JPH09322667A - パックブンの遺伝子導入方法 - Google Patents

パックブンの遺伝子導入方法

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JPH09322667A
JPH09322667A JP8159123A JP15912396A JPH09322667A JP H09322667 A JPH09322667 A JP H09322667A JP 8159123 A JP8159123 A JP 8159123A JP 15912396 A JP15912396 A JP 15912396A JP H09322667 A JPH09322667 A JP H09322667A
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JP
Japan
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callus
pakbun
gene
adventitious
naa
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JP8159123A
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English (en)
Inventor
Masanori Fujita
正憲 藤田
Atsuhiko Niina
惇彦 新名
Kazuya Yoshida
和哉 吉田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水生植物パックブンへの外来遺伝子の導入と
再生方法の提供。 【解決手段】 パックブン(Ipomoea aquatica)の再生
方法において、(a)パックブンの節部を約1mg/lの
α−ナフタレン酢酸(NAA)及び約1mg/lのベンジ
ルアデニン(BA)を含有する培地で培養することによ
りカルスを形成し、(b)前記カルスを、NAAを含有
せず且つ5〜10mg/lのBAを含有する培地で培養す
ることにより不定芽を誘導し、そして(c)前記不定芽
を、植物ホルモンを含有しない培地で培養することによ
り不定根を誘導する、ことを特徴とする方法並びに前記
段階(a)の前にパックブンの節部と、外来遺伝子を有
するアグロバクテリウムとを共培養することを特徴とす
る。パックブン植物への外来の導入方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水性植物パックブン
(Ipomoea aquatica)への外来遺伝子導入方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】パックブン(Ipomoea aquatica)は熱帯
性の水性植物であり、汚れに強く、窒素やリンの吸収除
去にすぐれていることから汚水処理への応用が期待され
る。さらに、パックブンは蛋白質やビタミン類を多く含
む栄養価の高い野菜としての特性をも有している。この
様なそれ自体有用性の高い植物に外来性遺伝子を導入し
て有用な特性を付与することにより、さらに価値の高
い、例えば環境浄化能の向上した、植物が得られると期
待される。しかしながら、パックブンに外来遺伝子を導
入する方法は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、パ
ックブンへの外来遺伝子の導入方法を提供するものであ
り、そしてその前提となる技術として、パックブンをカ
ルス化し、さらに植物体に再生する方法を提供するもの
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】パックブンのカルス化は
極めて困難とされていたが、本発明者らは種々検討の結
果、パックブンの節部を用いることによりカルス化が可
能となることを見出した。さらに、特定の植物ホルモン
濃度のもとにはじめてカルスからの植物体の再生が可能
であることを見出した。
【0005】従って本発明は、パックブンの再生方法に
おいて、(a)パックブンの節部を約1mg/lのα−ナ
フタレン酢酸(NAA)及び約1mg/lのベンジルアデ
ニン(BA)を含有する培地中で培養することによりカ
ルスを形成し、(b)前記カルスを、NAAを含有せず
且つ5〜10mg/lのBAを含有する培地で培養するこ
とにより不定芽を誘導し、そして(c)前記不定芽を、
植物ホルモンを含有しない培地で培養することにより不
定根を誘導する、ことを特徴とする方法を提供する。
【0006】本発明者らはまた、上記のパックブンの再
生方法において、段階(a)の前に、パックブンの節部
を、外来遺伝子を有するアグロバクテリウム・ツメファ
シエンスと共培養することによって、再生した植物に外
来遺伝子を導入することができることを見出した。従っ
て本発明は、パックブンに外来遺伝子を導入する方法に
おいて、前記の方法における段階(a)の前に、パック
ブンの節部と、目的とする遺伝子を含んで成るTiプラ
スミドを有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス
とを共培養することを特徴とする方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の方法においてはパックブ
ンの茎の節部を出発材料として用いる。その他の部分か
らカルスを誘導するのは非常に困難である。節部はまず
殺菌した後、NAAを約1mg/l及びBAを約1mg/l
含有する基礎培地中で培養する。基礎培地としては、M
S培地、表1に示す組成を有する1/2修正MS培地等
が使用される。
【0008】
【表1】
【0009】約5日〜1週間の培養によりカルスが生成
する。次にこのカルスを、NAAを含有せず且つ5〜1
0mg/lのBAを含有する培地中で約8日間培養するこ
とにより不定芽が生成する。次に、この不定芽を、植物
ホルモンを含有しない培地で培養することにより不定根
が生成する。これを固体培地に移植することにより再生
したパックブンが得られる。
【0010】前記の方法において、カルスの誘導の前
に、外来遺伝子を含有するアグロバクテリウム・ツメフ
ァシエンスと共培養することにより、目的とする外来遺
伝子をパックブンの細胞中に導入することができる。外
来遺伝子としては、芳香複化合物分解酵素をコードする
遺伝子、リンや窒素の吸収を促す遺伝子など目的に応じ
て任意の遺伝子を用いることができる。目的とする遺伝
子は、Tiプラスミド中のライトボーダー部とレフトボ
ーダー部との間に挿入される。このようなプラスミドの
作製方法、アグロバクテリウム・ツメファシエンス細胞
へのプラスミドの導入は、常法に従って行えばよく、本
発明の特徴を構成するものではない。なお、Tiプラス
ミドは選択マーカー遺伝子を有する必要があり、例えば
カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子
等が用いられる。
【0011】アグロバクテリウム・ツメファシエンスで
処理した後、植物の再生までの間に、選択圧をかけて、
外来遺伝子を取り込んだ細胞の増殖を促進し、他方処理
後のアグロバクテリウムや雑菌の増殖を防止する必要が
ある。選択圧をかけるためには、例えば、選択マーカー
としてカナマイシン耐性遺伝子を使用する場合、不定芽
形成培地にカナマイシンを100mg/l程度添加する。
また、ハイグロマイシンの場合は約5mg/l程度であ
る。細菌の増殖を防止するためには、例えば、250〜
500mg/lのカルベニシリンをカルス形成培地に添加
すればよい。
【0012】再生した植物体に目的とする外来遺伝子が
挿入されていることを確認するためには、例えば、目的
とする遺伝子を特異的に増幅することができるプライマ
ーを用いてPCRにより増幅を行い、目的とする遺伝子
が増幅されたことを確認するなど、植物体中の特定の遺
伝子を検出するために使用される常法を用いればよい。
【0013】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明する。実施例1カルスの形成 無菌パックブンの作製 まずパックブンの種を70%エ
タノールに3分間浸して洗浄した後、水道水45mlに塩
素消毒液としてキッチンハイター(花王製)5mlと界面
活性剤としてトリトンX−100を25μl混ぜ合わせ
た水溶液に移しかえ、2分おきにゆっくり撹拌させなが
ら30分間浸し、種表面を滅菌した。このように滅菌し
たパックブンの種を滅菌ビーカーに移し、滅菌水で3回
十分に洗浄した後、MS培地に置床して、25℃、16
時間明(3000lx)、8時間暗の条件下で培養して無
菌パックブンを得た。
【0014】節部組織からのカルス誘導 無菌で培養したパックブンから切り出した節部を基本培
地(1/2修正MS培地、pH5.8)にNAA 1mg/
l、BA 1mg/l添加したカルス誘導培地に置床し、
25℃、16時間明(3000lx)、8時間暗の条件下
で培養したところ、5日ほどで透明な水分含有量の高い
カルスが誘導された。
【0015】実施例2不定芽の形成 パックブンから誘導した節部カルスを、1/2修正MS
培地(pH5.8)を基本培地として、これに表2に示す
20通りの植物ホルモン濃度の組み合わせを持つ培地に
それぞれ置床し、25℃、16時間明(3000lx)、
8時間暗の条件下で培養して、不定根ならびに不定芽の
分化を行った。
【0016】
【表2】
【0017】パックブン節部由来カルスからの不定芽の
分化に、植物ホルモンであるNAAとBAがおよぼす影
響を検討したところ、図1に示す結果が得られた。その
結果、節部カルスからの不定芽の分化にはBAが有効に
働き、NAAは阻害的に働くことが判明した。パックブ
ン節部由来カルスからの芽の分化率が最も高かった植物
ホルモン濃度は、BAのみを5mg/l加えた場合であっ
た。しかし、パックブンの節部由来カルスからは、植物
ホルモンを添加しない場合にも不定芽の分化がみられ
た。
【0018】この理由として、内生ホルモンの影響や置
床した節部にすでに芽の原基が形成されている可能性が
考えられる。このような植物ホルモンを加えていない培
地で形成される不定芽は、茎部の発達がよく、長い茎を
持ち、1カルスから1つの不定芽が分化した。培地に添
加した植物ホルモンの影響を受け分化した不定芽は、茎
部よりも葉部の発達がよく、1カルスから多数の葉部が
分化する傾向が見られた。添加した植物ホルモンの影響
を受け、パックブンの節部由来カルスから分化した不定
芽のこのような形態的特徴は、BAのみを10mg/l添
加した場合が最も顕著であった。以上の結果より、パッ
クブン節部由来カルスから不定芽を分化させるための培
地は、BAのみを5mg/l、または10mg/l含む1/
2修正MS培地が最適であると判断した。
【0019】実施例3不定根の形成による植物体の再
不定根の分化条件を検討したところ、図2に示す結果が
得られた。これによると、培地中のNAA濃度に関係な
く、BAを培地から除去することで節部カルスから容易
に不定根を形成することが分かった。
【0020】実際の操作としては、節部由来のカルスか
ら分化した不定芽を滅菌したメスで切り取り、植物ホル
モンを含まない1/2修正MS培地(pH5.8)に置床
し、25℃、16時間明(3000lx)、8時間暗の条
件下で培養したところ、1週間でほぼすべての不定芽か
ら不定根が分化し、その後幼植物体を形成した。この再
生植物は、種から発芽した植物体に比べて形態的な差異
はなく、生長速度にも違いは認められなかった。以上の
ことから不定芽からの不定根の分化、ならびに植物体の
再生には植物ホルモンを含まない1/2修正MS培地
(pH5.8)が最適であると判断した。
【0021】以上の通り、パックブンの節部由来カルス
から最高で約70%強の不定芽の分化率が、また分化し
た不定芽を植物ホルモンを含まない1/2修正MS培地
に置床することでほぼ100%の不定根の分化率が得ら
れた。このことから、本発明で確立した再分化系を用い
ることにより、置床したカルスから70%強の分化率で
植物体を再生できることが分かった。しかし、パックブ
ンの節部からは元来腋芽が分化され、本研究においても
植物ホルモンを添加しない条件下でも不定芽を分化する
ことがあった。
【0022】この理由として、植物体から切り出した節
部が有する内生ホルモンの影響や、芽の原基が切り出し
た節部組織内にすでに形成されている可能性が考えられ
る。この現象のために、形質転換植物を再分化させる場
合に、キメラ(一部の細胞に導入遺伝子を持つ)やエス
ケープ(導入遺伝子を持たない)植物体が生育する比率
が高くなる可能性が考えられる。しかし、節部由来カル
スからの不定芽の分化はBAの濃度によって分化形態の
違いが認められた。BAを全く含まない、または低濃度
で含む条件では茎部の発達のよい不定芽の分化が、高濃
度条件下では葉部の発達のよい不定芽の分化がみられ
た。
【0023】このことから、前者の茎部が発達した不定
芽は、節組織に元来形成されていた芽の原基が生長した
不定芽であることが示唆される。よって形質転換体作成
のための組織培養において、カルスから不定芽を分化す
る際にはキメラを防ぐためにBA濃度を10mg/lとす
る方が良いと判断した。また、この不定芽の形態的特徴
を、形質転換植物を選抜する指標に利用できよう。
【0024】実施例4外来遺伝子の導入 パックブンの抗生物質耐性 植物の形質転換体を選別するための抗生物質として、カ
ナマイシンとハイグロマイシンが一般的である。抗生物
質濃度が適正でなければ、エスケープ株が増加したり、
また逆に形質転換体の生長を妨げることになるため、形
質転換体のみが適正に生長できる濃度の選択が必須であ
る。本研究においても、カナマイシンとハイグロマイシ
ンの利用を考え、各薬剤の濃度とパックブンの生長阻害
の関係を調べ、形質転換体を作成する際に用いる選択圧
としての最適濃度を検討した。
【0025】また、アグロバクテリウムとパックブン細
胞を共培養した後にアグロバクテリウムを除菌する際の
抗生物質として、カルベニシリンが一般的である。そこ
で、パックブンに対しても使用可能であることを確認す
るために、パックブン節部のカルベニシリンに対する耐
性を調べた。
【0026】●パックブン節部のカナマイシン耐性
パックブン節部のカナマイシン耐性を調べたところ表3
に示す結果が得られた。カナマイシン濃度が10mg/l
で生長阻害が見られ、50mg/lでは発根や発芽が抑制
された。200mg/l以上の濃度では、カルスの生長も
ほとんど認められなくなった。これらの結果から、50
mg/lの濃度で明らかに生長が阻害されており、形質転
換細胞の選抜は、50mg/lのカナマイシン濃度が最適
であると考えた。
【0027】
【表3】
【0028】●パックブン節部のハイグロマイシン耐性
パックブン節部のハイグロマイシン耐性を調べたと
ころ、表4に示す結果が得られた。ここでは、ハイグロ
マイシン濃度が5mg/lですでに生長阻害が見られ、1
0mg/lではカルスの生長も微弱で、一部変色し、枯死
したものも見られた。50mg/l以上の濃度ではカルス
の生長が全くみられず、完全に枯死する結果となった。
ハイグロマイシンを選択圧として用いる場合、10mg/
l〜20mg/lの濃度で使用されることが多く、本実験
の結果からも、選択圧としてハイグロマイシンを用いる
場合には10mg/lが適当であると判断した。
【0029】
【表4】
【0030】以上の結果から、以後行う形質転換体の選
抜培地には、選択圧として50mg/lのカナマイシン、
10mg/lハイグロマイシンを添加した。 ●パックブン節部のカルベニシリン耐性 パックブン
節部のカルベニシリン耐性について調べた結果を表5に
示す。アグロバクテリウムを除菌する際のカルベニシリ
ンの濃度は、タバコ等を参考にすると250mg/l以上
の濃度が適切であると考えられた。表5に示すように、
パックブンにおいては500mg/lのカルベニシリン濃
度においても生長の阻害は見られなかった。よってアグ
ロバクテリウムの除菌にカルベニシリンを用いることが
可能であることが分かった。形質転換パックブンの作成
においては、不定芽の分化の阻害をできるだけ避けるた
めに、カルベニシリンの濃度は、アグロバクテリウムの
除菌に最低限必要な250mg/lの濃度が最適であると
判断した。
【0031】
【表5】
【0032】アグロバクテリウム・ツメファシエンスの
調製 β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子又はGUS遺伝
子にイントロンを含むものをGaM35Sプロモーター
の下流に連結し(pBI121中)(Jefferso
n,R.A.ら、EMBO J.6:3901−390
1(1987))、バイナリーベクターpBI101H
mB(Jefferson,R.A.ら、EMBO
J.6:3901−3907)に組み込んだもの(pB
I101HmB−35S GUS、又はpIG121−
Hm(pBIH−1G)(構造については図3を参照の
こと)を作製し、これをアグロバクテリウム・ツメファ
シエンスEHA101(Kmr ,Cmr )に導入した。
プラスミドの作製は、遺伝子組換えの常法に従って大腸
菌HB101において行い(培地:Soc培地;表6に
示す)、大腸菌からアグロバクテリウム・ツメファシエ
ンスへのプラスミドの移行は、供与菌としての前記バイ
ナリープラスミドを有する大腸菌HB101、受容菌と
してのアグロバクテリウム・ツメファシエンス、及びヘ
ルパー株としての大腸菌HB101(pRK2013)
を用いる三親接合伝達法により行った(培地:LB、バ
クトペプトン10g/l、酵母エキス5g/l、NaC
l 10g/l)。なお、アグロバクテリウム・ツメフ
ァシエンスの培養はYEP培地(バクトペプトン10g
/l、酵母エキス10g/l、NaCl 5g/l)に
おいて行った。
【0033】
【表6】
【0034】アグロバクテリウム・ツメファシエンスと
パックブンの節部との共培養 パックブンの節部の調整は、実施例1に記載した方法
(無菌パックブンの作製の項参照)により行った。調製
した節部を、1mg/lのNAAを入れた滅菌シャーレに
入れ、これに培養したアグロバクテリウム・ツメファシ
エンスの培養液を注加し、3分間保持した。次に、過剰
のアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌体を紙ナプ
キンでふき取った。
【0035】植物の再生 前記のようにしてアグロバクテリウムにより処理した節
部からのカルスの誘導及び植物体の再生は、実施例1〜
3に記載した方法により行った。但し、節部からのカル
スの誘導においては、1mg/lのNAA、1mg/lのB
A、及び250mg/lのカルベニシリン(Cb)を含有
する1/2修正MS培地中で行い、不定芽の形成は、1
0mg/lのBA、250mg/lのCb、50mg/lのカ
ナマイシン又は10mg/lのハイグロマイシンを含有す
る1/2修正MS培地中で行い、そして不定根の形成
は、25mg/lのCbを含有し、ホルモンを含有しない
1/2修正MS培地中で行った。
【0036】カルスへのGUS遺伝子の導入の確認 上記の工程で、GUS遺伝子がカルスに導入されたこと
を、GUS染色により確認した。すなわち、カルスを容
器に入れ、これにリン酸緩衝液(50mM KH2
4 、50mM K2 HPO4 、pH7.0)を注ぎ、次
に、X−Gluc溶液(5−ブロモ−4−クロロ−3−
インドリル−β−D−グルクロニド(X−Gluc)を
20mg/lと濃度でジメチルホルムアミドに溶解したも
の)と前記のリン酸緩衝液とを40:1になるように加
え、よく混合した。30分間減圧脱気した後、37℃の
ヒートバスで一晩反応させた。次に70%エタノールに
よりクロロフィルを除去した。この結果、カルス中に青
色の組織が観察され、GUS遺伝子の発現が確認され
た。
【0037】パックブン細胞に導入した融合遺伝子は、
GUS構造遺伝子上にイントロンが挿入されているた
め、アグロバクテリウム細胞では翻訳されず、植物細胞
内でのみGUSタンパク質が生成される。よってこの青
色のスポットはアグロバクテリウムの混入によるもので
はなく、パックブン細胞内に導入されたGUS遺伝子が
発現したことを示している。このことから、アグロバク
テリウム法によりパックブン細胞に外来遺伝子を導入で
きることが判明した。
【0038】再生した植物体中のGUS遺伝子の確認 植物組織を切り出し、乳鉢に入れ、液体窒素に凍結した
後破砕した。これに2×CTAB(セチルメチルトリア
ンモニウムブロミド)溶液(2% CTAB、0.1M
Tris−HCl、pH8.0、1.4M NaCl、
1% PVP)を加え転倒撹拌によりよく撹拌し、55
℃〜65℃にて10分間静置し染色体を抽出した。
【0039】次に、CHCl3 /iso.a(クロロホ
ルムとイソアミアルコールとの24:1混合液)を加
え、ゆっくりと転倒撹拌した後5〜10分間静置し、室
温にて遠心分離して上清を得た。この操作を繰り返し
た。1/10量の10% CTAB(10% CTA
B、0.7M NaCl)を加えてよく混合し、等量〜
少し多めのCHCl3 /iso.aを加えてよく混合
し、遠心分離により上清を回収した。等量のイソプロパ
ノールを加え、ゆっくりと混合し遠心分離して沈澱を得
た。この沈澱を100μlの1M NaCl/TE 5
M NaCl(10ml)、1M Tris−HCl,p
H8.0,0.5ml)、0.5M EDTA(0.1m
l)を水で50mlとしたもの)により溶解し、等量のイ
ソプロパノールを添加して混合し、遠心分離して沈澱を
得た。
【0040】これを70%エタノールにより洗浄し、真
空乾燥し、50μlのTE緩衝液に溶解した。これに1
0μlの10mg/l RNareを添加し、37℃にて
1時間又は55℃にて0.5〜1時間インキュベートす
ることによりRNAを除去し、DNAサンプルを得た。
【0041】こうして得たDNAサンプル20μl(D
NAとして1μg)、4μlのdNTP、1μlのプラ
イマーI(5′−TGGGCATTCAGTCTGGATCGCGAA−3′)、
1μlのプライマーII(5′−ATGTTCATCTGCCCAGTCGAGC
AT−3′)、5μlの10×PCR緩衝液、(100mM
Tris−HCl,pH8.3,50mM KCl,1
5mM MgCl2 ,0.01%(w/w)ゼラチン)1
9μlの滅菌水及び0.25μlのtaqDNAポリメ
ラーゼから成るPCR反応液を調製し、94℃で1分間
の熱変性、55℃で30秒間のアニーリング及び75℃
で1.5分間の伸長から成るサイクルを25サイクル行
った。
【0042】常法に従って、PCR産物をアガロースゲ
ル電気泳動にかけ、アルカリにより変性した後、ニトロ
セルロースフィルターに移した。プローブを調製するた
め、プラスミドpBI221をBamHIとSalIに
より切断し、GUS遺伝子を含有する1.8kbのBam
HI−SacI DNA断片を得、ノンラジオシステム
DNA標識および検出キット(ベーリンガーマンハイ
ム)を用いてジゴキシゲニン標識した。
【0043】サザン・ハイブリダイゼーションを次のよ
うにして行った。100cm2 のフィルターに対し20ml
の割合で、フィルターとハイブリダイゼーション溶液
(5×SSC、0.5%(W/V)ブロッキング試薬
(Vial 11)0.1%(W/V)N−ウラロイル
サルコシンNa、0.02%(W/V)SDS)をポリ
エチレン袋に入れ、気泡が入らないように密封して68
℃で2時間保持した。フィルターと、直前に変性させた
DNAプローブを1ml当たり5μl(26ng)含むハイ
ブリダイゼーション溶液を、100cm2 のフィルターに
対し約2.5mlの割合になるようポリエチレン袋に入
れ、気泡が入らないように密封して68℃で一晩保持し
た。
【0044】室温で100cm2 のフィルターに対し最低
50mlの洗浄液I(2×SSC、0.1%(W/V)S
DS)を用いて、5分間2回洗浄した。68℃で100
cm2のフィルターに対し最低50mlの洗浄液II(0.1
×SSC、0.1%(W/V)SDS)を用いて、15
分間2回洗浄した。フィルターはハイブリダイズしたD
NAの検出に直接使用するか、後で検出するために空気
乾燥して保存した。
【0045】サザンハイブリダイゼーションにより形成
されたDNA−DNAハイブリッドを酵素標識抗体(抗
ジゴキシゲニン、アルカリ・ホスファターゼ標識)を使
用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、5−ブ
ロモ−4−クロロ−3−インドリル酸(X−リン酸)と
ニトロブルーテトラゾリウム塩(NBT)の発色反応に
よって検出した。共培養条件及び前培養条件を変えて数
回の実験を行った結果の1例を次の表7に示す。この場
合、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのLBA4
404株にバイナリーベクターpBI121を組込んだ
株を用いた。
【0046】
【表7】
【0047】この表において、GUS+ は、再生植物の
GUS染色において+であったことを示す。また、前記
のようにしてGUS遺伝子をPCRにより増幅した後に
サザンハイブリダイゼーションにより検出した結果の1
例を図4に示す。この図において、(a)はPCR反応
物の電気泳動パターン(アガロ−スゲル電気添動:エチ
ジウムブロミドによる染色により検出)を示し、(b)
はサザンハイブリダイゼーションの結果を示す。レーン
1はλDNAのHindIII 消化物の結果、レーン2は
パックブン野生株染色体のPCR反応物の結果、4〜8
は形質転換パックブン染色体のPCR反応物の結果、9
はプラスミドpBI101HmBのPCR反応物の結果
を示す。
【0048】GUS遺伝子を持たない対照を除く全ての
パックブンにおいて、増幅された1.0kb DNAとG
USプローブの結合を示すバンドが確認された。この結
果より、GUS染色陽性株、陰性株に関係なく、選択培
地で増殖し、PCR検定に供した全ての形質転換パック
ブンでGUS遺伝子の導入が確認された。このことから
選択圧下で再分化した植物体はGUS染色が陰性であっ
ても形質転換体である可能性が高いと考えられる。以
上、アグロバクテリウム法を用いることによって、GU
S遺伝子を染色体上に保持する形質転換パックブンを作
成することに成功した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、パックブンのカルスからの不定芽の分
化に与えるNAAとBAの濃度の影響を示すグラフであ
る。
【図2】図2は、パックブンの不定芽からの不定根の分
化に与えるNAAとBAの濃度の影響を示すグラフであ
る。
【図3】図3は、本発明で用いたプラスミド中のGUS
遺伝子周辺の構造を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の方法によりパックブンの染色
体に導入されたGUS遺伝子の検出を示す電気泳動図で
あり、図面代用写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パックブン(Ipomoea aquatica)の再生
    方法において、 (a)パックブンの節部を約1mg/lのα−ナフタレン
    酢酸(NAA)及び約1mg/lのベンジルアデニン(B
    A)を含有する培地で培養することによりカルスを形成
    し、 (b)前記カルスを、NAAを含有せず且つ5〜10mg
    /lのBAを含有する培地で培養することにより不定芽
    を誘導し、そして (c)前記不定芽を、植物ホルモンを含有しない培地で
    培養することにより不定根を誘導する、ことを特徴とす
    る方法。
  2. 【請求項2】 パックブンに外来遺伝子を導入する方法
    において、請求項1に記載の段階(a)の前に、パック
    ブンの節部と、目的とする遺伝子を含んで成るTiプラ
    スミドを有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス
    (Agrobacterium tumefaciens )と共培養することを特
    徴とする方法。
JP8159123A 1996-05-31 1996-05-31 パックブンの遺伝子導入方法 Pending JPH09322667A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104160959A (zh) * 2014-08-07 2014-11-26 湖南省蔬菜研究所 一种藤蕹组织培养的方法
CN106718894A (zh) * 2016-12-06 2017-05-31 重庆市农业科学院 一种水藤菜组培快繁系统
CN116114595A (zh) * 2023-03-14 2023-05-16 中蔬种业集团有限公司 一种蕹菜的人工杂交育种技术

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