、シッフ塩基を前述の手順で還元し得る。
シクロデキストリンモノアルデヒドは、信号発生基を含まないアミン官能性基幹ポリマーに結合されてもよく、または、信号発生基を含むアミン官能性ポリマー染料に結合されてもよい。シクロデキストリンモノアルデヒドが信号発生基を含まないアミン官能性基幹ポリマーに付加される場合、後で信号発生フルオロホアを基幹ポリマーに付加することによって基幹ポリマーを蛍光性にする。基幹ポリマーを蛍光性にする方法の1つでは、信号発生基を共有結合によってアミン官能性基幹ポリマーに結合させる。
本発明のポリマー染料を含有するコンジュゲートの蛍光性は、シクロデキストリンを非共有結合によってコンジュゲートに付加することによって増強され得る。シクロデキストリンをこのように使用する場合、シクロデキストリン分子またはコンジュゲートの修飾は不要である。他の理論の可能性を否定はしないが、共有結合した信号発生基はシクロデキストリン分子をホストとしてその疎水性中心に受容され、その結果としてポリマー染料の信号発生基とシクロデキストリンとが会合すると考えられている。ポリマー染料の蛍光性を増強するために使用する場合、シクロデキストリンを約5mM〜約200mM、好ましくは約10mM〜約20mMの範囲の濃度で使用するのが好ましい。
上述のように本発明のコンジュゲートは多様な用途を有している。本発明のコンジュゲートを好適に使用できる方法としては、試験サンプルに含まれている細胞を検出するために1つまたは複数の蛍光性コンジュゲートを使用するフローサイトメトリーがある。フローサイトメーターの一例は、Becton,Dickinson & Co,Franklin Lakes,N.J.によって製造されている蛍光活性化セルソーター(Fluorescence Activated Cell Sorter,FACS II)である。一般に、造影システムは励起ソースと検出デバイスとを含む。励起ソースは、コンジュゲートと会合している信号発生基を励起し、検出デバイスは、励起された信号発生基から放出された信号を検出する。
典型的な造影システムによる分析では、試験サンプルを蛍光性コンジュゲートと共にインキュベートする。コンジュゲートは、試験サンプル中に存在し得るある種の細胞に特異的に結合する。インキュベーションは、サンプル中に含まれる細胞集団にコンジュゲートが特異的に結合できる温度及び時間で行う。コンジュゲートに結合した細胞は通常は染色によって検出されるので、夫々に異なる波長の信号を放出する多数のコンジュゲートを使用した場合には、複数の染色手順を順次にまたは同時に行う。染色手順の終了後、フローサイトメーターを用いてサンプルを分析する。
本発明のポリマー染料を用いたフローサイトメトリーの別の好ましい実施態様では、試験サンプルを、試験サンプル中に存在し得るある種の細胞に特異的に結合する第一試薬の溶液と共にインキュベートして第一複合体を形成させる。未結合の試薬が残存する場合には、洗浄によってこれをサンプルから除去し、結合した第一試薬に特異的な蛍光性コンジュゲートを第一複合体と共にインキュベートする。未結合のコンジュゲートが残存する場合には、洗浄によってこれを第一複合体から除去し、次に、細胞に会合した蛍光を上述のごとく測定する。種々の細胞マーカーに特異的な複数の第一試薬、及び、同じ波長または異なる波長の蛍光を発生する複数のコンジュゲートを用いて、染色手順を複数回反復し得ることは理解されよう。また、細胞に会合した蛍光を測定する前に細胞染色に必要な全成分をサンプルに添加する限り、染色手順は順次式でもバッチ式でもよいことも勿論理解されよう。
別の実施態様によれば、本発明のコンジュゲート及び方法は、例えばサンドイッチ型イムノアッセイのような慣用の固相イムノアッセイに好適に使用され得る。サンドイッチ型イムノアッセイは典型的には、分析物を含むと予測される試験サンプルを、分析物と結合対を形成する特異的結合因子をコートした実質的に固体の不活性支持体、例えばプラスチック、ラテックスまたはガラスのビーズまたは微粒子から成る支持体に接触させる。結合因子でコートされた支持体材料を一般に“捕獲試薬”と呼ぶ。分析物が支持体材料に結合した後、残っている試験サンプルを支持体材料から除去する。分析物が結合した支持体材料を、信号発生基で標識した第二の結合因子を通常は含んでいるコンジュゲートで処理する。コンジュゲートは、支持体材料に結合している分析物に結合する。第一の結合因子を含む支持体材料と分析物と該分析物に結合したコンジュゲートとの複合体を、通常は1回またはそれ以上の洗浄段階で未結合のコンジュゲートから分離する。次に、適当な励起によって信号発生基から発生した信号を、目視観察またはより好ましくは計器観察し、試験サンプル中の分析物の存在または量を知る。このようなアッセイを実施する場合、使用される諸段階の順序及び数が本文に記載の本発明を限定しないことは勿論理解されよう。
上述のように、このようなイムノアッセイによって検出される分析物は、1つまたは複数の増幅反応産物でもよい。従って、分析物は核酸配列でもよく、または、欧州特許出願公開EP−A−320−306及びEP−A−439−182に記載されているLCR、並びに、米国特許第4,683,202号及び第4,683,195号に記載されているPCRのようなハイブリダイゼーション反応の産物でもよい。上記の全部の文献の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。分析物が例えば、LCRもしくはPCRの反応産物または配列から成る場合、配列は、指示試薬との結合対を形成する結合因子と捕獲試薬との結合対を形成する結合因子とを含んでいるかまたはこれらを含むように修飾され得る。
例えば、微粒子エンザイムイムノアッセイ(Microparticle Enzyme Immunoassays,MEIA)のようなサンドイッチ型イムノアッセイの実施に好適な全自動システムは当業界で公知である。MEIAの実施に使用できる特に好ましい市販の全自動計器は、Abbott Laboratories,Abbott Park,ILから提供されているIMx(登録商標)システムである。Abbott IMx(登録商標)計器によって実施されるプロトコルのようなMEIAプロトコルは当業界で公知であり、Fiore,Mら,Clin.Chem.,34/9:1726−1732(1988)に記載されている。この文献の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
ホスト形成基で増強された本発明のポリマー染料は、フローサイトメトリーで、従来公知の蛍光染料、ポリマー及びコンジュゲートによって得られた結果をはるかに卓越する優れた結果を与える。これらのポリマー染料は、フィコビリタンパク質−Cy5タンデムなどのような従来公知の蛍光染料、ポリマー及びコンジュゲートに代替して使用できる。
高いストークスシフトを有する慣用の信号発生基(即ち、フルオロホア)は信号があまりにも弱いので、多数の用途に適応する検出感度を得ることが難しい。本発明はこの問題を克服し、多くの用途に使用できる。その非限定例としては、多色蛍光イムノアッセイによる多重化を含む多重化アッセイ、フローサイトメトリー、イムノフェノタイピングアッセイ、造影法、免疫染色、蛍光鏡検法、イムノクロマトグラフィー染色、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、蛍光現場ハイブリダイゼーション(FISH)、分析物の蛍光検出、などがある。本発明はフローサイトメトリー法に特に効果的である。しかしながら、本発明はこれらの用途に限定されない。実際、蛍光試験または検出を使用するが従来技術に関して前述したような問題を含んでいる多くの用途に好適である。
更に、本発明に使用される適当な信号発生基の多くは合成される。合成信号発生基は一般に、天然産生フルオロホアよりも安定である。
本発明は、染料に望ましい適切な微細環境を与えることによって上記及びその他の染料の環境感受性を低減する。染料をこのような微細環境に固定することによって、染料の蛍光発光効果が巨大環境、接合または他の要因による有意な影響を受け難い。
以下の非限定実施例によって本発明をより詳細に説明する。これらの実施例では以下のバッファを使用した。
100mMのリン酸塩と100mMのNaClとを含むpH5.5のリン酸塩バッファ(以後、“バッファ1”と呼ぶ)。
100mMのリン酸塩と100mMのNaClとを含むpH7.0のリン酸塩バッファ(以後、“バッファ2”と呼ぶ)。
50mMのトリエタノールアミンと160mMのNaClとを含むpH8.0のトリエタノールアミンバッファ(以後、“バッファ3”と呼ぶ)。
酢酸塩バッファ,pH4.5(0.1Nの酢酸塩、0.1NのNaCl)(以後、“バッファ4”と呼ぶ)。
酢酸塩バッファ,pH5.5(0.1Nの酢酸塩、0.1NのNaCl)(以後、“バッファ5”と呼ぶ)。
50mMのトリエタノールアミンと160mMのNaClとを0.1mMのZnCl2と1mMのMgCl2と共に含むpH7.0のリン酸塩バッファ(以後、“バッファ6”と呼ぶ)。
HEPESバッファ,pH6.8(0.1NのHEPES)(以後、“バッファ7”と呼ぶ)。
100mMのリン酸塩と100mMのNaClとを含むpH7.5のリン酸塩バッファ(以後、“バッファ8”と呼ぶ)。
20mMのリン酸塩バッファ,pH7.0(0.02Nのリン酸塩、0.02Nの塩化ナトリウム)(以後、“バッファ9”と呼ぶ)。
これらの実施例では以下の商標の製品を使用した。
“SEPHACRYL S−300”,Pharmacia LKB Biotechnology AB。
“CENTRICON−30”,W.R.Grace & Co.。
“PARR”,Parr Instrument Co.。
“CELITE”,Celite Corporation。
“SEPHADEX G−25”,Pharmacia LKB Biotechnology AB。
“CENTRIPREP−30”,W.R.Grace & Co.。
“BIO−GEL TKS−50XL”,Toso−Haas Corporation。
“BIO−SIL SEC−300”,BioRad Corporation。
実施例I
アクリルアミドヒドラジドピリジニウムアニリンモノエンポリマーのシクロデキストリン誘導体の製造
4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドと合成中間体Iとを塩基の存在下で反応させることによって染料1を製造した。合成中間体Iは、4−メチルピリジンと3−ヨードプロピオン酸とを反応させることによって製造した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(以後、“EDAC”と呼ぶ)を脱水剤として使用し、染料1のカルボキシル置換基にアクリルアミドヒドラジドポリマー11Aのヒドラジン部分を反応させることによってアクリルアミドヒドラジドピリジニウムアニリンモノエンポリマー11Bを製造した。得られたポリマー染料11Bを更にシクロデキストリンアルデヒド6と反応させて、アクリルアミドヒドラジドピリジニウムアニリンモノエンポリマーのシクロデキストリン誘導体11Dを製造した。
染料1の製造
4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド(0.5g、2.8ミリモル、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)と中間体(合成中間体I、0.462g)とピペリジン(1ml)とを無水エタノール(5ml)中で混合することによって反応混合物を調製した。
反応混合物を温度100℃に加熱し、この温度で4時間維持し、次いで室温(25℃)に放冷した。エタノール溶媒を真空下に除去し、次いで生成物を2:1のメタノール/水の液相で溶出させるC−8逆相カラムの分取HPLCによって精製した。染料1の収率は29%であった。製造工程を反応スキーム2Aに示す。
Figure 0004255514
合成中間体Iは、エタノール中の4−メチルピリジン(1g、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)と3−ヨードプロピオン酸(10.7g、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)とから成る溶液を還流させることによって製造した。製造工程を反応スキーム2Bに示す。
Figure 0004255514
CH2Cl2移動相中のCH3OHの5−20%勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって合成中間体Iを精製した。
代替方法としては、Stevens,A.C.ら,Bioconjugate Chemistry,1993,4,19−24,に記載されたような修正合成経路を用いて染料1を合成し得る。該文献の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
ポリマー染料11Bの製造
EDACを脱水剤として用いて染料1を基幹ポリマー11Aに結合させることによってポリマー染料11Bを製造した。基幹ポリマー11A(5mg、Sigma Chemical Co.,カタログ#P−9505、分子量180,000)を、100mMのリン酸塩と100mMのNaClとを含む1.0mlのリン酸塩バッファ,pH5.5(以後、“バッファ1”と呼ぶ)に溶解した。約150モル当量の染料1(1.4mg、4.2×10-6モル)をこの溶液に添加した。反応混合物を撹拌しながら固体EDACの各10mgの複数のアリコートをほぼ1/2時間おきに数時間を要して添加した。バッファ1を移動相として用いるサイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHADEX G−25”)によって精製した。次いで、空隙容量の画分をプールした。
ポリマー染料11Dの製造
上記のようなクロマトグラフィー段階を行った後、得られたバッファ1中のポリマー染料11Bの原液の濃度は0.5mg/mlであった。バッファ1中のポリマー染料11Bの原液のアリコート(3.0ml)(1.5mgのポリマー染料11B)を採取し、アリコートに、シクロデキストリンアルデビト6(9.0mg、Huff,J.B.,Bieniarz,C.,J.Org.Chem.1994,59,7511−7516、この文献の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする)を添加した。得られた溶液を室温(25℃)で少なくとも24時間インキュベートした。得られたポリマー染料11Dを蠕動ポンプを用いて約1.0ml/分の流速で中圧カラム(“SEPHACRYL S−300”)に通すことによって精製した。高分子量画分を収集し、プールし、微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて濃縮した。
励起波長488nm及び発光波長614nmで測定した染料1、ポリマー染料11B及びポリマー染料11Dの相対蛍光強度を図1に示す。図1〜9は、相対蛍光強度または補正蛍光強度を任意の単位で表す。
実施例II
ポリマー染料11Dの製造
ポリマー染料11Dを実施例1に記載の手順で製造した。染料1を実施例1に記載の手順で製造した。実施例1と同様にEDACを脱水剤として用いて染料1を基幹ポリマー11Aに結合させた。
ポリマー染料11Bの溶液にシクロデキストリンアルデビト6を添加することによって信号の増強の程度が実質的に向上した。反応スキーム3に示すように、シクロデキストリンと染料1とは、染料のカルボキシル基を介してアクリルアミドヒドラジドポリマー主鎖に結合した。得られたポリマー染料11Dは、(シクロデキストリンアルデヒド6を介して)シクロデキストリンに共有結合しており、図3に示すように、希釈されたときにポリマー染料の濃度に直線状に応答する。図3において、曲線Aは、励起波長488nm及び発光波長580nmの場合のポリマー染料11Bの蛍光強度を濃度の関数として示しており、曲線Bは、励起波長488nm及び発光波長614nmの場合のポリマー染料11Bの蛍光強度を濃度の関数として示しており、曲線Cは、励起波長488nm及び発光波長580nmの場合のポリマー染料11Dの蛍光強度を濃度の関数として示しており、曲線Dは、励起波長488nm及び発光波長614nmの場合のポリマー染料11Dの蛍光強度を濃度の関数として示している。相対蛍光強度を波長の関数として比較したグラフを図2に示す。図2において、曲線Aはポリマー染料11Bの相対蛍光強度を波長の関数として示す。曲線Bはポリマー染料11Dの相対蛍光強度を波長の関数として示す。
Figure 0004255514
ポリマー染料11B及び11Dにおいてはn=1である。ポリマー染料12B及び12Dにおいてはn=2である。
実施例III
アクリルアミドヒドラジドピリジニウムアニリンジエンポリマーのシクロデキストリン誘導体の製造
トランス−4−(ジエチルアミノ)シンナムアルデヒドと合成中間体Iとを塩基の存在下で反応させることによって染料3を製造した。EDACを脱水剤として用い、染料3のカルボキシル置換基にポリマー11Aのヒドラジン部分を反応させることによってポリマー12Bを製造した。得られたポリマー染料12Bを更にシクロデキストリンアルデヒド6と反応させて、ポリマー染料12Dを製造した。
染料3の製造
トランス−4−(ジエチルアミノ)シンナムアルデヒド(0.43g、Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WI)と合成中間体I(0.62g)とピペリジン(1ml)とをメタノール(10ml)中で混合して反応混合物を調製した。反応混合物を温度110℃に加熱し、この温度で1/2時間維持し、次いで氷浴(0℃)で冷却した。焼結ガラス漏斗で濾過してメタノール溶媒を除去した。得られた沈殿物をジエチルエーテルで洗浄した。次いで固体生成物を、70:30のメタノール/水の液相で溶出させるC−8逆相カラムの分取HPLCによってまたはジエチルエーテル沈殿によって精製した。染料1の収率は29%であった。製造工程を反応スキーム4に示す。
Figure 0004255514
ポリマー染料12Bの製造
ポリマー11A(4mg、Sigma Chemical Company、カタログ#P−9905、分子量180,000)を室温(25℃)で少なくとも8時間磁気撹拌することによってバッファ1(2.0ml)に溶解した。染料3(1.45mg、0.0268ミリモル、ポリマー1モルあたり染料75モル当量)を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(200μl)に溶解して原液を調製し、得られた原液を次に、ポリマー11Aを含有する反応混合物に撹拌しながら添加した。200μlのバッファ1に溶解した2.37mgのEDACから成るEDAC原液の4つのアリコート(各50μl)を1/2時間おきに反応混合物に添加した(各アリコートは染料1モルあたり2.5モル当量のEDACを含む)。反応混合物を3〜4時間撹拌し、100mMのリン酸塩と100mMのNaClとを含むpH7.0のリン酸塩バッファ(以後、“バッファ2”と呼ぶ)中でカラム(“SEPHADEX G−25”)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによってポリマー染料を精製した。ポリマー染料を含んでいた空隙容量の物質を収集し、微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて約1.5mlに濃縮した。
実施例IV
ポリマー染料12Bの製造
ポリマー染料12Bはまた以下の手順で製造できた。
室温(25℃)で少なくとも8時間磁気撹拌することによってポリマー11A(10.0mg、Sigma Chemical Co.、カタログ番号#p−9905、分子量180,000)をバッファ1(2.0ml)に溶解した。染料3(2.9mg、0.0536ミリモル、ポリマー1モルあたり染料150モル当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(200μl)に溶解して原液を調製した。染料3を含む原液全量にポリマー11Aを含む溶液を撹拌しながら添加した。最後に、撹拌した反応混合物に、固体EDACの4つのアリコート(各250mg)を、初期時点、1/2時間後、2時間後、3時間半後の各時点で添加した。反応混合物を更に3〜4時間撹拌した。
バッファ2中でカラム(“SEPHADEX G−25”)を用いるサイズ排除クロマトグラフィーによってポリマー染料12Bを精製した。空隙容量の物質を収集し、ポリマー染料12Bを微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて約1〜2mlに濃縮した。
染料3、ポリマー染料12B及び0.1Mのシクロデキストリンの存在下のポリマー染料12Bの相対蛍光強度の比較を図4に示す。
ポリマー染料12Dの製造
ポリマー染料12Bをシクロデキストリンアルデヒドと反応させてポリマー染料12Dを製造した。ポリマー染料12B(1.1mg/mlの濃度で250μl)を、バッファ1中に最終濃度6.0mg/mlのシクロデキストリンを含むシクロデキストリンアルデヒド(1.5mg、Huff,J.B.,Bieniarz,C.,J.Org.Chem.,1994,59,7511−7516に記載の手順で調製)と反応させた。暗室中、室温で約4時間反応を継続した。得られたポリマー染料12Dを次に、サイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHADEX G−25”)によって精製し、空隙容量の画分をプールし、微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて濃縮した。
実施例V
アクリルアミドヒドラジドベンゾチアゾリウムアニリンモノエンポリマーのシクロデキストリン誘導体の製造
ポリマー染料17Dをシクロデキストリンモノアルデヒドとアクリルアミドヒドラジドベンゾチアゾリウムアニリンモノエンポリマーとの反応によって製造した。後者のポリマーは、EDACを脱水剤として用いた染料2とポリマー11Aとの反応によって得られた。染料2は、合成中間体Vとトランス−4−(ジエチルアミノ)シンナムアルデヒドとをピペリジンの存在下で縮合させ、適正構造の付加物をHPLCによって反応混合物から単離することによって合成した。代替方法として、2−メチルベンゾチアゾリウム化合物中間体(以後、“合成中間体V”と呼ぶ)と4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドとをピペリジンの存在下で縮合させることによって染料2を製造できる。
染料2の合成工程を反応スキーム5に示す。
Figure 0004255514
合成中間体Vの製造
アジピン酸モノエチルエステル(17.42g、Aldrich Chemical Co.,St.Louis,MO)とSOCl(9.0ml、Aldrich Chemical Co.,St.Louis,MO)とを、これらの2つの化合物から成る反応混合物を一滴のN,N−ジメチルホルムアミドから成る反応触媒の存在下で還流させることによって反応させた。反応混合物を温度90℃に加熱し、この温度で1/2時間維持した。余剰SOCl2のバルクを真空下に除去した。次いで、混合物に最少量のジエチルエーテルを添加し、混合物を真空下に加熱してSOCl2/ジエチルエーテル共沸混合物を除去した。この共沸混合物除去段階を2回繰り返した。次に高真空に1時間暴露することによって、残存する微量のチオニルクロリドとジエチルエーテルとを除去した。合成中間体IIを油として単離し、それ以上精製することなく使用した。
合成中間体II(5.83g)と5−アミノ−2−メチルベンゾチアゾール(6.0g、Aldrich)とを、アシル化触媒であるジメチルアミノピリジン(0.46g)と共にピリジンに溶解した。反応混合物を温度110℃で数時間加熱した。ピリジン溶媒のバルクを真空下に除去し、残存する微量をピリジン/CH2Cl2共沸混合物として除去した。反応混合物をCH2Cl2と飽和NaHCO3とに分配した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、溶媒を真空下に除去した。残渣を最少量のCH2Cl2に溶解し、ジエチルエーテルを添加した。沈殿物を濾別し、廃棄した。濾液を収集し、真空下に溶媒を除去すると結晶質の合成中間体IIIが得られた。
アミド合成中間体III(7.4g)を最少量のアセトニトリルに溶解し、溶液に1,3−プロパンスルトン(6.9g)を添加した。薄層クロマトグラフィー(TLC)で残留出発物質が存在しないことが示されるまで反応混合物を72時間還流させた。次にメタノールに溶解しジエチルエーテルで沈殿させることによって反応生成物を単離した。四級化エステルから成る合成中間体IVを白色固体として回収した。
四級化エステルである合成中間体IVを0.02〜0.4NのHClで加水分解した。加水分解度をTLCによって慎重にモニターし、加水分解完了と同時に処理を中止した。四級化エステルである合成中間体IV(0.30g)を0.4NのHCl(30ml)に溶解した。代替方法では、四級化エステルである合成中間体IV(0.50g)を0.4NのHClでなく4.0NのHClに溶解して同じ結果が得られた。2−メチルベンゾチアゾリウム加水分解産物である合成中間体Vを、先ず反応混合物を凍結し、次いで約0.1mmHg圧力の回転蒸発器を用いて溶媒を除去することによって単離した。
染料2の製造
合成中間体V(100mg、0.24ミリモル)とトランス−4−(ジエチルアミノ)シンナムアルデヒド(50mg、0.24ミリモル)とをメタノール(4ml)に溶解し、溶液にピペリジン(0.25ml)を添加した。反応混合物を還流して4時間加熱した。余剰の溶媒を除去し、残渣をメタノールに再度溶解した。固体物質をジエチルエーテルで沈殿させ、濾過によって収集した。ベンゾチアゾリウムアニリンモノエンである染料2を真空ポンプで一夜乾燥した。所望の場合、逆相HPLCクロマトグラフィーによって純粋な染料に精製し、その構造を1H NMR及び質量スペクトル分析によって確認し得る。
代替方法では、合成中間体V(100mg、0.24ミリモル)とトランス−4−(ジエチルアミノ)シンナムアルデヒド(0.24ミリモル)とをメタノール(4ml)に溶解し、溶液にピペリジン(0.25ml)を添加する。反応混合物を還流して4時間加熱する。次いで余剰の溶媒を除去し、残渣をメタノールに再溶解する。固体生成物をジエチルエーテルで沈殿させ、濾過によって収集する。
ポリマー染料17Bの製造
ポリマー染料17B(ポリマー染料17Dの前駆物質)は、EDACを脱水剤として用いて染料2をポリマー11Aに結合させることによって合成した。製造工程を反応スキーム6に示す。
Figure 0004255514
ポリマー11A(20mg、Sigma Chemical Co.、カタログ#P−9505、分子量180,000)をバッファ1(4.0ml)に溶解し、5mg/mlのポリマー濃度とした(2.78×10-8モルのポリマー)。染料2(5.0mg)をDMSOに溶解し、この溶液をポリマーの緩衝水溶液に添加することによって、約150モル当量の染料2(5.0mg、4.17×10-6モル)をポリマー含有溶液に添加した。反応混合物を暗室で一夜撹拌しながら、固体EDACの各300mgの5つのアリコートをほぼ1/2時間おきに添加した。
カラム(“SEPHADEX G−25”)を用いてバッファ1で溶出させることによって反応混合物のポリマー染料を未結合の染料から分離した。空隙容量の画分を収集し(合計容量約3.0ml)、遠心微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて生成物を濃縮した。
ポリマー染料17Dの製造
ポリマー染料17Bをバッファ1に1.0mg/mlの濃度に希釈して原液を調製した。ポリマー染料17Bを含有する原液から、ポリマー染料17Bの溶液のアリコート(3.0ml、ポリマー3.0mg)を採取し、シクロデキストリンアルデヒド6(1.9mg、Huff,J.B.,Bieniarz,C.,J.Org.Chem.,1994,59,7511−7516に記載の手順で製造)を添加した。溶液を暗室中、室温(25℃)で72時間インキュベートした。得られたポリマー染料17Dをカラム(“SEPHACRYL S−300”)に入れ、蠕動ポンプを用いて約1〜3ml/分の流速でバッファ2から溶出させることによって精製した。高分子量画分を収集し(約5.0ml)、プールし、微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて濃縮した。
ポリマー染料17B単独、ポリマー染料17Bと非共有結合シクロデキストリンとの共存およびポリマー染料17D(共有結合シクロデキストリン)の蛍光発光の比較を図5に示す。図5において、曲線Aはポリマー染料17Bの相対蛍光強度を波長の関数として示す。曲線Bはポリマー染料17Bと非共有結合シクロデキストリンとが共存するときの相対蛍光強度を波長の関数として示す。曲線Cはポリマー染料17Dの相対蛍光強度を波長の関数として示す。図6は、ポリマー染料17Dの希釈曲線を示す。これらの曲線は、ポリマー染料17Dの濃度に対して直線状の蛍光応答が生じることを示す。また、ポリマー染料17B単独の希釈曲線及びシクロデキストリン原液に0.25mg/mlに希釈したポリマー染料17Bも示す。図6において、曲線Aは、ポリマー染料17Dの蛍光を染料の希釈度の関数として示す。曲線Bは、ポリマー染料17Bの蛍光を染料の希釈度の関数として示す。曲線Cはポリマー染料17Bと非共有結合シクロデキストリンとが共存するときの蛍光を染料の希釈度の関数として示す。
実施例VI
アクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンポリマー13Dのシクロデキストリン誘導体の製造
EDAC法を用いて染料4をアクリル酸ポリマーに共有結合させた。EDAC法を用いてシクロデキストリンモノアミン7をアクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンポリマーに共有結合させた。
染料4の製造
4−メチルピリジン(10g)をエタノール溶媒(20ml)中で3−ブロモプロピルフタルイミド(28.8g)と混合し、反応混合物を100℃に加熱し、この温度で20分間維持することによって反応させた。N−(3−フタルイミドプロピル)−4−メチルピリジニウムブロミンのN−第四級種(以後、“合成中間体VI”と呼ぶ)を、真空下に溶媒を除去し残渣をメタノールに再溶解することによって精製した。次にこの溶液をジエチルエーテルで滴定し、沈殿物が形成されるまで2〜8℃の温度に冷却した。沈殿物(23.3g、合成中間体VI)を濾過によって分離した。合成中間体の製造工程を反応スキーム7に示す。
Figure 0004255514
合成中間体VI(5.0g)をピリジン(10ml)に溶解した。4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド(7g、Aldrich Chemical Co.)を反応混合物に添加した。得られた懸濁液を次に無水エタノール(4ml)の添加によって可溶化した。この反応混合物を100℃の温度で4時間撹拌し、溶媒を真空下に除去した。CH2Cl2(95容量%)/メタノール(5容量%)の混合物で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによってイミド中間体を精製した。イミド中間体を濃HCl(30ml)中で5時間還流させることによって加水分解するとアミン化合物から成る染料4が得られた。酸性反応混合物を室温に冷却し、残りの溶媒を真空下に除去した。C−8逆相カラムを用い、0.5%トリフルオロ酢酸を加えたメタノールを移動相として用いた分取HPLCによって残渣を精製すると染料4が得られた。この染料の製造工程を反応スキーム8に示す。
Figure 0004255514
シクロデキストリンモノアミンの製造
シクロデキストリンアミンを反応スキーム9に示す手順で製造した。
Figure 0004255514
シクロデキストリンモノトシレートの製造
ベータ−シクロデキストリンをAldrich Chemical社から入手した。シクロデキストリンモノトシレートをPetter,R.C.,Salek,J.S.,Sikorski,C.T.,Kumaravel,G.,Lin,F.−T.,J.Amer.Chem.Soc.1990,112,3360−3368(この文献の記載内容は参照によって本発明に含まれる)に記載の手順で製造した。
シクロデキストリンモノアジドの製造
ベータ−シクロデキストリントシレート(3.06g)とナトリウムアジド(0.76g)とをジメチルホルムアミド溶媒(60ml)に添加することによって反応混合物を調製した。得られた混合物を温度80℃に加熱し、この温度に一夜維持し、次いで真空下に濃縮した。濃縮した残渣を焼結ガラス漏斗に入れた逆相(C−18)シリカ(40g、Fluka、#60756)で濾過した。未反応のシクロデキストリンモノトシレートを水洗によってC−18シリカから除去し、カラムをアセトニトリル(50容量%)と水(50容量%)との混合物で洗浄し次いでアセトニトリル(100%)で洗浄することによって生成物シクロデキストリンモノアジドをC−18シリカから回収した。イソプロパノール(55容量%)/水酸化アンモニウム(35容量%)/水(10容量%)の混合溶媒を用いた順相TLCによってC−18シリカ洗浄物から得られた画分を検査した。水酸化アンモニウムは濃い水酸化アンモニウム水溶液であった。TLC測定によってモノトシレート非含有が判明したC−18シリカ洗浄物画分を集めて減圧下に濃縮した。濃縮物質をメタノールに溶解し、生成物シクロデキストリンモノアジドをジエチルエーテルで沈殿させた。次いで、固体状の生成物シクロデキストリンモノアジドを濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した。
シクロデキストリンモノアミン7の製造
シクロデキストリンモノアジド(0.51g)を水(50〜100ml)に溶解した。5%パラジウム含有炭素(150mg)を窒素雰囲気下で溶液に添加した。炭素/パラジウム触媒は溶解しなかった。反応懸濁液を水素雰囲気下に維持し、撹拌/水素化装置(“PARR”)で一夜撹拌した(20psiのH2圧)。イソプロパノール(55容量%)/水酸化アンモニウム(35容量%)/水(10容量%)の混合物を展開溶媒として用いて順相TLCによって反応混合物をモニターした。水酸化アンモニウムは濃い水酸化アンモニウム水溶液であった。反応混合物を濾過助剤(“CELITE”)で2回濾過した。反応混合物中に未反応の出発物質が存在しないことを確認した後、水性濾液を真空下に濃縮すると、シクロデキストリンモノアミン(0.28g)が得られた。濾過助剤(“CELITE”)に残った反応残渣を更に水(500ml)で洗浄し次いで濃縮すると、追加量のシクロデキストリンモノアミン(0.057g)が得られた。双方の生成物のバッチを集め、それ以上精製しないでポリマー染料13D、15D及び18Dの製造に使用した。
アクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンポリマー(ポリマー染料13B)の製造
アクリル酸ポリマーを脱イオン水に濃度20mg/mlで溶解することによってアクリル酸ポリマー13Aの原液(分子量約200,000、Polysciences,Warrington,PA)を調製した。アクリル酸ポリマーの原液の1mlのアリコートと染料4(0.68mg、20モル当量)とを混合することによって反応混合物を調製した。反応混合物を絶えず撹拌しながら固体EDACのアリコート(各3.3mg)を1/2時間おきに2時間以上を要して5回添加した。得られたポリマー染料13Bをサイズ排除カラム(100−300メッシュ、“SEPHADEX G−25”)の空隙容量を収集することによって精製した。
アクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンポリマーのシクロデキストリン誘導体(ポリマー染料13D)の製造
染料4(0.68mg)とシクロデキストリンモノアミン7(4.0mg)とアクリル酸ポリマーの脱イオン水溶液(1.0ml、20mg/ml)とを含む反応混合物を調製した。EDACの5つのアリコート(各10mg)を2時間以上を要して反応混合物に添加した。混合物を絶えず撹拌した。得られたポリマー染料をサイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHADEX G−25”)によって精製した。空隙容量の画分を集め、遠心濃縮器(“CENTRIPREP−30”)を用いて3.0mlに濃縮した。ドライアイス/アセトン浴を用いて混合物を凍結させ、次いで凍結乾燥すると純粋な固体ポリマー染料13Dが得られた。ポリマー染料13Dの製造工程を反応スキーム10に示す。
図7は、1.1×10-7Mの精製ポリマー染料13Bの蛍光(曲線A)と1.1×10-7Mの精製ポリマー染料13Dの蛍光(曲線B)との比較を示す(双方とも、励起波長488nmを用いる)。
Figure 0004255514
実施例VII
アクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンポリマーのペルメチルシクロデキストリン誘導体の製造
EDAC法を用いてペルメチルシクロデキストリン8と染料4との双方をアクリル酸ポリマーに共有結合させた。
ペルメチルシクロデキストリンモノアジドの製造
ベータ−シクロデキストリンはAldrich Chemical社から入手した。シクロデキストリンモノトシレートはPetter,R.C.,Salek,J.S.,Sikorski,C.T.,Kumaravel,G.,Lin,F.−T.,J.Amer.Chem.Soc.1990,112,3360−に記載の手順で製造した。次にシクロデキストリンモノトシレートを実施例VIに記載の手順でシクロデキストリンモノアジドに変換し、次いで以下の手順でペルメチルシクロデキストリンモノアジドに変換した。
ベータ−シクロデキストリンモノアジド(0.242g、0.2ミリモル)を、3.5mlのジメチルホルムアミドと3.5mlのジメチルスルホキシドとを含む混合物に懸濁させ、得られた懸濁液を、撹拌懸濁液が透明になるまで1/2時間撹拌した。次に、BaO(1.95g)とBa(OH)2・8H2O(1.95g)とを懸濁液に部分量ずつ添加した。氷浴を用いて懸濁液を温度0℃に冷却した。ジメチルスルフェート(3.3ml、34ミリモル)を1時間を要して懸濁液に添加した。反応混合物を温度2〜8℃で48時間撹拌した。濃縮水酸化アンモニウム(10ml)を添加して反応を停止させ、残留溶媒を減圧下に除去した。残留固体を1リットルのCHCl3中で撹拌し、得られた懸濁液を濾過した。次に、得られた固体をCHCl3(1リットル)で再度洗浄した。CHCl3抽出物を集めて、減圧下にCHCl3をほぼ除去することによって最少容量とし、ヘキサン(1リットル)を添加すると、ペルメチルシクロデキストリンモノアジド(140mg)が得られた。
ポリメチルシクロデキストリンモノアミンの製造
ポリメチルシクロデキストリンモノアジド(100mg)を水(20ml)に溶解した。次に、10%パラジウムを含有する固体炭素(30mg)を添加し、反応混合物を約20psiの圧力の水素雰囲気下で“PARR”撹拌器を用いて一夜激しく撹拌した。得られた精製物を濾過助剤(“CELITE”)で濾過し、減圧下に濾液を濃縮すると、生成物としてペルメチルシクロデキストリンモノアミン8が得られた。ペルメチルシクロデキストリンモノアミン8の製造工程を反応スキーム11に示す。
Figure 0004255514
アクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンモノアミンポリマーのペルメチルシクロデキストリン誘導体(ポリマー染料14D)の製造
前述の手順で染料4を製造した。ポリアクリル酸(5mg)を脱イオン水(0.25ml)に溶解した。この溶液に染料4(3.4mg)とペルメチルシクロデキストリンモノアミン8(24mg)とを添加した。EDACの5つのアリコート(各52mg)を反応混合物に添加した。各アリコートを1/2時間おきに添加した。得られた生成物を遠心(“CETRIPREP−30”)によって遠心し次いで膜を通過する染料が残存しなくなるまで新しい脱イオン水で繰り返し洗浄することによって精製した。ポリマー染料14Dの製造工程を反応スキーム12に示す。
Figure 0004255514
次に、得られた染料の蛍光を試験し、その強度をフィコビリタンパク質のフィコエリトリンの強度に比較した。図8は、同じ濃度のポリマー染料14D(曲線A)とフィコビリタンパク質(曲線B)との蛍光を比較する蛍光試験の結果を示す。
室内光で同じ条件下で測定したポリマー染料14D及びフィコエリトリンの16時間後の相対的光安定度を図9A及び図9Bに示す。図9Aの曲線Aはポリマー染料14Dの初期相対蛍光強度を波長の関数として示す。曲線Bは初期スペクトル観察の16時間後のポリマー染料14Dの相対蛍光強度を波長の関数として示す。図9Bの曲線Aはフィコエリトリンの初期相対蛍光強度を波長の関数として示す。曲線Bは初期スペクトル観察の16時間後のフィコエリトリンの相対蛍光強度を波長の関数として示す。図9A及び図9Bはポリマー染料14Dがフィコエリトリンよりも安定であることを示している。
実施例VIII
アクリル酸ピリジニウムアニリンジエンポリマーの製造
染料5の製造
N,N−ジエチルベンズアルデヒドに代えてトランス−4−(ジエチルアミノ)シンナムアルデヒドを用いる以外は、染料4の製造に関して実施例VIに記載した手順と同じ手順を用い、合成中間体VIをトランス−4−(ジエチルアミノ)シンナムアルデヒドと縮合させることによって染料5を製造した。製造工程を反応スキーム13に示す。
Figure 0004255514
アセトニリトル(25容量%)/水(75容量%)から成る移動相を用いたC−8逆相HPLCによって染料5を精製した。
シクロデキストリン修飾アクリル酸ピリジニウムアニリンジエンポリマー(ポリマー染料18D)の製造
染料4の代わりに染料5を用いる以外は、実施例VIに記載の手順でアクリル酸ピリジニウムアニリンジエンポリマーを製造し得る。この製造工程を反応スキーム14に示す。
Figure 0004255514
実施例IX
抗−CD8 IgG抗体へのアクリルアミドヒドラジドピリジニウムアニリンモノエンポリマーの接合
実施例1に記載の手順でポリマー染料11Dの原液を濃度2.7mg/mlで調製した。抗−CD8 IgG抗体の原液をバッファ2中の濃度10mg/mlで調製した。5.0mgの抗−CD8 IgG抗体を含有するアリコートを原液から採取し、微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて約300μlに濃縮した。濃縮物を次に、50mMのトリエタノールアミン、160mMのNaClを含むpH8.0のバッファ(以後、“バッファ3”と呼ぶ)で希釈した。抗−CD8IgG抗体の最終濃度は約3〜4mg/mlであった。
バッファ3中の過ヨウ素酸ナトリウムの原液を濃度42.8mg/mlで調製した。約120μlのこの原液をトリエタノールアミンバッファ中の抗−CD8 IgG抗体に添加した。反応混合物を機械的撹拌器で穏やかに撹拌しながら暗室中、温度2〜8℃で1時間インキュベートした。得られた酸化IgG抗体を次に、バッファ1でカラム(100−300メッシュ、“SEPHADEX G−25”)から溶出させることによって精製した。画分を紫外線(UV)検鏡法によって検定し、0.2AU(同じバッファ1に対する空試験値)よりも大きい空隙容量の画分をプールし、濃縮して1〜3mg/mlの範囲の最終容量にした。
ポリマー染料11B(0.24mg/ml)をシクロデキストリンアルデヒド(6.0mg/ml、J.Org.Chem.,1994,59,7511−7516に記載のごとく調製)と反応させることによってポリマー染料11Dを製造した。サイズ排除カラム(“BIO−GEL TSK−50XL”または“BIO−SIL SEC−300”)を用い、バッファ2中で1.0ml/分の流速のサイズ排除HPLCを行うことによって反応の進行をモニターした。実施例1に記載の手順で製造したポリマー染料11Dを、新しく調製した酸化抗体と混合した。ポリマー染料11D対IgG抗体のモル比は1.5/1.0または3.0/1.0であった。サイズ排除カラム(“BIO−SIL SEC−300”または“BIO−GEL TSK−50XL”)に出発物質である原液と反応混合物とを正確な量で注入することによって生物学的接合の収率を算定した。得られたコンジュゲートを中圧カラム(“SEPHACRYL S−300”)を用いてバッファ2で溶出させることによって精製した。高分子量画分を収集し、画分の紫外線スペクトルから濃度を算定した。画分の性能をフローサイトメーターで試験した。
実施例X
抗−CD8 IgG抗体へのアクリルアミドヒドラジドピリジニウムアニリンモノエンポリマーの接合
代替方法では、ポリマー染料11BをIgG抗体に接合し得る。ポリマー染料11Bを含むコンジュゲートをポリマー染料11Dを含むコンジュゲート(実施例IX参照)の代わりに使用し、約6mg/mlの濃度のシクロデキストリンアルデヒドの添加によって前者を後者に現場(in situ)変換する。この代替方法では、コンジュゲートの濃度が約0.2〜約0.4mg/mlである。
実施例XI
抗−CD8 IgG抗体へのアクリルアミドヒドラジドピリジニウムアニリンジエンポリマーの接合
以下の手順でポリマー染料12BをIgG抗体に接合した。実施例IXに記載の手順でIgG抗体を酸化した。バッファ1で平衡させたカラム(“SEPHADEX G−25”)を用いてIgG抗体を精製した。次に、抗体を約3.0mg/mlの濃度(A280 UV測定によって算定)に希釈した。次いで微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いてIgG抗体を酢酸バッファ(pH4.5、0.1N酢酸塩、0.1NのNaCl)(以後、“バッファ4”と呼ぶ)に交換し、最終濃度約3.0mg/mlとした。次に微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いてポリマー染料12B(実施例IVに記載の手順で調製)を酢酸バッファ(pH5.5、0.1N酢酸塩、0.1NのNaCl)(以後、“バッファ4”と呼ぶ)に交換した。最後に、バッファ4中の濃度3.0mg/mlの抗体原液の一部分(400μl、1.2mg)を、バッファ5中の濃度3.0mg/mlのポリマー染料12Bの一部分(1.5ml、4.5mg)に添加した。得られた混合物を暗室中で穏やかに撹拌しながら温度2〜8℃で一夜反応させた。
次に、得られたコンジュゲートをシクロデキストリンアルデヒドと反応させた。このためには、バッファ1mlあたり3.0mgの最終濃度のシクロデキストリンアルデヒドが得られる十分なシクロデキストリンアルデヒドを添加した。未精製のバイオコンジュゲートを次に、シクロデキストリンアルデヒドの存在下で一夜インキュベートし、カラム(“SEPHACRYLS−300”)を用いて精製した。
実施例XII
抗−Cd8 IgG抗体へのアクリルアミドヒドラジドピリジニウムアニリンジエンポリマーの接合
代替的な実施態様では、ポリマー染料12Dを以下の手順でIgG抗体に接合した。ポリマー染料12Bを実施例IVに記載の手順で製造した。次に、0.250mlのバッファ5中の各0.4mgのポリマー染料12Bに対して1.5mgのシクロデキストリンアルデヒドとなる割合で固体シクロデキストリンアルデヒドを添加した。シクロデキストリンアルデヒドとポリマー染料12Bとを反応混合物として暗室中で室温で一夜撹拌することによって反応させた。反応生成物をサイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHADEX G−25”)によって精製するとポリマー染料12Dが得られた。次にポリマー染料12Dを、ポリマー染料12Bを用いた実施例XIに記載の手順でIgG抗体の各当量あたり3.0当量のポリマー染料の割合で反応させた。生物学的接合の後に、実施例XIに記載のようなHPLCで処理した。得られたコンジュゲートをサイズ排除カラム(“SEPHACRYL S−300”)を用いて精製した。
実施例XIII
IgG抗体へのアクリルアミドヒドラジドベンザチアゾリウムアニリンモノエンポリマーの接合
ポリマー染料17Dを実施例Vに記載の手順で製造した。ポリマー染料のアリコート(3.0ml、溶液1.0mlあたり1.0mgのポリマー染料)をバッファ2中のポリマー染料の原液から採取した。微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いてバッファ1でバッファ2を交換した。このときポリマー染料の濃度は2.36mg/mlであった。抗体を実施例IXに記載の手順で酸化させ、実施例XIのポリマー染料11Dに関して記載した手順でIgG抗体へのポリマー染料17Dの生物学的接合を惹起した。
反応スキーム15はこの実施例のコンジュゲートの製造工程を示す概略図である。
Figure 0004255514
実施例XIV
マレイミド誘導体化抗−Cd4 IgG抗体へのチオール化アクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンポリマーの接合
チオリン酸化アクリル酸ポリマーの製造
アクリル酸ポリマー(100mg)を脱イオン水(50ml)に溶解した。溶液にシスタミンS−ホスフェート(1.6mg、Aldrich Chemical Company)を添加した。次に溶液を絶えず撹拌しながら、EDACの5つのアリコート(各8.5mg)を1/2時間おきに数時間を要して溶液に添加した。得られた生成物を濾過精製(“CENTRIPREP−30”)によって精製した。一部分を取出し、加水分解し、検定した。標準DTNBチオールアッセイ法を用いて測定すると、検定した部分がポリマー染料あたり平均で9個のチオール基を含むことが判明した。
シクロデキストリン修飾アクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンチオリン酸化ポリマー(ポリマー染料15D)の製造
チオホスフェートポリマー(5.0mg)を脱イオン水(1.0ml)に溶解した。次にこの溶液に、染料4(1.7mg、実施例VIに記載の手順で調製)とシクロデキストリンアミン7(12mg、実施例VIに記載の手順で調製)とを添加した。EDACの5つのアリコート(各26mg)を反応混合物に1/2時間おきに添加した。次に材料を遠心(“CENTRIPREP−30”)によって精製し、IgG抗体との接合に使用した。
IgG抗体へのポリマー染料15Dの接合
1.0mlの溶液中に4.0mgの抗体を含む原液から抗−CD4 IgG抗体のアリコート(0.500ml)を採取した。微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて材料をバッファ3に交換した。第二の交換を行って、IgG抗体をバッファ3に戻した。過ヨウ素酸ナトリウム(42.8mg)をバッファ3に溶解し、0.100mlの原液を抗体に添加することによって酸化を誘発して反応混合物を調製した。この反応に対する抗体の濃度は1.0mg/mlであった。反応混合物を2〜8℃の温度で1時間インキュベートした。酸化した抗体を次に、バッファ5で平衡させたカラム(“SEPHADEX G−25”)を用いて精製した。画分を収集し、A280で少なくとも0.1のAU読取り値を含む空隙容量の画分を集めた。次にIgG抗体を含有する溶液を濃縮すると約1.5mg/mlの濃度が得られた。
次に、ヒドラジドマレイミドM2C2H(0.369mg、Pierce Chemical、カタログ#22304)をバッファ2(0.100ml)に溶解し、酸化IgG抗体(約2.0mgのIgG抗体)に添加した。次に混合物を室温で2時間インキュベートし、約2〜8℃の温度で穏やかに一夜撹拌した。次に、マレイミド誘導体化したIgG抗体をサイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHADEX G−25”)によって精製し、空隙容量の画分を集めた。
IgG抗体溶液(1.7mg)を先ず約0.3〜0.4mlに濃縮し、次いで0.1mMのZnClと1mMのMgCl2とを含むpH7.0のリン酸塩バッファ(以後、“バッファ6”と呼ぶ)で、1.0mlに希釈した。次に、アルカリホスファターゼのアリコート(0.005ml、原液1mlあたり酵素10mgの濃度、Boehringer−Mannheim)をこの溶液に添加した。
次に、ポリマー染料15D(2.55mg)を脱イオン水(2.31ml)で希釈し、得られた溶液をマレイミド誘導体化したIgG抗体/アルカリホスファターゼ系に添加した。反応混合物を穏やかに撹拌しながら暗室中、温度2〜8℃で24時間インキュベートした。任意に、精製に先立って100当量のN−エチルマレイミドによって残存チオールをキャッピングしてもよい。反応混合物をカラム(“SEPHACRYL S−300”)を用いてバッファ2で精製し、コンジュゲートを空隙容量から単離した。コンジュゲートの量をUV分析または目視評価によって算定した。HPLC分析は非接合IgG抗体の消耗を示した。
反応スキーム16はこの実施例のバイオコンジュゲートの製造工程を示す。
Figure 0004255514
実施例XV
IgG抗体へのアクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンポリマーの接合
ポリマー染料13Dを実施例VIに記載の手順で製造した。次に、ポリマー染料13Dを以下の手順でIgG抗体に接合した。微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて抗−CD4 IgG抗体をpH6.8のHEPESバッファ(0.1NのHEPES)(以後“バッファ7”と呼ぶ)に交換した。次に、IgG抗体をバッファ7で希釈して、1mlあたり抗体1.0mgの濃度にした。次に微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いてポリマー染料13Dを脱イオン水に交換し、1mlあたりポリマー染料約1.0mgの濃度にした。次に、脱イオン水(0.108mg)中のスルホ−N−ヒドロキシ−スクシンイミド(0.0036ml、原液1mlあたり30mgの濃度)と脱イオン水中のEDAC(0.0039ml、原液1mlあた50mgの濃度)とを、脱イオン水中のポリマー染料13Dに添加して、ポリマー染料13Dを接合活性化した。脱イオン水中の活性化ポリマー13D(1.8ml、1.8mg)をバッファ7中のIgG抗体(1.0ml、1.0mg)と混合した。次に、移動相としてバッファ1を用いる“BIO−GEL TSK−50XL”カラムを用いたサイズ排除HPLCによって反応の進行をモニターした。次に、移動相としてバッファ7を用いるサイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHACRYL S−300”)によって反応生成物を精製した。
反応スキーム17はこの実施例の工程を示す。
Figure 0004255514
実施例XVI
チオール化IgG抗体へのマレイミド誘導体化アクリル酸ピリジニウムアニリンモノエンポリマーの接合
アクリル酸ポリマー(100mg)を脱イオン水(5.0ml)に溶解し、EDACカップリングによってヒドラジドマレイミドリンカーM2C2H(15mg、Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)と反応させた。EDACの5つのアリコート(各15mg)を撹拌しながら室温で2時間以上を要して添加することによってカップリングを惹起した。得られたマレイミド誘導体化したポリマーを遠心(“CENTRIPREP−30”)によって精製した。
マレイミドを検定するために、マレイミド誘導体化したポリマー13A(1mg)を1mlの100mMのリン酸塩バッファ,pH7.5に溶解した。システアミン・HCl(0.1mg)を溶液に添加し、混合物を1時間インキュベートした。正確に0.100mlの上記混合物を、100mMのリン酸塩と100mMのNaClとを含む1mlのリン酸塩バッファ,pH7.5(以後、“バッファ8”と呼ぶ)に希釈し、このチオールの標準DTNBアッセイを実施した。溶液の吸着を412nmで読取り、システアミン/DTNB標準曲線に比較した。このようにして、結合可能なマレイミドに共有結合したチオールの数を、観察された差から間接的に算定した。
上記のように製造したマレイミド誘導体化ポリマー染料(5.0mg)を脱イオン水(1.0ml)に溶解した。次に、染料4(1.7mg)とシクロデキストリンアミン7とをこの溶液に添加した。最後に、EDACの5つのアリコート(各26mg)を等しい時間間隔で2時間以上を要して添加した。得られた材料を次に、サイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHADEX G−25”)で精製した。
ポリマー染料16とチオール化IgG抗体とを以下の手順で接合した。微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて抗−CD4 IgG抗体(3.0mg)をバッファ3に交換し、最終容量1.0mlに希釈した。次にこのIgG抗体含有溶液に、NalO4(0.110ml、原液1mlあたり42.8mg)を添加し、得られた溶液を2〜8℃の温度で1時間インキュベートした。酸化したIgG抗体を次に、バッファ2を溶出剤として用いるゲル濾過クロマトグラフィー(“SEPHADEX G−25”)によって精製した。次に空隙容量の画分を集めて、容量0.086mlまで濃縮すると、IgG抗体の最終濃度約3.5mg/mlが得られた。
上記の手順で調製した新しい酸化IgG抗体にバッファ中のシスタミン(0.250ml、原液1mlあたり170mg)を添加して反応混合物を調製した。反応混合物を室温で15分間インキュベートした後、この混合物にバッファ3中のNaCNBH3(0.063ml、原液1mlあたり20mg)を添加し、得られた混合物を室温で約1時間インキュベートした。修飾されたIgG抗体を次に、カラム(“SEPHADEX G−25”)で精製し、空隙容量の画分を微量濃縮器(“CENTRICON−30”)で濃縮した。得られたジスルフィド官能化IgG抗体を次に、原液1mlあたり6.2mgの濃度のジチオトレイトールをバッファ2中に含む溶液0.050mlを添加して還元した。混合物を室温で15分間インキュベートした後、還元IgG抗体をサイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHADEX G−25”)によって精製し、空隙容量をプールし、微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて濃縮した。溶液を20mMのリン酸塩バッファ,pH7.0(0.02Nのリン酸塩、0.02Nの塩化ナトリウム)(以後、“バッファ9”と呼ぶ)を用いて約0.30mg/mlに希釈した。
前述の手順で製造したポリマー染料16Dを次に、微量濃縮器(“CENTRICON−30”)を用いて脱イオン水に交換し、最終濃度1.0mg/mlに希釈した。脱イオン水中のポリマー染料原液(0.500ml、ポリマー0.5mg、1mlあたりポリマー1mg)の一部分を、バッファ9中のマレイミド誘導体化IgG抗体(1.0ml、0.3mg/ml、マレイミド誘導体化IgG抗体0.3mg)に添加した。反応の進行をHPLCによってモニターすると、未修飾のIgGピーク領域の欠如によってIgG抗体の消費が示された。混合物をサイズ排除クロマトグラフィー(“SEPHACRYL S−300”)によって分画化した。
反応スキーム18はこの実施例の工程を示す。
Figure 0004255514
実施例XVII
市販の蛍光性コンジュゲートと本発明のコンジュゲートとの比較
この実施例では、フローサイトメトリーフォーマットを使用して、市販またはその他の既製の蛍光性フィコビリタンパク質主体のイムノコンジュゲート、及び、実施例IX、X及びXIで製造した合成ポリマー型蛍光性イムノコンジュゲートから夫々発生した信号を比較した。比較にはリンパ球マーカーCD4またはCD8に特異的なコンジュゲートを用いた。
実施例IXに記載の手順で製造したポリマー11Dに由来のコンジュゲートと、同じ特異性をもつ抗体に由来のフィコエリトリンコンジュゲートとの比較の結果を図10〜12に示す。
抗−フィコエリトリンのコンジュゲートはCoulter(Hialeah,Florida)から入手するかまたはCoulterから入手可能な抗−CD8抗体から誘導した。あるいは、抗−CD8抗体をSigma Chemical Co.(St.LOuis,MO)またはDAKO Corporation(Copenhagen,Denmark)から入手してもよい。別の変形実施態様では、フィコエリトリン(製品#P−801)をMolecular Probes(Dugene,Oregon)から入手する。SMCC及びトラウト(Traut)の試薬はPierce(Rockford,Illinois)から得られる。トラウトの試薬を用いるIgG抗体のチオール化とフィコエリトリンのマレイミド誘導体化とは平均的な当業者に公知の生物学的接合の標準方法を用いて惹起し得る。チオール化したIgG抗体及びマレイミド誘導体化したフィコエリトリンの精製及びキャラクタリゼーションは平均的な当業者に公知の手順を用いて行うことができる。チオール化したIgGとマレイミド誘導体化したフィコエリトリンとの生物学的接合及び精製は平均的な当業者に公知の方法を用いて行うことができる。あるいは、トラウトの試薬によってフィコエリトリンを誘導体化し、SMCCを用いてIgG抗体をマレイミド誘導体化し、平均的な当業者に公知の方法によって2つの基幹成分(entity)を接合してもよい。
実施例XIに記載の手順で製造したポリマー12Dに由来のコンジュゲートと、同じ特異性をもつ抗体に由来のフィコエリトリン−cy5コンジュゲートとの比較結果を図13に示す。
フィコエリトリン−Cy5コンジュゲートは、フィコエリトリンとCy5とを以下のごとく反応させることによって得られた。反応性Cy5(Biological Detection Systems,Pittsburgh,PA)をR−フィコエリトリン(Molecular Probes Corporation,Eugene,Oregon)と反応させた。染料対フィコエリトリンの比が5:1〜15:1となるように計算した。平均的な当業者に公知の方法を用いて誘導体化した。平均的な当業者に公知のゲル濾過クロマトグラフィーまたは遠心に基づく膜濃縮のような方法によって精製した。得られたフィコエリトリン−Cy5染料タンデムを平均的な当業者に公知の方法を用いて抗CD−8抗体に接合した。参照によってその記載内容が本発明に含まれる米国特許第5,002,883号に記載の手順で製造した30原子のリンカーを使用してフィコエリトリン−Cy5タンデム染料を誘導体化した。平均的な当業者に公知の方法を用いて抗−CD8抗体をチオール化した。チオール化した抗−CD8抗体とマレイミド誘導体化したフィコエリトリン−Cy5とを接合し、サイズ排除クロマトグラフィーまたは平均的な当業者に公知の他の方法によって精製した。あるいは、30原子のリンカーに代替して、SMCCを使用してもよい。SMCCを用いたフィコエリトリン−Cy5の反応によってフィコエリトリン−Cy5タンデムを誘導体化することができ、次いでカラムクロマトグラフィーまたは平均的な当業者に公知の他の精製方法を用いて精製する。
あるいは、フィコエリトリン−Cy5−抗−CD8コンジュゲートを、Dako(Copenhagen,Denmark)、Coulter(Hialeah,Florida)またはSigma Chemical Company(St.Louis,MO)から入手してもよい。あるいは、抗−CD8−TricolorをCaltagから入手してもよい。
この実施例で使用した他の試薬は、コンジュゲートに付加される0.1%のナトリウムアジドと1.0%のウシ血清アルブミン(BSA)とを含むpH7.0のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、及び、溶解誘発用の塩化アンモニウム溶液であった。溶解誘発溶液は以下のごとく調製した。
成分 量(g)
NH4Cl 8.26
KHCO3 1.0
NaEDTA 0.037
上記成分を蒸留水(1.0リットル)に溶解し、得られた溶液をSigma Chemical Co.,St.Louis,Moから市販されているHEPESバッファによってpH7.3に調整した。使用直前に溶解誘発溶液を温度41℃に加温した。
プロトコル
特異的細胞表面レセプターの直接検出に試薬を使用した。試験に用いた試験管は、5μgの一次試薬を収容していた。次に、新鮮全血(200μl)を各試験管に導入した。各試験管の中味をゆっくりと回転させ、暗室中、室温で15分間インキュベートした。インキュベーション後、試験管を3mlの修飾PBSで一回洗浄した。洗浄した試験管を次に500×g(重力)で3分間遠心し、これらの試験管から上清を吸引し、細胞ペレットを修飾PBSに再懸濁させた。
インキュベーション後、試験管を溶解誘発用塩化アンモニウム溶液によって以下のプロトコルに従って処理した。
1.3.0mlの溶解誘発溶液を各試験管に加えた。
2.各試験管の中味を使い捨てピペットで十分に混合した。
3.各試験管の中味を室温で7分間インキュベートした。
4.試験管の中味を2000rpmで3分間遠心した。
5.各試験管からほぼ100μlの上清を吸引した。
6.試験管の中味を回転させてペレットを再懸濁させた。
7.再懸濁したペレットに0.1%のナトリウムアジドと1.0%のBSAとを含む3.0mlのPBSを添加した。
8.段階4−7を繰り返した。
9.次に、0.1%のナトリウムアジドと1.0%のBSAとを含む0.5mlのPBSを再懸濁ペレットに添加した。PBSはまた、pH7.5に調整した10mM(60mg/ml)のペントサンポリスルフェート(Sigma Chemical Company(P8725))を含んでいた。
各試験管の中味を、Becton−Dickinson Inc.から入手し得るFacscan II蛍光活性化セルソーターを用いて分析した。前・後方散乱パラメーター(forward verse side scatter paramters)に基づいてリンパ球、単球及び顆粒球の観察に最適になるように器具を調整した。“Quick Cal”ビーズ(Flow Cytometry Standards Corporation,Durham,N.C.より入手可能)を付属ソフトウェアプログラムの指示通りに用いて標準校正曲線を作成した。3つの光散乱ゲートを使用して各試験管毎にヒストグラムの蛍光性イベントのパーセントを測定した。
結果
これらの実験の結果、即ち、抗−CD8/フィコエリトリン及び実施例IXの抗−CD8−ピリジニウムアニリンモノエンコンジュゲートの結果を図10、図11及び図12に示し、抗−CD8/フィコエリトリン−シアニン及び実施例Xの抗−CD8−ピリジニウムアニリンジエンコンジュゲートの結果を図13に示す。本発明のコンジュゲートは、標識及び非標識のリンパ球を適正に分離し、この分離結果は市販のコンジュゲートの結果と同等であった。
本発明の範囲及び要旨を逸脱することなく本発明の種々の修正及び変更が当業者に明らかであろう。従って、本発明が記載の実施態様に限定されると解釈すべきでないことは理解されよう。

Claims (4)

  1. (a)求核性基幹ポリマーと、
    (b)前記求核性基幹ポリマーに共有結合した複数個の求電子性信号発生基とから成るポリマー染料であって、
    前記求電子性信号発生基が、複素環に少なくとも1つの窒素原子を含む複素環部分にエチレン不飽和連結基によって結合された少なくとも1つのアニリノ部分を有する染料に由来し、前記ポリマー染料がシクロデキストリン、カルセランド、カリキシラン、分子クレフト、ククルビテリル及びシクロファンの部分から成るグループから選択される、前記ポリマー染料に会合した複数の疎水性の立体配座制限部分を有し、前記信号発生基が構造式:
    Figure 0004255514
    〔式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜3(両端値を含む)の整数を表す〕を有する染料に由来することを特徴とするポリマー染料。
  2. (a)求核性基幹ポリマーと、
    (b)前記求核性基幹ポリマーに共有結合した複数個の求電子性信号発生基とから成るポリマー染料であって、
    前記求電子性信号発生基が、複素環に少なくとも1つの窒素原子を含む複素環部分にエチレン不飽和連結基によって結合された少なくとも1つのアニリノ部分を有する染料に由来し、前記ポリマー染料がシクロデキストリン、カルセランド、カリキシラン、分子クレフト、ククルビテリル及びシクロファンの部分から成るグループから選択される、前記ポリマー染料に会合した複数の疎水性の立体配座制限部分を有し、前記信号発生基が構造式:
    Figure 0004255514
    〔式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜3(両端値を含む)の整数を表し、X-は負電荷の対イオンを表す〕を有する染料に由来することを特徴とするポリマー染料。
  3. 結合対の一方の因子と、
    前記因子に結合した少なくとも1つのポリマー染料と、
    シクロデキストリン、カルセランド、カリキシラン、分子クレフト、ククルビテリル及びシクロファンの部分から成るグループから選択される、前記ポリマー染料に会合した疎水性の立体配座制限部分とから成り、前記ポリマー染料が構造式:
    Figure 0004255514
    〔式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜3(両端値を含む)の整数を表す〕を有することを特徴とするコンジュゲート。
  4. 結合対の一方の因子と、
    前記因子に結合した少なくとも1つのポリマー染料と、
    シクロデキストリン、カルセランド、カリキシラン、分子クレフト、ククルビテリル及びシクロファンの部分から成るグループから選択される、前記ポリマー染料に会合した疎水性の立体配座制限部分とから成り、前記ポリマー染料が構造式:
    Figure 0004255514
    〔式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは1〜3(両端値を含む)の整数を表し、X-は負電荷の対イオンを表す〕を有するアミノスチリルピリジニウムを含むことを特徴とするコンジュゲート。
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