JPH0932010A - 仕上げプレート付き網状型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易な施工で、良好な意匠を創作でき、強度
も大きな建築構造物や土木構造物を施工可能とする。 【解決手段】 網状型枠１は、網状材１の表面に構造物
の表面に表出する仕上げプレート７を取付けてある。仕
上げプレート７としては石板やセラミック板などが使用
可能である。この網状型枠１を建築構造物の型枠として
そのまま、或いは斜面との間に適宜間隔を置いて設置す
る。擁壁工法では、網状型枠１を斜面に埋設したアンカ
ー４・６に固定する。型枠１と斜面との間にコンクリー
ト９などのセメント系硬化材を打設する。 【作用】 擁壁Ｂや建築構造物の表面に仕上げプレート
７の表面が表出して、自然的潤いや意匠的創作性に富ん
だ景観とすることができる。網状型枠１を設置して硬化
材９を打設するだけでよく、型枠組みが容易である。硬
化材９を打設して構築するものであり、擁壁として極め
て強固である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は建築構造物や擁壁を構
築するための型枠に関するものであり、特に建築構造物
の外壁や土木構造物の表面などの仕上げ処理が容易な仕
上げプレート付き網状型枠に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】建築構造物や擁壁などにおいて自然的な
景観を創出するために、外壁としてセラミックタイルな
どを張ったり、擁壁などでは石を積み上げる石積み工法
が採用されている。また自然的景観をコンクリート表面
に形成するために、合成樹脂発泡板に石模様の窪みを形
成しておき、これを化粧型枠として使用してコンクリー
トを打設して表面を形成する工法も開発されている。

【０００３】

【この発明が解決しようとする課題】上記したセラミッ
クタイルを一枚一枚張っていく工法は、極めて手間がか
かり極めて長い工期が必要となる。また擁壁などの石積
み工法の課題は、積み上げた石が一体でなく、大雨など
によって地盤が緩んだり、大きな土砂荷重が作用した場
合、容易に石が崩れ落ちて擁壁がバラバラになってしま
うことである。また他方化粧型枠を用いてコンクリート
壁の表面を形造る工法は、化粧型枠を合板で更に支える
必要があって施工が極めて面倒であり、また使用済みの
発泡樹脂製の化粧型枠が廃棄物として大量に出るので、
その処理が極めて大きな課題となっている。また、石板
を薄いコンクリート板の表面に埋設して、外壁コンクリ
ート板として使用する方法もあるが、重量が重いので、
運搬に労力を必要とする。また運搬や設置の際にクラッ
クが発生し易いという問題もある。

【０００４】この発明は以上のような課題を解決するた
めになされたもので、施工が容易であって運搬上などの
問題もなく、斜面を自然的潤い或いは意匠的創作性に富
んだ景観にすることができる仕上げプレート付き網状型
枠を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明にかかる仕上げ
プレート付き網状型枠は、仕上げプレートを予め取付け
た網状型枠を使用するものである。仕上げプレートと
は、擁壁の表面に表われる部材であって、石積み模様を
形成するために、石板や石を摸したセラミック製の板
や、コンクリートなどで形成した擬石が使用できる。こ
れら仕上げプレートを、網状材の表面に取付ける。網状
材としては、エキスパンドメタル、クリンプ金網、溶接
金網やパンチメタルなど、多孔性の網状の部材が使用で
きる。仕上げプレートの取付けは、仕上げプレートの背
面から突出させた針金を網状材に結束したり、背面に突
出させたボルトにナットを螺合するなどして網状材に取
付けてある。また接着材によって仕上げプレートを網状
材に接着させてもよい。

【０００６】網状型枠自体の形状は現場の施工状況や意
匠形状に応じて任意であって、アーチ形状など様々な形
状を形造れる。また現場にて網状材部分を切断加工した
り、曲面に曲げることも可能である。このような網状型
枠を建築構造物の型枠として使用してもよいし、既存の
構造物や斜面との間に適宜間隔を設けて設置する。建築
構造物の型枠としては、スペーサーによって他の型枠と
相対して起立させ、そのまま型枠として使用すればよ
い。擁壁などの施工においては、斜面に打設したアンカ
ーに固定する。網状型枠を固定するアンカーとしては様
々なものが使用でき、異形鉄筋やロックボルト状のアン
カーを斜面に形成した削孔内に挿入して、セメントミル
クなどを注入したものも採用できる。このアンカーに網
状型枠を溶接によって固定する。またアンカーとして
は、地山に掘削した削孔内にシースの中に複数本の緊張
材を挿入したアンカー材を挿入し、セメントミルクなど
を注入して定着するグラウンドアンカーなどが採用可能
である。ここで建築構造物とは通常のＲＣやＳＲＣ造の
コンクリート構造物を含み、斜面とは、地山そのもので
あってもよいし、既設の重力式擁壁や石積み擁壁などの
上であってもよい。

【０００７】以上のような網状型枠と斜面との間に、コ
ンクリートやモルタルなどのセメント系硬化材を打設す
る。セメント系硬化材中のモルタル状成分が各仕上げプ
レートの間に滲み出て、目地として一体化して隙間を埋
める。このように形成した擁壁の上に溝状の植生空間を
設けて植生してもよい。

【０００８】

【作用】仕上げプレートが建築構造物や擁壁の表面に表
出して、自然的或いは意匠的潤いを斜面に与えることが
出来、斜面の景観を著しく向上させる。網状型枠を設置
してセメント系硬化材を打設するだけでよく、施工が著
しく容易である。

【０００９】

【実施例】以下、図に示す実施例に基づきこの発明を詳
細に説明する。実施例は擁壁工法において実施した施工
例である。図においてＡは網状型枠であり、網状材１の
表面に仕上げプレート７が取付けられている。網状材１
としては実施例ではエキスパンドメタルが使用されてい
る。実施例では複数の網状型枠Ａを用いて擁壁を構築す
るもので、各網状型枠Ａは下部がアーチ形状を成すよう
下辺が馬蹄形を成している。図１に示す実施例では既設
の重力式擁壁２の上に更に擁壁を構築するもので、まず
重力式擁壁２にドリルで削孔３を形成し、この削孔３内
に異形鉄筋からなるアンカー４を挿入して硬化材を注入
して固定する。また重力式擁壁２を貫通して、地山まで
削孔５を形成してシースの中に緊張材を挿入したアンカ
ー材を挿入して硬化材を注入したグラウンドアンカー６
を埋設しておく。

【００１０】以上のようなアンカー４やグラウンドアン
カー６に網状型枠Ａを取付ける。網状型枠Ａの表面には
仕上げプレート７が複数取付けられている。仕上げプレ
ート７としては石板が使用されている。各仕上げプレー
ト７の間には若干のクリアランスが存在している。アン
カー４の先端には鋼板８が溶接されており、この鋼板８
へ溶接によって網状型枠Ａを固定する。このようにして
複数の網状型枠Ａを、重力式擁壁２から適宜間隔離して
固定する。以上の実施例ではアーチ形の擁壁の施工に使
用する網状型枠Ａを複数枚使用した例であるが、一枚の
連続した型枠Ａを使用することも勿論可能で、広い板状
の網状材１を現場にて切断して使用することも可能であ
る。

【００１１】網状型枠Ａと重力式擁壁２との間にコンク
リート９を打設して擁壁Ｂを構築する。新設のこの擁壁
Ｂの上には植生用の凹部を形成しておく。コンクリート
９が含むモルタル状成分１０が各仕上げプレート７の隙
間に滲み出て、目地となって隙間を埋める。また仕上げ
プレート７である石板は擁壁Ｂの表面に表出して、自然
的潤いのある擁壁Ｂとなる。仕上げプレート７としてタ
イル状のセラミック板を使用すれば、意匠的に優れた模
様ともなる。コンクリート９が硬化後、グラウンドアン
カー６を緊張して定着する。これにより、新設の擁壁Ｂ
が既設の擁壁２の補強構造物として機能する。擁壁Ｂは
アーチ形状を成しており、荷重に対して極めて強固な構
造物として機能する。

【００１２】図５に示すのは他の実施例を示すもので、
斜面の地山１１の上に直接擁壁Ｂを構築した場合であ
る。この他、既設の石積み擁壁などの上にも補強構造物
として擁壁Ｂを構築できる。

【００１３】

【発明の効果】この発明は以上のような構成を有し、以
下の効果を得ることが出来る。 この発明において施工した建築構造物や擁壁の表面に
は仕上げプレートが表出するため、自然的潤いや意匠的
創作美が表出し、斜面景観を極めて良好に仕上げること
が可能である。 網状型枠を設置するだけで型枠として機能し、コンク
リートを打設するだけで擁壁を構築できるため、その他
の型枠組み作業が不要で、施工は著しく容易であって工
期の短縮を達成出来る。 網状材に仕上げプレートを取付けた網状型枠は、現場
にて切断や加工が容易であり、また多少の曲面での構造
物の施工も可能であり、設計に応じて曲面への加工が現
場で出来るという大きな利点を備える。 網状材に仕上げプレートを取付けたため、クラックの
発生の心配がなく、施工が容易である。 仕上げプレートによって建築構造物や擁壁表面を美的
に仕上げることができるものであり、化粧型枠を使用す
る必要がなく、このための型枠組み作業も化粧型枠の廃
棄処理の問題も生じない。 セメント系硬化材を打設して構築するため、構造物全
体が一体となって、石積み擁壁などとは比較にならぬほ
ど強固な構造物を構築できる。 セメント系硬化材を打設すると、その中のモルタル状
成分が仕上げプレートの隙間に入り込んで目地となり、
良好な表面を形造ることになる。 石積み擁壁などの既設の擁壁の上に構築して、斜面の
景観を良好にするだけでなく、補強構造物としても施工
することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる網状型枠を使用した擁壁の施
工状態を示す実施例の斜視図である。

【図２】擁壁の施工状態の断面図である。

【図３】擁壁の正面図である。

【図４】一部拡大断面図である。

【図５】他の施工状態の断面図である。

【符号の説明】

Ａ 網状型枠 Ｂ 擁壁 １ 網状材 ２ 重力式擁壁 ３ 削孔 ４ アンカー ５ 削孔 ６ グラウンドアンカー ７ 仕上げプレート ８ 鋼板 ９ コンクリート １０ モルタル状成分 １１ 地山

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 網状材の一表面に、構築する構造物の表
   面に表出する仕上げプレートを多数枚取付けてなる仕上
   げプレート付き網状型枠
2. 【請求項２】 仕上げプレートとしてセラミック板を使
   用してなる請求項１記載の仕上げプレート付き網状型
   枠。
3. 【請求項３】 仕上げプレートとして石板を使用してな
   る請求項１記載の仕上げプレート付き網状型枠。