JPH0931949A - 水 門 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】施工コストの上昇を招くことなく、周囲の景観
を損なわず、かつ作動が円滑で信頼性の高いチェーン駆
動式の水門を提供する。 【解決手段】水門の扉体３を吊り下げたチェーン６が巻
掛けられたスプロケット５の下方に一対の掛支部材８
ａ，８ｂをチェーン６の幅よりやや広い間隙で平行に、
かつ外側を下方傾斜して設け、チェーンの回収部８を形
成した。またチェーン６には、所定位置に前記掛支部材
８ａ，８ｂに当接する掛支ピン７を外方に突出させて設
け、この掛支ピン７でチェーン６をＵ字形に連続して吊
り下げ、扉体３を引き上げた際にこのチェーン６をコン
パクトに収納できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、河川管理施設とし
て設置される水門において、水路を開閉する扉体をチェ
ーンを介して引き上げるようにしたチェーン駆動式の水
門に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のチェーン駆動式の水門と
しては、特開昭５９−３８４１０号や実開昭３−７２９
３３号に示されるものがあった。

【０００３】上記特開昭５９−３８４１０号の発明は、
図５に示すように水門のピア１１上に設けた駆動用のス
プロケット１２にチェーン１３を巻掛け、このチェーン
１３の一端を扉体１４に連結すると共に、他端をカウン
ターバランス１０に連結し、扉体１４の昇降が人力で容
易に行えるようにしたものである。

【０００４】また実開昭３−７２９３３号は、図６に示
すようにゲートの開口部１５上方に駆動軸１６を設ける
と共に、この開口部１５の上縁近傍に従動軸１７を設
け、両軸１６，１７に固定されたスプロケット１６ａ，
１７ａ間にチェーン１８をループ状に掛け渡し、上記開
口部１５を開閉する扉体１９をこのチェーン１８の一側
に連結したものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一般に河川流量のコン
トロールに用いられる水門は、山間部などの自然環境下
に設置されることが多く、このような場合、周囲の景観
を損ねないような配慮が望まれていた。

【０００６】しかしながら上記特開昭５９−３８４１０
号のものは、水門の外側面に大きなカウンターバランス
が突出し、しかもこれが扉体の昇降に伴って上下に移動
するため見苦しく、周囲の景観を損ねるという問題点を
有していた。またこの水門では、扉体と見合った重量の
カウンターバランスを吊支するためにスプロケットの軸
やピアなどには単純に二倍の垂直荷重がかかることとな
り、これに必要な強度を得るためには、施工コストの上
昇が避けられないという問題点を有していた。

【０００７】また実開昭３−７２９３３号のものは、駆
動軸とは別に開口の上縁近傍に従動軸を設けなくてはな
らず、構造が複雑で施工コストの上昇を招くと共に、こ
の従動軸で開口部の高さが制限されるという問題点も有
していた。しかもこの構成では、チェーンで扉体を垂直
に吊支することができず、扉体はチェーンの側方で連結
されるためチェーン並びにその駆動部分に無理な力が作
用し、その作動が円滑に行われなかったり、故障を起こ
し易いという問題点も有していた。

【０００８】そこで本発明は、施工コストの上昇を招く
ことなく、景観を損なわず、かつ作動が円滑で信頼性の
高いチェーン駆動式の水門を提供することを目的とした
ものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために本発明は、扉体と、この扉体を昇降可能に保持す
る構造枠体状のピアと、このピア上に設置された駆動装
置と、この駆動装置のスプロケットに巻掛けられ上記扉
体を吊支するチェーンとを具備し、チェーンを介して扉
体を昇降駆動するようにしたチェーン駆動式の水門にお
いて、扉体駆動用のチェーンが巻掛けられたスプロケッ
トの下方一側に、チェーンの幅よりやや広い間隙を有す
る一対の平行な掛支部材からなるチェーンの回収部を、
外側に向かって下方傾斜して設けると共に、チェーンの
所定位置には、この掛支部材で掛支され、チェーンを吊
下掛支する掛支ピンを外方突設したことを特徴としたも
のである。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は、本発明による水門１の正
面図、図２はその一部切欠側面図、図３は図２の要部拡
大透視図、図４は図１の要部拡大平面図である。この水
門１は、重ね合わせて設けた二枚の扉体３，３をそれぞ
れ個別に昇降駆動することにより、越流する水量の調節
を行うようにした所謂二段ゲート型の水門である。図示
したように本発明の水門１は、従来の水門と同様に構造
枠体状のピア２に扉体３を昇降可能に取り付けると共
に、このピア２上に扉体３の駆動装置４を設け、この駆
動装置４のスプロケット５に扉体３と連結されたチェー
ン６を巻掛けたものである。

【００１１】ここにおいて本発明の水門１では、図３に
示すようにスプロケット５の下方一側（下方に扉体３が
位置しない側）にチェーン６の回収部８を設けている。
この回収部８は、一対の掛支部材８ａ，８ｂをチェーン
の幅よりやや広い間隙で平行に配置したものであり、そ
の外側（図３において左右方向）を下方傾斜させてい
る。そして一端が扉体３に連結され、途中がスプロケッ
ト５に巻掛けられたチェーン６の他端をこの回収部８の
外端に連結している。

【００１２】また扉体３を吊支するチェーン６は、個々
のコマ６ａをピン６ｂで連結した通常のものと何ら変わ
りはないが、本発明ではこのコマ６ａを連結するピン６
ｂを所定の箇所において長いものを用い、これを掛支ピ
ン７として外方に突出させている。

【００１３】このようにしてなる本発明の水門１は、従
来の水門と同様に駆動装置４を作動させてスプロケット
５を一方向に回転させることにより、このスプロケット
５に巻掛けられたチェーン６を介してこのチェーン６に
連結された扉体３を引き上げ、またスプロケット５の回
転方向を逆にすることにより、チェーン６で吊支された
扉体３をその自重で下降させるものである。この時、本
発明の水門１では、スプロケット５で巻き上げたチェー
ン６をスプロケット５の下方一側に設けた回収部８に嵩
低く、自動的に収納するようにしている。

【００１４】次に本発明が要部とするチェーン回収部８
の働きについて、図３の要部拡大透視図に基づき詳述す
る。

【００１５】まず右側の駆動装置４を作動させて、スプ
ロケット５を右方向に回転させると、このスプロケット
５に巻掛けられたチェーン６が巻き取られて、このチェ
ーン６の下端が連結された扉体３が引き上げられる。こ
の時、スプロケット５の一方の側（図３において左方）
から巻き上げられたチェーン６は、スプロケット５の他
方側において下方に垂れ下がり、回収部８の一対の掛支
部材８ａ，８ｂ間に進入する。この時、チェーン６の所
定位置には、掛支ピン７が外方突設されているので、こ
の掛支ピン７を設けたコマ６ａが回収部８上にくると、
掛支ピン７が左右（図中前後方向）の掛支部材８ａ，８
ｂ間を通過できず、この掛支部材８ａ，８ｂの上面に当
接する。よって、チェーン６はこの回収部８でＵ字状に
垂れ下がることとなる。このようにして、チェーン６は
掛支ピン７を設けた箇所で順次Ｕ字状に垂れ下がり、ジ
グザクに折り畳まれた形状でコンパクトに収納される。
この時、回収部８は外側が下方傾斜しているので、掛支
部材８ａ，８ｂの上面に当接した掛支ピン７は、順次、
回収部８の外側（図中右方）へと滑り、後続のチェーン
６の回収動作を妨げない。

【００１６】またスプロケット５を逆回転させれば、チ
ェーン６で吊支された扉体３は、その自重で下降する。
この時、回収部８に収納されたチェーン６は、左方から
順次スプロケット５に巻き取られることとなるが、チェ
ーン６は掛支部材８ａ，８ｂ上に接した掛支ピン７で吊
支されているだけなので、この巻き取り動作は何ら妨げ
られることはない。

【００１７】このようにして本発明の水門１では、扉体
３に連結されたチェーン６が自動的に嵩低く折り畳ま
れ、あるいはこの状態から引き出されて、扉体３の昇降
がなされる。なお、上記は二段ゲートの内側の扉体３に
ついて説明したが、外側の扉体３についてもその作動
は、全く同様である。また実施例では、二枚の扉体３，
３を重ね合わせに設けた二段ゲート型の水門１を例示し
たが、本発明では扉体３を吊り下げたチェーン６が回収
部８に折り畳んで収納されるようになっていれば良く、
扉体３が一枚の通常の水門であっても良いことは勿論で
ある。

【００１８】なお上記では、チェーン６のコマ６ａを連
結するピン６ｂで掛支ピン７を兼ねさせた例を示した
が、この掛支ピン７は回収部８の一対の掛支部材８ａ，
８ｂ間を通過できないようにチェーン６の外方に突出し
ていれば良く、コマ６ａの外方に直接立設したものであ
っても良い。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明の水門では、
扉体を昇降駆動するチェーンは、スプロケットの下側に
コンパクトに折り畳まれて収納されるので、ピアの外部
に目障りなカウンターバランスなどが露呈せず、またそ
の外形もシンプルに形成できる。よって、施工が簡単で
あると共に、周囲の景観をさほど損なうことがない。

【００２０】また扉体は、チェーンで垂直に吊支される
ので、その作動が円滑で、故障を起こす虞れも少なく、
洪水など緊急の際に使用される水門の信頼性が高くな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による水門の正面図である。

【図２】図１の一部切欠側面図である。

【図３】図２の要部拡大透視図である。

【図４】図１の要部拡大平面図である。

【図５】従来例の簡略側面図である。

【図６】他の従来例の簡略正面図である。

【符号の説明】

１ 水門 ２ ピア ３ 扉体 ４ 駆動装置 ５ スプロケット ６ チェーン ７ 掛支ピン ８ 回収部 ８ａ，８ｂ 掛支部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 扉体と、この扉体を昇降可能に保持する
   構造枠体状のピアと、このピア上に設置された駆動装置
   と、この駆動装置のスプロケットに巻掛けられ上記扉体
   を吊支するチェーンとを具備し、チェーンを介して扉体
   を昇降駆動するようにしたチェーン駆動式の水門におい
   て、 扉体駆動用のチェーンが巻掛けられたスプロケットの下
   方一側に、外側に向かって下方傾斜したチェーンの回収
   部が設けられ、この回収部はチェーンの幅よりやや広い
   間隙を有する一対の平行な掛支部材からなり、チェーン
   の所定位置には、この掛支部材で掛支され、チェーンを
   吊下掛支する掛支ピンが外方突設されたことを特徴とす
   る水門。