JPH0931538A - 溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法 - Google Patents
溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法Info
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- JPH0931538A JPH0931538A JP18424295A JP18424295A JPH0931538A JP H0931538 A JPH0931538 A JP H0931538A JP 18424295 A JP18424295 A JP 18424295A JP 18424295 A JP18424295 A JP 18424295A JP H0931538 A JPH0931538 A JP H0931538A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 微量のBを十分に活用する技術を確立するこ
とによって、合金元素の添加量が少なくてすみ、安価に
一般用途に供し得る、溶接性に優れた調質型高張力鋼の
製造方法を提供する。 【構成】 mass%にて、C:0.02〜0.20%,Si:0.02〜
0.80%,Mn:0.50〜2.50%,Al: 0.005〜0.06%,Ti:
0.003〜0.020 %,N: 0.006%以下、およびB:0.00
03〜0.0006%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる鋼を、Ac3点以上1000℃以下に加熱後 250℃以下
まで水冷し、次にAc1 点以下の温度で焼戻す。
とによって、合金元素の添加量が少なくてすみ、安価に
一般用途に供し得る、溶接性に優れた調質型高張力鋼の
製造方法を提供する。 【構成】 mass%にて、C:0.02〜0.20%,Si:0.02〜
0.80%,Mn:0.50〜2.50%,Al: 0.005〜0.06%,Ti:
0.003〜0.020 %,N: 0.006%以下、およびB:0.00
03〜0.0006%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる鋼を、Ac3点以上1000℃以下に加熱後 250℃以下
まで水冷し、次にAc1 点以下の温度で焼戻す。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は厚鋼板の製造方法に関
し、詳しくは一般用途に供される溶接性に優れた調質型
高張力鋼の製造方法に関する。
し、詳しくは一般用途に供される溶接性に優れた調質型
高張力鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄鋼構造物の大型化と高性能化が
進み高強度鋼の使用比率が増加しているが、それらの溶
接施工コストの上昇を防止する意味で、溶接性の良好な
高強度鋼が要求されている。また、一方ではコンクリー
トやその他の材料との競合から、経済性の要求も一段と
増してきている。
進み高強度鋼の使用比率が増加しているが、それらの溶
接施工コストの上昇を防止する意味で、溶接性の良好な
高強度鋼が要求されている。また、一方ではコンクリー
トやその他の材料との競合から、経済性の要求も一段と
増してきている。
【0003】これらの要求に対し、例えば特公平6−15
691 号公報に記載されるように、鋼片の加熱条件を厳し
く限定し、Nbによりオーステナイト粒成長抑制やBの焼
入れ性有効利用のためのNの固定等をはかり、その後直
接焼入れ−焼戻しするという高強度化方法が知られてい
る。しかしこれらの鋼においては、B添加量が0.0010〜
0.0020mass%(以下単に%と記す)と高いため溶接熱影
響部(HAZ )の硬さが上昇してしまい、溶接性が劣ると
いう欠点があった。
691 号公報に記載されるように、鋼片の加熱条件を厳し
く限定し、Nbによりオーステナイト粒成長抑制やBの焼
入れ性有効利用のためのNの固定等をはかり、その後直
接焼入れ−焼戻しするという高強度化方法が知られてい
る。しかしこれらの鋼においては、B添加量が0.0010〜
0.0020mass%(以下単に%と記す)と高いため溶接熱影
響部(HAZ )の硬さが上昇してしまい、溶接性が劣ると
いう欠点があった。
【0004】また、例えば特開平4−314825号公報に記
載されるように、Cを0.06%以下に低減し、Bを無添加
として溶接性を向上させ、母材強度はCuの析出強化によ
り確保する、直接焼入れ−焼戻し型のNT80の製造法が知
られている。しかし、Bを無添加としたため多量のCuを
はじめとするその他の元素量の増加が避けられずコスト
上昇につながっていた。
載されるように、Cを0.06%以下に低減し、Bを無添加
として溶接性を向上させ、母材強度はCuの析出強化によ
り確保する、直接焼入れ−焼戻し型のNT80の製造法が知
られている。しかし、Bを無添加としたため多量のCuを
はじめとするその他の元素量の増加が避けられずコスト
上昇につながっていた。
【0005】すなわち従来技術においてはBが十分活用
しきれていないといえる。
しきれていないといえる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これら従来技術の問題
点に鑑み、本発明は、微量のBを十分に活用する技術を
確立することによって、合金元素の添加量が少なくてす
み、安価に一般用途に供し得る、溶接性に優れた調質型
高張力鋼の製造方法を提供することを目的とする。
点に鑑み、本発明は、微量のBを十分に活用する技術を
確立することによって、合金元素の添加量が少なくてす
み、安価に一般用途に供し得る、溶接性に優れた調質型
高張力鋼の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、Bを微量含有する鋼の適正成分系お
よびその製造方法について種々実験した。その結果、図
1に示すように、B添加量を従来の添加量である0.0010
%から0.0003%に低減しても従来添加量並の強度上昇効
果があること、すなわち、合金元素の添加を伴わずとも
ベイナイト、マルテンサイト等が増加し、母材の硬度が
上昇して、B無添加鋼よりも焼入れままで120MPa程度、
焼戻し後では50MPa 程度母材強度の向上が図れることを
知見した。一方、溶接性の指標のひとつである溶接最高
硬さ試験(JIS Z 3101)によれば、図2に示すように、
B添加量を0.0010%から0.0006%まで低減することによ
り、溶接HAZ の硬さをB無添加の場合と同等程度の低位
に抑えられることを見いだし、本発明を完成させるに至
った。
を達成するために、Bを微量含有する鋼の適正成分系お
よびその製造方法について種々実験した。その結果、図
1に示すように、B添加量を従来の添加量である0.0010
%から0.0003%に低減しても従来添加量並の強度上昇効
果があること、すなわち、合金元素の添加を伴わずとも
ベイナイト、マルテンサイト等が増加し、母材の硬度が
上昇して、B無添加鋼よりも焼入れままで120MPa程度、
焼戻し後では50MPa 程度母材強度の向上が図れることを
知見した。一方、溶接性の指標のひとつである溶接最高
硬さ試験(JIS Z 3101)によれば、図2に示すように、
B添加量を0.0010%から0.0006%まで低減することによ
り、溶接HAZ の硬さをB無添加の場合と同等程度の低位
に抑えられることを見いだし、本発明を完成させるに至
った。
【0008】本発明は、上記の知見に基づいて構成した
もので、その第1の要旨は、mass%にて、C:0.02〜0.
20%,Si:0.02〜0.80%,Mn:0.50〜2.50%,Al: 0.0
05〜0.06%,Ti: 0.003〜0.020 %,N: 0.006%以
下、およびB:0.0003〜0.0006%を含み、必要に応じて
1.50%以下のCu,1.20%以下のNi,0.60%以下のCr,0.
50%以下のMo,0.05%以下のNb,0.10%以下のV, 0.0
10%以下のREM , 0.004%以下のCaの1種または2種以
上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
を、Ac3 点以上1000℃以下に加熱後 250℃以下まで水冷
し、次にAc1 点以下の温度で焼戻すことを特徴とする溶
接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法であり、また第
2の要旨は、mass%にて、C:0.02〜0.20%,Si:0.02
〜0.80%,Mn:0.50〜2.50%,Al: 0.005〜0.06%,T
i: 0.003〜0.020 %,N: 0.006%以下、およびB:
0.0003〜0.0006%を含み、必要に応じて1.50%以下のC
u,1.20%以下のNi,0.60%以下のCr,0.50%以下のM
o,0.05%以下のNb,0.10%以下のV,0.010%以下のRE
M , 0.004%以下のCaの1種または2種以上を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000℃
以上1300℃以下に加熱後、 950℃以下での累積圧下率が
50%以上になるまで圧延し、 Ar3+100 ℃〜Ar3 点の温
度範囲で圧延を終了し、その後直ちに 250℃以下まで水
冷し、次にAc1 点以下の温度で焼戻すことを特徴とする
溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法である。
もので、その第1の要旨は、mass%にて、C:0.02〜0.
20%,Si:0.02〜0.80%,Mn:0.50〜2.50%,Al: 0.0
05〜0.06%,Ti: 0.003〜0.020 %,N: 0.006%以
下、およびB:0.0003〜0.0006%を含み、必要に応じて
1.50%以下のCu,1.20%以下のNi,0.60%以下のCr,0.
50%以下のMo,0.05%以下のNb,0.10%以下のV, 0.0
10%以下のREM , 0.004%以下のCaの1種または2種以
上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
を、Ac3 点以上1000℃以下に加熱後 250℃以下まで水冷
し、次にAc1 点以下の温度で焼戻すことを特徴とする溶
接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法であり、また第
2の要旨は、mass%にて、C:0.02〜0.20%,Si:0.02
〜0.80%,Mn:0.50〜2.50%,Al: 0.005〜0.06%,T
i: 0.003〜0.020 %,N: 0.006%以下、およびB:
0.0003〜0.0006%を含み、必要に応じて1.50%以下のC
u,1.20%以下のNi,0.60%以下のCr,0.50%以下のM
o,0.05%以下のNb,0.10%以下のV,0.010%以下のRE
M , 0.004%以下のCaの1種または2種以上を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000℃
以上1300℃以下に加熱後、 950℃以下での累積圧下率が
50%以上になるまで圧延し、 Ar3+100 ℃〜Ar3 点の温
度範囲で圧延を終了し、その後直ちに 250℃以下まで水
冷し、次にAc1 点以下の温度で焼戻すことを特徴とする
溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法である。
【0009】
【作用】以下に化学成分の限定理由について説明する。
Cは、溶接構造用鋼として必要な強度を得るためには0.
02%以上を必要とするが、含有量が多くなると低温靱性
を低下させ同時に溶接割れ性を著しく阻害する。したが
って、C量は0.02〜0.20%とした。
Cは、溶接構造用鋼として必要な強度を得るためには0.
02%以上を必要とするが、含有量が多くなると低温靱性
を低下させ同時に溶接割れ性を著しく阻害する。したが
って、C量は0.02〜0.20%とした。
【0010】Siは、脱酸および強度確保のためにのため
に0.02%以上を必要とするが、0.80%を超えて添加した
場合には靱性が劣化するので添加量は0.02〜0.80%とし
た。Mnは、強度および靱性の確保のために0.50%以上の
添加を必要とするが、2.50%を超えて添加すると溶接性
を損なう。したがってMn量は0.50〜2.50%とする。Al
は、脱酸のために 0.005%以上を必要とする。しかし0.
06%を超えて添加するとアルミナ系介在物が増大し靱性
を阻害するため、Alの添加量は 0.005〜0.060 %とす
る。
に0.02%以上を必要とするが、0.80%を超えて添加した
場合には靱性が劣化するので添加量は0.02〜0.80%とし
た。Mnは、強度および靱性の確保のために0.50%以上の
添加を必要とするが、2.50%を超えて添加すると溶接性
を損なう。したがってMn量は0.50〜2.50%とする。Al
は、脱酸のために 0.005%以上を必要とする。しかし0.
06%を超えて添加するとアルミナ系介在物が増大し靱性
を阻害するため、Alの添加量は 0.005〜0.060 %とす
る。
【0011】Tiは鋼中のNと結合し、Bを固溶状態にと
どめおいてその強度上昇効果を最大限に発揮させるとい
う面、および生成したTiN がオーステナイト粒の粗大化
を防ぎかつHAZ 靱性も向上させるという面から不可欠な
元素である。その量はN量にもよるが、 0.003%以下で
は効果が小さく、また 0.020%を超えるとかえって母材
靱性およびHAZ 靱性を低下させる。したがってTi量は
0.003〜0.020 %とする。
どめおいてその強度上昇効果を最大限に発揮させるとい
う面、および生成したTiN がオーステナイト粒の粗大化
を防ぎかつHAZ 靱性も向上させるという面から不可欠な
元素である。その量はN量にもよるが、 0.003%以下で
は効果が小さく、また 0.020%を超えるとかえって母材
靱性およびHAZ 靱性を低下させる。したがってTi量は
0.003〜0.020 %とする。
【0012】Nは、BNとして析出しBの焼入れ性を阻害
する不可避的な不純物元素であるが、Bの焼入れ性向上
効果を阻害しない上限は 0.006%である。Bは、焼入れ
性を高めるのに効果的な元素であり、そのためには0.00
03%以上を必要とする。しかし、従来のB添加鋼のよう
に 0.001〜0.002 %程度添加すると、溶接性が著しく劣
化する。そこで本発明ではその上限を0.0006%と厳しく
制限する。
する不可避的な不純物元素であるが、Bの焼入れ性向上
効果を阻害しない上限は 0.006%である。Bは、焼入れ
性を高めるのに効果的な元素であり、そのためには0.00
03%以上を必要とする。しかし、従来のB添加鋼のよう
に 0.001〜0.002 %程度添加すると、溶接性が著しく劣
化する。そこで本発明ではその上限を0.0006%と厳しく
制限する。
【0013】本発明にあっては、鋼の強度あるいは靱性
のさらなる向上のため、上記基本成分の他に以下の元素
を含有量の上限を規定して1種または2種以上添加する
ことができる。すなわち、Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,V,RE
M およびCaは鋼の強度・靱性を上昇させる効果をもつ
が、それぞれ1.50%超えのCu,1.20%超えのNi,0.60%
超えのCr,0.50%超えのMo,0.05%超えのNb,0.10%超
えのV, 0.010%超えのREM および 0.004%超えのCaを
添加させてもその効果は次第に飽和し、また溶接性を低
下させるためそれぞれの元素に添加量の上限を定める。
のさらなる向上のため、上記基本成分の他に以下の元素
を含有量の上限を規定して1種または2種以上添加する
ことができる。すなわち、Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,V,RE
M およびCaは鋼の強度・靱性を上昇させる効果をもつ
が、それぞれ1.50%超えのCu,1.20%超えのNi,0.60%
超えのCr,0.50%超えのMo,0.05%超えのNb,0.10%超
えのV, 0.010%超えのREM および 0.004%超えのCaを
添加させてもその効果は次第に飽和し、また溶接性を低
下させるためそれぞれの元素に添加量の上限を定める。
【0014】次に製造方法について説明する。 (請求項1,3) 加熱温度:水冷前の鋼の加熱温度をAc3 点以上にするの
は、その後の水冷により低温変態組織を得るという目的
のためには、水冷前に完全にオーステナイト化しておく
ことが必要だからである。また合金元素を母地に均一に
固溶させるためにも、完全にオーステナイト化すること
が必要である。この加熱温度を1000℃以下に制限するの
は、1000℃を超えるとオーステナイト結晶粒が粗大化
し、靱性が低下するためである。
は、その後の水冷により低温変態組織を得るという目的
のためには、水冷前に完全にオーステナイト化しておく
ことが必要だからである。また合金元素を母地に均一に
固溶させるためにも、完全にオーステナイト化すること
が必要である。この加熱温度を1000℃以下に制限するの
は、1000℃を超えるとオーステナイト結晶粒が粗大化
し、靱性が低下するためである。
【0015】水冷条件:上記のように加熱された鋼は水
冷によりベイナイト,マルテンサイト等の低温変態組織
を生成する必要がある。それには加熱後 250℃以下まで
水冷する必要がある。なお、水冷条件の好適範囲は、冷
却速度3℃/s以上とした 250℃未満までの冷却である。 焼戻し温度:焼戻し温度はAc1 点以下とすることが必要
である。理由は、Ac1点を超える場合は逆変態オーステ
ナイトが析出し、靱性が劣化するためである。
冷によりベイナイト,マルテンサイト等の低温変態組織
を生成する必要がある。それには加熱後 250℃以下まで
水冷する必要がある。なお、水冷条件の好適範囲は、冷
却速度3℃/s以上とした 250℃未満までの冷却である。 焼戻し温度:焼戻し温度はAc1 点以下とすることが必要
である。理由は、Ac1点を超える場合は逆変態オーステ
ナイトが析出し、靱性が劣化するためである。
【0016】(請求項2,3) 加熱温度:圧延前の鋼片の加熱温度はオーステナイトの
粗大化を防止し、NbあるいはVの炭窒化物形成元素を固
溶させその効果を発揮させるため1000℃以上が必要であ
るが、1300℃を超えるとオーステナイト粒の粗大化が著
しくなり、鋼の靱性を低下させる。このため鋼片の加熱
温度は1000〜1300℃とする。好ましいオーステナイト化
温度は1050〜1200℃である。
粗大化を防止し、NbあるいはVの炭窒化物形成元素を固
溶させその効果を発揮させるため1000℃以上が必要であ
るが、1300℃を超えるとオーステナイト粒の粗大化が著
しくなり、鋼の靱性を低下させる。このため鋼片の加熱
温度は1000〜1300℃とする。好ましいオーステナイト化
温度は1050〜1200℃である。
【0017】圧延条件:上記のように加熱された鋼片
は、 Ar3+100 ℃〜Ar3 点の温度範囲で圧延を終了する
ものとし、 950℃以下で累積圧下率50%以上の圧延を行
う。圧延仕上げ温度を Ar3+100 ℃〜Ar3 点としたの
は、 Ar3+100 ℃を超えるとオーステナイトに加工歪が
蓄えられず細粒化および整粒化が不十分となり、焼入れ
焼戻し後の靱性が劣化し、またそれがAr3 点未満の場合
にはフェライトが析出し強度が低下するとともに靱性が
低下するためである。 950℃以下での累積圧下率を50%
以上としたのは、これに満たないと、圧延による細粒
化、整粒化が不十分となりやはり靱性が優れないからで
ある。
は、 Ar3+100 ℃〜Ar3 点の温度範囲で圧延を終了する
ものとし、 950℃以下で累積圧下率50%以上の圧延を行
う。圧延仕上げ温度を Ar3+100 ℃〜Ar3 点としたの
は、 Ar3+100 ℃を超えるとオーステナイトに加工歪が
蓄えられず細粒化および整粒化が不十分となり、焼入れ
焼戻し後の靱性が劣化し、またそれがAr3 点未満の場合
にはフェライトが析出し強度が低下するとともに靱性が
低下するためである。 950℃以下での累積圧下率を50%
以上としたのは、これに満たないと、圧延による細粒
化、整粒化が不十分となりやはり靱性が優れないからで
ある。
【0018】水冷条件:上記のように加熱・圧延された
鋼は水冷によりベイナイト、マルテンサイト等の低温変
態組織を生成する必要がある。それには圧延終了後直ち
に 250℃以下まで水冷する必要がある。なお、水冷条件
の好適範囲は、冷却速度3℃/s以上とした 250℃未満ま
での冷却である。 焼戻し温度:焼戻し温度はAc1 点以下とすることが必要
である。理由は、Ac1点を超える場合は逆変態オーステ
ナイトが析出し、靱性が劣化するためである。
鋼は水冷によりベイナイト、マルテンサイト等の低温変
態組織を生成する必要がある。それには圧延終了後直ち
に 250℃以下まで水冷する必要がある。なお、水冷条件
の好適範囲は、冷却速度3℃/s以上とした 250℃未満ま
での冷却である。 焼戻し温度:焼戻し温度はAc1 点以下とすることが必要
である。理由は、Ac1点を超える場合は逆変態オーステ
ナイトが析出し、靱性が劣化するためである。
【0019】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を説明する。表
1に供試鋼の化学成分を示す。これらの鋼片を用い表2
に示す製造条件で鋼板とした。得られた鋼板の強度と靱
性を試験したところ表2に示す通りであった。試験片は
板厚の中心より主圧延方向と直角に採取し、引張試験お
よび2mmVノッチ衝撃試験を行った。溶接性の評価とし
ては、JIS Z 3101に基づく最高硬さ試験を実施した。表
1および表2とも本発明の請求範囲を外れるものは太枠
で示した。鋼1は化学成分が本発明の範囲内であり、B
を添加しない非適合鋼2と比較し、高強度であった。ま
た、Bを本発明の範囲以上に含有する非適合鋼3は強度
は優れていたが、溶接部の最高硬さは高く溶接性が劣っ
ていた。鋼4〜6は鋼1と同一の成分を有するものであ
る。鋼4は直接焼入れ−焼戻しによるものであり、鋼1
に比べ高強度であった。鋼5は 950℃以下の累積圧下率
が本発明の範囲外であり、靱性に劣っていた。鋼6は焼
戻し温度が本発明の範囲外であり、強度、靱性が劣って
いた。Tiが無添加の非適合鋼7は、鋼1に比べ強度が低
かった。適合鋼8〜15に関し、鋼8はCu,Ni,Moを、鋼
9はCr,Moをそれぞれ添加したものであり、いずれの元
素も強度、靱性を劣化させずにそれぞれの特長を発揮し
ている。しかし、鋼10は加熱温度が本発明の範囲外のも
のであり、靱性が劣っていた。また鋼11は圧延仕上げ温
度が本発明の範囲外であり、強度、靱性が劣っていた。
また鋼12はNb,REM を、鋼13はCr,V,Caを、鋼14はC
r,Mo,Nb,Vを、鋼15はCu,Ni,Mo,Nbをそれぞれ添
加したものであり、いずれの元素も強度、靱性を劣化さ
せずにそれぞれの特長を発揮している。
1に供試鋼の化学成分を示す。これらの鋼片を用い表2
に示す製造条件で鋼板とした。得られた鋼板の強度と靱
性を試験したところ表2に示す通りであった。試験片は
板厚の中心より主圧延方向と直角に採取し、引張試験お
よび2mmVノッチ衝撃試験を行った。溶接性の評価とし
ては、JIS Z 3101に基づく最高硬さ試験を実施した。表
1および表2とも本発明の請求範囲を外れるものは太枠
で示した。鋼1は化学成分が本発明の範囲内であり、B
を添加しない非適合鋼2と比較し、高強度であった。ま
た、Bを本発明の範囲以上に含有する非適合鋼3は強度
は優れていたが、溶接部の最高硬さは高く溶接性が劣っ
ていた。鋼4〜6は鋼1と同一の成分を有するものであ
る。鋼4は直接焼入れ−焼戻しによるものであり、鋼1
に比べ高強度であった。鋼5は 950℃以下の累積圧下率
が本発明の範囲外であり、靱性に劣っていた。鋼6は焼
戻し温度が本発明の範囲外であり、強度、靱性が劣って
いた。Tiが無添加の非適合鋼7は、鋼1に比べ強度が低
かった。適合鋼8〜15に関し、鋼8はCu,Ni,Moを、鋼
9はCr,Moをそれぞれ添加したものであり、いずれの元
素も強度、靱性を劣化させずにそれぞれの特長を発揮し
ている。しかし、鋼10は加熱温度が本発明の範囲外のも
のであり、靱性が劣っていた。また鋼11は圧延仕上げ温
度が本発明の範囲外であり、強度、靱性が劣っていた。
また鋼12はNb,REM を、鋼13はCr,V,Caを、鋼14はC
r,Mo,Nb,Vを、鋼15はCu,Ni,Mo,Nbをそれぞれ添
加したものであり、いずれの元素も強度、靱性を劣化さ
せずにそれぞれの特長を発揮している。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、微量Bを十分に活用す
ることによって、合金元素の添加量が少なくてすみ、安
価に一般用途に供し得る、溶接性に優れた調質型高張力
鋼を製造できるという格別の効果を奏する。
ることによって、合金元素の添加量が少なくてすみ、安
価に一般用途に供し得る、溶接性に優れた調質型高張力
鋼を製造できるという格別の効果を奏する。
【図1】鋼中B量と焼入れ後の鋼板の強度特性との関係
を示すグラフ。
を示すグラフ。
【図2】鋼中B量と溶接最高硬さ試験結果との関係を示
すグラフ。
すグラフ。
Claims (3)
- 【請求項1】 mass%にて、C:0.02〜0.20%,Si:0.
02〜0.80%,Mn:0.50〜2.50%,Al: 0.005〜0.06%,
Ti: 0.003〜0.020 %,N: 0.006%以下、およびB:
0.0003〜0.0006%を含み、残部がFeおよび不可避的不純
物からなる鋼を、Ac3 点以上1000℃以下に加熱後 250℃
以下まで水冷し、次にAc1 点以下の温度で焼戻すことを
特徴とする溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法。 - 【請求項2】 mass%にて、C:0.02〜0.20%,Si:0.
02〜0.80%,Mn:0.50〜2.50%,Al: 0.005〜0.06%,
Ti: 0.003〜0.020 %,N: 0.006%以下、およびB:
0.0003〜0.0006%を含み、残部がFeおよび不可避的不純
物からなる鋼片を、1000℃以上1300℃以下に加熱後、 9
50℃以下での累積圧下率が50%以上になるまで圧延し、
Ar3+100 ℃〜Ar3 点の温度範囲で圧延を終了し、その
後直ちに 250℃以下まで水冷し、次にAc1 点以下の温度
で焼戻すことを特徴とする溶接性に優れた調質型高張力
鋼の製造方法。 - 【請求項3】 mass%にて、1.50%以下のCu,1.20%以
下のNi,0.60%以下のCr,0.50%以下のMo,0.05%以下
のNb,0.10%以下のV, 0.010%以下のREM, 0.004%
以下のCaの1種または2種以上を含有する請求項1また
は2記載の溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18424295A JPH0931538A (ja) | 1995-07-20 | 1995-07-20 | 溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18424295A JPH0931538A (ja) | 1995-07-20 | 1995-07-20 | 溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0931538A true JPH0931538A (ja) | 1997-02-04 |
Family
ID=16149876
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18424295A Pending JPH0931538A (ja) | 1995-07-20 | 1995-07-20 | 溶接性に優れた調質型高張力鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0931538A (ja) |
-
1995
- 1995-07-20 JP JP18424295A patent/JPH0931538A/ja active Pending
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060124 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060704 |