JP3340036B2 - インクジェットプリンタヘッド - Google Patents
インクジェットプリンタヘッドInfo
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Description
クを噴射させて印字を行うインクジェットプリンタに用
いるヘッドに関するものである。
さく、高速印字が可能であることから近年広く使用され
ている。
1に示すように、複数のインク室1とこれに連通するイ
ンク流路(不図示)及びノズル6を備えたヘッド基板2
に対し、各インク室1に対応する振動板21上に圧電素
子3を配置して構成される。そして、電極4a、4bに
より圧電素子3に電圧を印加し、変形させることにより
インク室1に圧力を印加し、インク室1内の圧力を上昇
させてインクをノズル6より噴射させている。
は、例えば、酸化アルミニウム(Al2 O3 )、酸化マ
グネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO2 )
のうちのいずれか一種類を主成分とするセラミックスに
よりヘッド基板2を形成し、チタン酸ジルコン酸鉛(P
ZT)などの圧電セラミックスからなる圧電素子3を電
極4a、4bにより挟持して熱接合したものが知られて
いる(特開平4−12678号、特開平5−97437
号公報等参照)。このようなインクジェットヘッドは、
長期使用における信頼性も高く、基板への力の伝達が効
率よく行われるなどの特徴を有している。
えばAl2 O3 、MgO、ZrO2の一種以上を主成分
としたグリーンシート上に、インク室1及びインク流路
となる部位を金型で打ち抜いた後、振動板21となる別
のグリーンシートを積層し、熱圧着後、セラミックスの
焼成温度である約1400℃の温度で焼成するようにな
っている。
上に、下部の電極4aとなるサーメットをスクリーン印
刷後、その上部に圧電素子3となる圧電材料として、例
えばPZT系材料を厚膜形成法により形成後、約120
0℃で焼成し、その上部に上部の電極4bを形成してい
る。
クジェットヘッドでは、ヘッド基板2と圧電素子3の熱
膨張係数が異なることから、製造工程中で焼成時の熱応
力により圧電素子3の剥離や破損が生じやすく、製造歩
留まりが悪いという問題があった。
を含む材料が用いられるが、焼成時にこの鉛成分が飛散
したり、あるいはヘッド基板2内へ拡散しやすく、その
結果圧電素子3及びヘッド基板2の特性が変化してしま
うという問題もあった。
歩留まりを向上させたインクジェットプリンタヘッドを
提供することを目的とする。
プリンタヘッドは、ヘッド基板に内蔵する複数個のイン
ク室に対応する部位に圧電素子を備え、該圧電素子の変
形により、各インク室内に溜められたインクを噴射させ
るようにしたインクジェットプリンタヘッドにおいて、
上記圧電素子が、ヘッド基板上に印刷された圧電材料の
焼成により形成され、かつ上記ヘッド基板が上記圧電素
子の材質と同系の鉛成分を含むセラミックスからなって
いることを特徴とするものである。また本発明のインク
ジェットプリンタヘッドは、ヘッド基板に内蔵する複数
個のインク室に対応する部位に圧電素子を備え、該圧電
素子の変形により、各インク室内に溜められたインクを
噴射させるようにしたインクジェットプリンタヘッドに
おいて、上記ヘッド基板が、上記圧電素子と同種材料を
主成分とし、かつAl2O3、ZrO2、SiO2、炭素繊
維またはガラス繊維を40重量%以下含有するセラミッ
クからなることを特徴とするものである。更に本発明の
インクジェットプリンタヘッドは、上記ヘッド基板が、
ノズルを有するノズル板上に隔壁及びインク室を介し
て、該インク室に対応する圧電素子が形成される振動板
を積層してなることを特徴とするものである。また更に
本発明のインクジェットプリンタヘッドは、上記圧電素
子の両面に駆動用電極を備え、駆動時にたわみの内側と
なる方の電極の厚みを5μm以下とし、もう一方の電極
の厚みを20μm以下としたことを特徴とするものであ
る。更にまた本発明のインクジェットプリンタヘッド
は、上記圧電素子および/または振動板の厚みを40μ
m以下としたことを特徴とするものである。
材料を主成分とするため、両者の熱膨張係数の差が小さ
くなり、焼成時の熱応力による圧電素子の破損や剥離を
防ぐことができる。
形成することにより、鉛成分を含む圧電素子の焼成時
に、焼成雰囲気中の鉛成分がヘッド基板からも供給され
ることにより、圧電素子からの鉛成分の飛散を抑制する
ことができる。さらに、ヘッド基板中に圧電素子と同程
度の鉛成分が含まれることにより、圧電素子の焼成時に
おける、ヘッド基板への鉛成分の拡散を抑制することが
できる。
って説明する。
示すように、ノズル6を形成したノズル板23と隔壁2
2と振動板21を積層して一体化することによって、複
数のインク室1とこれに連通するインク流路(不図示)
及びノズル6を備えたヘッド基板2を形成する。このヘ
ッド基板2に対し、各インク室1に対応する振動板21
上に圧電素子3およびその上下に電極4a、4bを配置
してインクジェットヘッドを構成する。
に電圧を印加し、変形させることによりインク室1に圧
力を印加し、インク室1内の圧力を上昇させてインクを
ノズル6より噴射させることができる。
電圧を印加すると変形する材質からなり、例えばチタン
酸ジルコン酸鉛(PZT系)、マグネシウムニオブ酸鉛
(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、マン
ガンニオブ酸鉛、チタン酸鉛などの一種以上を主成分と
する圧電セラミックスから成る。
材質と同系のセラミックスにより形成される。ここで同
系のセラミックスとは、圧電素子3と同種の材質からな
るセラミックス、または圧電素子3と同種の材質を主成
分とし、添加剤を加えたセラミックスのことである。
鉛(PZT系)からなる場合は、ヘッド基板2としてチ
タン酸ジルコン酸鉛からなるセラミックス、又はこれに
後述する添加成分を加えてなるセラミックスを用いる。
あるいは、圧電素子3が上述した複数材料の複合材から
なる場合は、上記複数材料のうち一種以上を主成分とす
るセラミックスによりヘッド基板2を形成すれば良い。
して、圧電素子3と同種材料に加えて、Al2 O3 、Z
rO2 、SiO2 、ガラス繊維または炭素繊維等を40
重量%以下の範囲で添加することにより、ヘッド基板2
の強度等の機械的特性を向上させることができる。な
お、添加成分の範囲を40重量%以下としたのは、40
重量%を越えると、ヘッド基板2と圧電素子3の熱膨張
差が大きくなって、製造工程中に圧電素子3の剥離等を
防止する効果が乏しくなるためである。
電極4a、4bは、例えば銀、パラジウム、白金、ニッ
ケル等のうち少なくとも一種により形成する。
ドの製造方法を説明する。
るセラミックスのグリーンシートを作製し、このグリー
ンシートを用いてノズル板23、インク室1及びインク
流路となる部位を金型で打ち抜いた隔壁22、及び振動
板21をそれぞれ作製し、これらを積層し、熱圧着後、
焼成することによりヘッド基板2を作製する。
上に、下部の電極4aのペーストをスクリーン印刷し、
その上に圧電素子3となる圧電材料を厚膜形成法により
形成、約1200℃で焼成し、その上に上部の電極4b
を印刷等の厚膜形成法、または蒸着、スパッタリング等
の薄膜形成法により形成すればよい。
る際に、焼成雰囲気中の鉛成分がヘッド基板2からも供
給されることにより、圧電素子3からの鉛成分の飛散を
抑制することができる。さらに、ヘッド基板2中に圧電
素子3と同程度の鉛成分が含まれることにより、圧電素
子3の焼成時における、ヘッド基板2への鉛成分の拡散
を抑制することができる。
同種材料を主成分とするセラミックスを用いて両者の熱
膨張係数の差を小さくしているため、上記製造工程中の
焼成による熱応力が加わっても、圧電素子3が剥離した
り破損することを防止できる。
ッドにおいては、ヘッド基板2の振動板21が比較的ヤ
ング率の低いセラミックスから形成されることになるた
め、振動板21を含めた駆動部の応答性が低下しやすく
なる。このような傾向を抑制し、駆動部の応答性を高め
るために、電極4a、4b、圧電素子3および振動板2
1の構造によって駆動部の剛性を確保する設計が必要と
なる。ただし、これらの部材を過度に厚くすると、圧電
素子3の変形が振動板21のたわみに変換されにくくな
る。
性を確保しつつ、振動板21に十分な変位を生じせしめ
るためには、振動板21の厚みYおよび/または圧電素
子3の厚みXを40μm以下とすれば良い。これは、厚
みが40μmを越えると、圧電素子3の変形が振動板2
1のたわみに変換されにくくなり、振動板21の変位量
が小さくなるためである。
3が駆動してたわんだ際に、曲面の内側となる方の電極
の厚みを5μm以下とし、他方の電極の厚みを20μm
以下とすれば良い。一般に圧電素子3は、インク室1を
加圧するように、インク室1側に凸になるようにたわむ
ことから、上部の電極4bが曲面の内側となる。そのた
め、上部の電極4bの厚みを5μm以下とし、下部の電
極4aの厚みを20μm以下とすれば良い。なお、電極
の厚みを上記範囲とした理由は、この範囲を越えると振
動板21の変位量が小さくなるためである。
(PZT系)を用い、ヘッド基板2の材質として、同じ
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)に表1に示すような
各種添加剤を加えたセラミックスを用いて、図1に示す
本発明のインクジェットヘッドを作製した。それぞれヘ
ッド基板2を成す材質の常温〜300℃の熱膨張係数を
測定し、また製造工程中での圧電素子3の剥離の有無を
調べた。
コニアを主成分とするセラミックスで形成したものにつ
いても同様の測定を行った。
り、比較例では、圧電素子3とヘッド基板2の熱膨張係
数の差が大きく、製造工程中で圧電素子3の剥離が発生
するものがあった。
3と同種材料を主成分とし、40重量%以下の添加成分
を含むセラミックスでヘッド基板2を形成したことによ
って、両者の熱膨張係数の差を小さくすることができ、
製造工程中ので圧電素子3の剥離を防止できることがわ
かる。
ド基板2の熱膨張係数の差は2×10-6以下としておけ
ば製造工程での圧電素子3の剥離等を防止できることが
わかった。
3としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)を用い、ヘ
ッド基板2としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)に
3重量%のSiO2 を添加したセラミックスを用いて、
各部分の寸法を変化させた時の振動板21の変位量につ
いて、FEM(Finite Element Met
hod)によるシミュレーション解析を行った。
方向)3mm、隔壁22間の幅Zを260μmとして、
圧電素子3への印加電圧30Vの時に、振動板21の変
位量が0.1μmを越えるかどうかで評価を行った。
m、上部の電極4bの厚みを5μm、下部の電極4aの
厚みを20μmとし、圧電素子3の厚みXを変化させた
時の振動板21の変位量を求めた。
Xを40μm以下とすれば振動板21の変位量を0.1
μm以上とできることがわかる。
m、上部の電極4bの厚みを5μm、下部の電極4aの
厚みを20μmとし、振動板21の厚みYを変化させた
時の振動板21の変位量を求めた。
Yを40μm以下とすれば振動板21の変位量を0.1
μm以上とできることがわかる。
m、振動板21の厚みYを40μmとし、上部の電極4
bの厚みと下部の電極4aの厚みを変化させた時の振動
板21の変位量を求めた。
厚みを5μm以下とし、下部の電極4aの厚みを20μ
m以下とすれば振動板21の変位量を0.1μm以上と
できることがわかる。
圧電素子の変形によりインク室内に溜められたインクを
噴射させるようにしたインクジェットプリンタヘッドに
おいて、複数のインク室を形成するヘッド基板を、上記
圧電素子の材質と同系のセラミックスで形成することに
よって、圧電素子とヘッド基板の熱膨張係数の差を小さ
くできるため、製造工程中の熱応力による圧電素子の破
損等を防止できる。
鉛成分の飛散やヘッド基板への拡散を防止し、所定の特
性を有する圧電素子及びヘッド基板を作製することがで
きる。
の高いインクジェットヘッドを得ることができる。
一部破断斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】ヘッド基板に内蔵する複数個のインク室に
対応する部位に圧電素子を備え、該圧電素子の変形によ
り、各インク室内に溜められたインクを噴射させるよう
にしたインクジェットプリンタヘッドにおいて、上記圧
電素子が、ヘッド基板上に印刷された圧電材料の焼成に
より形成され、かつ上記ヘッド基板が上記圧電素子の材
質と同系の鉛成分を含むセラミックスからなっているこ
とを特徴とするインクジェットプリンタヘッド。 - 【請求項2】ヘッド基板に内蔵する複数個のインク室に
対応する部位に圧電素子を備え、該圧電素子の変形によ
り、各インク室内に溜められたインクを噴射させるよう
にしたインクジェットプリンタヘッドにおいて、上記ヘ
ッド基板が、上記圧電素子と同種材料を主成分とし、か
つAl2O3、ZrO2、SiO2、炭素繊維またはガラス
繊維を40重量%以下含有するセラミックからなること
を特徴とするインクジェットプリンタヘッド。 - 【請求項3】上記ヘッド基板が、ノズルを有するノズル
板上に、隔壁及びインク室を介して、該インク室に対応
する圧電素子が形成された振動板を積層してなることを
特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェ
ットプリンタヘッド。 - 【請求項4】上記圧電素子の両面に駆動用電極を備え、
駆動時にたわみの内側となる方の電極の厚みを5μm以
下とし、もう一方の電極の厚みを20μm以下としたこ
とを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリン
タヘッド。 - 【請求項5】上記圧電素子および/または振動板の厚み
を40μm以下としたことを特徴とする請求項3に記載
のインクジェットプリンタヘッド。
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