JPH09314879A - サーマルヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】記録媒体に弛みが生じて印字画像が不鮮明にな
ったり、或いは、記録媒体等のジャミングが発生してい
た。 【解決手段】絶縁基板１の上面に発熱素子２と電極層と
を被着させて成るヘッド本体４と、前記ヘッド本体４の
電極層に接続される配線導体を有した可撓性配線基板５
と、前記ヘッド本体４と可撓性配線基板５とが載置固定
される支持板７と、前記ヘッド本体４の電極層と可撓性
配線基板５の配線導体との接続部を覆うカバー部材８と
から成り、ヘッド本体４の発熱素子２上に可撓性配線基
板５側より記録媒体Ｉを搬送させながら印字を行うサー
マルヘッドであって、前記カバー部材８はその一端に記
録媒体Ｉの移動を支持する摺接部８ａを有し、且つ、該
摺接部８ａが記録媒体Ｉの摺接圧に応じて変位し得るよ
うバネ性をもたせておく。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ワードプロセッサ
やファクシミリ等のプリンタ機構として組み込まれるサ
ーマルヘッドの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ワードプロセッサ等のプリンタ機
構として組み込まれるサーマルヘッドは、例えば図５に
示す如く、アルミニウム等の金属から成る支持板１５の
上面に、絶縁基板１１上に発熱素子１２、電極層（不図
示）等を取着させて成るヘッド本体１３と、このヘッド
本体１３の電極層に接続される配線導体（不図示）を有
した可撓性配線基板１４とを載置させ、更にその上に前
記ヘッド本体１３と可撓性配線基板１４との接続部を覆
うためのカバー部材１６を配置させた構造を有してい
る。

【０００３】かかる従来のサーマルヘッドｔｈは、前記
ヘッド本体１３の発熱素子１２上にインクリボンや感熱
記録紙等の記録媒体Ｉを順次、供給しつつ、発熱素子１
２を印字制御信号に基づいて選択的にジュール発熱させ
るとともに該発熱した熱を記録媒体Ｉに伝導させ、記録
媒体Ｉに所定の印字画像を形成することによってサーマ
ルヘッドとして機能する。

【０００４】またこのようなサーマルヘッドｔｈが組み
込まれるプリンタ本体の内部には、記録媒体Ｉの搬送方
向上流側に記録媒体Ｉを順次、供給するための供給ロー
ラ（不図示）と、記録媒体Ｉをヘッド本体１１の発熱素
子１２側に押圧するためのプラテンローラＰと、記録媒
体Ｉの搬送方向下流側で記録媒体Ｉを順次、巻き取るた
めの巻取ローラ（不図示）とがそれぞれ配置されてお
り、これらのローラによって記録媒体Ｉを所定の搬送経
路にしたがって搬送するようにしている。

【０００５】尚、このようなプラテンローラＰや巻取ロ
ーラ等は複数個のギア部材とモーターとによってそれぞ
れ回転駆動される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のサーマルヘッドｔｈにおいては、前述した種々のロ
ーラを回転させて記録媒体Ｉを搬送する際、これらを回
転駆動させるためのギア部材間に設けられる僅かな遊び
等によって記録媒体Ｉに弛みを生じることが多く、この
ような弛みが原因となって記録媒体Ｉにしわが形成され
たり、或いは、記録媒体Ｉのジャミングが発生する等の
欠点が誘発されていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記欠点に鑑み
案出されたもので、絶縁基板の上面に発熱素子と電極層
とを被着させて成るヘッド本体と、前記ヘッド本体の電
極層に接続される配線導体を有した可撓性配線基板と、
前記ヘッド本体と可撓性配線基板とが載置固定される支
持板と、前記ヘッド本体の電極層と可撓性配線基板の配
線導体との接続部を覆うカバー部材とから成り、ヘッド
本体の発熱素子上に可撓性配線基板側より記録媒体を搬
送させながら印字を行うサーマルヘッドであって、前記
カバー部材はその一端に記録媒体の移動を支持する摺接
部を有し、且つ、該摺接部が記録媒体の摺接圧に応じて
変位し得るようバネ性をもたせたことを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づい
て詳細に説明する。図１は本発明のサーマルヘッドの一
実施形態を示す構成図、図２は図１のサーマルヘッドか
らカバー部材を取り外した状態を示す斜視図であり、４
はヘッド本体、５は可撓性配線基板、７は支持板、８は
カバー部材、８ａはカバー部材の摺接部である。

【０００９】前記ヘッド本体４は、長方形状を成すアル
ミナセラミックス製の絶縁基板１上に、複数個の発熱素
子２と複数個の電極層３と駆動回路素子ICとを取着させ
た構造を有している。

【００１０】前記発熱素子２は窒化タンタル等の抵抗材
料から成っており、駆動回路素子ICや電極層３等を介し
て外部電源からの電力が印加されるとジュール発熱を起
こし、記録媒体Ｉとしてインクリボンを用いる場合であ
ればインクリボンのインクを溶融し得る所定の温度に、
また記録媒体Ｉとして感熱記録紙を用いる場合であれば
感熱記録紙を発色させ得る所定の温度に発熱する。

【００１１】また前記電極層３はアルミニウム等の金属
から成っており、該電極層３は前述した発熱素子２にジ
ュール発熱を起こさせるための所定の電力を印加した
り、或いは、駆動回路素子ICに種々の印字制御信号を供
給する作用を為す。

【００１２】また前記駆動回路素子ICは前述した発熱素
子２を外部より供給される印字制御信号に基づいて選択
的にジュール発熱させる作用、具体的には、電極層３を
介して発熱素子２に印加される電力のオン・オフを制御
する作用を為し、半田バンプやボンディングワイヤ等を
介して電極層３に電気的に接続される。

【００１３】尚、前記発熱抵抗体１２及び一対の導電層
１３は従来周知のスパッタリング法及びフォトリソグラ
フィー技術を採用することによって絶縁基板１の上面に
所定パターン、所定厚みに被着形成され、駆動回路素子
ICは従来周知のフェースダウンボンディング法、ワイヤ
ボンディング法等によって基板上面の所定位置に搭載さ
れる。

【００１４】またかかるヘッド本体４の一辺側には、ヘ
ッド本体４の電極層３と電気的に接続される複数個の配
線導体６を有した可撓性配線基板５が配置されている。

【００１５】前記可撓性配線基板５は、その一端に取着
されるコネクタ（不図示）を介してヘッド本体４の電極
層３等をプリンタ本体に電気的に接続して外部電源から
の電力やプリンタ本体からの印字制御信号を発熱素子２
や駆動回路素子ICに供給するためのものであり、銅箔等
から成る所定パターンの配線導体６をポリイミド樹脂製
のベースフィルムとカバーフィルムとの間で挟持した構
造を有し、前記配線導体６をヘッド本体４の電極層３に
半田接合させることによりヘッド本体４と電気的に接続
される。

【００１６】尚、前記可撓性配線基板５とヘッド本体４
との半田接合は、可撓性配線基板５の端部を、その配線
導体６がヘッド本体４の電極層３上に半田を介して当接
されるようにして重ね、しかる後、約３００℃〜４００
℃の温度でリフローし、半田を加熱溶融させることによ
って行われる。

【００１７】そしてこれらヘッド本体４及び可撓性配線
基板５はアルミニウム等の良熱伝導性材料から成る支持
板７の上面に両面テープ等の接着部材を介して載置さ
れ、これによって支持板７上に固定される。

【００１８】前記支持板４は、その上面でヘッド本体４
及び可撓性配線基板５を支持するとともに、ヘッド本体
４中の熱を伝導吸収してヘッド本体４の温度状態を良好
に保つためのものであり、例えば、アルミニウム等のイ
ンゴット（塊）を従来周知の金属加工法により所定形状
となすことによって製作される。

【００１９】更に、このようなヘッド本体４と可撓性配
線基板５の接続部上にはカバー部材８が配置されてい
る。

【００２０】前記カバー部材８はヘッド本体４と可撓性
配線基板５の接続部を外力の印加等から保護するための
ものであり、所定のバネ性を有した金属材料（例えば、
ＳＵＳ、アルミニウム等）により０．２ｍｍ〜０．３ｍ
ｍの厚みをもって形成されている。

【００２１】また前記カバー部材８は、その一端に、可
撓性配線基板５側より搬送されてくる記録媒体Ｉを支持
するための摺接部８ａを有しており、この摺接部８ａ
が、図３に示す如く、記録媒体Ｉの摺接圧に応じて上下
に変位するように成している。前記摺接部８ａは、例え
ば、カバー部材８の一部を４５°〜１２０°の角度θで
折曲げ加工して成るもので、摺接部８ａの一端側（図中
の左側端部）を他の部材と非接触の状態にして他端側
（図中の右側）でのみ支持するようにしているため、摺
接部８ａに外力が印加されると、バネ性をもったカバー
部材８は外力の大きさに応じて上下に変位する。例え
ば、記録媒体Ｉの摺接圧が大きいときは摺接部８ａが押
し下げられ、記録媒体Ｉの摺接圧が小さいときは摺接部
８ａが上昇して記録媒体Ｉに弛みが生じないようになっ
ている。

【００２２】このため、外部のプラテンローラＰや巻取
ローラ等を回転させて記録媒体Ｉを搬送させる際などに
これらのローラを回転駆動させるためのギア部材間に設
けられる僅かな遊び等によって記録媒体Ｉに弛みが生じ
ようとしても、記録媒体Ｉの摺接圧が低くなるのにあわ
せて摺接部８ａが上方に変位することにより記録媒体Ｉ
の張りを略一定に保つことができる。この結果、記録媒
体Ｉの弛みやジャミングの発生が有効に防止されるよう
になり、記録媒体Ｉに常に良好で鮮明な印字画像を形成
することが可能となる。

【００２３】しかもこの場合、カバー部材８の摺接部８
ａはヘッド本体４の比較的近くに配置されることから、
記録媒体Ｉの弛み除去を極めて精度良く行うことがで
き、プリンタ本体側に別途、高価な弛み取り機構等を設
ける必要がない。

【００２４】また前記カバー部材８の摺接部８ａは記録
媒体Ｉの搬送方向上流側に配置されているため、記録媒
体Ｉに付着したゴミを印字の前に取り除くことができ、
これによっても印画品質が向上される。

【００２５】また更に、前記カバー部材８を金属等の導
電性を有する材料により形成し、これを接地しておけ
ば、記録媒体Ｉの摺接によって発生する静電気を記録媒
体Ｉがヘッド本体４の発熱素子２上に搬送される前に除
電することができ、これによって発熱素子２が静電気に
より破損してしまうのを有効に防止することが可能とな
る。従ってカバー部材８を金属等の導電性を有する材料
により形成し、これを接地しておくことが好ましい。

【００２６】更にまた、前記カバー部材８を金属等の良
熱伝導性材料（熱伝導率：１０〜２２０Ｗ／ｍ・ｋ）に
より形成しておけば、カバー部材８の温度はヘッド本体
４等からの伝熱によって少し高温となるため、摺接部４
で摺接される記録媒体Ｉを印字の前に温めておくことが
でき、その分だけ発熱素子２のジュール発熱量を低く抑
えることが可能である。従ってカバー部材８を熱伝導率
１０〜２２０Ｗ／ｍ・ｋの良熱伝導性材料により形成し
ておくことが好ましい。

【００２７】また更に、前記カバー部材８をＳＵＳ４３
０により形成すれば、記録媒体Ｉを摺接部８ａに摺接さ
せた際の摩擦抵抗を小さくして記録媒体Ｉをより滑らか
に搬送させることができる。従ってカバー部材８をＳＵ
Ｓ４３０により形成することが好ましい。

【００２８】このようなカバー部材８は、例えば、板金
等によって所定形状に加工され、しかる後、その一部が
ヘッド本体４と可撓性配線基板５の接続部を覆うように
して支持板７にネジ止め固定される。

【００２９】かくして上述したサーマルヘッドＴＨは、
ヘッド本体４の発熱素子２上にインクリボンや感熱記録
紙等の記録媒体Ｉを順次、供給しつつ、発熱素子２を印
字信号に基づいて選択的にジュール発熱させるとともに
該発熱した熱を記録媒体Ｉに伝導させ、記録媒体Ｉに所
定の印字画像を形成することによってサーマルヘッドと
して機能する。

【００３０】またこのようなサーマルヘッドＴＨが組み
込まれるプリンタ本体の内部には、複数個のギア部材と
モーターとによって回転駆動される３つのローラ、具体
的には、記録媒体Ｉの搬送方向上流側に記録媒体Ｉを順
次、供給するための供給ローラと、記録媒体Ｉをヘッド
本体１の発熱素子２側に押圧するためのプラテンローラ
Ｐと、記録媒体Ｉの搬送方向下流側で記録媒体Ｉを順
次、巻き取るための巻取ローラとがそれぞれ配置され、
これらのローラによって記録媒体Ｉを所定の搬送経路に
したがって搬送することとなる。

【００３１】尚、本発明は上述した実施形態に限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て種々の変更、改良が可能であり、例えば上記実施形態
においては、板状のカバー部材８を一部、折り曲げるこ
とで摺接部８ａを形成したが、これに代えて、図４
（ａ）に示す如く、カバー部材８の一端をカールして摺
接部８ｂを形成したり、或いは、図４（ｂ）に示す如
く、カバー部材８の一端に金属等から成るワイヤー部材
９を接着剤１０を用いて取着し、このワイヤー部材９を
摺接部となしても構わない。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、カバー部材の一端に記
録媒体を摺接させるための摺接部を形成し、この摺接部
を記録媒体の摺接圧に応じて上下に変位させるようにし
ていることから、外部のプラテンローラや巻取ローラ等
を回転させて記録媒体を搬送させる際などに記録媒体に
弛みが生じようとしても、記録媒体の摺接圧が低くなる
のにあわせて摺接部が上方に変位することにより記録媒
体の張りを略一定に保つことができる。この結果、記録
媒体の弛みやジャミングの発生が有効に防止されるよう
になり、記録媒体に常に良好で鮮明な印字画像を形成す
ることが可能となる。

【００３３】また本発明によれば、カバー部材の摺接部
はヘッド本体の比較的近くに配置されることから、記録
媒体の弛み除去を極めて精度良く行うことができ、プリ
ンタ本体側に別途、高価な弛み取り機構等を設ける必要
もない。

【００３４】更に本発明によれば、カバー部材の摺接部
が記録媒体の搬送方向上流側に配置されることから、記
録媒体に付着したゴミを印字の前に取り除くことがで
き、これによっても印画品質が向上される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のサーマルヘッドの一実施形態を示す構
成図である。

【図２】図１のサーマルヘッドＴＨからカバー部材を取
り外した状態を示す平面図である。

【図３】カバー部材に設けられた摺接部の動きを示す図
である。

【図４】本発明のサーマルヘッドの変形例を示す部分拡
大図である。

【図５】従来のサーマルヘッドの構成を示す図である。

【符号の説明】

１・・・絶縁基板 ２・・・発熱素子 ３・・・電極層 ４・・・ヘッド本体 ５・・・可撓性配線基板 ６・・・配線導体 ７・・・支持板 ８・・・カバー部材 ８ａ・・摺接部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁基板の上面に発熱素子と電極層とを被
   着させて成るヘッド本体と、前記ヘッド本体の電極層に
   接続される配線導体を有した可撓性配線基板と、前記ヘ
   ッド本体と可撓性配線基板とが載置固定される支持板
   と、前記ヘッド本体の電極層と可撓性配線基板の配線導
   体との接続部を覆うカバー部材とから成り、ヘッド本体
   の発熱素子上に可撓性配線基板側より記録媒体を搬送さ
   せながら印字を行うサーマルヘッドであって、 前記カバー部材はその一端に記録媒体の移動を支持する
   摺接部を有し、且つ、該摺接部が記録媒体の摺接圧に応
   じて変位し得るようバネ性をもたせたことを特徴とする
   サーマルヘッド。