JPH09315871A - 急熱急冷方法及び装置 - Google Patents

急熱急冷方法及び装置

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JPH09315871A
JPH09315871A JP8158955A JP15895596A JPH09315871A JP H09315871 A JPH09315871 A JP H09315871A JP 8158955 A JP8158955 A JP 8158955A JP 15895596 A JP15895596 A JP 15895596A JP H09315871 A JPH09315871 A JP H09315871A
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heating
cooling
temperature
resistant material
heat
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Yasuyoshi Saitou
康善 齋藤
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度な及び/又は複合特性を有する各種の
材料を容易に製造することができる方法及び装置を提供
する。 【解決手段】 耐熱性材料を10−10000℃/秒の
加熱速度で緻密化温度以上及び溶融温度未満の範囲内の
温度に加熱し、前記範囲内の温度で所定時間保持し、そ
の後10−10000℃/秒の冷却速度でアニール温度
まで急冷し、アニール温度で所定時間保持した後、室温
まで冷却することからなる急熱急冷方法;高周波誘導コ
イル,加熱用容器,ガス噴射管から選択された加熱手段
を備えた加熱装置と、高周波誘導コイル,冷却用容器,
ガス噴射管から選択された冷却手段を備えた冷却装置
と、耐熱性材料を前記加熱装置と前記冷却装置との間で
移送可能な移送装置とからなる急熱急冷装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性材料、特に
セラミック材料及び金属材料を急熱急冷処理して、優れ
た性質を有する材料、例えば高強度な微細結晶質バルク
材料や複合特性を有する複合バルク材料、を容易に製造
することができる急熱急冷方法、並びに該方法に使用す
る急熱急冷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、耐熱性材料、例えばセラミック材
料,金属材料,複合材料は、電気炉焼結法或いはホット
プレス焼結法にて、1℃/秒以下の加熱冷却速度及び焼
結温度で保持時間10分以上、の熱処理条件で作られて
いた。
【0003】又、近年、良好な性質を有する半導体材
料,セラミック材料,金属材料,複合材料等を製造する
ための熱処理条件の検討が行われており、種々の熱処理
方法及び装置(加熱冷却方法及び装置)が提案されてい
る。
【0004】例えば、特開平4−37700号公報に
は、高周波コイルにより所定部分(加熱部分)を加熱し
得る炉体の加熱部分に対して、容器に収納した被処理物
を出し入れすることにより、被処理物を急速に熱アニー
ルすることができる装置(ラピッドサーマルアニール装
置)が記載されている。
【0005】特開平4−187730号公報には、無重
力環境下で浮遊状態の材料を加熱する高周波誘導コイル
有する加熱装置と、溶融した材料に向けて複数のノズル
から冷却ガスを噴出する冷却装置とを備え、上記ノズル
を高周波誘導コイルを間において対照的な位置に配置し
た無重力環境用材料製造装置が記載されている。
【0006】特開平6−10080号公報には、アモル
ファス合金粉末を100℃/s〜10000℃/sの昇
温速度で結晶化温度以上溶融温度以下の温度に加熱し、
前記範囲の温度で金型鍛造により成型し、その後100
℃/s以上で急冷することからなる微細結晶組織を有す
る高強度合金の製造方法が記載されている。
【0007】更に、特開平6−41675号公報には、
Fe系アモルファス磁性合金粉末を100℃/s〜10
000℃/sの速度で結晶化温度以下の温度に昇温し、
金型鍛造しその後100℃/sの速度で急冷することに
より500nm以下の微細結晶質α−Feが分散したア
モルファス組織とすることからなるアモルファスバルク
磁性材料の製造方法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記電気炉焼結法或い
はホットプレス焼結法では、熱処理すべき材料(耐熱性
材料)を高温で長時間(10分以上)保持するため、結
晶粒が緻密化したのち粒成長を起こし、このような材料
から成形した製品の強度低下と脆化が生じた。又、異な
る組成の複数の成分(複合成分)から構成された複合セ
ラミック材料或いは複合金属材料においては、異なる複
合成分同士が反応するため、良好な複合特性が得られな
かった。
【0009】他方、耐熱性材料に対して前記各公報に記
載された種々の方法及び装置を適用して熱処理を行うこ
とが考えられる。しかしながら、例えば、特開平4−3
7700号公報に記載された装置では、加熱装置として
の高周波コイルは備えているが、冷却装置は備えていな
い(冷却は自然放冷により成される)。特開平4−18
7730号公報に記載された装置は、無重力環境下で浮
遊状態の材料をその位置で加熱・冷却するための極めて
特殊な装置であり、加熱装置と冷却装置とは同一場所に
配置され、又、このため前記材料の移送装置を有しな
い。更に特開平6−10080号公報及び特開平6−4
1675号公報に記載された方法は何れも、予め所定条
件下で加熱処理した合金粉末を金型鍛造し、次いで所定
条件下で冷却処理する方法であり、必ず金型鍛造を経る
点において、金型鍛造法の一種と考えられ、耐熱性材料
の一般的な前処理方法(熱処理方法)ではない。
【0010】上述の如く、従来技術の方法や装置には、
耐熱性材料の加熱及び冷却を所定の温度パターンに基づ
いて(又は所定の温度パターンを取るように)厳密に制
御するという技術思想は存在しない。このため、従来技
術においては、所定の温度パターンに基づいて耐熱性材
料の急熱急冷を好適に行い得る方法や装置は提供されて
いなかった。本発明者らは、前記従来技術の問題点を解
決すべく鋭意研究した結果、本発明を成すに至った。し
かして、本発明の目的は、温度パターンを厳密に制御し
た状態で耐熱性材料の急熱急冷を行うことができる方法
及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の急熱急
冷方法は、耐熱性材料を10−10000℃/秒の加熱
速度で緻密化温度以上及び溶融温度未満の範囲内の温度
に加熱し、前記範囲内の温度で所定時間保持し、その後
10−10000℃/秒の冷却速度でアニール温度まで
急冷し、アニール温度で所定時間保持した後、室温まで
冷却することを特徴とする。又、本発明の急熱急冷装置
は、高周波誘導コイル,加熱用容器,ガス噴射管から選
択された加熱手段を備えた、耐熱性材料を加熱するため
の加熱装置と、高周波誘導コイル,冷却用容器,ガス噴
射管から選択された冷却手段を備えた、耐熱性材料を冷
却するための冷却装置と、耐熱性材料を前記加熱装置と
前記冷却装置との間で移送可能な移送装置とからなるこ
とを特徴とする。
【0012】本発明者は、耐熱性材料の代表例としての
セラミック粒子の焼結について鋭意研究した結果、セラ
ミック粒子の粒成長は緻密化過程から次に粒成長にいた
ることが判った。それ故、セラミック粒子の粒成長を抑
制するためには、セラミック粒子を緻密化した後すぐに
急冷することにより粒成長を停止させればよいことを見
出した。又、セラミック粒子を焼結する場合に、焼結温
度から室温まで急冷すると焼結体が割れてしまうため、
焼結温度よりも低い適当な温度(アニール温度)で所定
時間保持した後、室温まで冷却することが必要であるこ
とを見出した。以下、本明細書中では、耐熱性材料とし
て主にセラミックに関して述べるが、以下の知見は他の
耐熱性材料(例えば、金属材料や複合材料)に付いて
も、基本的には同様に適用可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】10℃/秒未満の急速加熱速度又
は急速冷却速度は、構成成分の相互拡散が抑制された複
合材料(耐熱性材料)を作製する際に望ましくない。以
下、具体的な例に基づいて説明する。例えば平均粒径
(平均直径)1μmの出発材料を用いてセラミック複合
材料を作製する場合、得られるセラミック複合材料が複
合特性を発現するためには、拡散厚みを0.5μm未満
にする必要がある。拡散厚みを0.5μm未満にする焼
結時間を求めると、図3(後に詳述する)より、焼結温
度を1100℃にした場合、1000℃→1100℃→
1000℃の温度に滞在している時間(焼結時間)は、
拡散定数を10-11 cm2 /秒とすると1分であり、こ
の場合の拡散厚みは0.4μmとなる。10℃/秒の急
速加熱速度又は急速冷却速度で1000℃→1100℃
→1000℃の工程を経るための所要時間は20秒であ
り、1分以内に収まるので、10℃/秒の急速加熱速度
又は急速冷却速度を用いると複合特性を有するセラミッ
ク複合材料が得られる。これに対して、例えば1℃/秒
の急速加熱速度又は急速冷却速度では、1000℃→1
100℃→1000℃の工程を経るための所要時間は2
00秒(約33分)であり、構成成分が完全に相互拡散
するので、複合特性を有するセラミック複合材料が得ら
れない。それ故、本願発明においては、急速加熱速度又
は急速冷却速度は10℃/秒以上とした。
【0014】10000℃/秒を越える急速加熱速度又
は急速冷却速度は、急激な温度変化に耐えられず耐熱性
材料が破壊される(例えば、爆発的に崩壊する)ので、
望ましくない。それ故、本願発明においては、急速加熱
速度又は急速冷却速度は10000℃/秒以下とした。
【0015】耐熱性材料を急速加熱する手段としては、
高周波加熱、通電加熱、赤外線加熱、加熱用容器等の使
用が可能である。加熱速度に応じて、単独又は適宜組み
合わせて使用するとよい。とりわけ高周波加熱は、酸化
雰囲気及び還元雰囲気での使用並びに試料(耐熱性材
料)への加圧が可能であり且つ急速加熱が容易に成し得
る点で好ましい。
【0016】10−1000℃/秒の急速加熱は高周波
加熱を使用すると都合が良い。この場合、例えば高周波
周波数2−500kHz、高周波出力1kW以上の高周
波電源であれば、パワーのスイッチオンにより可能であ
る。耐熱性材料を高周波加熱する場合には、耐熱性材料
の周囲の少なくとも一部に高周波誘導加熱され得る材料
(例えば、Pt、Rh、W、Mo等の金属又はカーボン
又は導電性セラミックで作製されたもの)からなる所定
形状の加熱材を密着させておくと加熱効率が良い。10
−10000℃/秒の急速加熱は加熱用容器を使用する
と都合が良い。例えば、予め設定温度に加熱された加熱
用受け皿(例えば、Pt、Rh、W、Mo等の金属又は
カーボン又は導電性セラミックで作製されたもの)、或
いは加熱用受け皿にいれた加熱用融解液(例えば、金属
溶解液、ガラス溶解液等)に適当な移送装置(例えば、
昇降移送装置及び水平移送装置)を用いて、試料を急激
に落下し接触させることで可能である。
【0017】耐熱性材料を加熱した状態で保持する時間
は耐熱性材料の粒子が粗大化しないように比較的短時間
である。通常は、例えば1秒以上の適する時間、耐熱性
材料を保持する。
【0018】耐熱性材料を冷却する手段としては、ガス
噴出管からの冷却ガス媒体の吹き付け、冷却用容器等の
使用が可能である。冷却速度に応じて、単独又は適宜組
み合わせて使用するとよい。冷却ガス媒体としては、通
常使用される冷却用ガス(例えば、液体又は気体のH
e,Ar,N2 ,O2 ,CO2 ,空気)を単独又は組み
合わせて用いてよい。又、ガス噴出管には、耐熱性材料
に対して冷却用ガスを噴出し得る複数のノズルを設ける
ことが好ましい。
【0019】10−1000℃/秒の急速冷却は、例え
ば、予め設定された温度の冷却ガス媒体をガス噴出管か
ら試料に吹き付けることで可能である。又、10−10
000℃/秒の急速冷却は、例えば、ガス噴出管から予
め設定された温度の冷却ガスを試料に吹き付けながら、
予め設定された温度の冷却用受け皿(例えば、Pt、R
h、W、Mo等の金属又はカーボン又は導電性セラミッ
クスで作製されたもの)、或いは冷却用受け皿にいれた
冷却用融解液(例えば、金属溶解液、ガラス溶解液等)
に適当な移送装置(例えば、昇降移送装置及び水平移送
装置)を用いて、試料を急激に落下し接触させることで
可能である。
【0020】アニール温度は耐熱性材料の種類や目的と
する性状により適宜選択するが、通常は例えば加熱温度
よりも200−700℃低い温度とする。アニール温度
で耐熱性材料を保持する時間も適宜選択する。例えば通
常は、1秒以上、好ましくは10秒以上の適する時間、
耐熱性材料を保持する。アニール後の耐熱性材料を室温
まで冷却する際の冷却速度は適宜選択するが、通常は例
えば1℃/秒以下とする。
【0021】急熱急冷処理すべき耐熱性材料は粉末状態
のものを使用してもよいし、又は、適する形状に予め成
形したものを使用してもよい。粉末状態の耐熱性材料を
使用する場合、粉末の粒径は、通常の電気炉焼結(熱処
理条件:1℃/秒以下の加熱及び冷却速度、焼結温度で
10分以上の保持)により緻密化できるものであれば特
に制限はないが、0.2−40μmの範囲が好ましい。
他方、例えば、耐熱性材料を加圧プレス(1kg/cm
2 以上の圧力)した状態で急熱急冷処理すると、粉末状
態の場合に比べて焼結温度を下げることができるため、
粗大粒成長及び拡散反応を防止するのに有効である。
【0022】急熱急冷処理すべき耐熱性材料は、予め脱
脂処理(有機バインダーの熱分解処理)するか、又は、
耐熱性材料を予め脱脂処理しない場合は、残留有機物を
除去するために、焼結温度まで急速加熱する前に適当な
加熱手段(例えば、前処理用加熱コイル)にて、適当な
温度(例えば、焼結温度の200−700℃下の温度)
で所定時間(例えば、10分以上)保持し、有機物を飛
散させてもよい。
【0023】本発明の急熱急冷装置の加熱装置におい
て、高周波誘導コイル及び/又は加熱用容器は応答性の
優れた昇温手段であり、又、ガス噴射管は応答性の優れ
た降温手段である。それ故、高周波誘導コイル,加熱用
容器,ガス噴射管を適宜組み合わせて使用することによ
り、耐熱性材料の加熱温度を正確に設定することができ
る。
【0024】本発明の急熱急冷装置の冷却装置におい
て、高周波誘導コイルは応答性の優れた昇温手段であ
り、又、冷却用容器及び/又はガス噴射管は応答性の優
れた降温手段である。それ故、高周波誘導コイル,加熱
用容器,ガス噴射管を適宜組み合わせて使用することに
より、耐熱性材料のアニール温度を正確に設定すること
ができる。
【0025】本発明の急熱急冷装置の冷却装置におい
て、移送装置を使用することにより、耐熱性材料を加熱
装置から冷却装置に迅速に移送することができる。この
場合の移送方向は装置全体の構成に応じて任意(上下及
び/又は左右)に設定可能である。
【0026】本発明の急熱急冷装置における高周波誘導
コイル,加熱用容器,冷却用容器,ガス噴射管及び移送
装置の大きさ,形状,数,配置は、熱処理べき耐熱性材
料の種類(例えば、セラミック材料,金属材料,複合材
料),形態(例えば粉末状,成形体),大きさ,形状,
数等に応じて適宜選択する。
【0027】上述の様に、緻密化温度以上及び溶融温度
未満の範囲内の温度(例えば、焼結温度)への急速加
熱、焼結温度での所定時間保持、アニール温度まで急速
冷却、アニール温度で所定時間保持後の室温までの冷却
により、粗大粒子のない高強度セラミックス材料、及び
相互反応層の厚みを抑圧した高特性複合セラミックス材
料が得られる。
【0028】図1に、本発明の方法を使用して耐熱性材
料を急熱急冷する場合の温度パターンの一例を示す。図
1では加熱部及び冷却部(アニール部)は各々一つであ
るが、加熱部及び冷却部(アニール部)が各々複数ある
ような温度パターンであってもよい。
【0029】図2に、本発明の装置の一例である急熱急
冷焼結装置8の概略構成図を示す。図2において、1−
1高周波電源,1−2放射温度計,1−3高周波コイ
ル,1−4冷却ガス噴射管からなる部分は、試料(耐熱
性材料)の脱脂処理部である。2−1高周波電源,2−
2放射温度計,2−3高周波コイル,2−4冷却ガス噴
射管,2−5加熱用受皿,2−6受け台,2−7昇降移
送装置,2−8水平移送装置からなる部分は、試料の加
熱部である。3−1高周波電源,3−2放射温度計,3
−3高周波コイル,3−4冷却ガス噴射管,3−5冷却
用受皿,3−6受け台,3−7昇降移送装置,3−8水
平移送装置からなる部分は、試料の冷却部(アニール
部)である。4−1高周波電源,4−2放射温度計,4
−3高周波コイルからなる部分は、冷却ガスの温度調整
部(加熱部)である。5−1弁制御装置,5−2開閉制
御弁,5−3ガスタンク,5−4ガス供給管からなる部
分は、冷却ガスの供給部である。6−1昇降移送装置,
6−2試料保持ワイヤーからなる部分は、試料の移送部
である。最後に、7−1試料,7−2加熱板,7−3加
熱板からなる部分は、試料部である。
【0030】本発明の方法の具体的な適用例としては、
例えばジルコン酸チタン酸鉛の場合は、粒子の緻密化は
2分で終了するので、例えば微粒組織のバルクセラミッ
クス材料を作製するためには、10−10000℃/秒
での急速加熱、2分以下の時間の温度保持、及び10−
10000℃/秒の冷却速度が好ましい。
【0031】本発明の方法において耐熱性材料を所定温
度まで加熱した場合の、前記所定温度での保持時間を選
択するための基礎データーとして、図3に、拡散定数が
異なる複数の元素を含む耐熱性材料における焼結時間と
反応層厚みとの関係を示す。図3を利用すると、例えば
平均粒径又は平均厚み1μm以下の粒子,繊維,積層体
が複合された複合材料を各構成成分を相互に完全に反応
させることなく互いの特性が発現するように(複合特性
が発現するように)焼結するためには、例えば温度11
00℃で焼結できる材料において、含有される元素の拡
散定数が10-12 cm2 /秒(1100℃での値)の場
合は、10−10000℃/秒で急速加熱し、5分以下
の時間保持し、次いで10−10000℃/秒で急速降
温すれば、熱拡散反応層の厚みを0.5μm以下に押え
ることができ、各構成成分が残存するので複合特性が発
現し得ることが判る。
【0032】
【実施例】以下の実施例及び比較例により、本発明を更
に詳細に説明する。実施例1:高強度セラミック材料の作製 PbTiO3 −PbZrO3 −Pb(Ni1/3
2/3 )O3 組成系の粒径約0.4μmの圧電体粉末に
有機バインダー(PVA;ポリビニルアルコール)を2
重量%添加し、次いで1000kg/cm2 で直径12
mm,厚み3mmの円板形状にプレス成形した。次いで
この成形体を600℃に10時間加熱して脱脂処理し
た。その後、前記成形体の上部及び下部に白金板を密着
させ、本発明の装置にて、1℃/秒で600℃まで昇温
し、600℃で10分保持後、100℃/秒で1100
℃まで急速加熱し、所定時間(所定の焼結時間)保持
後、100℃/秒で600℃まで急速冷却した後、60
0℃で10分保持後、1℃/秒以下の冷却速度で室温ま
で冷却した。図4に、耐熱性材料からなる成形体の11
00℃での焼結時間を変化させた場合の密度の変化(1
100℃での収縮率の保持時間依存性)を示す。図4か
ら、成形体は保持時間2分で緻密化する(密度の増大が
飽和に達する)ことが判る。即ち、成形体の粒成長を起
こさないためには1100℃(焼結温度)で2分保持
後、急冷すれば良いことが判る。
【0033】比較例1:高強度セラミック材料の作製 0.1℃/秒で1100℃まで加熱し、1100℃で4
時間保持後、0.1℃/秒で室温まで冷却するという焼
結条件を採用したこと以外は実施例1と同様にして、比
較例1の成形体を作製した。1100℃で2分保持した
実施例1の成形体と1100℃で4時間保持した比較例
1の成形体とを比較すると、実施例1の成形体は粒成長
が起こらず、平均粒径は0.4μmであり、2軸曲げ強
度は150MPaと高かった。これに対して、比較例1
の成形体は平均粒径は5μmで実施例1の成形体よりも
粗大化しており、又、2軸曲げ強度は80MPaで実施
例1の成形体よりも低かった。
【0034】実施例1と比較例1との結果から、本発明
の方法及び装置により、微細組織を有する、従来材料よ
りも高強度な材料が作製できることが判った。
【0035】実施例2:高特性複合セラミック材料の作
焦電セラミックであるPb(Zro.92Ti0.08)O3
Pb(Zro.94Ti0.06)O3 の平均粒径0.7μm粉
末をそれぞれ作製し、重量比で50%−50%の割合で
混合した。この複合粉末に有機バインダー(PVB;ポ
リビニルブチラール)を2重量%添加し、次いで100
0kg/cm2 で直径12mm,厚み3mmの円板形状
にプレス成形した。この成形体を600℃で10時間加
熱して脱脂処理した。その後、前記成形体の上部及び下
部に白金板を密着させ、本発明の装置にて、1℃/秒で
600℃まで昇温し、、600℃で10分保持後、10
0℃/秒で1100℃まで急速加熱し、1100℃で5
分保持後、100℃/秒で600℃まで急速冷却した
後、600℃で10分保持後、1℃/秒以下の冷却速度
で室温まで冷却した。
【0036】比較例2:高特性複合セラミック材料の作
0.1℃/秒で1100℃まで加熱し、1100℃で4
時間保持後、0.1℃/秒で室温まで冷却するという焼
結条件を採用したこと以外は実施例2と同様にして、比
較例2の成形体を作製した。
【0037】図5に、焦電セラミックの温度と焦電係数
との関係を示す。図5から明らかなように、1100℃
で5分保持して作製した実施例2の成形体は、二つの成
分相互の反応が抑制されるため2重ピークを有する複合
焦電曲線を示すが、比較例2の成形体は二つの成分が相
互に反応するため2重ピークを有する複合焦電曲線を示
さず、単一ピークの焦電曲線を示す。なお、図示の都合
上、実施例2の焦電曲線は比較例2の焦電曲線に対し
て、焦電係数の数値で120(nC/cm2 K)だけ上
にずらして表示した。
【0038】実施例2の結果から明らかな如く、本発明
の装置により、複合焦電ピークを有する複合焦電セラミ
ックスを作製することができた。
【0039】
【発明の効果】本発明の急熱急冷方法を使用すると、所
定の温度パターンに基づいて耐熱性材料を急熱及び急冷
することができるため、耐熱性材料の緻密化した後の粒
成長を抑制することができ、又、耐熱性材料が異なる組
成の複数の成分からなる場合の異なる成分同士の反応を
抑制することができる。このため、本発明の方法を使用
すると、高強度な及び/又は複合特性を有する各種の材
料、例えば、微細結晶組織を有する高強度セラミックや
拡散抑制複合セラミックを容易に製造することができ
る。
【0040】本発明の急熱急冷装置は、耐熱性材料を処
理すべき所定の温度に容易且つ正確に設定し得る加熱装
置と冷却装置、並びに前記加熱装置と前記冷却装置との
間で耐熱性材料を移送可能な移送装置とからなるため、
耐熱性材料を所定の温度パターンで急熱後に所定の温度
パターンで迅速に急冷することができる。このため、本
発明の装置を使用して本発明の方法を好適に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を使用して耐熱性材料を急熱急冷
する場合の温度パターンの一例を示す図である。
【図2】本発明の装置の一例である急熱急冷焼結装置の
概略構成図である。
【図3】拡散定数が異なる複数の元素を含む耐熱性材料
における焼結時間と反応層厚みとの関係を示す図であ
る。
【図4】耐熱性材料からなる成形体の1100℃での焼
結時間を変化させた場合の密度の変化を示す図である。
【図5】焦電セラミックの温度と焦電係数との関係を示
す図である。
【符号の説明】
1−1高周波電源,1−2放射温度計,1−3高周波コ
イル,1−4冷却ガス噴射管;2−1高周波電源,2−
2放射温度計,2−3高周波コイル,2−4冷却ガス噴
射管,2−5加熱用受皿,2−6受け台,2−7昇降移
送装置,2−8水平移送装置;3−1高周波電源,3−
2放射温度計,3−3高周波コイル,3−4冷却ガス噴
射管,3−5冷却用受皿,3−6受け台,3−7昇降移
送装置,3−8水平移送装置;4−1高周波電源,4−
2放射温度計,4−3高周波コイル;5−1弁制御装
置,5−2開閉制御弁,5−3ガスタンク,5−4ガス
供給管;6−1昇降移送装置,6−2試料保持ワイヤ
ー;7−1試料,7−2加熱板,7−3加熱板;8急熱
急冷焼結装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性材料を10−10000℃/秒の
    加熱速度で緻密化温度以上及び溶融温度未満の範囲内の
    温度に加熱し、前記範囲内の温度で所定時間保持し、そ
    の後10−10000℃/秒の冷却速度でアニール温度
    まで急冷し、アニール温度で所定時間保持した後、室温
    まで冷却することを特徴とする急熱急冷方法。
  2. 【請求項2】 高周波誘導コイル,加熱用容器,ガス噴
    射管から選択された加熱手段を備えた、耐熱性材料を加
    熱するための加熱装置と、 高周波誘導コイル,冷却用容器,ガス噴射管から選択さ
    れた冷却手段を備えた、耐熱性材料を冷却するための冷
    却装置と、 耐熱性材料を前記加熱装置と前記冷却装置との間で移送
    可能な移送装置とからなることを特徴とする急熱急冷装
    置。
JP8158955A 1996-05-30 1996-05-30 急熱急冷方法及び装置 Pending JPH09315871A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020203829A (ja) * 2020-09-01 2020-12-24 日立金属株式会社 焼成容器内の温度制御方法

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