JPH09324214A - 鋼線の製造方法 - Google Patents

鋼線の製造方法

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JPH09324214A
JPH09324214A JP14273996A JP14273996A JPH09324214A JP H09324214 A JPH09324214 A JP H09324214A JP 14273996 A JP14273996 A JP 14273996A JP 14273996 A JP14273996 A JP 14273996A JP H09324214 A JPH09324214 A JP H09324214A
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JP
Japan
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rolling
temperature range
cooling
steel
rate
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JP14273996A
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English (en)
Inventor
Takanari Hamada
貴成 浜田
Norimasa Ono
訓正 小野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱間で圧延されたままの線材を低コストで効率
良く軟化、球状化させる鋼線の製造方法を提供する。 【解決手段】C含有量が0.8重量%を超える鋼から熱
間圧延された線材を、20℃/秒以上の加熱速度でAc
cm 点〜Accm 点+100℃の温度域に加熱して1〜1
0秒保持した後、圧延により800〜680℃の温度域
で総減面率30%以上の延伸加工を行い、その後740
〜650℃の温度域で40分以上保持し、次いで、20
℃/秒以下の冷却速度で少なくとも500℃まで冷却す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線材を2次加工す
る鋼線の製造方法に関し、より詳しくは、熱間で圧延さ
れたままの線材を、低コストで効率良く球状化させて軟
化させる鋼線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軸受を構成するボール、コロ、ニ
ードルやシャフトなどの素材として用いられる鋼線に
は、後加工である切断や冷間鍛造、更には切削などの冷
間成形を容易にしたり、耐摩耗性を向上させる目的か
ら、線材に熱間圧延した後で球状化焼鈍が施され、この
処理には10〜25時間を要している。
【0003】このため、製造コストを低減する観点か
ら、及び脱炭や酸化の問題を回避する観点から、球状化
焼鈍時間(球状化処理時間)の短縮化に対する要望が極
めて大きい。
【0004】球状化処理時間の短縮については、例えば
特開平2−221324号公報において、C含有量が
0.8重量%を超える過共析鋼に30%以上の冷間加工
を加えた後、特定条件で熱処理する球状化処理方法が提
案されている。しかしながら、球状化焼鈍を施して軟化
させた場合とは異なって、熱間圧延のままの硬いパーラ
イト組織を有する鋼材に30%以上の冷間加工を施すた
めには強力な加工機が必要であるし、特に、鋼材のC含
有量が高い場合には極めて硬く、30%以上の冷間加工
を行うことが困難な場合も多い。更に線材の冷間加工と
して一般的な冷間伸線の場合には、鋼板における冷間圧
延の場合とは異なって、特に鋼材の表層部に加工が集中
するため、前記公報における冷間加工の目的とするパー
ライト(層状炭化物)の一様な分断・微細化が困難であ
り、加えて炭化物からのクラックの発生やフェライトに
おける加工硬化が重なって、鋼材の表層部に「割れ」を
生ずるという問題が避けられなかった。
【0005】特開昭61−153229号公報には、鋼
線素材をその仕上げ圧延時に制御圧延した後でマルテン
サイト組織にすることによって迅速球状化が可能な線材
の製造方法が開示されている。しかしながら、オーステ
ナイト未再結晶温度域で仕上げ圧延を行うのは圧延機へ
の負担が大きいばかりか、圧延の温度域や圧下率を制御
しなければならないので生産性が低下するという問題が
ある。更に、球状化焼鈍の時間は、例えば、20時間か
ら9.5時間へと約1/2に短縮できる程度であって、
処理時間の大幅な短縮は望めないものである。
【0006】特開平6−340926号公報には、2%
以下のCを含有する鋼の熱延線材に冷間で5〜90%の
塑性加工を加えた後、Ac3点以下300℃以上の温度域
で5〜90%の塑性加工を加え、次いでこの線材を特定
の条件で熱処理し、球状化組織を得る方法が開示されて
いる。しかしながら、この公報で提案された方法におい
ても、熱間圧延ままの線材に冷間加工を施さねばならな
いので、既に述べた問題が生ずる。
【0007】特公昭64−4568号公報には、熱間圧
延工程又は2次加工工程において、加工条件とその後の
直接熱処理条件を制御することにより、別ラインでの球
状化焼鈍処理を省略するか、あるいは球状化処理時間を
短縮できる「球状化組織を有する棒鋼と線材の製造法」
が開示されている。しかし、この公報に提案された方法
では、2%以下のCを含有する鋼をオーステナイト単相
組織とする必要がある。しかし、熱間圧延ままの組織を
オーステナイトに逆変態させるためにはかなりの時間を
要する場合がある。すなわち過共析鋼、なかでもC含有
量が0.95重量%を超える軸受鋼にあっては、熱間圧
延の冷却過程で、網状の炭化物(主としてセメンタイ
ト)がオーステナイト粒界に生成する場合がある。そし
て、この網状の炭化物をオーステナイト中に完全に再固
溶させるには、高温で長時間の加熱処理を必要とする。
このように、上記公報で提案された技術を用いても、必
ずしも短時間で球状化処理を行えなかった。
【0008】なお、特開平6−340926号公報と特
公昭64−4568号公報の2つの公報に提案された方
法では、2次加工での「温間塑性加工」は穴ダイス(伸
線ダイス)やローラダイス、ロールベンダといった通常
の線材の塑性加工法を用いて行う必要がある。
【0009】ところが、通常の穴ダイスを用いた伸線加
工を、温間での塑性加工の手段として適用することは、
生産効率やコスト面、あるいは技術面で極めて難しい。
これは、次の(イ)〜(ハ)の理由による。
【0010】(イ)穴ダイスを用いた伸線加工の場合に
は、焼付きを防止するための酸洗・潤滑処理が必要であ
り、工程が複雑化することに加えて、コストも嵩む。
【0011】(ロ)被加工材と工具との接触時間が極め
て短い温間や熱間での鍛造などの加工用に用いられる通
常の潤滑剤(ガラス、黒鉛や2硫化モリブデンなど)
を、伸線加工用の潤滑剤として用いても焼付き防止の効
果は得難い。あるいは、効果が得られても伸線加工後に
その潤滑剤を除去することに工数とコストが嵩んでしま
う。そのため、所望の温間伸線用の潤滑剤としては、極
めて高価な特殊なものを用いなければならない。
【0012】(ハ)穴ダイスを用いた伸線加工では、被
加工材と工具(ダイス)との接触摩擦により加工発熱が
大きくなって、所望の組織が得られなくなる。あるい
は、前記の加工発熱を防止するために、ダイスを冷却す
るなどの特殊な設備を用いても良いが、これによって逆
に所望の加工温度が確保できなくなり、そのために所定
の組織が得られなくなる。
【0013】又、ローラダイスによる加工も伸線加工と
同様に引抜き加工であるため、ローラダイス加工に特有
の下記(ニ)〜(ヘ)のような問題があった。
【0014】(ニ)温間では材料(被加工材)の強度が
低いため、破断との関係から1回の減面率を大きくする
ことができず低減面率加工としなければならない。この
ため材料の表層部に多くの応力が加わり、応力が材料の
内部にまで浸透しにくい。
【0015】(ホ)ローラダイス加工で大きな総減面率
を確保するためには、ローラダイス間にキャプスタンま
たはピンチローラなどの引抜きのための装置を設置する
必要があり、大がかりな装置となってしまう。
【0016】(ヘ)材料には引抜き力としての張力が働
き、しかも一方ではローラによる圧縮力が加わる。した
がって、加工の自由面にスリップバンドである斜め疵が
発生し易くなり、装置の調整が極めて難しくなる場合が
ある。一方、ロールベンダを用いた加工にも下記
(ト)、(チ)のような問題があった。
【0017】(ト)ロールベンダを用いた加工の本質は
曲げ加工であるため、材料(被加工材)に働く引張り力
のバランスを同一断面内で調整することが極めて難し
い。このため、加工後の寸法精度が悪くなってしまう。
【0018】(チ)温間では材料(被加工材)の強度が
低いため、ロールベンダを用いた加工の場合は破断との
関係から加工度を調整することが困難である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、熱間
で圧延されたままの線材を、低コストで効率良く球状化
させて軟化させる鋼線の製造方法を提供することにあ
る。具体的には、2次加工時の工具長寿命化を果たすた
めに、熱間で圧延されたままの線材から、球状化率が8
5%以上で硬度がHv240以下の鋼線を製造する方法
を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため実験・検討を重ねた結果、下記の知見
を得た。
【0021】熱間圧延ままの組織を急速加熱処理して
短時間保持し、面積率で10%以上の炭化物(主として
セメンタイト)を残存させた状態で塑性加工を加え、そ
の後直ちに所定の温度域で保持し、次いで、適正条件で
連続冷却すれば容易に球状化組織が得られる。
【0022】前記の塑性加工には、圧延による延伸加
工を適用すれば良い。この場合、1パス当たり20%程
度の大きな減面率が容易に採れる。しかも、ロール冷却
水やロールからの抜熱のために、加工発熱はほとんど生
じない。このため、容易に所定の温度域で保持すること
が可能で、硬度Hv240以下、球状化率85%以上の
鋼線が効率良く得られる。
【0023】ここで「球状化率」とは、「走査電子顕微
鏡で撮影したミクロ組織中の100個以上の鋼中炭化物
について、長径と短径を測定した場合の、長径/短径が
3.0以下の炭化物数の全炭化物数に対する割合
(%)」をいう。
【0024】前記の塑性加工に圧延による延伸加工を
適用すれば、酸洗や特殊な潤滑剤を用いることも必要で
ない。
【0025】上記知見に基づく本発明は、下記に示す鋼
線の製造方法を要旨とする。
【0026】C含有量が0.8重量%を超える鋼から熱
間圧延された線材を、20℃/秒以上の加熱速度でAc
cm 点〜Accm 点+100℃の温度域に加熱して1〜1
0秒保持した後、圧延により800〜680℃の温度域
で総減面率30%以上の延伸加工を行い、その後740
〜650℃の温度域で40分以上保持し、次いで、20
℃/秒以下の冷却速度で少なくとも500℃まで冷却す
ることを特徴とする鋼線の製造方法。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の各要件について
詳しく説明する。
【0028】先ず、熱間圧延された線材(以下、被処理
材ともいう)の加熱温度域をAccm点〜Accm 点+10
0℃としたのは、この温度範囲においては、熱間圧延ま
まの線材におけるパ−ライト中の層状セメンタイトや炭
化物が、マトリックス中に完全には固溶しないからであ
る。すなわち、粒界及び粒内に、面積率で10%以上の
炭化物(主としてセメンタイト)を残存させて、これを
球状炭化物の析出核として利用するためである。この残
存炭化物は、加熱保持後の延伸加工によって変形破壊し
て分断され、その後の冷却過程で凝集する。したがっ
て、容易に球状化組織が得られる。
【0029】被処理材をAccm 点+100℃を超える温
度に加熱すると、たとえ急速短時間処理であっても、パ
−ライト中の層状セメンタイトや炭化物がマトリックス
中に固溶してしまうので、圧延による延伸加工後の冷却
速度を緩冷却としても、層状パ−ライトが生成してしま
い、球状化組織を得るのが困難になる。一方、Accm
を下回る温度での加熱では、上記の炭化物やパ−ライト
中の層状セメンタイトの固溶が不十分となるばかりでな
く、温度が低いために、圧延による延伸加工を行った場
合でも、加工歪の解放が遅れて硬度が上昇してしまう。
更に、後述する加工温度の制約もあって、被処理材の加
熱温度域をAccm 点〜Accm 点+100℃とした。
【0030】被処理材を上記の温度域に加熱するための
加熱速度を20℃/秒以上としたのは、20℃/秒を下
回る加熱速度では、パ−ライト中の層状セメンタイトや
炭化物がマトリックス中に固溶してしまい、粒界及び粒
内に、面積率で10%以上の炭化物(主としてセメンタ
イト)を残存させて、これを球状炭化物の析出核として
容易に球状化組織を得ようとする本発明の目的が達せら
れないからである。なお、加熱速度の上限は、残存炭化
物量を40%程度に抑えるために500℃/秒程度とす
ることが好ましい。
【0031】被処理材を前記の温度域に保持する時間を
1〜10秒としたのは、1秒未満の保持時間ではパ−ラ
イト中の層状セメンタイトや炭化物のマトリックス中へ
の固溶が不十分で、40%を超える炭化物が残存するた
めである。一方、保持時間が10秒を超えると、パ−ラ
イト中の層状セメンタイトや炭化物がマトリックス中に
固溶してしまい、粒界及び粒内に、面積率で10%以上
の炭化物(主としてセメンタイト)を残存させて、これ
を球状炭化物の析出核として容易に球状化組織を得よう
とする本発明の目的が達せられないからである。
【0032】なお、「被処理材を前記した温度域に1〜
10秒保持する」とは、「被処理材が前記温度域にある
時間が1〜10秒である」ことを指し、前記温度域の特
定温度で保持されることに留まらず、前記温度域で昇温
や降温の処理を受けても良いことを意味する。
【0033】次に、被処理材を急速短時間加熱処理した
後の加工を、圧延による延伸加工に限定したのは、1パ
ス当たり20%程度の大きな減面率が容易に採れ、且
つ、ロール冷却水やロールからの抜熱のために、加工発
熱はほとんど生じないため、容易に所定の温度域で保持
することが可能で、硬度Hv240以下、球状化率85
%以上の鋼線が効率良く得られるからである。更に、こ
の圧延による延伸加工の場合には、酸洗や特殊な潤滑剤
を用いる必要がないので、鋼線を低コストで効率良く球
状化処理することが可能である。
【0034】上記の、圧延による延伸加工に関し、80
0℃を超える温度での加工では、セメンタイトの加工誘
起変態が不完全なため、球状セメンタイトの核生成が不
十分となって所定の温度域で保持しても85%以上の球
状化率が得られないためである。一方、680℃より低
い温度での加工は、加工前に既に層状セメンタイトが析
出しているため球状化の効果が得られない。したがっ
て、圧延による延伸加工の温度域を800〜680℃と
規定した。
【0035】前記の圧延による延伸加工において、総減
面率が30%未満の加工では準安定オ−ステナイトの微
細化が不十分となるので、その後の球状セメンタイトの
生成場も少なくなって、層状セメンタイトが析出し易く
なる。そして所定の温度域で保持しても所望の硬度Hv
240以下、球状化率85%以上の鋼線が得られない。
このため、圧延による延伸加工の総減面率を30%以上
と規定した。なお、圧延による延伸加工の総減面率の上
限には特に制限はなく、所望サイズの鋼線が得られさえ
すれば、設備上の上限となる総減面率で加工を行っても
良い。
【0036】上記の圧延による延伸加工の後、被処理材
を740〜650℃の温度域で40分以上保持するの
は、延伸加工によって変形破壊したセメンタイト及び新
たに析出したセメンタイトをCの拡散によって凝集させ
るためである。保持温度が740℃を超えると、析出し
たセメンタイトがマトリックス中に再固溶してしまうた
め加工誘起析出の効果が損なわれてしまい、鋼線に所望
の硬度と球状化率を付与できなくなる。一方、650℃
未満の保持温度は、Cの拡散が不十分なためにセメンタ
イトの凝集に極めて長時間を要してしまい、工業的生産
には適さない。
【0037】圧延による延伸加工の後、被処理材を74
0〜650℃の温度域で保持した場合であっても、保持
時間が40分未満ではセメンタイトの凝集が不十分とな
って、所望のHv240以下の硬度が得られない。した
がって、上記温度域での保持時間は40分以上とする必
要がある。保持時間の上限は特に制限するものではない
が、低コストで且つ効率的な生産を行うために、5時間
以下の保持時間とすることが好ましい。
【0038】なお、「被処理材を740〜650℃の温
度域で40分以上保持する」とは、「被処理材が740
〜650℃の温度域にある時間が40分以上である」こ
とを意味し、「740〜650℃の温度域の特定温度T
で40分以上恒温保持する」ことに留まらず、「740
〜650℃の温度域で、連続的にあるいはステップ状に
昇温させたり降温させたりする」ことをも含む。
【0039】前記温度域で、所定の時間保持した後の冷
却は、直ちに冷却速度を制御して少なくとも500℃ま
で行う必要がある。この際の冷却速度が20℃/秒を上
回ると、層状セメンタイトが生成して、所望の球状化組
織が得られない。したがって、冷却速度を20℃/秒以
下とした。なお、生産効率を高めるために上記冷却速度
の下限は8℃/秒程度にすることが好ましい。
【0040】冷却を終了する温度が500℃を超える場
合には、たとえ20℃/秒以下の冷却速度で冷却しても
所望の球状化組織が得られない。
【0041】上記の20℃/秒以下の冷却速度で少なく
とも500℃まで冷却した後は、任意の冷却速度で冷却
して良い。しかし、生産効率を高めるためには20℃/
秒を超える冷却速度で急冷することが好ましい。なお、
ここでいう冷却速度とは被処理材の表面における冷却速
度のことである。
【0042】図1は、本発明の方法を実施するために用
いる設備の一例を示す図である。以下に本発明の方法
を、図1を参照して説明する。
【0043】被処理材(熱間圧延された線材) 8は、ピ
ンチロール 2によってペイオフリール 1から巻き戻され
た後、急速加熱装置 3(例えば高周波加熱装置)で所定
の加熱速度で所定の温度域に加熱され、更に所定の時間
その温度域に保持される。被処理材 8は、その後、冷却
装置 4(例えば水冷装置)で所定の圧延温度範囲に冷却
されて、塑性加工機である連続圧延機 5(例えば3方ロ
ール圧延機や4方ロール圧延機)に送られ、延伸加工さ
れる。この後、被処理材 8は駆動保熱装置 6により所定
温度で所定時間保持される。次いで、被処理材 8は、駆
動保熱装置 6の下流側に設けられた冷却装置4'によって
所定の冷却速度で所定の温度まで冷却される。この後、
被処理材 8は巻き取り装置 7に巻き取られる。なお、巻
き取った被処理材 8を、更に冷却装置(図示せず)で冷
却しても良い。
【0044】なお、駆動保熱装置 6による所定温度域で
の所定時間の保持の後に、所定の冷却速度で冷却するに
は通常は冷却装置4'を用いる必要があるが、鋼線の仕上
げサイズによっては空冷で所定の冷却速度が得られる。
この場合には冷却装置4'を用いる必要はない。あるい
は、鋼線の仕上げサイズによっては空冷でも大きな冷却
速度となって、20℃/秒を超える場合がある。この場
合には、冷却装置4'の代わりに保熱装置(図示せず)を
設置して所定の冷却速度を得るようにする。
【0045】なお、駆動保熱装置 6は、例えば、保熱炉
の中に貯線ドラムを設け、貯線量を変えて保持時間を調
整できる構造としておけば良い。
【0046】ところで、本発明が対象とする被処理材
は、所定の形状に加工された後、最終工程で焼入れ焼戻
しなどの熱処理が施されて、所望の特性(強度、靭性、
耐食性や耐摩耗性など)が付与される。
【0047】この最終製品における特性の付与と、球状
化焼鈍を短時間で完了させる意味合いから、熱間圧延さ
れた線材の化学組成としてC量のみを0.8重量%超に
限定する。C含有量が0.8重量%以下では最終製品に
所望の強度(硬さ)を付与することができない。なお、
C含有量の上限は2重量%程度とすることが好ましく、
1.5重量%を上限にすれば一層好ましい。
【0048】本発明が対象とする被処理材のC以外の他
の化学成分の組成については、特別な限定を加える必要
はない。最終製品における特性の付与が可能であり、且
つ、球状化焼鈍が短時間で完了するような成分組成であ
りさえすれば良い。
【0049】具体的には、C以外の被処理材の化学組成
は、例えば、重量%で、Si:0〜2%、Mn:0〜
2.5%、Cu::0〜2%、Ni:0〜4%、Cr:
0〜2.5、Mo:0〜1%、V:0〜0.4%、N
b:0〜0.1%、Ti:0〜0.1%、Al:0〜
0.10%、N:0〜0.03%、B:0〜0.005
%、S:0〜0.10%、Pb:0〜0.30%、稀土
類元素:0〜0.10%、Ca:0〜0.01%、M
g:0〜0.01%を含有し、残部はFeと不可避的不
純物からなり、不純物としてのP:0.05%以下のも
のであれば良い。
【0050】
【実施例】表1に示す化学組成を有する鋼Aを通常の方
法で転炉溶製した。なお、鋼AはJISのSUJ2に相
当するものである。
【0051】
【表1】
【0052】次いで、この鋼を通常の方法によって分塊
圧延した後、熱間圧延して直径5.5mmの線材とし、
圧延後は放冷した。
【0053】直径5.5mmの線材を用いて、図1に示
した設備を使用し、表2に示す条件で処理して、直径
5.2〜2.9mmの鋼線を製造した。なお、記載の温
度まで制御冷却した後は強制空冷した。
【0054】こうして得られた鋼線について、マイクロ
ビッカース硬度計を用いて硬度測定を行った。更に、走
査電子顕微鏡でミクロ組織を撮影して(倍率:4000
倍)球状化率を求めた。
【0055】表2にこれらの調査結果を併せて示す。
【0056】表2から本発明の方法によれば、球状化率
が85%以上で、硬度がHv240以下である鋼線が得
られることが明らかである。
【0057】これに対して、処理条件が本発明で規定す
るものから外れた比較例の場合には、本発明例の場合に
比べて球状化率は低く、硬度は高い。
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】本発明の方法によれば、熱間で圧延され
たままの線材を、効率良く軟化、球状化させることがで
きる。更に、本発明の方法によれば、従来の繰り返し伸
線や長時間熱処理の省略によるコストダウン化ばかりで
なく、圧延による延伸加工を用いるので、穴ダイスを用
いた伸線加工などに比べて操業技術面で容易であり、且
つ、コストの大幅な低下が図れる。このため産業上の効
果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための設備の一例の概
要を示す図である。
【符号の説明】
1:ペイオフリール 2:ピンチロール 3:急速加熱装置 4、4':冷却装置 5:連続圧延機 6:駆動保熱装置 7:巻き取り装置 8:被処理材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C含有量が0.8重量%を超える鋼から熱
    間圧延された線材を、20℃/秒以上の加熱速度でAc
    cm 点〜Accm 点+100℃の温度域に加熱して1〜1
    0秒保持した後、圧延により800〜680℃の温度域
    で総減面率30%以上の延伸加工を行い、その後740
    〜650℃の温度域で40分以上保持し、次いで、20
    ℃/秒以下の冷却速度で少なくとも500℃まで冷却す
    ることを特徴とする鋼線の製造方法。
JP14273996A 1996-06-05 1996-06-05 鋼線の製造方法 Pending JPH09324214A (ja)

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