JPH09323025A - ガス処理塔 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】バブルキャップを備えたトレイにより排ガスと
吸収液とを気液接触させるガス処理塔に於いて、トレイ
を流動する吸収液に偏流や停滞が発生することなくトレ
イ全体を均一に流れ、且つ、吸収液の液深がトレイ全体
で均一となるガス処理塔を提供する。 【解決手段】バブルキャップトレイ５の底板を階段状に
形成して、各段に堰止板５２を設ける。そして、階段状
のバブルキャップトレイ５の最上段を吸収液１３の供給
部５６が設けられている側とし、吸収液１３が液滞留槽
２に戻る排出部５７のダウンカマー１０が設けられてい
る側を最下部として、吸収液１３が階段状のバブルキャ
ップトレイ５を供給部５６から排出部５７のダウンカマ
ー１０に向かって順次下降しながら流れるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ボイラー等の排ガス中
に含まれる硫黄酸化物である亜硫酸ガスを除去する湿式
排煙脱硫方式のガス処理塔に関し、特に炭酸カルシウム
等のカルシウム系吸収剤を用いて石膏を副生する石灰−
石膏法の湿式排煙脱硫方式のバブルキャップによる構造
のガス処理塔に関するものである。

【０００２】

【従来技術と問題点】従来、ボイラー等の排ガス中に含
まれる硫黄酸化物である亜硫酸ガスを除去する湿式排煙
脱硫方式のガス処理塔の多くは、ベンチュリースクラバ
ーやスプレーによる構造のガス処理塔であったが、近
年、気液接触効率や経済性を向上させられることから、
多数のバブルキャップをトレイに備え、このバブルキャ
ップからトレイを流れている吸収液中に排ガスを吹き出
させ、吸収液と排ガスとを気液接触させる方法で排ガス
を処理するバブルキャップによる構造のガス処理塔が用
いられるようになってきた。

【０００３】しかし、このバブルキャップによる構造の
ガス処理塔はトレイの面積が非常に大きくなってしまう
ために、トレイを流れる吸収液に偏流が発生して、トレ
イの中央部では流速が速く、中央から離れるに従って流
速が遅くなり、場合によっては滞留を生じてしまうな
ど、吸収液がトレイ全体を均一に流れないなどの問題が
あった。

【０００４】また、吸収液の供給部から排出部に至るま
での流動距離が非常に長いために、供給部の液面と排出
部の液面との間に著しいレベル差を生じて、トレイの吸
収液の液深が不均一となってしまっていた。このため、
トレイの吸収液中を通過する排ガスに偏流が発生して、
吸収液の液深の浅い部分を通過する排ガスは通過抵抗が
小さくなるので通過速度は速く、吸収液の液深の深い部
分を通過する排ガスは通過抵抗が大きくなるので通過速
度が遅くなるなど、排ガスが吸収液中を均一な速度で通
過することができないために気液接触が不均一となる問
題もあった。

【０００５】

【目的】本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもの
で、吸収液がトレイ全体を均一に流れ、且つ、吸収液の
液深がトレイ全体で均一となるガス処理塔を提供するこ
とを目的とするものである。

【０００６】

【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、排ガス中に吸収液を噴霧する液噴霧手段を備えた
ガス導入口と、該導入口を通過した吸収液を収容し、該
吸収液中に空気を吹込む手段を備えた液滞留槽と、該滞
留槽から送られる吸収液とガスとを気液接触させるバブ
ルキャップを備え且つ該吸収液を前記液滞留槽に還流さ
せるトレイと、ガス中に同伴する液滴を除去するミスト
エリミネーターを備えたガス排出口とから構成されるガ
ス処理塔に於いて、前記トレイを階段状に形成し、各段
に堰止板を設けたを特徴とするガス処理塔である。

【０００７】本発明の処理塔には、排ガスを導くガス導
入口が設けられ、この導入口内には通過する排ガスに吸
収液を接触させるノズルなどを有する液噴射手段が設け
られている。また液滞留槽は、ガス導入口からの吸収液
を収容すると共に、トレイからの吸収液を収容できるよ
うに構成され、また液噴霧手段やトレイに吸収液を循環
させ且つ石膏の回収手段に接続されている。ガス排出口
はガス中に同伴する液滴を除去するミストエリミネータ
ーを備えている。

【０００８】トレイは、液滞留槽から送られる吸収液と
ガスとを気液接触させるバブルキャップを備え且つ該吸
収液を前記液滞留槽に還流させるものであり、このトレ
イは階段状に形成され、各段に堰止板が設けられてい
る。トレイの最上段は吸収液の供給部側に位置し、その
最下段は液滞留槽に戻る排出部のダウンカマー側に位置
し、吸収液が下り勾配をつけた階段状のトレイを供給部
から排出部のダウンカマーに向かって順次下降しながら
流れる。

【０００９】その段差の数は適宜選定され、段差間には
堰止板によって仕切られ、また階段状のトレイの各段の
段差高は、処理効率や装置仕様を考慮して最適な段差高
を選定すればよく特に限定するものではない。また、各
段の吸収液が流れる方向の全長も特に限定するものでは
なく、堰止板で仕切ったとき、段の流入部と流出部とで
生ずる吸収液の液深の差により気液接触が不均一となら
なければよい。

【００１０】各段に設けている堰止板は、排ガスと吸収
液とが気液接触を充分行うことができる液深となるよう
な板高とし、また、トレイを流れる吸収液の流圧や液圧
などにも充分耐える板厚とすればよい。堰止板の上端部
は、吸収液が均一に溢流できるようその全長に渡って水
平にすることが望ましい。さらに、その水平な上端部に
多数のＶ字型切欠きを設けて、吸収液がより均一に溢流
できるようにしてもよい。

【００１１】そして、各段の段差高や全長それに各段に
設けている堰止板の板高は、トレイの各段全て同じにし
たり、また、各段でそれぞれを変えるなどしてもよく、
処理効率や装置仕様を考慮して選定すればよい。さら
に、単一のトレイを堰止板で分割するのではなく、バブ
ルキャップを備えてなる単一のトレイを複数個組合せて
それを階段状に連設してもよい。さらには、処理効率を
向上させるため、各段に吸収剤の供給口を設けることが
望ましい。

【００１２】

【作用】本発明は以上のように構成されていることによ
り、吸収液は液導入口から最上段のトレイに供給され、
その最上段のトレイの流入部から同段の流出部へ向かい
流れて行き、その流出部の堰止板を越え次段のトレイに
溢流入し、また次段のトレイを流入部から同段の流出部
へ向かい流れて行き、その流出部の堰止板を越えさらに
次段のトレイに溢流入する。

【００１３】このように、吸収液は各段のトレイの堰止
板を越えながら階段状のトレイをダウンカマーに向かっ
て順次下降し溢流して行くものである。以上、トレイの
各段に設けた堰止板によって各段のトレイでの吸収液の
流動距離を制限しているため、吸収液の流動に変化が現
れる前に次段のトレイに吸収液を溢流入させ、次段のト
レイで新たな吸収液の流動を作る。

【００１４】

【実施例】本発明の実施例を以下図面に従って説明する
と、図１は、排ガス中の硫黄酸化物である亜硫酸ガスを
除去するガス処理塔の概略を示した図である。図１にお
いて、１は排ガス１４をガス処理塔Ａの内部に導入する
ガス導入口、２はダウンカマー１０から落下する吸収液
１３を回収する液滞留槽、３は処理された排ガス１４や
空気１５を排出するガス排出口、４は導入した排ガス１
４中に吸収液１３を噴霧する液噴霧手段、５は排ガス１
４と吸収液１３とを気液接触させるバブルキャップトレ
イ、６は排ガス１４中のミストを除去するミストエリミ
ネータ、７は吸収液１３を液循環ライン１８に排出する
液排出口、８は液循環ライン１８の吸収液１３をバブル
キャップトレイ５に供給する液導入口、９は吸収液１３
を液噴霧ライン１９に排出する液排出口、１０はバブル
キャップトレイ５を通過した吸収液１３を液滞留槽２に
戻すダウンカマー、１１は液滞留槽２の吸収液１３中に
空気１５を吹き込む空気吹込み手段、１２は炭酸カルシ
ウム１２１などの吸収剤を供給する吸収剤供給口、１３
は排ガスと気液接触させる吸収液、１４は排ガス、１５
は空気、１６は生成された石膏である。

【００１５】そして、１７は生成した石膏１６を回収す
るために液循環ライン１８に設けられている石膏回収手
段である。また、５６は排ガス１４と気液接触させる吸
収液１３の供給部、５７は石膏１６が生成された吸収液
１３の排出部である。図２は、バブルキャップトレイを
示した部分拡大図であり、階段状のバブルキャップトレ
イ５の一段部が堰止板５２によって区切られ一トレイ５
１となされ、このトレイ５１の底板５３に排ガス１４と
空気１５とが吹き出すガス上昇管５４とバブルキャップ
５５が設けられている。そして、５８は吸収液１３の流
入部、５９は吸収液１３の流出部である。

【００１６】図によりガス処理塔で行われる処理を説明
すると、排ガス１４をガス処理塔Ａのガス導入口１より
塔内部に導入する。導入された排ガス１４は、ガス導入
口１に設けられている液噴霧手段４のスプレーノズル４
１から噴霧された吸収液１３により冷却されると共に排
ガス１４中の固形物が捕集される。そして、排ガス１４
は上昇流となってバブルキャップトレイ５のトレイ５１
のバブルキャップ５５からトレイ５１の中の吸収液１３
の中に吹き出し、ここで吸収液１３と排ガス１４とが気
液接触をして排ガス１４中の亜硫酸ガスが吸収液１３中
に吸収される。

【００１７】また、トレイ５１のバブルキャップ５５か
らは、液滞留槽２の吸収液１３中に吹き込まれた空気１
５もこのトレイ５１の中の吸収液１３中に吹き出してく
るために、この空気１５中の酸素も吸収液１３中に吸収
される。そして、吸収液１３中に吸収された亜硫酸と酸
素とが反応し、トレイ５１の吸収液１３中の亜硫酸が酸
化されて硫酸になる。さらに、この吸収液１３中に階段
状のバブルキャップトレイ５の各段に設けられている吸
収剤供給口１２から炭酸カルシウム１２１が供給され、
硫酸と反応して吸収液１３中に石膏１６を生成する。石
膏１６を生成した吸収液１３はダウンカマー１０から液
滞留槽２に戻される。液滞留槽２に戻された吸収液１３
は、吸収液１３中の石膏１６の生成をさらに促進させる
ために、空気吹込み管１１から空気１５が吹き込まれ
る。

【００１８】そして、石膏１６を含んでいる吸収液１３
は液排出口７から液循環ライン１８にポンプなどで送流
され、この液循環ライン１８に設けられている石膏回収
手段１７で石膏１６が取り出される。吸収液１３は再び
液導入口８からバブルキャップトレイ５に供給される。
また、気液接触により処理された排ガス１４は、ミスト
エリミネータ６で排ガス１４中に同伴しているミストが
除去され、ガス排出口３から排出される。

【００１９】

【効果】本発明は以上のよう構成されていることによ
り、吸収液の流れは堰止板で小さく区切られた複数のト
レー内で流動するので、偏流を生ずることもなく、吸収
液をトレイ全体に均一に流すことができる。また、吸収
液がトレイを流動する距離も堰止板により区切られた短
い距離であることから、トレイの各段の流入部と流出部
とで生ずる吸収液の液深の差も無視できる程度の差であ
り、このため、トレイの吸収液中を通過する排ガスに偏
流を生ずることもなく、排ガスと吸収液とを均一に気液
接触させることができる。

【００２０】このように、吸収液をスムースに流すこと
ができたことにより気液接触効率が向上した。また、吸
収液がスムースに流れるため吸収液の循環液量は減らす
ことができる。そして、これらのことからガス処理塔を
コンパクトにすることもでき、設備費および動力費を削
減することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のガス処理塔の概略図

【図２】 バブルキャップを備えたトレイの部分拡大概
略図

【符号の説明】

１−ガス導入口，２−液滞留槽，３−ガス排出口，４−
液噴霧手段，４１−スプレーノズル，５−バブルキャッ
プトレイ，５１−トレイ，５２−堰止板，５３−底板，
５４−ガス上昇管，５５−バブルキャップ，５６−供給
部，５７−排出部，５８−流入部，５９−流出部，６−
ミストエリミネータ，７−液排出口，８−液導入口，９
−液排出口，１０−ダウンカマー，１１−空気吹込み手
段，１２−吸収剤供給口，１２１−炭酸カルシウム，１
３−吸収液，１４−排ガス，１５−空気，１６−石膏，
１７−石膏回収手段，１８−液循環ライン，１９−液噴
霧ライン，Ａ−ガス処理塔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】排ガス中に吸収液を噴霧する液噴霧手段を
   備えたガス導入口と、該導入口を通過した吸収液を収容
   し、該吸収液中に空気を吹込む手段を備えた液滞留槽
   と、該滞留槽から送られる吸収液とガスとを気液接触さ
   せるバブルキャップを備え且つ該吸収液を前記液滞留槽
   に還流させるトレイと、ガス中に同伴する液滴を除去す
   るミストエリミネーターを備えたガス排出口とから構成
   されるガス処理塔に於いて、前記トレイを階段状に形成
   し、各段に堰止板を設けたことを特徴とするガス処理塔
2. 【請求項２】トレイの最上段が塔の吸収液の供給部側に
   位置し、その最下段が液滞留槽に戻る排出部のダウンカ
   マー側に位置することを特徴とする請求項１のガス処理
   塔
3. 【請求項３】前記トレイの各段に吸収剤の供給口を設け
   たことを特徴とする請求項１のガス処理塔