JPH09314835A - インクジェットヘッドとその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドとその製造方法

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JPH09314835A
JPH09314835A JP13902996A JP13902996A JPH09314835A JP H09314835 A JPH09314835 A JP H09314835A JP 13902996 A JP13902996 A JP 13902996A JP 13902996 A JP13902996 A JP 13902996A JP H09314835 A JPH09314835 A JP H09314835A
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JP
Japan
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piezoelectric element
ink
plate
ink jet
jet head
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Application number
JP13902996A
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English (en)
Inventor
Shuichi Fukuoka
修一 福岡
Toshikazu Kishino
敏和 岸野
Shin Okubo
慎 大久保
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インク室1及びノズル2の高集積化を図り、圧
電素子4の変形を振動板10に良好に伝達できるインク
ジェットヘッドを得る。 【解決手段】複数のインク室1と、該インク室1に連通
するノズル2と、各インク室1に圧力を加えるための振
動板10とを備えたインクジェットヘッドにおいて、上
記各部材を金属材で形成するとともに、金属製の振動板
10の外側に、硬化後のヤング率が30〜100GPa
で厚み30μm以下の接合層9を介して圧電素子4を接
合し、該圧電素子4上に駆動用電極5を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンターに用いるインクジェットヘッドに関し、特に高
速かつ高解像度印字を可能にするインクジェトヘッドと
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンターは、ヘッドよ
りインクを噴射して印字するようにしたプリンターであ
り、騒音が少なく高速印字が可能であることから、近年
広く使用されている。
【0003】このインクジェットヘッドの概略構造は、
図4(A)に示すようにインク室21とこれに連通する
ノズル22を備えたヘッド基板23に、各インク室21
に圧力を加える振動板24を接合し、該振動板24を変
形させてインク室21内の圧力を上昇させ、インク(不
図示)をノズル22より噴出させるようになっている。
なお、各部材は金属材で形成されており、図では1つの
インク室21しか示していないが、同様のものが複数、
一列に並んでインクジェットヘッドを構成している。ま
た、上記振動板24を変形させる手段としては振動板2
4に圧電素子を接合し、この圧電素子に電圧を印加して
変形させることが行われている。
【0004】一方、特開平6−40030号、特開平6
−218929号公報等に示されるように、このインク
ジェットヘッドの材質としてセラミックスを用いること
も提案されている。
【0005】例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウ
ム、酸化ジルコニウムのうちのいずれか一種類を主成分
とするセラミックスからなるヘッド基板23に、酸化ジ
ルコニウムを主成分とするセラミックスからなる振動板
24を備え、図4(B)に示すように振動板24にPZ
Tなどの圧電素子26を下部電極25、上部電極27に
より挟持した圧電振動体を接合したものが知られてい
る。
【0006】このような、セラミックス製のインクジェ
ットヘッドを製造する場合は、まず、酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムのうち少なく
ともいずれか一種類を主成分とするセラミックスグリー
ンシート上に、インク室21及びノズル22となる部位
を金型で打ち抜いた後、振動板24となるもう一枚のセ
ラミックスグリーンシートを積層し、熱圧着後、セラミ
ックスの焼成温度である約1400℃の温度で焼成して
ヘッド基板23を形成する。
【0007】その後、インク室21に対応した振動板2
4上に、駆動用下部電極25とした導電性を持ったサー
メットをスクリーン印刷後、さらにその上部に圧電素子
26を、例えばPZT系材料を厚膜形成法により作成
後、焼成し、その上部に駆動用上部電極27を形成して
いた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
なセラミックス製のインクジェットヘッドの場合、製造
工程中で、セラミックスグリーンシートにインク室21
及びノズル22を金型で打ち抜く際にインク室21間の
壁部が破損変形しやすいことから、インク室21間のピ
ッチを狭くできないという問題があった。そのため、イ
ンク室21およびノズル22の高集積化ができず、印刷
画像の解像度は約700dpiが上限であった。また、
ヘッド基板23が取扱時に破損しやすく、実装時の歩留
まりが悪くなるなどの問題もあった。
【0009】さらに、ヘッド基板23を約1400℃で
焼成した後で、振動板24上に、下部電極25となるサ
ーメット、圧電素子26、及び上部電極27となる金属
ペーストをそれぞれ塗布した後、再度焼成する必要があ
り、少なくとも2つの焼成工程を必要とするため、製造
工程が煩雑になり、コストの増大を招くという問題もあ
った。また、振動板24と圧電素子26との線膨張係数
が異なることによる圧電素子26の剥離が生じ、歩留ま
りが悪くなるなどの問題もあった。
【0010】一方、金属製のインクジェットヘッドの場
合は、振動板24上に圧電素子を備える際に接合層を介
して接合する必要があるため、振動板24を変形させる
際の応答性が悪いという問題があった。これは、振動板
24上に接合層を介して圧電素子を備えると、圧電素子
の変形が接合層によって吸収されてしまい、振動板24
に伝わり難くなるためである。その結果、振動板24を
変位させるために必要な駆動電圧が大きくなるだけでな
く、圧電素子に大きな応力が生じてしまい破損しやすく
なるという問題もあった。
【0011】また、いずれのインクジェットヘッドの場
合も、高集積化のためにインク室21間のピッチを小さ
くすると、各圧電素子を各インク室21上に正確に位置
決めして備えることが困難になるという問題もあった。
【0012】そこで本発明は、インク室、ノズル及び圧
電素子の高集積化を図って、約1000dpiを超える
高解像度と高速印字を可能にしたインクジェットヘッド
と、製造歩留まりを大幅に向上させ、かつ取り扱いを容
易にしたインクジェットヘッドの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数のインク
室と、該インク室に連通するノズルと、各インク室に圧
力を加えるための振動板とを備えたインクジェットヘッ
ドにおいて、各部材を金属板で形成するとともに、振動
板の外側に、硬化後のヤング率が30〜100GPaで
厚み30μm以下の接合層を介して圧電素子を接合し、
該圧電素子上に駆動用電極を形成したことを特徴とす
る。
【0014】即ち、本発明によれば、ヘッドを金属材で
形成することによって、靱性及び強度が高いことから、
製造時にインク室やノズルを形成する際の加工精度を高
くしやすい。そのため、インク室間のピッチを狭くして
集積度の高いインクジェットヘッドを得ることができ
る。また、ヘッドを金属で形成することによって、製造
工程を簡略化し、取扱を容易にすることもできる。さら
に振動板を金属材で形成することによって、圧電素子の
下部電極を振動板で兼用することができる。
【0015】なお、金属製のインクジェットヘッドの場
合、振動板と圧電素子との接合層が問題となるが、種々
実験の結果、接合層のヤング率と厚みを上記範囲とすれ
ば、応答性に優れたインクジェットヘッドが得られるこ
とを見出したのである。
【0016】即ち、圧電素子で発生した変位を効率よく
振動板に伝達するには、振動板と圧電素子の接合にヤン
グ率の高い接合層を用いることが望ましい。しかしなが
ら、過度にヤング率の高い接合層で圧電素子を接合した
場合、圧電素子への電圧印加時に、変形が拘束されて内
部に発生する応力が高くなり、圧電素子が破壊に至る可
能性がある。
【0017】そこで、本発明では上記接合層の硬化後の
ヤング率を30〜100GPaとしたが、これは30G
Pa未満では圧電素子の変位を効率良く振動板に伝達す
ることができず、100GPaを超えると変形拘束によ
り圧電素子が破損しやすくなるためである。なお、この
ような接合層としては、低融点ガラス、エポキシ系接着
剤、嫌気性接着剤、シランカップリング剤と金属系カッ
プリング剤の混合剤などを用いるが、上記範囲内であれ
ば、その他の有機系接着剤、無機系接着剤を用いること
ができる。あるいは、これらの接着剤に無機粉末等のフ
ィラーを混合してヤング率を上記範囲に調整したもので
あってもよい。
【0018】また、圧電素子の変位を振動板に効率よく
伝達し、かつ振動板、接合層および圧電素子に生ずる応
力を低く抑えるには、これらの積層時の厚みをできるだ
け薄くすることが望ましい。そこで、本発明では、接合
層の厚みを30μm以下、望ましくは20μm以下とす
ることにより、圧電素子の変位を効率よく振動板に伝達
し、かつ強度上安定した構造を実現した。
【0019】また上記応力を低く抑え、応答性を向上さ
せて高速駆動するために、振動板の厚みは30μm以下
とすることが好ましい。
【0020】さらに、圧電素子の厚みは50μm以下と
薄くすることによって、共振周波数を高めるとともに、
駆動電圧を小さくすることができる。しかし、小型化と
薄層化に伴い、個々に独立した圧電素子をインク室上に
形成することが困難で、生産性が低くなるなどの問題が
生じる。そこで、後述する製造方法により、一枚の圧電
素子を全面に接合し、インク室間の部分を除去してスリ
ットを形成することで、容易に圧電素子を形成すること
ができる。
【0021】さらに本発明は、複数のインク室と、該イ
ンク室に連通するノズルと、各インク室に圧力を加える
ための振動板とを備えたインクジェットヘッドにおい
て、上記振動板の外側に接合層を介して板状の圧電素子
を接合した後、該圧電素子における隣合うインク室間の
部分を除去してスリットを形成する工程からインクジェ
ットヘッドを製造することを特徴とする。
【0022】即ち、本発明によれば、インク室上に圧電
素子を備える際に、全面を覆う圧電素子プレートを接合
した後、インク室の間に相当する部分の圧電素子を除去
してスリットを形成することによって、インク室上に正
確に位置決めして圧電素子を形成するとともに、個々の
圧電素子の相互干渉を防止できる。そのため、インク室
間のピッチを小さくして、高集積化を図ったインクジェ
ットヘッドを容易に製造できる。
【0023】また、本発明は、複数のインク室と、該イ
ンク室に連通するノズルと、各インク室に圧力を加える
ための振動板とを備えたインクジェットヘッドにおい
て、上記振動板の外側に、インク室に対応する部分のみ
に圧電素子を成膜する工程からインクジェットヘッドを
製造することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図によ
って説明する。
【0025】本発明のインクジェットヘッドは、図1に
示すようにインク室1とノズル2が形成されたヘッド基
板3の表面に、接合層9を介して圧電素子プレート4が
接合された構造となっている。
【0026】ヘッド基板3は、ノズル2を形成したプレ
ート7と、インク室1及びインク通路(不図示)を形成
したプレート8と、振動板10とをガラス等の接合材6
で接合したものであり、これらの部材はステンレス、N
i、Ti、Alまたはその合金など、耐食性に優れた金
属から形成されている。上記振動板10の厚みt1 は3
0μm以下、特に20μm以下であることが好ましい
が、これは圧電素子4に電圧を印加して変位させた時の
応力を小さくし、高速駆動を可能とするためである。
【0027】また、ヘッド基板3の振動板10と圧電素
子プレート4との間の接合層9は、低融点ガラス、エポ
キシ系接着剤、嫌気性接着剤またはシランカップリング
剤と金属系カップリング剤の混合剤等からなり、硬化後
のヤング率が30〜100GPaのものを用いることに
よって、圧電素子プレート4の変位を効率的に振動板1
0に伝えるとともに、圧電素子プレート4への電圧印加
時に生じる応力を小さくしてある。
【0028】なお、接合層9の硬化後のヤング率とは、
接合層9が完全に硬化した後のヤング率のことであり、
接合層9に薄膜用硬度測定圧子を押しつけることによっ
て測定できる。
【0029】さらに、接合層9の厚みt2 は30μm以
下、好ましくは20μm以下とすることが好ましいが、
これは圧電素子プレート4の変位を効率的に振動板10
に伝えるためである。
【0030】また圧電素子プレート4は、各インク室1
上に形成された駆動部4aと連結部4bからなる一枚の
板状体であり、インク室1間の部分に相当する各駆動部
4a間にはスリット4cが形成され、全体として櫛歯状
となっている。そのため、隣接するインク室1間におい
て駆動部4aによる相互干渉を少なくすることができ
る。
【0031】また、圧電素子4の駆動部4aの厚みt3
は50μm以下とすることが好ましいが、これは共振周
波数を高くし、駆動電圧を低くするためである。
【0032】この圧電素子プレート4は、電圧印加によ
り変形する圧電材料により形成されている。例えば、チ
タン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とするペロブス
カイト型複合酸化物からなる圧電材料、あるいは上記P
ZTのPb、Zr、Tiの元素の一部を、Sr、Ba等
のアルカリ土類金属、Nb等の周期律表第5a族元素、
Bi、Sb等の周期律表第5b族元素、Ni等の周期律
表第8族元素、Pr、Nd等の希土類、Zn、Te等に
より一部置換した圧電材料で形成されている。
【0033】さらに駆動用電極5は、圧電素子プレート
4の駆動部4a上に形成され、例えば、銀、パラジウ
ム、白金、ニッケルのうちの少なくとも一種からなるも
のである。
【0034】このインクジェットヘッドを作動させる場
合は、下部電極を兼用する振動板10と圧電素子プレー
ト4のうち所望の駆動部4a上の駆動電極5との間に電
圧を印加することによって、当該駆動部4aを変形さ
せ、これを振動板10に伝えてインク室1内の圧力を高
め、インク室1内のインク(不図示)をノズル2より噴
出させることができる。
【0035】次に本発明の製造方法を説明する。
【0036】まず、ノズル2を形成した金属製のプレー
ト7と、インク室1及びインク通路(不図示)を形成し
た金属製のプレート8と、金属製の振動板10とをそれ
ぞれガラス等の接合材6で接合してヘッド基板3を作製
する。
【0037】次に、図2(A)に示すように、このヘッ
ド基板3の振動板10上に、接合層9を塗布して、スリ
ットを形成していない圧電素子プレート4を接合する。
具体的には、接合層9としてガラスペーストを塗布後、
圧電素子プレート4を熱接合するか、あるいは接合層9
としてエポキシ系接着剤またはシランカップリング剤と
金属系カップリング剤の混合剤を塗布後、圧電素子プレ
ート4を接合する。
【0038】なお、上記圧電素子プレート4は、上述し
た圧電材料からなるセラミックスグリーンシートを1層
又は複数層積層した後、焼成したものである。
【0039】次に、図2(B)に示すように、この圧電
素子プレート4の表面に、各インク室1間の部分を除い
て樹脂等のマスキング11を施す。そして、サンドブラ
スト法、ドライエッチング法、又はビームエッチング法
等により、圧電素子プレート4におけるマスキング11
を施していないインク室1間の部分を除去する。なお、
この工程では、少なくともインク室間1の部分における
圧電素子を除去すればよく、この部分の接合層9は残っ
ていても良い。
【0040】その後、マスキング11を除去すれば、図
2(C)に示すように、インク室1上に形成した駆動部
4aと連結部4bから成り、各駆動部4a間にスリット
4cを有する櫛歯状の圧電素子プレート4を得ることが
できる。
【0041】その後、駆動用電極5を圧電素子プレート
4の駆動部4aごとに形成すれば良い。
【0042】以上のような製造方法により、圧電素子プ
レート4の駆動部4aをインク室1上に正確に位置決め
することができ、個々独立した変位を生ぜしめるととも
に、隣接したインク室1との相互干渉を少なくすること
ができる。また、上記製造方法によれば、インク室1間
のピッチを小さくしても、各駆動部4aを正確にインク
室1上に形成できるため、インク室1及びノズル2の高
集積化が可能になり、その結果、高解像度のインクジェ
ットヘッドが得られることとなる。
【0043】次に、本発明の他のインクジェットヘッド
の製造方法を説明する。
【0044】図3(A)に示すように、ヘッド基板3の
振動板10上に、隣接したインク室1間の部分にマスキ
ング12を形成する。この状態で、振動板10の表面に
CVD法等の成膜手段で圧電材料を成膜し、その後マス
キング12を除去することによって、マスキング12部
分には圧電材料が成膜されないため、図3(B)に示す
ような櫛歯状の圧電素子プレート4を形成することがで
きる。そのため、圧電素子プレート4の駆動部4aを正
確にインク室1上に形成することができる。
【0045】
【実施例】まず、1200dpiに対応できるようなピ
ッチでノズル2を形成した厚み500μmのステンレス
製のプレート7と、インク通路部とインク室1を形成し
たステンレス製のプレート8と、厚みt1 が10μmの
ステンレス製の振動板10とを、それぞれ融点650℃
のガラスにより接合してヘッド基板3を作製した。
【0046】次に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を
主成分とする厚み30μmのセラミックスグリーンシー
トを金型により板状に打ち抜いた。その後、このグリー
ンシートを焼成し、圧電素子プレート4を作製した。な
お、このとき、反りを防ぐために、重りをのせて脱バイ
ンダー及び焼成を行った。
【0047】次に、図2(A)に示すように、ヘッド基
板3の振動板10上に、融点が500℃以下の低融点ガ
ラスを印刷して接合層9とし、乾燥後、上記圧電素子プ
レート4を重ね合わせ、重りをのせて約500℃で約5
分間の熱処理を行い、両者を接合させた。
【0048】なお、ここで使用した接合層9を成す低融
点ガラスの硬化後のヤング率は80GPa、接合層9の
厚みt2 は10μm とした。
【0049】次に、図2(B)に示すように、圧電素子
プレート4の上に樹脂のマスキング11を施し、サンド
ブラスト法またはドライエッチング法によりインク室1
間の部分を除去することによって、図2(C)に示す形
状の圧電素子プレート4とした。
【0050】その後、駆動用電極5を圧電素子4の駆動
部4aに印刷等の方法で形成し、焼き付けることによっ
て、本発明のインクジェットヘッドを作製した。
【0051】以上のようにして作製したインクジェット
ヘッドは、良好に作動し、1200dpiの高解像度を
得られることが確認された。また、ヘッド基板3が金属
で形成されることから、取り扱いが容易になり、製造工
程の簡略化と歩留まり向上によるコストダウンを図るこ
とができた。
【0052】実験例1 次に、上記インクジェットヘッドにおいて、接合層9の
ヤング率を変化させる実験を行った。
【0053】図1のインク室1に対応する振動板10及
び駆動部4aの幅(図面の左右方向)は260μm、長
さ(図面の奥行き方向)は3mmとし、振動板10の厚
みt1 は20μm、接合層9の厚みt2 は20μm、P
ZTからなる圧電素子プレート4の厚みt3 は30μm
とした。
【0054】また、接合層9として、表1に示すように
硬化後のヤング率が10〜120GPaの範囲の接合材
を用いた。
【0055】各インクジェットヘッドに、振動板10の
変位量が0.1μmとなるように圧電素子プレート4の
駆動部4aに電圧を印加し、その際に駆動部4aに生じ
る最大応力を求めた。なお、応力値を実測することはで
きないため、コンピュータシュミレーションによって算
出した。
【0056】結果は表1に示す通り、接合層9のヤング
率を高くするほど、振動板10及び駆動部4aが変形し
にくくなることから、一定の変位量を得るために駆動部
4aに生じる応力が大きくなる傾向がある。また、一般
的なPZTの強度は11MPa程度であることから、接
合層9のヤング率が100GPaを超えると、PZTか
らなる圧電素子プレート4の駆動部4aが破損する恐れ
があることがわかる。
【0057】したがって、圧電素子プレート4の破損を
防止するには、接合層9のヤング率を100GPa以下
とすれば良い。
【0058】
【表1】
【0059】実験例2 次に、上記と同様にして、圧電素子プレート4の駆動部
4aへの印加電圧を30Vとした時の、振動板10の変
位量を測定した。
【0060】結果を表2に示すように、ヤング率が30
GPa未満と低い場合は、駆動部4aの変形が伝達され
にくいため振動板10の変位量が小さくなり、一方ヤン
グ率が100GPaを超えると、振動板10が拘束され
て変位量が小さくなることがわかる。
【0061】したがって、駆動部4aの変形を良好に振
動板10に伝達するためには、接合層9のヤング率を3
0〜100GPaの範囲とすれば良い。
【0062】
【表2】
【0063】実験例3 次に、接合層9のヤング率を50GPaに固定し、厚み
2 を表3に示すように種々に変化させた。それぞれ、
振動板10の変位量が0.1μmとなるように、圧電素
子プレート4の駆動部4aに電圧を印加し、その際に駆
動部4aに生じる応力を実験例1と同様にして求めた。
【0064】結果を表3に示すように、接合層9の厚み
2 が大きいほど、振動板10が変位しにくくなること
から、一定の変位量を得るために、駆動部4aに生じる
応力が大きくなる傾向がある。また、一般的なPZTの
強度は11MPa程度であることから、接合層9の厚み
2 が30μmを超えると、PZTからなる圧電素子プ
レート4の駆動部4aが破損する恐れがあることがわか
る。
【0065】したがって、圧電素子プレート4の破損を
防止するには、接合層9の厚みt2を30μm以下とす
れば良い。
【0066】
【表3】
【0067】実験例4 次に、実験例3と同様にして、圧電素子4への印加電圧
を30Vとした時の、振動板10の変位量を測定した。
【0068】結果を表4に示すように、厚みt2 が30
μmを超えると、圧電素子プレート4の駆動部4aの変
形が伝達されにくくなるため、振動板10の変位量が小
さくなることがわかる。
【0069】したがって、接合層9の厚みt2 は30μ
m以下とすれば良い。
【0070】
【表4】
【0071】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、複数の
インク室と、該インク室に連通するノズルと、各インク
室に圧力を加えるための振動板とを備えたインクジェッ
トヘッドにおいて、上記各部材を金属材で形成するとと
もに、金属製の振動板の外側に、硬化後のヤング率が3
0〜100GPaで厚み30μm以下の接合層を介して
圧電素子を接合し、該圧電素子上に駆動用電極を形成し
たことによって、インク室及びノズルの高集積化を図る
ことができる。また圧電素子の変形を振動板に良好に伝
達できることから応答性に優れ、低電圧で大きな応力が
生じることなく駆動させることができる。
【0072】その結果、1000dpiを超える高解像
度が得られ、使用時に振動部が破損する恐れがなく、低
電圧で高速駆動が可能な、高性能のインクジェットヘッ
ドを得ることができる。
【0073】また、本発明によれば、複数のインク室
と、該インク室に連通するノズルと、各インク室に圧力
を加えるための振動板とを備えたインクジェットヘッド
において、上記振動板の外側に接合層を介して板状の圧
電素子を接合した後、該圧電素子における隣合うインク
室間の部分を除去してスリットを形成する工程から製造
することによって、各部材が金属からなるため取り扱い
が容易で、製造歩留まりを大幅に向上させることができ
る。また、各インク室上に正確に圧電素子を形成できる
ため、インク室の高集積化に対応でき、高解像度のイン
クジェットヘッドを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットヘッドを示す一部破断
斜視図である。
【図2】(A)〜(C)は本発明のインクジェットヘッ
ドの製造方法を説明するための斜視図である。
【図3】(A)(B)は本発明のインクジェットヘッド
の製造方法を説明するための斜視図である。
【図4】(A)(B)は従来のインクジェットヘッドを
示す概略断面図である。
【符号の説明】
1:インク室 2:ノズル 3:ヘッド基板 4:圧電素子 4a:駆動部 4b:連結部 4c:スリット 5:駆動用電極 6:接合材 7:プレート 8:プレート 9:接合層 10:振動板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のインク室と、該インク室に連通する
    ノズルと、各インク室に圧力を加えるための振動板とを
    備えたインクジェットヘッドにおいて、上記各部材を金
    属材で形成するとともに、振動板の外側に、硬化後のヤ
    ング率が30〜100GPaで厚み30μm以下の接合
    層を介して圧電素子を接合し、該圧電素子上に駆動用電
    極を形成してなるインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】上記振動板の厚みが30μm以下で、かつ
    圧電素子の厚みが50μm以下であることを特徴とする
    請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】上記各振動板に接合された圧電素子は、一
    体的に形成した板状体であり、かつ隣合うインク室間に
    はスリットを有することを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】複数のインク室と、該インク室に連通する
    ノズルと、各インク室に圧力を加えるための振動板とを
    備えたインクジェットヘッドにおいて、上記振動板の外
    側に接合層を介して板状の圧電素子を接合した後、該圧
    電素子における隣合うインク室間の部分をブラスト法又
    はエッチング法により除去してスリットを形成する工程
    からなるインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】複数のインク室と、該インク室に連通する
    ノズルと、各インク室に圧力を加えるための振動板とを
    備えたインクジェットヘッドにおいて、上記振動板の外
    側に、インク室に対応する部分のみに圧電素子を成膜に
    より形成する工程からなるなるインクジェットヘッドの
    製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008518470A (ja) * 2004-10-26 2008-05-29 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. プラズマボンディングのための方法及びプラズマボンディングによって形成される接着構造物
US8174094B2 (en) 2004-10-29 2012-05-08 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Bonded structures formed by plasma enhanced bonding
JP2013111974A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 圧電アクチュエータ、インクジェットヘッドアセンブリ及びその製造方法
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