JPH09321486A - 磁気シールド材 - Google Patents

磁気シールド材

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JPH09321486A
JPH09321486A JP13632496A JP13632496A JPH09321486A JP H09321486 A JPH09321486 A JP H09321486A JP 13632496 A JP13632496 A JP 13632496A JP 13632496 A JP13632496 A JP 13632496A JP H09321486 A JPH09321486 A JP H09321486A
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JP13632496A
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Katsuro Yamaguchi
勝郎 山口
Yuka Komori
ゆか 小森
Keiji Sato
圭司 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い磁気シールド性と、外観の美麗さおよび
優れた耐食性を有し、周囲の部品に汚染・腐食を生じさ
せない磁気シールド材を提案する。 【解決手段】 方向性電磁鋼板表面のフォルステライト
被膜上に、有機樹脂を主成分とする防錆被膜を乾燥後の
重量で2 〜10g/m2形成し、かつS含有量を防錆被膜を含
み0.005 wt%以下とする。また、フォルステライト被膜
上にリン酸塩系絶縁被膜を形成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気シールド材に
関し、とくに密閉装置内に組み込まれる小型モータの磁
気シールドに好適な磁気シールド材に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の電子機器では、磁気回路が多く使
用されているため、それらの漏れ磁束により、周囲の機
器が誤動作を起こす場合が多い。そのため、漏れ磁束を
遮蔽するために、ケースやカバーとは別に、機器の内側
あるいは外側に磁気シールド材を装着している。例え
ば、音響機器、OA機器やVTR等に用いられる小型モ
ータでは漏れ磁束を遮蔽するため、磁気シールド材をモ
ータの周囲に密着して装着している。
【0003】最近では、電子機器は一段と小型化、薄型
化が進み、要求される特性も高品質・長寿命等一段と高
くなり、装着する磁気シールド材にも厳しい特性が要求
されるようになっている。磁気シールド材に要求される
事項としては、薄板化と高い磁気シールド性、さらに外
観が美麗であること、耐食性が優れていること、周囲の
機器に汚染・腐食等の悪影響を与えるガスの発生がない
ことなどが挙げられる。
【0004】磁気シールド性を高めるためには、透磁率
を高くすることが有効であり、鋼材においては結晶粒径
を大きくし、結晶方位を特定方位に高度に揃えるほど透
磁率は高くなる。したがって、磁気シールド性の観点か
らは、透磁率の高い方向性電磁鋼板の使用が有効であ
る。また、外観の美麗さ、耐食性を向上させるために鋼
板表面に有機樹脂を主成分とする塗料を塗布するのが一
般的である。
【0005】方向性電磁鋼板を磁気シールド材として使
用するためには、磁気の通り易さを示す透磁率や、消磁
のし易さを示す保磁力等の磁気特性を向上させる必要が
ある。透磁率等の磁気特性が優れた方向性電磁鋼板の一
般的な製造方法は下記の通りである。Si 2〜4 wt%含有
する珪素鋼スラブを素材として、熱間圧延後、冷間圧延
と中間焼鈍を施して薄鋼板とする。該鋼板に脱炭焼鈍を
施し、鋼板表面にSiO2を主体とする酸化膜を形成させ、
ついで、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗
布し、水素ガス中で仕上焼鈍を施す。この仕上焼鈍によ
り、インヒビタ成分のS、Nを鋼中から除去するととも
に、ゴス方位をもつ2次再結晶を発達させ、同時に鋼板
表面にフォルステライト(Mg2 SiO4)主体の下地被膜を
形成させる。ついで、リン酸塩系絶縁被膜を施し、製品
としている。
【0006】方向性電磁鋼板を磁気シールド材として使
用することについては、たとえば、特開平5-239694号公
報に、塗装密着性に優れた磁気シールド用方向性珪素鋼
板が提案されている。この鋼板は、地鉄の上のフォルス
テライト被膜の厚さを制限し、被膜のうえに直接塗料を
塗布することを特徴としている。また、例えば、特公平
5-84644 号公報には、フォルステライト被膜上に20〜70
0mg/m2の有機樹脂を主成分とする被膜を形成して、切断
性、すべり性、歪取り焼鈍性を向上させた巻鉄心用方向
性電磁鋼板が提案されている。この方向性電磁鋼板は磁
気シールド材に用いることを意図していないため、有機
樹脂被膜が薄すぎ、耐食性が劣るという問題点があっ
た。
【0007】さらに、フォルステライト被膜を有する方
向性電磁鋼板を使用して小型モータ等の電気部品の磁気
シールドを行うとモータ等の発熱に起因した温度上昇に
より、周囲の電子部品を汚染あるいは腐食したり、ま
た、モータ内部の整流子を腐食して、モータの性能を劣
化させるなどのトラブルが発生しやすいという問題があ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を有利に解決し、高い磁気シールド性と、外観の美麗さ
および優れた耐食性を有し、周囲の部品に汚染・腐食を
生じさせない磁気シールド材を提案することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、方向性電
磁鋼板による磁気シールドを施した小型モータの整流子
の変色、およびモータ特性の劣化についてその原因につ
いて鋭意検討した。まず、本発明者らが行った本発明の
基礎となった実験結果について説明する。仕上焼鈍後の
S含有量の異なる方向性珪素鋼帯(板厚0.3mm)コイルか
ら試料を採取し、未反応分離剤を水洗除去したのち、リ
ン酸酸洗条件( 酸洗時間、リン酸濃度) を変化し、フォ
ルステライト被膜近傍に濃化しているSを溶出させ、膜
付鋼板のS含有量を0.0019〜0.016 wt%の範囲に制御し
た。上記のようにS含有量を変化した供試材を10×40mm
の大きさに剪断し、各々40枚を蓋付ガラス製広口瓶(200
ml) に、直径20mmφの小型モータとともに入れ密封した
のち、80℃の恒温槽で20日間保持した。その後、広口瓶
から小型モータを取り出し、整流子の変色度合を評価し
た。その結果を図1に示す。評価基準は、全く変色のな
いものを○、僅かに変色のあるものを△、激しく変色し
たものを×とした。
【0010】図1から、膜付鋼板のS含有量が0.005 wt
%を超えると、モータ整流子の変色が起こり、S含有量
の増加に伴い変色の度合も激しくなることがわかる。な
お、膜付鋼板のS含有量は、フォルステライト被膜を含
む値であり、フォルステライト被膜を除いた鋼板のS含
有量が0.0007wt%と極めて少なくため、殆どがフォルス
テライト被膜近傍に濃化しているSであることになる。
【0011】このように、磁気シールド材に含有される
微量のSが気相に放出され、磁気シールドされる周囲の
部品(被シールド部材)を腐食するという悪影響を及ぼ
していることを知見し、磁気シールド材においては、含
有されるS含有量を低く規制することが重要であること
に思い至った。本発明は、上記した知見をもとに構成さ
れたものである。
【0012】すなわち、本発明は、フォルステライト被
膜を有する方向性電磁鋼板からなる磁気シールド材であ
って、該フォルステライト被膜表面に、有機樹脂を主成
分とする防錆被膜を乾燥後の重量で2〜10g/m2形成し、
かつS含有量が防錆被膜を含み0.005 wt%以下であるこ
とを特徴とする磁気シールド材である。また、本発明
は、フォルステライト被膜上にリン酸塩系絶縁被膜を有
する方向性電磁鋼板からなる磁気シールド材であって、
該リン酸塩系絶縁被膜表面に、有機樹脂を主成分とする
防錆被膜を乾燥後の重量で2〜10g/m2形成し、かつS含
有量が防錆被膜を含み0.005 wt%以下であることを特徴
とする磁気シールド材である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の磁気シールド材は、フォ
ルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板である。方向
性電磁鋼板の組成は、とくに限定しないが、Si:2.0 〜
4.0 wt%を含有する珪素鋼板が好適である。Siは、磁気
シールド性を高めるのに有効な元素であるが、4.0 %を
超えると冷間加工性が劣化するため、また、2.0 %未満
ではその効果が認められないため、Siは、2.0 〜4.0 wt
%の範囲が望ましい。
【0014】さらに、Si以外に、C、Mn、Se、Al、Nな
どを結晶方位の優先成長を促進させ、磁気シールド性を
向上させるために添加できる。母材の溶製にあたって
は、転炉、電気炉など公知のいずれの方法が使用でき
る。成分調整された溶鋼は、連続鋳造あるいは造塊−分
塊法によりスラブとしたのち、熱間圧延、冷間圧延によ
り最終板厚とすることができる。板厚は特に限定する必
要はなく、用途に応じ選択されるが、磁気シールド材と
しては0.20〜0.35mmの板厚が好適である。
【0015】最終板厚に圧延された鋼板に、脱炭焼鈍を
施したのち、表面にMgO を主体とする焼鈍分離材を塗布
し、仕上焼鈍を施す。これにより、表面にフォルステラ
イト被膜が形成されるとともに、方位の揃った結晶粒が
形成され、優れた磁気的特性を有するようになる。表面
に塗布する焼鈍分離剤には、優れた磁気特性と密着性の
良好なフォルステライト被膜を得るために、SrSO4 、Mg
SO4 などのインヒビタ補強剤や、TiO2などの被膜形成助
剤を主材であるMgO に加えて添加するとことができる。
【0016】焼鈍分離剤を表面に塗布された鋼板はコイ
ル状に巻き取られ、水素ガス雰囲気中で1150〜1200℃の
温度で仕上焼鈍される。この焼鈍過程で、鋼板の純化が
進み、鋼中のS、Nは鋼板表層部に移行する。一方、こ
の焼鈍過程で、鋼板表面には、MgO-SiO2の固相反応によ
りフォルステライト被膜が形成される。このため、鋼板
表層部に移行したS、Nは、フォルステライト被膜近傍
に濃化することになる。フォルステライト被膜は、2.0
μm 以下とするのが加工性のうえから望ましい。コイル
温度の上昇にともないS、Nは、徐々に気相中に放出さ
れるが、その度合いはNの方が多い。Sは、Mnとともに
フォルステライト被膜近傍に残留しやすい。
【0017】さらに、焼鈍分離剤中の硫酸塩が分解した
Sの一部が鋼板表面に侵入し、鋼板表層部のS濃度はさ
らに高くなる。本発明では、方向性電磁鋼板のS含有量
を、防錆被膜を含み0.005 wt%以下とする。膜付鋼板の
S含有量が0.005 wt%を超えると、磁気シールド材とし
て使用したとき、被シールド部材、例えば、小型モータ
を磁気シールドした場合、モータ整流子の変色、腐食等
が起こるなど、周辺部材への悪影響が懸念されるため、
防錆被膜を含む方向性電磁鋼板のS含有量の上限を0.00
5 wt%とした。
【0018】方向性電磁鋼板のS含有量を、防錆被膜を
含み0.005 wt%以下とするためには、仕上焼鈍後、未反
応分離剤を水洗除去したのち、酸洗を行う。ほとんどの
Sがフォルステライト被膜を含む鋼板表層部に濃化して
おり、仕上焼鈍後フォルステライト被膜上に形成される
防錆被膜等にはSはほとんど含まれないため、仕上焼鈍
後の時期に、S含有量を制御するのがもっとも製造工程
上好ましい。
【0019】酸洗は、塩酸、硝酸、リン酸等いずれの酸
で行ってもよいが、とりわけリン酸が好適である。リン
酸酸洗による鋼板中のS含有量の変化を図2に示す。図
2は、0.23mm厚の仕上焼鈍済方向性珪素鋼板(膜付鋼板
S含有量:0.014wt%)について、鋼板S含有量の減少
(溶出量)におよぼすリン酸酸洗条件(酸洗時間、酸濃
度)の影響を示したものである。なお、酸の液温は20℃
とした。図2からリン酸濃度を高く、酸洗時間を長くす
ることにより、S含有量が著しく減少していることがわ
かる。この結果から、方向性電磁鋼板のS含有量を、防
錆被膜を含み0.005 wt%以下とするためには、20〜60℃
の温度範囲で、リン酸濃度は2〜10wt%、酸洗時間は30
〜60秒とするのが好ましい。
【0020】リン酸酸洗の液温は、20℃未満では、Sの
除去に長時間を要し、60℃を超えるとフォルステライト
被膜を傷め、また酸の劣化が早いため、20〜60℃の温度
範囲が好ましい。リン酸濃度は、Sの流出速度に大きく
影響し、高い方が短時間にS含有量を低くできるが、高
すぎるとフォルステライト被膜を傷めるため、10wt%以
下とするのが好ましい。しかし、リン酸濃度が2wt%未
満では、Sの除去に長時間を要するため、リン酸濃度は
2〜10wt%の範囲が好ましい。酸洗時間とともに鋼板の
S含有量は減少する。酸洗時間は鋼板のS含有量により
決定されるが、生産効率上30〜60秒が好ましい。
【0021】リン酸酸洗処理後、鋼板表面のフォルステ
ライト被膜上に有機樹脂を主成分とする防錆被膜を施
す。望ましくは800 〜850 ℃の平坦化焼鈍を施したの
ち、フォルステライト被膜のうえに、被膜を形成する。
本発明では、リン酸酸洗処理を行ったのち、張力付与を
目的として、鋼板表面フォルステライト被膜上にリン酸
塩とコロイダルシリカを主剤とするリン酸塩系絶縁被膜
を被成し、その後該被膜上に、有機樹脂を主成分とする
防錆被膜を施してもよい。リン酸塩系絶縁被膜の好まし
い目付量は3〜6g/m2である。このリン酸塩系絶縁被膜
の被成により磁気特性はさらに向上する。
【0022】防錆被膜に用いる有機樹脂は、長期間の使
用で発錆や被膜剥離が発生しなければよく、とくに限定
されない。エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル
系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびこれら共重合体樹
脂のいずれも使用でき、耐食性の観点から特にエポキシ
系樹脂、ウレタン系樹脂が好適であり、さらに、好まし
くは、防錆顔料を添加する。樹脂は、水分散タイプ、あ
るいは溶剤タイプいずれも使用できる。
【0023】有機樹脂を主成分とする防錆被膜の目付量
は、乾燥後の重量で2〜10g/m2の範囲とする。2g/m2
満では、鋼板の表面粗度によっては被膜の薄い部分から
発錆し十分な耐食性が得られない。また、10g/m2を超え
ると耐曲げ加工性が劣化し、また効果が飽和するためそ
れ以上の被膜の形成は経済的に不利益となる。好ましく
は4〜7g/m2の範囲である。
【0024】防錆被膜の塗布は、ロールで行うのが好ま
しく、板温が250 〜300 ℃の範囲で乾燥するのがよい。
【0025】
【実施例】
(実施例1)連続鋳造製スラブを熱間圧延および中間焼
鈍を含む冷間圧延により、C:0.038 wt%、Si:3.05wt
%、S:0.02wt%を含有する板厚0.30mmの冷延珪素鋼帯
とした。この鋼帯に、湿水素雰囲気中で820 ℃×3min
の脱炭焼鈍を施したのち、MgO 100 重量部に対しSrS
O4 、MgSO4 、TiO2をそれぞれ1.0 重量部配合した焼鈍
分離剤を表面に塗布し、dry H2ガス雰囲気中で1180℃×
5hrの仕上焼鈍を施し、方向性電磁鋼帯とした。仕上焼
鈍後、該鋼帯の表面に付着した未反応焼鈍分離剤を水洗
除去し、リン酸水溶液中で表1に示す条件で該鋼帯を酸
洗した。酸洗後、820 ℃で平坦化焼鈍を行ったのち、該
鋼帯表面のフォルステライト被膜上にエポキシ樹脂を主
成分とする水溶性樹脂を乾燥後の重量で6g/m2、ロール
コータで塗布し、300 ℃で乾燥し、防錆被膜を形成し
た。
【0026】この膜付方向性電磁鋼帯は、2.1 μm 厚の
フォルステライト被膜を有し、B8:1.90T、
17/50 :1.14W/kgの磁気特性を有していた。なお、比
較例1として、上記した同一素材を用い、仕上焼鈍、酸
洗まで同一工程で処理し、防錆被膜の目付量のみを変更
し、1g/m2とした膜付方向性珪素鋼帯を作製した。
【0027】これら膜付方向性電磁鋼帯について、
(1)被膜密着性、(2)耐食性、(3)磁気シールド
性、(4)整流子の変色度合を評価した。結果を表1に
示す。
【0028】
【表1】
【0029】各項目の評価方法はつぎのとおりである。 (1)被膜密着性 方向性電磁鋼帯から30×280 mmの試験片を採取し、試験
片の表面にセロハンテープを張りつけたのち、10mmφの
丸棒に巻き付け、180 度屈曲を行い、セロハンテープに
転写された被膜の全体に対する面積率を測定し、被膜の
密着性を評価した。評価基準は、剥離面積が全体の10%
以下のときを○、剥離面積が全体の10超〜50%以下のと
きを△、剥離面積が全体の50%超のときを×とした。
【0030】(2)耐食性 方向性電磁鋼帯から100 ×150 mmの試験片を採取し、JI
S Z 2371の規定に従い塩水噴霧試験(試験温度35℃、試
験時間150hr 、5%NaCl溶液)を実施し、赤錆発生面積
を測定した。評価基準は、赤錆発生面積が全体の10%以
下のときを○、赤錆発生面積が全体の10超〜50%以下の
ときを△、赤錆発生面積が全体の50%超のときを×とし
た。
【0031】(3)磁気シールド性 方向性電磁鋼帯から150 ×150 mmの試験片を採取し、図
3に示すように永久磁石1の磁場を試料2で遮断し、ガ
ウス測定器3を用いて、ガウス調整距離4を調整し、測
定距離5を5mmとして、シールド後の磁場の強さを測定
した。測定した磁場の強さから、磁気シールド性を評価
した。なお、ガウス調整距離を25mm、18mm、15mmとした
ときの磁気シールドを行うまえの磁気の強さはそれぞれ
100 、150 、200 ガウスである。
【0032】(4)整流子の変色度合 方向性電磁鋼帯から採取した30×130 mmの試験片を直径
20mmφの小型モータの外周に巻き付け、蓋付ガラス製広
口瓶に3台入れ密封して、恒温槽中に3カ月間保持した
のち、モータ整流子の変色の度合いを調査した。評価基
準は、全く変色のないものを○、僅かに変色のあるもの
を△、灰色から黒色に変色したものを×とした。
【0033】(実施例2)連続鋳造製スラブを熱間圧延
および中間焼鈍を含む冷間圧延により、C:0.025 wt
%、Si:3.20wt%、Se:0.02wt%、Sb:0.03wt%を含有
する板厚0.23mmの冷延珪素鋼帯とした。この鋼帯に、湿
水素雰囲気中で820 ℃×4min の脱炭焼鈍を施したの
ち、MgO 100 重量部に対しSrSO4 、TiO2をそれぞれ1.5
重量部配合した焼鈍分離剤を表面に塗布し、dry H2ガス
雰囲気中で1180℃×5hrの仕上焼鈍を施し、方向性電磁
鋼帯とした。仕上焼鈍後、該鋼帯の表面に付着した未反
応焼鈍分離剤を水洗除去し、リン酸水溶液中で表1に示
す条件で該鋼帯を酸洗した。酸洗後、リン酸マグネシウ
ムとコロイダルシリカを主剤としたリン酸塩系絶縁被膜
(5.0g/m2 )を該鋼帯表面に形成した。ついで820 ℃で
平坦化焼鈍を行ったのち、該鋼帯表面の絶縁被膜上にエ
ポキシ樹脂を主成分とする溶剤系樹脂を乾燥後の重量で
2g/m2、ロールコータで塗布し、260 ℃で乾燥し、防錆
被膜を形成した。
【0034】この膜付方向性電磁鋼帯は、B8 :1.91
T、W17/50 :0.89W/kgの磁気特性を有していた。な
お、比較例2として、上記した同一素材を用い、仕上焼
鈍まで同一工程で処理し、リン酸酸洗を実施せず、リン
酸塩系絶縁被膜および防錆被膜を形成した膜付方向性電
磁鋼帯も作製した。
【0035】これら膜付方向性電磁鋼帯についても、実
施例1と同じ項目について評価を実施した。その結果を
表1に示す。本発明の範囲の実施例1は、被膜密着性、
耐食性ともに優れ、またモータ整流子の変色もなく、ま
た、実施例2は、密着性は劣るが20mmφ程度の小型モー
タ用として十分使用可能で、かつ磁気シールド性も従来
と同等であり、磁気シールド材として十分な特性を有し
ている方向性電磁鋼板である。
【0036】一方、防錆被膜の目付量が本発明の範囲を
外れた比較例1では、耐食性が劣化している。また、仕
上焼鈍後のリン酸酸洗を実施しない比較例2は、防錆被
膜を含む鋼板のS含有量が本発明の範囲を外れるため、
モータ整流子が腐食されやすくなっている。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、被膜密着性・耐食性に
優れ、磁気シールド性も高く、かつ外観の美麗さを有
し、磁気シールドされる周囲の部品に汚染や腐食を生じ
させない磁気シールド材を提供でき、さらに、小型化の
進むモータの磁気シールド材にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜付方向性電磁鋼板のS含有量と小型モータ整
流子の変色との関係を示すグラフである。
【図2】膜付方向性電磁鋼板のS含有量の変化をリン酸
酸洗条件(酸洗時間、リン酸濃度)の関係で示すグラフ
である。
【図3】磁気シールド性の試験方法を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 永久磁石 2 試料 3 ガウス測定器 4 ガウス調整距離 5 測定距離

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フォルステライト被膜を有する方向性電
    磁鋼板からなる磁気シールド材であって、該フォルステ
    ライト被膜表面に、有機樹脂を主成分とする防錆被膜を
    乾燥後の重量で2 〜10g/m2形成し、かつS含有量が防錆
    被膜を含み0.005 wt%以下であることを特徴とする磁気
    シールド材。
  2. 【請求項2】 フォルステライト被膜上にリン酸塩系絶
    縁被膜を有する方向性電磁鋼板からなる磁気シールド材
    であって、該リン酸塩系絶縁被膜表面に、有機樹脂を主
    成分とする防錆被膜を乾燥後の重量で2 〜10g/m2形成
    し、かつS含有量が防錆被膜を含み0.005 wt%以下であ
    ることを特徴とする磁気シールド材。
JP13632496A 1996-05-30 1996-05-30 磁気シールド材 Pending JPH09321486A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021171766A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 Jfeスチール株式会社 絶縁被膜付き方向性電磁鋼板およびその製造方法

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WO2021171766A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 Jfeスチール株式会社 絶縁被膜付き方向性電磁鋼板およびその製造方法
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