JPH09324085A - 良流動耐揮発性滴下型難燃樹脂組成物 - Google Patents

良流動耐揮発性滴下型難燃樹脂組成物

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JPH09324085A
JPH09324085A JP14438196A JP14438196A JPH09324085A JP H09324085 A JPH09324085 A JP H09324085A JP 14438196 A JP14438196 A JP 14438196A JP 14438196 A JP14438196 A JP 14438196A JP H09324085 A JPH09324085 A JP H09324085A
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weight
resin
rubber
carbon atoms
substituents
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JP14438196A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間連続成形を行なってもモールドディ
ポジットが発生しない耐衝撃性、耐熱性、流動性の優れ
た滴下型難燃樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂100重
量部と(B)下記式(1)で示される難燃剤1〜100
重量部とからなる樹脂組成物であって、上記(B)の難
燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素数の和が12未満で
ある成分が(B)中で1重量%以下であることを特徴と
する滴下型難燃樹脂組成物。 【化1】 (式中、a、b、cは1から3、R1、R2、R3は水素
または炭素数が1から30のアルキル基であり、化合物
全体として、置換基R1、R2、R3の炭素数の合計が平
均12から30である。ここで、異なった置換基を有す
る、複数の芳香族リン酸エステルからなる場合には、上
記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素数の合計は、数
平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リン酸エステル成
分の重量分率と、各成分の置換基の炭素数の合計との積
の和である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は流動性と耐揮発性の
優れた難燃樹脂組成物に関する。更に詳しくは、長期間
連続成形を行なってもモールドディポジットが発生しな
い、流動性、耐熱性の優れた滴下型難燃スチレン系樹脂
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、成形性に優れること
に加え、耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、
家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用
されているが、スチレン系樹脂の易燃性のためにその用
途が制限されている。
【0003】スチレン系樹脂の難燃化の方法としては、
ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤をスチレン系樹脂
に添加することが知られており、それによりある程度難
燃化が達成されている。しかしながら、ハロゲン系難燃
剤を用いた場合には、環境等の問題をも有し、リン系、
無機系難燃剤を用いた場合は、衝撃強度、成形加工流動
性及び耐熱性が必ずしも満足できるものではなく、そし
て、成形時に揮発性有機リンによる金型汚染、いわゆる
モールドディポジットが発生するために生産性を低下さ
せたり、または金型汚染物が成形品に転写しストレスク
ラックを引き起こすという問題があり、工業的使用が狭
められる。
【0004】リン系難燃剤の揮発性を改良する技術とし
て、フェノール樹脂と特定のアルキル基置換リン酸エス
テル単量体からなる積層板用樹脂組成物(特開平1−9
5149、特開平1−242633、特開平1−193
328号公報)が開示されている。該公報の難燃剤の対
象は熱硬化樹脂であり、本発明のポリフェニレンエーテ
ル、スチレン系樹脂を対象とした難燃剤とは異なる。
【0005】また、スルフォン酸塩とジノニルフェニル
フェニルフォスフェート等のリン酸エステルからなる帯
電防止剤(特開平3−64368号公報)、ポリオール
エステルとビスノニルフェニルフェニルフォスフェート
等のトリアリールフォスフェートからなる潤滑剤(米国
特許4780229)が開示されているが、該公報の剤
は難燃剤ではなく、本発明と本質的に異なる。
【0006】そして、ポリカーボネート、ABS樹脂、
ハロゲン化リン酸エステル、ポリテトラフルオロエチレ
ンからなる樹脂組成物(WO9106598)、ポリカ
ーボネート、AAS樹脂、リン酸エステル、ポリテトラ
フルオロエチレンからなる樹脂組成物(EP53429
7)、ポリカーボネート、ABS樹脂、リン酸エステ
ル、ポリテトラフルオロエチレンからなる樹脂組成物
(DE4309142)、ポリカーボネート、ABS樹
脂、芳香族リン酸エステル、芳香族スルホン酸金属塩か
らなる樹脂組成物(特開平6−299060号公報)、
ポリカーボネート、ポリエステル−ポリカーボネート、
ABS樹脂、リン酸エステル、ポリテトラフルオロエチ
レンからなる樹脂組成物(EP482451)、ポリカ
ーボネート、ABS樹脂、リン酸エステル、ポリカーボ
ネート−シロキサンブロック共重合体からなる樹脂組成
物(DE4016417)が知られている。上記ポリカ
ーボネート系樹脂組成物に用いられているリン酸エステ
ルは、特定の置換基を有するリン酸エステル単量体を用
いていないために、耐揮発性と難燃性のバランス特性が
劣る。
【0007】次いで、フェニル基とイソプロピルフェニ
ル基と炭素数が4〜12のアルキル基置換のフェニル基
からなるフォスフェートからなる難燃剤(特開平2−7
92号公報、EP324716、同一対応出願)、ポリ
フェニレンエーテル/スチレン系樹脂/トリス(イソプ
ロピルフェニル)フォスフェートからなる難燃樹脂(特
開平1−48844号公報)、ポリスチレン/t−ブチ
ルフェニル フェニルフォスフェート/ポリオールエス
テルからなる機能性流動体組成物(functiona
l fluid composition)(USP4
645615)が開示されている。該公報のフォスフェ
ートの置換基の数平均炭素数合計は、本発明の定義に従
えば12未満であるために耐揮発性が充分ではない。
【0008】スチレン系樹脂の難燃化技術として、ポリ
フェニレンエーテル、スチレン系樹脂、リン酸の金属
塩、トリス(ノニルフェニル)フォスフェート等のフォ
スフェートからなる難燃樹脂組成物(特開昭63−30
5161号公報)、ポリフェニレンエーテル、高分子量
ポリエチレンを必須成分とし、必要に応じてトリス(ノ
ニルフェニル)フォスフェート等のフォスフェートから
なるポリフェニレンエーテル樹脂組成物(EP5502
04)、芳香族ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹
脂、トリス(ノニルフェニル)フォスフェート等のフォ
スフェート、芳香族スルホン酸塩、及び繊維状補強材か
らなる難燃性樹脂組成物(特開平6−299060号公
報)が開示されている。上記3公報には、特定の樹脂組
成物により優れた流動性と難燃性等の樹脂特性が発現す
ることは開示されていない。
【0009】今一つの難燃化技術として、炭素数4〜2
2のアルキル基、炭素数12〜22のアルケニル基、フ
ェニル基および炭素数7〜15のアルキルフェニル基
(アルキル基炭素数1〜9)から選ばれた炭化水素基か
らなるリン酸トリエステルの製造方法(特開平3−29
4284号公報)が開示されている。該公報は製造方法
であるという点で異なるだけでなく、該公報には、特定
の置換基含有芳香族リン酸エステル単量体をを用いるこ
とにより、特にスチレン系樹脂において難燃性を保持し
つつ、連続成形性(耐揮発性)を著しく向上させること
が開示されていないし、暗示さえされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち流動性、
耐熱性が優れ、かつ長期間連続成形を行なってもモール
ドディポジットが発生しない滴下型難燃スチレン系樹脂
組成物の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐揮発性
を示す一つの指標であるモールドディポジットの防止技
術を鋭意検討した結果、難燃剤として特定の置換基を含
有する芳香族リン酸エステル単量体を用いることによ
り、驚くべきことに、モールドディポジットを抑制しつ
つ、スチレン系樹脂の滴下型難燃性を飛躍的に向上させ
ることが可能になることを見出し、本発明に到達した。
【0012】即ち、本発明は、(A)ゴム変性スチレン
系樹脂100重量部と(B)下記式(1)で示される難
燃剤1〜100重量部とからなる樹脂組成物であって、
上記(B)の難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素数の
和が12未満である成分が(B)中で1重量%以下であ
ることを特徴とする滴下型難燃樹脂組成物に関する。
【0013】
【化2】
【0014】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30のアルキル基
であり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭
素数の合計が平均12から30である。ここで、異なっ
た置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからな
る場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リ
ン酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素
数の合計との積の和である。) とりわけ、(B)が(1)トリス(ノニルフェニル)フォ
スフェート〔R1、R2、R3がノニル基(TNPPと称
する)〕、または(2)ビス(ノニルフェニル)フェニル
フォスフェート〔R1が水素、R2、R3がノニル基(B
NPPと称する)〕及びTNPPである難燃剤である上
記滴下型難燃樹脂組成物、そして(A)樹脂部分の還元
粘度ηsp/Cが0.4〜0.6であるゴム変性スチレ
ン系樹脂100重量部、(B)前記いずれかの難燃剤1
〜100重量部、及び(C)還元粘度ηsp/Cが0.
3〜0.6であるポリフェニレンエーテル1〜100重
量部含有する滴下型難燃樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0015】以下、本発明を詳しく説明する。
【0016】本発明の難燃樹脂組成物は、(A)ゴム変
性スチレン系樹脂と(B)特定の難燃剤、及び必要に応
じて(C)ポリフェニレンエーテルを含有する。
【0017】上記(A)は成形用樹脂組成物の主成分を
なし、成形体の強度保持の役割を担う。(B)は難燃剤
であると同時に、耐熱性を保持しつつ、流動性を向上さ
せる流動性向上剤でもある。(C)は(A)に対して耐
熱性と耐衝撃性を付与するだけでなく、(A)の熱分解
を抑制したり、または燃焼時に成形体表面に炭化被膜を
形成して難燃性を付与する。
【0018】ここで、上記(B)特定の難燃剤は芳香族
リン酸エステル単量体であり、縮合体でなく単量体であ
ることが重要である。単量体であるために燃焼初期に効
率良く気化する。特に滴下型難燃スチレン系樹脂の場合
には、単量体であるためにスチレン系樹脂の可塑性を促
進し、燃焼時の滴下性が向上する。
【0019】次に上記芳香族リン酸エステル単量体の置
換基R1、R2、R3は水素または炭素数が1から30の
アルキル基であり、化合物全体として、置換基R1
2、R3の炭素数合計の数平均が12から30であり、
かつ上記炭素数の和が12未満である成分が(B)中で
1重量%以下であることが重要である。
【0020】上記炭素数合計の数平均が12未満では、
難燃性は優れているが、揮発性が高く、一方、30を越
えると難燃性が低下する。そして、前記炭素数の和が1
2未満の成分が1重量%を越えると、特に長期間の連続
成形においてモールドデポジットが発生することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0021】本発明の難燃樹脂組成物における(A)ゴ
ム変性スチレン系樹脂は、ゴム変性スチレン系樹脂単独
またはゴム変性スチレン系樹脂とゴム非変性スチレン系
樹脂からなり、(B)〜(C)と相溶もしくは均一分散
し得るものであれば特に制限はない。また、ゴム変性ス
チレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体よりなるマトリ
ックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合体
をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体及
び必要に応じ、これと共重合可能なビニル単量体を加え
て単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液
重合、または乳化重合することにより得られる。
【0022】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0023】ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、
−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0024】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0025】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ま
しいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体
を共重合してもよい。
【0026】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じて、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単
量体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高
める必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。
【0027】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0028】ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム状重
合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは1
0〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物は、
好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜5
0重量%の範囲にある。この範囲内では、目的とする樹
脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上する。更に
は、スチレン系重合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0
μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好適であ
る。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上する。
【0029】ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度で
ある樹脂部分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、
30℃測定:マトリックス樹脂がポリスチレンの場合は
トルエン溶液、マトリックス樹脂が不飽和ニトリル−芳
香族ビニル共重合体の場合はメチルエチルケトン)は、
0.30〜0.80dl/gの範囲にあることが好まし
く、0.40〜0.60dl/gの範囲にあることがよ
り好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp
/cに関する上記要件を満たすための手段としては、重
合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げる
ことができる。
【0030】本発明において(B)難燃剤を構成する芳
香族リン酸エステル単量体は、下記式(1)で示され、
置換基R1、R2、R3の炭素数の和が12未満である成
分が(B)中で1重量%以下である。
【0031】
【化3】
【0032】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30のアルキル基
であり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭
素数の合計が平均12から30である。ここで、異なっ
た置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからな
る場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リ
ン酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素
数の合計との積の和である。) 本発明において、芳香族リン酸エステル単量体の中で
も、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の数平均は、1
5〜30が好ましく、さらには20〜30が好ましく、
25〜30が最も好ましい。
【0033】具体的な置換基として、ノニル基、t−ブ
チル基等のブチル基、t−アミル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オタデシル基、ノナデシル基、オクタドデシル基等
が挙げられ、一つまたは複数個の置換基が一つの芳香環
にオルト、メタ、パラの何れの位置にも置換することが
できるが、パラ置換体が好ましい。一つのリン酸エステ
ル単量体に置換するアルキル基の炭素数の合計が12〜
30の範囲にあることが最も好ましいが、長鎖アルキル
基が一つだけ置換した芳香環を一つだけ有するリン酸エ
ステル単量体よりも、アルキル基が一つだけ置換した芳
香環を複数個有するリン酸エステル単量体の方が耐熱性
及び耐水性が優れている。例えば、置換するアルキル基
の炭素数の合計が18でも、オクタデシルフェニル ジ
フェニルフォスフェートよりも、ビス(ノニルフェニ
ル) フェニルフォスフェートの方が耐熱性が高く好ま
しい。
【0034】本発明において、(B)難燃剤の中でも、
特にR1、R2、R3の少なくとも1つはノニル基である
リン酸エステル単量体が好ましく、R1、R2、R3がノ
ニル基である芳香族リン酸エステル単量体〔トリス(ノ
ニルフェニル)フェニルフォスフェート〕が流動性と耐
揮発性の観点から最も好ましい。上記リン酸エステル単
量体は、難燃剤中に50重量%以上含有する場合に特に
大きな難燃性効果が発現する。そして、上記リン酸エス
テル単量体は火種の滴下性に優れ、UL−94に準拠し
た難燃性基準において、V−2ランクの難燃剤として極
めて優れている。この事実は従来知られていなかった。
【0035】また、耐揮発性の観点から、置換基の炭素
数の合計が本発明の要件を満たす必要があるが、置換基
の炭素数の合計が12未満のものの割合が1重量%以下
であることが必須であり、その結果さらに優れた耐揮発
性が発現する。
【0036】そして、難燃剤の熱安定性、特に耐熱変色
性の観点から、残存酸性物質の指標としてJIS−K6
751に規定する酸価が1mgKOH/g以下さらには
0.5mgKOH/g、及び/またはアルキルフェノー
ルが1重量%以下さらには0.5重量%以下であること
が好ましく、更にアルミニウム、マグネシウム、ナトリ
ウム、アンチモンが1000ppm以下であることがよ
り好ましい。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
が難燃剤中に1〜1000重量ppm含有すると熱安定
性が飛躍的に向上する。
【0037】次いで、耐光性の観点からは、置換基
1、R2、R3はアリール基でなく、アルキル基の場合
でも、アルキル基は枝分かれが少ない方が好ましく、特
に直鎖または枝分かれが1箇所のアルキル基が特に好ま
しい。
【0038】さらに、芳香族リン酸エステルの1つの芳
香環に置換する置換基の数は、1つが好ましい。1つの
芳香環に複数個の置換基が置換した芳香族リン酸エステ
ル単量体の粘度は高く、その粘度は置換基数と共に上昇
する。芳香族リン酸エステル単量体の粘度が高くなる
と、取り扱い上の問題だけでなく、高粘度のために精製
が困難となり前述の不純物が残存することにより、耐光
性、耐熱変色性が低下する。
【0039】本発明の中でも最も好ましい芳香族リン酸
エステル単量体の組み合わせは、トリス(ノニルフェニ
ル)フォスフェート(TNPP)を主体に、ビス(ノニ
ルフェニル) フェニルフォスフェート(BNPP)を
少量含有し、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の数平
均が20〜27であり、好ましくは25〜27であり、
さらに好ましくは26〜27であり、26.5〜27が
最も好ましい。上記の炭素数合計の数平均を満足するた
めには、例えばBNPPが78〜0重量%、好ましくは
22〜0重量%、さらに好ましくは11〜0重量%、最
も好ましくは5〜0重量%であり、TNPPが22〜1
00重量%、好ましくは78〜100重量%、さらに好
ましくは89〜100重量%、最も好ましくは95〜1
00重量%の範囲にある。このような組み合わせの難燃
剤は特に難燃性、流動性、耐熱性、衝撃強さ、耐水光沢
保持性、及び得られた成形体の表面硬度のバランス特性
が優れている。TNPPは耐揮発性、耐熱性付与効果が
高いだけでなく、構造的に対称であるために、耐水光沢
保持性が極めて優れている。このようにTNPPは特異
的効果を発現し、従来の知見では予想できない。
【0040】本発明において使用する芳香族リン酸エス
テル単量体は、特開平1−95149号公報、特開平3
−294284号公報等に開示された公知の方法により
製造することができる。例えば、アルキルフェノールと
オキシ塩化リンと触媒の無水塩化アルミニウムを加熱下
に反応する方法、または亜リン酸トリエステルを酸素で
酸化して、対応する芳香族リン酸エステルに転換する方
法がある。
【0041】本発明において、(B)の量は、(A)ゴ
ム変性スチレン系樹脂100重量部に対して、1〜10
0重量部であり、好ましくは1〜40重量部、更に好ま
しくは、1〜20重量部であり、最も好ましくは、5〜
15重量部である。
【0042】本発明において、ゴム変性スチレン系樹脂
に更に他の熱可塑性樹脂を配合することができる。例え
ば、ポリフェニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエ
ステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネ
ート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以
上を混合したものを使用することができる。ここで、特
にゴム変性スチレン系樹脂に添加することができる熱可
塑性樹脂としてポリフェニレンエーテル系、ポリカーボ
ネート系の熱可塑性樹脂が好ましい。
【0043】ゴム変性スチレン系樹脂に添加することの
できる(C)ポリフェニレンエーテルは、下記式(2)
で示される結合単位からなる単独重合体及び/又は共重
合体である。
【0044】
【化4】
【0045】(但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ
水素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から
選択されるものであり、互いに同一でも異なっていても
よい。) このポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、ポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリ
メチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
が好ましい。かかるポリフェニレンエーテルの製造方法
は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第
3,306,874号明細書記載の方法による第一銅塩
とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば
2,6キシレノールを酸化重合することにより容易に製
造でき、そのほかにも米国特許第3,306,875号
明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国
特許3,257,358号明細書、及び特公昭52−1
7880号公報、特開昭50−51197号公報に記載
された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる上記
ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c(0.5
g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.2
0〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、
0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好
ましい。ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c
に関する上記要件を満たすための手段としては、前記ポ
リフェニレンエーテルの製造の際の触媒量の調整などを
挙げることができる。
【0046】ポリフェニレンエーテルの量は、ゴム変性
スチレン系樹脂100重量部に対して、1〜100重量
部であり、好ましくは1〜40重量部、更に好ましく
は、1〜20重量部、最も好ましくは、3〜10重量部
である。
【0047】本発明において、必要に応じて、(D)ポ
リオルガノシロキサンを配合することができ、ゴム変性
スチレン系樹脂を配向緩和させる。高せん断力で成形を
行なう場合、得られた成形体に配向が残留し、火種の滴
下を阻害する。そこで、特定の動粘度を有するポリオル
ガノシロキサンを配合することにより分子鎖のスベリ性
が発現するために配向が抑制され、その結果、樹脂組成
物成形体の易滴下性を促進する。上記ポリオルガノシロ
キサンの動粘度(25℃)は30〜20000CSが好
ましく、40〜1000CSが更に好ましく、最も好ま
しくは50〜100CSである。動粘度が、30CS未
満では揮発性が高く成形時に金型汚染を起こし、一方、
20000CSを越えるとスチレン系樹脂の配向緩和性
が劣る。
【0048】ここで、(D)として使用するポリオルガ
ノシロキサンは、特にポリジメチルシロキサン、いわゆ
るシリコーンオイルが好ましい。
【0049】ポリオルガノシロキサンの量は、ゴム変性
スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.
01〜10重量部、更に好ましくは、0.1〜5重量
部、最も好ましくは、0.3〜3重量部である。
【0050】本発明の樹脂組成物において、特にUL−
94規定のVー2ランキングに相当する滴下型難燃スチ
レン系樹脂は、(A)樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが
0.4〜0.6であるゴム変性スチレン系樹脂100重
量部、(B)式(1)で示される難燃剤1〜40重量
部、及び(C)還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6で
あるポリフェニレンエーテル1〜40重量部を組み合わ
せることにより達成することができる。本発明の還元粘
度の要件を満足することにより、火種の滴下性と衝撃強
度のバランス特性が向上する。
【0051】本発明の樹脂組成物において、必要に応じ
て、(E)上記難燃剤以外の難燃剤として、(B)以外
の有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩、無機系難
燃剤等を配合することができる。
【0052】(E)の量は、ゴム変性スチレン系樹脂1
00重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、更に
好ましくは、1〜20重量部、最も好ましくは、5〜1
0重量部である。
【0053】(E)としての有機リン化合物は、例え
ば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、
ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜
リン酸エステル等である。より具体的には、メチルネオ
ペンチルフォスファイト、ペンタエリスリトールジエチ
ルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォネ
ート、フェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエ
リスリトールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペ
ンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポ
フォスファイト、フェニルピロカテコールフォスファイ
ト、エチルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテ
コールハイポジフォスフェートである。
【0054】また、難燃性に影響しない程度にテトラフ
ェニル・ビスフェノールA・ポリフォスフェート等の芳
香族系リン酸エステル縮合体を配合することができる。
【0055】(E)としての赤リンは、一般の赤リンの
他に、その表面をあらかじめ、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよりえら
ばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水
酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂
よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
り選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被
膜で二重に被覆処理されたものなどである。
【0056】(E)としての無機系リン酸塩は、ポリリ
ン酸アンモニウムが代表的である。
【0057】(E)としての無機系難燃剤としては、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、
ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸
化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜
鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、
炭酸マグネシウム、ムーカルシウム、炭酸カルシウム、
炭酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種でも2種
以上を併用してもよい。この中で特に、水酸化マグネシ
ウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、
ハイドロタルサイトからなる群から選ばれたものが難燃
効果が良く、経済的にも有利である。
【0058】本発明の樹脂組成物において、必要に応じ
て、トリアジン骨格含有化合物、ノボラック樹脂、含金
属化合物、シリコーン樹脂、含ビニル基シリコーンオイ
ル、シリカ、アラミド繊維、フッ素系樹脂、ポリアクリ
ロニトリル繊維から選ばれる一種以上の(F)難燃助剤
を配合することができる。
【0059】(F)の量は、ゴム変性スチレン系樹脂1
00重量部に対して、好ましくは0.001〜40重量
部、更に好ましくは、1〜20重量部、最も好ましく
は、5〜10重量部である。
【0060】(F)としてのトリアジン骨格含有化合物
は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を向上
させるための成分である。その具体例としては、メラミ
ン、下記式(3)で示されるメラム、下記式(4)で示
されるメレム、メロン(600℃以上でメレム3分子か
ら3分子の脱アンモニアによる生成物)、下記式(5)
で示されるメラミンシアヌレート、下記式(6)で示さ
れるリン酸メラミン、下記式(7)で示されるサクシノ
グアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタログアナ
ミン、下記式(8)で示されるメラミン樹脂、下記式
(9)で示されるBTレジン等を挙げることができる
が、耐揮発性の観点から特にメラミンシアヌレートが好
ましい。
【0061】
【化5】
【0062】
【化6】
【0063】
【化7】
【0064】
【化8】
【0065】
【化9】
【0066】
【化10】
【0067】
【化11】
【0068】(F)としてのノボラック樹脂は、難燃助
剤であり、かつヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステ
ルと併用する場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもあ
る。そして、その樹脂は、フェノール類とアルデヒド類
を硫酸または塩酸のような酸触媒の存在下で縮合して得
られる熱可塑性樹脂であり、その製造方法は、「高分子
実験学5『重縮合と重付加』p.437〜455(共立
出版(株))」に記載されている。
【0069】ノボラック樹脂製造の一例を下記式(1
0)、(11)に示す。
【0070】
【化12】
【0071】上記フェノール類は、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノール、ピロカ
テコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエート、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネート、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネート、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネート、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネート等である。
【0072】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナール、n−ブタナー
ル、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
【0073】(F)としての含金属化合物は、金属酸化
物及び/または金属粉である。上記金属酸化物は、酸化
アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸
化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モ
リブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、
酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸
化タングステン等の単体または、それらの複合体(合
金)であり、上記金属粉は、アルミニウム、鉄、チタ
ン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマ
ス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ、アン
チモン等の単体または、それらの複合体である。
【0074】(F)としてのシリコーン樹脂は、SiO
2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構造単位
を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコー
ン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロ
ピル基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベンジ
ル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有
した置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有したシ
リコーン樹脂が好ましい。
【0075】このようなシリコーン樹脂は、上記の構造
単位に対応するオルガノハロシランを共加水分解して重
合することにより得られる。
【0076】(F)としての含ビニル基シリコーンオイ
ルは、下記式(12)に示される化学結合単位からなる
ポリジオルガノシロキサンである。
【0077】
【化13】
【0078】上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C
6〜13のアリール基、下記式(13)、(14)で示
される含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の置
換基であり、ここで、特に分子中ビニル基を含有する。
【0079】
【化14】
【0080】
【化15】
【0081】前記含ビニル基シリコーンオイルの粘度
は、600〜1000000センチポイズ(25℃)が
好ましく、さらに好ましくは90000〜150000
センチポイズ(25℃)である。
【0082】(F)としてのシリカは、無定形の二酸化
ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系の
シランカップリング剤で処理した炭化水素系化合物被覆
シリカが好ましく、更にはビニル基を含有した炭化水素
系化合物被覆シリカが好ましい。
【0083】上記シランカップリング剤は、p−スチリ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有
シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構
造が類似した単位を有するシランカップリング剤が好ま
しく、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリ
ルトリメトキシシランが好適である。
【0084】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカ
をシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥さ
せる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサーのよう
な高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はん
しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、そ
の後熱処理する方法である。
【0085】(F)としてのアラミド繊維は、平均直径
が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mmであ
ることが好ましく、イソフタルアミド、またはポリパラ
フェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒または
硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸することに
より製造することができる。
【0086】(F)としてのフッ素系樹脂は、難燃助剤
であり、樹脂中にフッ素原子を含有する樹脂である。そ
の具体例として、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフ
ルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテト
ラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体等を挙げることができる。
また、必要に応じて上記含フッ素モノマーと共重合可能
なモノマーとを併用してもよい。
【0087】(F)としてのポリアクリロニトリル繊維
は、平均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜
10mmであることが好ましく、ジメチルホルムアミド
等の溶媒に重合体を溶解し、400℃の空気流中に乾式
紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶解
し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造される。
【0088】本発明の樹脂組成物において、必要に応じ
て、芳香族ビニル単位とアクリル酸エステル単位からな
る共重合樹脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪
酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコー
ル、または金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の
(G)流動性向上剤を配合することができる。
【0089】(G)の量は、ゴム変性スチレン系樹脂1
00重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、
更に好ましくは、0.5〜10重量部、最も好ましく
は、1〜5重量部である。
【0090】(G)としての共重合樹脂の芳香族ビニル
単位は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラ
メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチ
レン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチ
レンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香
族ビニル単量体を共重合してもよい。そして、アクリル
酸エステル単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチ
ル等の炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸
エステルである。
【0091】ここで、共重合樹脂中のアクリル酸エステ
ル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更には、
5〜20重量%が好適である。また、上記共重合樹脂の
分子量の指標である溶液粘度(樹脂10重量%のMEK
溶液、測定温度25℃)が、2〜10cP(センチポア
ズ)であることが好ましい。溶液粘度が2cP未満で
は、衝撃強度が低下し、一方、10cPを越えると流動
性の向上効果が低下する。
【0092】(G)としての脂肪族炭化水素系加工助剤
は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワック
ス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこ
れらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等であ
る。
【0093】(G)としての高級脂肪酸は、カプロン
酸、ヘキサデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フ
ェニルステアリン酸、フェロン酸等の飽和脂肪酸、及び
リシノール酸、リシンベライジン酸、9−オキシ12オ
クタデセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0094】(G)としての高級脂肪酸エステルは、フ
ェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチ
ル等の脂肪酸の1価アルコールエステル、及びフタル酸
ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基
酸の1価アルコールエステルであり、さらに、ソルビタ
ンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソル
ビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソル
ビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の
ソルビタンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、
オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセラ
イド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量
体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エス
テル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセ
リンラウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノ
オレート等のポリアルキレンエーテルユニットを有する
脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオールジステア
リン酸エステル等のネオペンチルポリオール脂肪酸エス
テル等である。
【0095】(G)としての高級脂肪酸アミドは、フェ
ニルステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミ
ド、メチロールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノア
ミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジ
エタノールアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミ
ド、オレイン酸ジエタノールアミド等のN,N’−2置
換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の
飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12
−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族
系ビスアミドである。
【0096】(G)としての高級脂肪族アルコールは、
ステアリルアルコールやセチルアルコール等の1価のア
ルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価アルコ
ール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオ
キシエチレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポ
リオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアルキレン
エーテルユニットを有するアリル化エーテル、及びポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
トリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエチレン
ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンエチレ
ングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノールA
エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレング
リコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユニット
を有する2価アルコールである。
【0097】(G)としての金属石鹸は、上記ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛や
アルミニウムやマグネシウム等の金属塩である。
【0098】本発明の樹脂組成物において、必要に応じ
て、(H)熱可塑性エラストマーを配合することがで
き、例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ
エステル系、ポリウレタン系、1,2−ポリブタジエン
系、ポリ塩化ビニル系等であり、特にポリスチレン系熱
可塑性エラストマーが好ましい。
【0099】(H)の量は、ゴム変性スチレン系樹脂1
00重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、
更に好ましくは、1〜10重量部、最も好ましくは、2
〜5重量部である。
【0100】上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブたブロック共重合体である。
【0101】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0102】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。
【0103】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニアー
ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部
分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体で
あることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3
型、SBSBの4型のリニアーブロック共重合体が好ま
しい。
【0104】本発明の樹脂組成物において、耐光性が要
求される場合には、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒン
ダードアミン系光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉
剤、遮光剤、金属不活性剤、または消光剤から選ばれる
一種または二種以上の(I)耐光性改良剤を配合するこ
とができる。
【0105】(I)の量は、ゴム変性スチレン系樹脂1
00重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量
部、更に好ましくは、0.1〜10重量部、最も好まし
くは、1〜5重量部である。
【0106】本発明の樹脂組成物の製造方法としては、
ゴム変性スチレン系樹脂と他の熱可塑性樹脂をまず溶融
し、次いで、(B)を添加し、同一押出機で溶融混練す
る方法、またはゴム変性スチレン系樹脂、他の熱可塑性
樹脂、または必要に応じて(B)を配合したマスターバ
ッチを製造した後、上記マスターバッチと、残りのゴム
変性スチレン系樹脂または残りの(B)もしくは他の難
燃剤を混練する方法がある。
【0107】本発明の樹脂組成物の好ましい組成の一例
としては次のものを挙げることができる。ゴム変性スチ
レン系樹脂10〜90重量部とゴム非変性スチレン系樹
脂90〜10重量部からなる、(A)ゴム変性スチレン
系樹脂100重量部に対して、(B)TNPP単独また
はTNPPを主体にBNPPを含有した芳香族リン酸エ
ステル単量体5〜15重量部、(C)ポリフェニレンエ
ーテル3〜10重量部。
【0108】上記組成の場合には、難燃性、特に滴下型
難燃性、連続成形性、成形加工性(流動性)、耐衝撃
性、及び耐熱性のバランス特性が優れている。
【0109】本発明の樹脂組成物は、上記各成分を市販
の単軸押出機あるいは、二軸押出機などで例えば溶融混
練することにより得られるが、その際にヒンダードフェ
ノール等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールやヒンダー
ドアミン等の紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他の無
機系やハロゲン系難燃剤、ステアリン酸やステアリン酸
亜鉛等の滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や
顔料等の着色剤等を必要に応じて添加することができ
る。
【0110】このようにして得られた組成物を例えば、
射出成形機または押出成形機を用いて長期間連続成形す
ることが可能であり、そして得られた成形品は難燃性
(滴下型難燃性)、流動性、耐熱性及び耐衝撃性が優れ
ている。
【0111】
【発明の実施の形態】以下、実施例および比較例により
本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はそれにより
何ら限定を受けるものではない。
【0112】尚、実施例、比較例においては、以下の測
定法もしくは測定機を用いて種々の測定を行なった。
【0113】(1)ゴム重量平均粒子径 ゴム変性スチレン重合体の重量平均粒子径は、超薄切片
法により撮影した樹脂組成物の透過型電子顕微鏡写真中
のゴム粒子(ブタジエン系重合体粒子)径を求め、次式
により算出する。
【0114】 重量平均粒子径=ΣNi・Di4/ΣNi・Di3 (ここでDiは測定したブタジエン系重合体粒子の粒子
径を表し、Niは、粒子径がDiである、測定したブタ
ジエン系重合体粒子の個数を表す。) (2)ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテ
ルの還元粘度ηsp/Cゴム変性スチレン系樹脂1gに
メチルエチルケトン18mlとメタノール2mlの混合
溶媒を加え、25℃で2時間振とうし、5℃、1800
0rpmで30分間遠心分離する。上澄み液を取り出し
メタノールで樹脂分を析出させた後、乾燥した。
【0115】このようにして得られた樹脂0.1gを、
ゴム変性ポリスチレンの場合はトルエンに溶解し、ゴム
変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の場合はメ
チルエチルケトンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液
とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度
計に入れ、30℃でこの溶液落下時間T1(秒)を測定
した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンまたは純メチ
ルエチルケトンの落下時間T0(秒)を測定し、以下の
数式により算出した。
【0116】ηsp/C=(T1/T0−1)/C C:ポリマー濃度(g/dl) 一方、ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/Cに
ついては、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.
5g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0117】(3)リン系難燃剤、樹脂組成物の分析 A)樹脂組成物5gを100mlのメチルエチルケトン
に溶解し、超遠心分離機を用いて分離する(20000
rpm、1時間)。次いで、分離して得られた上澄み液
に2倍量のメタノールを添加して樹脂成分を析出させ、
溶液部分と樹脂部分を超遠心分離機を用いて分離した。
溶液部分については、GPC(ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー)〔日本国東ソー(株)製、装置本体
(RI屈折率検出器付き) HLC−8020;カラム
東ソー(株)製、G1000HXL 2本;移動相
テトラヒドロフラン;流量 0.8ml/分;圧力 6
0kgf/cm2;温度 INLET 35℃,OVE
N 40℃,RI 35℃;サンプルループ 100m
l;注入サンプル量 0.08g/20ml 〕で分析
し、クロマトグラム上の各成分の面積比を各成分の重量
分率と仮定し、面積比からリン酸エステルの組成と量を
求めた。一方、上記の樹脂部分については、フーリエ変
換核磁気共鳴装置(プロトン−FT−NMR)を用い
て、芳香族プロトンまたは脂肪族プロトンの積分値の比
を求め、ゴム変性スチレン系樹脂及び芳香族ポリカーボ
ネート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂の量
を求めた。
【0118】(4)難燃樹脂の揮発性(熱重量天秤試
験:TGA法) 日本国島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用い
て、窒素気流下、10℃/分で昇温し、1%重量減少す
る温度を揮発性の尺度とした。
【0119】(5)Izod衝撃強度 ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。
【0120】(Vノッチ、1/4インチ試験片 単位:
kgcm/cm) (6)面衝撃強さ ASTM−D1709に類似の方法で23℃で面衝撃強
度を測定した。具体的には、デュポン衝撃試験機(東洋
精機製作所製)を用い、撃芯先端直径が6.4mmR、
長さ5.2mmのダート(重錘200g)を、受台直径
9.5mm、穴深さ4.0mmの受台上の成形体(70
mm角、厚み2mmの成形体)表面に接触固定して、最
高50cmの高さから、荷重を成形体に落下させて、成
形体の50%が破壊する時の荷重の重量を50%破壊荷
重とし、それに落下荷重を乗じて50%破壊エネルギー
を算出した。この50%破壊エネルギーを面衝撃強度と
した。単位はkgcmである。
【0121】(7)剛性 ASTM−D790に準拠した方法で曲げ弾性率を測定
し、剛性の尺度とした。
【0122】(8)引張強さ、引張伸度 ASTM−D638に準拠した方法で23℃で測定し
た。
【0123】(9)熱変形温度 ASTM−D648に準拠した方法で測定し、耐熱性の
尺度とした。(試験荷重18.5kg/cm2、1/4
インチ厚み試験片) (10)Vicat軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。
【0124】(11)メルトフローレート(MFR) 溶融流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方
法で測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で
10分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。単
位:g/10分 (12)難燃性 UL−サブジェクト94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した(1/8インチ試験片を使
用)。
【0125】UL−サブジェクト94に記載の方法に関
しては、例えば、米国特許第4,966,814号を参
照することができる。
【0126】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0127】(イ)熱可塑性樹脂 (1)ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0128】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た(HIPS−1と称する)。得られ
たゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量
は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μ
m、還元粘度ηsp/cは0.53dl/gであった。
【0129】また、重合開始剤量、重合温度、連鎖移動
剤量の調整により、還元粘度ηsp/cの異なったゴム
変性スチレン系樹脂を製造した。その結果を表4に記載
した。
【0130】HIPS−1:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.53dl/g。
【0131】HIPS−2:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.79dl/g。
【0132】HIPS−3:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.60dl/g。
【0133】HIPS−4:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.58dl/g。
【0134】HIPS−5:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.40dl/g。
【0135】HIPS−6:ゴム含量は12.1重量
%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘度ηs
p/cは0.35dl/g。
【0136】(2)ゴム非変性スチレン系樹脂(GPP
S) 重量平均分子量20万のポリスチレン(旭化成工業
(株)製)を用いた(GPPSと称する)。
【0137】(ロ)リン系難燃剤 (1)トリフェニルホスフェート(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル単量体〔大八化学工業
(株)製、商品名TPP(TPP称する)〕を用いた。
また、リン含有量は9.5重量%である。
【0138】(2)芳香族リン酸エステル縮合体(fr−
1) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741(f
r−1と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リ
ン酸エステルは、GPC分析によると、下記式(15)
で表わされるTPP−A−ダイマー(n=1)とTPP
−A−オリゴマー(n≧2)とトリフェニルホスフェー
ト(TPP)からなり、重量比でそれぞれ84.7/1
3.0/2.3であった。そして、リン含有量は9.4
重量%であった。
【0139】
【化16】
【0140】(3)アルキル基置換芳香族リン酸エステル
単量体(FR−1)の製造 ノニルフェノール287.3重量部(モル比2.0)、
塩化アルミニウム0.87重量部(モル比0.01)を
フラスコに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部
(モル比1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中
間体にフェノール61.4重量部(モル比1.0)を加
え、更に反応させた。反応を完結させるために、徐々に
昇温し最終的には180℃まで温度を上げてエステル化
を完了させた。次いで反応生成物を冷却し、水洗して触
媒及び塩素分を除去してリン酸エステル混合物(以下F
R−1と称する)を得た。この混合物をGPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー 東ソー(株)製、
HLC−8020 移動相テトラヒドロフラン)により
分析したところ、 ビス(ノニルフェニル)フェニルフ
ォスフェート(以下BNPPと称する)と、トリスノニ
ルフェニル フォスフェート(以下TNPPと称する)
と、ノニルフェニル ジフェニル フォスフェート(以
下NPDPと称する)と、ノニルフェノールからなり、
重量比がそれぞれ77.8/11.3/8.4/2.5
であった。
【0141】また、置換基の炭素数の合計の平均は1
7.9であり、(18×0.778+27×0.113
+9×0.084=17.9)リン含有量は5.5重量
%である。
【0142】一方、上記芳香族リン酸エステル単量体混
合物(FR−1)を蒸留、さらに液体クロマトグラフィ
による分取分別により、TNPP、BNPPを得た。
【0143】(4)各種アルキル基置換芳香族リン酸エス
テル単量体の製造 FR−1の製造において、市販のアルキルフェノールま
たは「ENCYCLOPEDIA OF CHEMIC
AL TECHNOLOGY」 ThirdEditi
on VOLUME 2 『ALKYLPHENOL
S』 p.72〜96 (A WILEY−INTER
SCIENCE PUBLICATION John
Wiley&Sons New York 1978)
記載の方法により得られた各種アルキルフェノールを用
いて、オキシ塩化リンとのモル比を制御することにより
各種アルキルフェノールを合成した。精製方法について
は、上記水洗、蒸留または液体クロマトグラフィーによ
る分取分別により行った。表1に各種アルキル基置換芳
香族リン酸エステル単量体を示す。
【0144】(ハ)ポリフェニレンエーテル(PPE)
の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPE−1と称する)。還元粘度ηsp/Cは
0.41dl/gであった。
【0145】また、ポリフェニレンエーテルの製造の際
の触媒量の調整または重合時間の制御により、還元粘度
ηsp/cの異なったポリフェニレンエーテルを製造し
た。その結果を表5に示す。
【0146】実施例1〜7 比較例1〜5 表1記載の各種芳香族リン酸エステル単量体を熱重量天
秤試験法により、窒素気流下、250℃で5分間静置
し、残存量を求めた。その結果を表1及び図1に示す。
【0147】
【表1】
【0148】表1及び図1によると、化合物全体とし
て、置換基R1、R2、R3の炭素数の合計が平均12以
上では卓越した耐揮発性を示すことが分かる。
【0149】実施例8〜10 比較例6〜8 表2記載の各種芳香族リン酸エステル単量体を熱重量天
秤試験法により、窒素気流下、250℃で30分間静置
し、残存量を求めた。その結果を表2に示す。
【0150】
【表2】
【0151】表2によると、アルキル基置換炭素数合計
が12未満の難燃剤成分が、難燃剤中に1重量%以下で
は卓越した耐揮発性を示すことが分かる。
【0152】実施例11〜17 比較例9〜14 HIPS−1/GPPS/表1記載の芳香族リン酸エス
テルを、80/20/表3記載量(重量比)で、機械的
に混合し、東洋精機製作所製ラボプラストミルを用い
て、溶融温度220℃、回転数50rpmで5分間溶融
した。このようにして得られた樹脂組成物から圧縮成形
法により1/8インチ厚の試験片を作製し、難燃性の評
価を行なった。また、上記芳香族リン酸エステルを、熱
重量天秤試験法により、窒素気流下、40℃/分で昇温
し、温度と重量減少量の関係を求めた。表3及び図1に
その結果を記載した。
【0153】
【表3】
【0154】表3及び図1によると、芳香族系リン酸エ
ステルの置換基の炭素数の合計が、平均12〜30の範
囲にある場合は、難燃性と耐揮発性のバランス特性が優
れていることが分かる。
【0155】芳香族リン酸エステル単量体に比較して、
芳香族リン酸エステル縮合体は燃焼初期の400℃での
揮発量が少ないために難燃性が劣る。また、特定のアル
キル基置換の芳香族リン酸エステル単量体は、300℃
以下の成形温度では不揮発性であり、燃焼の初期に効果
的に揮発するために難燃性が優れている。
【0156】実施例18〜24 比較例15 実施例11において、樹脂組成物を、表4記載の成分及
び重量比に変更すること以外、実施例11と同様に溶融
混合、成形及び評価を行った。その結果を表4に示す。
【0157】
【表4】
【0158】表4によると、PPEを添加した方が耐熱
性が高いことが分かる。また、樹脂部分の還元粘度ηs
p/Cが0.4〜0.6であるスチレン系樹脂を用いる
と、難燃性、流動性及び衝撃強度のバランス特性が優れ
ていることが分かる。
【0159】実施例25〜32 HIPS−1/GPPS/表5記載のPPE/TNPP
を、65/35/表5記載量/10の重量比率で混合
し、サイドフィード可能な二軸押出機(Werner
Pfleiderer社製 ZSK−40mmΦ )を
用い、溶融押出しを行なった。即ち、押出機の前段でP
PE/GPPSを320℃で溶融し、後段で残りの樹脂
成分とTNPPをサイドフィードし、回転数295rp
m、吐出量80kg/hで240℃で溶融混練した。
【0160】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製 型式IS80A)でシリンダ
ー温度230℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製
し、MFR、アイゾット衝撃強さ、面衝撃強度、曲げ強
さ、曲げ弾性率、ビカット軟化温度、熱変形温度及び難
燃性の評価を行なった。表5にその結果を示す。
【0161】
【表5】
【0162】特にゴム変性スチレン系樹脂に対して、P
PEを3〜10重量部配合し、その還元粘度ηsp/C
が0.3〜0.6である場合が好ましく、表5による
と、この場合には流動性、耐熱性、剛性、衝撃強度及び
難燃性のバランス特性が著しく向上することが分かる。
【0163】実施例33〜38 比較例16〜18 実施例11において、樹脂組成物を、表6記載の成分及
び重量比に変更すること以外、実施例11と同様に溶融
混合、成形及び評価を行った。その結果を表6に示す。
【0164】
【表6】
【0165】表6によると、芳香族系リン酸エステル単
量体として、TNPP,BNPP,NPDPを組み合わ
せた場合、NPDPが存在する場合は、耐揮発性(1%
重量減少温度)の低下が著しいことが分かる。また、T
NPPを主体にBNPPを併用する場合は、耐揮発性、
難燃性、衝撃強度、流動性及び耐熱性のバランス特性が
優れていることが分かる。
【0166】
【発明の効果】本発明の滴下型難燃樹脂組成物は、流動
性と耐熱性が優れているだけでなく、長期間連続成形を
行なってもモールドディポジットが著しく少なく、かつ
難燃性、耐衝撃性、耐熱性及び流動性のバランス特性に
優れている。
【0167】この難燃樹脂組成物は、VTR、分電盤、
テレビ、オーディオプレーヤー、コンデンサ、家庭用コ
ンセント、ラジカセ、ビデオカセット、ビデオディスク
プレイヤー、エアコンディショナー、加湿機、電気温風
機械等の家電ハウジング、シャーシまたは部品、CD−
ROMのメインフレーム(メカシャーシ)、プリンタ
ー、ファックス、PPC、CRT、ワープロ複写機、電
子式金銭登録機、オフィスコンピューターシステム、フ
ロッピーディスクドライブ、キーボード、タイプ、EC
R、電卓、トナーカートリッジ、電話等のOA機器ハウ
ジング、シャーシまたは部品、コネクタ、コイルボビ
ン、スイッチ、リレー、リレーソケット、LED、バリ
コン、ACアダップター、FBT高圧ボビン、FBTケ
ース、IFTコイルボビン、ジャック、ボリュウムシャ
フト、モーター部品等の電子・電気材料、そして、イン
スツルメントパネル、ラジエーターグリル、クラスタ
ー、スピーカーグリル、ルーバー、コンソールボック
ス、デフロスターガーニッシュ、オーナメント、ヒュー
ズボックス、リレーケース、コネクタシフトテープ等の
自動車材料等に好適であり、これら産業界に果たす役割
は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1記載の芳香族リン酸エステル単量体の置換
基の炭素数の合計の平均値と、熱重量天秤試験(TGA
法)での250℃、5分間保持後の芳香族リン酸エステ
ル単量体の残存量、表3記載の樹脂組成物の成形体の難
燃性(消炎時間:秒)との関係を示した図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂100重
    量部と(B)下記式(1)で示される難燃剤1〜100
    重量部とからなる樹脂組成物であって、上記(B)の難
    燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素数の和が12未満で
    ある成分が(B)中で1重量%以下であることを特徴と
    する滴下型難燃樹脂組成物。 【化1】 (式中、a、b、cは1から3、R1、R2、R3は水素
    または炭素数が1から30のアルキル基であり、化合物
    全体として、置換基R1、R2、R3の炭素数の合計が平
    均12から30である。ここで、異なった置換基を有す
    る、複数の芳香族リン酸エステルからなる場合には、上
    記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素数の合計は、数
    平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リン酸エステル成
    分の重量分率と、各成分の置換基の炭素数の合計との積
    の和である。)
  2. 【請求項2】 (B)が(1)トリス(ノニルフェニル)
    フォスフェート〔R1、R2、R3がノニル基(TNPP
    と称する)〕、または(2)ビス(ノニルフェニル)フェ
    ニルフォスフェート〔R1が水素、R2、R3がノニル基
    (BNPPと称する)〕及びTNPPである難燃剤であ
    る請求項1記載の滴下型難燃樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが
    0.4〜0.6であるゴム変性スチレン系樹脂100重
    量部、(B)請求項1または2の難燃剤1〜100重量
    部、及び(C)還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6で
    あるポリフェニレンエーテル1〜100重量部含有する
    滴下型難燃樹脂組成物。
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