JPH0931061A - ヒダントイン誘導体およびその用途 - Google Patents

ヒダントイン誘導体およびその用途

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JPH0931061A
JPH0931061A JP21643795A JP21643795A JPH0931061A JP H0931061 A JPH0931061 A JP H0931061A JP 21643795 A JP21643795 A JP 21643795A JP 21643795 A JP21643795 A JP 21643795A JP H0931061 A JPH0931061 A JP H0931061A
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治一 深見
Motoo Tsunoda
元男 角田
Shinjiro Niwada
信二郎 庭田
Akiko Okada
彰子 岡田
Saki Sumiya
佐紀 角谷
Masayuki Saito
雅之 斎藤
Kenji Suzuki
賢治 鈴木
Yoshinobu Kiso
良信 木曽
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 キマーゼ阻害を作用機作とする、アンジオテ
ンシンII生産の異常昂進に起因する心臓・循環器系疾
患の予防・治療剤を提供する。 【解決手段】 下記式(1) (式中、Xはハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキ
ル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、炭素数1〜4
の低級アルキル基またはアリル基でエステル化されてい
ても良いカルボキシル基を示し、nは0〜5の整数を示
し、Yは明細書中に規定される基を示し、Zは水素原
子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数7〜10の
アラルキル基、炭素数2〜5の低級アルキルオキシカル
ボニル基を示す。)で表されるヒダントイン誘導体およ
びそれを有効成分とする、アンジオテンシンII生産の
異常昂進に起因する心臓・循環器系疾患の予防・治療
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なヒダントイ
ン誘導体、それを有効成分とするキマーゼ阻害剤および
それを有効成分とする、アンジオテンシンII生産の異
常昂進に起因する心臓・循環器系疾患の予防・治療剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】レニン−アンジオテンシン系は、生体の
血圧を調節する機構の一つである。生体内で生合成され
たアンジオテンシノーゲンから腎臓の酵素であるレニン
によって、アンジオテンシンI(以下、AngIと略
す)が切り出され、さらにC末端の2アミノ酸残基が遊
離してアンジオテンシンII(以下、AngIIと略
す)となり、このAngIIが末梢血管の収縮および交
感神経を興奮させることにより、血圧上昇作用を示すと
考えられている。従って、AngIIは血圧を維持する
重要な物質ではあるが、その生産の異常昂進は、高血圧
や心不全の発症につながると考えられている。このよう
な観点から、AngIからAngIIに変換する酵素
〔アンジオテンシン変換酵素(以下、ACEと略す)〕
と高血圧症を初めとする心臓・循環器疾患との関連が注
目され、種々のACE阻害剤が抗高血圧薬および抗心不
全薬として開発されてきた。
【0003】また、最近になって、AngIIが、末梢
血管の収縮や交感神経を刺激する作用の他に、細胞増殖
促進作用を有することが明らかになってきた。例えば、
ナフティランらは、ラット血管平滑筋培養細胞を用い
て、AngIIが血管平滑筋の増殖に重要な役割を果た
していることを示した(Hypertension 1
3巻 706−711頁 1989年)。これらの事実
から、AngIIは、心筋細胞、間質細胞、血管内皮細
胞や血管平滑筋細胞に対して成長因子として働き、硬化
性血管病変に伴う血管内狭窄、経皮的冠状動脈形成術
(以下、PTCAと略す)施行後の血管再狭窄、動脈硬
化、末梢循環障害や、糖尿病および非糖尿病における腎
障害、心筋梗塞後の心室構造の再構築(リモデリング)
と呼ばれる病態の進展に深く係わっていることが明らか
になってきた。
【0004】このような知見に基づき、AngIIの細
胞増殖促進作用をACE阻害剤で抑制することにより、
これらの疾患を予防・治療する試みが種々行われた。例
えばヨーロッパでは、ACE阻害剤シラザプリルのPT
CA施行後の血管再狭窄に対する予防効果が、プラセボ
を対照として無作為多施設共同研究で評価された。しか
し、この臨床試験では、シラザプリルとプラセボとの間
に統計学的な有意差は認められず、PTCA施行後の血
管再狭窄防止におけるシラザプリルの有効性は確認でき
なかった(Circulation 86巻 1号 1
00−110頁1992)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この臨床試験の成績
は、ヒトには、ACEが関与しないAngII生成経路
が存在することを示唆している。実際、奥西らはイヌ、
サルおよびヒトの動脈組織中に、AngIからAngI
Iを生成するACE以外の酵素を確認している(J.H
ypertension 2巻 277頁 1984
年.およびBiochem.Biophys.Res.
Commun.,149巻,1186頁,1987
年)。この酵素はセリンプロテアーゼに属するキマーゼ
と称される酵素であり、ACEよりも効率良く高選択的
にAngIをAngIIに変換する。この酵素の酵素活
性はキモスタチンによって阻害されるが、ACE阻害剤
では抑制されない。即ち、ヒトにおいてはAngIIを
生成する経路として、ACE阻害剤で阻害されるACE
経路と、ACE阻害剤によって阻害されないキマーゼ経
路の2通りが存在し、上記の臨床試験では、ACE阻害
剤によりACE経路を阻害してもキマーゼ経路が依然と
して機能していたため、充分な臨床効果が得られなかっ
たものと考えられる。
【0006】一方、浦田らは、ヒト心臓からキマーゼを
精製し、心臓や血管で産生されるAngII量の7〜8
割が、キマーゼ経路によるものであることを示した
(J.Biol.Chem.265巻 22348−2
2357頁 1990年)。即ち、この報告は、アンジ
オテンシンII生産の異常昂進に起因する心臓・循環器
系疾患の予防・治療には、ACEよりもむしろキマーゼ
を阻害することが重要であり、キマーゼ阻害剤の心臓・
循環器系疾患への応用を示唆するものである。
【0007】現在、キマーゼに対する阻害剤としては、
蛋白質である大豆由来トリプシン阻害剤およびα−アン
チトリプシン、ペプチド誘導体であるキモスタチン、非
可逆的阻害剤であるフェニルメチルスルフォニルフルオ
ライド等が知られているが、蛋白質である大豆由来トリ
プシン阻害剤およびα−アンチトリプシンの臨床応用
は、実際上不可能であり、キモスタチンは生体内でのペ
プチド結合が容易に分解されるため実用化は困難であ
り、非可逆的阻害剤はその非選択性のため、臨床応用は
不可能と考えられている。即ち、現在までに臨床的に応
用可能なキマーゼ阻害剤は見出されておらず、アンジオ
テンシンII生産の異常昂進に起因する心臓・循環器系
疾患の予防・治療に結びつく、臨床応用可能なキマーゼ
阻害剤の開発が待たれているのが現状である。
【0008】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、浦田らの方法(文献既述)によって
精製したヒト心臓キマーゼの阻害活性を指標に鋭意合成
展開を行い、式(1)
【0009】
【化5】
【0010】〔式中、Xはハロゲン原子、炭素数1〜4
の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、
炭素数1〜4の低級アルキル基またはアリル基でエステ
ル化されていても良いカルボキシル基を示し、nは0ま
たは1〜5の整数を示し、Yは基(a)
【0011】
【化6】
【0012】(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、
ヒドロキシ基または炭素数1〜4の低級アルコキシ基を
示し、mは0,1または2を示す)または基(b)
【0013】
【化7】 (式中、Rは水素原子または炭素数1〜4の低級アル
キル基を示し、pは1または2を示す)もしくは基
(c)
【0014】
【化8】
【0015】(式中、Rは水素原子または炭素数1〜
4の低級アルキル基を示し、qは1または2を示す)を
示し、Zは、水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル
基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数2〜5の低
級アルキルオキシカルボニル基を示す〕で表されるヒダ
ントイン誘導体が、キマーゼを阻害することを見出し、
さらに、これらの化合物が、AngII生産の異常昂進
に起因する心臓・循環器系疾患の予防・治療剤として有
用であることを見出して、本発明を完成した。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明によれば、式(1)で示さ
れるヒダントイン誘導体およびそれを有効成分とする、
AngII生産の異常昂進に起因する心臓・循環器系疾
患の予防・治療剤を提供することができる。
【0017】式(1)において、ハロゲン原子の例とし
ては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原
子が例示される。炭素数1〜4の低級アルキル基の例と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびn
−ブチル基等の直鎖のアルキル基および、イソプロピル
基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基等の分
岐のアルキル基が例示される。炭素数1〜4の低級アル
コキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−
プロピルオキシ基およびn−ブトキシ基等の直鎖のアル
キルオキシ基および、イソプロピルオキシ基、sec−
ブトキシ基およびtert−ブトキシ基等の分岐のアル
キルオキシ基が例示される。炭素数7〜10のアラルキ
ル基とは、炭素数1〜4のアルキル基が置換したフェニ
ル基を意味し、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプ
ロピル基、フェニルブチル基、トリル基、キシリル基、
クメニル基およびメシチル基等が例示される。炭素数2
〜5の低級アルキルオキシカルボニル基とは、炭素数1
〜4の低級アルキル基でエステル化されたカルボキシル
基を意味し、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニ
ル基等が例示される。
【0018】本発明のヒダントイン誘導体のうち、Xが
カルボキシル基以外の基であり、Yの示す基のうち、基
(a)のRがヒドロキシ基以外の基であり、基(b)
のRが水素原子以外の基であり、基(c)のRが水
素原子以外の基である化合物は、例えば、以下に示す合
成法(A)に従い、式(2)で示されるベンゼンスルホ
ニルイソシアネート誘導体:
【0019】
【化9】
【0020】(式中、Xはカルボキシル基以外の前記と
同じものを示す)に、式(3)で示されるアミノ酸誘導
体:
【0021】
【化10】
【0022】(式中、Yは前記と同じ基のうち、基
(a)のRがヒドロキシ基以外の基であり、基(b)
のRおよび基(c)のRが水素原子以外の基である
基を示し、Zは、前記と同じ基を示す)を反応させた
後、塩基、例えばトリエチルアミンの存在下にクロロ炭
酸エチルを用いて、イミダゾリジン環を閉環させること
により、合成することができる。
【0023】また、上記化合物のうち、Zがエトキシカ
ルボニル基である化合物は、以下に示す合成法(B)に
従い、式(2)で示されるベンゼンスルホニルイソシア
ネート誘導体:
【0024】
【化11】
【0025】(式中、Xはカルボキシル基以外の前記と
同じものを示す)に、式(4)で示されるアミノ酸:
【化12】
【0026】(式中、Yは前記と同じ基のうち、基
(a)のRがヒドロキシ基以外の基であり、基(b)
のRおよび基(c)のRが水素原子以外の基である
基を示す)を反応させた後、例えばトリエチルアミン等
の塩基の存在下に、過剰量のクロロ炭酸エチルを用い
て、イミダゾリジン環を閉環させることによっても、合
成することができる。
【0027】さらに、上記化合物のうち、Zが水素原子
である化合物は、以下に示す合成法(C)に従い、式
(5)で示されるベンゼンスルフォン酸アミド誘導体:
【0028】
【化13】
【0029】(式中、Xはカルボキシ基以外の前記と同
じものを示す)に、式(6)で示されるフェノキシカル
ボニルアミノ酸メチルエステル:
【0030】
【化14】
【0031】(式中、Yは前記と同じ基のうち、基
(a)のRがヒドロキシ基以外の基であり、基(b)
のRおよび基(c)のRが水素原子以外の基である
基を示す)を反応させて、式(7)で示されるウレア誘
導体とする。
【0032】
【化15】
【0033】次いでこのウレア誘導体のエステルを加水
分解し、例えばカルボニルイミダゾール(以下CDIと
略記する)の存在下にイミダゾリジン環を閉環させるこ
とによっても、合成することができる。
【0034】本発明のヒダントイン誘導体のうち、Xが
カルボキシル基である化合物は、例えば、上記の合成法
(A)または合成法(B)に従って合成したXがアリル
オキシカルボニル基である化合物を、脱アリル化して合
成することができる。
【0035】本発明のヒダントイン誘導体のうち、Yの
示す基のうち、基(a)のRがヒドロキシ基である化
合物は、例えば、上記の合成法(A)または合成法
(B)に従って合成したRがt−ブチル基である化合
物を、例えばトリフルオロ酢酸(以下TFAと略す)で
処理して脱エーテル化することにより得られる。
【0036】本発明のヒダントイン誘導体のうち、Yの
示す基のうち、基(b)のRが水素原子である化合物
は、例えば、上記の合成法(A)または合成法(B)に
従って合成したRがt−ブチル基である化合物を、例
えばTFAで処理して脱エーテル化することにより得ら
れる。
【0037】本発明のヒダントイン誘導体のうち、Yの
示す基のうち、基(c)のRが水素原子である化合物
は、例えば、上記の合成法(A)または合成法(B)に
従っ合成したRがt−ブチル基である化合物を、例え
ばTFAで処理して脱エステル化することにより得られ
る。
【0038】本発明のヒダントイン誘導体の示すキマー
ゼ阻害活性は、浦田らの方法(文献既述)により精製し
たヒト心臓キマーゼを用い、同文献記載の方法で、An
gIをAngIIに変換する割合を測定することにより
行った(実施例35)。また、同時に、セリンプロテア
ーゼであるカテプシンG(参考例1)およびα−キモト
リプシン(参考例2)に対する阻害活性を測定した。
〔表1〕に示すように、本発明のヒダントイン誘導体
は、これらの3種類の酵素に対して種々の強さの酵素阻
害活性を示した。即ち、式(1)において、X,Yおよ
びZを種々に組み合わせることにより、種々の酵素阻害
スペクトラムを有するキマーゼ阻害剤が得られることが
明らかになった。
【0039】本発明の有効成分をAngII生産の異常
昂進に起因する心臓・循環器系疾患の予防・治療剤とし
て使用するには、本発明の化合物を1種類もしくは2種
類以上を配合して、常法に従って投与方法に応じた剤形
に製剤して用いればよい。例えば、経口投与には、カプ
セル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、ドライシ
ロップ剤等の剤形が例示され、非経口投与には、注射剤
の他、坐薬、膣坐薬等の坐剤、噴霧剤等の経鼻投与剤、
軟膏、経皮吸収性テープ等の経皮吸収剤が例示される。
さらに、本発明の有効成分の効果を高めるために、アラ
セプリル、カプトプリル、シラザプリル等の臨床に応用
されているACE阻害剤と併用することも可能である。
【0040】本発明の化合物の臨床投与量は、症状、重
症度、年齢、合併症の有無等によって異なり、また製剤
によっても異なるが、経口投与の場合は、有効成分とし
て、通常成人1日当たり1〜1000mg、好ましくは
1〜500mg、より好ましくは5〜100mg、非経
口投与の場合は、経口投与の場合の10分の1量〜2分
の1量を投与すればよい。これらの投与量は、患者の年
齢、症状等により適宜増減することが可能である。
【0041】本発明の化合物の毒性は低く、例えば後記
実施例1および2の化合物の、5週齢の雄性マウスに対
する経口投与後24時間での急性毒性値LD50は、1
g/kg以上であった。この値は予想される臨床用量の
50倍以上であり、これらの化合物の安全性は高いと判
断される。
【0042】
【作用】奥西ら(奥西秀樹.塩田直孝.高井真司.宮崎
瑞夫.「炎症」14巻,3号,193−197頁,19
94年)は、ヒトと同じAngII生成経路を有するイ
ヌの総頸動脈バルーン傷害のモデルを用いて、PTCA
後の再狭窄におけるキマーゼの役割を考察している。こ
の報文は、ビーグル犬の総頸動脈にバルーン傷害を与え
ると傷害側動脈に肥厚を生じ、傷害側動脈の酵素活性レ
ベルは対照側に比較して、ACEが4.6倍、キマーゼ
は22倍にも上昇し、mRNAレベルでもACEが4.
8倍、キマーゼは3.4倍に上昇したと報告している。
また、血管組織像でも、傷害側のAngII濃度が、対
照側の約2倍に増加したと記載されている。これらの実
験事実から奥西らは、バルーンカテーテルによる物理的
傷害が血管壁に加わると、それに反応してキマーゼとA
CEはいずれも遺伝子発現が増加し、酵素活性が上昇す
るものと考察し、ここで、mRNAレベルではむしろA
CEがキマーゼより上昇しているにも係わらず、酵素活
性レベルではキマーゼがACEに比べて約5倍上昇して
いることは、PTCA後の再狭窄におけるキマーゼの重
要な役割を示すものであると結論している。
【0043】この報告から、キマーゼが関与する傷害箇
所における局所的なAngIIの産生増加が、AngI
Iの増殖因子様活性を通じて、平滑筋の内膜への遊走、
内膜での増殖、細胞外基質産生昂進等に繋がり、これら
の結果として再狭窄が惹起されるものと考察される。本
発明のヒダントイン誘導体は、後記実施例に示すよう
に、ヒト心臓キマーゼを阻害する。このことは、本発明
の化合物がキマーゼ活性の阻害を通じてAngIIの過
剰生成を抑制し、AngIIの生産の異常昂進に起因す
る心臓・循環器系疾患の予防・治療に繋がることを強く
示唆するものである。
【0044】このような疾患の例としては、心不全、心
肥大、うっ血性心疾患、高血圧症、動脈硬化、末梢循環
障害、PCTA施行後の血管再狭窄、糖尿病性腎障害ま
たは非糖尿病性腎障害等が例示される。これらの疾患
は、心臓、末梢血管および腎臓において、AngIIの
増殖因子様活性により、心臓あるいは血管内膜が肥厚す
ることが病因とされているので、本発明のイミ誘導体
は、キマーゼ活性を阻害することにより、これらの心臓
・循環器系疾患の予防・治療に繋がると推測される。
【0045】
【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明を更に具体
的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定
されるものではないことは言うまでもない。
【0046】実施例1.(5S)−5−ベンジル−3−
(4−クロロベンゼンスルフォニル)イミダゾリジン−
2,4−ジオンの合成:合成法(A)に従い、L−フェ
ニルアラニン(1.65g,10mmol)をジメチル
ホルムアミド(以下DMFと略す)25ml/テトラヒ
ドロフラン(以下THFと略す)5mlの溶液に懸濁
し、これに4−クロロベンゼンスルフォニルイソシアネ
ート(2.18g,10mmol)を滴下し、室温で1
時間攪拌した。反応液を氷水で冷却し、トリエチルアミ
ン(2.9ml,21mmol)を加え、続いてクロロ
炭酸エチル(1.0ml,10.5mmol)を加え
て、そのままの温度で1時間攪拌した。反応液を氷水に
注ぎ、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に溶媒を留去し
た。得られた残渣を、酢酸エチル/n−ヘキサンから結
晶化し、840mgの標題化合物を得た(収率23
%)。性状:無色結晶,融点:155−156℃,PM
R(δppm,DMSO−d):2.96(m.2
H),4.58(s,2H),7.0−7.3(m,5
H),7.74(s,5H),8.99(m,1H).
【0047】実施例2.(5S)−3−(4−クロロベ
ンゼンスルフォニル)−5−フェニルイミダゾリジン−
2,4−ジオンの合成:2−フェニル−L−グリシン
(0.83g,5.5mmol)と4−クロロベンゼン
スルフォニルイソシアネート(1.20g,5.5mm
ol)とから、実施例1と同様にして、230mgの標
題化合物を得た(収率13%)。性状:無色結晶,融
点:191−192℃,PMR(δppm,DMSO−
):5.38(m,1H),7.3−7.6(m,
5H),7.8−8.2(m,4H),9.46(m,
1H).
【0048】実施例3.3−(4−クロロベンゼンスル
フォニル)−5−(4−クロロフェニル)イミダゾリジ
ン−2,4−ジオンの合成:2−(4−クロロフェニ
ル)−DL−グリシン(0.61g,3.3mmol)
と4−クロロベンゼンスルフォニルイソシアネート
(0.72g,3.3mmol)とから、実施例1と同
様にして、420mgの標題化合物を得た(収率32
%)。性状:無色結晶,融点:206−207℃,PM
R(δppm,DMSO−d):2.96(m,2
H),4.63(m,1H),7.0−7.4(m,4
H),7.80(s,4H),9.02(m,1H).
【0049】実施例4.(5S)−5−ベンジル−3−
(3,4−ジクロロベンゼンスルフォニル)イミダゾリ
ジン−2,4−ジオンの合成:L−フェニルアラニン
(0.63g,3.8mmol)と3,4−ジクロロベ
ンゼンスルフォニルイソシアネート(0.82g,3.
8mmol)とから、実施例1と同様にして、90mg
の標題化合物を得た(収率6%)。性状:無色結晶,融
点:166−168℃,PMR(δppm,DMSO−
):2.90(m,2H),4.54(m,1
H),6.9−7.2(m,5H),7.6−7.9
(m,3H),8.96(m,1H).
【0050】実施例5.(5R)−5−ベンジル−3−
(4−クロロベンゼンスルフォニル)イミダゾリジン−
2,4−ジオンの合成:D−フェニルアラニン(0.3
6g,2.2mmol)と4−クロロベンゼンスルフォ
ニルイソシアネート(0.48g,2.2mmol)と
から、実施例1と同様にして、200mgの標題化合物
を得た(収率27%)。性状:無色結晶,融点:163
−164℃,PMR(δppm,DMSO−d):
2.94(m,2H),4.54(m,1H),7.0
−7.2(m,5H),7.66(s,5H),8.8
9(m,1H).
【0051】実施例6.(5S)−5−t−ブトキシメ
チル−3−(4−クロロベンゼンスルフォニル)イミダ
ゾリジン−2,4−ジオンの合成:O−t−ブチル−L
−セリン(0.71g,4.4mmol)と4−クロロ
ベンゼンスルフォニルイソシアネート(0.96g,
4.4mmol)とから、実施例1と同様にして、1.
06gの標題化合物を得た(収率74%)。性状:無色
結晶,融点:164−166℃,PMR(δppm,D
MSO−d):0.89(s,9H),3.3−3.
6(m,2H),4.28(m,1H),7.7−8.
0(m,4H),8.70(m,1H).
【0052】実施例7.(5S)−5−(4−t−ブト
キシフェニルメチル)−3−(4−クロロベンゼンスル
フォニル)イミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:
−t−ブチル−L−チロシン(0.26g,1.1mm
ol)と4−クロロベンゼンスルフォニルイソシアネー
ト(0.24g,1.1mmol)とから、実施例1と
同様にして、180mgの標題化合物を得た(収率37
%)。性状:無色結晶,融点:80−81℃,PMR
(δppm,DMSO−d):1.24(s,9
H),2.8−3.0(m,2H),4.50(m,1
H),6.7−7.0(m,4H),7.69(m,5
H),8.8(m,1H).
【0053】実施例8.(5S)−3−(4−クロロベ
ンゼンスルフォニル)−5−ヒドロキシメチルイミダゾ
リジン−2,4−ジオンの合成:(5S)−5−t−ブ
トキシメチル−3−(4−クロロベンゼンスルフォニ
ル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例6の化合
物,490mg,1.4mmol)をトリフルオロ酢酸
(以下TFAと略す)3mlに溶解し、室温で20分間
攪拌した。反応液を減圧下に濃縮し、ジエチルエーテル
を加え、生じた結晶を濾取して、270mgの標題化合
物を得た(収率66%)。性状:無色結晶,融点:20
4−205℃,PMR(δppm,DMSO−d):
3.4−3.7(m,2H),4.18(m,1H),
7.7−8.0(m,4H),8.71(brs,1
H).
【0054】実施例9.(5S)−3−(4−クロロベ
ンゼンスルフォニル)−5−(4−ヒドロキシフェニル
メチル)イミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:(5
S)−5−(4−t−ブトキシフェニルメチル)−3−
(4−クロロベンゼンスルフォニル)イミダゾリジン−
2,4−ジオン(実施例7の化合物,140mg,0.
32mmol)を1mlのTFAに溶解し、実施例8と
同様にして、70mgの標題化合物を得た(収率57
%)。性状:無色結晶,融点:80−81℃,PMR
(δppm,DMSO−d):2.7−2.9(m,
2H),4.47(m,1H),6.56(m.2
H),6.81(m.2H),7.5−7.7(m,4
H),8.83(brs,1H),9.31(brs,
1H).
【0055】実施例10.(5S)−5−t−ブトキシ
カルボニルエチル−3−(4−クロロベンゼンスルフォ
ニル)イミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:L−グ
ルタミン酸γ−t−ブチルエステル(0.45g,2.
2mmol)と4−クロロベンゼンスルフォニルイソシ
アネート(0.48g,2.2mmol)とから、実施
例1と同様にして、290mgの標題化合物を得た(収
率33%)。性状:無色結晶,融点:190−191
℃,PMR(δppm,DMSO−d):1.32
(s,9H),1.75(m,1H),1.88(m,
1H),2.18(m,2H),4.19(m,1
H),7.7−8.0(m,4H),8.83(m,1
H).
【0056】実施例11.(5S)−5−t−ブトキシ
カルボニルメチル−3−(4−クロロベンゼンスルフォ
ニル)イミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:L−ア
スパラギン酸β−t−ブチルエステル(0.42g,
2.2mmol)と4−クロロベンゼンスルフォニルイ
ソシアネート(0.48g,2.2mmol)とから、
実施例1と同様にして、350mgの標題化合物を得た
(収率41%)。性状:無色結晶,融点:147−14
8℃,PMR(δppm,DMSO−d):1.25
(s,9H),2.57(m,1H),2.79(m,
1H),4.33(m,2H),7.7−8.0(m,
4H),8.70(brs,1H).
【0057】実施例12.(5S)−5−カルボキシル
エチル−3−(4−クロロベンゼンスルフォニル)イミ
ダゾリジン−2,4−ジオンの合成:(5S)−5−t
−ブトキシカルボニルエチル−3−(4−クロロベンゼ
ンスルフォニル)−イミダゾリジン−2,4−ジオン
(実施例10の化合物,0.25g,0.62mmo
l)を2mlのTFAに溶解し、実施例8と同様にし
て、180mgの標題化合物を得た(収率84%)。性
状:無色結晶,融点:185−186℃,PMR(δp
pm,DMSO−d):1.73(m,1H),1.
90(m,1H),2.24(m,2H),4.20
(m,1H),7.7−8.0(m,4H),8.87
(brs,1H),12.24(m,1H).
【0058】実施例13.(5S)−5−カルボキシル
メチル−3−(4−クロロベンゼンスルフォニル)イミ
ダゾリジン−2,4−ジオンの合成:(5S)−5−t
−ブトキシカルボニルメチル−3−(4−クロロベンゼ
ンスルフォニル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(実
施例11の化合物,0.30g,0.77mmol)を
2mlのTFAに溶解し、実施例8と同様にして、21
0mgの標題化合物を得た(収率82%)。性状:無色
結晶,融点:158−160℃,PMR(δppm,D
MSO−d):2.5−2.9(m,2H),4.3
7(m,1H)7.7−8.0(m,4H),8.68
(brs,1H),13−13.5(m,1H).
【0059】実施例14.(5S)−5−ベンジル−3
−(3,4−ジメチルベンゼンスルフォニル)イミダゾ
リジン−2,4−ジオンの合成:L−フェニルアラニン
(0.83g,5.0mmol)と3,4−ジメチルベ
ンゼンスルフォニルイソシアネート(1.09g,5.
0mmol)とから、実施例1と同様にして、230m
gの標題化合物を得た(収率13%)。性状:無色結
晶,融点:62−64℃,PMR(δppm,DMSO
−d):2.27(s,3H),2.31(s,3
H),2.8−3.0(m,2H),4.52(m,1
H),6.9−7.2(m,5H),7.3−7.5
(m,3H),8.77(m,1H).
【0060】実施例15.(5R)−5−ベンジル−3
−(3,4−ジメチルベンゼンスルフォニル)イミダゾ
リジン−2,4−ジオンの合成:D−フェニルアラニン
(0.83g,5.0mmol)と3,4−ジメチルベ
ンゼンスルフォニルイソシアネート(1.09g,5.
0mmol)とから、実施例1と同様にして、250m
gの標題化合物を得た(収率14%)。性状:無色結
晶,融点:62−64℃,PMR(δppm,DMSO
−d):2.27(s,3H),2.31(s,3
H),2.8−3.0(m,2H),4.52(m,1
H),6.9−7.2(m,5H),7.3−7.5
(m,3H),8.77(m,1H).
【0061】実施例16.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−5−(3−フルオロフェニ
ル)イミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:2−(3
−フルオロフェニル)−L−グリシン(0.40g,
2.2mmol)と4−クロロベンゼンスルフォニルイ
ソシアネート(0.48g,2.2mmol)とから、
実施例1と同様にして、190mgの標題化合物を得た
(収率25%)。性状:無色結晶,融点:173−17
4℃,PMR(δppm,DMSO−d):2.9−
3.0(m,2H),4.55(m,1H),6.8−
7.2(m,4H),7.70(m,4H),8.90
(m,1H).
【0062】実施例17.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−5−(2−フルオロフェニ
ル)イミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:2−(3
−フルオロフェニル)−L−グリシン(0.40g,
2.2mmol)と4−クロロベンゼンスルフォニルイ
ソシアネート(0.48g,2.2mmol)とから、
実施例1と同様にして、120mgの標題化合物を得た
(収率14%)。性状:無色結晶,融点:155−15
6℃,PMR(δppm,DMSO−d):3.00
(m,2H),4.51(m,1H),7.0−7.3
(m,4H),7.7−7.8(m,4H),8.88
(m,1H).
【0063】実施例18.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−5−(3−フルオロフェニ
ル)イミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:2−(3
−フルオロフェニル)−L−グリシン(0.40g,
2.2mmol)と4−クロロベンゼンスルフォニルイ
ソシアネート(0.48g,2.2mmol)とから、
実施例1と同様にして、250mgの標題化合物を得た
(収率33%)。性状:無色結晶,融点:193−19
4℃,PMR(δppm,DMSO−d):2.8−
3.0(m,2H),4.53(m,1H),6.9−
7.1(m,4H),7.68(m,4H),8.89
(m,1H).
【0064】実施例19.(5S)−5−ベンジル−3
−(4−クロロベンゼンスルフォニル)−1−メチルイ
ミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:N−メチル−L
−フェニルアラニン(0.39g,2.2mmol)と
4−クロロベンゼンスルフォニルイソシアネート(0.
48g,2.2mmol)とから、実施例1と同様にし
て、540mgの標題化合物を得た(収率71%)。性
状:無色結晶,融点:128−129℃,PMR(δp
pm,DMSO−d):2.83(s,3H),2.
9−3.2(m,2H),4.42(m,1H),6.
9−7.2(m,5H),7.65(m,4H).
【0065】実施例20.(5S)−5−ベンジル−3
−(3,4−ジメトキシベンゼンスルフォニル)イミダ
ゾリジン−2,4−ジオンの合成:L−フェニルアラニ
ン(0.99g,6.0mmol)と3,4−ジメトキ
シベンゼンスルフォニルイソシアネート(1.66g,
6.0mmol)とから、実施例1と同様にして、17
0mgの標題化合物を得た(収率6.7%)。性状:無
色結晶,融点:77−79℃,PMR(δppm,DM
SO−d):2.9−3.2(m,2H),3.91
(s,3H),4.00(s,3H),4.25(m,
1H),5.61(s,1H),6.9−7.8(m,
3H).
【0066】実施例21.(5R)−5−ベンジル−3
−(3,4−ジメトキシベンゼンスルフォニル)イミダ
ゾリジン−2,4−ジオンの合成:D−フェニルアラニ
ン(0.99g,6.0mmol)と3,4−ジメトキ
シベンゼンスルフォニルイソシアネート(1.66g,
6.0mmol)とから、実施例1と同様にして、15
0mgの標題化合物を得た(収率6.0%)。性状:無
色結晶,融点:77−79℃,PMR(δppm,DM
SO−d):2.9−3.2(m,2H),3.91
(s,3H),4.00(s,3H),4.25)m,
1H),5.86(s,1H),6.9−7.8(m,
3H).
【0067】実施例22.(5S)−3−(3−アリル
オキシベンゼンスルフォニル)−5−ベンジルイミダゾ
リジン−2,4−ジオンの合成:L−フェニルアラニン
(0.64g,3.9mmol)と3−アリルオキシベ
ンゼンスルフォニルイソシアネート(1.09g,3.
9mmol)とから、実施例1と同様にして、135m
gの標題化合物を得た(収率8.4%)。性状:無色結
晶,融点:124−126℃,PMR(δppm,CD
Cl):2.9−3.2(m,2H),4.28
(m,1H),4.86(d,2H),5.33(d,
1H),5.43(d,1H),6.0−6.1(m,
1H),7.1−7.2(m,5H),7.63(m,
1H),8.21(d,1H),8.35(d,1
H),8.69(s,1H).
【0068】実施例23.(5S)−3−(3−アリル
オキシベンゼンスルフォニル)−5−−ベンジル−1−
エトキシカルボニルイミダゾリジン−2,4−ジオンの
合成:合成法(B)に従い、3−アリルオキシベンゼン
スルフォニルイソシアネート(1.18g,4.4mm
ol)をジクロロメタン(50ml)に溶解し、L−フ
ェニルアラニン(733mg,4.4mmol)を加え
て90分間攪拌した。反応液を氷冷し、トリエチルアミ
ン(1.54ml,11.1mmol)を加えた後、ク
ロル炭酸エチル(467μl,4.9mmol)を滴下
して、氷冷下で30分間攪拌した。反応液に20mlの
1N塩酸および飽和食塩水を加えて、酢酸エチルで抽出
し、有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、減圧下に
溶媒を留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−
ヘキサン,1/2)で精製し、200mgの標題化合物
を得た(収率9.3%)。性状:無色結晶,融点:11
2−114℃,PMR(δppm,CDCl):1.
40(t,3H),3.27(m,1H),3.46
(m,1H),4.41(m,2H),4.72(m,
1H),6.0−6.1(m,1H),6.9−7.1
(m,5H),7.58(m,1H),8.06(d,
1H),8.34(d,1H),8.56(s,1
H).
【0069】実施例24.(5S)−3−(3−カルボ
キシベンゼンスルフォニル)−5−ベンジル−1−エト
キシカルボニルイミダゾリジン−2,4−ジオンの合
成:(5S)−3−(3−アリルオキシベンゼンスルフ
ォニル)−5−ベンジルイミダゾリジン−2,4−ジオ
ン(実施例22の化合物,105mg,0.25mmo
l)を5mlのギ酸/THF(1/9)混合液に溶解
し、トリフェニルホスフィン(30mg)を加えた。反
応容器を減圧下に。窒素置換した後、テトラキス(トリ
フェニルフォスフィン)パラジウム(0)(30mg)
を加え、遮光下に窒素気流中で16時間攪拌した。反応
液に酢酸エチルを加えた後、水、次いで飽和食塩水で洗
浄した後、減圧下に溶媒を留去して粗生成物を得た。得
られた粗生成物をジクロロメタンで洗浄し、結晶化して
標題化合物30mgを得た(収率32%)。性状:無色
結晶,融点:220−223℃,PMR(δppm,D
MSO−d):2.9−3.0(m,2H),4.5
3(m,2H),4.72(m,1H),6.0−6.
1(m,1H),6.9−7.1(m,5H),7.5
8(m,1H),8.06(d,1H),8.34
(d,1H),8.56(s,1H).
【0070】実施例25.(5S)−3−(3−カルボ
キシベンゼンスルフォニル)−5−ベンジルイミダゾリ
ジン−2,4−ジオンの合成:(5S)−3−(3−ア
リルオキシベンゼンスルフォニル)−5−ベンジルイミ
ダゾリジン−2,4−ジオン(実施例22の化合物,1
35mg,0.28mmol)から、実施例24と同様
にして標題化合物8mgを得た(収率6.4%)。性
状:無色結晶,融点:146−148℃,PMR(δp
pm,DMSO−d):1.29(m,3H),3.
1−3.4(m,3H),4.30(m,2H),4.
81(s,1H),6.8−7.2(m,5H),7.
79(m,1H),7.98(m,1H),8.33
(s,2H).
【0071】実施例26.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−5−フェネチルイミダゾリジ
ン−2,4−ジオンの合成:L−2−フェネチルアミノ
酢酸(1.68g,9.4mmol)と4−クロロベン
ゼンスルフォニルイソシアネート(2.04g,9.4
mmol)とから、実施例1と同様にして、50mgの
標題化合物を得た(収率1.4%)。性状:無色結晶,
融点:200−203℃,PMR(δppm,DMSO
−d):1.8−2.0(m,2H),2.4−2.
6(m,2H),4.12(m,1H),7.1−7.
3(m,5H),7.76(m,2H),8.00
(d,2H),8.95(brs,1H).
【0072】実施例27.(5S)−3−(4−アリル
オキシカルボニルベンゼンスルフォニル)−5−ベンジ
ルイミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:L−フェニ
ルアラニン(0.69g,4.2mmol)と4−アリ
ルオキシカルボニルベンゼンスルフォニルイソシアネー
ト(1.19g,4.2mmol)とから、実施例1と
同様にして40mgの標題化合物を得た(収率2.3
%)。性状:無色結晶,融点:200−203℃,PM
R(δppm,CDCl):1.8−2.0(m,2
H),2.4−2.6(m,2H),4.12(m,1
H),7.1−7.3(m,5H),7.76(m,2
H),8.00(d,2H),8.95(brs,1
H).
【0073】実施例28.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−1,5−ジベンジルイミダゾ
リジン−2,4−ジオンの合成:L−N−ベンジルフェ
ニルアラニン(1.17g,4.6mmol)と4−ク
ロロベンゼンスルフォニルイソシアネート(1.00
g,4.6mmol)とから、実施例1と同様にして、
630mgの標題化合物を得た(収率30%)。性状:
無色結晶,融点:47−51℃,PMR(δppm,C
DCl):3.1(d,2H),3.98(m,1
H),4.03(m,1H),5.13(d,1H),
6.94(d,2H),7.0−7.3(m,5H),
7.3−7.4(m,3H),7.43(d,2H),
7.80(d,2H).
【0074】実施例29.(5R)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−1,5−ジベンジルイミダゾ
リジン−2,4−ジオンの合成:D−N−ベンジルフェ
ニルアラニン(1.17g,4.6mmol)と4−ク
ロロベンゼンスルフォニルイソシアネート(1.00
g,4.6mmol)とから、実施例1と同様にして、
630mgの標題化合物を得た(収率30%)。性状:
無色結晶,融点:47−51℃,PMR(δppm,C
DCl):3.1(d,2H),3.98(m,1
H),4.03(m,1H),5.13(d,1H),
6.94(d,2H),7.0−7.3(m,5H),
7.3−7.4(m,3H),7.43(d,2H),
7.80(d,2H).
【0075】実施例30.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−1−ベンジル−5−t−ブト
キシカルボニルエチルイミダゾリジン−2,4−ジオン
の合成:L−N−ベンジルグルタミン酸γ−t−ブチル
エステル(0.62g,2.1mmol)と4−クロロ
ベンゼンスルフォニルイソシアネート(0.45g,
2.1mmol)とから、実施例1と同様にして、18
0mgの標題化合物を得た(収率17%)。性状:無定
形白色粉末,PMR(δppm,CDCl):1.4
0(s,9H),1.9−2.7(m,4H),3.8
1(m,1H),4.08(d,1H),7.2−7.
4(m,5H),7.55(d,2H),8.01
(d,2H).
【0076】実施例31.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−1−ベンジル−5−t−ブト
キシカルボニルメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン
の合成:L−N−ベンジルアスパラギン酸β−t−ブチ
ルエステル(0.45g,1.6mmol)と4−クロ
ロベンゼンスルフォニルイソシアネート(0.35g,
1.6mmol)とから、実施例1と同様にして、28
0mgの標題化合物を得た(収率36%)。性状:無色
結晶,融点:47−51℃,PMR(δppm,CDC
):1.26(s,9H),2,59(m,1
H),2.791.9−2.7(m,4H),3.81
(m,1H),4.08(d,1H),7.2−7.4
(m,5H),7.55(d,2H),8.01(d,
2H).
【0077】実施例32.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−1−ベンジル−5−カルボキ
シエチルイミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:(5
S)−3−(4−クロロベンゼンスルフォニル)−1−
ベンジル−5−t−ブトキシカルボニルエチルイミダゾ
リジン−2,4−ジオン(実施例30の化合物,105
mg,0.21mmol)を1mlのTFAに溶解し、
実施例8と同様にして99mgの標題化合物を定量的に
得た。性状:無色結晶,融点:58−61℃,PMR
(δppm,CDCl):1.9−2.7(m,4
H),3.85(m,1H),4.09(d,1H),
4.90(d,1H),7.2−7.4(m,5H),
7.56(d,2H),8.10(d,2H).
【0078】実施例33.(5S)−3−(4−クロロ
ベンゼンスルフォニル)−1−ベンジル−5−カルボキ
シメチル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの合成:
(5S)−3−(4−クロロベンゼンスルフォニル)−
1−ベンジル−5−t−ブトキシカルボニルメチル−イ
ミダゾリジン−2,4−ジオン(実施例31の化合物,
157mg,0.33mmol)を1mlのTFAに溶
解し、実施例8と同様にして137mgの標題化合物を
定量的に得た。性状:無色結晶,融点:168−172
℃,PMR(δppm,DMSO−d):2.79
(m,2H),4.3−4.6(m,5H),7.2−
7.4(m,5H),7.75(d,2H),8.01
(d,2H).
【0079】実施例34.(5R)−5−ベンジル−3
−(4−メチルベンゼンスルフォニル)イミダゾリジン
−2,4−ジオンの合成:合成法(C)に従い、p−ト
ルエンスルフォンアミド(500mg,2.9mmo
l)と、N−フェノキシカルボニル−D−フェニルアラ
ニン メチルエステル(870mg,2.9mmol)
を10mlのTHFに溶解し、1,8−ジアザビシクロ
〔5,4,0〕ウンデカ−7−エン(略称DBU,58
0mg,3.8mmol)を加え16時間攪拌した。反
応液に10%クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出
し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥
した。溶媒を減圧下に留去して得られた残渣を、ジエチ
ルエーテル/n−ヘキサンから結晶化して、ウレア誘導
体、N−〔(1R)−1−メトキシカルボニル−2−フ
ェニル〕エチル−N’−(4−メチルベンゼンスルフォ
ニル)ウレア(770mg,収率70%)を得た。
【0080】得られたウレア誘導体(730mg,1.
9mmol)を、2N水酸化ナトリウム水溶液(4m
l)とメタノール(5ml)の混液に氷冷下に溶解し、
氷冷下で2時間攪拌し、エステルを加水分解した。反応
液を酸性にして酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に
留去して得られた残渣を、20mlのTHFに溶解し、
氷冷後、カルボニルジイミダゾール(380mg,2.
3mmol)を加え、30分間攪拌した。反応液に水を
加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去して
得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(n−
ヘキサン/酢酸エチル,1:1)で精製し、ジエチルエ
ーテルから結晶化して、260mgの標題化合物を得
た。性状:無色結晶,融点:131−132℃,PMR
(δppm,CDCl):2.46(s,3H),
2.88(m,1H),3.21(m,1H),4.2
3(m,1H),5.57(s,1H),7.1−7.
4(m,6H),7.92(d,2H).
【0081】実施例35.キマーゼ阻害活性の測定 ヒト心臓キマーゼは、浦田らの方法(文献既述)に従っ
て精製し、本発明のヒダントイン化合物のに対する阻害
活性の測定は、以下の様に測定した。即ち、2MKCl
を含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)10
μlに精製キマーゼ10μlおよび被検試料のジメチル
スルホキシド(以下DMSOと略す)溶液5μlを添加
し、37℃で10分間プレインキュベーションした後、
1mMAngI溶液25μlを添加して、37℃で30
分間インキュベーションした。次いで、30%酢酸50
μlを添加して酵素反応を停止した。同時に、被検試料
溶液に代えて5μlのDMSOを加えて同様に反応を行
い、盲検とした。
【0082】反応終了液をDevelosil ODS
−5(野村化学製,φ4.6mm×150mm)を用い
る高速液体クロマトグラフィーに付し、流速2.0ml
/minで、0.05%トリフルオロ酢酸(以下、TF
Aと略す)中、10分でアセトニトリルを0%から60
%まで上昇させる直線濃度勾配で展開した。210nm
の吸光度でモニターし、AngIおよびAngIIの標
品と比較することによりピークを同定した。積分計でピ
ーク面積を測定することにより、AngIおよびAng
IIを定量し、キマーゼ活性を算出した。キマーゼ阻害
活性は、盲検の値を基準にして阻害率、50%阻害濃度
(IC50)を算出した。本発明のヒダントイン誘導体
は全て、100μMの濃度でヒトキマーゼを強く阻害し
た。代表的な化合物について、そのIC50値を、後述
のカテプシンG阻害活性およびキモトリプシン阻害活性
と共に、〔表1〕に示す。
【0083】
【表1】
【0084】参考例1.カテプシンG阻害活性の測定 2MKClを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)に、2μg/mlの濃度に溶解したヒト好中球
由来カテプシンG(カルビオケム社製)20μlおよび
被検試料のDMSO溶液5μlを添加し、37℃で10
分間プレインキュベーションした後、1mMAngl溶
液25μlを加えて37℃で30分間インキュベーショ
ンした。次いで、30%酢酸を50μlを添加して酵素
反応を停止した。同時に、被検試料溶液に代えて5μl
のDMSOを加えて同様に反応を行い、盲検とした。反
応終了液を試験例1と同様に高速液体クロマトグラフィ
ーで処理してAngIおよびAngIIを定量し、カテ
プシンG活性を算出した。カテプシンG阻害活性は、盲
検の値を基準にして阻害率、50%阻害濃度(I
50)を算出した。その結果を〔表1〕に示す。
【0085】参考例2.キモトリプシン阻害活性 2MKClを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)12μlに、1mMHClを含む20mMCa
Cl水溶液に、8μg/mlの濃度に溶解したウシ膵
臓α−キモトリプシン(シグマ社製,タイプII)ヒト
好中球由来カテプシンG(カルビオケム社)8μlおよ
び被検試料のDMSO溶液5μlを添加し、37℃で1
0分間プレインキュベーションした後、1mMAngI
溶液25μlを加えて37℃で15分間インキュベーシ
ョンした。次いで、30%酢酸を50μlを添加して酵
素反応を停止した。同時に、被検試料溶液に代えて5μ
lのDMSOを加えて同様に反応を行い、盲検とした。
反応終了液を試験例1と同様に高速液体クロマトグラフ
ィーで処理してAngIおよびAngIIを定量し、キ
モトリプシン活性を算出した。キモトリプシン阻害活性
は、盲検の値を基準にして阻害率、50%阻害濃度(I
50)を算出した。その結果を〔表1〕に示す。
【0086】製剤例1.錠剤の製造 実施例5の化合物100.0g、微結晶セルロース2
2.5gおよびステアリン酸マグネシウム2.5gを混
合し、この混合物を単発式打錠機にて打錠して、1錠中
200mgの実施例5の化合物を含有する、直径9m
m、重量250mgの錠剤を製造した。
【0087】製剤例2.顆粒剤の製造 実施例15の化合物30g、乳糖265gおよびステア
リン酸マグネシウム5gをよく混合し、混合物を圧縮成
型した後、粉砕、整粒し、篩別して20〜50メッシュ
の良好な10%顆粒剤を得た。
【0088】製剤例3.直腸坐剤の製造 ウイテップゾールH−15(ダイナミットノーベル社
製)を加温融解し、これに実施例15の化合物を濃度1
2.5mg/mlになるように加えて、均一に混和し、
次いでこれを直腸坐剤用金型に2mlずつ注入し、冷却
して、1剤中25mgの実施例15の化合物を含有する
直腸坐剤を得た。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、新規なヒダントイン化
合物、それを有効成分とするキマーゼ阻害剤およびそれ
を有効成分とするAngII生産の異常昂進に起因する
心臓・循環器系疾患の予防・治療剤を提供することがで
きる。ヒトにおいては、AnglをAngIIに変換す
る経路が少なくとも二つ存在し、一つはACEが関与す
る経路であり、他の一つはキマーゼが関与する経路であ
る。従って、キマーゼを阻害することは、ACE阻害剤
が効果を示さない領域においても、AngII生産の異
常昂進に起因する種々の心臓・循環器系疾患の予防・治
療に繋がるものと考えられる。このような疾病の例とし
ては、心不全、心肥大、うっ血性心疾患、高血圧症、動
脈硬化、末梢循環障害、PCTA施行後の血管再狭窄、
糖尿病性腎障害または非糖尿病性腎障害等が例示され、
本発明は、従来、有効な予防・治療法の無かったこれら
の疾病について、有用な予防・治療法を提供するもので
ある。
フロントページの続き (72)発明者 岡田 彰子 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社生物医学研究所内 (72)発明者 角谷 佐紀 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社生物医学研究所内 (72)発明者 斎藤 雅之 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社生物医学研究所内 (72)発明者 鈴木 賢治 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社生物医学研究所内 (72)発明者 木曽 良信 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社生物医学研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の式(1) 【化1】 〔式中、Xはハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキ
    ル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、炭素数1〜4
    の低級アルキル基またはアリル基でエステル化されてい
    ても良いカルボキシル基を示し、nは0または1〜5の
    整数を示し、Yは基(a) 【化2】 (式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基
    または炭素数1〜4の低級アルコキシ基を示し、mは
    0,1または2を示す)または基(b) 【化3】 (式中、Rは水素原子または炭素数1〜4の低級アル
    キル基を示し、pは1または2を示す)もしくは基
    (c) 【化4】 (式中、Rは水素原子または炭素数1〜4の低級アル
    キル基を示し、qは1または2を示す)を示し、Zは、
    水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数7〜
    10のアラルキル基、炭素数2〜5の低級アルキルオキ
    シカルボニル基を示す〕で表されるヒダントイン誘導
    体。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のヒダントイン誘導体を有
    効成分とするキマーゼ阻害剤。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のヒダントイン誘導体を有
    効成分とする、アンジオテンシンII生産の異常昂進に
    起因する心臓・循環器系疾患の予防・治療剤。
  4. 【請求項4】アンジオテンシンII生産の異常昂進に起
    因する心臓・循環器系疾患が、心不全、心肥大、うっ血
    性心疾患、高血圧症から選ばれた心臓・循環器系疾患で
    ある、請求項3に記載の心臓・循環器系疾患の予防・治
    療剤。
  5. 【請求項5】アンジオテンシンII生産の異常昂進に起
    因する心臓・循環器系疾患が、動脈硬化、末梢循環障
    害、経皮的冠状動脈形成術施行後の血管再狭窄から選ば
    れた心臓・循環器系疾患である、請求項3に記載の心臓
    ・循環器系疾患の予防・治療剤。
  6. 【請求項6】アンジオテンシンII生産の異常昂進に起
    因する心臓・循環器系疾患が、糖尿病性腎障害または非
    糖尿病性腎障害である、請求項3に記載の心臓・循環器
    系疾患の予防・治療剤。
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