JPH0931636A - スパッタリングターゲットとその製造方法、それを用いて形成した膜抵抗体およびサーマルプリンタヘッド - Google Patents

スパッタリングターゲットとその製造方法、それを用いて形成した膜抵抗体およびサーマルプリンタヘッド

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JPH0931636A
JPH0931636A JP7183857A JP18385795A JPH0931636A JP H0931636 A JPH0931636 A JP H0931636A JP 7183857 A JP7183857 A JP 7183857A JP 18385795 A JP18385795 A JP 18385795A JP H0931636 A JPH0931636 A JP H0931636A
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sputtering target
boron
range
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JP7183857A
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Makoto Kikuchi
誠 菊池
Atsuko Nakamura
敦子 中村
Takashi Ishigami
隆 石上
Fumiyuki Kawashima
史行 川島
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 均一で組成ずれが少なく、かつ抵抗温度係数
の絶対値が小さい高比抵抗の膜(例えば膜抵抗体)を再
現性よく成膜することが可能なスパッタリングターゲッ
トを提供する。 【構成】 ニオブ、珪素、酸素および硼素を主構成元素
として含有するスパッタリングターゲットであって、硼
素は主としてニオブ硼化物として存在する。具体的に
は、ニオブと酸化珪素との配合比がモル比で 75:25〜 4
0:60の範囲の酸化珪素およびニオブ原料と、全体量の10
〜45モル% の範囲の硼素との混合物を、焼結してなるNb
-B(Nbx B y )-SiOx 系スパッタリングターゲットであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、膜抵抗体の形成に好適
なスパッタリングターゲットとその製造方法、およびそ
れを用いて形成した膜抵抗体、およびその膜抵抗体を用
いたサーマルプリンタヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ファクシミリ、複写機、券売
機等に内蔵された記録装置として、少音、省保守等の利
点を生かして、サーマルプリンタヘッドを用いた熱転写
型記録装置が使用されている。このようなサーマルプリ
ンタヘッドにおいて、発熱して印刷媒体を溶かす発熱抵
抗体としては、Ta2 N 等が主として用いられてきたが、
近年より高比抵抗が得られるサーメット薄膜、例えばTa
-SiO2 抵抗膜が実用化されている。
【0003】ところで、上述したようなTa-SiO2 系のサ
ーメット抵抗膜は、例えばTa成分とSiO2 成分とを含む
焼結ターゲットを用いたスパッタ成膜や、Taターゲット
とSiO2 ターゲットとを用いた多元スパッタ成膜等によ
って形成されているが、TaとSiとのスパッタ放出角度が
大きく異なるために、スパッタ条件の微妙な違いによっ
て、ターゲット組成と膜組成との間にバラツキが生じ易
く、膜組成の制御が難しいという問題があった。また、
上記した理由から膜内の組成が不均一になりやすいため
に、膜内のシート抵抗にバラツキが生じ易く、抵抗値の
再現性に乏しいといった問題を有していた。
【0004】このような従来のサーメット系抵抗膜の問
題点を解決するために、金属成分としてNb(Nb合金を含
む)を用いたNb-SiOx 系のスパッタリングターゲットや
膜抵抗体が提案されている(特開平 2-20446号公報、特
開平2-277777公報等参照)。Nbの密度はTaの約 1/2と小
さく、Siのスパッタ放出角度に近似するため、ターゲッ
トと得られる膜との組成ずれを小さくすることができ
る。従って、得られる膜の組成を均一化することができ
ると共に、膜内のシート抵抗値のバラツキを抑制するこ
とが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、Nb-S
iOx 系のスパッタリングターゲットは、ターゲット組成
と膜組成とのずれを小さくすることができるため、組成
やシート抵抗値の均一性に優れた膜抵抗体が得られると
いう利点を有している。
【0006】しかしながら、上記Nb-SiOx 系の膜抵抗体
は、抵抗値の温度変化、すなわち抵抗温度係数が大き
く、温度上昇に伴う抵抗値の減少が大きいため、実使用
温度において抵抗値制御が困難になるという難点を有し
ている。例えば、サーマルプリンタヘッドにおいては、
膜抵抗体の温度が常温から瞬間的には773K程度まで上昇
するため、Nb-SiOx 系の膜抵抗体を用いた場合には抵抗
値が大きく変動し、印字品質に悪影響を及ぼしたり、あ
るいは抵抗値の減少に伴って電流値が増大することによ
って、膜抵抗体の破壊や電源回路の故障等を招く可能性
を有している。すなわち、例えば電源回路を定電圧駆動
式とした場合、抵抗温度係数が大きいNb-SiOx 系膜抵抗
体の抵抗値が動作中の高温時に大きく減少するため、電
圧を一定に維持するように過大電流が生じ、電源回路に
支障を来すおそれがある。
【0007】このようなことから、ターゲットと膜との
間の組成ずれや、組成、シート抵抗値等のバラツキの発
生を抑制した上で、抵抗値の温度変化を抑制した膜、す
なわち抵抗温度係数の絶対値が小さい膜を形成すること
が可能なスパッタリングターゲットが求められており、
また同様に、膜内のシート抵抗のバラツキが少なく、か
つ抵抗値の温度変化が小さい、すなわち抵抗温度係数の
絶対値が小さい高比抵抗の膜抵抗体が求められている。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、均一で組成ずれが少なく、かつ抵抗
温度係数の絶対値が小さい高比抵抗の膜を再現性よく成
膜することが可能なスパッタリングターゲットおよびそ
の製造方法を提供することを目的としており、また本発
明の他の目的は、膜内のシート抵抗のバラツキが抑制で
き、かつ抵抗温度係数の絶対値が小さい高比抵抗の膜抵
抗体およびそれを用いたサーマルプリンタヘッドを提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段と作用】本発明のスパッタ
リングターゲットは、請求項1に記載したように、ニオ
ブ、珪素、酸素および硼素を主構成元素として含有する
スパッタリングターゲットであって、前記硼素は、主と
してニオブ硼化物として存在することを特徴としてい
る。
【0010】また、本発明のスパッタリングターゲット
の製造方法は、請求項6に記載したように、ニオブと酸
化珪素との配合比がモル比で 75:25〜 40:60の範囲の酸
化珪素粉末およびニオブ原料粉末と、全体量の10〜45モ
ル% の範囲の硼素との混合物を、所望形状に成形すると
共に、真空中または不活性雰囲気中にて5MPa以上の加圧
下で1473〜 1873Kの範囲の温度で焼結することを特徴と
している。
【0011】本発明の膜抵抗体は、請求項7に記載した
ように、上記請求項1記載のスパッタリングターゲット
を用いてスパッタ成膜してなる膜抵抗体であって、ニオ
ブ、珪素、酸素および硼素を主構成元素として含有する
と共に、前記硼素が主としてニオブ硼化物として存在す
ることをことを特徴としている。
【0012】さらに、本発明のサーマルプリンタヘッド
は、請求項8に記載したように、絶縁性基体と、この絶
縁性基体上に設けられた多数の発熱抵抗体と、これら発
熱抵抗体に接続された電極とを具備するサーマルプリン
タヘッドにおいて、前記発熱抵抗体は、上記請求項7記
載の膜抵抗体からなることを特徴としている。
【0013】本発明のスパッタリングターゲットは、基
本的にはターゲット中の金属成分としてニオブ(Nb)を用
いると共に、抵抗成分として酸化珪素(SiOx )を用いた
ものであり、NbとSiとはスパッタ放出角度が近似してい
るため、タ−ゲットとの組成ずれが少ないスパッタ膜が
得られる。そして、本発明においては、このようなスパ
ッタリングターゲットに硼素(B) を含有させていると共
に、この硼素を主としてニオブ硼化物(Nbx B y )とし
て存在させている。このように、硼素を主としてニオブ
硼化物(Nbx B y )として含有することによって、スパ
ッタ成膜して得た膜の抵抗温度係数の絶対値を小さくす
ることが可能となる。
【0014】本発明においては、硼素を主としてニオブ
硼化物(Nbx B y )、例えば NbB、NbB2 、Nb3 B 2
として存在させることが重要であり、添加した硼素の大
部分が単体としてターゲット中に存在する場合には、ス
パッタ膜の抵抗温度係数の絶対値を十分に小さくするこ
とができない。具体的には、スパッタリングターゲット
のX線回折において、回折角度(2θ)が32〜36度の範囲
に存在する少なくとも1つのニオブ硼化物の回折ピーク
が、21〜23度の範囲に現れる硼素の回折ピークより高い
X線回折強度を有するターゲットとすることが重要であ
る。
【0015】さらに、回折角度(2θ)が32〜36度の範囲
に存在する少なくとも 1つのニオブ硼化物の回折ピーク
が、36〜38度の範囲に現れるニオブ珪化物の回折ピーク
より高いX線回折強度を有するターゲットであることが
好ましい。このように、ニオブを硼化物の形で存在させ
ることによって、スパッタ膜の抵抗温度係数の絶対値を
十分に小さくすることが可能となる。なお、ニオブは他
に酸化物の形でターゲット中に存在する。特に、回折角
度(2θ)が30〜35度の範囲に存在する NbB2 の回折ピー
クが、34〜36度の範囲に存在する NbBの回折ピークより
高いX線回折強度を有するターゲットとすることが好ま
しい。
【0016】本発明のスパッタリングターゲットは、例
えば酸化珪素粉末とニオブ原料粉末と硼素粉末との混合
物を焼結することによって得られる。なお、硼素原料と
しては硼素化合物を用いることもできる。硼素の配合量
は、硼素元素量としてターゲット原料の全体量に対して
10〜45モル% の範囲とすることが好ましい。硼素の配合
量が10モル% 未満であると、ターゲット中で硼素が十分
な量のニオブ硼化物を作らず、大部分が硼素単体として
存在する。ニオブ硼化物もごく少量生成されるが、ニオ
ブ硼化物量が不足するために、抵抗温度係数の低下効果
を十分に得ることができない。一方、硼素を45モル% を
超えて配合すると、ニオブ硼化物は十分に生成し、得ら
れる膜の抵抗温度係数に関する特性は向上するものの、
膜の比抵抗自体が低下傾向を示すようになり、発熱抵抗
体等の膜抵抗体としての本来の特性が低下する。また、
得られる膜の均一性の低下等も招くおそれがある。
【0017】言い換えると、硼素をターゲット組成の全
体量に対して10〜45モル% の範囲で配合することによ
り、ターゲット中で硼素が十分な量のニオブ硼化物を生
成し、回折角度(2θ)が32〜36度の範囲に存在する少な
くとも 1つのニオブ硼化物の回折ピークが、21〜23度の
範囲に現れる硼素の回折ピークより高いX線回折強度を
有するターゲットとすることができるため、スパッタに
より得られる膜の抵抗温度係数の絶対値を十分に小さく
することができる。
【0018】なお、スパッタリングターゲット中の各成
分の組成比は、原料配合比とほぼ同等となる。
【0019】上述したターゲット原料のうちのニオブ原
料粉末としては、ニオブ粉末、ニオブ合金粉末、酸化ニ
オブ粉末、珪化ニオブ粉末、ニオブ硼化物粉末等を用い
ることができる。また、ニオブ合金としては、ニオブと
鉄、タンタル、アルミニウム等との合金等を用いること
ができ、このようなニオブ合金の酸化物や珪化物、すな
わちニオブと鉄、タンタル、アルミニウム等との複合酸
化物や複合珪化物を用いることも可能である。特にNbと
Taは含有率に違いがあるとはいうものの、同一鉱石中に
存在することが多いため、両金属からなる合金を用いる
ことは、精錬にかかる手間やコストの観点からも望まし
い。
【0020】また、ニオブ原料粉末と酸化珪素粉末と
は、ニオブと酸化珪素との配合モル比(Nb:SiO2 )が 7
5:25〜 40:60の範囲となるように配合することが好まし
い。酸化珪素の配合比が60モル% を超えると、得られる
焼結ターゲットが脆くなって、得られるスパッタ膜の均
一性が低下する上に、抵抗温度係数が大きくなるおそれ
がある。さらに、スパッタ膜のシート抵抗のバラツキ等
も大きくなる。一方、酸化珪素の配合比が25モル% 未満
の場合には、相対的に金属成分が多く含まれることにな
るため、得られるスパッタ膜の比抵抗が低下し、膜抵抗
体としての効果が低減する。より好ましいニオブと酸化
珪素との配合比(モル比)は 70:30〜 45:55の範囲であ
る。
【0021】なお、本発明のスパッタリングターゲット
の出発原料は、上述したような化合物、合金、単体元素
等に限らず、基本的にはニオブと珪素と酸素と硼素とが
含まれるものであればよく、種々の組合せの化合物や合
金を用いることができる。また、本発明のスパッタリン
グターゲットは、Fe、Ni、Cr、Al、Na、 K、 C等の不純
物元素の含有量が2000ppm 以下であることが好ましい。
不純物元素の含有量があまり多いと、スパッタ膜(例え
ば膜抵抗体)は極めて薄く、かつ高温で使用されるた
め、不純物の拡散による膜の電気特性の変化や劣化を招
くおそれがある。不純物元素の含有量は1000ppm 以下で
あることがさらに好ましい。
【0022】本発明のスパッタリングターゲットは、上
述したような各出発原料を所定の範囲で混合した混合粉
末をホットプレス等で焼結することによって得られる
が、この焼結は真空中または不活性雰囲気中にて4.5MPa
以上の加圧下で1473〜 1873Kの範囲の温度で行うことが
好ましい。上述したような配合比を満足するターゲット
原料を用いても、焼結条件によっては十分な量のニオブ
硼化物を生成できない場合がある。すなわち、焼結時に
加える圧力が5MPa未満であると、硼素が未反応のまま焼
結体内に単体で存在しやすく、ニオブ硼化物が生成され
てもその量が十分ではないため、スパッタ膜の抵抗温度
係数の絶対値を十分に小さくすることができない。
【0023】また、焼結温度条件が 1473K未満の場合に
は十分に焼結が進行せず、一方1873K を超えると珪素の
配合組成と焼結体組成との間にずれが生じやすく、組成
コントロールが困難となる。また、焼結時に用いるカー
ボン型との反応が進行したり、焼結体にクラック等が生
じやすくなる。焼結方法としては上述したホットプレス
が一般的であるが、熱間静水圧プレス(HIP)、もし
くは冷間静水圧プレス(CIP)と常圧焼結との組合せ
等を適用することも可能である。
【0024】上述したような焼結法により得られる焼結
スパッタリングターゲットは、その気孔率を 1〜 30%の
範囲とすることが、成膜速度や膜の付着力の向上を図る
ためには好ましい。焼結ターゲットの気孔率が 30%を超
えると成膜速度が低下すると共に、パーティクル等の発
生頻度が増加し、さらにはバッキングプレートと接合す
る際にろう材が焼結ターゲット内に侵入して膜特性を低
下させる。一方、焼結ターゲットの気孔率が1%未満であ
ると、成膜速度の優位性を十分に得ることができず、ま
た膜の付着力の向上効果を十分に得ることができない。
【0025】本発明の膜抵抗体は、上述したNb-B(Nbx
B y )-SiOx 系スパッタリングターゲットを用いてスパ
ッタ成膜した膜からなり、ニオブ、珪素、酸素および硼
素を主構成元素として含有すると共に、硼素が主として
ニオブ硼化物として存在するものである。具体的には、
膜抵抗体は不純物元素を除いて、ニオブ、珪素、酸素お
よび硼素から実質的になるものである。このように、本
発明のスパッタリングターゲットを用いた成膜した膜抵
抗体は、ターゲットとの組成ずれがほとんどなく、また
ニオブ硼化物もそのままの形で膜抵抗体中に存在する。
【0026】ただし、ニオブは焼結過程でニオブ硼化物
以外に酸化物や珪化物、あるいは複合化合物となる可能
性があると共に、出発原料としてそれらを用いることも
可能であり、また硼素は一部単体として存在する場合が
あるため、具体的な組成としてはNbx O y - Nbx Siy -
Nbx B y -SiOx やNbx O y - Nbx Siy -Nbx B y -B-SiO
x 等となる。この際、前述したように、回折角度(2θ)
が32〜36度の範囲に存在する少なくとも 1つのニオブ硼
化物の回折ピークが、36〜38度の範囲に現れるニオブ珪
化物の回折ピークより高いX線回折強度を有することが
好ましい。
【0027】上記したようなNb-B(Nbx B y )-SiOx
組成の膜抵抗体は、前述したように抵抗温度係数の絶対
値が小さいことから、サーマルプリンタヘッドの発熱抵
抗体等として好適なものである。すなわち、本発明の膜
抵抗体をサーマルプリンタヘッドの発熱抵抗体等として
使用する場合を考えると、サーマルプリンタヘッドの動
作に伴って発熱抵抗体の温度が大幅に変動した場合にお
いても、発熱抵抗体の抵抗変化を極力抑制することがで
き、良好な印字品質を安定して得ることが可能となると
共に、サーマルプリンタヘッドの高速化や高耐熱化への
対応を図ることができる。また、スパッタ成膜した直後
の膜の抵抗値と、その後にアニール等の熱処理を施した
後の抵抗値との差を極力抑えることができる。具体的に
は、本発明の膜抵抗体において、抵抗温度係数を -400p
pm/K以下とすることができる。
【0028】また、本発明の膜抵抗体は、基本的にはス
パッタ特性(スパッタ放出角や組成の均一性等)に優れ
たスパッタリングターゲットを用いて形成したものであ
るため、ターゲットとの組成ずれが少なく、すなわち膜
組成の再現性に優れ、かつ均一な組成を有するものとな
る。よって、高比抵抗を安定して実現できるだけでな
く、シート抵抗のバラツキを極めて小さくすることがで
きる。また、Nbの密度はTaの約 1/2であり、単位重量あ
たりの価格もほぼ 1/2であるため、コスト削減の観点か
らも極めて有用である。さらに、膜自体はその主体が非
晶質であるため、耐酸化性および耐熱性に優れている。
上記膜抵抗体は、膜厚が 5〜3000nmの範囲の薄膜とする
ことが好ましく、より好ましくは50〜 200nmの範囲、さ
らに望ましくは80〜 150nmの範囲である。このような膜
抵抗体をサーマルプリンタヘッドの発熱抵抗体として用
いることによって、安定して大きな発熱を得ることが可
能となり、優れた印字記録を実現することができる。
【0029】本発明の膜抵抗体は、発熱体として用いる
場合を考慮すると、高比抵抗を有している必要があり、
その比抵抗は 1×102 〜 1×106 μΩcmの範囲とするこ
とが好ましい。比抵抗値が 1×102 μΩcm未満では、高
比抵抗体としての役割を十分に果たすことができない。
一方、比抵抗値が 1×106 μΩcmを超えると、得られる
膜抵抗値の安定性が低下する。比抵抗の望ましい範囲は
3×102 μΩcm〜 6×105 μΩcmであり、さらに望まし
くは 3×103 μΩcm〜 6×104 μΩcmである。なお、比
抵抗とはシート抵抗に膜厚を乗じたものである。また、
シート抵抗のバラツキは、 20%以下とすることができ
る。シート抵抗のバラツキが大きいと、サーマルプリン
タヘッドに使用した場合、基板内の発熱量のバラツキが
大きくなり、印字特性の劣化を招くこととなる。より好
ましいシ−ト抵抗のバラツキは10%以下である。なお、
ここで言うシ−ト抵抗のバラツキは、(抵抗の最高値−
抵抗の最小値) /抵抗の平均値× 100(%)で表される式
によって求めた値である。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
る。
【0031】実施例1 粒径が 100メッシュ以下で、純度 99.9%以上のNb粉末、
SiO2 粉末および B粉末を、Nb粉末と SiO2 粉末との配
合比(モル比)が 50:50となると共に、 B粉末の配合量
がそれぞれ全体量の20モル% 、30モル% 、40モル% とな
るように秤量し、これら各配合粉末をそれぞれボールミ
ルを用いて真空中で78時間混合した。次いで、これら各
混合粉末を真空ホットプレス装置(カーボン型を使用)
で 4〜20MPa の圧力をかけ、1473〜 1673K× 3時間の条
件で加圧焼結した。この後、得られた焼結体に研削加工
を施して、直径 127mm×厚さ 5mmの焼結ターゲット素材
を得た。
【0032】このようにして得た焼結ターゲット素材中
の構成成分をX線回折で調べると共に、上記焼結ターゲ
ット素材を銅板(バッキングプレート)と接合して作製
したスパッタリングターゲットを用いて、Arガス中で出
力500Wの条件で50mm角の石英ガラス基板上に中心膜厚が
60nmとなるようにスパッタ成膜し、得られた膜の各特性
を以下のようにして調べた。
【0033】まず、膜厚を触針式の膜厚計を用いて測定
すると共に、膜のシート抵抗を 4端子式の抵抗率測定器
により測定し、これらの値から膜の比抵抗(シート抵抗
×膜厚)を算出した。比抵抗のばらつきは、50mm角の石
英ガラス基板上に成膜した膜の比抵抗をその中央から 5
mm間隔で両端まで11点測定し、そのばらつきを次式から
求めた。
【0034】
【数1】 また、スパッタ成膜直後の比抵抗とその膜に真空熱処理
(温度:873K,時間:120分,到達真空度:1.0×10-6Torr)
を施した後の比抵抗とを比較することにより、熱処理前
後の抵抗変化率(%) を求めた。さらに、473Kから303Kま
での膜の抵抗値を測定し、下記の式から抵抗温度係数
(TCR)を求めた。
【0035】
【数2】 X線回折結果を図1に、また得られた膜の各特性を表1
に示す。
【0036】実施例2〜4 実施例1の出発原料組成を表1に示す組成比に変更した
各原料粉末を用いて、実施例1と同一条件で焼結ターゲ
ット素材を作製すると共に、実施例1と同様にしてスパ
ッタ膜の各特性を調べた。その結果を表1に併せて示
す。
【0037】比較例1、2 粒径が 100メッシュ以下のTa粉末および SiO2 粉末を、
モル比でTa:SiO2 =45:55となるように配合したもの(比
較例1-1)、モル比でTa:SiO2 =50:50となるように配合
したもの(比較例1-2)、Ta:SiO2 =55:45となるように
配合したもの(比較例1-2)、および粒径が 100メッシ
ュ以下のNb粉末および SiO2 粉末を、モル比でNb:SiO2
=45:55となるように配合したもの(比較例2-1)、Nb:S
iO2 =50:50となるように配合したもの(比較例2-2)、
Nb:SiO2 =55:45となるように配合したもの(比較例2-
3)をそれぞれ用いて、実施例1と同一条件で焼結ター
ゲット素材を作製すると共に、実施例1と同様にしてス
パッタ膜の各特性を調べた。その結果を表1に併せて示
す。また、比較例2-2については、実施例1と同様にX
線回折を行い、X線回折結果を図1に併せて示した。
【0038】比較例3、4 比較例1-2で使用した粉末に B粉末を全体量の30モル%
となるように配合したもの(比較例3)、および比較例
2-2で使用した粉末に B粉末を全体量の 3モル% となる
ように配合したもの(比較例4)をそれぞれ用いて、実
施例1と同一条件で焼結ターゲット素材を作製すると共
に、実施例1と同様にしてスパッタ膜の各特性を調べ
た。その結果を表1に併せて示す。また、比較例4につ
いては、実施例1と同様にX線回折を行い、X線回折結
果を図1に併せて示した。
【0039】
【表1】 表1から明らかなように、従来のTa系ターゲットを用い
た場合には、抵抗温度係数には優れるものの、比抵抗の
バラツキが大きくなり、また従来のNb系ターゲットを用
いた場合には、抵抗温度係数が大きくなり、実使用時に
おける膜の抵抗値制御が困難となることが予想される。
これらに対して、ニオブ硼化物が十分に生成された本発
明の焼結スパッタリングターゲットを用いることによっ
て、抵抗温度係数が小さく、かつ比抵抗のバラツキも極
めて少ない、安定した膜抵抗体が得られることが分か
る。
【0040】実施例5、比較例5 実施例1における B粉末の配合量が30モル% の原料組成
(混合粉末)、および実施例4における B粉末の配合量
が30モル% の原料組成(混合粉末)をそれぞれ用いて、
焼結温度を表2に示す温度に変更する以外は、実施例1
と同一条件で焼結ターゲット素材をそれぞれ作製した。
これら各焼結ターゲット素材の相対焼結密度、ターゲッ
ト組成と間組成との間のSi量のずれ、カーボン型との反
応、焼結ターゲット中の未反応硼素の量を調べた。それ
らの結果を表2に併せて示す。なお、表2中の比較例5
は、焼結条件を本発明の製造方法の範囲外として作製し
た焼結ターゲット素材である。
【0041】
【表2】 表2から明らかなように、配合比を満足させたターゲッ
ト原料を用いても、焼結条件によっては硼素が未反応の
まま焼結体内に単体で存在し、ニオブ硼化物の生成量が
不十分となったり、Si量にずれが生じる場合があること
が分かる。
【0042】実施例6 次に、本発明のサーマルプリンタヘッドの実施例につい
て述べる。この実施例で用いたサーマルプリンタヘッド
は、セラミックス基板や表面に絶縁層を有する金属基板
等の絶縁性基板上に発熱抵抗体層を形成し、この発熱抵
抗体層にパターニングを施すことによって、発熱抵抗体
群を設けたものである。これら各発熱抵抗体上には、発
熱部となる開口を形成するように、Al等からなる共通電
極と個別電極とを形成した。なお、発熱部や電極の上に
は保護層を設けた。
【0043】まず、上記各実施例と同一条件でグレーズ
アルミナ基板(絶縁性基板)上に膜抵抗体を成膜し、こ
の膜抵抗体を発熱抵抗体層として用い、この膜抵抗体に
パターニングを施した後、各発熱抵抗体上にAl電極を形
成し、さらに保護膜を成膜して、サーマルプリンタヘッ
ドを作製した。得られたサーマルプリンタヘッドに対し
てパルス幅 0.3sec 、周期 5msecの熱パルスを加えた時
の抵抗値変化率を測定した。その結果、本発明のサーマ
ルプリンタヘッドは、従来のNb-SiOx 系抵抗膜を用いた
サ−マルプリンタヘッドに比べて、熱パルスによる抵抗
値の変動が少なく、高品質の印字を安定して行うことが
できた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスパッタ
リングターゲットによれば、抵抗温度係数の絶対値が小
さく、かつ膜組成や抵抗値が安定した高抵抗膜を再現性
よく形成することができる。また、本発明のスパッタリ
ングターゲットによれば、上述したようなスパッタリン
グターゲットを再現性よく作製することができる。よっ
て、サーマルプリンタヘッドの発熱体等として有用な膜
抵抗体を安定して提供することが可能となる。また、本
発明のサ−マルプリンタヘッドは、高速化、高耐熱化に
容易に対応でき、さらに高印字性能を満足するため、小
型、高性能化が要求される記録装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1で作製したスパッタリング
ターゲットのX線回折結果を従来例および比較例のX線
回折結果と併せて示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41J 3/20 111H C1 111A N1 (72)発明者 川島 史行 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニオブ、珪素、酸素および硼素を主構成
    元素として含有するスパッタリングターゲットであっ
    て、前記硼素は主としてニオブ硼化物として存在するこ
    とを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスパッタリングターゲッ
    トにおいて、 ニオブと酸化珪素との配合比がモル比で 75:25〜 40:60
    の範囲であると共に、前記硼素の配合量が全体量の10〜
    45モル% の範囲であることを特徴とするスパッタリング
    ターゲット。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のスパッタリングターゲッ
    トにおいて、 ニオブと酸化珪素との配合比がモル比で 75:25〜 40:60
    の範囲の酸化珪素およびニオブ原料と、全体量の10〜45
    モル% の範囲の硼素との混合物を、焼結してなることを
    特徴とするスパッタリングターゲット。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のスパッタリングターゲッ
    トにおいて、 回折角度(2θ)が32〜36度の範囲に存在する少なくとも
    1つのニオブ硼化物の回折ピークが、21〜23度の範囲に
    現れる硼素の回折ピークより高いX線回折強度を有する
    ことを特徴とするスパッタリングターゲット。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のスパッタリングターゲッ
    トにおいて、 回折角度(2θ)が32〜36度の範囲に存在する少なくとも
    1つのニオブ硼化物の回折ピークが、36〜38度の範囲に
    現れるニオブ珪化物の回折ピークより高いX線回折強度
    を有することを特徴とするスパッタリングターゲット。
  6. 【請求項6】 ニオブと酸化珪素との配合比がモル比で
    75:25〜 40:60の範囲の酸化珪素粉末およびニオブ原料
    粉末と、全体量の10〜45モル% の範囲の硼素粉末との混
    合物を、所望形状に成形すると共に、真空中または不活
    性雰囲気中にて5MPa以上の加圧下で1473〜 1873Kの範囲
    の温度で焼結することを特徴とするスパッタリングター
    ゲットの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のスパッタリングターゲッ
    トを用いてスパッタ成膜してなる膜抵抗体であって、ニ
    オブ、珪素、酸素および硼素を主構成元素として含有す
    ると共に、前記硼素が主としてニオブ硼化物として存在
    することをことを特徴とする膜抵抗体。
  8. 【請求項8】 絶縁性基体と、この絶縁性基体上に設け
    られた多数の発熱抵抗体と、これら発熱抵抗体に接続さ
    れた電極とを具備するサーマルプリンタヘッドにおい
    て、 前記発熱抵抗体は、請求項7記載の膜抵抗体からなるこ
    とを特徴とするサーマルプリンタヘッド。
JP7183857A 1995-07-20 1995-07-20 スパッタリングターゲットとその製造方法、それを用いて形成した膜抵抗体およびサーマルプリンタヘッド Withdrawn JPH0931636A (ja)

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