JP3414412B2 - スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
スパッタリングターゲットの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、チタンからなるスパッ
タリングターゲットに関する。更に詳しくは、半導体素
子などの表面にチタン配線や窒化チタン膜を形成する際
好適に用いられるスパッタリングターゲットに関する。 【０００２】 【従来の技術】集積回路（ＬＳＩ）の高集積化に伴い半
導体素子の回路は極めて微細なものが要求されている
が、そのような要求に応じて基板上に回路形成するため
の膜組成として、高融点金属及びその化合物、例えばチ
タン及びチタン化合物が使われている。 【０００３】これらは主に純チタンをターゲット材とし
たスパッタリング法により成膜されており、純チタン膜
が必要な場合にはアルゴン等の不活性ガスを用いて、又
チタン化合物膜が必要な場合（例えば窒化チタン膜）に
はアルゴンガスと高融点金属との反応ガス（例えば窒
素）を混入してスパッタリングが行われる。 【０００４】特開昭６２−２９４１７５号には、ヨウ素
法により基体上に直接析出させて純チタン金属板を得こ
れをスパッタリングターゲットとして用いることが、又
特開平３−１３０３３９号公報には粗チタン粒を選別
し、酸洗浄を施し、電子ビーム溶解法により純チタン材
を得これを同じくターゲットとして用いることが開示さ
れている。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】スパッタリング法で基
板表面に例えば金属膜を成膜する場合、ターゲット材の
表面に出現している結晶面により、スパッタリング率、
他元素との反応性などの物性が異なるため、ターゲット
材の組織特性（例えば結晶粒径等）は、得られる膜の特
性に深く関連している。一般に、平均結晶粒径が大きな
ものを用いた場合は得られる膜の膜厚均一性が悪く、特
に薄い膜を必要とする半導体素子の製造においては非常
に大きな問題となる。 【０００６】従来の純チタンターゲット材は、いずれの
純チタン材もその製造方法の制限により得られるチタン
材組織の平均結晶粒径は１〜数ｍｍの範囲であり、現在
のＬＳＩの製造においてこのようなターゲットを用いる
ことは、得られる膜の膜厚均一性の面で不十分でありよ
り優れた膜厚分布の膜が得られるターゲットが期待され
ている。 【０００７】本発明はこの問題を解決するものであり、
微細組織を持った純チタンターゲット材を用いることに
より従来の純チタンターゲット材を用いた場合よりも膜
厚均一性の良い膜の提供を可能とするものである。 【０００８】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述のよ
うな問題点を解決するために研究を重ねた結果、平均結
晶粒径５００μｍ以下のチタンで構成されたチタンスパ
ッタリングターゲットは、これを用いてスパッタするこ
とにより、膜厚分布の良い純チタン膜又はチタン化合物
膜が得られることを見出し本発明を完成した。 【０００９】次に本発明について、その製造方法と共に
詳細に説明するが本発明はこれに限定されるものではな
い。 【００１０】本発明の製造に用いる原料として市販の高
純度チタン粉末を用いることができる。このチタン粉末
の粒度は平均粒子径１００μｍ前後のものが好ましい。
又その純度は、ターゲットの使用目的に応じて任意であ
るが通常９９．９％以上が好ましい。 【００１１】スパッタリング法による成膜工程において
は、ターゲット材の不純物は、そのまま得られる膜の不
純物に対応するため、特にＬＳＩ等の半導体素子の生成
に使用する場合にはターゲット材中の不可避不純物
（鉄、ニッケル、クロム、ナトリウム、カリウム、ウラ
ン、トリウム等）は極力少ないものが好ましく、特にＬ
ＳＩ等の半導体素子に使用する場合には、鉄、ニッケ
ル、クロムはそれぞれ１５ｐｐｍ以下、ナトリウム、カ
リウムは同じく０．５ｐｐｍ以下、ウラン、トリウムは
同じく５ｐｐｂ以下のものを用いることが好ましい。 【００１２】この粉末を、必要に応じて酸洗浄などの前
処理を行い、通常好ましくはステンレス製の缶材に挿入
し１０−３ｔｏｒｒ台程度まで減圧引き後封止し、この
チタン封入缶をＨＩＰ（熱間静水圧プレス）装置により
焼結する。この際の条件は、通常、焼結温度８００〜１
２００℃、圧力２００ＭＰａ、保持時間１〜１０時間の
範囲である。チタンは１０００℃以上の温度では急激に
粒成長がおこるため、本発明を製造する場合の焼結温度
は１０００℃未満が望ましい。この成型工程により、相
対密度１００％、平均結晶粒径５００μｍ以下のチタン
材が得られるが、平均結晶粒径が５００μｍを越えると
得られる膜の膜厚分布が悪化するため好ましくない。 【００１３】尚、本発明で言う平均結晶粒径は、試料面
を鏡面研磨後、腐蝕して得られる結晶粒界がわかる組織
写真を用いて、画面上に複数本のテストライン（例えば
格子状）を引き、結晶粒界によって切断された線分の長
さを粒径として測定した結晶粒子の平均の粒径を言う。
（線分法） その後、必要に応じてチタン材の内部応力を緩和するた
め熱処理を行っても良い。こうして得られたチタン材を
所定の形状に加工してスパッタリングターゲット材とす
る。 【００１４】 【発明の効果】本発明のチタンターゲットを用いて、純
チタン膜、チタン化合物膜を成膜すると、膜厚分布の優
れた膜が得られＬＳＩ等の半導体素子の製造において歩
留まり、生産性の向上が期待できる。 【００１５】 【実施例】 実施例１ 出発原料として、平均粒子径１００μｍの市販の高純度
チタン粉末を用いた。このチタン粉末の化学分析結果を
表１に示す。この粉末を秤量し、ステンレス製の缶材に
挿入して１０−３ｔｏｒｒまで真空排気後封止した。こ
れをＨＩＰ（熱間静水圧プレス）装置を用いて焼結し
た。焼結条件は焼結温度８００℃、圧力２００ＭＰａ、
保持時間２時間である。得られたチタン材より所定の形
状の円盤を切り出して洗浄した。この成型体の密度をア
ルキメデス法により測定した結果１００％であった。又
顕微鏡により組織観察したところ平均結晶粒径は３００
μｍであった。 【００１６】このチタン材円盤を高純度銅製の冷却板に
ロウ付けしスパッタリングターゲットとした。得られた
ターゲットを用いて以下の成膜条件で成膜した。 【００１７】 スパッタ方式：ＤＣマグネトロン 電流密度 ：２ｍＡ／ｃｍ２ スパッタガス：Ａｒ ０．５Ｐａ 得られたチタン膜の膜厚分布を触針式膜厚計により測定
した結果を表２に示す。ただし、膜厚測定は３インチシ
リコン基板上の９点について行った。 【００１８】比較例１ 溶解法により作製したチタン材より所定の形状の円盤を
切り出して洗浄し、実施例１同様に密度測定及び組織観
察を行った。その結果、相対密度１００％、平均結晶粒
径１０００μｍであった。このチタン材の分析結果を表
１に示す。 【００１９】次に、切り出した円盤を実施例１同様にス
パッタリングターゲットとして実施例１と同様の成膜条
件で成膜を行った。得られたチタン膜の膜厚分布を触針
式膜厚計により測定した結果を表２に示す。ただし、膜
厚測定は、３インチシリコン基板上の９点について行っ
た。 【００２０】 表１ Ｏ Ｎ Ｆｅ Ｃｒ Ｎｉ Ｎａ Ｋ Ｕ Ｔｈ 実施例 ４００ ３３ ３ ２ １ ０．２ ０．１ ５ ５ 比較例 ２５０ ２５ ４ １ １ ０．１ ０．１ ５ ５ （単位：Ｕ、Ｔｈはｐｐｂ、それ以外はｐｐｍ） 表２ 膜厚分布＊ ＊９点平均膜厚に対するバラツキを示す。 【００２１】 実施例 ± ４％ 比較例 ± ８％
タリングターゲットに関する。更に詳しくは、半導体素
子などの表面にチタン配線や窒化チタン膜を形成する際
好適に用いられるスパッタリングターゲットに関する。 【０００２】 【従来の技術】集積回路（ＬＳＩ）の高集積化に伴い半
導体素子の回路は極めて微細なものが要求されている
が、そのような要求に応じて基板上に回路形成するため
の膜組成として、高融点金属及びその化合物、例えばチ
タン及びチタン化合物が使われている。 【０００３】これらは主に純チタンをターゲット材とし
たスパッタリング法により成膜されており、純チタン膜
が必要な場合にはアルゴン等の不活性ガスを用いて、又
チタン化合物膜が必要な場合（例えば窒化チタン膜）に
はアルゴンガスと高融点金属との反応ガス（例えば窒
素）を混入してスパッタリングが行われる。 【０００４】特開昭６２−２９４１７５号には、ヨウ素
法により基体上に直接析出させて純チタン金属板を得こ
れをスパッタリングターゲットとして用いることが、又
特開平３−１３０３３９号公報には粗チタン粒を選別
し、酸洗浄を施し、電子ビーム溶解法により純チタン材
を得これを同じくターゲットとして用いることが開示さ
れている。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】スパッタリング法で基
板表面に例えば金属膜を成膜する場合、ターゲット材の
表面に出現している結晶面により、スパッタリング率、
他元素との反応性などの物性が異なるため、ターゲット
材の組織特性（例えば結晶粒径等）は、得られる膜の特
性に深く関連している。一般に、平均結晶粒径が大きな
ものを用いた場合は得られる膜の膜厚均一性が悪く、特
に薄い膜を必要とする半導体素子の製造においては非常
に大きな問題となる。 【０００６】従来の純チタンターゲット材は、いずれの
純チタン材もその製造方法の制限により得られるチタン
材組織の平均結晶粒径は１〜数ｍｍの範囲であり、現在
のＬＳＩの製造においてこのようなターゲットを用いる
ことは、得られる膜の膜厚均一性の面で不十分でありよ
り優れた膜厚分布の膜が得られるターゲットが期待され
ている。 【０００７】本発明はこの問題を解決するものであり、
微細組織を持った純チタンターゲット材を用いることに
より従来の純チタンターゲット材を用いた場合よりも膜
厚均一性の良い膜の提供を可能とするものである。 【０００８】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述のよ
うな問題点を解決するために研究を重ねた結果、平均結
晶粒径５００μｍ以下のチタンで構成されたチタンスパ
ッタリングターゲットは、これを用いてスパッタするこ
とにより、膜厚分布の良い純チタン膜又はチタン化合物
膜が得られることを見出し本発明を完成した。 【０００９】次に本発明について、その製造方法と共に
詳細に説明するが本発明はこれに限定されるものではな
い。 【００１０】本発明の製造に用いる原料として市販の高
純度チタン粉末を用いることができる。このチタン粉末
の粒度は平均粒子径１００μｍ前後のものが好ましい。
又その純度は、ターゲットの使用目的に応じて任意であ
るが通常９９．９％以上が好ましい。 【００１１】スパッタリング法による成膜工程において
は、ターゲット材の不純物は、そのまま得られる膜の不
純物に対応するため、特にＬＳＩ等の半導体素子の生成
に使用する場合にはターゲット材中の不可避不純物
（鉄、ニッケル、クロム、ナトリウム、カリウム、ウラ
ン、トリウム等）は極力少ないものが好ましく、特にＬ
ＳＩ等の半導体素子に使用する場合には、鉄、ニッケ
ル、クロムはそれぞれ１５ｐｐｍ以下、ナトリウム、カ
リウムは同じく０．５ｐｐｍ以下、ウラン、トリウムは
同じく５ｐｐｂ以下のものを用いることが好ましい。 【００１２】この粉末を、必要に応じて酸洗浄などの前
処理を行い、通常好ましくはステンレス製の缶材に挿入
し１０−３ｔｏｒｒ台程度まで減圧引き後封止し、この
チタン封入缶をＨＩＰ（熱間静水圧プレス）装置により
焼結する。この際の条件は、通常、焼結温度８００〜１
２００℃、圧力２００ＭＰａ、保持時間１〜１０時間の
範囲である。チタンは１０００℃以上の温度では急激に
粒成長がおこるため、本発明を製造する場合の焼結温度
は１０００℃未満が望ましい。この成型工程により、相
対密度１００％、平均結晶粒径５００μｍ以下のチタン
材が得られるが、平均結晶粒径が５００μｍを越えると
得られる膜の膜厚分布が悪化するため好ましくない。 【００１３】尚、本発明で言う平均結晶粒径は、試料面
を鏡面研磨後、腐蝕して得られる結晶粒界がわかる組織
写真を用いて、画面上に複数本のテストライン（例えば
格子状）を引き、結晶粒界によって切断された線分の長
さを粒径として測定した結晶粒子の平均の粒径を言う。
（線分法） その後、必要に応じてチタン材の内部応力を緩和するた
め熱処理を行っても良い。こうして得られたチタン材を
所定の形状に加工してスパッタリングターゲット材とす
る。 【００１４】 【発明の効果】本発明のチタンターゲットを用いて、純
チタン膜、チタン化合物膜を成膜すると、膜厚分布の優
れた膜が得られＬＳＩ等の半導体素子の製造において歩
留まり、生産性の向上が期待できる。 【００１５】 【実施例】 実施例１ 出発原料として、平均粒子径１００μｍの市販の高純度
チタン粉末を用いた。このチタン粉末の化学分析結果を
表１に示す。この粉末を秤量し、ステンレス製の缶材に
挿入して１０−３ｔｏｒｒまで真空排気後封止した。こ
れをＨＩＰ（熱間静水圧プレス）装置を用いて焼結し
た。焼結条件は焼結温度８００℃、圧力２００ＭＰａ、
保持時間２時間である。得られたチタン材より所定の形
状の円盤を切り出して洗浄した。この成型体の密度をア
ルキメデス法により測定した結果１００％であった。又
顕微鏡により組織観察したところ平均結晶粒径は３００
μｍであった。 【００１６】このチタン材円盤を高純度銅製の冷却板に
ロウ付けしスパッタリングターゲットとした。得られた
ターゲットを用いて以下の成膜条件で成膜した。 【００１７】 スパッタ方式：ＤＣマグネトロン 電流密度 ：２ｍＡ／ｃｍ２ スパッタガス：Ａｒ ０．５Ｐａ 得られたチタン膜の膜厚分布を触針式膜厚計により測定
した結果を表２に示す。ただし、膜厚測定は３インチシ
リコン基板上の９点について行った。 【００１８】比較例１ 溶解法により作製したチタン材より所定の形状の円盤を
切り出して洗浄し、実施例１同様に密度測定及び組織観
察を行った。その結果、相対密度１００％、平均結晶粒
径１０００μｍであった。このチタン材の分析結果を表
１に示す。 【００１９】次に、切り出した円盤を実施例１同様にス
パッタリングターゲットとして実施例１と同様の成膜条
件で成膜を行った。得られたチタン膜の膜厚分布を触針
式膜厚計により測定した結果を表２に示す。ただし、膜
厚測定は、３インチシリコン基板上の９点について行っ
た。 【００２０】 表１ Ｏ Ｎ Ｆｅ Ｃｒ Ｎｉ Ｎａ Ｋ Ｕ Ｔｈ 実施例 ４００ ３３ ３ ２ １ ０．２ ０．１ ５ ５ 比較例 ２５０ ２５ ４ １ １ ０．１ ０．１ ５ ５ （単位：Ｕ、Ｔｈはｐｐｂ、それ以外はｐｐｍ） 表２ 膜厚分布＊ ＊９点平均膜厚に対するバラツキを示す。 【００２１】 実施例 ± ４％ 比較例 ± ８％
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フロントページの続き
(72)発明者 田中 博志
東京都町田市中町３丁目18番６号
(72)発明者 関根 慎二
神奈川県川崎市多摩区菅北浦１丁目５番
地22号
(56)参考文献 特開 昭61−116835（ＪＰ，Ａ)
特開 平４−116161（ＪＰ，Ａ)
特開 平４−268074（ＪＰ，Ａ)
特開 平５−255843（ＪＰ，Ａ)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 チタン粉末を、８００℃以上１０００℃
未満（ただし、９００℃以上を除く）の温度で熱間静水
圧プレスにより焼結することを特徴とする、平均結晶粒
径５００μｍ以下の組織を持つチタンからなるスパッタ
リングターゲットの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP03841792A JP3414412B2 (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | スパッタリングターゲットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP03841792A JP3414412B2 (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | スパッタリングターゲットの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05214520A JPH05214520A (ja) | 1993-08-24 |
| JP3414412B2 true JP3414412B2 (ja) | 2003-06-09 |
Family
ID=12524739
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP03841792A Expired - Fee Related JP3414412B2 (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | スパッタリングターゲットの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3414412B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0790560A (ja) * | 1993-09-27 | 1995-04-04 | Japan Energy Corp | 高純度チタニウムスパッタリングターゲット |
| JP2948073B2 (ja) * | 1993-09-27 | 1999-09-13 | 株式会社ジャパンエナジー | 高純度チタニウムスパッタリングターゲット |
| JP2928907B2 (ja) * | 1994-03-31 | 1999-08-03 | 株式会社住友シチックス尼崎 | 高純度析出チタン材およびその製造方法 |
| US9279178B2 (en) | 2007-04-27 | 2016-03-08 | Honeywell International Inc. | Manufacturing design and processing methods and apparatus for sputtering targets |
| KR102494908B1 (ko) * | 2022-08-02 | 2023-02-07 | 목포대학교산학협력단 | 냉간정수압 다단 성형법을 이용하여 제조한 도전성 이산화티타늄 소결체 및 이의 제조방법 |
-
1992
- 1992-01-30 JP JP03841792A patent/JP3414412B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05214520A (ja) | 1993-08-24 |
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