JPH0931149A - セグメント分子量分布が制御されたポリウレタンウレアおよびその製造法 - Google Patents

セグメント分子量分布が制御されたポリウレタンウレアおよびその製造法

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JPH0931149A
JPH0931149A JP7205112A JP20511295A JPH0931149A JP H0931149 A JPH0931149 A JP H0931149A JP 7205112 A JP7205112 A JP 7205112A JP 20511295 A JP20511295 A JP 20511295A JP H0931149 A JPH0931149 A JP H0931149A
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prepolymer
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diisocyanate
diol
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JP7205112A
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Hiroyuki Hanabatake
博之 花畑
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハードセグメントとソフトセグメントとの両
セグメントの分子量分布を制御することによって、ポリ
マー濃厚溶液粘度の経時安定性に優れ、かつ脱溶媒後の
最終製品の力学物性バランスに優れたポリウレタンウレ
アおよびその製造法を提供する。 【解決手段】 化学量論的過剰のジイソシアネートとジ
オールとの溶融合成法または溶液合成法での反応で得ら
れる末端イソシアネートプレポリマー溶液から、抽出操
作により低分子量成分のみを除去した後、ジアミン化合
物により鎖伸長して得られた、ポリマー中のソフトセグ
メントの分子量分布が1.2〜2.5、ハードセグメン
トの分子量分布が1.1以下であることを特徴とするセ
グメント化ポリウレタンウレアおよびその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な一次構造を有す
るセグメント化ポリウレタンウレアおよびその製造法に
関する。さらに詳しくはソフトおよびハードの両セグメ
ントの分子量分布を狭分布化することによって、ポリマ
ー濃厚溶液粘度の安定性に優れ、かつ脱溶媒後の最終製
品が優れた特性を発現するポリウレタンウレアおよびそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来技術】ポリウレタンはフォーム、接着剤、塗料、
エラストマー、合成皮革、さらに繊維等の広い分野に進
出し、多くの有用な製品を生み出している。その中でも
とりわけ高弾性が要求されるポリウレタンウレア弾性体
は、通常セグメント化ポリウレタンウレアからなり、以
下の(1)および(2)に示すいわゆる「二段階法」で
製造される。すなわち、(1)化学量論的に過剰のジイ
ソシアネートとオリゴマージオールとから両末端イソシ
アネートのプレポリマーを溶融下で合成(溶融合成法)
するか、またはジメチルホルムアミドやジメチルアセト
アミド等の溶媒中でプレポリマーを合成(溶液合成法)
し、(2)次いでこのプレポリマーを、米国特許第29
29804号明細書に記載されているような脂肪族ジア
ミンで連結(鎖伸長)し、高分子量化する事によってセ
グメント化ポリウレタンウレア溶液を得る。そして、該
溶液より溶媒を除去して最終的にポリウレタン弾性体が
得られる。
【0003】一段階目の反応により得られるウレタン結
合を有するプレポリマーは、二段階目の反応(鎖伸長重
合反応)により得られたポリマー中でエントロピー弾性
を発現する部分、いわゆるソフトセグメントとなり、鎖
伸長重合反応時に形成されるウレア結合部は、ゴムで言
う架橋点に当たるハードセグメントとなる。この重合反
応系は重付加反応と呼ばれるものであり、この反応の特
徴として、いずれのセグメントも分子量分布を有するこ
とが挙げられる。特に、ソフトセグメントは原料である
ジオールがもともと多分散なために、得られたものの分
布は広範囲(ブロード)になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように両セグメン
トが多分散であることは、最終製品を得る前段階のポリ
マー濃厚溶液モルフォロジーや最終製品の力学特性に多
大な影響を及ぼすことが現象論的に分かっている。例え
ば、ソフトセグメントの分子量分布がブロードになる
と、最終製品の物性、例えば低温における弾性機能が悪
化し、また伸長回復時の永久ひずみ率が大きくなる。前
者は高分子成分の低温における選択的結晶化が原因であ
り、後者は逆に低分子量成分の示す高弾性のために、伸
長時にこの成分の両側に連結した架橋点であるハードセ
グメントに応力が集中してしまい、該セグメントの破壊
が起こり、伸長回復後も永久歪みとして残ってしまう。
これを回避するために、プレポリマー反応段階で原料の
仕込みモル比を変えたり、またセミバッチ方式により反
応途中にどちらか一方の原料を少量づつ添加していくと
いった方法により、プレポリマーの分子量分布を調節し
ようとする試みがなされたが、いずれの方法でも高分子
量成分および/または低分子量成分が増減してしまい、
高・低両成分がカットされた、所望するような分布を有
するプレポリマーは得られなかった。
【0005】次にハードセグメントについてであるが、
ポリウレタンウレア弾性体の力学特性の一部、例えば弾
性率、破断強度を向上させるのに著効を示す方法とし
て、ハードセグメント濃度を増加させる方法がある。し
かし、ハードセグメント濃度が増すにつれて、既提出文
献(花畑 博之、上出 健二、Monomer Sequence Lengt
h Distributions of Hard Segments of Segmented Poly
(urethane-urea)s2、投稿文献名:Polymer Internat
ional、印刷中)に記載されているように、プレポリマ
ー末端イソシアネート基に対する未反応イソシアネート
基の相対量が増加するために、ハードセグメントの分子
量分布がブロード化し、該セグメントの化学構造に由来
する極めて強い凝集力のために、ポリマー中の分子量の
大きいハードセグメント同士が濃厚溶液段階で凝集構造
を形成してしまい溶液全体がゲル化するという問題があ
った(花畑 博之、上出 健二、Monomer Sequence Len
gthDistributions of Hard Segments of Segmented Pol
y(urethane-urea)s1、投稿文献名:同上、印刷
中)。このゲル化を避けるために、高分子量成分ができ
るだけ生成しない様な合成条件、すなわちプレポリマー
合成時のジイソシアネートとジオールとのモル比を小さ
くして、プレポリマー反応後におけるプレポリマーに対
する未反応ジイソシアネートのモル比をできるだけ小さ
くする、というような条件下でポリマーを製造すること
も可能であるが、この場合にはポリマー中のハードセグ
メント濃度も同時に減少するために、力学物性が低下し
てしまう。また、ポリマー濃度を極端に下げてポリマー
を可溶化する方法も考えられるが、生産性の点で好まし
くないことは明らかである。
【0006】以上述べたように、従来からポリマー濃厚
溶液の性状やポリマーの物性が満足できるものではなか
ったにも関わらず、この問題点を解決できる様な、また
はそれに近い方法すら見あたらなかったということが物
語っているように、両セグメントの分子量分布を制御す
るという考えや、その方法論が全く無かった為に、未だ
十分に満足できるようなポリウレタンウレア弾性体を得
る方法は全く知られていなかったのである。これに対し
て、我々は以下の課題を解決する手段で詳しく述べるよ
うな方法;あらかじめ故意に分子量の低いプレポリマー
を合成しておいて、そこから抽出操作により低分子量成
分を除去し、結果的に望ましくない高・低両分子量成分
のない分子量分布の狭いプレポリマーを調製する事によ
って、以上の問題点が解決できるだけではなく、驚くべ
きことに、力学物性、例えば、破断伸度を含む破断強度
および弾性率とのバランスに優れた、即ち高伸度でかつ
高強度、しかも高弾性率の関係を満たすような弾性体を
得ることも可能になることを見いだし、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明の目的は,ポリマー濃厚
溶液粘度が安定し、最終製品の低温特性、永久歪みとい
った諸特性についても従来の物に比べ著しく改善され、
さらに力学物性バランスが従来法では到達できなかった
弾性体、およびその製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリマー
濃厚溶液性状や固体力学物性を損ねることなく、ソフト
セグメントとハードセグメントの両方の分子量分布を同
時に効率よく制御できる方法がないか鋭意検討した結
果、通常のポリウレタンウレア弾性体を製造する場合の
プレポリマー分子量よりも低分子量のプレポリマーを合
成しておき、次に低分子量成分のみを逐次抽出分別法に
より除去することによって、結果的に高・低両分子量成
分がカットされた狭分子量分布のプレポリマーが得ら
れ、しかもこの抽出操作により未反応のジイソシアネー
トも同時に除去できるので、該プレポリマーを鎖伸長剤
であるジアミンと反応させた場合、ソフトセグメントの
分子量分布が狭分布化され、かつハードセグメントが単
一分散である様なポリマーが得られることが分かった。
ここで、単一分散化したハードセグメントの構造とは、
重合時に未反応ジイソシアネート基が存在しないから、
ジアミンの両側にプレポリマー末端のイソシアネート基
が結合したものを意味する。
【0008】このようにして得られたポリマーの濃厚溶
液粘度は、驚くべき事にハードセグメント濃度を増加さ
せた場合にも安定であり、かつ最終製品の低温特性、永
久歪みといった諸特性についても従来の物に比べ著しく
改善され、さらに力学物性バランスに優れたものが得ら
れた。すなわち,本発明に従えば、ジイソシアネート化
合物と数平均分子量が800〜3000のジオールとの
反応生成物を構成成分とするセグメント1、すなわちソ
フトセグメントと、該イソシアネート化合物とジアミン
化合物との反応生成物を構成成分とするセグメント2、
すなわちハードセグメントとからなるセグメント化ポリ
ウレタンウレアであって、ポリマー中のセグメント1の
分子量分布が1.2〜2.5、セグメント2の分子量分
布が1.1以下であることを特徴とするセグメント化ポ
リウレタンウレアが提供される。
【0009】本発明に従えば,また化学量論的過剰のジ
イソシアネートと数平均分子量が800〜3000のジ
オールとを溶媒の存在下に反応させて両末端にイソシア
ネート基を有するプレポリマーの溶液を得る(溶液合成
法)か、または両成分を溶媒の不在下溶融状態で反応さ
せて溶融状プレポリマーを得た後に溶媒に溶解させてプ
レポリマー溶液を得る(溶融合成法)かの2種類のプレ
ポリマー合成法の場合に、両者のモル比:n(ジイソシ
アネートのモル数/ジオールのモル数)を1.8〜2.
5に設定して高分子量成分の少ないプレポリマー溶液を
一旦調製しておいて、次に該プレポリマー溶液に対して
0.1重量倍以上5重量倍以下の抽出剤を加えて、未反
応ジイソシアネート基を含む低分子量成分を抽出剤に溶
解させ除去する操作を少なくとも一回行った後で、ジア
ミン化合物により鎖伸長せしめセグメント化ポリウレタ
ンウレアを製造することを特徴とする前記のポリウレタ
ンウレアの製造法も提供される。以下、本発明について
詳細に説明する。
【0010】本発明中で用いられるジオールは、数平均
分子量が800〜3000、好ましくは1000〜25
00の範囲であり、かつ融点が60℃以下である、ポリ
エーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリラクト
ンジオール、ポリカーボネートジオール等である。数平
均分子量が800未満のジオールを用いた場合には得ら
れる成形物は伸度が低くポリウレタンウレア弾性体とし
ての高伸度高回復性の特徴が生かされず、また前述した
ように、伸長時の構造破壊が著しく、結果的に永久歪み
が大きくなり、その逆に数平均分子量が3000を越え
るジオールを用いた場合には得られる成形物は弾性率が
低い。融点の高いジオールを使用すると成形物の回復性
が低くなり、またプレポリマーの粘度が高くなるので好
ましくない。
【0011】ポリエステルジオールとしては、例えば、
ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレン
グリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポ
リオキシペンタメチレングリコールや、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサ
メチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の
ジオールの一種または二種以上の混合物とアジピン酸、
セバチン酸、マレイン酸等の二塩基酸の一種または二種
以上の混合物とを反応させることから得られたものが挙
げられる。ポリエーテルジオールとしては、ポリテトラ
メチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンジオ
ール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレ
ンエーテルグリコールなどが挙げられる。ポリカーボネ
ートジオールとしては、ジアルキルカーボネート等とヒ
ドロキシ化合物、たとえば1,4ーブタンジオール、
1,3ーペンタンジオール、1,5ーペンタンジオー
ル、1,6ーヘキサンジオール等との反応により得られ
るポリ(ブタンー1,4ーカボネートージオール)、ポ
リ(ペンタンー1,5ーカーボネートジオール)、ポリ
(ヘキサンー1,6ーカーボネートジオール)およびそ
れらの共重合体ならびに混合物から選ばれるポリカーボ
ネートジオールが挙げられる。
【0012】これらのジオールの中で、ポリエステルジ
オール及びポリラクトンジオールは微脆化し易いこと、
ポリカーボネートは溶融粘度が高く取り扱いが繁雑であ
ることなどの理由により、ポリエーテルジオールが好ま
しく、中でもポリオキシテトラメチレンジオールが特に
好ましい。ジイソシアネート化合物として好ましい物
は、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンー
1,4ージイソシアネート、ペンタメチレンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンー1,6ージイソシアネートや
3ーメチルヘキサンー1,6ージイソシアネートおよび
3,3’ージメチルペンタンー1,5ージイソシアネー
トの様な分岐構造を持つジイソシアネートをはじめ、
1,3ーおよび1,4ーシクロヘキシレンジイソシアネ
ートの様な環状脂肪族ジイソシアネート、m−およびp
−キシリレンジイソシアネートおよびα,α,α’,
α’ーテトラメチルーp−キシリレンジイソシアネート
のような芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。芳
香族ジイソシアネートはイソシアネート基がベンゼン核
に直結し、2個のイソシアネート基は相互にパラ位に結
合しているものが好ましい。2個のイソシアネート基が
非対称位置に結合している芳香族ジイソシアネートを用
いてもポリマーを得ることはできるが、その物性がパラ
位結合の芳香族ジイソシアネートからのそれより劣るの
で好ましくない。かかる芳香族ジイソシアネートとして
は、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンー4,4’ージイソシアネート、ジフェニルエ
ーテル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレンー
1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6ージイ
ソシアネート、トリジン−4,4’−ジイソシアネート
等が挙げられる。これらの芳香族ジイソシアネートの中
で特に物性面からのバランスの点からジフェニルメタン
−4,4’−ジイソシアネートが好ましい。
【0013】本発明において、プレポリマー溶液を製造
する温度は、プレポリマー溶液合成法の場合は5〜70
℃が好ましい。これ以下であると、製造時間が大幅に長
くなり、場合によってはプレポリマーが析出してくる。
これ以上だとイソシアネート基のダイマー化、トリマー
化等の副反応が顕著になり望ましくないからである。溶
融合成法の場合にはプレポリマー製造温度は、30〜1
20℃が好ましい。この範囲外の温度条件はプレポリマ
ー溶液重合の場合と同様な理由により好ましくない。
【0014】本発明中、ジイソシアネート成分とジオー
ル成分とのモル比(n)は1.8≦n≦2.5でなくて
はならない。その理由はこの範囲で合成されたプレポリ
マーから抽出操作によって低分子量成分を除去した後の
プレポリマーの平均分子量が通常のポリウレタンウレア
弾性体を製造する場合の範囲である1.4〜1.8に相
当する平均分子量になるようにするためである。これよ
り大きいと抽出操作後でも低分子量のソフト成分が増え
すぎるし、逆にこの値が小さすぎると高分子量成分が増
えすぎて当然好ましくない。次に、プレポリマーから低
分子量成分を抽出する方法について説明する。
【0015】プレポリマー合成法には前述したように、
溶液法と溶融法とが一般的である。溶液法の場合には、
まず化学量論的過剰のジイソシアネートと数平均分子量
が800〜3000のジオールとを、ジメチルホルムア
ミドやジメチルアセトアミド溶液下で反応させ、両末端
がイソシアネートプレポリマーを得る。溶融法の場合に
は、これらの原料を溶媒不在下に溶融状態で反応させて
溶融状のプレポリマーを得た後にこれ等溶媒に溶解させ
て同様のプレポリマー溶液を得る。いずれかの方法によ
り得られたプレポリマー溶液に抽出剤を加えて未反応ジ
イソシアネート基を含む低分子量成分を抽出剤に溶解さ
せ除去する.好ましい抽出剤の種類としてはジメチルス
ルフォキシド、1,3−ジシアノプロパン、炭酸プロピ
レン、ホルムアミドなどが挙げられるが未反応ジイソシ
アネート基を含む低分子量成分を除去できるものであれ
ば基本的には問題はない。抽出剤の添加量はプレポリマ
ー/溶媒/抽出剤の三者の組み合わせ成分により多少異
なるが、ジイソシアネート成分とジオール成分とモル比
が1.8〜2.5の場合にはプレポリマー溶液に対して
0.1重量倍〜5重量倍にする必要がある。特に好まし
い抽出剤の量は0.5〜1重量倍である。抽出剤の量が
0.1重量倍よりも少ないと低分子量成分が完全には除
去しきれないし、また多すぎても生産効率的に好ましく
ない。抽出剤の沸点が溶媒に比べ著しく高い場合やポリ
マーに対して貧溶媒である場合には、濾過や遠心分離等
の操作により溶媒と抽出剤を除去した方が好ましい.プ
レポリマーの平均分子量は抽出回数に応じて大きくな
り、従って抽出回数で所望する分子量に調製することは
もちろん可能であるが、その回数に応じてプレポリマー
収率が悪化するので生産性を考慮すると上限回数は3回
が好ましい。本発明にかかる抽出後のプレポリマーの分
子量分布は1.2〜2.5であり、特に1.4〜2.2
の範囲が特に好ましい。1.2よりも小さいと、ポリマ
ーの伸長時にソフト部が配向結晶化してまい好ましくな
い。2.5以上ではすでに述べた様な問題が生じ勿論好
ましくない。
【0016】いずれの方法で得られたプレポリマーの場
合にも、抽出温度は10〜50℃が好ましい。これより
低温であると、溶液合成法の場合にはプレポリマーが溶
液より析出し、溶融合成法の場合には凝固してしまう。
逆にこれより高温だと抽出剤を添加した後の二相分離界
面が不明瞭になったり、溶解度が上がるために所望する
量以上のフラクションが抽出されて、プレポリマー収率
が悪化するので、好ましくない。抽出・静置時間は上述
の抽出温度にも関係するが、それぞれ0.1〜1時間、
特に0.5〜1.5時間の範囲が好ましい。
【0017】本発明に用いられる鎖伸長剤であるジアミ
ン化合物として好ましいものには、エチレンジアミン、
1,2ープロピレンジアミン、1,3ープロピレンジア
ミン、1,2ーブチレンジアミン、1,3ーブチレンジ
アミン、1,4ーブチレンジアミン、1,5ーヘキセン
ジアミン、イソブチレンジアミン、1,6ーヘキセンジ
アミン、シクロヘキシルジアミン、イソホロンジアミ
ン、ピペラジン、2ーメチルピペラジン、フェニレンジ
アミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、3,
3’ージクロルー4,4’ービフェニルジアミン、2,
6ージアミノピリジン、4,4’ージアミノジフェニル
メタン、水素化されたm−フェニレンジアミン、p−フ
ェニレンジアミン、テトラクロローp−フェニレンジア
ミンおよびそれらの混合物からなる群から選ばれたもの
が挙げられる。
【0018】さらに、特開平5−155841号公報
〔特願平4−116692号(1992年4月10日出
願)〕に記載されているようなジイソシアネート化合物
とジアミン化合物とからなるジアミノウレア化合物も含
まれる。このような化合物としては、例えば、下記の構
造式で示されるN,N’−(メチレンジ−4,1−フェ
ニレン)ビス[2−(エチルアミノ)−ウレア]〔化合
物(1)〕、N,N’−(メチレンジ−4,1−フェニ
レン)ビス[2−(2−メチルエチルアミノ)−ウレ
ア]〔化合物(2)〕、N,N’−(メチレンジ−4,
1−フェニレン)ビス[6−(ヘキシルアミノ)−ウレ
ア]〔化合物(3)〕や化合物(4)〜(13)が挙げ
られる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】元々、通常のポリウレタンウレア弾性体の
ハードセグメント分布は表1(比較例)に示したよう
に、その値はそれほど大きいものではない。しかし、こ
の表の結果から分かるように、わずかな差でポリマー濃
厚溶液性状は悪化し、しかも力学物性にも少なからず悪
影響する。この点を考慮して本発明にかかる分子量分布
の上限は1.1としたが、1(単分散)に近づくほど好
ましい。
【0023】本発明中で使用される鎖伸長剤の量はプレ
ポリマー遊離イソシアネート含量の80〜98%(化学
量論に基づいて)の範囲が好適である。この範囲より少
ないと、ポリマー分子量が低くなりすぎて高物性が得ら
れないし、この範囲よりも多いと、逆にポリマー分子量
が大きくなりすぎて成形不可能になる。その際、ポリマ
ー分子量調整剤として、たとえば、ジエチルアミンやジ
エタノールアミン等の末端基停止剤を用いてもよい。鎖
伸長反応の温度は0〜30℃が好適である。これ以下だ
と、プレポリマーの溶解性が悪化し、反応系が不均一に
なるし、これ以上だとイソシアネート基とアミノ基との
反応が異常に速くなって反応を制御しにくくなるからで
ある。
【0024】このようにして得られたポリウレタンウレ
アの濃厚溶液粘度はハードセグメント濃度を増加させた
場合にも安定で、かつ最終製品の低温特性、永久歪みと
いった諸特性についても従来の物に比べ著しく改善され
た。さらに驚くべき事に、従来のものにはないような力
学物性バランスに優れた極めて有用なものが得られた
が、その理由はソフト/ハードの両セグメントの分子量
分布の狭分布化による両セグメントの固体中での相分離
性が向上したためと推定している。
【0025】
【実施例】以下に、実施例等に基づいて本発明をより具
体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら
制限を受けるものではない。なお、以下の実施例中に記
載されている測定項目は次の方法により測定した値であ
る。 1)プレポリマー中のイソシアネート残基量:S.Siggia
and J.G.Hanna,Anal.Chem.、20巻、1084ページ
(1948年)に記載されている滴定法に準じて求め
た。
【0026】2)抽出操作前後の両末端イソシアネート
プレポリマーの数平均分子量(Mn)およびポリディス
パーシティ インデックス〔重量平均分子量(Mw)と
Mnとの比〕:合成した末端イソシアネートプレポリマ
ーおよびこれを抽出処理したものにエタノールを反応さ
せた後GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)を用いて測定しポリスチレン概算分子量の値として
求めた。 3)相対粘度(ηsp/C):ポリマー濃度が0.5g
/100mlのジメチルアセトアミド溶液になるように
調整して、25℃でウベローデ型粘度計を用いて測定し
た。 4)ポリマー濃厚溶液の粘度安定性:回転円筒レオメー
ターを用いてポリマー溶液を80℃で10時間撹拌(シ
ェアレートは1s−1)後の粘度と撹拌前の初期粘度と
の比を安定性の尺度とした。
【0027】5)ポリマー中のハードセグメントの分子
量分布の解析:既報文献(花畑 博之、上出 健二、Mo
nomer Sequence Length Distributions of Hard Segmen
ts ofSegmented Poly(urethane-urea)s1、投稿論文
名:Polymer International、印刷中)に記載されてい
るように、溶媒キャスティング法により成膜したポリマ
ーフィルムを60%の過塩素酸濃厚水溶液で60℃、2
4時間処理し、その後、水および水酸化ナトリウム水溶
液で数回洗浄し、ハードセグメントオリゴマーを得る。
このオリゴマーを乾燥後、HPLC法により分離し分子
量分布を求めた。 6)100%応力・破断強度・伸度および永久歪み:ポ
リマー溶液を通常の方法で毎分500mの速度で40デ
ニール/4フィラメントの条件で紡糸したものをテンシ
ロンUTM−III(東洋ボールドウィン社製)を用い
て、試料長50nm、引張速度1000%/分、温度2
0℃で測定した。永久歪みは糸を300%に伸長後、回
復させた時の原長との比(%)として求めた。
【0028】(実施例1) (1)溶液合成法による両末端イソシアネートプレポリ
マーの合成 ポリテトラメチレングリコール「数平均分子量(Mn)
2010」2010gとメチレンジフェニルジイソシア
ネート(MDI)500.6gおよび2510.6gの
ジメチルアセトアミドとを攪拌機付の反応器に入れ、窒
素雰囲気下、15℃にて2.5時間反応させた。イソシ
アネート残基量を滴定により求めたところ、0.382
当量/kg溶液であった。MnおよびMw/Mnは前述
の方法により求め、その結果を表1に示す。
【0029】(2)抽出操作 (1)で得られた1000gのプレポリマー溶液にジメ
チルスルホキシドを3000g加えて、25℃で0.5
時間、窒素雰囲気下で該溶液を撹拌した後、1時間溶液
を静置する。二相分離した上層のみを分液ロートを用い
て抽出し、処理後のプレポリマーのみを濾別する。ここ
でプレポリマー収率は87%であった(ただし、未反応
ジイソシアネートが除去された分も含む)。 (3)鎖伸長反応(重合反応) 次に、該プレポリマーを600gのジメチルアセトアミ
ドに再溶解後、イソシアネート残基量を測定し、これと
当量のエチレンジアミン/ジエチルアミン混合物(9.
5:0.5、当量比)のジメチルアセトアミド溶液を加
えて、鎖伸長反応をおこなわせてポリマー濃度が15重
量%のポリウレタンウレア弾性体溶液を得た。以上の結
果は表1に示す。 (4)ハードセグメント分子量分布の解析結果、および
ポリマー物性測定値も表1に示す。
【0030】(実施例2)プレポリマー反応時のジオー
ルの種類をポリテトラメチレングリコールからポリエス
テルグリコール〔数平均分子量(Mn)は2010で、
アジピン酸とエチレングリコール/1、4ーブタンジオ
ール(共重合比率1:1)との反応物〕に変える以外は
実施例1と同様にして重合反応を行った。結果を表1に
まとめて示す。
【0031】(実施例3、4、5)実施例3ではジイソ
シアネートを、実施例4、5では鎖伸長剤を表1に示さ
れているものに変更した以外は実施例1と同様にして重
合した。
【0032】(比較例1) (1)両末端イソシアネートプレポリマーの合成 ポリテトラメチレングリコール「数平均分子量(Mn)
2010」とメチレンジフェニルジイソシアネートの比
を実施例1の抽出操作後のプレポリマーの数平均分子量
とほぼ同じになるように調製した以外は実施例1と同様
にした。この場合のイソシアネート残基量を滴定により
求めたところ、0.287当量/kg溶液であった。M
w/Mnは前述の方法により求め、その結果を表1に示
す。 (3)鎖伸長反応(重合反応) 次にイソシアネート残基量と当量のエチレンジアミン/
ジエチルアミン混合物(9.5:0.5、当量比)によ
り鎖伸長反応をおこなわせてポリマー濃度が15重量%
のポリウレタンウレア弾性体溶液を得た。以上の結果は
表1に示す。 (4)ハードセグメント分子量分布の解析結果、および
ポリマー物性測定値も表1に示す。
【0033】(実施例6) (1)溶融合成法による両末端イソシアネートプレポリ
マーの合成 ポリテトラメチレングリコール「数平均分子量(Mn)
2010」2010gとメチレンジフェニルジイソシア
ネート(MDI)500.6gとを攪拌機付の反応器に
入れ、窒素雰囲気下、70℃にて2.5時間反応させ
た。イソシアネート残基量を滴定により求めたところ、
0.757当量/kgであった。MnおよびMw/Mn
は前述の方法により求め、その結果を表1に示す。 (2)抽出操作 (1)で得られた1000gのプレポリマーにジメチル
スルホキシドを350g加えて、25℃で0.5時間、
窒素雰囲気下で該溶液を撹拌する。1時間溶液を静置し
た後、プレポリマーのみを濾別する。ここでプレポリマ
ー収率は89%であった(ただし、未反応ジイソシアネ
ートが除去された分も含む)。 (3)鎖伸長反応(重合反応) 次に、該プレポリマーを600gのジメチルアセトアミ
ドに溶解後、イソシアネート残基量を測定し、これと当
量のエチレンジアミン/ジエチルアミン混合物(9.
5:0.5、当量比)により鎖伸長反応をおこなわせし
めポリウレタンウレア弾性体溶液が得られた。以上の結
果は表1に示す。 (4)ハードセグメント分子量分布の解析結果、および
ポリマー物性測定値も表1に示す。
【0034】(比較例2) (1)溶融合成法による両末端イソシアネートプレポリ
マーの合成 ポリテトラメチレングリコール「数平均分子量(Mn)
2010」とメチレンジフェニルジイソシアネートの比
を、実施例6の抽出操作後のプレポリマーの数平均分子
量とほぼ同じになるように調製した以外は実施例6と同
様にした。この場合のイソシアネート残基量を滴定によ
り求めたところ、0.575当量/kg溶液であった。 (3)鎖伸長反応(重合反応) 実施例6に準じた。結果は表1に示す。 (4)ハードセグメント分子量分布の解析結果、および
ポリマー物性測定値も表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば得
られたポリウレタンウレアの濃厚溶液粘度はハードセグ
メント濃度を増加させた場合にも安定であり、かつ最終
製品の低温特性、永久歪みといった諸特性についても従
来の物に比べ著しく改善され、さらには力学物性バラン
スの優れた、極めて有用なポリウレタンウレアが得られ
た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジイソシアネート化合物と数平均分子量
    が800〜3000のジオールとの反応生成物を構成成
    分とするセグメント1と、該イソシアネート化合物とジ
    アミン化合物との反応生成物を構成成分とするセグメン
    ト2とからなるセグメント化ポリウレタンウレアであっ
    て、ポリマー中のセグメント1(ソフトセグメント)の
    分子量分布が1.2〜2.5、セグメント2(ハードセ
    グメント)の分子量分布が1.1以下であることを特徴
    とするセグメント化ポリウレタンウレア。
  2. 【請求項2】 化学量論的過剰のジイソシアネートと数
    平均分子量が800〜3000のジオールとを溶媒の存
    在下に反応させて両末端にイソシアネート基を有するプ
    レポリマーの溶液を得るか、または両成分を溶媒の不在
    下溶融状態で反応させて溶融状プレポリマーを得た後に
    溶媒に溶解させてプレポリマー溶液を得るかの場合に、
    両者のモル比:n(ジイソシアネートのモル数/ジオー
    ルのモル数)を1.8≦n≦2.5の範囲の仕込み比に
    して、高分子量成分の少ないプレポリマー溶液を調製し
    ておき、該プレポリマー溶液に対して0.1重量倍以上
    5重量倍以下の抽出剤を加えて、未反応ジイソシアネー
    ト基を含む低分子量成分を抽出剤に溶解させ除去する操
    作を少なくとも一回行った後で、ジアミン化合物により
    鎖伸長せしめセグメント化ポリウレタンウレアを製造す
    ることを特徴とする請求項1記載のポリウレタンウレア
    の製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007246922A (ja) * 2001-05-30 2007-09-27 Mitsuboshi Belting Ltd ポリウレタン樹脂組成物及びポリウレタンベルト
JP2009114595A (ja) * 2007-11-09 2009-05-28 Asahi Kasei Fibers Corp ポリウレタンウレア弾性繊維及びその製造方法
JP2009203404A (ja) * 2008-02-29 2009-09-10 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 柔軟性に富む生分解性材料とその製造方法

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