JPH09315692A - 長尺絶縁基材用リール - Google Patents

長尺絶縁基材用リール

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JPH09315692A
JPH09315692A JP13374496A JP13374496A JPH09315692A JP H09315692 A JPH09315692 A JP H09315692A JP 13374496 A JP13374496 A JP 13374496A JP 13374496 A JP13374496 A JP 13374496A JP H09315692 A JPH09315692 A JP H09315692A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リールに巻き取られた長尺絶縁基材が施した
処理のため収縮して巻き締まっても、長尺絶縁基材にそ
の巻き取り始端の段差による傷ができることを防止す
る。 【解決手段】 リール1は、金属リング2と、2枚の円
板状の鍔部3a,3bと、鍔部3a,3bを軸心が一致
するように連結する軸部材4と、鍔部3a,3b間に介
装される円筒状の補強部材5とから構成される。金属リ
ング2は、円環状をなすように両端を交差させた帯状の
アルミプレート7の両端の2本の支持ロッド8,9を鍔
部3a,3bに固定することで、鍔部3a,3bに対し
て取付けられている。長穴11を介して位置決めネジ1
2の締結位置を変更して鍔部3bに対する支持ロッド9
の固定位置を変更することで、金属リング2の径が変更
可能となっている。リール1に巻き取られた長尺絶縁基
材を収縮させるような処理を施す前に、金属リング2の
径を小さく変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルムキャリア
等の製造過程で使用する長尺絶縁基材を巻き取るための
長尺絶縁基材用リールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】フィルムキャリアは、電子機器の小型化
・薄型化に対応できいるため、電子部品を搭載する回路
基板として広い分野で利用されている。フィルムキャリ
アの製造方法として、リールに巻き取られた長尺絶縁基
材(エポキシガラステープ等)を他のリールに巻き取り
ながらその長尺絶縁基材に対し連続的に所定の加工処理
を施していく、いわゆるリール・トゥ・リール方式の製
造方法が知られている。
【0003】図7はリール・トゥ・リール方式による製
造工程の一つで、長尺絶縁基材に銅箔テープを貼り付け
る工程を示す。リール51に巻き取られた長尺絶縁基材
Aを他方のリール52に巻き取りながら、その接着剤面
に銅箔テープBを連続的に貼り合わせていき、貼り合わ
せた長尺絶縁基材Aと銅箔テープBを一対のローラ54
で熱圧着して密着させる。こうして銅箔テープBを貼り
付けた状態の長尺絶縁基材Aが巻き取られたリール52
は、オーブン炉の中で接着剤を硬化させるため所定加熱
温度で保持される。
【0004】従来、リール51(52)は図8のような
構造を有していた。すなわち、リール51はテープ状の
長尺絶縁基材Aを巻き取るための円筒状の芯部55と、
芯部55の周面に巻き取られた長尺絶縁基材Aを幅方向
にガイドするため所定間隔を隔して軸部56により連結
固定された一対の円板状の鍔部57とから構成される。
軸部56にはリール51を支柱58(図7に示す)に挿
通支持するための挿通穴56aが形成されており、リー
ル51は挿通穴56aを介して支柱58に一体回転可能
に取付けられる。通常、長尺絶縁基材Aはその巻き取り
始端を、図8に示すようにセロハンテープ等の固定手段
59を用いて芯部55の周面に固定し、芯部55に巻き
取っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、図9に示すよ
うに、長尺絶縁基材Aの巻き取り始端固定位置にはその
厚みによる段差dができる。巻き取るだけであれば段差
dはさほど問題にはならない。しかし、接着剤を硬化さ
せる加熱処理時に、接着剤の硬化収縮により収縮した長
尺絶縁基材Aが芯部55の周面に強く締めつけられるた
め、段差dに対応する部位に数層に亘って段差dに起因
する傷(跡)が入っていた。傷が入った部分は不良とな
るためそれだけ生産性の低下をもたらすという問題があ
った。また、その傷により不良箇所が増えると、それだ
け検査を慎重に行わなければならず、検査時間や検査回
数を増やすなどの対処が必要となり、このことも生産性
の低下の原因となる。
【0006】この対策として、接着剤の硬化のための加
熱処理を施す前に長尺絶縁基材Aをリールを使わず緩く
巻き取るだけ(ルーズ巻き)とし、このルーズ巻きの長
尺絶縁基材Aに加熱処理を施すようにしていた。この方
法によると、加熱処理時に収縮してもルーズ巻きである
ため締めつけられることがないので、長尺絶縁基材Aに
傷が付くすることはない。しかし、長尺絶縁基材Aを緩
く巻き取る作業が人手によらなければないうえ、巻き取
り時に長尺絶縁基材Aが擦れ合って傷が付くという別の
問題を引き起こしていた。従って、この方法を採用して
も、歩留りの向上を図ることは困難であった。
【0007】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、長尺絶縁基材をリールに巻き
取ったまま施される処理時に、長尺絶縁基材が収縮して
も、リールに巻き取られた長尺絶縁基材にその巻き取り
始端の段差に起因する傷が付くことを防止することがで
きる長尺絶縁基材用リールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め請求項1に記載の発明では、長尺絶縁基材を巻き取る
ための略円筒状の芯部と、該芯部に巻き取られた前記長
尺絶縁基材を幅方向にガイドするための一対の鍔部とを
備えた長尺絶縁基材用リールであって、前記芯部は前記
長尺絶縁基材が巻き取られる周面の径が変更可能に設け
られている。
【0009】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の長尺絶縁基材用リールにおいて、前記芯部は、前記
長尺絶縁基材を巻取可能な周面を形成するように円環状
をなして前記鍔部に取付けられる帯体であって、前記鍔
部に対する該帯体の両端固定位置の少なくとも一方がそ
の周面の径を変更可能に位置変更可能に設けられてい
る。
【0010】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の長尺絶縁基材用リールにおいて、前記一対の鍔部の
間には該鍔部を所定間隔に保持させる補強部材が前記帯
体の内側に設けられており、該補強部材は前記鍔部の軸
心に対して前記帯体の両端固定部位と反対側に偏心して
配置されている。
【0011】請求項4に記載の発明では、請求項1に記
載の長尺絶縁基材用リールにおいて、前記芯部は、前記
長尺絶縁基材が巻き取られる周方向に複数分割された小
部材群と、該小部材群を半径方向に個々に移動可能に案
内する案内部材と、該小部材群を少なくとも径が大きく
なる位置で前記案内部材に対して位置規制する規制手段
とを備えている。
【0012】従って、請求項1に記載の発明によれば、
長尺絶縁基材は、径を大きくした芯部の周面に対し、幅
方向に一対の鍔部にガイドされた状態で巻き取られる。
この巻き取った長尺絶縁基材に対して収縮を伴うような
処理をリールごと施す場合には、芯部の径を小さく変更
して長尺絶縁基材が芯部の周面に緩く巻き取られた状態
とされてから、その処理は施される。この処理中、長尺
絶縁基材は収縮しようとするが、長尺絶縁基材は芯部に
緩く巻き取られた状態にあるため、長尺絶縁基材は収縮
しても芯部の周面に強く締めつけられることがない。従
って、長尺絶縁基材にその巻き取り始端の段差に起因す
る不良となる傷(跡)が形成されることが回避される。
また、この処理終了後、芯部の径を大きくすることによ
り、長尺絶縁基材の緩みは取り除かれる。そのため、そ
の後の加工工程でリールに巻き取られたまま回転されて
も、長尺絶縁基材に擦れ傷が発生することはない。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、帯体が長
尺絶縁基材を巻取可能な周面を形成するように円環状を
なし、周面の径を変更可能にその両端が鍔部に対して位
置変更可能に固定されることにより芯部が形成される。
そのため、鍔部に対する帯体の両端のうち少なくとも一
端の固定位置を変更することにより、長尺絶縁基材が巻
き取られる大径と、長尺絶縁基材の処理時にそれを緩く
巻き取った状態とする小径とに帯体の周面の径を変更す
ることが可能となる。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、一対の鍔
部の間に該鍔部を所定間隔に保持するため前記帯体の内
側に設けられた補強部材は、鍔部に対して帯体の両端固
定部位と反対側に偏心して配置される。そのため、帯体
の鍔部に対して固定されない側、すなわち帯体の周面の
径の変更時に半径方向に変位する部位が補強部材に当接
して所定量以上のずれが規制されることにより、帯体が
鍔部に対してその軸心と直交する面方向に例えば変形な
どのために大きくずれることが抑えられる。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、長尺絶縁
基材が巻き取られる周方向に分割された芯部を構成する
小部材群は、規制手段により径が大きくなる状態に保持
され、この状態で長尺絶縁基材の巻き取りが行われる。
規制手段が解除されると、小部材群が案内部材に案内さ
れて半径方向中心側に移動可能となり、長尺絶縁基材が
緩く巻かれた状態となるように、芯部の径が小さくな
る。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)以下、本発明を具体化した第1実施形
態を図1〜図4に従って説明する。
【0017】図1〜図3に示すように、長尺絶縁基材用
リールとしてのリール1は、芯部及び帯体としての金属
リング2と、2枚の円板状のアルミニウム製の鍔部3
a,3bと、鍔部3a,3bを両者の軸心が一致するよ
うに固定する軸部材4と、鍔部3a,3bを所定間隔に
保持するため介装される円筒状の補強部材5とから構成
される。
【0018】図1,図3に示すように、軸部材4は、各
鍔部3a,3bにそれぞれ固定された2つの略円筒状の
ブロック4a,4bから構成されており、その先端が嵌
合状態で固定されることにより、鍔部3a,3bは一体
的に固定されている。図1〜図3に示すように、軸部材
4にはリール1を支持するための支柱(図示せず)を通
すための挿通穴6が形成されており、挿通穴6の回りに
は支柱に対してリール1を一体回転可能に固定する係止
ピン(図示せず)を差し込むための複数個の穴4c(図
2,図3に示す)が形成されている。複数個の穴4cの
うちいずれか1つに係止ピンが挿通される。
【0019】金属リング2は、帯状のアルミプレート7
と、アルミプレート7の両端部に固定された2本の支持
ロッド8,9とからなる。図1,図4に示すように、ア
ルミプレート7はその第1端部側に形成された開口7a
に、第1端部側の幅よりも細く形成された第2端部側の
延出部7bを挿通させることにより円環状をなしてお
り、延出部7bはその先端に固定された支持ロッド9に
より開口7aから抜け止めされている。金属リング2
は、鍔部3aに対して支持ロッド8をビス10により締
結固定するとともに、鍔部3bに形成された長穴11を
介して外側から位置決めネジ12が支持ロッド9に締結
固定されることで、両鍔部3a,3bに対して固定され
ている。つまり、金属リング2は2本の支持ロッド8,
9がぞれぞれ鍔部3a,3bに対してビス10,ネジ1
2により2箇所で固定されることにより鍔部3a,3b
に取付けられている。
【0020】位置決めネジ12による支持ロッド8の固
定位置を長穴11に沿って変更することにより、金属リ
ング2の径が変更可能となっている。すなわち、支持ロ
ッド9を支持ロッド8に近づけた図4(a)に示す状態
で位置決めネジ12を固定することにより、金属リング
2の径が大きく調節され、支持ロッド9を支持ロッド8
から離間させた図4(b)に示す状態で位置決めネジ1
2を固定することにより、金属リング2の径が小さく調
節されるようになっている。
【0021】本実施形態では、図4(a)に示すように
金属リング2の径を大きくした状態で長尺絶縁基材Aを
巻き取り、接着剤硬化のための加熱処理は、金属リング
2の径を小さくした図4(b)に示した状態で行われる
ようになっている。長尺絶縁基材Aの巻き取り始端は、
支持ロッド8が固定された金属リング2の第1端部側周
面上にカプトンテープ等により接着固定されるようにな
っており、位置決めネジ12を図4(a)の状態から図
4(b)の状態にその固定位置を移動させて金属リング
2の径を小さく調節したときに、金属リング2と長尺絶
縁基材Aとの間に隙間ができるようにしている。
【0022】補強部材5は、金属リング2と同程度の幅
を有した円筒状の部材であり、金属リング2だけでは強
度的に鍔部3a,3bを所定間隔に保持し切れない恐れ
があるため、補強のため図1〜図3に示すように金属リ
ング2の内側において長穴11側と反対側に偏心した状
態で鍔部3a,3b間に介装されるように鍔部3aに対
して複数のビス13(図3に示す)により固定されてい
る。
【0023】金属リング2はその両端の2箇所で鍔部3
a,3bに対して固定されているだけであり、金属リン
グ2の変形などのためその反対側部位が鍔部3a,3b
の面方向にずれる恐れがあるため、金属リング2の軸心
が鍔部3a,3bの軸心に対してずれないようにガイド
する意味から補強部材5を偏心させている。そのため、
補強部材5は、金属リング2を長穴11の範囲内で最小
径にしたときに金属リング2の長穴11と反対側部位に
軽く接する程度の位置に配置されている。
【0024】また、補強部材5を長穴11に対して反対
側に偏心させることでリール1の重心をずらせることに
より、空(送出先)のリール1を支柱に挿通支持したと
き、長尺絶縁基材Aの巻き取り始端の固定箇所である金
属リング2の両端交差部側(長穴11側)が上側にくる
ようにリール1が回転して止まるようにしている。な
お、金属リング2はリール1の許容巻取重量の長尺絶縁
基材Aの巻き取りに耐えるだけの強度を有している。ま
た、本実施形態では位置決めネジ12の調節位置により
金属リング2の直径がリール1の直径に対して約2%程
度(例えば金属リング径約300mmに対して5mm程
度の割合)変更可能となっている。
【0025】次に、上記のように構成されたリール1の
作用を説明する。通常の巻き取り使用目的でリール1を
使用するときには、図4(a)に示すように位置決めネ
ジ12を長穴11の左端に位置させた状態で支持ロッド
9を鍔部3bに固定し、金属リング2の径を大きくした
状態で使用する。金属リング2は、巻き取られた長尺絶
縁基材Aの重量等のため変形してその固定端と反対側と
なる部位が鍔部3a,3bの面方向に変位しても、鍔部
3a,3bに対して偏心する補強部材5の外周面に当接
してそれ以上ずれないようにガイドされるため、鍔部3
a,3bの面方向において金属リング2が大きくずれる
ことが防止される。
【0026】リール・トゥ・リール方式により長尺絶縁
基材Aに銅箔テープBを貼り付ける工程を施す場合、送
出元のリール1に巻き取られた長尺絶縁基材Aの巻き取
り始端を、送出先の空リール1の大径とされた金属リン
グ2の周面上にカプトン(ポリイミド)テープ等で固定
する。
【0027】このとき、支柱に挿通支持された送出先の
空リール1は、偏心した補強部材5による偏心した重心
のため金属リング2の両端交差部側(長穴11側)が上
側にくる状態で回転して停止する。そのため、長尺絶縁
基材Aの巻き取り始端を空リール1に固定する箇所が上
側にくるので、その巻き取り始端を金属リング2の外周
面に固定する固定作業がし易くなる。長尺絶縁基材Aの
巻き取り始端はポリイミドテープ等により金属リング2
の第1端部側に固定される。
【0028】こうして送出元のリール1から送出先のリ
ール1に長尺絶縁基材Aを巻き直すリール・トゥ・リー
ル方式の工程により、長尺絶縁基材Aに対する銅箔テー
プBの貼り付けが行われる。そして、銅箔テープBが接
着剤を介して貼り付けられた長尺絶縁基材Aの送出先リ
ール1への巻き取りが終わると、そのリール1をオーブ
ン炉中に入れて接着剤を硬化させる加熱処理が施され
る。
【0029】オーブン炉に入れる前に、リール1の金属
リング2の径を小さくする。すなわち、図4(a)に示
す位置にある位置決めネジ12を緩めるとともに長穴1
1に沿って同図左方向へ位置決めネジ12を移動させ、
支持ロッド9を支持ロッド8から離間する方向に移動さ
せることにより金属リング2の径を小さくする。そし
て、図4(b)に示す位置で位置決めネジ12を締結
し、金属リング2を小径に保持する。その結果、金属リ
ング2に巻き取られた長尺絶縁基材Aと金属リング2と
の間に隙間ができ、長尺絶縁基材Aが金属リング2に対
して緩く巻き取られた状態となる。この状態でリール1
はオーブン炉の中に入れられる。
【0030】この加熱処理中において、長尺絶縁基材A
は接着剤の硬化収縮により収縮して巻き締まる。しか
し、長尺絶縁基材Aは金属リング2に対して緩く巻き取
られた状態にあるため、長尺絶縁基材Aは収縮しても金
属リング2の外周面に強く締めつけられることはない。
従って、長尺絶縁基材Aにその巻き取り始端の段差に起
因する傷(跡)が付くことはない。よって、フィルムキ
ャリアの生産に使用できない不良部分が少なくなり、生
産性の向上に寄与する。
【0031】こうして加熱処理(接着剤硬化処理)が終
わると、位置決めネジ12を長穴11に沿って図4の右
方向に戻して金属リング2の径を大きくし、長尺絶縁基
材Aが金属リング2に対して緩みなく巻き取られた状態
とし、次の工程に運ばれる。なお、加熱処理後に大径に
戻された金属リング2の径は、加熱処理による長尺絶縁
基材Aの収縮分だけは初期の径より若干小径となってい
る。
【0032】これ以降の工程で同じようにリール・トゥ
・リール方式による工程が実施されても、リール1に巻
き取られた長尺絶縁基材Aに緩みがないので、緩んだと
きにできる回転擦れによる擦れ傷がつくこともない。
【0033】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下に示す効果を得る。 (a)長尺絶縁基材Aが巻き取られる金属リング2を、
帯状のアルミプレート7を円環状をなすとともに、鍔部
3a,3bに固定したその両端部のうち一方の支持ロッ
ド9の位置決めネジ12による固定位置を長穴11に沿
って変更することにより、金属リング2の径を変更可能
とした。そのため、金属リング2の径を大径とした状態
で長尺絶縁基材Aを巻き取ったリール1を、金属リング
2を小径にした状態で加熱処理をすれば、加熱処理中の
接着剤の硬化収縮のために長尺絶縁基材Aが収縮して
も、長尺絶縁基材Aが金属リング2の外周面に強く締め
つかずに済むため、巻き取り始端の段差に起因する傷が
できることを防止できる。また、加熱処理後に位置決め
ネジ12の位置を調節して金属リング2を大径に戻せ
ば、長尺絶縁基材Aが緩み無く巻き取られた状態となる
ため、その後のリール・トゥ・リール方式による工程に
おいて、緩く巻き取られたことに起因してできる擦れ傷
も確実に防止できる。
【0034】(b)長穴11に沿って位置決めネジ12
の固定位置を決めることにより、金属リング2の径を長
穴11の範囲で連続的に変更可能としたので、収縮後の
長尺絶縁基材Aに無理な力が加わらない程度に緩み無し
の状態に金属リング2の径を大径に戻すことができる。
【0035】(c)補強部材5を金属リング2の両端固
定箇所(長穴11側)と反対側に偏心させ、金属リング
2に巻き取られた長尺絶縁基材Aの重量等のため金属リ
ング2が変形し、その固定端部と反対側部位が鍔部3
a,3bの面方向に変位しても補強部材5に当接してそ
れ以上ずれないようにガイドされるようにしたので、金
属リング2が鍔部3a,3bに対してその面方向に大き
く位置ずれすることを防止することができる。
【0036】(d)補強部材5を長尺絶縁基材Aの巻き
取り始端の固定箇所(金属リング2の第1端部側)と反
対側に偏心させ、支柱に挿通支持させたリール1を金属
リング2の第1端部側が上方にくるように回転して停止
するようにリール1の重心を偏心させたので、長尺絶縁
基材Aの巻き取り始端を送出先のリール1の金属リング
2の周面に固定する作業をし易くすることができる。
【0037】(e)帯状のアルミプレート7の第1端部
側に開口7aを形成し、その開口7aに第2端部側の延
出部7bを差し込んで円環状をなすようにしたので、ア
ルミプレート7を円環状としたときにその両端の交差部
(重なり部)にできる段差を極力小さくすることができ
る。アルミプレート7の両端交差部の段差によっては金
属リング2の周面上に巻き取られた長尺絶縁基材Aに傷
が付くことはないものの、段差を小さくすることにより
段差の当たり部位において長尺絶縁基材Aに与える悪影
響を極力小さくすることができる。
【0038】(第2実施形態)次に第2実施形態を図
5,図6に基づいて説明する。図5に示すように、長尺
絶縁基材用リールとしてのリール21は、案内部材とし
ての円環状のガイド部材22に対して半径方向(図5に
おける矢印方向)に移動可能にその外周縁部にて係合さ
れて設けられた小部材群を構成する4個1組で略円環を
なす略扇形状を有する扇状部材23を備えている。図
5,図6に示すように扇状部材23は、それぞれ一対の
鍔部23aと、長尺絶縁基材Aが巻き取られる周面を形
成する芯部としての底部23bとから構成されている。
【0039】各扇状部材23の底部23bの裏面は、規
制手段としての台錐形状を有する嵌入部材24が嵌入可
能にテーパ状に形成されている。また、扇状部材23と
ガイド部材22との係合部には図示しない弾性部材(例
えばバネやゴム)が介装されており、扇状部材23はガ
イド部材22に対して弾性部材により半径方向内側に付
勢されている。そのため、嵌入部材24を4個の扇状部
材23の各裏面で形成されるテーパ状の挿入部25(図
5に示す)に弾性部材の付勢力に抗して嵌入することに
より、長尺絶縁基材Aが巻き取られる周面(各扇状部材
23の底部23bの外周面にて形成される周面)の径が
大きくなる。そして、嵌入部材24を挿入部25から抜
き取ることにより、各扇状部材21が弾性部材の付勢力
により半径方向内側に変位し、長尺絶縁基材Aが巻き取
られる周面の径が小さくなるようになっている。
【0040】従って、通常の巻き取り使用目的の場合
は、嵌入部材24を各扇状部材23の底部23b裏面で
形成された挿通部25に嵌入し、各扇状部材23を弾性
部材の付勢力に抗して半径方向外側に変位させることに
より、長尺絶縁基材Aが巻き取られる周面の径を大きく
する。
【0041】銅箔テープBの貼り付け後の長尺絶縁基材
Aは径が大きくされたリール21の周面に対して巻き取
られ、接着剤を硬化させるための加熱処理の前にリール
21から嵌入部材24が抜き取られる。嵌入部材24を
抜き取ると、各扇状部材23は弾性部材の付勢力により
半径方向内側へスライドし、長尺絶縁基材Aが巻き取ら
れた周面の径が小さくなり、長尺絶縁基材Aがリール2
1に緩く巻き取られた状態となる。
【0042】従って、加熱処理において接着剤の硬化収
縮により長尺絶縁基材Aが収縮しても、長尺絶縁基材A
が各扇状部材23の底部23bの外周面で形成される周
面に強く締めつけられることがないため、その巻き取り
始端の段差に起因する傷が発生することが防止される。
そして、加熱処理を終えると、嵌入部材24を再び各扇
部材23の裏面により形成される挿入部25に嵌入す
る。嵌入部材24が嵌入されると弾性部材の付勢力に抗
して各扇状部材23が半径方向外側へスライドし、長尺
絶縁基材Aが各扇状部材23の底部23bにより形成さ
れた周面に緩み無く巻き取られた状態とされる。なお、
通常の巻き取り時には、各扇状部材23の隙間(図5で
は誇張して広く描いている)ができるが、通常の巻き取
り時の締めつけ力程度ではその隙間部によって長尺絶縁
基材Aに傷つくことはない。
【0043】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下に示す効果を得る。 (a)4個1組の扇状部材23を半径方向に移動可能に
ガイド部材22に係合して設けるとともに、各扇状部材
23の裏面で形成された挿入部25に嵌入部材24を嵌
入して各扇状部材23を半径方向外側へスライドさせる
ことにより長尺絶縁基材Aを巻き取る周面の径が大きく
なるようにした。そのため、嵌入部材24を挿入部25
に嵌入したリール21の大径状態で長尺絶縁基材Aを巻
き取った後に、嵌入部材24を抜き取ってリール21を
小径状態とし、長尺絶縁基材Aを緩く巻き取った状態と
してから加熱処理をすれば、加熱処理(接着剤硬化処
理)時に長尺絶縁基材Aが収縮しても、その巻き取り始
端の段差に起因する不良の発生を防止することができ
る。また、加熱処理後に嵌入部材24を再び挿入部25
に嵌入させることにより、長尺絶縁基材Aが緩み無く巻
き取られた状態となるので、その後のリール・トゥ・リ
ール方式の工程において、緩く巻き取られたときの回転
擦れでできる傷の発生も確実に防止できる。
【0044】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次のよ
うに変更することができる。 (1)第1実施形態において、補強部材5がなくても強
度的に問題なければ、補強部材を無くした構造を採用し
てもよい。
【0045】(2)第1実施形態では補強部材5を偏心
させたが、補強部材5を偏心させない構造としてもよ
い。 (3)第1実施形態では金属リング2の両端を交差させ
たが、その両端を円環をなすまでに交差させずに、その
両端間に隙間が形成された状態で鍔部3a,3bに対し
て少なくとも一方が移動可能に固定させた構成としても
よい。この構成によれば、帯体としての金属リング2の
両端を半径方向に同じ距離に位置させることができる。
【0046】(4)長尺絶縁基材Aの巻き取り始端の金
属リング2に対する固定箇所はその第1端部側(支持ロ
ッド8側)に限定されない。支持ロッド9側に長尺絶縁
基材Aの始端を固定すると、金属リング2の径を小さく
すべく支持ロッド9を変位させたときに長尺絶縁基材A
の始端も一緒に変位されてしまい、長尺絶縁基材Aと金
属リング2との間に隙間ができ難く、長尺絶縁基材Aを
緩く巻かれた状態にすることが困難となる。しかし、そ
れ以外の箇所であれば、長尺絶縁基材Aの巻き取りを緩
くするうえで、何ら問題はない。例えば金属リング2の
両端固定部位と反対側部位に長尺絶縁基材Aの始端を固
定すれば、金属リング2の小径化に伴い長尺絶縁基材A
の始端が半径方向内側に変位することになるため、長尺
絶縁基材Aの巻き取りを緩くできる。
【0047】(5)第1実施形態では金属リング2をア
ルミニウム製としたが、その材質は特に金属には限定さ
れない。例えば芯部及び帯体としてのリングを必要な強
度と耐熱性を確保した樹脂製としてもよい。
【0048】(6)第2実施形態の構成に代えて、例え
ば円板状の鍔部に対して芯部を構成する扇状の部材群
(小部材群)を半径方向にスライド可能に係合して設
け、芯部の構成部材を鍔部に対してスライドさせること
により芯部の径を変更可能とした構造としてもよい。こ
の構成によれば、第2実施形態におけるガイド部材22
が不要となり、部品点数を少なくできる。なお、この構
成の場合、芯部の構成部材の位置決めは、前記第2実施
形態と同様に嵌入部材の嵌入により行ってもよいし、鍔
部に対する芯部の各構成部材の位置決めをする位置決め
ネジの締結によってもよい。また、前記第2実施形態の
ように、芯部の構成部材を鍔部に対して半径方向内側に
付勢する弾性部材(バネやゴム等)を各構成部材と鍔部
との係合部に介装してもよい。
【0049】(7)第2実施形態の扇状部材23や前記
(6)の芯部の構成部材の分割数は、3個以上の適宜な
数を採用できる。例えば分割数を3個あるいは5個とし
てもよい。
【0050】(8)第2実施形態における規制手段は前
記嵌入部材24に限定されない。例えば、扇状部材の挿
入部に規制部材としての回動部材を嵌着させるととも
に、回動部材と各扇状部材の内周面との各係合面を、例
えば周方向に径が連続的に変化する面形状とし、回動部
材を回動させることにより芯部を構成する各扇状部材
(さらには(6)で述べた構成部材も)が各係合面を介
して半径方向にスライドして芯部の径を変更可能とした
構造としてもよい。この構成によれば、回動部材を回動
させる回動操作だけで芯部の径を変更でき、しかも径の
変更量を回動部材の回動量により適宜調整することがで
きる。また、回動部材は係止ピンなどを用いて所定回動
位置に係止すればよい。
【0051】(9)第2実施形態や前記(6)におい
て、扇状部材23を半径方向内側へ付勢する弾性部材を
なくした構造としてもよい。扇状部材23等の小部材群
は大径に保持する規制が解除されさえすれば、長尺絶縁
基材Aがその収縮時に芯部の周面に締めつけられること
を回避できる。
【0052】(10)リールの芯部の径を変更する使用
目的は、長尺絶縁基材Aに銅箔テープBを貼り付けた接
着剤の硬化処理時の長尺絶縁基材Aの収縮による締付け
防止に限定されない。その他の用途で芯部の径を変更し
て使用してもよい。
【0053】前記実施形態から把握され、特許請求の範
囲に記載されていない発明を、その効果とともに以下に
記載する。 (イ)請求項3において、前記補強部材は、前記長尺絶
縁基材の巻き取り始端を固定する前記帯体の部位と反対
側に偏心して配置されている。この構成によれば、補強
部材が偏心して配置されたことによりリールの重心が偏
心し、リールを回転可能に支持したとき、リールは長尺
絶縁基材の巻き取り始端を帯体の固定する側が上方にく
るように回転して停止する。そのため、長尺絶縁基材の
巻き取り始端を帯体に固定する作業がし易くなる。
【0054】(ロ)請求項2、請求項3及び前記(イ)
において、前記帯体の両端部は、共に該帯体が円環状を
なして形成する周面の内方に位置するように交差してい
る。この構成によれば、帯体の両端部が円環内方に位置
するため、帯体の両端を円環をなすように重ねても、そ
の重なり部にできる段差を極力小さくでき、長尺絶縁基
材が巻き取られる外周面をほぼ円弧面とすることがで
き、通常の巻き取り時において長尺絶縁基材に傷をつけ
るまでではないが良くない影響を与える心配を極力低減
することができる。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発
明によれば、長尺絶縁基材が巻き取られる芯部の周面の
径を変更可能としたので、巻き取った長尺絶縁基材に対
して収縮を伴うような処理を施す場合には、芯部の径を
小さくしてからその処理を施すことにより、その処理時
に収縮した長尺絶縁基材が芯部の周面に強く締めつけら
れることが回避され、長尺絶縁基材の巻き取り始端の段
差に起因する傷の発生を防止することができる。
【0056】請求項2に記載の発明によれば、芯部は、
長尺絶縁基材を巻取可能な周面を形成するように円環状
をなすとともに、鍔部に対する帯体の両端固定位置の少
なくとも一方がその周面の径を変更可能に位置変更可能
に設けられているので、帯体の少なくとも一方の端部の
鍔部に対する固定位置を変更することにより、長尺絶縁
基材が巻き取られた帯体の周面の径を小さくすることが
できる。
【0057】請求項3に記載の発明によれば、一対の鍔
部を所定間隔に保持させる補強部材を、鍔部の軸心に対
して帯体の両端固定部位と反対側に偏心させて配置した
ので、帯体の鍔部に対して固定されない部位を補強部材
によりガイドすることで、鍔部に対してその軸心と直交
する面方向への帯体のずれを極力小さく抑えることがで
きる。
【0058】請求項4に記載の発明によれば、芯部は、
長尺絶縁基材が巻き取られる周方向に複数分割された小
部材群と、小部材群を半径方向に個々に移動可能に案内
する案内部材と、少なくとも径が大きくなる位置で小部
材群を位置規制する規制手段とを備えるので、規制手段
を解除することにより、小部材群が案内手段に案内され
て半径方向に移動可能することにより、芯部の径を小さ
くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のリールの分解斜視図。
【図2】リールの側面図。
【図3】リールの正断線図。
【図4】(a)はリールの大径状態、(b)はリールの
小径状態を示す部分平面図。
【図5】第2実施形態のリールの側面図。
【図6】扇状部材と嵌入部材を示す斜視図。
【図7】リール・トゥ・リール方式による製造工程を示
す模式側面図。
【図8】従来技術のリールの斜視図。
【図9】同じくリールの部分側断面図。
【符号の説明】
1…長尺絶縁基材用リールとしてのリール、2…芯部及
び帯体としての金属リング、3a,3b…鍔部、5…補
強部材、21…長尺絶縁基材用リールとしてのリール、
22…案内部材としてのガイド部材、23…小部材群を
構成する扇状部材、23a…鍔部、23b…芯部として
の底部、24…規制手段としての嵌入部材、A…長尺絶
縁基材。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺絶縁基材を巻き取るための略円筒状
    の芯部と、該芯部に巻き取られた前記長尺絶縁基材を幅
    方向にガイドするための一対の鍔部とを備えた長尺絶縁
    基材用リールであって、 前記芯部は前記長尺絶縁基材が巻き取られる周面の径が
    変更可能に設けられている長尺絶縁基材用リール。
  2. 【請求項2】 前記芯部は、前記長尺絶縁基材を巻取可
    能な周面を形成するように円環状をなして前記鍔部に取
    付けられる帯体であって、前記鍔部に対する該帯体の両
    端固定位置の少なくとも一方がその周面の径を変更可能
    に位置変更可能に設けられている請求項1に記載の長尺
    絶縁基材用リール。
  3. 【請求項3】 前記一対の鍔部の間には該鍔部を所定間
    隔に保持させる補強部材が前記帯体の内側に設けられて
    おり、該補強部材は前記鍔部の軸心に対して前記帯体の
    両端固定部位と反対側に偏心して配置されている請求項
    2に記載の長尺絶縁基材用リール。
  4. 【請求項4】 前記芯部は、前記長尺絶縁基材が巻き取
    られる周方向に複数分割された小部材群と、該小部材群
    を半径方向に個々に移動可能に案内する案内部材と、該
    小部材群を少なくとも径が大きくなる位置で前記案内部
    材に対して位置規制する規制手段とを備えている請求項
    1に記載の長尺絶縁基材用リール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009262531A (ja) * 2008-03-31 2009-11-12 Nippon Steel Chem Co Ltd 積層体の製造方法
CN102502358A (zh) * 2011-12-12 2012-06-20 钟细环 一种纺织用筒管
CN102963773A (zh) * 2012-12-03 2013-03-13 吴江市鼎佳纺织有限公司 一种纺织用的筒管
CN107364765A (zh) * 2017-06-22 2017-11-21 柳州华世通汽车部件有限公司 一种用于线束加工过程中的线束存放装置
CN111924649A (zh) * 2020-08-07 2020-11-13 盐城中大三协汽车装备有限公司 一种带有紧固功能的绕线器进线装置

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