JP3424767B2 - ナノ結晶合金磁心およびナノ結晶合金磁心の熱処理方法 - Google Patents
ナノ結晶合金磁心およびナノ結晶合金磁心の熱処理方法Info
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Description
イル、可飽和リアクトル等の各種磁性部品に用いられる
優れた軟磁気特性を示すナノ結晶合金磁心、および大型
ナノ結晶合金磁心の熱処理方法、量産性に優ればらつき
を小さくすることが可能なナノ結晶合金磁心の熱処理方
法、および優れた軟磁気特性が得られるナノ結晶合金磁
心の熱処理方法に関する。
いられる磁心材料としては、フェライトやアモルファス
合金等の高周波特性に優れた高透磁率材料が使用され
る。また、ノイズフィルタ(ラインフィルタ)に用いら
れるコモンモ−ドチョ−ク用磁心材料としては高透磁率
特性を示すだけでなく雷等により発生する高電圧パルス
状ノイズによる機器の誤動作を防止するために、パルス
減衰特性に優れるものが要求されている。このような要
求に対して、従来のフェライト材料では飽和磁束密度が
低く磁気的に飽和しやすいため小型の磁心では十分な性
能が得られない問題がある。したがって、従来のフェラ
イト材料を用い十分な性能を得るためには磁心を大型に
する必要がある。
度が高く、高電圧パルス性ノイズに対してはフェライト
よりも優れた減衰特性を示すが、透磁率がCo基アモルフ
ァス合金より低く、低電圧レベルのノイズに対する減衰
量が十分でない欠点がある。また、磁歪が著しく大きい
ために周波数によっては磁歪振動による共振が生じ特性
が変化する問題や、可聴周波数成分がある電流がコイル
に流れる場合に磁心にうなりが生ずる問題がある。一
方、Co基アモルファス合金は高透磁率であるため、低電
圧レベルのノイズに対する減衰量が大きく優れている
が、飽和磁束密度が1T以下と低くFe基アモルファス合金
に比べて高電圧パルスに対する減衰特性が劣っている。
また、高透磁率のCo基アモルファス合金は経時変化が特
に大きく、周囲温度が高い環境では特性劣化が大きく信
頼性の点でも問題がある。
ンスに使用される磁心材料としては高透磁率で温度特性
に優れていることが要求される。透磁率は特に20kHz付
近の値が高いことが重要である。また、使用目的によっ
ては、角形比が低くフラットなB-Hル−プを示すものが
必要とされる。しかし、フェライト磁心やFe基アモルフ
ァス磁心では透磁率が低く小型化の要求に十分答えてい
る状況にはない。また、フェライトは温度特性が劣って
おり、特に室温以下で透磁率が急激に低下するという問
題もある。Co基のアモルファス合金は透磁率が高いもの
が得易いが、温度が高い場合の経時変化や価格が高い問
題がある。
等に用いられるマグアンプ用可飽和リアクトル用磁心と
しては高角形比で磁心損失が低く制御磁化特性に優れて
いることが要求される。現在、数100kHz以上の駆動周波
数のスイッチング電源の可飽和リアクトルには主にCo基
アモルファス磁心が使用されている。しかし、Co基アモ
ルファス磁心は原料に高価なCoを使用しており、部品価
格が上昇するため使用範囲が限定されている。
磁気特性を示すため、コモンモ−ドチョ−クコイル、高
周波トランス、漏電警報器、パルストランスや磁気スイ
ッチ等の磁心に使用されている。代表的組成系は特公平
4-4393や特開平1ー242755に記載の合金系等が知られてい
る。これらのナノ結晶合金は、通常液相や気相から急冷
し非晶質合金とした後、これを熱処理により微結晶化す
ることにより作製されている。液相から急冷する方法と
しては単ロ−ル法、双ロ−ル法、遠心急冷法、回転液中
紡糸法、アトマイズ法やキャビテーション法等が知られ
ている。また、気相から急冷する方法としては、スパッ
タ法、蒸着法、イオンプレ−ティング法等が知られてい
る。ナノ結晶合金はこれらの方法により作製した非晶質
合金を微結晶化したもので、非晶質合金にみられるよう
な熱的不安定性がほとんどなく、高飽和磁束密度、低磁
歪で優れた軟磁気特性を示すことが知られている。
からなる磁心を熱処理により製造する際、熱処理する材
料の量が多い場合、形状が大きい場合、製品の数が多い
場合には十分な軟磁気特性が得られないことがあること
が判明した。これは、通常のアモルファス合金の熱処理
では見られない現象であり、アモルファス合金を結晶化
し製造するナノ結晶合金に特有の問題である。我々はこ
の原因を調べた結果、熱処理する際結晶化が起こるため
磁心が発熱し、材料の温度が炉の設定温度より高くな
り、適正な熱処理条件をはずれるために起こる現象であ
ることが分った。この現象は、磁心のサイズが大きくな
ったり、個数が増える程顕著になり、量産においては大
きな問題となることが判明した。
製造するのに適する、量産性に優れ特性ばらつきの小さ
いナノ結晶合金磁心の熱処理方法を提供することを目的
とする。
めに本発明者らは、平均結晶粒径が100nm以下である結
晶粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金磁心
をアモルファス合金の結晶化を目的とする熱処理により
製造する工程において、炉内の雰囲気ガスを強制的に移
動させ、前記磁心表面温度を結晶化温度+150℃以下に
保つことにより大型磁心でも優れた軟磁気特性が得ら
れ、多量の磁心を熱処理しても特性のばらつきが小さ
く、量産性に優れ、優れた軟磁気特性のナノ結晶合金磁
心を製造することが可能であることを見いだし本発明に
想到した。
下である結晶粒が組織の少なくとも一部を占めるナノ結
晶軟磁性合金から構成され、磁心の厚さが7.5mm以上高
さが10mm以上である大型のナノ結晶合金磁心でも優れた
軟磁気特性が得られる。ここで、磁心の形状はたとえば
リング状、角型やレーストラック形状等の場合がある。
従来の磁心表面温度を考慮しない熱処理ではこのように
大型の形状の磁心では、保磁力の増大、比初透磁率の減
少や磁心損失の増加を招き、小型の磁心に比べて著しく
軟磁気特性が劣下するため本来の優れた軟磁気特性が実
現できなかった。
以上、高さが10mm以上の大型の磁心の場合に効果があ
り、磁心の重量が1kg以上高さが15mm以上の大きい磁心
に適用する場合に特に効果が著しい。また、本発明の熱
処理方法は大型磁心だけでなく、小型の磁心においても
一度に多数の磁心を熱処理する場合には有効な方法であ
り、小型の磁心の熱処理においても本発明は適用でき
る。このような熱処理を行なうことにより、大型の磁心
でも容易に10000以上の比初透磁率や、100kHz,0.2Tにお
いて磁路方向の磁場中熱処理を行った場合は1500kW・m-1
以下の磁心損失、無磁場熱処理や磁路と垂直方向に磁場
を印加し熱処理した場合は500kW・m-1以下の磁心損失が
容易に得られる。本発明において比初透磁率は周波数10
0Hz,測定磁場0.05A・m-1で測定した値で示した。
c結晶粒を主体とする合金であるが、前述のように、結
晶化熱処理の際に発熱が起こり磁心の温度が上昇し、こ
れが大型の磁心や多数の磁心を熱処理する場合に磁気特
性に影響を与えていることが判明した。通常のアモルフ
ァス合金の熱処理では結晶化が生じない条件で熱処理す
るためにこのような磁心の温度上昇は起こらず大型磁心
でもこの原因による著しい特性劣化は起こらなかった。
しかし、ナノ結晶合金では被熱処理合金磁心の温度は、
形状や一度に熱処理する数、配置により、熱処理炉の設
定温度よりも高くなる場合があり、これが磁気特性のば
らつきの原因になっていることが判明した。
試料の表面温度Taを結晶化温度Tx+150゜C以下にコント
ロ−ルすることにより、磁気特性のばらつきを小さくす
ることができることが分った。ここで、結晶化温度Txは
10゜C/minの昇温速度で示差走査熱量計(DSC)で測定
した場合の結晶化により発熱ピ−クが生じ始める温度で
ある。その1例を図1に示す。図中Txは結晶化温度、Tc
はアモルファス状態のキュリ−温度である。
のは、合金磁心表面がTX+150゜Cを超える温度となっ
た場合、急激に磁気特性の劣化、特に比初透磁率の低下
や磁心損失の増加が起こるためである。この劣下は結晶
粒径の増加も関係するが、化合物相が形成することがよ
り支配的である。特に磁心表面温度を結晶化温度+100
℃以下に保つと更に大型磁心や多量に磁心を熱処理する
場合でも安定な高特性を実現できるためより好ましい結
果が得られる。
の温度差を50℃以内となるように制御することにより容
易にナノ結晶合金磁心の磁気特性の劣化を防ぐことがで
きる。本発明において、Taを監視する方法として、磁
心表面に直接熱電対を接触させて設置する方法等が採用
可能である。
方法としてはこの他に種々の方法が採用できる。結晶化
温度近傍の昇温速度を5゜C/min以下とすることにより単
位時間当たりの結晶化による発熱を押さえ温度上昇を制
御する方法、結晶化温度近傍の温度に保持する期間を設
け結晶化が始まった後あるいは結晶化完了後に昇温し、
発熱による最高到達温度を低く抑える方法、結晶化が始
まった後に炉に投入する単位時間あたりのパワ−を減少
させるあるいは炉に投入するパワ−を零とする期間を設
ける方法等が考えられる。更には、磁心表面、表面近
傍、あるいは内部に温度センサ−たとえば熱電対を配置
し、その信号により炉の温度を制御する方法である。
ることは、磁心表面からの結晶化により発生する熱の放
熱を良くすることができるため、磁心内部の温度をより
低く保つことができ、より好ましい結果を得ることがで
きる。このような効果はアモルファス合金の熱処理では
認められず、アモルファス合金を熱処理により結晶化さ
せて製造するナノ結晶合金磁心の場合においてのみ顕著
に見いだされたものである。
もに他の場所から炉内のガスを排出し、炉内の雰囲気ガ
スを強制的に移動させることも同様な効果を得ることが
できる。炉外から雰囲気ガスを導入することにより、よ
り磁心表面からの放熱を良好とし、大型形状の磁心でも
特性を劣下しにくくすることが可能である。炉外から雰
囲気ガスを導入する期間は全期間である必要はなく結晶
化のための熱処理の期間で十分である。炉内の雰囲気ガ
スをファン等で強制的に攪拌させ移動させることも磁心
表面からの放熱を良好にできるため同様な効果を得るこ
とができる。
ら選ばれた少なくとも1種のガスが特に軟磁気特性の劣
化が小さく望ましいが、必要に応じてその他のガスある
いは大気中で熱処理しても良い。雰囲気ガスは水分の含
有が少ないドライなものが望ましく、酸素量も0.5%以下
が望ましい。より好ましい酸素量は0.1%以下である。特
に好ましくは0.01%以下である。
の差が50℃以下になるように雰囲気ガスの炉内移動量を
調整する機構を設けることにより、形状が大きくなった
場合にも容易に対応可能となり特性劣下を防止できる。
特にナノ結晶合金磁心表面温度と炉の設定温度の差が10
゜C以下である場合は特性の劣化および特性のばらつき
が非常に小さく非常に好ましい結果が得られる。
理することにより各磁心の放熱が良くなり各磁心から発
生した熱による温度上昇を低く抑えることが可能とな
る。隙間は磁心1個ずつが最も良いがスペ−スを取るた
め生産性の観点から何個かおきに設けても良い。
するナノ結晶合金磁心の製造方法において結晶化温度に
相当する温度での昇温速度を5゜C/min以下となるように
昇温し、少なくとも50%以上が結晶となった温度から冷
却することにより、大型磁心においても優れた軟磁気特
性が得られる。より好ましくは2゜C/min以下である。こ
の場合は特に大きな形状の磁心に対しても軟磁気特性の
劣下を抑えることができる。
を印加し、かつ磁場を印加する期間の少なくとも一部の
期間において前記合金中に結晶が部分的あるいは全部形
成しているような処理をした場合にはB-Hル−プの形状
を変えることができる。磁心の磁路方向に磁場を印加す
る場合は可飽和リアクトル等に適する高角形比の角形性
の良いB-Hル−プ、磁心の磁路と垂直方向に磁場を印加
する場合はパルストランス、カレントトランス等の各種
トランスやチョ−クコイルに適する角形比が低くフラッ
トなB-Hル−プが得られる。
ら15μmの範囲にある薄帯であることを特徴とするナノ
結晶合金薄帯から構成された磁心が適している。板幅が
10mm以上の薄帯であるナノ結晶合金から構成された巻磁
心において特に本発明熱処理の効果が顕著に現れる。こ
の理由は、巻磁心においては磁心の側面から熱が逃げや
すいため幅の狭い薄帯を使用した場合は磁心の内部の温
度上昇を低く抑えられ本発明のような熱処理を行わなく
ても軟磁気特性の劣下が小さいためである。しかし、板
幅が10mm以上となってくると磁心内部の温度が上昇しや
すくなり本発明の熱処理方法が有効となる。
れる場合がある。層間絶縁はたとえばSiO2,MgO,Al2O3の
粉末や膜を用いることができるがこれに限定されるもの
ではない。これは特に高周波における渦電流の影響を低
減し、透磁率や磁心損失を改善するのに有効である。
ミック製のコアケ−スに入れて使用される場合が多い。
また、コ−ティングや含浸を行い使用する場合もある。
また、場合によってはギャップを形成したり、カットコ
アにして使用される場合もある。この場合、ギャップの
影響で前記磁気特性が得られない場合もあるが本発明熱
処理を行っている限り本発明磁心に含まれるのはもちろ
んである。
説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
なる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、幅6.5mm厚さ1
8μmのアモルファス合金を得た。このアモルファス合金
を外径25mm、内径10mmに巻回し、トロイダル磁心を作製
した。この合金の結晶化温度Txを測定したところ480゜C
であった。
熱処理炉に挿入し、10min保持した後、表1に示す昇温
速度で550゜Cまで昇温し、1時間保持後炉から取りだし空
冷した。 また、550゜Cに保持した炉に前記トロイダル
磁心を挿入し、1時間保持後炉から取りだし冷却する急
加熱のテストも行った。得られた昇温速度と試料表面温
度の関係を表1に示す。
内温度を一定に保っても、試料の表面温度は上昇する。
このようにして得られた合金の組織は約10nmの平均粒径
の結晶粒により占められていた。
す。表1から分るように、試料の表面温度TaがTX+15
0℃(すなわち、本実施例では630℃)を超えたものは急激
に比初透磁率μiが低下することが分る。特に磁心表面
温度TaがTX+100℃以下(580℃以下)の場合は80000を越
える比初透磁率が得られており、特に優れた特性が得ら
れることが分かる。
例1と同形状の磁心を図2に示すように磁心の厚み方向
に25個接触するように並べ、Arガス雰囲気、450℃の熱
処理炉に挿入し、10min保持後、2.5℃/minで550℃まで
昇温した。炉温が550℃に達した後、磁路と垂直な方向
に3000Oeの磁場を印加し、1時間保持後450℃まで炉内冷
却し、この時点で磁場を切って炉外に取りだし空冷し
た。これら25個の磁心のうち、磁心表面温度が最も上昇
した厚み方向の中央に位置する磁心の外周面の表面温度
の変化を図2に示す。また、この時の磁心の比初透磁率
(以下μiと示す)を図4に示す。
の位置を示している。これらの図より、このような熱処
理条件では磁心の温度上昇は小さく表面温度はTx+150
゜Cを超えず、μiの低下もほとんど起こらないことが分
る。比較として前記の熱処理条件のうち昇温速度だけを
10゜C/minに変更し熱処理を行った。これらの組織は参
考例1のものと同様であった。比較例の25個の磁心のう
ち、厚み方向中央に位置するものと端部に位置するもの
の外周面の表面温度の変化を図3に示す。またこの時の
μiを図5に示す。このように昇温速度の早いものでは
最も熱の拡散の遅れる中心部の磁心に表面温度の大きな
上昇がみられ、μiも低下することが分った。
例1と同形状の磁心を図6に示すように磁心の厚み方向
にそれぞれ5mmの間隔をあけて、25個並べ、窒素ガス雰
囲気、450゜Cの熱処理炉に挿入し、10min保持後、10゜C
/minで550゜Cまで昇温した。炉温が550゜Cに達した後、
磁路と垂直方向に3000Oeの磁場を印加し、1時間保持
後、450゜Cまで炉内冷却し、この時点で磁場を切って炉
外に取りだし空冷した。それぞれの磁心の最高表面温度
とμiは参考例2の昇温速度2.5゜C/minの場合とほぼ同
じとなり、昇温速度を上げても十分に放熱できるような
間隔をあけることによって、表面温度の上昇を防ぎ、μ
iの低下を防ぐことができることが分かった。
m、厚さ19mmのアモルファス合金を作製し、外径75mm、
内径50mmに巻回しトロイダル磁心とし熱処理を行った。
各組成の合金の熱処理条件と比初透磁率μiを表2に示
す。
の表面温度がTx+150゜C以下の場合はNo.8からNo.11に見
られるように実効透磁率の低下は少ないが、試料No.12
のようにTx+150゜Cを超えると実効透磁率が著しく低下
することが分かる。
なる合金溶湯から単ロ−ル法により幅15mm、厚さ18μm
のアモルファス合金を作製した。この合金の結晶化温度
Txは510゜Cであった。この合金薄帯を巻回し、外径75m
m、内径50mmのトロイダル磁心を作製した。この磁心を5
30゜Cに保った炉に入れ8時間保持後、室温まで空冷し
た。この際の最高表面温度は590゜Cであった。次にこの
磁心を550゜Cに保った炉内に導入し、1時間後に取出し
空冷した。この時の最高表面温度は550゜Cであり、この
2段急加熱によるμiは98000であった。熱処理後の合金
は平均粒径が100nm以下である結晶粒が組織のほとんど
を占めていた。
なるトロイダル磁心を550゜Cに保った炉に入れ、1時間
保持後空冷する1段急加熱を行った場合、μiは4000、最
高表面温度は665゜Cであり、参考例よりも劣っていた。
このように低温で結晶化を行い、更に高温で熱処理を行
う2段の熱処理を行うことにより、磁心の温度上昇を低
減でき比初透磁率の低下を防止できることが分る。
らなる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、幅5mm〜50m
m、厚さ18μmのアモルファス合金薄帯を作製した。この
合金の結晶化温度Txは510゜Cであった。次に、この合金
を外径500mm、内径400mmに巻回し、トロイダル磁心を作
製した。なお、その際薄帯の片面にSiO2粉末を添付し層
間絶縁を行った。次にこの磁心を図7に示す本発明に係
わる熱処理パタ−ンと図8に示す従来の熱処理パタ−ン
で熱処理した。熱処理後の合金は粒径約12nmの微細な結
晶粒が組織のほとんどを占めていた。表3に得られた磁
気特性を示す。
との特性差が顕著であり本発明熱処理が有効であること
が分かる。特に磁心高さが15mm以上ではその効果が著し
く大きい。
からなる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、幅25mm、
厚さ18μmのアモルファス合金薄帯を作製した。次に、
この合金を外形200mm、内径135mmに巻回し、トロイダル
磁心を作製した。磁心の重量は1.0kgであった。なお、
その際薄帯の片面をSiO2で層間絶縁した。次にこの磁心
を図9に示すパタ−ンで窒素ガス雰囲気中で熱処理し
た。一つは窒素ガスを炉内で強制的に移動させず熱処理
し、もうひとつは10l/minの流量で窒素ガスを外部から
導入し、反対方向からガスを出し、炉内のガスが強制的
に移動できるようにした。更にもうひとつは窒素ガスを
炉内に導入し置換した後炉内にファンを設置し強制的に
炉内の雰囲気ガスを移動させた。得られた結果を表4に
示す。
理を適用することにより大型磁心においても優れた軟磁
気特性を実現することが可能である。
質的にFeからなる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、
幅15mm、厚さ18μmのアモルファス合金薄帯を作製し
た。次に、この合金を外形200mm、内径150mmに巻回し、
トロイダル磁心を作製した。なお、その際薄帯の片面に
SiO2を付けて層間絶縁を行った。次にこの磁心をヘリウ
ムガス雰囲気で図10に示す熱処理パタ−ンで熱処理し
た。この際、磁心表面に熱電対をつけその出力で炉のパ
ワ−をコントロ−ルし、磁心表面温度と炉の設定温度が
50゜C以内になるようにコントロ−ルした。熱処理後の
合金は粒径約12nmの微細な結晶粒が組織のほとんどを占
めていた。
失を測定した。制御を行った場合、μi=101000、100kH
z,0.2Tにおける磁心損失Pc=280kW・m-3が得られた。
制御を行わず急加熱した場合、μi=4500、100kHz,0.2
Tにおける磁心損失Pc=610kW・m-3が得られ、本発明の
有効性が確認された。また、磁路方向に400A・m-1の磁
場を印加し熱処理を行ったところ、参考例の場合角形比
94%、Pc=1000kW・m-3が得られたが、従来の熱処理で
は角形比89%、Pc=1600kW・m-3しか得られず本発明が磁
場中熱処理した場合にも有効であることが確認された。
質的にFeからなる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、
幅12.5mm、厚さ16μmのアモルファス合金薄帯を作製し
た。次にこの合金を外径35mm、内径12mmに巻回し、トロ
イダル磁心を作製した。なお、その際薄帯の片面にSiO2
を付けて層間絶縁を行った。次にこの磁心を実施例1と
同様の熱処理パタ−ンで炉外から炉内に雰囲気ガスを導
入し反対側から排出し炉内の雰囲気ガスを移動させなが
ら熱処理を行った。この際、導入する雰囲気ガスの流量
を変えて検討を行った。熱処理後の合金は粒径約12nmの
微細な結晶粒が組織のほとんどを占めていた。得られた
結果を表5に示す。
リットル/min以上で良好となることが分かる。特に10リ
ットル/min以上では著しく改善される。また、昇温中だ
け雰囲気ガスを流してもほぼ同等の特性が得られた。温
度を測定したところナノ結晶合金磁心表面温度と炉の設
定温度の差は50℃以下であった。
質的にFeからなる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、
幅12.5mm、厚さ16μmのアモルファス合金薄帯を作製し
た。次にこの合金を外径32mm、内径15mmに巻回し、トロ
イダル磁心を作製した。なお、その際薄帯の片面にSiO2
を付けて層間絶縁を行った。次にこの磁心を図11の熱
処理パタ−ンで昇温速度sを変え窒素ガス雰囲気中で熱
処理を行った。熱処理後の合金は粒径約12nmの微細な結
晶粒組織を有していた。得られた結果を表6に示す。
透磁率μiの低下が起こり大型の磁心を熱処理する場合
は好ましくない。
れる優れた軟磁気特性を示す大型ナノ結晶合金磁心の熱
処理方法、量産性に優ればらつきを小さくすることが可
能なナノ結晶合金磁心の熱処理方法、および優れた軟磁
気特性を示す大型のナノ結晶合金磁心および量産レベル
の多数のナノ結晶合金磁心を提供することができるため
その効果は著しいものがある。
SC)で測定したDSC曲線を示す図。
を示す図。
を示す図。
図。
図。
図。
Claims (14)
- 【請求項1】 平均結晶粒径が100nm以下である結晶粒
が組織の少なくとも一部を占めるナノ結晶合金磁心をア
モルファス合金の結晶化熱処理により製造する工程にお
いて、炉内の雰囲気ガスを強制的に移動させ、前記磁心
表面温度を結晶化温度+150℃以下に保つことを特徴と
するナノ結晶合金磁心の熱処理方法。 - 【請求項2】 炉外から炉内に雰囲気ガスを導入すると
ともに他の場所から炉内のガスを排出し、炉内の雰囲気
ガスを強制的に移動させることを特徴とする請求項1に
記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。 - 【請求項3】 炉内の雰囲気ガスを強制的に攪拌させ移
動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記
載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。 - 【請求項4】 炉外から雰囲気ガスを導入する期間を結
晶化のための熱処理の期間とする請求項2に記載のナノ
結晶合金磁心の熱処理方法。 - 【請求項5】 雰囲気ガスが窒素、アルゴン、ヘリウム
から選ばれた少なくとも1種のガスである請求項1乃至
請求項4のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理
方法。 - 【請求項6】 磁心表面温度を結晶化温度+100℃以下
に保つことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれ
かに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。 - 【請求項7】 結晶化温度近傍の昇温速度を5℃/min以
下とすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいず
れかに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。 - 【請求項8】 結晶化温度近傍の温度に保持する期間を
設け結晶化が始まった後に昇温し一定温度に保持あるい
は保持なしで冷却することを特徴とする請求項1乃至請
求項7のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方
法。 - 【請求項9】 結晶化温度以上の温度に保持する期間を
設け結晶化が始まった後に炉に投入する単位時間あたり
のパワ−を減少させるあるいは炉に投入するパワ−を零
とする期間を設けることを特徴とする請求項1乃至請求
項8のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方
法。 - 【請求項10】 熱処理する磁心表面、磁心表面近傍、
あるいは磁心内部に温度センサ−を配置し、その信号に
より熱処理炉の温度を制御することを特徴とする請求項
1乃至請求項9のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心の
熱処理方法。 - 【請求項11】 ナノ結晶合金磁心の間に隙間をあけ
る、あるいはスペ−サとなる物を磁心間に配置し熱処理
することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれ
かに記載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。 - 【請求項12】 熱処理期間の少なくとも一部の期間に
磁場を印加し、かつ磁場を印加する期間の少なくとも一
部の期間において前記合金中に結晶が部分的に形成ある
いは実質的に結晶となっていることを特徴とする請求項
1乃至請求項11のいずれかに記載のナノ結晶合金磁心
の熱処理方法。 - 【請求項13】 磁場を印加する方向が磁心の高さ方向
あるいは径方向であることを特徴とする請求項12に記
載のナノ結晶合金磁心の熱処理方法。 - 【請求項14】 磁場を印加する方向が磁心の磁路方向
であることを特徴とする請求項12に記載のナノ結晶合
金磁心の熱処理方法。
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