JPH09316A - 雄型面ファスナーおよびその製法 - Google Patents

雄型面ファスナーおよびその製法

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JPH09316A
JPH09316A JP15461295A JP15461295A JPH09316A JP H09316 A JPH09316 A JP H09316A JP 15461295 A JP15461295 A JP 15461295A JP 15461295 A JP15461295 A JP 15461295A JP H09316 A JPH09316 A JP H09316A
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洋平 川口
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Hirotsugu Ohashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クッション性が要求される箇所に使用できる
雄型面ファスナーの製法の提供。 【構成】 タフティングマシーンを用いて、熱可塑性フ
ラットヤーンのステム部を、1本毎にまたは複数本束ね
て発泡体樹脂シートの基材に打ち込み、次いで、打ち込
まれたステム部の先端を加熱溶融して肥大させる。 【効果】 大量生産が可能で、それ自体クッション性を
有する雄型面ファスナーが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、適度の係合力を有し、
クッション性が要求される箇所に好適に使用できる雄型
面ファスナーおよびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マシュルーム型ないしはキノコ型
と呼ばれる雄型の面ファスナーの製法はいくつか知られ
ている。例えば、樹脂を成型する方法(射出成型方法)
がある。
【0003】また、接結二重織法により2枚の基材に熱
可塑性樹脂モノフィラメントを織り込み、基材間でモノ
フィラメントを切断し、次いでモノフィラメントの先端
を加熱溶融させて肥大させる方法(実開平04−019
888号参照)、あるいはダブルラッセル編機を用いて
基布間を熱可塑性樹脂モノフィラメントで連結し、連結
部のモノフィラメントを切断し、切断部を加熱溶融して
肥大させる方法(特開平04−338402号参照)な
どが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
でに、クッション性が要求される部分に好適に使用でき
る雄型面ファスナーの製法は見当たらなかった。今回、
出願人は、鋭意研究を重ねた結果、タフティングマシー
ンを用い、基材としてある程度の厚みを有する発泡体樹
脂シートにステム材料を打ち込むことにより、かかる課
題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至
った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、タフティング
マシーンを用いて、ステム部となる熱可塑性フラットヤ
ーンを、1本毎にまたは複数本束ねて、発泡体樹脂シー
トの基材に打ち込み、次いで、打ち込まれた該フラット
ヤーンの非基材側先端を加熱溶融して肥大させることを
特徴とする雄型面ファスナーの製法を提供するものであ
る。
【0006】また、本発明は、厚み2mm〜20mmの
発泡体樹脂シートの基材、および該基材に1本毎にまた
は複数本束ねてほぼ直立状に打ち込まれた熱可塑性フラ
ットヤーンのステム部からなり、該ステム部の非基材側
先端が肥大されている雄型面ファスナーを提供するもの
である。
【0007】さらに、本発明は、かかる雄型面ファスナ
ーを発泡体樹脂表面に一体化させてなる面ファスナー付
き発泡体材料を提供するものである。
【0008】以下、図面を参照して本発明の雄型面ファ
スナーおよびその製法を説明する。
【0009】図1は、本発明の雄型面ファスナーの一具
体例を模式的に示す概略図である。図2は、比較とし
て、ステム材料としてモノフィラメントを打ち込んだ雄
型面ファスナーを模式的に示す概略図である。図3は、
本発明の雄型面ファスナーの肥大したステム部先端の形
状の具体例を示す概略図である。図4は、基材にステム
材料が打ち込まれたところを模式的に示す概略図であ
る。図5は、ステム材料が打ち込まれて形成されたルー
プを切断したところを示す概略図である。
【0010】図1を参照し、本発明の雄型面ファスナー
(1)は、基材(2)、およびそれに打ち込まれたステ
ム部(3)よりなる(図1は、さらに、基材の非ステム
側の片面にラミネート補強材層(4)を設けた態様を示
す)。
【0011】まず、基材(2)から説明する。基材は発
泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレ
ン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエステルなどの発泡
体樹脂シートからなる。かかる発泡体樹脂シートを基材
に用いることにより、クッション性が要求される箇所に
好適に使用できる面ファスナーが得られる。
【0012】基材(2)の厚みは2mm〜20mmとす
る。このように基材を厚くすることにより、面ファスナ
ー自体にクッション性が付与されると共に、後記するス
テム部(3)がほぼ直立状に打ち込まれることが可能と
なる。ここに、「ほぼ直立状」とは、垂直方向から30
°位までは傾いていてもよいことを意味する。
【0013】次に、基材に打ち込まれたステム部はフラ
ットヤーンからなる。このフラットヤーンは30〜50
0デニールのものを用いる。このようなフラットヤーン
を用いることにより、所望の係合力が得られる。
【0014】また、従来面ファスナーに一般的に用いら
れてきた100デニール以上の太さのモノフィラメント
を用いてタフティングマシーンで打ち込んだのでは、非
ステム面(5)におけるモノフィラメントの該非ステム
面への密着性が低く、またステム面(6)における直立
性も低いが、フラットヤーンを打ち込むとかかる密着性
および直立性が良好となることが判明した。これは、1
00デニール以上の太さのモノフィラメントは曲げ剛性
が大きいので、打ち込み穴から非ステム面上に出たとこ
ろで曲がりにくく、隣の打ち込み穴までのステム接続部
(7)が非ステム面から離れてしまうのに対し(ステム
材料としてモノフィラメントを打ち込んだ面ファスナー
を示す図2参照)、フラットヤーンは曲げ剛性がより小
さいので曲がり易く、またフラットヤーンは耳があるの
で非ステム面および打ち込み穴の発泡体との間の摩擦係
数が高いことに起因すると考えられる。
【0015】ステム部の先端部(8)は肥大させる。肥
大には加熱溶融させなければならないので、フラットヤ
ーンは熱可塑性でなければならない。かかる材質として
はポリプロピレン、ポリエチレン、PET、ナイロンが
挙げられる。
【0016】肥大した先端部の形状の一例を図3に示
す。
【0017】打込み密度は1平方インチ当たり20〜1
00カ所とする。打込み密度がこれを超えて余り密にな
ると、発泡体基材の損傷が激しく不都合が生じる。他
方、打込み密度が前記範囲を下回って疎になると、所望
の係合が達成できない。なお、1カ所に1本ずつまたは
複数本(通常8本位まで)打ち込む。
【0018】なお、ステムが発泡体樹脂シート基材を破
壊して抜けるのを防止するために、基材の両面または非
ステム面側の面を、不織布、織物または編物でラミネー
ト補強したものとすることもできる。
【0019】また、ステムが基材から抜けるのを防止す
るために、基材の非ステム面にウレタン系、アクリル系
等の合成樹脂でコーティングしたものとすることもでき
る。
【0020】好ましい態様においては、フラットヤーン
として、開繊度の高い撚りのかかったフラットヤーンを
用いる。複数本束めて打ち込んだ場合、開繊度が低い
と、後記する切断後に複数本がまとまったまま集合して
おり、加熱溶融すると複数本の先端がくっつく危険性が
あり、また、ステム先端の分布が片寄ってしまうので、
係合力の点でも不利となる。解繊度の高い撚りのかかっ
たフラットヤーンを用いると、切断に際して、ステムが
散らばるので前記した不都合は生じない。
【0021】本発明の雄型面ファスナーは、以下のごと
くに製造される。
【0022】まず、必要に応じ、予め基材の両面または
非ステム面側の面を、不織布、織物または編物でラミネ
ート補強する。
【0023】次に、ラミネート補強したもしくは補強し
ていない基材にステム部となるフラットヤーンを打ち込
む。打込みにはタフティングマシーンを用いる。かかる
タフティングマシーンは、従来、人工芝やタフトカーペ
ットを製造するのに用いられていたものであるが、今
回、面ファスナーのステム部を基材に打ち込むのに好適
に用いることができることが判明した。打ち込んだ状態
を図4に模式的に示す。
【0024】打込みに際し、所望の長さにステム部の非
基材側先端を切断して、先端部を揃える。切断した状態
を図5に模式的に示す。
【0025】しかる後、先端部を400〜700℃で加
熱する。加熱により、先端部が溶融して肥大化する。
【0026】なお、必要に応じて、加熱前、または加熱
後に非ステム面をウレタン系、アクリル系等の合成樹脂
溶液でコーティングすることもできる。
【0027】このような本発明の発泡層付雄型面ファス
ナーの製法は、大量生産に適しており、コストを大巾に
低減化させることができる。
【0028】かくして得られる本発明の雄型面ファスナ
ーは、タフタ毛房の雌面、パイル型雌面、起毛布などの
雌面と組み合わせて用いることができる。
【0029】また、ことに、本発明の雄型面ファスナー
は、発泡体成型品の表面に、接着、ウェルディングなど
によって付着ないしは一体化して用いることができる。
例えば、発泡体ポリウレタンを成型するに際し、型の底
部に雄型面ファスナーをステム面(係合面)を下面とし
て置き、その上に液状ウレタンを流し込んで、発泡させ
つつ成型することによって、面ファスナー付きの発泡体
材料を得ることができる。
【0030】かかる面ファスナー付きの発泡体材料も本
発明の範囲内のものであり、自動車のシート、家庭用シ
ートなど、クッション性が要求される用途に好適に用い
ることができる。
【0031】
【実施例】以下に比較例および実施例を挙げて、本発明
をさらに詳しく説明する。比較例1 基材としての、厚み5mmの発泡ウレタンシートに目付
25gのNyスパンボンド不織布を両面にフレームラミ
ネート法にてラミネートした。この基材に人工芝用に一
般的に使用されているタフティングマシーンを用い、2
50デニールのポリプロピレンモノフィラメントを基材
上のモノフィラメントの長さが4.0mmになるように
打ち込んだ。打込み密度は100本/インチ2であっ
た。
【0032】次いで、温度約500℃で該先端部を加熱
溶融して肥大化し、非ステム面を溶剤系ポリウレタン樹
脂でバックコーティングして、比較用の雄型面ファスナ
ーを得た。
【0033】この雄型面ファスナーにつき、ステムの引
抜強度を測定した。測定は、テンシロンにて行った。そ
の結果、比較用面ファスナーのステム引抜強度は28g
/本であった。
【0034】実施例1 基材としての、厚み10mmの発泡ウレタンシートに目
付25gのNyスパンボンド不織布を片面にフレームラ
ミネート法にてラミネートした。この基材の不織布ラミ
ネート面を非ステム面となるように人工芝用に一般的に
使用されているタフティングマシーンを用い、100デ
ニールのポリプロピレンフラットヤーンを3本束ねて打
ち込んだ。打込み密度は150本/インチ2(3本×5
0ケ所)であった。ポリプロピレンフラットヤーンの基
材上の長さは4.0mmになるように調整した。
【0035】次いで、温度約500℃で該先端部を加熱
して溶融させ、マシュルーム形状を付与した後、非ステ
ム面を溶剤系ポリウレタン樹脂でバックコーティングし
て本発明の雄型面ファスナーを得た。
【0036】通常のパイル型雌面との係合力を測定する
と500g/2.5cm巾であった。また、比較例1と
同様の方法によりステム部の引抜強度を測定すると24
0g/本であった。
【0037】実施例2 開繊度の高い撚りのかかったフ
ラットヤーンを用いる以外は実施例1と同様の方法によ
り本発明の雄型面ファスナーを得た。比較例1と同様の
方法によりステム部の引抜強度を測定すると315g/
本であった。また、通常のパイル型雌面との係合力は実
施例1よりもアップし、900g/2.5cm巾となっ
た。
【0038】実施例3 実施例1で得られた雄型面ファスナーを、係合面を下側
として型の底部に置き、その上に液状ウレタンを流し込
み、発泡させつつ成型して、面ファスナーが発泡ウレタ
ン表面に一体化された本発明の面ファスナー付き発泡体
材料を得た。この面ファスナー部分を通常のパイル型雌
面との係合力を測定すると、1.8kg/2.5cm巾で
あった。
【0039】実施例4 実施例2で得られた雄型面ファスナーを、係合面を下側
として型の底部に置き、その上に液状ウレタンを流し込
み、発泡させつつ成型して、面ファスナーが発泡ウレタ
ン表面に一体化された本発明の面ファスナー付き発泡体
を得た。
【0040】
【発明の効果】本発明により、適度の係合力を有し、か
つクッション性が要求される箇所に好適に使用できる面
ファスナーおよびその製法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の雄型面ファスナーの一具体例を模式
的に示す概略図である。
【図2】 比較として、ステム材料としてモノフィラメ
ントを打ち込んだ雄型面ファスナーを模式的に示す概略
図である。
【図3】 本発明の雄型面ファスナーの肥大したステム
部先端の形状の具体例を示す概略図である。
【図4】 基材にステム材料が打ち込まれたところを模
式的に示す概略図である。
【図5】 ステム材料が打ち込まれて形成されたループ
を切断したところを示す概略図である。
【符号の説明】
1:雄型面ファスナー、2:基材、3:ステム部、4:
ラミネート補強材層、5:非ステム部、6:ステム部、
7:ステム接続部、8:ステム部先端
フロントページの続き (72)発明者 大橋 洋次 滋賀県犬上郡多賀町大字多賀270 ダイニ ック株式会社滋賀工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タフティングマシーンを用いて、ステム
    部となる熱可塑性フラットヤーンを、1本毎にまたは複
    数本束ねて、発泡体樹脂シートの基材に打ち込み、次い
    で、打ち込まれた該フラットヤーンの非基材側先端を加
    熱溶融して肥大させることを特徴とする雄型面ファスナ
    ーの製法。
  2. 【請求項2】 該フラットヤーンとして開繊性の高い撚
    りのかかったフラットヤーンを用いる請求項1記載の製
    法。
  3. 【請求項3】 基材の両面または非ステム面側となる片
    面を、不織布、織物または編物で予めラミネート補強し
    た後、打込みを行う請求項1記載の製法。
  4. 【請求項4】 打込み後に非ステム面を合成樹脂でコー
    ティングする請求項1記載の製法。
  5. 【請求項5】 厚み2mm〜20mmの発泡体樹脂シー
    トの基材、および該基材に1本毎にまたは複数本束ねて
    ほぼ直立状に打ち込まれた熱可塑性フラットヤーンのス
    テム部からなり、該ステム部の非基材側先端が肥大され
    ている雄型面ファスナー。
  6. 【請求項6】 該フラットヤーンとして開繊性の高い撚
    りのかかったフラットヤーンを用いた請求項5記載の雄
    型面ファスナー。
  7. 【請求項7】 基材の両面または非ステム面側の片面が
    不織布、織物または編物でラミネート補強された請求項
    5記載の雄型面ファスナー。
  8. 【請求項8】 面ファスナーの非ステム面が合成樹脂で
    コーティングされた請求項5記載の雄型面ファスナー。
  9. 【請求項9】 請求項5記載の雄型面ファスナーを発泡
    体樹脂表面に一体化させてなる雄型面ファスナー付き発
    泡体材料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030007289A (ko) * 2002-11-29 2003-01-23 주식회사제일우레탄 벨크로파스너가 부착된 쿠션 제조장치 및 방법
WO2009013998A1 (ja) * 2007-07-20 2009-01-29 Kuraray Fastening Co., Ltd. 座席表皮材の固定用テープ状係止部材、及び係止部材付き樹脂成形体の製造方法

Cited By (3)

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